JP4130225B2 - ホログラム光学装置および製造方法 - Google Patents
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Description
本願発明は、光の有する非縞状破壊干渉(non-fringing destructive interference)を生成する光学装置およびその製造および利用方法に関する。
背景技術
光は、電磁波として空間を移動する。電磁波は、一連のピーク(peak)とトラフ(trough)として、所定の光路にしたがって所定の周波数で連続的に移動すると考えられる。干渉は、2つの波が同一の領域を同時に通過する場合に発生する。波における干渉は、構造的(constructive)であり、かつ破壊的(destructive)である。構造的(constructive)干渉は、2つの波のピーク(またはトラフ)が同時に出合い、重なる場合に発生する。これらの波は位相内にあり、発生時には、重なる地点での波の振幅は増加すると言われる。
破壊的干渉は、一つの光波のピークが第二の光波のトラフと出合いかつ重なる場合に発生する。ピークとトラフが互いに出合う場合、消去し(cancel)合うので光波は、位相消去される(phase cancelled)と言われる。完全に位相消去された波は、電磁的なエネルギーを持たない。
光による構造的干渉および破壊的干渉は、ともに二重分割実験(double split experiment)によって明らかにされ、一つの光源からの光は、2つの間隔が隣接するスリットを含むスクリーン上に落ちる。検視スクリーン(viewing screen)を第一のスクリーンの背後に配置する場合、一連の明暗の線(line)が検視スクリーン上に現れる。この一連の線は、干渉縞(interference pattern)と言われる。
干渉縞の明線は構造的干渉の領域(area)であり、暗線は破壊的干渉の領域である。縞の生成は、任意の波長の波が2つのスリットに入射すると行われる。この波は、スリットを通過した後あらゆる方向に広がり、互いに干渉し合う。波が各スリットから検視クリーンの中心に到達し、波が等距離を進行してスクリーンにぶつかる場合には位相内にあり、構造的干渉を表す明るい斑点は、検視スクリーンの中心に現れる。また、構造的干渉は、2本の光線の光路が1波長分または1波長の整数倍分異なる点のそれぞれにおいて生じる。しかしながら、一つの光線が2分の1波長分または2分の1波長の整数倍分の距離を余分に進行する場合、この2つの波は、スクリーンに到達するときにちょうど位相外にあるため、暗い帯域(band)が破壊的干渉を表す干渉縞に現れる。このように一連の明暗の線が干渉縞において得られ、これを「縞(fringe)」と言う。
二重分割実験(double slit experiment)は、破壊的干渉を生成する一つの方法である。しかしながら、光源のほんのわずかな部分は消去される(cancelled)。光の破壊的干渉を生成するもう一つの方法は、ビームスプリッタ、ミラーおよびレーザを使用して達成されてきた。このタイプの装置はよく干渉計と呼ばれる。
干渉計は、以下の基本的原則に基づいて動作する。レーザをビームスプリッタと共同して用いて、レーザビームを2つに分割し、光の任意の割合で一つの光路をとり、光の任意の割合でまた別の光路をとる。スプリットビームの一つの光路は、可動式ミラーを使用することによって遅らせることが可能であり、この場合、ビームは、可変の光路長によって、反射しない(unreflected)ビームと平行に反射されうる。この光路長は波長の屈折によって異なる。消去の程度は、レンズの「コヒーレンス長」および色線(chromatic line)の狭さ(narrowness)による。このため、きわめて高品質のレーザは消去の程度が高くならざるをえない。しかしながら、レーザは純粋な単色光を生成せず、縞は消去の程度に関係なく生成される。完全に位相消去された(phase-cancelled)非縞状共線ビーム(collinear beam)を生成するために、破壊的干渉は、すべての入射波長および位相に入射光源の帯域幅全体にわたって発生する。また、光源によって放出された光線はすべて平行であり、ビームにおける各光量子は、全く同一波長を有する別の光量子と対になり、対になった光量子の他方(partner)の光路長に対して、半分の光量子の光路長は、ちょうど2分の1波長の整数倍分遅れることになる。
従来の構成では、このような結果を達成することはできない。一つの特定波長が干渉されうるように一対の半銀色ミラーを配置可能であるが、すべての波長を修正することは不可能である。屈折素子を使用することによって、遅延が調節可能である。しかしながら、これは、ゼロ以外の入射角に作用するのみであるから、結果として、各波長は、平行でない光路に沿って進行し続ける。この光路の角度は、ミラーによって増大することがあるだけなので、ビームは共線ビームを形成できないため、個々の光量子が対になることはない。
したがって、本願発明の目的は、非常に効率的な光学装置を提供することであり、この光学装置が生成する出射(output)ビームは、非縞状の共線であり位相消去である。この場合、(a)破壊的干渉が発生するのは、すべての入射波長および位相についてレーザ等コヒーレント光源の少なくとも1%プラスマイナスの中心波長の帯域幅にわたり、(b)あらゆる出射ビームの光線は平行であり、(c)出射ビームにおける各光量子は、全く同一の波長を有する別の光量子と対になり、(d)対になった各光量子のパートナーの光路長に対して、光量子の半分の光路長は精確に2分の1波長の整数倍分遅延する。
発明の概要
本願発明は、上述の目的およびその他の目的を以下に記載する方法によって達成するものである。
光学装置は、ホログラム素子(「ホログラム」)と特に選択された屈折率を有する屈折光学材料からなる。ホログラムは、回折格子によって構成され、回折格子は、所定の入射角の入射光学ビームについて回折の波長依存性角を誘発する。ホログラムおよび屈折光学材料のアッセンブリは、屈折角の波長依存性の変形が、屈折材料によって誘発され、ホログラムによって誘発された回折角の波長依存性の変形と等しくかつ対向して、角を射光学ビームの波長ごとに相互に消去する。
別の実施形態において、すでに記載したように、光学装置は、第二ホログラムを組み合わせたものであり、光学装置は2つのホログラムと干渉性(屈折性)光学材料とからなる。2つのホログラムはともに類似の回折格子によって構成されており、同一の回折の波長依存性角を所定の入射角の入射光学ビームについて誘発する。また、2つのホログラムはともに同一の平均屈折率によって構成される。しかしながら、各ホログラムは、予め定められた効率を有し、これは別のホログラム効率と異なる。第一ホログラムは、好ましくは約50%有効または第二ホログラムの半分有効であり、第二ホログラムは、好ましくは100%有効に近接する。
第一ホログラムは、干渉性光学材料によって第二ホログラムと平行にかつ間隔を置いて離れて位置決めされる。干渉性光学材料は、本質的に2つのホログラムによって挟み込まれる。干渉性光学材料は、特に屈折率を選択し、この屈折率はホログラムの平均屈折率と異なる。屈折角は干渉性光学材料によって誘発され、また屈折角は波長依存性でもある。
干渉性光学材料について任意の屈折率を確立することによって、屈折角の波長依存性の変形が干渉性光学材料によって誘発され、第一ホログラムによって誘発された回折角の波長依存性の変形と等しくかつ対向してもよく、この場合、角は、光学装置の第一ホログラムについて所定の入射角を有する入射光学ビームの波長ごとに相互に消去し合う。
第一ホログラムは50%有効に近接するため、ほぼ50%の入射光学ビームが回折されないホログラムを通過し、ほぼ50%のビームが2本のビームを第一ホログラムが生成するように回折される。ビームは、ともに干渉性光学材料を掃引して第二ホログラムに異なる角度で当たる。回折ビームは第二ホログラムを通過するが、この第二ホログラムは、屈折率の変化によってのみ影響を受ける。一方、回折されないビームは、第二ホログラムの回折格子と互いに影響し合い、2本のビームがともに互いに平行である第二ホログラムを出るように傾斜して回折される。
第二ホログラムをわずかに調節することによって、2つの出射ビームは重なりもともと回折されていないビームが第二ホログラムによって遮断されうるが、この場合、もともと回折されていないビームの光路と異なる2分の1波長の倍数分光路をとる。結合ビームは、すべての入射波長および位相について入射光学ビームの少なくとも1%プラスマイナスの中心波長を有する帯域幅にわたって位相消去される。
回折ビームの全体的な遅延とホログラムの回折効率全体は、ともに第一ホログラムにおいて単に入射角を変えることによって調節可能である。入射角が変わると、入射光の割合が多少なり消去される。この効果とビームの一つについての単純に遅延を固定させる効果との根本的な相違は、総素子の角度が理想的に配列されると、より大きな割合の入射光が定められた光路を通過することである。定められた光路を通過する光はすべて完全に消去される。したがって、従来の干渉計において一連の縞(fringe)が見られるが、本願発明において記載されるように、素子の出射によって単一の縞またはビームを生成し、このとき規定された光路をとることが可能な入射ビームの光量と比例した多少の割合で消去を伴う。
本願発明のまた別の側面として、前述の光学装置を製造する方法を含む。本装置の製造において、2つのレーザを使用して本質的に2つの異なる波長からなる共線光を有する混合ビームを生成する。混合ビームは、所定の入射角でホログラムの一つに、2つの回折ビームがホログラムを異なる角度で流出してホログラムの出射側からの距離Lで光センサアレイに投影するように方向づけられる。2つの回折ビームの投影点の距離はアレイにおいて測定される。
干渉性光学材料は、Lと等しい長寸法および選択された初期屈折率を有し、光センサアレイとホログラムと同じ平均屈折率を有するテスト感光性ポリマーとの間に、その長寸法がテスト感光性ポリマーおよびアレイに直交するように位置決めされる。同一の混合ビームは、テスト感光性ポリマーにおいて2つの出射ビームが干渉性光学材料によってアレイに投影されるように方向づけられる。干渉性光学材料の屈折率は、次に重合によって調節される。干渉性光学材料の屈折率が変化すると、屈折ビームの投影点間の距離も変化する。干渉性光学材料による重合は、屈折ビームの投影点間の変位を回折ビームの投影点間の変位と同一の方法で測定する点において停止する。
干渉性光学材料は、次に第一ホログラムにその短寸法がホログラムに直交するように固定される。第二ホログラムは、第一ホログラムの効率の倍であり、第一ホログラムに対向する干渉性光学材料面に位置決めされる。入射光学ビームは、適正入射角を有し、第一ホログラムにおいて方向づけられるため2つの出射ビームは第二ホログラムによって生成される。わずかに回転させ横にずらして第二ホログラムを調節してビームが重なると、最大の消去位置が達成される。
上記の通り記載された光学装置は、干渉計に関連する限定を克服する。この場合、非縞状位相消去ビームの生成が、すべての入射波長および位相についてレーザ等コヒーレントな光源の1%プラスマイナスの中心波長の帯域幅にわたって行われる。さらに、ここで開示される装置は、簡易でかつ信頼できる位相消去共線ビームの生成方法を表す。光源レーザの品質および出力が比較的低く、コヒーレント長を制限しているものであるとしても、生成は可能である。上述の装置を製造することによって、位相消去共線ビームの特性について手頃なコストで研究に着手できるだけでなく、その他の科学的および商業的用途に上記のビームを生成するための基本となる。
本願発明のその他の目的、特徴および利益は、図面を添付した明細書を一読することによって明確となろう。
【図面の簡単な説明】
図1は、極端に簡略化された感光性ポリマーの断面ブロック図であり、感光性ポリマーの異なる屈折率を有する光の相互的干渉の可能性を図示するために提供されるものである。これについては、以下の詳細な説明の背景部分に記載する。
図2は、本願発明に記載の装置の製造方法のフローチャートである。
図3は、該方法を図示する略斜視図である。
図4Aおよび図4Bは、該方法を図示する平面ブロック図である。
図5は、本願発明に記載の装置を図示する断面ブロック図である。
好適な実施例の詳細な説明
わかりやすくするために、レーザおよびホログラムの簡単な背景と間連する用後について述べる。
「レーザ」という用語は、Light Amplification by Stimulated Emission of Radiationの略語である。レーザ光源を生成するにあたって、媒体は、類似する原子の分布を固体または気体の透過浮遊(suspension)中に含み、通常、加熱または励起(excite)されて大部分の原子を励起状態で生成する。このとき電子は、原子の「ground」の外側の高位の軌道または非励起(unexcited)状態にある。光のビームを媒体に導入すると、光量子を励起原子から吸収および再放出する。原子は励起(excitation)の臨界状態にあるため、光量子を導入すると、原子は、同一の波長と位相を有する第二の光量子とともに入射光量子を吸収および再放出する。このプロセスにより、「カスケード(cascade)」は、新たに放出された各光量子が他の原子を刺激してこれを吸収および放出することによって光を増幅する。理想的状況では、このようにして上述のシステムによって得られた光はコヒーレントであるため、すべての光は同一位相であり単光である。この場合、光は単一の波長からなる。しかしながら、実地では(in practice)、原子の励起は完全ではなく、いくつかの異なるエネルギーの状態が浮遊で原子間で誘発される。これにより、光の細長いスペクトルが起こるが、これは、一時的に間隔のあいたリズムにおいて頻繁に見られ、このリズムを「モードホッピング(mode hopping)」と呼ぶ。大部分の光量子が1つの波長から次の波長へ変位する。様々な理由により、その誘発された媒体の屈折率は、しばしば不定常であり、熱励起(thermal excitation)によって、位相は時間を浮遊する傾向にある。このような浮遊時間を光速で割り、これによってレーザビームのコヒーレント長が定められる。これは、数ミクロンから何メートルにも変化するが、レーザのタイプによる。
ホログラムおよびその製造方法は、先行技術において周知である。ホログラムは、本質的に回折格子である。感光性ポリマー(photopolymer)を角度Aを有する基準ビーム(reference beam)および角度Bを有する入射ビームに照射すると、回折格子が生じる。光が通過することによって特定の角度で生じた回折格子は、相互に干渉し合う(mutually interactive)3次元格子として形成され、この格子は、再生ビームの特定の入射角でのみ所望の縞模様(fringe pattern)を表す。光は、ホログラムを再生ビームまたは基準ビームと同じ角度で入射し、回折格子の示差屈折率と相互に干渉し合い、新たな波長依存性角(wavelength dependent angle)で回折される。その他の角度は、回折格子の示差屈折率を損なう(miss)傾向があり、その代わり、実際にホログラムがすべて単一の平均屈折率であるようにホログラムの屈折率の総和(sum)と影響し合う。図1は、効果を表す。なお、光路s1およびs2は、ほぼ等量の低(L)屈折率および高(H)屈折率を通過し、一方、任意の臨界角度において光路b1およびb2は示差屈折率を通過する。
感光性ポリマーのホログラム効率(efficiency)を測定する場合、入射光および非干渉(non-interacted)光とホログラム光素子の所望の目的(intended)方向に回折が伝達する光とを比較する。光の回折は、回折格子がどの程度まで存在(present)するかに応じて行われる。回折格子が存在する程度は、ホログラムの感光性ポリマーをどの程度まで重合および架橋可能であるかによる。感光性ポリマーの重合および架橋が行われるのは、感光性ポリマーが回折格子の生成に使用される光源に照射されるとき、およびさらに紫外放射および熱硬化に照射されている間である。重合および架橋の程度を調節することによって、回折格子が存在する程度およびそれによってホログラム効率を調節可能である。ホログラムはハロゲン化銀等金属ベース(metal-based)の乳剤から作られ、その効率は、乳剤の粒子サイズを変えることによって可変となる。
ホログラム効率の現象を上述の装置によって利用して、位相消去する(phase cancelling)光路を強制的にとる光の割合を修正することができる。これは、示差屈折率を通過する光によってのみ干渉縞が生じ、これによって回折光路が生じるからである、実地では、ホログラムのHおよびL部分は、重合が不完全であるため十分に定められないので、上述の重合において説明したように、ホログラム効率は、理想的な角度であっても低下する。
また、本願発明を十分に理解するための基本原則として、屈折現象および屈折特性がある。光線は異なる屈折率を有する2つの光学媒体を通過し、光線は光学媒体の境界面(interface)に直交する(通常)角度以外の任意の角度であるため、角度を変更することができ、低い屈折率から高い屈折率に変化する場合には鋭角に、そして高い屈折率から低い屈折率に変化する場合には傾斜角になる。この現象を容易に理解するためには、媒体の屈折率が高ければ高いほど光はその媒体をゆっくりと通過することを思い起こせばよい。したがって、光線がより高い屈折率を有する媒体に傾いて入射すると、光線は減速して進行し、これにより減速側に向かって屈折する。屈折の角度は、2つの光学的媒体の屈折率および入射光ビームの波長における違いによる。
光のビームが進行する媒体の屈折率と比して異なる屈折率を有する干渉性光学材料(intervining optical material)を通過する場合(例として、窓通過光)、屈折率の変化は、干渉性光学材料に入射するときと流出するときとで、等しくなり反対になり、たとえば、ビームが干渉性光学材料に入るとビームは一方向に屈折する、またビームが干渉性光学材料を出るとビームは反対方向に逆に等光量屈折する。したがって、入射ビームおよび出射ビームは平行となる。しかしながら、ビームが干渉性光学材料を流出する点はビームが流出した点と比べて横にシフトすることになり、元の入射ビームは非屈折干渉性光学材料に直行していた。横方向への変位量は、干渉性光学材料内での扇形変位および入射ビームと出射ビームとのずれによる。
本願発明において、第二ホログラム効率は、できるだけ100%に接近するように設定され、第一ホログラム効率は第二ホログラム効率の半分すなわち50%に接近するように設定される、所定の入射角度の光のコヒーレントビームが第一ホログラムに入射する場合、ほぼ50%のビームが第一ホログラムを通過し、屈折率の変化のみに影響し、ほぼ50%のビームが回折される。両ビームが干渉性光学材料に入射すると、これらは屈折率において別の変化が生じる。これによって各ビームの角度の波長依存性変位を誘発する。干渉性光学材料の屈折率が選択されると、屈折角度における波長依存性変位を誘発し、この角度は、第一ホログラムによって誘発された回折角度における波長依存性変位と等しくかつ対向する。したがって、角度は、回折されたビームの波長ごとに相互に消去し合う。したがって、回折されたビームの扇形光路は、干渉性光学材料を通過して、第一ホログラムの出射の扇形光路と本質的に対向する。
回折されたビームが干渉性光学材料を出て、第二ホログラムに入ると、屈折率の変位は、回折されたビームが第一ホログラムに残り干渉性光学材料に入射するにつれて発生する屈折率の変化と等しく対向する。これは、2つのホログラムの平均屈折率が等しいことから当然である。したがって、回折されたビームは第二ホログラムによって屈折されるが、この場合、第二ホログラムから出発する第二ホログラムの角度が第一ホログラム(回折の元の角度)から出発する第一ホログラムの角度と平行である。なお、回折されたビームは、第二ホログラムの回折格子について精確な入射角度をなさず、第二ホログラムを通過することに留意すべきである。この場合、第二ホログラムは、屈折率の変化によってのみ影響を受ける。
回折されないビームは、第一ホログラムを出て、第一ホログラムおよび干渉性光学材料をともに通過して第二ホログラムに入るが、この第二ホログラムは、屈折率の変化によってのみ影響を受ける。したがって、回折されないビームは、干渉性光学材料を出て、第二ホログラムの回折格子に入射するが、その際第一ホログラムに入射するときにとった光路に対して横向きまたは平行に変位する光路をとる。したがって、回折されないビームは、精確な入射角度を有して第二ホログラムの回折格子の示差(differential)屈折率と相互に干渉し合う。第二ホログラムは、100%有効に近いため、ほぼすべての回折されなかったビームは回折されない。したがって、第二ホログラムを下の回折されたビームと平行に流出する。
第二ホログラムがわずかに移動することによって、2つの出射ビームがそのビームの径の大部分を重ねるようにしてもよく、元の回折されないビームが、第二ホログラムによって遮られてもよい。この場合、ビームがとる光路は、元の回折ビームがとった光路と2分の1波長の整数倍分異なる。これによって得られた結合ビームは、すべての波長および位相について少なくとも1%プラスマイナスの帯域幅にわたって消去される。
第一および第二ホログラムは、後述するような構成である。一連の操作について、図2のフローチャートにまとめる。
第一ホログラムの回折格子を生成するにあたって、ホログラム板またはホログラム膜を角度Aの基準ビームおよび角度Bの入射ビームに照射する。従来のプルとタイプの発明において、アルゴンイオンレーザを光源として使用するが、様々なレーザを使用しているホログラフ膜の特性に対して使用してもよい。
レーザを光学実験ベンチおよびビームスプリッタに取付けて、ミラーを使用してレーザビームを分割して、基準ビームおよび入射ビームが適正角度を有するようにホログラム板に投影する。プロトタイプの場合、基準ビームの角度はホログラムに対して垂直状態からほぼ30度であり、入射ビームの角度は垂直状態からほぼ2−3度であった。これらの角度は、どちらのビームもホログラムに対して正確に垂直でない限り可変であり、または、ホログラム面とほぼ水平に近いのでビームはホログラムと相互に干渉し合うことなく回折格子を形成する。
第一ホログラム効率は、好ましくは50%近くに感光性ポリマーの照射を調整することによって設定され、その効率によって、またはハロゲン化銀ホログラムの場合には達成可能なその半分とのコントラストを減少させることによって重合を制限する。出射ビームと入射ビームとの輝度差を光センサを用いて測定することによって、所望の効率を達成する点を決定できる。第二ホログラムの製造は、同一基準ビームおよび入射ビームを同一角度で使用することによって行われる。ただし、効率を実用と同じほぼ100%にする、またはハロゲン化銀ホログラムを用いて達成可能な限界までにする。近年の感光性ポリマーは、一連の反復照射試験(iterative exposure test)および熱硬化試験を実施する場合、典型的には、最大97%の効率が可能であるる。経験から、定常照射および焼付けを任意の感光性ポリマーに対して任意の製造者によってバッチ式に、数回反復の後に任意の選択された重合効率について決定することができ、これによって任意の選択されたホログラム回折効率を決定することができることが明らかである。
感光性ポリマーを安定して製造することはまだ架空のことではないため、こrによって得られるホログラムの回折比と屈折比を算出することは不可能であり、このため特定の屈折率を干渉性光学材料に対して予め決定することは、現在のところ、不可能である。上記の課題の解決策は、感光性ポリマーの熱硬化特性を利用することである。これについて後述する。
図3および図4Aを参照して、一対のレーザは波長差が数ナノメートルであり、このレーザを設定してビーム10および12をビームスプリッタ14に供する。これにより、炉(図示せず)を通して単一共線混合ビーム16を生成して、スクリーンまたは、好ましくはセンサアレイ18に投影する。ホログラム2は、100%有効であり、これをビーム16の光路にX点にビーム16がホログラム2を基準角αで当たるように配置する。入射ビーム16は、本質的に2つの異なる光の波長からなり、所定のホログラムの回折角度は波長依存性である。したがって、2つの出射ビーム(20および22)はホログラム2によって生成される。1つのビームにおける光の波長は、他方のビームにおける光の波長より短く、2つのビームはともにセンサアレイ18に2つの投影点24および26として投影される。2つの投影点24の中心と26の中心との差異は、光センサアレイによってY点で測定され記録される。
ホログラム2は、X点で除去されテスト感光性ポリマー28(図4B)と置き換えられる。このテスト感光性ポリマーは、ホログラム1がコヒーレントな光に照射されたものに等しい総ジュール熱に照射される。この場合、テスト感光性ポリマー28の平均屈折率は、ホログラム1の平均屈折率と等しい。干渉性光学材料は、硬化処理されていない感光性ポリマー30として、テスト感光性ポリマー28とセンサアレイ18との間に配置される。ホログラム2またはテスト感光性ポリマー28の屈折率と干渉性光学材料30の屈折率の差分によって、所定の波長について第一ホログラム1と干渉性光学材料30との間の境界面において屈折角度を規定する(図5における境界面32)。また、この角度が波長依存性であることによって、このセットアップが規定されるように設計される。
干渉性光学材料30の屈折率は感光性ポリマーの構造および密度によって決定され、感光性ポリマーを使用して干渉性光学材料30を作成する。この感光性ポリマーの構造および密度は可変であり、感光性ポリマーおよびその活性化するダイが照射される光量および照射することによって温度上昇を誘発する次の架橋に対する光量による。感光性ポリマーを照射して適当な光量を得ることによって、および温度上昇による硬化(架橋)が行われる間に屈折率をモニタすることによって、特定の屈折率が達成できる。
実際の屈折率は、ゆっくりと時間と温度に比例して変化する。特定の値では温度が臨界温度を下回ることによって凍結することもある。この臨界温度において、架橋が所定の感光性ポリマーについて生じる。上述のプロセスが達成困難であるのは、屈折率が一方向でのみ変化することによること、および硬化プロセスが瞬間的に停止できないことによる。しかしながら、実験では、温度が硬化点未満に低下後、サンプルとして同一の感光性ポリマーを用いて、および角度の変化を注意深く観察することによって、あらかじめ、硬化温度が臨界温度にどのくらいの所望の角度減少すべきであるかを容易に知り得る。感光性ポリマーの臨界温度は、完成素子(finished element)の最大作動温度を表すが、これは、温度上昇にさらに照射されたことにより、屈折率が上述の重合および架橋のプロセスによって予め確立されている所望の屈折率から変化する。
十分な屈折率の範囲を有するほぼあらゆる感光性ポリマーを使用して、干渉性光学材料を作成してもよく、ホログラムの生成のために用いられたものと同じ感光性ポリマーを含んでもよい。そのために必要となるものは、ホログラムの平均屈折率と異なる平均屈折率に対して干渉性光学材料が硬化可能である。また、この材料における光速がすべての方向において等速である場合、ホモトピックであることも必要である。低コストの感光性ポリマー、たとえばLoktite Corporation社製造の紫外放射硬化接着剤がこの目的において使用されてきた。感光性ポリマーを活性化させる一般的なダイもまた適正材料であり、いくつかの製造元から入手可能である。このテーマについて各種出版された論文において公式を決定することが可能である。
感光性ポリマーの初期屈折率は、干渉性光学材料30に用いられるべきものであり、ホログラム1の平均屈折率よりも大きいまたは小さいが、これは所望の方向における回折された出射ビームを屈折させるのに必要な屈折率の変化に基づく。重要なことは、初期屈折率は干渉性光学材料30について選択することであり、この場合、第一ホログラム1と干渉性光学材料30の間の屈折の変化によって、ホログラム1から出る出射ビームが干渉性光学材料を通過すると、出射ビームはその偏向光路と対抗して屈折し、ホログラム1の回折角度は周知であるため、常に多かれ少なかれ初期屈折率を有することが選択可能である。干渉性光学材料30のために使用されるべき感光性ポリマーは、通常、十分な紫外放射によって処理されており、この感光性ポリマーを上述のように初期屈折率を有する固体に変換する。
干渉性光学材料30の製造について以下に記載する。
再び図3および図4を参照して、ホログラム2をXの位置で除去してテスト感光性ポリマー28と置き換える。感光性ポリマーは、干渉性光学材料30のために使用され、この感光性ポリマーを長寸法(long dimension)Lと短寸法(narrow dimension)Mを備えるように用意する。寸法Lは、図3および図4において距離X−Yと等しくなるようにする。距離X−Yは、テスト感光性ポリマー28とセンサアレイ18とに等距離であり、ホログラム1とセンサアレイ18とに等距離である。プロトタイプにおいて、高さ6cm、幅0.3mmの感光性ポリマー6を用いて干渉性光学材料30を作製した。しかしながら、後述するように処理および構造への配慮は、寸法MおよびLの実寸について主要な基準となる。
感光性ポリマー30の一端は、センサアレイと接触して配置され、他端は、X点でテスト感光性ポリマー28と隣接して配置されている(図4B)。したがって感光性ポリマー30の寸法Lはセンサアレイ18に対して垂直になる。
一対のレーザを付勢すると、共線ビーム16が炉にテスト感光性ポリマー28および感光性ポリマー30を通して投影される。感光性ポリマー30の出射側では、2つのレーザのうち短い波長のものが長い波長のものに対して横向きに移動され、この場合、2つのビーム20と22は、感光性ポリマー30を出て、2つの投影点24および26としてセンサアレイ18に当たる(図4B)。感光性ポリマー30をアレイ18に対して直交するその長寸法Lと置き換えることによって、2つのビームの投影点の変位がYにおいて測定されるが、これは、寸法XYが感光性ポリマー30の作動寸法となる寸法Mと等しいとされる場合に比べてより容易に測定可能である。
初めに、紫外光を使用して感光性ポリマー30を硬化させる。感光性ポリマー30が硬化すると、2つのビーム20および22の投影点24、26の中心の差異における逐次的変化をセンサアレイ18において測定できる。初めに、投影点24、26が互いに接近する。硬化処理を開始すると、投影点24、26が拡散を開始する。投影点24、26の距離が所望の拡散に近づき始めると、紫外光は消えて、炉を感光性ポリマー製造業者の推奨する温度に設定して消す。上述の通り、硬化処理は瞬間的な停止が不可能である。したがって、炉を予めしっかり消して、硬化処理が最終的に終了するときに、投影点24、26の中心において距離を測定するが、この距離は、第一ホログラム1によって生成される投影点の中心で測定する距離と同じであり、これによって感光性ポリマー30の屈折率を確立する。
この点において、2つのビーム20、22の投影点24、26の線形変位がテスト感光性ポリマー28と感光性ポリマー30との間の屈折率の変化によって扇形に変位し、線形変位と等しくなる。線形変位は、ビーム20、22と等しいかつ対向する扇形変位によって生じ、このビーム20、22は、すでに測定されたようにホログラム1によって回折されている。したがって、完成した光学装置では、第一ホログラム1と干渉性光学材料30との屈折率の変化により、波長依存性変形は、屈折角において屈折材料30によって誘発され、第一ホログラム1によって誘発される回折角における波長依存性変形と等しくかつ対向する。この場合、角は、入射光学ビームの各波長について相互に消去される。
図5のアッセンブリについて、達成可能となった。
干渉性光学材料(感光性ポリマー30)を寸法Mによって2つのホログラム1および2の間に挿入する。ホログラム1は、50%有効であり、干渉性光学材料についてその拝礼が安定している。レーザビームBは、修正入射角を有し、ホログラムの回折格子の示差屈折率と相互に干渉し合い、安定化されたホログラム1において方向づけられることによって、図5における2つの出射ビームp1およびp2を光学装置において生成する。34はホログラム偏向を示す。両ビームは、様々な角度で干渉性光学材料30を出す。ビームp1は、回折ビームを表す。
UV硬化接着剤を光学材料30または第二ホログラム2のいずれかの照射面に少量塗布する。第二ホログラム2は干渉性光学材料30に対して増大するため、既存のビームの光軸を中心として枢動させたままビームp1およびp2は結霜ガラスまたはCCD等ターゲット上の単一の斑点として配列する。次に、第二ホログラム2が横向きに調節される。第二ホログラム2が横向きに(寸法Mに垂直に)移動すると、ビームが光と暗線の間で変調することがわかる。斑点をさらに深く調査すると、2つのビームp1およびp2がターゲット上の2つの環として重なっていることがわかる。このことは、レンズを用いてビーム投影点を拡大することによって(眼球保護については通常の用心を払いながら)またはCCDとモニタとを接続することによって容易に達成可能である。
所望の状況とは、ビームp1およびp2の最大の重なりと最大の消去とが同時に達成することである。ビームp2は、第二ホログラム2によって回折され、ビームp1に比べてわずかに縁の透過力が強い傾向にある。これによって、重なりをそろえることが容易になるが、これは、実地において、ビームp1がわずかのハロー(halo)または「コロナ(corona)」をビームp2の周りに形成することによる。ビームp2によって、ビームが理想的な配列を施されたときおよびいつ最大の消去(破壊的干渉)が達成されたときを容易に知ることが可能である。このような調整は可能であるが、ビームの径は波長に対して大きく、またホログラムを横向きに調節することによってビームp2のその部分がビームp1より2分の1波長の整数倍分長く光路をとることによって、遮断が可能だからである。2つのビーム光路の間で必要な示差は、結合されたビームの径の範囲内で何度も発生する。したがって、第二ホログラムは、最適位置が選択されるまで数回の破壊ピークについて調節可能である。
オペーレータが最適条件の達成に満足すると、装置は全体として紫外線に照射されて接着剤を硬化する。各種の製造業者が、このような接着剤を作成し、理想的な硬化照射が使用接着剤の製造業者によって推奨される。
数回のピーク相殺の差異は、ビームの重なりという点で小さいため、装置の全体的な性能は、装置がビームの重なりという点ではなはだしく調整不良であるとしても最適条件の1パーセントの数分の一だけ変化する。また、相殺点が完全でなくても、再生ビームの入射角度のわずかの調整によってある程度まで修正できる。最大効率にあたって、第二ホログラム2の位置決めは、注意深く行うべきである。たとえば、本装置を強力レーザシステムにおける空間フィルタの口径として用いることになっている場合、当然重要なことは、できるだけ少ない出力(power)で構成を素通り(bypass)するか、構成によって吸収されるかのいずれかである。
第二ホログラム2の調節は、顕微鏡レベルの調節に使用されるようなマイクロマニピュレータによって達成可能である。別法として、圧電変換器(piezoelectric transducer)を適正に構成されたジグの部品として使用することがある。圧電変換器は、寸法を電界に比例して変化させる。ホログラム1と2および干渉性光学材料30を、永久的にその位置にクランプによってUV硬化接着剤の代わりとして固定可能である。
ホログラム1と2および干渉性光学材料30との関係によって、ビームを一時的に完全に消去したままであるとき、入射波長を最大2%変化させることが可能である。実際の輝度の消去は、完全とはいえないが、これは、ホログラム重合またはハロゲン化合物のコントラスト効率が完全ではないからである。
本装置によって、入射光の広域帯域を消去可能となることを、以下図5を参照して説明する。
入射光の波長は、寸法dxを長い波長のときはdxを大きくなるように変化させる。したがって、p1の光路長およびp2の光路長は、波長依存性である。dxの平均値を定めることによって、光路p1および光路p2との差異をレーザの平均波長の2分の1波長の整数倍分として設定することが可能である。その倍数を奇数、すなわち1、3、5、7等とすると、ビームp1およびp2は、消去する。さらに、p1とp2の差分が波長依存性であるdxによって定義されるため、p2の遅延が一定して2分の1波長に光学装置と相互に干渉し合うdxがビームp1とp2の径を越えないような範囲内にあるいずれの波長においても等しく設定可能であることがわかる。dxの平均値を定義してレーザの平均波長の2分の1波長の整数倍分として光路p1と光路p2の差を設定することは、第二ホログラム2を上述の通りわずかに調節することによって容易に達成できる。第二ホログラム2の補正位置決めが確立されると、波長ごとの個々の遅延は、その波長と比例して行われる。
寸法Mが重要となるのは、dxとどのように関連しているか、およびp1とp2との平均光路長差を定義することについてのみである。dxは自由に調節可能であるため、処理および構造の考慮が寸法Mの実寸における主要な基準となる。上述の通り、寸法Lは、距離XYによって定義され、単純に選択されて投影点が光センサアレイ18によって確実に十分に区別可能である。したがって、本装置を説明しやすくするために寸法MおよびLという符号を付しているだけである。たとえば、達成可能な装置は、寸法Mを0.05mmを最小として、1mmを最大にする構造であった。CCD光センサアレイは、プロトタイプの構造において使用され、十分な解像度を有し、寸法Lを10mm未満にすることが可能だが、実地では、どんな市販のカメラタイプのCCDアレイをこの寸法Lで使用してもよい。
再生ビームの側面への移動はビーム径に対してわずかであることに留意すべきである。第二ホログラム2からの2つのビームは、数パーセントの波長の変形によって波長が移動するということから定常に干渉し合う。再生ビーム角が変化すると、ホログラムによるビームの相互的干渉も変化する。角度が大きくなると、より多くの光が格子を相互に干渉し合うことなく通過する。これは、示差屈折率は、格子を定義し、光がフィルムの間欠(index)を1以上通過することによってズレを生じさせるからである。これは図1において明確に示される。この間欠は、光線の光路を通して平均化される実際の原子密度によって定義されているので、この密度は非常に小さな範囲で変化する。この結果、ビームを消去する蓋然性(probablity)は、ホログラムのピーク効率が定義する完全に最大からほぼランダムな分布を有する最小へ変化する。非消去(non-cancelled)条件における出射ビームは、偏光されたままであるが、コヒーレンスは、初期レーザ入射ビームから減少する。コヒーレンス損は、ほとんど問題にならない。ただし200万波長を越える長い範囲の投影を必要とする場合はこの限りではない。100万波長以内であれば、焦点を結ぶことによって、回折限界の妥当な近似値において達成可能である。
また、留意すべきは、初期ホログラムは波を回折光路または回折されない光路(ホログラムの重合された部分を通過する特定の光量のランダムな偶然(chance)にのみ依存する)を通過させるので、遅延されたビームの相当部分が、別の光路をとるコヒーレントなパートナーを欠落させた光量子からなると予測されることである。実地では、光量子のいわゆる量子的絡み合い(entanglement)はレーザ光源から放出され、任意のレーザ光源について、これまで考えられていたよりもはるかに多くの量にわたって延在している。これによって、光量子が装置を通過して自ら対になる選択を行うという予期せぬ傾向が見られる。遅延された光路をとったものと、短い光路をとったものである。この効果がなければ、上述の装置における消去の予測レベルは70%の程度となる。実際に計測された相殺は、98%以上であることは頻繁に生じる。
効果は、ある種の吸収よりむしろ消去に真に見られる。この決定は、周知の出力を有するレーザビームを遮断するために使用される素子の温度を測定することによって容易に行われる。ビームの輝度が、吸収によって減少する場合、素子の温度は、遮断されたエネルギーに比例して上昇する。一方、消去の場合、温度上昇は予測されない。注意深く測定することによって、このような温度上昇が生じることがわかり、このことは、ビーム輝度において98%減少することが実際に消去のみによるものであることを表す。
上述した光量子の絡み合いについて、室温での実験における実用的な最大消去は、ほぼ98%であることが知られてきた。このことは、調整された温度の適用範囲を向上させ、環境温度が10℃以上変化しなければならない場合には減少し得る。本装置によって、500mW以上の出力密度で安定させておくことが可能となり、観察された効果が正確な共線消去であることを証明する(効果が一部誤解を招く吸収の現象によるものである場合、出力は吸収され素子は上述のように溶解する)。
本光学装置は、ここで記載するように、純粋な実用的用途を供するものであり、高出力のレーザのための減衰器(attenuator)としての機能を奏す。単にシャッタに高出力のレーザビームを通すことはできない。ビームは単に噴射するだけであるからである。上述の装置は任意の出力のレーザビームを遮断し、その輝度を98%減少し、それ自体エネルギーを吸収しない。実用的な実験では、500mWのビームを用いて行われた。ビームの出力密度は、312W/cm2であり、温度変化は入射出力のわずか0.1パーセントと同等であった。
光学装置の別の簡単な用途は、空間フィルタの生成である。従来の空間フィルタは、ピンホールからなり、このピンホールを通して、レーザが投影される。ホールの円周は、レーザビームの全出力を受けるので、ホールは、短時間に噴射(burnacross)する傾向にある。この課題を克服するために、上述の発明に記載の光学装置は、特定のレーザおよびそれに穿孔されたピンホールについて達成可能である。レーザビームが、従来のピンホールのようにホールの縁で放射を吸収するよりむしろピンホールにおいて方向づけられ、すべての光は、ピンホールを通過できず単に消去される。
また、本願発明の光学装置によって、無色光学レンズ構造が可能になり、この場合、レンズはホログラムの回折格子と、屈折素子とを含む本願明細書に開示されるような相互関係にある。実地において、単一のホログラム/屈折レンズでは、光学スペクトル全体を網羅できない。しかしながら、このような群の装置であれば、工学スペクトル全体を網羅できる。感光性ポリマーを前述のように使用することは、現在のところ本願発明を実施する好適な方法ではないが、これは、その他の方法で行ってもよい。
撮像タイプの金属ベースの乳剤、たとえばハロゲン化銀を使用してホログラムを構成してもよい。しかしながら、光学装置の効率は、ハロゲン化銀のホログラムを利用するとかなり減退し、感光性ポリマーのホログラムおよび低出力のレーザを利用して実現されるものと同じ優れた結果を達成するためにははるかに強力なレーザが必要となる。乳剤を感光性ポリマーと共同して使用してホログラム効率を設定する際に乳剤の粒子サイズを調整してもよい。または、ホログラム素子を形成する際に乳剤層の写真の露光または撮像マスターから生成された圧力素子を用いてもよい。
本願発明において、上述のように一対のホログラム回折格子の使用について記載してきた。原則的に、本願発明の利益を選択された屈折率の中間部材によって分割された様々なタイプの回折格子(またはその他光学的散乱element)を用いて達成することが可能である。
また、変形させることによって上述の実施形態を本願発明の範囲内において達成してもよい。
Claims (13)
- 光学部品の製造方法であって、
第1ホログラムと第2ホログラムを供給するステップと、
第1感光性ポリマーを供給するステップと、
前記第1感光性ポリマーの屈折率が所定の屈折率に達するまで重合することによって前記第1感光性ポリマーの屈折率を調節するステップと、
前記光学部品を形成するために前記第1ホログラムと前記第2ホログラムとの間に重合された第1感光性ポリマーを挿入するステップと、
を備え、
上記所定の屈折率は、2つの回折ビームがホログラムを異なる角度で送出するように、本質的に2つの異なる波長からなる共線光の混合ビームの範囲内で前記ホログラムの一方を位置決めすると共に、前記ホログラムの一方から予め決められた距離における前記2つの回折ビームの投影点の中心間の距離を測定することにより決定される、
光学部品の製造方法。 - 前記第1及び第2ホログラムは、それぞれ同じ回折格子及び同じ屈折率を有し、
前記第1ホログラムは前記第2ホログラムの半分の効率を有している、請求項1に記載の光学部品の製造方法。 - 前記第1感光性ポリマーの屈折率は、
a)前記1つのホログラムと、前記第1感光性ポリマーと、複数の前記ホログラムの平均屈折率を有する第2感光性ポリマーとを構成する機構を創造するステップと、
b)2つの屈折させられたビームと2つの対応した照射位置とを作り出すために前記機構を前記混合ビームにさらすステップと、
c)前記2つの屈折させられたビームの間の距離を変えるためにポリメリーゼーションによって前記第1感光性ポリマーの屈折率を変えるステップと、
d)前記屈折させられたビームの投影位置が前記2つの回折させられたビームの投影位置と同じ位置の時にポリメリーゼーションを停止するステップと、
によって調整される、
請求項1に記載の光学部品の製造方法。 - a)前記ホログラムのいずれか1つを、本質的に2つの異なる波長からなる共線光を有する混合ビームの光路において、2つの回折ビームがホログラムを異なる角度で送出してホログラムの出射側からの距離Lで光センサアレイに投影するように位置決めするステップと、
b)2つの回折ビームの投影点の距離を測定するステップと、
c)選択された初期屈折率およびLに等しい長寸法を有する前記第1感光性ポリマーを提供するステップと、
d)前記ホログラムと同じ平均屈折率を有する第2感光性ポリマーを提供するステップと、
e)前記混合ビームに対して、ホログラム位置で前記第2感光性ポリマーを置き換えるステップと、
f)前記第1感光性ポリマーを、その長寸法Lがアレイに対して直交するように、光センサアレイと第2感光性ポリマーとの間に位置決めするステップと、
g)前記混合ビームを活性化させて2つの屈折ビームが前記第1感光性ポリマーから前記アレイに投影するステップと、
h)第1感光性ポリマーの屈折率を屈折ビームの投影点間の距離が変化するように重合して調節するステップと、
i)屈折ビームの投影点間の変位が回折ビームの投影点間の変位を測定するときと同じ方法で測定する点において重合を停止させるステップと、
j)前記第2感光性ポリマーを除去し、これを前記第1ホログラムに固定させるステップと、
k)前記第2ホログラムを第1感光性ポリマー面で第1ホログラムに対向させて位置決めするステップと、
l)2つの出射ビームが前記第2ホログラムによって生成されるように、中心波長の周りに波長を狭く拡散させる入射光学ビームを前記第1ホログラムにおいて方向づけるステップと、
m)前記第2ホログラムを、出射ビームが最大に重なり最大消去の位置を達成するまで調節するステップと、
n)前記第2ホログラムを前記第1感光性ポリマーに前記調節位置において固定するステップと、
を有する、
請求項2に記載の光学部品の製造方法。 - 第一および第二のホログラムと、選択された屈折率を有する干渉性光学材料とを含み、各ホログラムは、同一の回折格子を有し、第一と第二のホログラムがともに同一の波長依存性回折角を誘発し、各ホログラムは、同一の平均屈折率を有し、前記第一ホログラムは、前記第二ホログラム効率の半分の効率を有し、前記第二ホログラムは、前記干渉性光学材料によって第一ホログラムと平行にかつ間隔を置いて位置決めされ、その構成は、入射光学ビームが中心波長の周りに波長を狭く拡散させ、所定の角度で第1ホログラムに入射する場合、ビームは2本のビームに分割され、2本のビームが干渉性光学媒体を掃引して、異なる角度で第二ホログラムに入射し、共線光路によって第二ホログラムを流出するような構成であって、共線光路は、入射波長および位相のすべてについて前記入射光学ビームの少なくとも1%プラスマイナスの中心波長を有する帯域幅にわたって2分の1波長の整数倍分異なる光学装置。
- 前記第一ホログラムが約50%の効率を有し、前記第二ホログラムが95%以上の効率を有する、請求項5に記載の光学装置。
- 請求項5又は6のいずれかに記載の光学装置と、前記光学装置に入射光学ビームを方向づけるレーザとを含む装置。
- 光学装置が、光学装置の屈折面および回折面に対して、入射光学ビームの角度の変形である入射ビームについて回転自在に取付けられた、請求項7に記載の装置。
- 請求項5に記載の光学装置を製造する方法であって、
a)第一および第二のホログラムを提供するステップであって、各ホログラムは、同一の回折格子を有し、第一と第二のホログラムがともに同一の波長依存性回折角を誘発し、各ホログラムは、同一の平均屈折率を有し、前記第一ホログラムは前記第二ホログラム効率の半分の効率を有するステップと、
b)前記ホログラムのいずれか1つを、本質的に2つの異なる波長からなる共線光を有する混合ビームの光路において、2つの回折ビームがホログラムを異なる角度で送出してホログラムの出射側からの距離Lで光センサアレイに投影するように位置決めするステップと、
c)2つの回折ビームの投影点の距離を測定するステップと、
d)選択された初期屈折率およびLに等しい長寸法を有する第一の感光性ポリマーを提供するステップと、
e)前記ホログラムと同じ平均屈折率を有する第二の感光性ポリマーを提供するステップと、
f)前記混合ビームに対して、ホログラム位置で前記第二の感光性ポリマーを置き換えるステップと、
g)前記第一の感光性ポリマーを、その長寸法Lがアレイに対して直交するように、光センサアレイと第二の感光性ポリマーとの間に位置決めするステップと、
h)前記混合ビームを活性化させて2つの屈折ビームが前記第一の感光性ポリマーから前記アレイに投影するステップと、
i)第一の感光性ポリマーの屈折率を屈折ビームの投影点間の距離が変化するように重合して調節するステップと、
j)屈折ビームの投影点間の変位が回折ビームの投影点間の変位を測定するときと同じ方法で測定する点において重合を停止させるステップと、
k)前記第二の感光性ポリマーを除去し、これを前記第一ホログラムに固定させるステップと、
l)前記第二ホログラムを第一の感光性ポリマー面で第一ホログラムに対向させて位置決めするステップと、
m)2つの出射ビームが前記第二ホログラムによって生成されるように、中心波長の周りに波長を狭く拡散させる入射光学ビームを前記第一ホログラムにおいて方向づけるステップと、
n)前記第二ホログラムを、出射ビームが最大に重なり最大消去の位置を達成するまで調節するステップと、
o)前記第二ホログラムを前記第一の感光性ポリマーに前記調節位置において固定するステップと、
を含む光学装置の製造方法。 - 光学装置を使用して連続的に消去された共線ビームを、あらゆる入射波長および位相に入射光学ビームの少なくとも1%プラスマイナスの光源中心波長の帯域幅で生成する方法であって、
a)請求項7に記載の装置を提供するステップと、
b)前記レーザを付勢し、レーザ出力ビームを前記光学装置に当てるように方向づけるステップと、
c)前記光学装置を位置決めして光学装置の屈折面および回折面に対して入射ビームの角度を、最大消去位置を達成するまで変位させるステップと、
を含む方法。 - 連続的に消去された共線ビームを、あらゆる入射波長および位相に入射光学ビームの少なくとも1%プラスマイナスの光源中心波長の帯域幅で生成する方法であって、
a)第一および第二のホログラムを提供するステップであって、各ホログラムは、同一の回折格子を有し、第一と第二のホログラムがともに同一の波長依存性回折角を誘発し、各ホログラムは、同一の平均屈折率を有し、前記第一ホログラムは前記第二ホログラム効率の半分の効率を有するステップと、
b)前記ホログラムのいずれか1つを、本質的に2つの異なる波長からなる共線光を有する混合ビームの光路において、2つの回折ビームがホログラムを異なる角度で送出してホログラムの出射側からの距離Lで光センサアレイに投影するように位置決めするステップと、
c)2つの回折ビームの投影点の距離を測定するステップと、
d)選択された初期屈折率およびLに等しい長寸法を有する第一の感光性ポリマーを提供するステップと、
e)前記ホログラムと同じ平均屈折率を有する第二の感光性ポリマーを提供するステップと、
f)前記混合ビームに対して、ホログラム位置で前記第二の感光性ポリマーを置き換えるステップと、
g)前記第一の感光性ポリマーを、その長寸法Lがアレイに対して直交するように、光センサアレイと第二の感光性ポリマーとの間に位置決めするステップと、
h)前記混合ビームを活性化させて2つの屈折ビームが前記第一の感光性ポリマーから前記アレイに投影するステップと、
i)第一の感光性ポリマーの屈折率を屈折ビームの投影点間の距離が変化するように重合して調節するステップと、
j)屈折ビームの投影点間の変位が回折ビームの投影点間の変位を測定するときと同じ方法で測定する点において重合を停止させるステップと、
k)前記第二の感光性ポリマーを除去し、これを前記第一ホログラムに固定させるステップと、
l)前記第二ホログラムを第一の感光性ポリマー面で第一ホログラムに対向させて位置決めするステップと、
m)2つの出射ビームが前記第二ホログラムによって生成されるように、中心波長の周りに波長を狭く拡散させる入射光学ビームを前記第一ホログラムにおいて方向づけるステップと、
n)前記第二ホログラムを、出射ビームが最大に重なり最大消去の位置を達成するまで調節するステップと、
o)前記第二ホログラムを前記第一の感光性ポリマーに前記調節位置において固定するステップと、
からなる生成方法。 - 請求項5に記載の光学装置を製造する方法であって、
a)第一および第二のホログラムを提供するステップであって、各ホログラムは、同一の回折格子を有し、第一と第二のホログラムがともに同一の波長依存性回折角を誘発し、各ホログラムは、同一の平均屈折率を有し、前記第一ホログラムは前記第二ホログラム効率の半分の効率を有するステップと、
b)選択された屈折率を有する干渉性光学材料を提供するステップであって、干渉性光学材料の屈折率は、屈折の波長依存性角が干渉性光学材料によって誘発されて、前記波長依存性角が、2つの角が光のいずれの所定の波長について消去するようにホログラムによって誘発された波長依存性回折角と等しくかつ対向する、ステップと、
c)ホログラムを前記干渉性光学材料の対向する側に固定するステップであって、光学装置は、入射光学ビームが中心波長の周りに狭い拡散の波長と前記装置に対する所定の入射角度を有する場合、前記光学ビームの少なくとも1%プラスマイナスの中心波長を有する帯域幅にわたって入射波長すべてについて位相消去共線ビームを生成するステップと、を含む、
光学装置の製造方法。 - 入射光学ビームの消去程度は、入射角が変化し消去について選択された割合を有する出射ビームを生成するように、前記光学装置を入射光学ビームに対して回転させることによって可変である、請求項8に記載の装置。
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