JPH07104647A - ホログラム形成方法及び装置 - Google Patents

ホログラム形成方法及び装置

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JPH07104647A
JPH07104647A JP5271224A JP27122493A JPH07104647A JP H07104647 A JPH07104647 A JP H07104647A JP 5271224 A JP5271224 A JP 5271224A JP 27122493 A JP27122493 A JP 27122493A JP H07104647 A JPH07104647 A JP H07104647A
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JP
Japan
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hologram
light
hologram forming
wave
reference wave
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JP5271224A
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English (en)
Inventor
Takashi Genma
隆志 玄間
Akihiro Goto
明弘 後藤
Yutaka Ichihara
裕 市原
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Nikon Corp
Original Assignee
Nikon Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ホログラム形成時の干渉性を保ったまま、ス
ペックルノイズの低減を図ることを可能にしたホログラ
ム形成方法並びに装置を提供すること。 【構成】 空間コヒーレンスの低い光束を物体波用光束
と参照波用光束とに分割して個別にホログラム形成位置
に導くに際し、両光束の光路長を等しく構成し、両光束
の照射面同士が分割前の光束の同一断面を構成すると共
に、その断面内各部の位置関係を維持して互いに対応す
るように導いて、これらの両分割光束を干渉させてホロ
グラム干渉縞を作製すること。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、ホログラフィ技術を
用いた画像記録再生手段におけるホログラムの形成方法
及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ホログラフィ技術は、物体の画像を干渉
縞の形で記録し、この干渉縞に所定の再生波を照射して
物体の像を再生する技術である。従来のホログラフィ技
術は、3次元情報の記録再生技術として広く知られてい
るが、近年では、例えば画像メモリー、情報処理、リソ
グラフィなど2次元画像の記録再生技術としての応用も
注目されている。
【0003】ホログラフィ技術におけるホログラムの記
録時には、干渉作用により情報を記録するため、十分な
可干渉性を持った光束が必要であり、一般にはレーザ光
が用いられている。そして、レーザ光のように可干渉性
が良い光束を用いると、簡単な光学系で干渉縞を記録す
ることが出来る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、干渉縞が形成
しやすい反面、可干渉性が良すぎることから、光学系に
傷、ゴミなどの散乱源があると、ここで生じた散乱光に
よるノイズ(スペックル)が発生する場合がある。これ
らのスペックルノイズの影響により、照射面にスペック
ルパターンに基づく強度ムラ等が生じ、ホログラム記録
時に生じたスペックルの悪影響が記録情報に重畳し、そ
の質を著しく低下させる問題が生ずる。
【0005】スペックルノイズは、レーザ光のようなコ
ヒーレントな光源を用いている限り避けることの出来な
い宿命的なノイズといえるが、ホログラフィ技術は干渉
作用を応用する技術であることから、インコヒーレント
な光源をそのまま用いることができない場合が多い。
【0006】例えば、インコヒーレントな光源として水
銀ランプのi線を用いるとすると、i線スペクトルのコ
ヒーレンス長は25μm程度である。このため、これを光
源としてホログラムを記録しようとすると、物体光路と
参照光路との光路長差を25μm以内で一致させなければ
ならないことになるが、実際の装置の光路にこの精度を
要求することは不可能である。
【0007】本発明は上記のような問題に着目してなさ
れたものであり、ホログラム形成時の干渉性を保ったま
ま、スペックルノイズの低減を図ることを可能にしたホ
ログラム形成方法並びに装置を提供することを目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的達成のため、本
願請求項1に記載した発明では、物体で回折された物体
波と参照波とを干渉させて生じた干渉縞により前記物体
の像のホログラムを作製するホログラム形成方法におい
て、空間コヒーレンスの低い光束を物体波用光束と参照
波用光束とに分割し、これらを個別にホログラム形成位
置に導くに際し、前記分割位置からホログラム形成位置
までの前記分割された両光束の光路長差を前記光束の可
干渉範囲内となるように構成し、前記ホログラム形成位
置における前記分割された両光束の照射面同士が、分割
前の光束の同一断面を構成すると共に、その断面内各部
の位置関係を維持して互いに対応するように導いて、こ
れらの両分割光束を干渉させてホログラム干渉縞を作製
することを特徴とするホログラム形成方法を提供する。
【0009】本願請求項2に記載した発明では、請求項
1に記載したホログラム形成方法であって、ホログラム
形成面と平行に配設された回折格子からの回折光を用い
てホログラム形成位置に照明光を斜入射させることを特
徴とするものである。
【0010】本願請求項3に記載した発明では、請求項
2に記載したホログラム形成方法であって、ホログラム
形成面と平行に配設された回折格子からの回折光を用
い、三角プリズムを介してホログラム形成位置に参照波
を斜入射させると共に、参照波用光束の光軸に沿う断面
が前記プリズムと対称な形状の第二のプリズムを介して
前記回折光を入射させることを特徴とする。
【0011】一方、本願請求項4に記載した発明では、
物体で回折された物体波と参照波とを干渉させて生じた
干渉縞により前記物体の像のホログラムを作製するホロ
グラム形成装置において、レーザ光源と、このレーザ光
源からの光束を集光させる集光手段と、ここで集光され
た光束の断面内各部における位相がランダムになるよう
に位相変調させる位相変調素子と、前記位相変調された
光束を物体波用光束と参照波用光束とに分割する光路分
割手段と、ここで分割された光束を夫々ホログラム形成
位置に導く物体波用光学系と参照波用光学系とを備え、
前記物体波用光学系と参照波用光学系とが、前記ホログ
ラム形成位置までの互いの光路長差が前記光束の可干渉
範囲内に構成されており、前記ホログラム形成位置にお
ける両光束の照射面同士が、分割前の光束の断面内各部
の位置関係を維持して互いに対応するように各々の光束
を導くものであることを特徴とするホログラム形成装置
を提供する。
【0012】請求項5に記載した発明では、請求項4に
記載したホログラム形成装置であって、前記物体波用光
学系と参照波用光学系の何れか一方もしくは双方の光路
上に、ホログラム形成面と平行に配設された回折格子を
備え、この回折格子からの回折光によりホログラム形成
位置を照射することを特徴とする。
【0013】また、本願請求項6に記載した発明では、
ホログラム記録媒体と三角プリズムとを密着させて配設
し、この三角プリズムを介して参照波を照射すると共
に、ホログラム記録媒体内で参照波を全反射させ、この
参照波と物体で回折された物体波とを干渉させて前記物
体の像のホログラムを形成させる全反射ホログラフィを
用いたホログラム形成装置であって、ホログラム形成面
と平行に配設された回折格子と、参照波用光束の光軸に
沿う断面が前記プリズムと対称な形状の第二のプリズム
とを備え、前記回折格子からの回折光束を、前記第二の
三角プリズムを介してホログラム形成位置に斜入射させ
ることを特徴とする全反射ホログラム形成装置を提供す
る。
【0014】請求項7に記載した発明では、請求項6に
記載した全反射ホログラム形成装置であって、レーザ光
源と、このレーザ光源からの光束を集光させる集光手段
と、ここで集光された光束の断面内各部における位相が
ランダムになるように位相変調させる位相変調素子と、
前記位相変調された光束を物体波用光束と参照波用光束
とに分割する光路分割手段と、ここで分割された光束を
夫々ホログラム形成位置に導く物体波用光学系と参照波
用光学系とを備え、前記物体波用光学系と参照波用光学
系とは、前記ホログラム形成位置までの互いの光路長差
が前記光束の可干渉範囲内に構成され、分割前の光束の
断面内各部の位置関係を維持したまま夫々の光束の断面
内各部が、ホログラム形成位置で互いに対応するように
光束を導くものであり、参照波用光学系の光路中には、
ホログラム形成面と平行に配設された回折格子と、参照
波用光束の光軸に沿う断面が前記プリズムと対称な形状
の第二のプリズムとを備え、前記回折格子からの回折光
束を、前記第二の三角プリズムを介してホログラム形成
位置に斜入射させることを特徴とする。
【0015】
【作用】本発明は上記のように構成されているため以下
の作用を奏する。まず、本発明に係るホログラム形成方
法では、物体で回折された物体波と参照波とを干渉させ
て生じた干渉縞により前記物体の像のホログラムを作製
するホログラム形成方法において、空間コヒーレンスが
低い光束を用いることによりスペックルパターンの発生
を防止するとともに、この光束による干渉性を維持した
状態でホログラム形成面に物体波と参照波を導くこと
で、ホログラムを構成する干渉縞を形成するものである
ことが特徴的である。
【0016】ここで、本発明に用いる空間コヒーレンス
の低い光束は、時間コヒーレンスは高いものであること
が好ましい。即ち、インコヒーレントで時間コヒーレン
スも空間コヒーレンスも低い光束であれば、本来的なホ
ログラム形成のために必要な干渉性までもが失われてし
まう問題があるが、時間コヒーレンスが高い光束であれ
ば空間コヒーレンスが低くても、干渉性が低くなるだけ
である。
【0017】ホログラム形成のための可干渉性の範囲
は、物体波と参照波の光路差(時間的)に関する可干渉
範囲と、光束断面内における部分的(空間的)な可干渉
性の範囲とが存在するが、光束断面内において全体の空
間コヒーレンスの低い光束であれば、この双方の干渉性
が低くなる。
【0018】即ち、従来のようにコヒーレントなレーザ
光等を光源とする場合には、空間的にも時間的にもコヒ
ーレンスが高いので、光路差や光束断面内の位置関係等
には大きな注意を払う必要がなかったのが実情であっ
た。
【0019】本発明では、使用する光束の空間コヒーレ
ンスが低いことから、レーザ光に比べて干渉性の低い光
束であるのでスペックルパターンの発生は防止できる
が、ホログラム形成のための干渉性を維持する必要があ
る。
【0020】このために、本発明では、空間コヒーレン
スの低い光束を物体波用光束と参照波用光束とに分割
し、これらを個別にホログラム形成位置に導くに際し、
前記分割位置からホログラム形成位置までの前記分割さ
れた両光束の光路長差を前記光束の可干渉範囲内となる
ように構成し、前記ホログラム形成位置における前記分
割された両光束の照射面同士が、分割前の光束の同一断
面を構成すると共に、その断面内各部の位置関係を維持
して互いに対応するように導いて、これらの両分割光束
を干渉させてホログラム干渉縞を作製するものとしてい
る。
【0021】即ち、空間コヒーレンスの低い光束であっ
ても、光束断面内各部での部分的な光束群と考えれば、
これらの部分的な単位光束のみを考慮すると、十分に干
渉性を有するものである。このため、これらの単位光束
が分割された後、ホログラム形成位置において互いに同
じ位置に対応して照射されるようにすれば、これらの両
分割単位光束同士は十分な干渉性を持つこととなる。
【0022】言い換えると、本発明におけるホログラム
形成位置に照射される物体波と参照波とは、各々照射面
内の各部分において、時間的にも空間的にも等価な単位
光束同士が対応して照射されることとなるので、互いに
十分な干渉性を持つものとなる。
【0023】このため、本発明にかかる物体波と参照波
とは、光束全体同士を単純に比較すれば干渉性は低いも
のであるが、ホログラム形成位置においては、照射面内
の各部で十分な干渉性を持つ光束同士の集合と考えられ
るので、これらの相互の干渉作用により干渉縞を照射面
全域で構成し、物体の像のホログラムを記録することが
できるものとなっている。
【0024】なお、ホログラム形成位置におけるホログ
ラム面は、物体波並びに参照波の照射面(相互の干渉縞
が生じる面)となるが、夫々の照射光軸とホログラム面
とが直交する場合には、分割前の光束の断面として光軸
に対する直交断面を選択し、これと照射面とが同一のも
のとなるように各々の光束を導けば良い。
【0025】一方、物体波並びに参照波の双方がホログ
ラム面に対して直交以外の角度で斜めに入射する場合
(斜入射)、双方のホログラム面への入射角度が同一で
ある場合には、その傾き角度に応じた分割前の光束の断
面(光軸に対して斜めの断面)内での対応を考慮すれば
良い。
【0026】本願請求項2に記載した発明では、ホログ
ラム形成面と平行に配設された回折格子からの回折光を
用いてホログラム形成位置に照明光を斜入射させること
を特徴とするため、回折格子に入射する際の照射面が維
持されて、ホログラム面に達することとなる。
【0027】この斜入射手段は、参照波光学系に限らず
物体波光学系を含めたその他の光学系に応用できるもの
であるが、特に参照波と物体波のうち一方が垂直入射で
他方が斜入射の場合には、斜入射側の光学系に本発明を
応用することにより、照射面内の位置関係として、分割
前の垂直断面を維持しつつ、ホログラム形成位置に斜め
に入射させることができるものとなる。
【0028】本願請求項3に記載した発明では、ホログ
ラム形成面と平行に配設された回折格子からの回折光を
用い、三角プリズムを介してホログラム形成位置に参照
波を斜入射させると共に、参照波用光束の光軸に沿う断
面が前記プリズムと対称な形状の第二のプリズムを介し
て前記回折光を入射させるため、光束の断面内の各部に
おいて、ホログラム面に達するまでに透過するプリズム
基材内の光路長が等しくなるように構成されている。
【0029】これは、ホログラム記録媒体内での全反射
光を利用してホログラムを形成するいわゆる全反射ホロ
グラフィ法で、三角プリズムの短辺上にホログラム記録
媒体を載置して、プリズム側から参照波を斜入射させて
照射する場合に特に有効である。即ち、三角プリズムを
介して照射すると、照射光束の断面内の部分によりプリ
ズム内を透過する光路長が異なるため、照射面における
位相や光路が部分的に変化してしまう。
【0030】コヒーレントなレーザ光をそのまま使用す
る場合には、照射光の可干渉性が高いため、この程度の
光路差や位相ずれが問題とならなかったが、本発明では
可干渉性が低いので、部分的なずれにより干渉縞が生じ
なくなる恐れがある。このような場合に、本発明の第二
のプリズムをその光路中に設けることで、光束断面内各
部での影響を均一化させる補正を行うことができる。な
お、例えば参照波の光路中にこれらのプリズムを設けた
場合には、物体波の光路についてもこれらの影響を考慮
した光路長や位相等を調整することが好ましい。
【0031】以上の本発明にかかる方法に使用する光源
は、空間コヒーレンスの低い光束を生じさせる光源手段
であれば良く、以下に記載した本発明にかかる装置を利
用することなく本発明にかかる方法を実施することがで
きる。
【0032】次に、本願請求項4に記載した発明は、物
体で回折された物体波と参照波とを干渉させて生じた干
渉縞により前記物体の像のホログラムを作製するホログ
ラム形成装置であって、スペックルパターンの影響を排
除したホログラムを形成できるものとなっている。
【0033】この発明では、光源としてレーザ光源を用
いているため、本来的な光源光束(一次光源光束)は極
めて干渉性の高い光束であり、空間コヒーレンスも時間
コヒーレンスも高いものである。この一次光束を位相変
調素子を介することにより空間コヒーレンスのみを下
げ、物体波並びに参照波に利用する。
【0034】言い換えると、位相変調素子上の集光スポ
ットを二次光源として利用するものであり、波長域はレ
ーザ光の発振波長同様に狭い(時間コヒーレンスが高
い)ものでありながら、空間コヒーレンスのみが低い光
源となる。この二次光源からの光束を物体波並びに参照
波に利用することにより、スペックルパターンの発生を
抑えると共に色収差の発生も防止されるものとなる。
【0035】この二次光源からの光束は、光路分割手段
により物体波用光束と参照波用光束とに分割され、各々
物体波用光学系と参照波用光学系とを介してホログラム
形成位置に導かれる。
【0036】物体波用光学系と参照波用光学系とは、前
記ホログラム形成位置までの互いの光路長差が前記光束
(二次光源からの光束)の可干渉範囲内に構成されてお
り、前記ホログラム形成位置における両光束の照射面同
士が、分割前の光束の断面内各部の位置関係を維持して
互いに対応するように各々の光束を導く。
【0037】このため、ホログラム形成位置における照
射面同士の各部分において、分割前の同一断面内の各部
が対応しているので、時間的にも空間的にも等価な光束
同士が対応して照射されることとなり、互いに十分な干
渉性を持つものとなる。
【0038】なお、本発明における位相変調素子は、空
間コヒーレンスを下げる効果のある手段であれば良く、
光束の断面内各部における位相がランダムに変化するよ
うに位相変調させる素子であれば、特に限定されるもの
ではない。一例を挙げれば、拡散板や音響工学素子、導
波路デバイス等の応用手段が考えられるが、拡散板を利
用する場合には、回転拡散板を用いることが好ましい。
【0039】以上のように本発明では、コヒーレント光
であるレーザ光を、回転拡散板等のランダム位相変調素
子上に集光し、これを2次光源とすることで、空間コヒ
ーレンスのみが低くなった光束を利用しているため、ス
ペックルの影響が低減されたホログラムが形成できる。
【0040】この2次光源から生じる光束は、空間的に
コヒーレントではないので、有限の可干渉距離をもつも
のとなるが、物体波用光学系と参照波用光学系とが上記
のように構成されているので、ホログラム形成位置の各
部において、ホログラム形成に十分な干渉性が保持され
ている
【0041】なお、上記のような位相変調素子を用いた
場合、そこから生ずる光束の可干渉距離は2次光源の大
きさにより可変である。このため、二次光源の大きさを
変更する手段を設ければ、使用する装置や要求される精
度等に応じた所望の可干渉性を実現することが出来る。
【0042】さらに、ホログラム形成位置における照射
面同士の各部分において分割前の同一断面内の各部を対
応させるためには、装置の光学系の設計条件等に応じ
て、光路長調整機構、角度調整機構、ガラス厚調整機
構、ビーム左右反転機構等の調整手段を用い、物体波と
参照波とが干渉するように光学系を構成させれば良い。
【0043】請求項5に記載した発明では、前記物体波
用光学系と参照波用光学系の何れか一方もしくは双方の
光路上に、ホログラム形成面と平行に配設された回折格
子を備え、この回折格子からの回折光によりホログラム
形成位置を照射する。
【0044】本発明では、回折格子での回折作用を利用
して光路を折り曲げるものであり、回折格子に照射され
た照射面は維持されたまま、ホログラム形成面に達する
ものとなっている。なお、回折格子の設計条件は、使用
する波長並びに斜入射角度に応じて決定すれば良い。
【0045】本願請求項6に記載した発明では、ホログ
ラム記録媒体と三角プリズムとを密着させて配設し、こ
の三角プリズムを介して参照波を照射すると共に、ホロ
グラム記録媒体内で参照波を全反射させ、この参照波と
物体で回折された物体波とを干渉させて前記物体の像の
ホログラムを形成させる全反射ホログラフィを用いたホ
ログラム形成装置に関するものである。
【0046】この装置では、ホログラム形成面と平行に
配設された回折格子により、回折作用を利用して光路を
折り曲げてホログラム形成位置に参照波を斜入射させる
ので、参照波の回折格子への照射面がホログラム形成位
置(ホログラム面)に維持されて照射される。
【0047】さらに、参照波用光束の光軸に沿う断面が
前記プリズムと対称な形状の第二のプリズムを備えてい
るため、前記三角プリズム内を透過する参照波の光束断
面内各部でのプリズム内の透過光路長の相違が補正され
る。
【0048】次に、請求項7に記載した発明では、全反
射ホログラム形成装置に本願に係る発明を応用したもの
であり、レーザ光源と集光手段並びに位相変調素子によ
り、空間コヒーレンスの低い光束を得る。この位相変調
素子上の集光スポットを二次光源として使用し、光路分
割手段により分割された光束を物体波用光学系と参照波
用光学系とによりホログラム形成位置にこれらの光束を
導く。
【0049】物体波用光学系と参照波用光学系とは、ホ
ログラム形成位置までの互いの光路長差が前記光束の可
干渉範囲内に構成されているため、時間的な干渉性は維
持されている。さらに、分割前の光束の断面内各部の位
置関係を維持したまま夫々の光束の断面内各部が、ホロ
グラム形成位置で互いに対応するように光束を導くもの
であるため、空間的な干渉性も十分なまま夫々の光束が
照射される。
【0050】ここで、参照波用光学系の光路中には、ホ
ログラム形成面と平行に配設された回折格子と、参照波
用光束の光軸に沿う断面が前記プリズムと対称な形状の
第二のプリズムとを備え、前記回折格子からの回折光束
を、前記第二の三角プリズムを介してホログラム形成位
置に斜入射させるものであるため、物体波の照射面を回
折格子上の照射面と合致させることで、参照波のホログ
ラム形成位置への照射面も同一の位置関係を保持し、且
つ照射面内各部の光束が同一の光路長でホログラム形成
位置に照射される。
【0051】このように本願に係る発明では、レーザ等
のコヒーレントな光源を使用する限り避けることの出来
なかったスペックルノイズを低減し、良質な画像を記録
再生することが出来るものとなっている。
【0052】ここで、空間コヒーレンスの低い光束によ
りスペックルの影響を低減する手段について説明する。
【0053】上記のように、本発明では、二次光源とし
て位相変調素子上の集光スポットを応用しており、この
集光スポットからの光束は断面内各部での位相がランダ
ムとなる。例えば、位相変調素子として拡散板を用いる
と、この集光スポットからの光束は、スポット内の各部
の位相がランダムなものとなる。
【0054】ここで、本発明の照明光学系では、集光ス
ポット位置に焦点が位置合わせされたコリメータレンズ
を備えた、所謂ケーラー照明系を構成することが好まし
く、光路分割後には可干渉性を下げる要因となるので、
レンズ等の光学系は設けないことが好ましい。
【0055】そして、位相変調素子上での集光スポット
を有限の大きさを持つものとすると、集光スポット位置
に焦点を有するコリメーターレンズを介して散乱光束を
ホログラム形成位置に導くことにより、ホログラムに照
射される物体波並びに参照波は、角度幅を持つものとな
る。
【0056】即ち、本発明の集光スポットの大きさは、
ホログラムの大きさや要求される解像度等により異なる
ものであるが、この集光スポット上の各点から散乱光が
生じるため、この集光スポットが点光源の集団からなる
二次光源と考えることができる。このため、ホログラム
形成位置に照射される物体波並びに参照波は、二次光源
の各点光源からの照射光束の集団となるので、照射角度
が各点光源の光軸からの距離に応じて異なるものとな
り、結果として照射光の角度幅が集光スポットの大きさ
に依存することとなる。
【0057】このため、集光スポットからの光束は、光
軸をホログラム形成のための照射角度に合致させること
で、物体照明光の照射角度(一般には、物体に垂直)並
びに参照波の入射角度(干渉縞形成のための照射角度)
を中心として角度幅を持つ光束となる。
【0058】ここで、ホログラム形成位置に対し、単純
にコヒーレント光束からなる物体波もしくは参照波の入
射角度を変更すると、スペックルパターンも移動するだ
けでスペックルノイズ自体は除去できない。しかし、物
体波や参照波が角度幅を持って照射されれば、個々の入
射角度に対するスペックルパターンが平均化され、結果
としてスペックルノイズの悪影響が生じないものとな
る。
【0059】又、このような角度幅を持つ光束により形
成されたホログラムは、個々の入射角を持つ光束に従う
干渉縞の合成となるので、ホログラムによる結像の解像
度を考慮すると角度幅は狭い方が好ましい。このため、
解像度とスペックルの影響の双方を考慮して角度幅(集
光スポットの大きさ)を定めれば良い。
【0060】さらに、本発明にかかる装置には、集光ス
ポットの大きさを変更する変更手段を備えることが好ま
しい。これは、ホログラムの特性、例えばホログラム形
成時の使用波長、大きさ、要求される精度等に応じてス
ペックルパターンの形成特性も変化するので、装置の調
整や使用するマスクや形成するホログラムに合わせて集
光スポットの大きさ(照射する再生波の角度幅)等を適
時変更調整するためである。
【0061】いったん調整されたものの連続処理や、過
去の試料(マスク)を再使用する等の場合には、従来の
実績を加味して、予め定めた大きさに決定できるが、特
に新規なホログラムを作成する場合には、そのホログラ
ムの特性に合わせて微調整できる本機構を備えているこ
とが好ましい。
【0062】なお、集光スポット(2次光源の大きさ)
は、スペックル・ノイズと像の分解能を考慮して変える
ことが望ましく、ノイズの影響を受けずに所望の解像度
のホログラムを形成できる点が本発明の最大の効果であ
る。また、本発明のように空間コヒーレンスを制限する
ことは、結像のNAの制限をもたらし、結果的に焦点深
度を向上させる作用もある。
【0063】
【実施例】以下、実施例を通じ本発明を更に詳しく説明
する。図1に本発明の一実施例に係るホログラム形成装
置の概略構成を示す。この実施例では、ホログラム記録
媒体1内で参照波を全反射させると共に物体波と干渉さ
せることによりホログラム干渉縞を形成する、いわゆる
全反射ホログラフィ方式のホログラム形成装置について
本発明を応用しているが、一般のホログラフィ技術にも
本発明は応用可能である。
【0064】図に示すように、コヒーレント光源である
レーザ10からの出射光を集光レンズ11で回転拡散板
12上に集光する。回転拡散板12が集光レンズ11の
後側焦点面上にあるときには、レーザ光は回折限界の大
きさまで集光されるが、一致していないときには、集光
スポット13はそのズレ量に応じた大きさを持つ。
【0065】本実施例では、この集光スポット13を二
次光源として使用するものであり、図2に示すようにレ
ーザ10の光束径をφ、集光レンズの焦点距離をf0
後側焦点面と拡散板の距離をxとすると、拡散板上のス
ポット径dは、以下の式(1)で表される。
【0066】d=φ・ x/f0 …(1)
【0067】この実施例では、不図示の移動手段によ
り、レンズ11を拡散板12に対して光軸方向に移動さ
せることで、拡散板上でのスポット径dを自由に変えら
れることができる。集光レンズ11としては、顕微鏡の
対物レンズなどの十分に収差の補正されたものを用いる
ことが望ましい。また、2次光源の輝度のムラが問題に
なるときには、ムラを補正する光学系を挿入すれば良
い。
【0068】回転拡散板12は、集光された光の位相を
完全にランダムに変調する役目を持つため、回転拡散板
12の異なる場所を透過した光は、ランダムな位相変調
を受けていることになる。このため、この集光スポット
12の各部からは、ランダムな位相を持つ光束が生ずる
ので、空間的にインコヒーレントな光束を生じさせる2
次光源として用いることが出来る。なお、同様な位相変
調機能を持つ素子であれば、回転拡散板以外の素子を用
いても良いことは言うまでもない。
【0069】このような二次光源から射出された空間的
にコヒーレンスが低い光束は、コリメータレンズ14で
平行光に変換された後、ハーフミラー15で2分され、
反射光が物体照明光学系に、透過光が参照照明光学系に
各々導かれる。
【0070】ところで、空間的なコヒーレンスが低い光
束を分割した後、再び結合させたとき、干渉縞が生じる
のは、光源の中心からでた光が再び交差する点を中心と
した微小領域に限定されることが知られている(「応用
光学II」鶴田匡夫著 培風館P9)。
【0071】ここで、一様輝度の円光源の場合、干渉縞
のコントラストが0.8以上になる範囲(以下、可干渉
範囲とする。)は、光軸方向(z)、光軸に垂直な方向
(x)でそれぞれ以下の式(2) 及び式(3) で表される範
囲に限れられる。尚、αは光源を見込む半角である(図
3参照)。
【0072】 |z| < 4.5λ/2πα2 …(2)
【0073】 |x| < 1.3λ/2πα2 …(3)
【0074】図1に示す本実施例に係るホログラム形成
装置では、全反射ホログラフィ技術を用いているため、
マスク2に設けられた記録パターンをホログラム記録媒
体1に近づけると、極めて高解像な画像記録が可能であ
ることが知られている。この方式で再生された画像の解
像度から求めた記録のNAは、0.8以上になる。
【0075】ここで、NA=0.8、λ=0.364μ
mの場合について、コヒーレンス・ファクターσ(=N
Ac /NA;NAc は記録パターン照明系のNA)を設
定して、上記式(2) 及び(3) を計算すると、以下のよう
になる。
【0076】
【表1】
【0077】この性質を本実施例のようなホログラフィ
の記録光学系に応用する場合、ホログラム(形成位置)
上のすべての点で、参照波と物体波とがこの条件を満足
していなければならない。
【0078】ところで、本実施例はホログラフィックリ
ソグラフィ手段に利用するホログラム形成装置を示して
おり、再生時には、ホログラムで回折された再生像形成
光のみが、マスクに変えて同じ位置に配設されたウエハ
に照射される。
【0079】このようなホログラム再生時に、所望の再
生像(形成光)を他の回折光から分離するには、ホログ
ラムを記録する際に、参照波をホログラム(記録媒体)
に対して斜めから照射する必要がある。
【0080】これは、参照波(再生波は同じか、これと
共役な光束)を斜入射せることで、再生像形成光以外の
不要光束を、ホログラム記録媒体内で全反射させて、ウ
エハ側に透過させないようにするためである。
【0081】ホログラム記録媒体に参照波を照射する際
に、通常は参照光束をミラー等で所定角度の反射をさせ
ることによりホログラム記録媒体に対する斜めの光束を
作っているが、この方法ではホログラム形成位置上のす
べての点で参照光と物体光の光路長を一致させることは
出来ない。これは、ホログラム記録媒体に対して光軸が
傾いているため、仮に光軸上で光路長を調整しても、光
軸から離れた位置では光路長が異なるものとなるためで
ある。
【0082】可干渉範囲が長いコヒーレントなレーザを
光源に用いている場合には、この程度の光路長の相違は
干渉性に支障がないが、回転拡散板上の2次光源からの
空間コヒーレンスが低い光束を用いる場合には、ホログ
ラム上のすべての点で光路長差を可干渉範囲内にする必
要があり、具体的には上記の式(2) の値以下に光路差を
調整しなければならない。
【0083】本実施例では、物体照明光をマスクに対し
て垂直に導くと共に、物体波の照射面が二次光源からの
光束(分割前)の垂直断面と一致するように導いてい
る。このため、参照波の照射面も二次光源からの光束の
垂直断面と一致させることにより、ホログラム形成位置
(照射面)の全域で、参照波と物体波との光路長を等し
く(式(2) の値以下に)構成することができるものとな
っている。
【0084】本実施例では回折格子を応用することによ
り、参照波の照射面が二次光源光束の垂直断面を維持し
たまま、ホログラム形成位置に参照波を斜入射させるも
のとしている。図1に示すように、本実施例の参照照明
光学系には、ホログラム形成位置における照射面(ホロ
グラム面)に平行に配した回折格子16が設けられてお
り、ここでの回折作用を利用してホログラム形成位置に
参照波を斜入射させることとしている。
【0085】参照照明光学系では、回折格子16に対し
て光軸が垂直となるように光束を導いており、回折格子
16への照射面が分割前光束の垂直断面と一致する。こ
の回折格子16とホログラム面(記録媒体1)とは平行
であることから、回折格子16上の照射面がそのまま維
持されてホログラム形成位置1での照射面となると共
に、光軸上の光路長が光軸外の各点と等しくなる。ホロ
グラム形成位置への斜入射角度は、使用する波長に基づ
いて回折格子のピッチ等を決定することにより調整す
る。
【0086】また、本実施例では、ホログラム記録媒体
1が三角プリズム3上に保持されており、この三角プリ
ズム3を介して参照波を照射する構成となっているた
め、参照波の断面内各部位置でプリズム3内を透過する
距離が異なるものとなる。
【0087】このため、照射面内の各点で光路長が異な
ることとなるので、これを補正するために、光軸上の断
面形状が三角プリズム3と対象な形状の補正プリズム1
7を回折格子16の上部に設けている。この補正プリズ
ム17を透過させることにより、参照波の各部位置での
プリズム内透過距離が等しくなるので、照射面内の各部
位置での光路長が夫々等しくなる。
【0088】さらに、この補正プリズム17を回折格子
16上に配設することで、回折格子16からの0次回折
光が補正プリズム17の斜面で全反射され、矢印方向に
進行する。このため、ホログラム記録媒体1方向への不
要光がこの補正プリズム17でカットされるので、ホロ
グラム形成時のノイズ光の発生防止を図ることができる
利点がある。
【0089】尚、0次光を所定の手段により吸収させる
ことによってもノイズの発生を防止することはできる。
また、例えば0次光が発生しない回折格子を用いれば、
プリズム3と17を一体に構成しても良い。
【0090】このような補正プリズムを用いることで、
形成されるホログラムの解像度を向上させることができ
る利点がある。なお、再生波を斜入射させる際にも、同
様な構成の再生照明光学系を用いることで、再生時の不
要なノイズ光をカットすることも可能である。
【0091】また、参照波に対するプリズム内透過の影
響を考慮して、当該透過距離に応じた厚みを有するガラ
ス厚調整手段18が物体照明光学系の光路中に設けられ
ており、物体波と参照波の双方が透過するガラス内距離
が等しくなるように構成されている。
【0092】ガラス厚調整手段18は、前記プリズムと
同じ材質で構成されており、光軸上の断面(各光束の透
過距離)が、夫々三角プリズム3並びに補正プリズム1
7に対応した二つのくさび型ガラスから構成されてお
り、これらを所定間隔をあけて配設している。これは、
例えば一方のくさび型ガラスを光軸と垂直な方向(図中
の上下方向)に移動させることにより、ガラス内を透過
する光路長を変化させ、プリズム3,17内を透過する
光路長と一致させる調整を行うためである。
【0093】さらに、物体波と参照波の双方の光路長を
調整するために、本実施例では物体照明光学系の光路中
に光路長調整手段19が設けられており、これにより双
方の光路長を前述した可干渉範囲内に入るように調整す
る。
【0094】光路長調整手段19は、図に示すように、
互いに90度、270度の開き角を持つ二組の組み合わ
せミラーで構成されており、これらの相対間隔を変更調
整することで、光路長のみが変更され、光束断面内の位
置関係は変更されないものとなっている。
【0095】次に、本実施例では、物体照明光学系を参
照照明光学系とが、互いに分割前の光束断面内の各部で
の位置関係を維持したままホログラム形成位置に夫々の
光束を導く構成となっている。
【0096】2次光源を出た光束は、ハーフミラー15
で反射光と透過光に分離されるので、ホログラム記録媒
体1上の同一点に達するためには、何れかの光路中にビ
ームの左右反転機構が必要になる。本実施例では、参照
照明光学系中にビーム反転機構20を設け、夫々の照射
面が分割前の断面内各部の位置が対応するように光束を
導いている。
【0097】本実施例のビーム反転機構20は、互いに
45度の開き角度で配置された二枚のミラーから構成さ
れており、ハーフミラー15の同一点で分離した部分光
(図中の○印と×印の光線)が、ホログラム記録媒体1
上で夫々対応(物体波と参照波の部分光同士が対応)し
て照射されるものとなっている。
【0098】尚、上記の光路長調整機構やビーム反転機
構は、この実施例に示す方式に限定されるものでは無
く、他の方式のものを用いても、また、他方の照明光学
系に設けても、同様な機能を有するものであれば本発明
を実施できる。
【0099】次に、本実施例に係る光学系の調整方法の
一例について説明する。まず、物体光路と参照光路の光
路長差と横ズレの粗調整を行い、ホログラム形成位置に
回折格子を置いて、物体波と参照波を照射する。そし
て、図4に示すように、回折格子での物体波の0次透過
光と参照波の1次反射光との干渉縞、或いは物体波の1
次反射光と参照波の0次透過光との干渉縞を観察する。
【0100】この時、回転拡散板12上の集光スポット
13(2次光源)の大きさを集光レンズ11の回折限界
まで小さくすると、十分な可干渉距離を持つ光束が得ら
れるので、ここでの干渉縞は十分なコントラストを持
つ。
【0101】回折格子としては、そのピッチが参照波と
物体波の干渉縞のピッチに一致するものを用いる。この
とき、回折格子として、物体波と参照波を干渉させて作
った反射型ホログラムを用いても良い。この場合には、
2次光源の大きさを最小にするか、拡散板12を取り除
いた光学系を用いれば、その光学系自体を用いて調整用
のホログラム回折格子を製作することが出来る。この回
折格子は、光路屈曲用の回折格子16と同じ構成のもの
で良く、従って回折格子16もホログラムで構成するこ
とも可能である。
【0102】次に、集光レンズ11を光軸方向に移動さ
せ、2次光源の大きさを大きくすると、上記の調整用干
渉縞のコントラストは、物体光路と参照光路の調整が不
完全なときには低下する。このため、集光レンズ11を
移動して2次光源を大きくしては、参照波のコントラス
トが最大になるように光学系を調整する作業を2次光源
が所望の大きさになるまで繰り返すことにより、容易に
光学系の調整を行うことが出来る。
【0103】なお、ホログラムの形成対象となる物体と
してパターンの記録されたマスクを用いる場合には、こ
のマスクと同じ材質、厚みの平行平面板をマスクの代わ
りに物体光路に挿入して上記の調整工程を行うことで、
マスクを挿入した状態と同じ状態での調節が行える。
【0104】以上の方法により、本実施例に係る装置の
光学系の調整が完了し、十分なコントラストを持ち、ス
ペックルノイズの低減されたホログラムを撮影すること
が出来るようになった。
【0105】次に、2次光源の大きさの最適化について
説明する。上記の方法で光学系の調整を厳密に行ってい
けば、十分なコントラストを保持しつつ、2次光源をか
なり大きくすることも可能であるが、光学系の安定性を
考慮すると、式(3) に示す像の横ズレの許容量が制限に
なることが多い。また、式(2) の値が、ホログラム記録
材料の厚みより小さくなると、結果的に薄いホログラム
を記録することになるので回折効率は低くなる。
【0106】所定のパターンが記録されたマスクからの
物体回折光は、図5に示すように、単純透過光(0次
光)に対して光路長差がある。このため、0次光に対し
て物体波と参照波の光路差が一致していても、0次光と
他の回折光の光路長差が、上記の式(2) の値より大きく
なると、物体回折光は干渉縞として記録されないことに
なる。従って、2次光源の大きさはマスクとホログラム
記録媒体との距離(ギャップ)、物体回折光の角度(パ
ターンの微細さ)等を考慮して決めなければならないこ
とになる。
【0107】現実的には、必要な解像力が得られる程度
に小さく、スペックルノイズの問題にならない程度に大
きい2次光源の大きさを、試験的なホログラム露光によ
って最適化する作業が必要になる。また、場合によって
は、2次光源を円形ではなく楕円形にするなどして、パ
ターンの方向に応じて解像力を変えることも可能であ
る。
【0108】最後に、本実施例に係る装置で記録したホ
ログラムの再生手段について説明する。ホログラム再生
像は、図1に示した光学系を用いて形成することが出来
る。例えば、マスクパターンのホログラムから実像を再
生し、ウエハに焼き付けるホログラフィック・リソグラ
フィにおいては、参照波と共役な再生波をホログラムに
照射する必要があるが、ホログラムをプリズム上で180
度回転する方法や、参照波をのプリズムへの入射位置を
横にずらして他の面での反射光を利用する方法(図6参
照)等により容易に再生波を照射させることができる。
この場合であっても、物体波と同様に再生波のコヒーレ
ンスを2次光源の大きさでコントロールできることは言
うまでもない。
【0109】また、再生時には、水銀ランプなどのイン
コヒーレント光源を再生用光束の光源に用いることも可
能である。この場合には、水銀ランプからの光束を、図
1の光学系に導くことも可能であるし、図1の光学系は
ホログラムの記録専用とし、別に水銀ランプを光源とし
た再生専用光学系を設けることも出来る。
【0110】再生波は、常にホログラム全面に照射する
必要はなく、再生したいパターンの記録されているホロ
グラムの部分だけに照射すればよい。この面積を制限し
た再生光をスキャンすることにより、ホログラムに記録
されたすべてのパターンを再生することが出来る。
【0111】このように本実施例に係る装置によれば、
ホログラム形成時のスペックルノイズの影響が低減され
るので、強度ムラが少ない解像力の優れたホログラムが
形成できる利点がある。さらに、2次光源の大きさを変
えることにより可干渉性をコントロールし、光学系の調
整具合、必要な解像力、ノイズレベル等を総合的に判断
し、最適なコヒーレンス状態の光をホログラム記録に用
いることが出来る。加えて、使用光束の可干渉性をコン
トロール出来るので、光学系の調整も容易なものになっ
た。
【0112】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
スペックルノイズを低減したホログラフィック画像記録
が実現される。このため、本発明により記録されたホロ
グラムからの再生像は解像力の優れた画像となるので、
本発明をリソグラフィ等に応用すればパターン転写精度
が向上するものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係るホログラム形成装置の
光学系の概略構成を示す説明図である。
【図2】上記実施例における2次光源の大きさを説明す
る説明図である。
【図3】光源からの距離と光軸からのずれを考慮した干
渉縞の局在を説明する概念図である。
【図4】上記実施例における光学系に関し、回折格子を
用いた光学系の調整方法を示す説明図である。
【図5】マスクパターンの回折による物体回折光の光路
差を示す概念図である。
【図6】ホログラム再生光学系の一例を示す説明図であ
る。
【符号の説明】
1…ホログラム記録媒体、2…マスク、3…三角プリズ
ム、 10…レーザ光源、 11…集光レンズ、 12…回転拡散板、 13…集光スポット(二次光源)、 14…コリメートレンズ、 15…光路分割ミラー(ハーフミラー)、 16…光路屈曲用回折格子、 17…補正プリズム、 18…ガラス厚調整光学系、 19…光路長調整系、 20…ビーム反転光学系、

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 物体で回折された物体波と参照波とを干
    渉させて生じた干渉縞により前記物体の像のホログラム
    を作製するホログラム形成方法において、 空間コヒーレンスの低い光束を物体波用光束と参照波用
    光束とに分割し、これらを個別にホログラム形成位置に
    導くに際し、 前記分割位置からホログラム形成位置までの前記分割さ
    れた両光束の光路長差を前記光束の可干渉範囲内となる
    ように構成し、 前記ホログラム形成位置における前記分割された両光束
    の照射面同士が、分割前の光束の同一断面を構成すると
    共に、その断面内各部の位置関係を維持して互いに対応
    するように導いて、 これらの両分割光束を干渉させてホログラム干渉縞を作
    製することを特徴とするホログラム形成方法。
  2. 【請求項2】 ホログラム形成面と平行に配設された回
    折格子からの回折光を用いてホログラム形成位置に照明
    光を斜入射させること、を特徴とする請求項1に記載し
    たホログラム形成方法。
  3. 【請求項3】 ホログラム形成面と平行に配設された回
    折格子からの回折光を用い、三角プリズムを介してホロ
    グラム形成位置に参照波を斜入射させると共に、 参照波用光束の光軸に沿う断面が前記プリズムと対称な
    形状の第二のプリズムを介して前記回折光を入射させる
    こと、を特徴とする請求項2に記載したホログラム形成
    方法。
  4. 【請求項4】 物体で回折された物体波と参照波とを干
    渉させて生じた干渉縞により前記物体の像のホログラム
    を作製するホログラム形成装置において、 レーザ光源と、このレーザ光源からの光束を集光させる
    集光手段と、ここで集光された光束の断面内各部におけ
    る位相がランダムになるように位相変調させる位相変調
    素子と、前記位相変調された光束を物体波用光束と参照
    波用光束とに分割する光路分割手段と、ここで分割され
    た光束を夫々ホログラム形成位置に導く物体波用光学系
    と参照波用光学系と、を備え、 前記物体波用光学系と参照波用光学系とは、 前記ホログラム形成位置までの互いの光路長差が前記光
    束の可干渉範囲内に構成され、 前記ホログラム形成位置における両光束の照射面同士
    が、分割前の光束の断面内各部の位置関係を維持して互
    いに対応するように各々の光束を導くものであることを
    特徴とするホログラム形成装置。
  5. 【請求項5】 前記物体波用光学系と参照波用光学系の
    何れか一方もしくは双方の光路上に、ホログラム形成面
    と平行に配設された回折格子を備え、この回折格子から
    の回折光によりホログラム形成位置を照射すること、 を特徴とする請求項4に記載したホログラム形成装置。
  6. 【請求項6】 ホログラム記録媒体と三角プリズムとを
    密着させて配設し、この三角プリズムを介して参照波を
    照射すると共に、ホログラム記録媒体内で参照波を全反
    射させ、この参照波と物体で回折された物体波とを干渉
    させて前記物体の像のホログラムを形成させる全反射ホ
    ログラフィを用いたホログラム形成装置であって、 ホログラム形成面と平行に配設された回折格子と、 参照波用光束の光軸に沿う断面が前記プリズムと対称な
    形状の第二のプリズムとを備え、 前記回折格子からの回折光束を、前記第二の三角プリズ
    ムを介してホログラム形成位置に斜入射させること、 を特徴とする全反射ホログラム形成装置。
  7. 【請求項7】 レーザ光源と、このレーザ光源からの光
    束を集光させる集光手段と、ここで集光された光束の断
    面内各部における位相がランダムになるように位相変調
    させる位相変調素子と、前記位相変調された光束を物体
    波用光束と参照波用光束とに分割する光路分割手段と、
    ここで分割された光束を夫々ホログラム形成位置に導く
    物体波用光学系と参照波用光学系と、を備え、 前記物体波用光学系と参照波用光学系とは、 前記ホログラム形成位置までの互いの光路長差が前記光
    束の可干渉範囲内に構成され、 分割前の光束の断面内各部の位置関係を維持したまま夫
    々の光束の断面内各部が、ホログラム形成位置で互いに
    対応するように光束を導くものであり、 参照波用光学系の光路中には、ホログラム形成面と平行
    に配設された回折格子と、参照波用光束の光軸に沿う断
    面が前記プリズムと対称な形状の第二のプリズムとを備
    え、 前記回折格子からの回折光束を、前記第二の三角プリズ
    ムを介してホログラム形成位置に斜入射させること、 を特徴とする請求項6に記載した全反射ホログラム形成
    装置。
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