JP4130050B2 - 遊技機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、遊技盤の入賞口に遊技球が入賞したことに応じて賞球数情報を送信する遊技制御装置と、送信された賞球数情報に基づいて賞球排出を制御する排出制御装置とを備えた遊技機(例えば、パチンコ機)に係わり、停電があっても前記賞球排出のための処理ができるだけ的確に実行される遊技機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の一般的なパチンコ機は、遊技盤面における遊技の進行を制御する遊技制御装置から送信された賞球数情報に基づいて、別途構成(基板が別に構成されているという意味)された排出制御装置が球排出機構(例えば、排出ユニット)を駆動制御することで、遊技者に遊技価値である賞球を供給する賞球排出(又は、賞球払出という)を行っていた。
即ち、遊技盤面に形成される遊技領域に遊技球(以下、場合により単に球という)を発射し、この発射球が遊技領域内に設けられた各種入賞口に入賞したことを条件として、遊技者に遊技価値の供給をすべく、排出制御装置に賞球数情報(例えば、5個賞球、10個賞球というデータ)を送信して、排出制御装置によりパチンコ機前面下部の供給皿(又は、受け皿という)に所定数の遊技球(即ち、賞球)を排出している。
ところで従来では、全ての入賞球(入賞した遊技球)を集めて1個宛検出するセーフユニットでの検出がなされた時点で前記賞球数情報が1個送信され、その賞球数情報に対応する賞球排出動作が終了するまでは、次の入賞球の賞球数情報が必ず送信されないようになっていた。
【0003】
ところが、上述した従来の一般的な遊技機における入賞球の検出及び賞球排出の方法は、全ての入賞球をセーフユニットに集めた後に1個宛検出して、順番に賞球排出を実行する構成であるので、賞球排出が入賞時点よりもその分遅れることになり、特に多量の入賞が一時期に集中して発生したような場合には、全ての入賞球に対する賞球排出が完了する時点が入賞時点よりも相当に遅れる場合があり得る。
そこで最近では、賞球排出を高速にするために、上記したセーフユニットを設けないで、各入賞口それぞれに入賞球検出手段を設けたタイプのパチンコ機が提案されている。即ち、セーフユニットで1個宛検出したことに基づいて遊技制御装置から排出制御装置へ賞球数情報を送信する方法に代わって、例えば遊技盤面に設けられた各入賞口毎に遊技球のセンサ(即ち、入賞球検出手段)を設け、これらセンサの何れかに遊技球が入賞すると、排出制御装置に逐次賞球数情報を送信するとともに、入賞した遊技球を上記のごとく一時停留しておくことなく遊技機外に排出する制御を行い、一方、排出制御装置は送信された賞球数情報を順次記憶していき、この記憶していった賞球数情報に基づいて排出制御装置により球排出機構を駆動して賞球排出を実行するパチンコ機の提案がある。
【0004】
しかし、このようなタイプのパチンコ機では、前述のセーフユニットを備えたタイプと異なり、賞球が未排出でも入賞球は即座に遊技機外に排出されてしまうため、例えば球排出機構の故障や停電のために賞球が排出されないなどの事故が生じたときには、未排出の賞球数がどれだけ残っていたのかを後で確認できる仕組みが必要になるとともに、そのような異常の発生を監視して遊技者や遊技店に大きな不利益が生じる前にそのような異常を検知する必要がある。
そこで、上述したようなセーフユニットのないタイプのパチンコ機としては、例えば、遊技制御装置に賞球数情報(入賞の情報、又は賞球数データそのものなど)を記憶する記憶手段を設け、入賞が検出される毎に前記記憶手段の記憶値をその入賞分だけ増加させるとともに、排出制御装置に対して賞球数情報を送信する毎にその賞球分だけ前記記憶手段の記憶値を減少させるようにしたもの(又は賞球検出手段を設けて賞球が検出される毎に記憶値を減少させるものなどもある)が提案されている。或いは、排出制御装置に、遊技制御装置から送信された賞球数情報を記憶する記憶手段を設け、賞球数情報が送信される毎に前記記憶手段の記憶値をその賞球分だけ増加させるとともに、賞球排出動作を実行する毎にその賞球分だけ前記記憶手段の記憶値を減少させるようにしたもの(又は賞球検出手段を設けて賞球が検出される毎に記憶値を減少させるものなどもある)も提案されている。
【0005】
このような構成であると、前記記憶手段に未排出の賞球数情報が常に記憶されていることになり、前記記憶手段の記憶値を確認することで未払の賞球数が判明する。また、前記記憶手段の記憶値と、賞球検出手段の検出信号や球排出機構の作動状態などとを比較することで、賞球排出の異常が監視できる。例えば、前記記憶手段の記憶値が存在する(例えば、入賞数が1以上である)のに、長時間球排出機構が作動せず、或いは前記賞球検出手段の検出信号が出力されない場合には、賞球を排出すべきなのになんらかの故障で賞球が排出されていないと判断できるからである。また、前記記憶手段に対して停電時にもバックアップ電源を供給するバックアップ電源手段を設けることで、停電により未排出となった賞球数を記憶保持し、電源復帰後にその未排出分の賞球排出が可能となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述の遊技機にあっては、以下のような問題点があった。
(1)すなわち、遊技制御装置又は排出制御装置のうちの一方の記憶手段のみに対してバックアップ電源手段が設けられている構成の場合、停電時にバックアップ電源手段が故障していた場合には、いずれの制御装置の記憶手段についても未排出の賞球数情報の記憶が消滅するため、停電復帰後に未排出の賞球を排出することが完全にできなくなる問題があった。
(2)また、遊技制御装置及び排出制御装置の各々の記憶手段に対して停電時にバックアップ電源を供給するバックアップ電源手段が設けられている構成であっても、各記憶手段に対して共通のバックアップ電源手段(例えば、一つのコンデンサとダイオードよりなるバックアップ電源回路)であると、そのバックアップ電源手段の故障によって、やはり両方の制御装置の記憶手段の記憶内容(未排出の賞球数情報含む)が停電によって消滅し、停電復帰後に未排出の賞球を排出することが完全にできなくなる。
【0007】
なお、バックアップ電源手段の故障には、配線やコネクタ電極間のショートによって、バックアップ電源手段を構成するコンデンサの電荷が放電されてしまい、初めから完全に機能しない、或いは十分な期間(要求されるバックアップ保証期間)バックアップできないなどのものがある。また、コネクタの抜き差しなどによって電荷が不安定になり、放電異常が生じてやはりバックアップ保証期間を下回ってしまうなどのものもある。しかし、いずれにせよ、各制御装置の各々の記憶手段に対して、共通のバックアップ電源手段が設けられている場合には、一方の制御装置側の回路における故障の原因(上記ショートやコネクタの抜き差しなど)が、他方の制御装置の記憶手段のバックアップ機能にも及ぶため、未排出の賞球数情報の停電時における信頼性の高い記憶保持が困難となっている。
【0008】
そこで本発明は、上述したような停電に起因する賞球数情報の消滅が起き難く、未排出の賞球数情報が停電時にもより信頼性高く記憶保持されて、停電により未排出のまま残った賞球が停電復帰後により確実に排出可能となる遊技機を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的達成のため、請求項1記載の遊技機は、遊技盤の入賞口へ遊技球が入賞したことに関連して、遊技の進行を管理制御するとともに、賞球排出すべき賞球数情報を決定して記憶手段に記憶し、該賞球数情報を送信する遊技制御装置と、
前記遊技制御装置から送信される賞球数情報を受信して記憶手段に記憶するとともに、記憶した賞球数情報に基づいて遊技球を排出する球排出機構を作動させる賞球排出制御を行う排出制御装置とを備えた遊技機において、
前記遊技制御装置及び排出制御装置の各々の記憶手段に対して電源遮断時においてもバックアップ電源を供給可能なバックアップ電源手段を、前記各々の記憶手段に対してそれぞれ別個独立して設けるとともに、該遊技制御装置の記憶手段に対するバックアップ電源手段を、該排出制御装置の記憶手段に対するバックアップ電源手段よりも、バックアップ電源の供給する時間が長くなるように設定し、
前記遊技制御装置は、停電復帰時に、記憶手段に未排出の賞球数情報が残っているときには、その未排出分の賞球数情報を前記排出制御装置に送信する機能を有し、
前記排出制御装置は、停電復帰時に、記憶手段に未排出の賞球数情報が残っているとき、或いは前記遊技制御装置から未排出の賞球数情報を受信したときには、その未排出分の賞球排出を実行し、
電源が投入された際に、前記遊技制御装置が起動する時期を、前記排出制御装置が起動 する時期よりも遅延させたことを特徴とする。
なお、前記賞球数情報の送信又は受信の処理には、賞球数情報の送信や受信に伴って必要となる賞球数情報の記憶値の更新処理(加算又は減算処理)も含まれる。
【0010】
また好ましい態様として、例えば請求項2記載のように、機外から供給される電源を受けて所要の電源を生成する電源供給装置を備え、
前記電源供給装置は、
前記遊技制御装置及び前記排出制御装置を作動させるための電源を出力する制御用電源出力手段と、
電源遮断時においても前記記憶手段に対してバックアップ電源を供給するための蓄電手段と、
前記制御用電源出力手段の出力を受けて、前記記憶手段に対して電源を供給するとともに、前記蓄電手段に対して充電用電源を不可逆的に供給するメモリ用電源供給手段と、を有し、
前記蓄電手段とメモリ用電源供給手段とが、前記バックアップ電源手段を構成していてもよい。
【0011】
また好ましい態様として、例えば請求項3記載のように、前記排出制御装置は、停電復帰時に、記憶手段に未排出の賞球数情報が残っており、かつ遊技制御装置から未排出の賞球数情報を受信したときには、遊技制御装置から受信した未排出の賞球数情報分の賞球排出を実行する機能を有するようにしてもよい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態をパチンコ機に適用した例として、図面を参照して説明する。
(第1形態例)
まず、本発明の第1形態例を説明する。
A.遊技盤の構成
図1はパチンコ機の遊技盤を示す正面図である。
図1において、1aは遊技盤であり、前面の略円形領域がガイドレール2で囲まれることにより遊技領域3が形成されている。
この遊技領域3には、識別情報(以下、場合により特図という)を複数の変動表示領域毎に変動表示するための表示画面4aを有する画像表示装置4(特図表示装置などと呼ばれるもの)と、開閉扉5aにより開閉される大入賞口5bを有する特別変動入賞装置5と、左右一対の開閉部材を有し特図始動口(特図の変動表示の始動条件となる入賞口)として機能する普通変動入賞装置6と、この場合大入賞口5bの左側に設けられ後述する普通図柄(以下、場合により普図という)を表示する普図表示器(普通図柄表示器)7と、スルーチャッカー形式の普図始動口(普図の変動表示の始動条件となる入賞口)8と、一般入賞口9,10と、風車と呼ばれる打球方向変換部材11と、サイドランプ12と、アウト穴13と、特別変動入賞装置5の両側及び下側に設けられたランプ14や飾り15などが備えられている。
また、画像表示装置4の上部には、4個の特図始動記憶表示器16が設けられている。また、特別変動入賞装置5の両側上面には、一般入賞口17が設けれ、さらに大入賞口5bの右側には、普図始動記憶表示器18が設けられている。
【0013】
そして、普通変動入賞装置6内の入賞流路には特図始動スイッチ51が、普通図柄始動口8内の通過流路には普図始動スイッチ52(図3に示す、以下図1に示されていないものは同様)が、それぞれ設けられている。また、特別変動入賞装置5の大入賞口5b内における、継続入賞流路(いわゆる特別入賞口を通過する流路)にはアタッカーVスイッチ53が、また一般入賞流路(特別入賞口を通過しない流路)にはアタッカーカウントスイッチ54がそれぞれ設けられている。また、各一般入賞口9,10,17には、それぞれ、入賞口スイッチ55〜60が設けられている。
【0014】
ここで、画像表示装置4は、カラーで静止画及び動画が表示可能な、例えば液晶ディスプレイ(LCD)であり、CRTであってもよい。
普図表示器7は、例えば、一桁の数字を表示する7セグメントの表示部を有し液晶又はLED等よりなる表示器であり、この場合前記普通図柄(普図)は、一桁の数字である。なお、後述する図3では、この普図表示器7を構成する表示素子としてLEDを例示しており、この表示素子を普図LED7aと称している。
また、特図始動記憶表示器16或いは普図始動記憶表示器18は、後述するように特図或いは普図の始動記憶の数を表示するものである。
また、特図始動スイッチ51は、普通変動入賞装置6に入賞した遊技球を1個ずつ検出し、普図始動スイッチ52は、普通図柄始動口8を通過する遊技球を1個ずつ検出し、アタッカーカウントスイッチ54は、特別変動入賞装置5の大入賞口5bに入った遊技球のうち一般入賞した遊技球を1個ずつ検出し、アタッカーVスイッチ53は、大入賞口5bに入った遊技球のうちいわゆる継続入賞(V入賞)した遊技球を1個ずつ検出する。また、入賞口スイッチ55〜60は、各一般入賞口に入賞した遊技球を1個ずつ検出するものである。
【0015】
なお、遊技盤1aの遊技領域3には、通常天釘やヨロイ釘といった多数の障害釘が設けられるが、ここでは繁雑になるので図示省略している。また、同様に図示省略しているが、遊技盤1aには、その他の各種装飾ランプや、LED等が設けられていてもよい。
また本発明では、遊技盤における遊技領域はどのようなものでもよく、任意の構成を取り得る。パチンコ機以外の遊技機であってもよい。なお、本例ではいわゆる「第1種」に属するパチンコ機に適用した例を説明する。
【0016】
B.球排出機構の構成
次に、本形態例の排出ユニット(球排出機構)の構成について説明する。この排出ユニットは、図示省略しているが、遊技機裏面側に設けられるものである。
排出ユニットは、遊技球が重力で流れ落ちるように基本的に上下方向に形成された遊技球流路(図示略)と、この遊技球流路の上部に設けられた払出ユニット15a(図3に示す。以下同様)と、この遊技球流路の下部に設けられた流路切換ユニット15bとに分けられる。流路切換ユニット15bの下部には、排出される遊技球を検出する排出球検出手段が設けられており、この排出球検出手段としては、貸球として排出された遊技球を検出する貸球検出センサ50bと、賞球として排出された遊技球を検出する賞球検出センサ50aとが設けられ、このうち賞球検出センサ50a(正確には、第1賞球検出センサと第2賞球検出センサ)が、賞球検出手段に相当している。
遊技球流路は、遊技機裏面側上部の貯留タンク(図示省略)から誘導されて屈曲接続ユニット(図示省略)を経た遊技球が上端側から流下するもので、流路切換ユニット15bに形成された分岐部(図示略)において二つに分岐し、一方が賞球として排出された遊技球を通過させるための賞球流路(図示略)となっており、他方が貸球として排出された遊技球を通過させるための貸球流路(図示略)となっている。分岐部には、遊技球流路の上流側に対して賞球流路又は貸球流路の何れか一方を閉じる位置に揺動可能な流路切換弁(図示略)が設けられ、この流路切換弁が流路切換ソレノイド35に駆動されて何れか一方の位置に揺動することにより、遊技球流路の下流側に排出された遊技球が、賞球流路と貸球流路のうちのいずれか一方を通過する構成となっている。
また、この形態例の排出ユニットは、上記遊技球流路が2列設けられた2条タイプであり、遊技球流路に付随する構成要素(流路切換弁や排出球検出手段など)も、これに対応して2組設けられている。
【0017】
払出ユニット15aには、2列の遊技球流路に対応した2枚のスプロケット(図示略)と、これらを一括駆動する1個の球排出モータ42(例えば、パルスモータ)と、この球排出モータ42の回転出力をスプロケットに伝達するための歯車機構(図示略)と、重力によるスプロケットの不用意な回転(即ち、遊技球の不用意な排出)を防止するための停止部材(図示略)と、この停止部材を駆動するストッパーソレノイド46とを有する。
上記スプロケットは、遊技球流路の上部に設けられた開口(図示略)から外周部が部分的に遊技球流路内に位置するように配置され、外周の歯と歯の間(即ち、谷部)に遊技球が1個宛はまり込む寸法形状となっており、必ずこのスプロケットの回転を伴って遊技球がこのスプロケットの箇所を通過する構成となっている(即ち、スプロケットが回転しなければ上記開口の箇所を遊技球が通過できない構成となっている)。
球排出モータ42は、上記スプロケットを所定量(所定角度又は所定回転量)だけ回転させて、遊技球を所定数下流側に排出する動作を駆動制御するためのものである。なおこの球排出モータ42は、排出制御装置200によって制御される。
停止部材は、爪が形成された先端側が前記歯車機構の歯車に対して進退するように揺動自在となっている。この停止部材の基端は、例えば引張バネ(図示略)によって付勢されており、この付勢力の向きは、上記爪を歯車の外周に押し付ける向きに設定されている。また、この停止部材の爪は、上記歯車の外周に押し付けられたときに、上記歯車の歯に係合し歯車機構の回転(即ち、各スプロケットの回転)を阻止する。
また、ストッパーソレノイド46は、前記停止部材の背面側に配置されて、励磁されると前記停止部材を引きつける力(上記歯車から後退させる力)を発生させ、非励磁状態では前記停止部材を解放するものである。このストッパーソレノイド46も、排出制御装置200によって制御される。
【0018】
このように構成された払出ユニット15aでは、排出制御装置200の制御によりストッパーソレノイド46が作動すると(励磁されると)、上述の引きつける力により前記停止部材の先端側が後退方向に揺動してその爪が前記歯車の外周に係合した状態が解除され、前記スプロケットが回転可能状態になる。そして、この回転可能状態において、排出制御装置200の制御により球排出モータ42が作動して前記スプロケットが排出方向に所定量だけ回転することによって、それに対応した数量の遊技球が下流側に送り出され、重力により遊技球流路を流れ落ちてゆく。また、こうして所定量の遊技球が排出された直後には、排出制御装置200の制御により球排出モータ42の回転が停止されるとともに、ストッパーソレノイド46が即座に非作動状態(非励磁状態)に戻される。これにより、前記付勢力によって停止部材の先端側が前進方向に揺動してその爪が前記歯車の外周に係合状態となり、前記スプロケットの回転が阻止されて重力の作用で所定量を越える量の遊技球が流下してしまう誤動作が確実に防止される。なお、遊技球の排出中(即ち、賞球排出又は貸球排出の最中)に停電があり、球排出モータ42やストッパーソレノイド46の作動が排出制御装置200による停電処理により停止した場合にも、上述した停止部材の作用で遊技球の流下が即座に阻止される。
次に、貸球検出センサ50bは、前述した貸球流路を通過する遊技球(即ち、貸球)を検出するセンサであり、賞球検出センサ50aは、前述の賞球流路を通過する遊技球(即ち、賞球)を検出するセンサである。なお、これらセンサ50a,50bの検出出力は、排出制御装置200に入力されており、さらにこれらセンサのうち賞球検出センサ50aの検出出力は、遊技制御装置100にも入力されている。また、これらセンサ50a,50bは、遊技球流路が2条あることに対応して、各遊技球流路にそれぞれ1個宛設けられており、後述する図3では、例えば一方の賞球検出センサ50aを第1賞球検出センサ、他方の賞球検出センサ50aを第2賞球検出センサと称している。
【0019】
C.電源供給系統
図2は本形態例の遊技機1における電源供給系統を示す図である。図2において、遊技機1には外部からAC24Vが供給されるようになっており、外部電源であるAC24Vはターミナル基盤71を介して間接的に電源供給装置150に分配される。電源供給装置150はAC24Vを直流に変換し、各種のDC電圧を生成して各制御装置に供給する。具体的には、ソレノイド駆動用のDC32V、ランプ類駆動用、センサ駆動用及びバックライト駆動用のDC12Vを駆動用電源として生成するとともに、各制御装置を動作させるための制御装置用電源としてDC5Vを生成する。そして、DC32V及びDC5Vを発射制御装置72(図3では省略)に、DC32V、DC12V及びDC5V(バックアップ電源含む)を排出制御装置200に、DC32V、DC12V及びDC5V(バックアップ電源含む)を遊技制御装置100に、DC12V及びDC5Vを音制御装置133に、DC32V、DC12V及びDC5Vを装飾制御装置132に、DC12V及びDC5Vを表示制御装置131に供給する。
【0020】
ここで、発射制御装置72は発射操作ノブ(図示略)の回動量に応じて発射装置(図示略)制御し、回動量に対応した強さで遊技球を発射させる制御を行う。なお、発射制御装置72には排出制御装置200から発射イネーブル信号が入力されるようになっており、発射イネーブル信号は排出制御装置200側で何らかの異常が生じた場合に、発射装置の発射動作を停止したり、あるいは異常が解消された場合に発射動作を可能にする信号である。
【0021】
排出制御装置200は遊技制御装置100から送信された遊技価値排出制御情報(少なくとも賞球数情報を含むもの)に基づき、所定数の遊技球(即ち、賞球)を排出させる制御を行う(詳細後述する)。
また、排出制御装置200は球貸機80(いわゆるCRサンドユニット)との間で信号の授受を行いながら、球貸しに伴う制御も行う。すなわち、球貸機80からの球貸し準備完了を示すBRDY信号を遊技機1側の排出制御装置200で受信し、遊技機1側の準備完了を示すPRDY信号を球貸機80側で受信することにより、球貸機80を含めた球貸し制御が可能になる。また、球貸機80から排出制御装置200に球を貸し出すことを要求するBRQ信号を送信し、その信号の受信に基づき排出制御装置200で貸球排出を行い、貸球排出が終了したことに基づきEXS信号を球貸機80側へ送信することにより一連の球貸し制御が可能になる。
【0022】
遊技制御装置100は、遊技の総括的制御を行う制御装置であり、この場合、賞球排出制御についても重要な役割を果たす(詳細後述する)。
表示制御装置131は遊技制御装置100から送信された表示データ(表示制御信号)に基づき、画像表示装置4の画像表示を制御するとともに、画像表示装置4に対して電源を供給している。装飾制御装置132は遊技制御装置100から送信された装飾データ(装飾制御信号)に基づき、サイドランプ等の発光を制御するとともに、この発光装飾部材に電源を供給している。音制御装置133は遊技制御装置100から送信された音データ(音制御信号)に基づき効果音を生成する等、効果音に関する制御を行う。
【0023】
D.制御系の構成
次に、本形態例のパチンコ機の制御系の構成について説明する。
図3は制御系を示す図である。この制御系は、大きく分けて、遊技制御装置100と、電源供給装置150や排出制御装置200を初めとするその他の周辺装置等によって構成される。
ここで、遊技制御装置100は、マイクロコンピュータ(以下、場合によりマイコンという)を含む回路で、例えば遊技盤1aの裏面に取付けられた役物制御ユニット(図示略)により実現されている。また、電源供給装置150は、例えば遊技機の枠側に設けられたユニットで実現されている。また、排出制御装置200は、例えば遊技機の枠側に設けられた排出制御ユニット(図示略)によって実現されている。
図3において、遊技制御装置100は、パチンコ遊技等に必要な役物制御を行うワンチップマイコンからなる遊技用マイクロコンピュータ110と、水晶の発振周波数を分周して所定のクロックを得るクロック生成回路(CLK)101と、各種信号の入出力を行う入出力インターフェース102とを含んで構成される。遊技用マイクロコンピュータ110は、CPU111、ROM112、RAM113(本発明の遊技制御装置側の記憶手段に相当)を内蔵しており、いわゆるアミューズチップ用のICとして製造されている。
ここで、RAM113は、本発明の遊技制御装置において賞球数情報を記憶する記憶手段に相当している。
【0024】
なお、賞球数情報とは、入賞の有無や数、及び入賞口の種類、又は賞球数そのものデータ(賞球データ)、或いは賞球数が判別できる情報である。この場合具体的には、遊技用マイクロコンピュータ110のRAM内に所定のメモリエリア(以下、払出要求残カウンタという。)が確保され、排出制御装置200に送信済みの賞球データであって未排出のもの(払出要求値)が、賞球数情報としてこのメモリエリアに記憶される。
例えば、5個賞球の入賞があってその賞球データが賞球数情報として遊技制御装置100から排出制御装置200に送信されると、上記払出要求残カウンタに賞球数5個分の賞球データが加算される。一方、賞球検出センサ50aにより賞球排出が検出されると、遊技制御装置100の処理で、その排出数分の賞球データが上記払出要求残カウンタから減算される。
【0025】
入出力インターフェース102には、前述した特図始動スイッチ51、普図始動スイッチ52、アタッカーVスイッチ53、アタッカーカウントスイッチ54、入賞口スイッチ1〜N(55〜60)からの検出信号が入力される。なお、これらスイッチ51〜54や入賞口スイッチ1〜Nは、いわゆる入賞球検出手段に相当する。但し、普図始動口に遊技球が入賞(通過)しても通常賞球排出は実行されない(普図始動口は通常普図変動を始動させるだけのものである)ので、このような場合、普図始動スイッチ52は、入賞球検出手段に相当しない。本形態例では、普図始動スイッチ52を入賞球検出手段から除くこととする。
また、この入出力インターフェース102には、賞球排出および貸球排出のための遊技球が有るかどうか(前述の排出ユニットの上流側に十分な遊技球が有るか否か)を検出する半端球検出スイッチ24、遊技機前面下部に設けられた受皿(図示省略)の満杯状態(球の過剰貯留)を検出するオーバーフロースイッチ122、遊技機前面のガラスを支持するガラス枠が開けられたことを検出するガラス枠解放スイッチ123からの検出信号も、入力されている。また、賞球排出数を検知するための前述の第1及び第2賞球検出センサ50aからの検出信号も、中継基板250を介して入力されている。
【0026】
なお、入賞口スイッチ1〜N(55〜60)は、遊技盤に一般入賞口がn個ある場合には、n個配置される。
また、半端球検出スイッチ24とオーバーフロースイッチ122は、排出前提条件の成否を判断するための排出準備状態検出手段である。この場合の排出前提条件とは、半端球検出スイッチ24により遊技球が検出されていること、オーバーフロースイッチ122により受皿の満杯状態が検出されていないことであり、これら全ての前提条件が成立していないと、たとえ未排出の賞球が残っていても、賞球排出が行われないように構成されている。即ち、本形態例では、この排出前提条件の成否を示す情報が前記遊技価値排出制御情報の一部として送信され、排出制御装置200においてこの排出前提条件の成立が確認されていないと、排出制御装置200が賞球排出を行わない構成となっている。なお、この排出前提条件の成立が遊技制御装置100において確認されていないと、前述した賞球情報の送信(遊技制御装置100から排出制御装置200への送信)が実行されず、結果的に賞球排出が行われないように構成されていてもよい(この場合は、前記排出前提条件の情報は送信不要)。
【0027】
一方、入出力インターフェース102からは、前述の表示制御装置131、装飾制御装置132、音制御装置133、前述の普図表示器7の普図LED7a、前述の普通変動入賞装置6を駆動する普電ソレノイド134、前述の特別変動入賞装置5の開閉扉を駆動するアタッカーソレノイド135、遊技盤用外部出力端子136、試験用出力部138に信号が出力される。また、この入出力インターフェース102からは、排出制御装置200に前述の遊技価値排出制御情報の信号が出力される。
ここで、遊技盤用外部出力端子136は、遊技盤側に設けられた外部情報端子であり、ここから外部の管理装置(図示略)に各種信号(例えば、大当り信号等)を出力するものである。なお、管理装置はホール全体の遊技機、島設備等を管理するもので、この端子を介して遊技制御装置100から各種信号(例えば、大当り信号等)が入力され、入力された各種信号に基づいて営業上の必要なデータを演算処理し、処理したデータを必要に応じてディスプレイに表示したり、印刷したりする。
また、試験用出力部138は、遊技制御装置100に記憶されている情報の読み出し等が可能な通信用の端子であり、遊技制御装置100の状態を検査する際などに用いるものである。
【0028】
次に、排出制御装置200は、遊技制御装置100から入力される遊技価値排出制御情報に基づいて、前述の排出ユニット(球排出機構)を駆動して賞球を排出する制御(詳細後述する)を行うものである。この場合の排出制御装置200は、CPU211、ROM212、及びRAM213(本発明の排出制御装置側の記憶手段に相当)を含むマイクロコンピュータ210と、所定のクロックを得るクロック生成回路(CLK)204と、入出力用インターフェース205とを含んで構成される。なお、各素子間はアドレスバス、データバス、電源線等で接続されている。CPU211は遊技球の排出(賞球排出および貸球排出を含む)に必要な処理を行い、ROM212は排出制御に必要なプログラム等を格納している。
【0029】
排出制御装置200の入出力用インターフェース205には、前述の賞球検出センサ50a及び貸球検出センサ50bからの信号が入力されている。
また、入出力用インターフェース205からは、前述の球排出モータ42やストッパーソレノイド46、及び流路切換ソレノイド35に制御信号が出力される。
なお、排出制御装置200と球貸機(CRサンドユニット)80とは、入出力用インターフェース205を介して双方向通信可能であり、前述したような信号の授受を行う。
【0030】
次に、電源供給装置150は、DC32V生成回路150a(図4に示す、図3にないもの以下同様)、DC5V生成回路151、DC5VBB生成回路(バックアップ電源手段)151a,151b、DC12V生成回路151c、及び停電検出回路152(リセット出力部152aを含む)を有している。
DC32V生成回路150aには、前述したターミナル基盤71からのAC24Vが供給されており、DC32V生成回路150aはこのAC24VをDC32Vに変換する。
DC12V生成回路151cには、前記DC32Vが供給されており、DC12V生成回路151cはこのDC32VをDC12Vに変換する。
DC5V生成回路151には前記DC32Vが供給されており、DC5V生成回路151はこのDC32VをDC5Vに変換する。なお、DC12V生成回路151cやDC5V生成回路151で変換された電力は、前述のマイコン110,210等の各素子の動作に必要な電源として供給される。ここで、DC5V生成回路151は、遊技制御装置100や排出制御装置200の動作用の電力を出力する本発明の制御用電源出力手段を構成している。
【0031】
次に、DC5VBB生成回路151aは、遊技制御装置100のRAM113に停電時のバックアップ電源を供給する回路(本発明の遊技制御装置側のバックアップ電源手段)であり、この場合、逆流防止用のダイオード153aと、コンデンサ(スーパキャパシタ)156aとを含んで構成される。
また、DC5VBB生成回路151bは、排出制御装置200のRAM213に停電時のバックアップ電源を供給する回路(本発明の排出制御装置側のバックアップ電源手段)であり、この場合、逆流防止用のダイオード153bと、コンデンサ(スーパキャパシタ)156bとを含んで構成され、DC5VBB生成回路151aとは別個独立の回路となっている。
即ち、RAM113,213には、不可逆手段として機能するダイオード153a,153bを介して、また配線154a,154bや155a,155bを通して、DC5V生成回路151からDC5Vがそれぞれ別個独立に供給される。そして、DC5V生成回路151からのDC5Vは、コンデンサ156a,156bにも、各ダイオード153a,153bを介して、それぞれ別個独立に供給されるようになっている。また、コンデンサ156a,156bは、155a,155b又は配線154a,154bを介して、RAM113又は213にそれぞれ別個独立に接続されている。
配線154a,154bや155a,155bの途中にはオス/メスタイプのコネクタ(図示略)が設けられており、このコネクタによりこれら配線は電源供給装置150側と遊技制御装置100側又は排出制御装置200側とに分離可能である。
【0032】
ここで、コンデンサ156a,156bは、本発明のバックアップ電源手段を構成する蓄電手段に相当し、通常時(非停電時)にダイオード153a,153bを介してそれぞれ別個独立に充電され、停電時はRAM113又は213をバックアップする電力を別個に出力(放電)するものである。また、ダイオード153a,153bは、本発明のバックアップ電源手段を構成するメモリ用電源供給手段に相当し、DC5V生成回路151(制御用電源出力手段)の出力を受けて、各々の記憶手段(RAM113又は213)に対して別個独立に通常時の電源を供給するとともに、各コンデンサ156a,156b(蓄電手段)に対して、上述の如く通常時に充電用電源を供給する。
即ち、コンデンサ156a,156bとダイオード153a,153bは、各制御装置100,200の各RAM113,213の記憶内容(特に、賞球数情報のメモリエリア)を停電時にも保持すべく、各RAM113,213に対して別個独立に通常時の電源と停電時のバックアップ電源を供給する。
なお、図示省略しているが、コンデンサ156からRAM113,213にバックアップ電源を供給するための配線154aや配線155a等には、例えばLCフィルタが設けられ、ノイズや電圧変動等による不具合が防止される構成となっていてもよい。
【0033】
また、停電検出回路152は、DC5V生成回路への電源供給が断たれること(即ち、停電)を事前に検出(例えば、DC32Vが停電検出電圧である22Vまで低下したとき停電開始として検出)して、遊技制御装置100と排出制御装置200のCPU111,211に対し、停電検出信号を出力する回路である。
さらに、この停電検出回路152内のリセット出力部152aは、各制御装置のCPU等をリセットすべき時期(例えば、DC32Vが停電検出電圧まで低下した時点から所定時間経過後)に、各制御装置のCPU等に対し、リセット信号を出力する機能を有する。
なお、リセット信号とは、一般にCPU等を初期状態に戻すための信号であるが、CPU等では、このリセット信号が入力されると、このリセット信号が入力中は実質的に動作を停止する。そして、このリセット信号が解除されると各CPU等は再起動する。また図4では、発射制御装置72を省略しているが、上記リセット信号は、発射制御装置72を構成する処理手段(例えば、ロジック回路)にも同様に入力される。
また、停電検出信号を受信した遊技制御装置100や排出制御装置200のCPU111,211は、少なくとも出力信号をオフしてRAM113,213へのアクセスを禁止し、実質的に賞球排出に関連する処理も強制停止させる停電処理をそれぞれ実行する。
このような構成であれば、停電の際に各CPU111,211が正常に動作できる電圧時(完全に電源ダウンする前に)に各CPU111,211の機能を停止させて、停電により各CPUが不安定になってRAM113や213に不定な値が書き込まれることなどが信頼性高く防止でき、各RAMに記憶されている内容(例えば賞球データ)を確実に保持できるなどの利点が得られる。
【0034】
またこの場合、遊技制御装置100には、図3及び図4に示すように、上記リセット信号の立ち上がり(リセット解除の信号)のみをCPU111に遅延させて伝達するためのリセットパルス幅調整回路103aが設けられ、このリセットパルス幅調整回路の特性設定によってCPU111の起動時期が任意に設定可能となっている。なお、遊技制御装置100のCPU111の起動時期の設定は、送信される信号の取りこぼしをできるだけ回避するため、基本的に、その他の基板よりも遅く立ち上げるのが好ましい。例えば、サブ基板(表示制御装置131、装飾制御装置132、音制御装置133)、発射制御装置72、及びに排出制御装置200を同時に起動させ、その後に遊技制御装置100を起動させる。即ち、遊技制御装置100以外の各制御装置がリセット解除検出と同時に起動した後、これに遅延して遊技制御装置100が起動する態様がよい。
【0035】
E.制御系の動作
次に、前述した制御系により行われる本パチンコ機の制御処理の一例について説明する。なお、本発明の特徴部分である賞球排出関連の処理(サブルーチンや割込処理)のみについて説明し、他の処理(メインルーチン含む)については省略する。
(a)遊技制御装置における賞球データ送信制御
まず、遊技制御装置100(マイコン110)による賞球データ送信制御の処理(賞球数情報の送信処理)を、図5(a)により説明する。なおこの処理は、例えば、入賞検出手段による検出信号が入力されることで生じる割込信号を起因として実行される割込処理である。
【0036】
即ち、まずステップS1において、入賞球検出手段(前述の入賞口スイッチ1〜Nなど)の出力を読み取り、なんらかの入賞が検出されているか否か判定する。入賞が検出されていれば、割込許可のタイミングで割込処理を開始してステップS2に進み、検出されていなければ割込処理を実行しない。
そして、ステップS2では、検出された入賞に対応する賞球数を決定し、次いでステップS3では、RAM113内の所定のメモリエリア(以下、払出要求残カウンタという)に、決定した賞球数(例えば、5個、10個、或いは15個のうちのいずれかなど)に対応する値(賞球数情報)を払出要求値として加算する。
次に、ステップS4では、ステップS2で決定した賞球数(賞球数情報)を含むコマンドを排出制御装置200に送信する。なお、このコマンドは、前述した遊技価値排出制御情報の一部である。そして、前述した遊技価値排出制御情報には前述の排出前提条件の情報も含まれてもよいが、この場合上記コマンドは、この排出前提条件の情報とは別々に送信される。但し、上記コマンドを、排出前提条件をも含む情報として送信してもよい。このステップS4を経ると、1シーケンスが終了する(割込処理が終了する)。
以上の処理によれば、入賞が検出される毎に、賞球数情報(この場合、上記コマンド)が決定され、これが排出制御装置200に送信されるとともに、この賞球数情報が記憶手段であるRAM113の所定エリア(払出要求残カウンタ)の記憶値(この場合払出要求値)として累積加算される。
【0037】
(b)遊技制御装置における賞球払出監視制御
次に、遊技制御装置100による賞球払出監視制御の処理を、図5(b)により説明する。この処理は、例えば、遊技制御装置100のメイン制御処理におけるサブルーチンとして、基準時間毎に1シーケンスずつ、繰り返し行われる。
処理が開始されると、ステップS11において、前記払出要求残カウンタに残数が有るか否か(即ち、値が賞球数1個分以上か否か)判定し、有ればステップS12に進み、無ければステップS16に進む。
次に、ステップS12では、賞球検出センサ50aの検出信号を読み取り賞球が検出されたか否か判定し、検出されればステップS13に進み、されなければステップS17に進む。
そして、ステップS13では、検出された賞球数分(通常は、1個宛検出される)だけ払出要求残カウンタのデータ(払出要求値)を減算し、1シーケンスの処理を終了する。なお本形態例では、払出要求残カウンタのデータがゼロになっている場合には、たとえこのステップS13に処理が進んで減算すべき賞球数が存在していても、払出要求残カウンタのデータをその分マイナス値として設定することはしない(即ち、この場合には、ゼロのまま留める)。但し、変形例としては、過剰排出分をマイナス値として記憶可能で、その分がその後の入賞分から差し引かれて調整されるような態様もあり得る。
【0038】
一方、ステップS17では、払出要求残カウンタに値があるのに賞球が検出されない(賞球排出する必要があるのに賞球排出が実行されない)ので、異常判定を行う。異常判定は、例えば、払出要求残カウンタに値があるのに賞球が検出されない時間が設定値を越えた場合に異常と判定するものである。異常と判定されれば、ステップS18に進んで異常を報知するためのなんらかの信号出力や表示などを行う。例えば、前述の遊技盤用外部出力端子136を介して管理装置にこの異常を示す信号を出力する。一方、異常と判定されなかった場合には、1シーケンスの処理を終了する。また、ステップS18を経ると、1シーケンスの処理を終了する。
また、ステップS16では、賞球検出の有無に基づく異常判定を行う。このステップS16に処理が進むのは、上述した払出要求残カウンタの残数が無しになっているので、いちおう賞球排出が正常に終了したと推定される。しかし、このような状態にもかかわらず、まんがいち賞球検出がなされている場合には、異常又は不正な賞球排出が実行されていると判断されるので、それを判定する。具体的には、例えばこのステップS16に処理が進む毎に賞球検出センサ50aの検出信号を読み取って賞球が検出されたか否か判定し、賞球が検出された場合には、RAM113内の特定のエリア(以下、異常判定用カウンタという)に検出された賞球数のデータを累積加算する。そして、この累積加算後の異常判定用カウンタの値をその都度確認して既定値(例えば、賞球数16個分)以上となったときには、異常又は不正な賞球排出(過剰賞球排出)が実行されているとして、ステップS20に進む。賞球が検出されない場合、或いは賞球が検出されても上記異常判定用カウンタの値が既定値に未到達の場合には、正常の範囲であるとして、1シーケンスの処理を終了する。なお、上記異常判定用カウンタの値は、例えばステップS11の判定が肯定的になったときに、初期化してゼロに戻す。
そして、ステップS20では、例えば装飾制御装置132にコマンドを出力し、過剰賞球排出のエラーが生じたことを報知する遊技機前面の特定の警告ランプ等を、例えば遊技機の電源が再投入されるまで点灯又は点滅させ続けるための設定を行い、その後、1シーケンスの処理を終了する。
【0039】
以上の処理によれば、賞球が検出される毎に、この賞球分に対応した賞球数情報が払出要求残カウンタの記憶値(払出要求値)から減算される。
また、払出要求値が有るのに賞球検出がなされないと異常判定され、場合により異常報知のための出力が実行される(ステップS17,S18)。
また、払出要求残カウンタの残数が無いのに賞球検出がなされているときにも、場合によっては異常報知の出力が実行される(ステップS16,S20)。
そして、正常に賞球検出が実行され、払出要求残カウンタのデータが減算されている過程(払出要求残カウンタの残数が有る状態)では、ステップS13を経て1シーケンスの処理が終了し、異常出力はなされない(即ち、正常として処理が続行される)。また、払出要求残カウンタに残数が無くなり、賞球検出が無くなった場合にも、ステップS16の判定が否定的となり、異常出力はなされない(即ち、正常として処理が続行される)。
なお、上述のステップS17,S18やステップS16,S20の処理は、賞球排出の正常性をより念を入れて監視するための処理であり、必ずしも設ける必要はない。
【0040】
(c)排出制御装置のデータ受信処理
次に、排出制御装置200(マイコン210)により行われるデータ受信処理(割込処理)を、図6(a)により説明する。なおこの処理は、遊技制御装置100の前述のステップS4の処理で送信される遊技価値排出制御情報のコマンドが入力されることで生じる割込信号を起因として実行される割込処理である。
処理が開始されると(即ち、上記コマンドが入力されると)、ステップS21において、先ずこのコマンドを受信する処理を行う。
次いで、ステップS22では、RAM213内の所定メモリエリア(以下、払出実行残カウンタという)に、受信したコマンドに含まれる賞球数情報を払出実行値として加算する。
以上の処理によれば、賞球数情報が受信される毎に、受信された賞球数情報が、払出実行残カウンタに累積加算される。
【0041】
(d)排出制御装置の賞球払出制御
次に、排出制御装置200の賞球払出制御(賞球排出の制御)を、図6(b)により説明する。なおこの処理は、例えば、排出制御装置200のメイン制御処理におけるサブルーチンとして、基準時間毎に1シーケンスずつ、繰り返し行われる。
処理が開始されると、ステップS31で、前述の払出ユニット15aのモータ42やストッパーソレノイド46の作動が終了しているか否か(即ち、停止状態か否か)判定する。そして、停止状態ならばステップS32に進み、作動中ならばステップS38に進む。なお、ここで停止状態とは、モータ42の回転が停止し、ストッパーソレノイド46が励磁されていない状態(即ち、賞球排出を停止している状態)をいう。
次に、ステップS32では、RAM213内に設けられた特定のメモリエリア(以下、目標値カウンタという)の残数が無しか否か(即ち、値が賞球数1個分未満か否か)判定し、無ければステップS33に進み、有ればステップS41に進む。
そして、ステップS41では、異常を報知する信号の出力等を行う。このステップS41に処理が進むのは、払出ユニット15aが賞球排出を停止しているのに、賞球排出の目標値が設定される目標値カウンタに残数があるという異常な状態であるので、このような処理がなされる。なおこの処理は、賞球排出の正常性をより念を入れて監視するための処理であり、必ずしも設ける必要はない。
このステップS41を経ると、1シーケンスの処理を終了する。
【0042】
一方、ステップS33では、払出実行残カウンタに残数が有るか否か判定し、無ければ1シーケンスの処理を終了し、有ればステップS34に進む。
次に、ステップS34では、遊技制御装置100から送信されている遊技価値排出制御情報の中の排出前提条件の情報を読み取り、排出前提条件が成立しているか否か(賞球の払出が許可されているか否か)を判定し、許可されてなければ1シーケンスの処理を終了し、許可されていればステップS35に進む。
次いで、ステップS35では、賞球排出の目標賞球数である払出目標値を決定し、この値を目標値カウンタに設定する。払出目標値の決定は、例えば、次のようにして行う。即ち、払出実行残カウンタの残数(払出実行値)の値が、排出ユニット15の最大排出球数(例えば、15個)を越えている場合には、この最大排出球数の値とし、この最大排出球数以下である場合には、その残数の値とする。つまり、最大排出球数の範囲内でなるべく大きな値とする。このようにすれば、1回の賞球排出で最も多くの賞球が排出でき、賞球排出の高速化に寄与できるからである。
なおここで、排出ユニット15の最大排出球数とは、半端球検出スイッチ24が検出信号を出力している際に前述の誘導路内に保有されていると推定される遊技球の最低数などから決定される値である。
【0043】
次に、ステップS36では、排出ユニット15(流路切換ユニット15b)の流路切換弁用ソレノイド35を必要に応じて作動させて、前述した賞球流路を遊技球が通過する状態に設定する。
次に、ステップS37では、排出ユニット15(払出ユニット15a)のストッパーソレノイド46を作動させて前述した停止部材の係合状態を解除した状態で、目標値カウンタに設定された払出目標値分の賞球数に対応する回転角又は回転量だけ球排出モータ42を作動させる制御を開始する。
次いで、ステップS38では、賞球検出センサ50aの検出信号を読み取り賞球が検出されたか否か判定し、検出されればステップS39に進み、されなければ1シーケンスの処理を終了する。
そして、ステップS39とその後のステップS40では、検出された賞球数分(通常は、1個宛検出される)だけ払出実行残カウンタや目標値カウンタのデータを減算する。
ステップS40を経ると、1シーケンスの処理を終了する。
なお本形態例では、払出実行残カウンタのデータがゼロになっている場合には、たとえ上記ステップS39に処理が進んで減算すべき賞球数が存在していても、払出実行残カウンタのデータをその分マイナス値として設定することはしない(即ち、この場合には、ゼロのまま留める)。但し、変形例としては、過剰排出分をマイナス値として記憶可能で、その分がその後の入賞分から差し引かれて調整されるような態様もあり得る。
【0044】
以上の処理によれば、目標値カウンタに残数がない状態(排出ユニット15は停止状態)で、払出実行残カウンタに残数が生じると(賞球数情報が存在すると)、排出前提条件が成立していることを前提として、目標値カウンタにそれに応じた所定の払出目標値が設定され、この払出目標値分の賞球を排出する排出ユニット15の一回の賞球排出動作が開始される(ステップS31〜S37)。そして、排出ユニット15の作動中(賞球排出動作中)には、ステップS31の判定が常に否定的になり、ステップS38の処理が繰り返されて、賞球が検出される毎に、ステップS39,S40の処理でその賞球数分の値が払出実行残カウンタや目標値カウンタから順次減算される。次いで、排出ユニット15が停止すると、ステップS32以降が再び実行されるようになり、払出実行残カウンタに残数が生じる度に(残数が存在する限り)、以上の動作が繰り返される。
なお、排出ユニット15が賞球排出を停止しているのに、目標値カウンタに残数があると、前述したように異常報知が行われる(ステップS41)。
【0045】
(e)遊技制御装置の停電復帰時残賞球処理
次に、遊技制御装置100(CPU110)が、停電復帰時であって通常処理(前述の図5の賞球データ送信制御や、賞球払出監視制御の処理含む)を開始する前に実行する停電復帰時残賞球処理の一例を、図7により説明する。
前述したリセット信号が解除され、前述したリセットパルス幅調整回路103aによる遅延時間が経過すると、遊技制御装置100(CPU111)は、再起動して、RAM113へのアクセスを許可するなどの前処理を行った後、通常の電源投入か停電からの復帰(停電復帰)かを、電源遮断時(停電時含む)における停電検出信号の有無の記憶などによって判定する。そして、通常の電源投入と判定された場合には、RAM113の全領域を初期化し、各割込を許可するなどの処理を行った後、通常処理に移行する。一方、停電復帰と判定された場合には、RAM113の特定の領域(少なくとも前記払出要求残カウンタなどの賞球数情報のデータを記憶する領域を除く領域)のみをクリアするなどの処理を行った後、以下の処理(停電復帰時残賞球処理)をさらに行い、その後に各割込を許可して通常処理に移行する。
【0046】
即ち、停電復帰時残賞球処理では、まずステップS51で、その時点での前述した排出前提条件を読み取って、その情報(具体的には、排出前提条件の成否を示すコマンド)を排出制御装置200に対して送信する。
次にステップS52では、前記ステップS11と同様に、前記払出要求残カウンタに残数が有るか否か判定し、有ればステップS53に進み、無ければこの処理を終了する(各割込を許可して通常処理に移行する)。
次いでステップS53では、残賞球排出のために設定された所定時間を計時するタイマをスタートさせる。
その後、ステップS54では、賞球検出センサ50aの検出信号を読み取り賞球が検出されたか否か判定し、検出されればステップS55に進み、されなければステップS56に進む。
そして、ステップS55では、前記ステップS13と同様に、検出された賞球数分だけ払出要求残カウンタのデータを減算し、ステップS56に進む。
次に、ステップS56では、ステップS53でスタートしたタイマがカウントアップしたか否か判定し、アップしていればステップS57に進み、していなければステップS54に戻る。
【0047】
そして、ステップS57では、残賞球排出が正常に行われたか否かの異常判定を行い、異常でなければこの処理を終了する。なお、ここでの異常判定は、例えば次のようにして行う。即ち、払出要求残カウンタに残数がある場合(或いは、規定数以上ある場合)には、異常と判定し、なければ異常と判定しない。なお、異常であれば、ステップS58に進んで異常を報知するためのなんらかの信号出力や表示などを行う。また、ステップS58を経ると、この処理を終了する。なおこれら異常関係の処理S57,S58は、残賞球排出の正常性をより念を入れて監視するための処理であり、必ずしも設ける必要はない。
【0048】
以上の処理によれば、停電復帰時に、まず排出前提条件のコマンドが送信され、払出要求残カウンタに払出要求値(未排出の賞球数情報、即ち残賞球)が残存している場合には、タイマがカウントアップする所定時間だけ、賞球検出に応じて払出要求残カウンタの記憶値の減算が実行される(ステップS51〜S56)。
その後、未排出の賞球排出(即ち、残賞球排出)が全て実行されて、払出要求残カウンタの記憶値がなくなれば、残賞球排出が正常終了したとして、そのまま通常処理に移行する。一方、排出制御装置200側や排出ユニット15側での残賞球排出になんらかの支障が生じて、払出要求残カウンタの記憶値が残っていれば、残賞球排出が不正常終了したとして、異常判定及び異常出力がなされた後に、通常処理に移行する(ステップS57,S58)。なお、異常と判定されたときには、異常出力を行うだけで通常処理に移行しないようにしてもよい(即ち、異常となったときには、人為的な操作がないと通常処理に移行しないようにしてもよい)。
【0049】
(f)排出制御装置の停電復帰時残賞球排出処理
次に、排出制御装置200(CPU210)が、停電復帰時であって通常処理(前述のデータ受信制御や、賞球払出制御の処理含む)を開始する前に実行する停電復帰時残賞球排出処理の一例を、図8により説明する。
前述したリセット信号が解除されると、排出制御装置200(CPU211)は、再起動して、RAM213へのアクセスを許可するなどの前処理を行った後、通常の電源投入か停電復帰かを、電源遮断時(停電時含む)における停電検出信号の有無の記憶などによって判定する。そして、通常の電源投入と判定された場合には、RAM213の全領域を初期化し、各割込を許可するなどの処理を行った後、通常処理に移行する。一方、停電復帰と判定された場合には、RAM213の特定の領域(少なくとも前記払出実行残カウンタなどの賞球数情報のデータを記憶する領域を除く領域)のみをクリアするなどの処理を行った後、以下の処理(停電復帰時残賞球排出処理)をさらに行い、その後に各割込を許可して通常処理に移行する。
【0050】
即ち、停電復帰時残賞球処理では、まずステップS61で、コマンド受信のために設定された所定時間を計時するタイマをスタートさせる。なお、この所定時間は、前述した遊技制御装置100のステップS51の処理で送信されるコマンド(排出前提条件情報)を受信するために必要十分な時間に設定されている。
その後、ステップS62では、遊技制御装置100から前記コマンドが入力されることで生じる割込があれば、これを許可し、そのコマンドを受信する処理を行う。
次に、ステップS63では、ステップS61でスタートしたタイマがカウントアップしたか否か判定し、アップしていればステップS65に進み、していなければステップS62に戻って、コマンド受信のための処理を繰り返す。
【0051】
そして、ステップS65では、前記ステップS33と同様に、払出実行残カウンタに残数が有るか否か判定し、無ければ処理を終了し(各割込を許可して通常処理に移行する)、有ればステップS66に進む。
次に、ステップS66では、ステップS62で受信した排出前提条件のコマンドを読み取り、排出前提条件が成立しているか否か(賞球の払出が許可されているか否か)を判定し、許可されてなければステップS76(異常出力)に進み、許可されていればステップS67に進む。
次いで、ステップS67〜S69では、前記ステップS35〜S37と同様に、賞球排出の払出目標値を決定して目標値カウンタに設定し、排出ユニット15の賞球流路を遊技球が通過する状態に設定し、さらに排出ユニット15のストッパーソレノイド46を作動させて、払出目標値分の賞球数に対応する回転角又は回転量だけ球排出モータ42を作動させる賞球排出制御を開始する。
次いで、ステップS70では、前記ステップS38と同様に、賞球検出センサ50aの検出信号を読み取り、賞球が検出されればステップS71に進み、されなければステップS75に進む。
そして、ステップS71とその後のステップS72では、前記ステップS39やステップS40と同様に、検出された賞球数分だけ払出実行残カウンタや目標値カウンタのデータを減算する。ステップS72を経ると、ステップS73に進む。
ステップS73では、前記ステップS31と同様に、前述の払出ユニット15aのモータ42やストッパーソレノイド46の作動が終了しているか否か判定する。そして、停止状態ならばステップS74に進み、作動中ならばステップS70に戻る。
次いで、ステップS74では、前記ステップS32と同様に、RAM213内の目標値カウンタの残数が無しか否か判定し、無ければステップS65に進み、有れば異常としてステップS76に進む。
一方、ステップS75では、異常判定を行う。このステップS75に処理が進むのは、残賞球の排出制御が開始されたのに、賞球検出がなされない場合だからである。この異常判定は、例えば、残賞球の排出制御開始時点から賞球が検出されない継続時間が設定値を越えた場合に異常と判定するものである。異常と判定されれば、ステップS76に進み、異常と判定されなかった場合には、ステップS70を繰り返す。
そして、ステップS76では、前記ステップS41と同様に、異常を報知するためのなんらかの信号出力や表示などを行う。なお、ステップS74,S75,S76の異常関係の処理も、残賞球排出の正常性をより念を入れて監視するための処理であり、必ずしも設ける必要はない。
【0052】
以上の処理によれば、停電復帰時に、まず排出前提条件のコマンドが受信され、払出実行残カウンタに残数がある場合には、払出が許可されている限り、この残数がなくなるまで、この残数の賞球排出(即ち、残賞球排出)の制御が実行され、賞球検出に応じて払出実行残カウンタ等の減算が実行される(ステップS61〜S74)。
その後、上記残賞球排出が全て実行されて、払出実行残カウンタの記憶値がなくなれば、残賞球排出が正常終了したとして、そのまま通常処理に移行する。一方、払出が許可されていないとか、残賞球排出になんらかの支障が生じて、賞球検出が設定時間以上なされない場合などには、異常出力がなされた後に、通常処理に移行する(ステップS74,S75,S76)。なお、異常出力がなされる場合には、異常出力を行うだけで通常処理に移行しないようにしてもよい(即ち、異常となったときには、人為的な操作がないと通常処理に移行しないようにしてもよい)。
【0053】
F.停電復帰時の動作
次に、以上のように構成された本形態例のパチンコ機の停電復帰時の残賞球排出関係の動作について、場合分けして説明する。
(各記憶手段に賞球数情報の残数が有る場合)
まず、停電復帰時に、遊技制御装置100と排出制御装置200の各RAM113,213の各カウンタ(払出要求残カウンタと払出実行残カウンタ)のいずれにも、未排出の賞球数情報が適正に記憶保持されていた場合について説明する。
この場合、排出制御装置200では、前述のステップS61〜S74の処理によって、払出が許可されている限り、払出実行残カウンタの残数がなくなるまで、賞球排出の制御が実行される。一方、遊技制御装置100では、前述のステップS52〜S56の処理が実行されて、こうして賞球排出される賞球分が払出実行残カウンタから減算される。
このため、排出ユニット15の故障等がなければ、適正な残賞球(即ち、停電によって未排出となった賞球)が払い出され、さらに、それに応じて各カウンタの記憶値がクリアされた後、適正に通常処理に移行する。
【0054】
(遊技制御装置の記憶手段のみに賞球数情報の残数有る場合)
次に、停電復帰時に、遊技制御装置100のRAM113の払出要求残カウンタのみに、未排出の賞球数情報が適正に記憶保持されていた場合(例えば、DC5VBB生成回路151bのみが停電時に故障又は停電途中で完全放電しており、排出制御装置200のRAM213のデータが消滅していた場合)について説明する。
この場合、排出制御装置200では、前記ステップS65の処理により、通常処理に移行してしまい残賞球の排出は行われない。しかし、遊技制御装置100では、前記ステップS57の異常判定において異常となり、ステップS58の異常出力が実行される。このため、遊技店の係員等が、この異常出力によって残賞球の排出異常(この場合排出不足)を知ることができ、人為的な操作で払出要求残カウンタの残数分の賞球排出を実行するなどして対処することができる。また、ステップS57,S58の処理機能が設けられていなくても、停電復帰後に払出要求残カウンタに残数が存在したままとなっていることを、管理装置90のモニタ等で発見した係員等が、同様に対処することもできる。ちなみに、いずれのカウンタにも残賞球が記憶保持されていなければ、このような人為的な操作でさえ完全に不可能である。
【0055】
(排出制御装置の記憶手段のみに賞球数情報の残数有る場合)
次に、停電復帰時に、排出制御装置200のRAM213の払出実行残カウンタのみに、未排出の賞球数情報が適正に記憶保持されていた場合(例えば、DC5VBB生成回路151aのみが停電時に故障しており、遊技制御装置100のRAM113のデータが消滅していた場合)について説明する。
この場合、遊技制御装置100では、前記ステップS52の処理により、通常処理に移行してしまい停電復帰時の残賞球の排出監視(ステップS53〜S58)は行われない。しかし、排出制御装置200では、前記ステップS61〜S74の処理によって、払出実行残カウンタの残数分の賞球排出が実行される。
なお、この場合には、通常処理に移行した遊技制御装置100での、前述したステップS16の異常判定処理で、賞球排出された残賞球の数量によっては異常となり、前記ステップS20の異常出力が実行されるが、後述する第2形態例又は第3形態例では、このような不必要な異常出力が少なくとも実行され難くなる。
【0056】
以上説明した本形態例の遊技機であると、次のような効果がある。
(1)本形態例では、未排出の賞球数のデータが、遊技制御装置100及び排出制御装置200の両方の記憶手段(RAM113,213)に記憶され停電時もバックアップされている。即ち、遊技制御装置100の払出要求残カウンタと、排出制御装置200の払出実行残カウンタとには、排出すべき賞球数情報のデータが記憶される。
このため、停電復帰後にも、未排出の賞球数のデータをこれら記憶手段の記憶値によって確認し、上述したように、その未排出分の賞球排出(停電後の補足的賞球排出)が確実に可能となる。
(2)しかも本形態例では、各記憶手段(RAM113,213)のバックアップ電源手段(DC5VBB生成回路151aとDC5VBB生成回路151b)を前述したように別個独立に設けた構成となっており、一方のバックアップ電源手段が故障する要因が生じても、他方のバックアップ電源手段は機能している可能性が高い。
このため、両方の記憶手段のデータが、いずれも停電によって消滅してしまう故障が生じる確率は極めて低く、少なくとも何れか一方の記憶手段のデータに基づいて、前述した如く未排出の賞球排出を停電復帰時に実行することが可能となり、停電による賞球排出不足によって遊技者に大きな損害を与えること(遊技者と遊技店間でトラブルが生じること)を信頼性高く回避できる。
【0057】
(第2形態例)
次に、本発明の第2形態例を、図9により説明する。
なお、この第2形態例は、制御系の構成の一部(バックアップ電源手段のバックアップ保証期間の設定)と、制御処理の一部(遊技制御装置100側での停電復帰時残賞球処理の内容)のみに特徴を有し、他の構成は第1形態例と同様である。以下では、第1形態例と同様の要素には同符号を使用して、重複する説明を省略する。
この場合、遊技制御装置100側のバックアップ電源手段(DC5VBB生成回路151a)のバックアップ保証期間は、排出制御装置200側のバックアップ電源手段(DC5VBB生成回路151b)のバックアップ保証期間よりも、長く設定されている。なお、このような設定は、各記憶手段(RAM113又は213)の電力消費量が同じであれば、遊技制御装置100側のバックアップ電源手段の容量(コンデンサ156aの容量)を、排出制御装置200側のバックアップ電源手段の容量(コンデンサ156bの容量)よりも大きく設定することによって、達成できるし、上記電力消費量が異なる場合には、それを考慮した容量差とすることで達成可能である。
【0058】
またこの場合の、遊技制御装置100での停電復帰時残賞球処理は、第1形態例(図7)に対して、ステップS56a,S59が追加され、ステップS57,S58の代わりにステップS57a,S58aが設けられたものである。
即ち、前記ステップS56を経ると、ステップS56aが実行される。このステップS56aでは、前記ステップS52と同様に、前記払出要求残カウンタに残数が有るか否か判定し、有ればステップS57aに進み、無ければこの処理を終了する(各割込を許可して通常処理に移行する)。
そして、ステップS57aでは、残賞球排出が正常に行われているか否かの異常判定を行い、異常でなければステップS59に進む。なお、ここでの異常判定は、例えば次のようにして行う。即ち、後述するステップS59の処理を既に所定回以上実施しているのに、払出要求残カウンタに残数がある場合には、異常と判定し、そうでなければ異常と判定しない。なお、異常であれば、ステップS58aに進んで異常を報知するためのなんらかの信号出力や表示などを行う。また、ステップS58aを経ると、この処理を終了する。なおこれら異常関係の処理S57a,S58aは、残賞球排出の正常性をより念を入れて監視するための処理であり、必ずしも設ける必要はない。
そして、ステップS59では、ステップS56aで読み取った前記払出要求残カウンタに残っている賞球数情報を含むコマンドを排出制御装置200に送信し、ステップS53に戻る。
【0059】
以上の処理によれば、停電復帰時に、まず排出前提条件のコマンドが送信され、払出要求残カウンタに記憶値(残賞球の賞球数情報)が残存している場合には、タイマがカウントアップする所定時間だけ、賞球検出に応じて払出要求残カウンタの記憶値の減算が実行される(ステップS51〜S56)。
その後、残賞球排出が全て実行されて、払出要求残カウンタの記憶値がなくなれば、残賞球排出が正常終了したとして、そのまま通常処理に移行する(ステップS56a)。一方、排出制御装置200側や排出ユニット15側での未排出の賞球排出になんらかの支障(例えば、RAM213のデータ消滅による残賞球の不排出)が生じて、払出要求残カウンタの記憶値が残っていれば、残賞球排出がなされていない(或いは不足である)として、ステップS59の処理でその残賞球分(又は不足分)の賞球数情報が排出制御装置200に送信され、再度ステップS53に戻って、所定時間だけ、払出要求残カウンタの記憶値の減算が実行される。
そして、この再度の減算処理によって、払出要求残カウンタの記憶値がなくなれば、残賞球排出が正常終了したとして、そのまま通常処理に移行する(ステップS56a)。しかし、排出制御装置200側や排出ユニット15側での未排出の賞球排出になんらかの支障(例えば、排出ユニット15の動作不良)があって、払出要求残カウンタの記憶値がここでもまだ残っていれば、異常判定(ステップS57a)がなされ、場合によってはステップS59が再度繰り返されるか、或いはステップS58aの異常出力がなされる。なお、異常と判定されたときには、異常出力を行うだけで通常処理に移行しないようにしてもよい(即ち、異常となったときには、人為的な操作がないと通常処理に移行しないようにしてもよい)。
【0060】
次に、以上のように構成された第2形態例のパチンコ機の停電復帰時の残賞球排出関係の特徴的な動作について説明する。
本形態例では、まず、遊技制御装置の記憶手段のみに賞球数情報の残数有る場合の動作が第1形態例と異なる。即ち、停電復帰時に、遊技制御装置100のRAM113の払出要求残カウンタのみに、未排出の賞球数情報が記憶保持されていた場合である。
この場合、排出制御装置200では、前記ステップS65の処理により、通常処理に移行してしまい、停電復帰時の残賞球排出は行われない。しかし、遊技制御装置100では、前記ステップS59の処理によって、残賞球分の賞球数情報の送信が再度行われるため、通常処理に移行した排出制御装置200での、ステップS21,S22やステップS31〜S37等の処理(図6)において、この残賞球の排出制御が実行される。
このため、排出ユニット15の故障等がなければ、適正な残賞球が払い出され、さらに、それに応じて払出要求残カウンタの記憶値がクリアされた後、遊技制御装置100側についても適正に通常処理に移行する。
また、停電復帰時に、遊技制御装置100の払出要求残カウンタに未排出の賞球数情報が適正に残っていて、排出制御装置200の払出実行残カウンタに保持されていたデータが前記払出要求残カウンタよりも少ない場合には、排出制御装置200での前記ステップS61〜S74の処理によって払出実行残カウンタに記憶保持されていた少ない分の残賞球の排出がまず実行される。そしてこの場合、遊技制御装置100では、前記ステップS56aにおいて未だに残数あり(賞球排出数が不足)と判定されるので、前記ステップS59の処理(再排出要求)が実行されて、その不足分の賞球数情報が排出制御装置200に再度送信される。このため、排出制御装置200では、通常の動作として(即ち、図6に示したステップS21,S22やステップS31〜S40の処理によって)、この不足分の賞球数情報が受信され、この不足分の賞球排出がさらに実行される。このため、最終的には、やはり未排出分の賞球排出が適正になされる。
【0061】
したがって、以上説明した第2形態例の遊技機であると、第1形態例の効果に加えて、次のような効果がある。
(3)即ち本形態例では、停電復帰時に、遊技制御装置100側の記憶手段(RAM113)のみに未排出の賞球数情報が適正に残っている場合(排出制御装置200側の残賞球のデータのみが消滅してしまった場合)でも、それだけでは異常とならず、他の故障がなければ、自動的に正確な残賞球の排出が実行された後、適正に通常動作が開始される。このため、遊技者に損害を与える等の不具合の可能性をさらに低減できるし、しかも遊技店の店員等の手数(異常発生の対応の手間)がその分だけ削減できる利点がある。
(4)特にこの場合には、遊技制御装置100側のバックアップ電源手段(DC5VBB生成回路151a)のバックアップ保証期間が、排出制御装置200側のバックアップ電源手段(DC5VBB生成回路151b)のバックアップ保証期間よりも、長く設定されている。このため、停電復帰が遅れて停電時間がバックアップ保証期間を過ぎることによるデータの消滅は、必ず排出制御装置200側の記憶手段(RAM213)の方が先に起こる。つまり、このような原因によるデータ消滅によって、一方の残賞球のデータのみが消滅する場合には、必ず排出制御装置200側の記憶手段(RAM213)のデータ(前記払出実行残カウンタのデータ)が消滅しており、必ず遊技制御装置100側の記憶手段(RAM113)のデータ(前記払出要求残カウンタのデータ)が生き残っている。このため、排出制御装置200側の記憶手段(RAM213)のデータ(前記払出実行残カウンタのデータ)のみが生き残ることによって前述のステップS16の異常判定による異常出力が実施される可能性が、格段に少なくなっている。したがって、このような点からも、遊技店の店員等が人為的に対応する必要のある異常出力の頻度がより少なくなっており、遊技店等における省力化にも高度に貢献できる。
【0062】
(5)また、上述したように遊技制御装置100側の記憶手段(RAM113)のデータ(前記払出要求残カウンタのデータ)の方がより消滅し難い構成であり、遊技制御装置100側で賞球排出の最終的な正常性監視と再排出要求(前記ステップS53〜S59のような処理)を行う構成であると、次のような利点もある。即ち、一般に、未排出の賞球数情報については、遊技制御装置100側がデータの発生源であるため、遊技制御装置100側のデータの方が正確であり、排出制御装置200側と同じかそれ以上のデータを記憶している可能性が極めて高い(本形態例のように、入賞発生時に即座に賞球数記憶と賞球数情報送信を実行するタイプでも、通信ディレイによって排出制御装置200側にその賞球数分が停電時に加算されない恐れがある)。このため、遊技制御装置100側のデータが消滅し難く、最終的に遊技制御装置100側の処理(即ち、前記ステップS59のような再排出要求の処理)で残賞球排出が完全に遂行可能で、最終的な残賞球排出の異常判定が遊技制御装置100側で実行される構成(排出制御装置200側のデータのみが消滅していても、残賞球排出異常とならない構成)であれば、より信頼性が高く正確な停電復帰時の残賞球排出が可能となり、遊技者に与える恐れのある損害もできる限り少なくなる利点がある。
ちなみに、例えば入賞1個分の1回の賞球排出が実行される度に、次の入賞分の賞球数情報を遊技制御装置から排出制御装置に送信するタイプでは、大当たりなどで多量の入賞が一時期にあった場合には、遊技制御装置側には多量の賞球数情報(例えば、多量の入賞記憶)があるのに、排出制御装置側には常時1回分の賞球数情報しか記憶されていないという状況が発生し、このような状況で停電があって遊技制御装置側の記憶データが消滅すると、たとえ排出制御装置側の記憶データが残っていても、遊技者に大きな損害を与えることになる。このため、遊技制御装置側の記憶データがより消滅し難く、最終的に遊技制御装置側の記憶データのみでも適正な残賞球排出が可能な構成が優れているのである。
【0063】
(第3形態例)
次に、本発明の第3形態例を、図10,11により説明する。
なお、この第3形態例は、制御系の構成の一部(バックアップ電源手段のバックアップ保証期間の設定)と、制御処理の一部(遊技制御装置100側での停電復帰時残賞球処理と、排出制御装置200側での停電復帰時残賞球排出処理の内容)のみに特徴を有し、他の構成は第1形態例と同様である。
この場合、遊技制御装置100側のバックアップ電源手段(DC5VBB生成回路151a)のバックアップ保証期間は、第2形態例と同様に、排出制御装置200側のバックアップ電源手段(DC5VBB生成回路151b)のバックアップ保証期間よりも、長く設定されている。
【0064】
またこの場合の遊技制御装置100での停電復帰時残賞球処理は、図10に示すように、第1形態例(図7)に対して、ステップS53〜S58が削除され、ステップS52a,S55a,S55b,S55cが追加されたものであり、特徴的な内容は次のようになっている。
即ち、前記ステップS52において、前記払出要求残カウンタに残数が有ると判定されると、ステップS52aが実行され、残数がない場合にはステップS55bに進む。
ステップS52aでは、ステップS52で読み取った前記払出要求残カウンタに残っている賞球数情報(残賞球の賞球数情報)を含むコマンドを排出制御装置200に送信する。
次に、ステップS55aでは、ステップS52aで送信した賞球数分だけ、払出要求残カウンタのデータを減算する。
次いで、ステップS55bでは、残賞球排出のために設定された所定時間を計時するタイマをスタートさせる。
その後、ステップS55cでは、ステップS55bでスタートしたタイマがカウントアップしたか否か判定し、アップしていればこの処理を終了し(各割込を許可して通常処理に移行する)、していなければこのステップS55cを繰り返す(即ち、特別ウェイト状態で待機する)。なお、ここでいう特別ウェイト状態は、賞球排出の正常性監視や通常処理への移行を行わずに待機している状態をいう。
【0065】
一方、この場合の排出制御装置200での停電復帰時残賞球排出処理は、図11に示すように、第1形態例(図8)に対して、ステップS62aが追加されたものである。なお、この場合のステップS61でスタートするタイマの設定時間は、前述した遊技制御装置100のステップS51及びS52aの処理で送信されるコマンド(排出前提条件情報及び賞球数情報)を受信するために必要十分な時間に設定されている。
また、ステップS62では、遊技制御装置100から遊技価値排出制御情報のコマンドが入力されることで生じる割込を許可し、そのコマンド入力(この場合、排出前提条件情報に加えて、上記ステップS52aの処理で送信される賞球数情報もある)があればこれを受信する処理を行う。
次に、ステップS62aでは、上記ステップS62で賞球数情報のデータを受信した場合に、その受信データに応じて払出実行残カウンタのデータを必要に応じて修正する処理を行う。具体的には、払出実行残カウンタに残数がなければ、受信データをこの払出実行残カウンタにそのまま加算する。また、払出実行残カウンタに残数があっても、受信データと異なる値であれば、この払出実行残カウンタの値を受信データの値に更新する。また、払出実行残カウンタに、受信データと等しい残数があれば、この払出実行残カウンタの値をそのまま保持する。つまり、払出実行残カウンタの値を受信データと同じ値とする。
【0066】
次に、以上のように構成された第3形態例のパチンコ機の停電復帰時の残賞球排出関係の特徴的な動作について、場合分けして説明する。
(各記憶手段に賞球数情報の残数が有る場合)
まず、停電復帰時に、遊技制御装置100と排出制御装置200の各RAM113,213の各カウンタ(払出要求残カウンタと払出実行残カウンタ)のいずれにも、未排出の賞球数情報が記憶保持されていた場合について説明する。
この場合、遊技制御装置100では、前述のステップS52〜S55aの処理により、払出要求残カウンタの残賞球のデータが送信され、さらにこの分のデータが払出要求残カウンタから減算されて、払出要求残カウンタがクリアされる。
一方、排出制御装置200では、前述のステップS61〜S63の処理によって、排出前提条件の情報とともに遊技制御装置側の残賞球のデータが受信される。この際、ステップS62aの処理では、払出実行残カウンタにもこの場合通常は同じだけの残賞球のデータがあるので、特に払出実行残カウンタのデータ修正は行われず、ステップS65以降の処理で、払出が許可されている限り、払出実行残カウンタの残数(即ち、残賞球分のデータ)がなくなるまで、賞球排出の制御が実行される。
このため、排出ユニット15の故障等がなければ、適正な残賞球が払い出され、さらに、それに応じて各カウンタの記憶値がクリアされた後、適正に通常処理に移行する。
なお、通信ディレイ等の影響で、払出実行残カウンタのデータ(排出制御装置側の残賞球データ)が払出要求残カウンタのデータ(遊技制御装置側の残賞球データ)よりも少ない場合には、ステップS62aの処理で、払出実行残カウンタのデータが、払出要求残カウンタのデータ(ステップS62で受信したデータ)に修正されるので、この場合も、排出ユニット15の故障等がなければ、やはり適正な残賞球が払い出され、さらに、それに応じて各カウンタの記憶値がクリアされた後、適正に通常処理に移行する。
【0067】
(遊技制御装置の記憶手段のみに賞球数情報の残数有る場合)
次に、停電復帰時に、遊技制御装置100のRAM113の払出要求残カウンタのみに、未排出の賞球数情報が適正に記憶保持されていた場合について説明する。
この場合、ステップS62aの処理では、払出実行残カウンタには残賞球のデータがないので、払出実行残カウンタのデータが、払出要求残カウンタのデータ(ステップS62で受信したデータ)に修正される。このため、ステップS65以降の処理で、払出が許可されている限り、払出実行残カウンタの残数(即ち、払出要求残カウンタに記憶されていた残賞球分のデータ)がなくなるまで、賞球排出の制御が実行される。
このため、排出ユニット15の故障等がなければ、やはり適正な残賞球が払い出され、さらに、それに応じて各カウンタの記憶値がクリアされた後、適正に通常処理に移行する。
【0068】
(排出制御装置の記憶手段のみに賞球数情報の残数が有る場合)
次に、停電復帰時に、排出制御装置200のRAM213の払出実行残カウンタのみに、未排出の賞球数情報が適正に記憶保持されていた場合について説明する。
この場合、遊技制御装置100では、前記ステップS52の処理により、再排出要求(ステップS52a)等は実行されないが、ステップS55b,S55cの処理によって所定時間の特別ウェイト状態を経た後に、通常処理に移行する。
一方、排出制御装置200では、前記ステップS61〜S74の処理によって、払出実行残カウンタに記憶保持されていた残数分の賞球排出が実行される。
そしてこの際、遊技制御装置100では、上記特別ウェイト状態にあって通常処理に移行していない(賞球排出の監視も行っていない)ので、前述したステップS16の異常判定処理で前記ステップS20の異常出力が実行されることが、確実に回避される。
このため、排出ユニット15の故障等がなければ、やはり適正な残賞球が払い出され、さらに、それに応じて各カウンタの記憶値がクリアされた状態で、適正に通常処理に移行する。
【0069】
したがって、以上説明した第3形態例の遊技機であると、第1形態例や第2形態例の効果に加えて、次のような効果がある。
(6)即ち本形態例では、遊技制御装置100の記憶手段(RAM113)の所定領域(払出要求残カウンタ)と、排出制御装置200の記憶手段(RAM213)の所定領域(払出実行残カウンタ)のうち、少なくとも何れか一方に未排出の賞球数情報(残賞球データ)が残っていれば、その残賞球データに基づく賞球排出が、停電復帰時に実行されて、排出ユニット15の故障等がなければ、正常に(異常出力が出されないで)通常処理に移行する。このため、停電により未排出となった賞球をできる限り適正量又はできる限り確実に排出することが、停電復帰時に可能となり、しかも不必要な異常出力ができる限り出ない構成となる。したがって、遊技者の損害を最小限に抑制するとともに、遊技店の店員等の手数(異常対応にかかる手間)を最小限に抑制することができる。
(7)特に本形態例では、前述したように遊技制御装置側のデータを優先するようにしており、また前述したバックアップ保証期間の設定によって、なるべく遊技制御装置側の残賞球データが記憶保持されるように構成されているので、停電復帰時の残賞球排出がより信頼性高く的確になされる。
【0070】
なお、本発明は上記形態例の態様に限られず、各種の変形,応用があり得る。
例えば、上記形態例では、賞球検出センサ50aの信号を遊技制御装置にも入力し、遊技制御装置の賞球数情報の記憶値(前述の払出要求残カウンタのデータ)を賞球検出に応じて減算する構成としたが、この遊技制御装置での賞球数情報の減算は、例えば賞球数情報の排出制御装置への送信時(又は送信後)にその送信分だけ減算する態様(排出制御装置側のみで未排出の賞球数情報を正確に管理する態様)もあり得る(この場合、賞球検出センサ50aの信号を遊技制御装置に入力する必要はない)。また逆に、賞球検出センサ50aの信号を遊技制御装置のみに入力し、排出制御装置では賞球排出動作を実行する毎にその分の賞球数情報を減算する態様(遊技制御装置側のみで未排出の賞球数情報を正確に管理する態様)もあり得る。但し、停電復帰時に、より的確な残賞球の排出を行うためには、前述したように賞球数情報の発生源である遊技制御装置側で最終的に賞球排出の監視や再排出要求等を行う構成が好ましく、この観点からは、賞球検出センサ50aの信号を少なくとも遊技制御装置に入力して、少なくとも遊技制御装置で未排出の賞球数情報を正確に管理する態様が好ましい。
【0071】
また、賞球排出の方法についても、上記形態例に限定されないことはいうまでもなく、例えば以下のような変形例があり得る。
(第1変形例)
例えば、RAM213内に形成された払出実行残カウンタを、遊技制御装置100から送信される賞球数情報が累積加算される未実行カウンタと、この未実行カウンタの値が逐次移行されるとともに、賞球検出に基づく減算が行われる実行カウンタとに分割し、これら未実行カウンタと実行カウンタの値の合計が、払出実行残カウンタの値(未払の賞球数情報である払出実行値)となる構成とする。
そして、払出実行残カウンタ(未実行カウンタ及び実行カウンタ)に残数が無い状態(排出ユニット15が停止状態)で、払出実行残カウンタ(即ち、その中の未実行カウンタ)に残数が生じると(賞球数情報が加算されると)、払出実行残カウンタ中の実行カウンタに未実行カウンタの値がそっくり移動され、さらに排出条件が成立していることを前提として、その未実行カウンタの値に応じた所定の払出目標値が決定され、この払出目標値分の賞球を排出する排出ユニット15の賞球排出動作が開始される。さらに、こうして賞球排出動作が実行され、賞球検出センサ50aにより順次賞球が検出されると、賞球が検出される毎に、その賞球数分の値が払出実行残カウンタの実行カウンタから順次減算される構成としてもよい。
(第2変形例)
或いは、RAM213内に、遊技制御装置100から送信される賞球数情報が累積加算される払出実行残カウンタと、賞球検出に応じた減算が行われる目標値カウンタとを形成し、払出実行残カウンタのデータが、払出目標値を設定する毎に目標値カウンタに移行され、結局、払出実行残カウンタと目標値カウンタの値の合計が、未払の賞球数情報である払出実行値となる構成とする。
そして、目標値カウンタに残数がない状態(排出ユニット15は停止状態)で、払出実行残カウンタに残数が生じると(賞球数情報が存在すると)、排出条件が成立していることを前提として、目標値カウンタにそれに応じた所定の払出目標値が設定され、この払出目標値分の賞球を排出する排出ユニット15の賞球排出動作が開始される。さらに、排出ユニット15の作動中(賞球排出動作中)には、賞球が検出される毎に、賞球数分の値が目標値カウンタから順次減算される構成としてもよい。
【0072】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0073】
【発明の効果】
本発明によれば、停電復帰後にも、未排出の賞球数のデータを遊技制御装置及び排出制御装置の記憶手段の記憶値によって確認し、その未排出分の賞球排出(停電後の補足的賞球排出)が確実に可能となる。
また、一般に、未排出の賞球数情報については、遊技制御装置側がデータの発生源であるため、遊技制御装置側のデータの方が正確であり、入賞発生時に即座に賞球数記憶と賞球数情報送信を実行するタイプでも、通信ディレイによって排出制御装置側にその賞球数分が停電時に加算されない恐れがあるが、バックアップ保証期間の設定により、遊技制御装置側のデータの方がより消滅し難いため、最終的に遊技制御装置側の再排出要求機能で残賞球排出遂行可能となり、より信頼性が高く正確な停電復帰時の残賞球排出が、異常出力の発生をより抑制しつつ可能となり、遊技者に与える恐れのある損害もできる限り少なくなるとともに、遊技店の店員等の手数(残賞球排出による異常出力に対応する手間)がその分だけ特に削減できる利点がある。
また、遊技制御装置の起動時期が、排出制御装置の起動時期よりも遅延するので、遊技制御装置から送信される信号の取りこぼしを回避することができる。
【0074】
また、停電復帰時に、遊技制御装置と排出制御装置の各記憶手段のいずれにも未排出の賞球数情報が適正に記憶保持されていた場合、或いは、遊技制御装置の記憶手段のみに未排出の賞球数情報が適正に記憶保持されていた場合には、遊技制御装置では、上記排出要求機能により、その記憶手段の残賞球のデータが送信される。一方、排出制御装置では、上記残賞球排出機能によって、この残賞球のデータが受信され、受信した適正な残賞球分の賞球排出が実行される。
また、停電復帰時に排出制御装置の記憶手段のみに未排出の賞球数情報が適正に記憶保持されていた場合、遊技制御装置では、上記排出要求機能は実行されないが、排出制御装置では、上記残賞球排出機能によって、その記憶手段に記憶保持されていた適正な残数分の賞球排出が実行される。
このため、より信頼性の高い遊技制御装置側の残賞球データに基づく賞球排出が実行される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 パチンコ機の遊技盤を示す正面図である。
【図2】 パチンコ機の電源系統を示すブロック図である。
【図3】 パチンコ機の制御系を示すブロック図である。
【図4】 パチンコ機の電源供給装置等の詳細を示すブロック図である。
【図5】 遊技制御装置の賞球排出関連処理を示すフローチャートである。
【図6】 排出制御装置の賞球排出関連処理を示すフローチャートである。
【図7】 遊技制御装置の停電復帰時残賞球処理を示すフローチャートである。
【図8】 排出制御装置の停電復帰時残賞球排出処理を示すフローチャートである。
【図9】 遊技制御装置の停電復帰時残賞球処理(他の例)を示すフローチャートである。
【図10】 遊技制御装置の停電復帰時残賞球処理(他の例)を示すフローチャートである。
【図11】 排出制御装置の停電復帰時残賞球排出処理(他の例)を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 パチンコ機(遊技機)
50a 賞球検出センサ(賞球検出手段)
100 遊技制御装置
111 CPU(監視手段)
113 RAM(記憶手段)
151 DC5V生成回路(制御用電源出力手段)
151a,151b DC5VBB生成回路(バックアップ電源手段)
153a,153b ダイオード(メモリ用電源供給手段)
156a,156b コンデンサ(蓄電手段)
200 排出制御装置
213 RAM(記憶手段)
Claims (3)
- 遊技盤の入賞口へ遊技球が入賞したことに関連して、遊技の進行を管理制御するとともに、賞球排出すべき賞球数情報を決定して記憶手段に記憶し、該賞球数情報を送信する遊技制御装置と、
前記遊技制御装置から送信される賞球数情報を受信して記憶手段に記憶するとともに、記憶した賞球数情報に基づいて遊技球を排出する球排出機構を作動させる賞球排出制御を行う排出制御装置とを備えた遊技機において、
前記遊技制御装置及び排出制御装置の各々の記憶手段に対して電源遮断時においてもバックアップ電源を供給可能なバックアップ電源手段を、前記各々の記憶手段に対してそれぞれ別個独立して設けるとともに、該遊技制御装置の記憶手段に対するバックアップ電源手段を、該排出制御装置の記憶手段に対するバックアップ電源手段よりも、バックアップ電源の供給する時間が長くなるように設定し、
前記遊技制御装置は、停電復帰時に、記憶手段に未排出の賞球数情報が残っているときには、その未排出分の賞球数情報を前記排出制御装置に送信する機能を有し、
前記排出制御装置は、停電復帰時に、記憶手段に未排出の賞球数情報が残っているとき、或いは前記遊技制御装置から未排出の賞球数情報を受信したときには、その未排出分の賞球排出を実行し、
電源が投入された際に、前記遊技制御装置が起動する時期を、前記排出制御装置が起動する時期よりも遅延させたことを特徴とする遊技機。 - 機外から供給される電源を受けて所要の電源を生成する電源供給装置を備え、
前記電源供給装置は、
前記遊技制御装置及び前記排出制御装置を作動させるための電源を出力する制御用電源出力手段と、
電源遮断時においても前記記憶手段に対してバックアップ電源を供給するための蓄電手段と、
前記制御用電源出力手段の出力を受けて、前記記憶手段に対して電源を供給するとともに、前記蓄電手段に対して充電用電源を不可逆的に供給するメモリ用電源供給手段と、を有し、
前記蓄電手段とメモリ用電源供給手段とが、前記バックアップ電源手段を構成していることを特徴とする請求項1記載の遊技機。 - 前記排出制御装置は、停電復帰時に、記憶手段に未排出の賞球数情報が残っており、かつ遊技制御装置から未排出の賞球数情報を受信したときには、遊技制御装置から受信した未排出の賞球数情報分の賞球排出を実行する機能を有することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の遊技機。
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