JP4128686B2 - 平面アンテナ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アンテナに係り、特に平面アンテナに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、アンテナは、普通高周波回路に接続して使われている一つの特殊な電気回路といえる。送信アンテナは、高周波回路の電力を能率的に電波エネルギーに変換してこれを空間に放射し、受信アンテナは、入力される電波エネルギーを効率的に電力に変換して電気回路に伝達する。このように、アンテナは、電気回路と電波との間のエネルギー変換器の役割をし、その変換能率が良くなるようにその大きさと形状を適切に設計する。
【0003】
高速無線通信システムでのアンテナのビームパターンは、チャンネル特性を決定するのに重要な役割をする。図14は、室内高速移動通信のために提案されたアンテナのビームパターンを示す図である。天井にあるベースアンテナ100は、広いビーム幅110を有し、使用者端末器120に付着されたアンテナ130は、指向性ビーム140の特性を有する。そして、前記室内高速移動通信のためのアンテナは、室内チャンネルの多重経路フェーディング現象を減らすために円形偏波を使用する。
【0004】
受信端アンテナに必要な指向性ビーム特性を有するアンテナは、配列(array)アンテナを用いて比較的容易に具現できる。しかし、ベースアンテナのように広い角度に対して円形偏波のビーム特性を有するアンテナを具現することは大変難しい。もし、ベースアンテナパターンが正面方向のアンテナ利得が低い鉢形のビーム特性を有すれば、使用者の位置に関係なく、受信電界の強度が一定になる。従って、RF送受信端の線形特性に対する制限条件が大きく緩和され、RFシステム全体の具現が容易になり、コストを大幅に低下させることができる。
【0005】
一般に、平面アンテナは、誘電体と導体面よりなり、誘電体上に置かれている導体表面やスロットに電流を誘起させて自由空間に電磁波エネルギーを放射するアンテナである。平面アンテナは、端末器や壁面等の表面に付着できるので空間に占める容積は小さく、配列アンテナを構成しやすいだけでなく、大量生産が可能で、低コストで製作できる長所がある。反面、誘電体層を使用するために、放射モード以外に願わない表面波モードが発生して効率が低くなる短所がある。前記平面アンテナは、導体表面に電流が流れれば、自由空間に電波が放射されるだけでなく、誘電体表面に沿って進行する表面波が存在する。この際、発生する表面波モードの数は誘電体層の厚さに比例し、必ず一つの表面波モードは存在する。表面波を抑制するためには誘電体層の厚さを縮めるべきであるが、厚さを誘電体内電波波長の1/4以下に縮めれば,一つのモード(無くせないモードである)だけ発生して損失が最小になる。しかし,ミリメートル波帯域では波長が数mmであるため、実際製作する場合、薄すぎてすぐこわれる恐れがある。
【0006】
図15(a)は、平面アンテナとして広く使われているマイクロストリップパッチアンテナを示す図であり、誘電体20、前記誘電体20の下部に位置する導体24及び電流を供給する給電線(マイクロストリップ線)22よりなる。図15(b)は、多層誘電体層を用いた平面アンテナの一例を示す図であり、多層誘電体220、リングスロット200を具備し、多層誘電体220上に位置する導体板210、導体板210上に位置する誘電体240及びリングスロット200に電流を供給する給電部230よりなる。
【0007】
一般に、前記マイクロストリップパッチアンテナを使用して円形偏波特性を得る場合、広い角度に対して優れた軸比を得ることは非常に難しいし、交差偏波特性がよくない。更に、周波数がミリメートル波帯域以上の場合には、全体的に小さすぎて作り難いだけでなく、小さい衝撃にも壊れる可能性が大きい。
【0008】
厚いながら高効率の平面アンテナを作るために1/4波長厚さの誘電体を数層重ねた平面アンテナが提案される場合もあったが、各層間の誘電率を高−低−高の順序で積層すれば利得を高めうる。しかし、高いミリメートル波帯域で多層誘電体を作ることも容易ではない。その理由は、非常に精密に製作されなければ、相異なる物質間の接触面で発生する寄生効果がアンテナの性能低下を起こすからである。また、温度の変化や圧力によって、捩じれが発生して、性能に影響を与える。
【0009】
また、高いミリメートル波帯域では楕円形の誘電体レンズを付着して利得を高める方法もあるが、精密なレンズ加工にかかる費用と技術的な難しさのため、電波天文学などのきわめて限定された分野でのみ使われている。
【0010】
図16は、リングスロットアンテナを示す図であり、導体板300、導体板300の下部に位置する誘電体310及び電波を放射するスロット320よりなる。前記リングスロットアンテナは、ミリメートル波周波数帯域でマイクロストリップアンテナに代わる単一平面形放射素子であって、高い周波数でも製作が比較的易しい。そして、前記リングスロットアンテナは、マイクロストリップ伝送線とCPW(Coplanar Waveguide)等の多様な給電方法が採択でき、二重偏波特性のアンテナが容易に具現できる長所がある。しかし、前記アンテナを用いても広い角度で円形偏波の特性を得ることは容易でなく、接地面がアンテナと同じ面上に存在するため、願わない後方への放射がたくさん起る短所がある。現在、二重偏波具現のために、2つの地点で90°角度差をおいてリングスロットに給電する方法を使用しているが、この場合、ビームパターンが指向性で非対称であり望みの軸比特性を得難い。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が達成しようとする技術的課題は、リングスロットを放射素子として使用し、4個のマイクロストリップ伝送線に給電することによって、鉢形のビーム特性を得て、広い角度に対して円形偏波の特性を得られる平面アンテナを提供することである。
【0012】
本発明が達成しようとする他の技術的課題は、アンテナ利得を大きくするために誘電率が小さな空気層を挿入した多層誘電体を用いた平面アンテナを提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記の技術的課題を解決するための本発明による平面アンテナは、自由空間に電波を放射するための導体板と、前記導体板上段に付着される上部誘電体層と、前記上部誘電体層表面に付着されて前記導体板の電波放射のための電流を供給する給電部と、前記導体板下段に付着される下部誘電体層とを含み、前記下部誘電体層は、少なくとも一つの空気層を含む複数の誘電体層よりなり、前記空気層は、前記複数の下部誘電体層の中、二つの誘電体層との間に柱を挿入することによって形成されること、を特徴とする。
【0014】
前記下部誘電体層は、前記上部誘電体層より高い誘電率を有することが好ま しい。
【0015】
前記空気層は、誘電率の大きさが前記空気層の上部及び下部の誘電体層より誘電率が低いことが好ましい。
【0016】
前記空気層の厚さは、前記空気層を通過する電波の波長の1/4で、前記空気層が挿入される二つの誘電体層の厚さは、前記誘電体内の波長の1/4であり、前記導体板は、リングスロット放射素子を具備することが好ましい。
【0017】
前記の技術的課題を解決するための本発明による平面アンテナは、導体をリング形態にあけて形成されたリングスロット放射素子を具備し、前記リングスロット放射素子を通じて電波が放射される導体板と、前記導体板上段に付着され、誘電体よりなる上部誘電体層と、前記上部誘電体層表面に付着され、前記導体板の電波放射のために電流を供給する給電部と、前記導体板下段に付着される下部誘電体層とを含み、前記給電部は、4つのマイクロストリップ伝送線給電構造を有し、4つの各給電点は前記リングスロット放射素子の中心線を基準として0゜、45゜、180゜、225゜に位置し、給電線の長さ調節を通じて、各給電線を通じて供給される給電信号の位相が各々0゜、90゜、0゜、90゜になり、前記下部誘電体層は、少なくとも一つの空気層を含む複数の誘電体層よりなり、前記空気層は、前記複数の下部誘電体層の中、二つの誘電体層との間に柱を挿入することによって形成されること、を特徴とする。
【0018】
前記の技術的課題を解決するための本発明による平面アンテナは、導体をリング形態にあけて形成されたリングスロット放射素子を具備し、前記リングスロット放射素子を通じて電波が放射される導体板と、前記導体板上段に付着され、誘電体よりなる上部誘電体層と、前記上部誘電体層表面に付着され、前記導体板の電波放射のために電流を供給する給電部と、前記導体板下段に付着される下部誘電体層とを含み、前記給電部は、4つのマイクロストリップ伝送線給電構造を有し、4つの各給電点は前記リングスロット放射素子の中心線を基準として0゜、―45゜、180゜、135゜に位置し、給電線の長さ調節を通じて、各給電線を通じて供給される給電信号の位相が各々0゜、90゜、0゜、90゜になり、前記下部誘電体層は、少なくとも一つの空気層を含む複数の誘電体層よりなり、前記空気層は、前記複数の下部誘電体層の中、二つの誘電体層との間に柱を挿入することによって形成されること、を特徴とする。
【0019】
前記下部誘電体層は、前記上部誘電体層より高い誘電率を有することが好ましい。
【0020】
前記複数個の誘電体層は、厚さがλ d /4(λ d :誘電体を通過して放射される電波の波長)になるように形成され、隣接した誘電体層の誘電率差が所定の値より大きく形成されることが好ましい。
【0021】
前記下部誘電体層は、誘電体レンズであることが好ましい。
【0022】
前記導体板のリングスロット放射素子は、少なくとも2次以上の共振モードを形成するようにまわりの長さが決まることが好ましい。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、添付した図面を参照して本発明を詳細に説明する。図1は、本発明によるリングスロット放射器を有する平面アンテナの構造を示す図である。前記平面アンテナは、多層平面構造を有し、上から上部誘電体層400、導体板410及び下部誘電体層420が積層されている形態を有する。導体板410にリング形態の穴をあけて形成されたリングスロット放射素子430が、アンテナとして機能するようにする。リングスロット放射素子430は、正面方向の利得が低い鉢形のビームの特性を得るように、与えられた周波数で2次共振が起こるように設計する。このために、リングスロットの総長さが、スロット内部の管内波長の0.9〜1.1倍になるように設計する。スロットの幅は、スロットの入力インピーダンスを決定するので、アンテナ給電部とのインピーダンスマッチングが容易になるように設計する。スロットの幅が広くなれば給電部とのカップリングがうまくなされて効率が高まるが、広すぎるとラジアル方向の高次モードが発生してビームパターンの歪曲が発生するため、適切に決定する。
【0024】
図2は、導体板410の上段にある上部誘電体層400の表面に導体ストリップを付着してRF回路と連結するマイクロストリップ給電部500を示す図である。マイクロストリップ給電部(アンテナ給電部)500は、対称的であり、広い角度で円形偏波の特性を得られるように4つの地点で給電する。この際、給電位置は、リングスロット放射素子430の中心線a−a’を基準として0゜、45゜、180゜、225゜(または0゜、−45゜、180゜、135゜)であり、各給電点に対して給電電流の位相が,各々0゜、90゜、0゜、90゜になるように給電回路を設計する。このために、RF送受信端と連結された一つの給電マイクロストリップ伝送線から電力分配器を通じて均一に4箇所に分けられるようにする。この際、各々の給電伝送路の長さを調節して、給電電界の位相差を調節し、各電力分配器にはインピーダンス変換部を設けて反射損失を最小化する。また、給電伝送線の長さと幅は、ストリップとスロットのカップリングが最大になるように設計する。
【0025】
導体板410の下段には断層または多層誘電体層を付着したり、楕円体状の誘電体レンズを付着してアンテナの利得を高める。この際、下部誘電体層420の誘電率は上部誘電体層400の誘電率より高いべきであるが、これは、アンテナ放射パターンの前/後方比を高めるためである。
【0026】
スロットアンテナの場合、誘電率が高い方向に多くの電力が放射されるので、導体板410の下段には高い誘電率を有する誘電体層を付着する。この際、誘電体内部では自由空間に放射される電波以外に誘電体表面に沿って伝播する表面波が発生するが、これを最大限抑制するために誘電体層の厚さを波長の1/4にすべきである。
【0027】
図3は、下部誘電体層420の代りに多層の誘電体層を導体板410の下部に付着したリングスロットアンテナの構成を示す図である。ミリメートル波帯域では波長が小さくなって誘電体層が過度に薄くなるため、図3に示すように、1/4波長の厚さを有する数層の誘電体層を積層して導体板410の下段に付着して、厚くしながらも効率低下を抑制できる。この際、前記多層誘電体層の誘電率を高−低−高の分布にすれば、アンテナ利得を高めうる。
【0028】
図4は、下部誘電体層420の代りに多層の誘電体層と誘電体レンズとを導体板410の下部に付着したリングスロットアンテナの構成を示す図である。高利得のビーム特性を得ようとする場合は、導体板410の下段に誘電体レンズ700を付着する。
【0029】
次に、本発明によるリングスロット放射器を有する平面アンテナの動作を説明する。給電伝送線からスロットにカップリングされた高周波信号は、リングスロットに電磁界を誘起させ、スロットに誘起された電磁界は、マグネチック電流源として作用して自由空間に電磁波を放射する。この際、リングスロットまわりの長さが’n* スロット内の波長/2(nは整数)’を満足する場合には、共振モードが形成され、電波エネルギーが空間に最大に放射される。給電回路としてマイクストリップ伝送線を用いる場合、多様な形態の給電回路が構成できて有利である。給電回路方向に電波がたくさん放射されることを防止するために、上側の誘電層はなるべく低い誘電率の物質を使用する。
【0030】
図5は、リングスロット素子の半径に従う放射エネルギー(または放射抵抗)を示すグラフであり、共振モードは、リングスロット素子まわりの長さとスロット内部の電界波形の関係によって放射エネルギーが最大になる時である。1次共振モードではビームが指向性の特性を有するが、2次共振モード、即ちnが2の時は凹状のビーム特性を有し、120゜以上の広い3dBビーム幅を有する。ここでは、2次共振モードのリングスロットの4つの地点0゜、45゜、180゜、225゜に各々位相差を相異にして0゜、90゜、0゜、90゜に給電することによって、左旋回または右旋回円形偏波の特性を得る。0゜、−45゜、180゜、135゜に給電しても同じように円形偏波特性が得られる。
【0031】
一度スロットから放射された波は、誘電体層を経て自由空間に放射されるが、誘電率が高い方の導体板の下段側へより多くの波が放射される。
【0032】
図6は、本発明によるリングスロット放射器を有する平面アンテナの放射特性を理論的に計算した結果を示すグラフである。解析方法は全波分析(full wave analysis)方法を使用した。図6で0゜で空白(null)パターンを示し、3dBビーム幅が120゜以上であることが確認できた。図7は、円形偏波特性を調べるための軸比(Axial ratio) を示すグラフである。完全な円形偏波の場合、垂直方向電界と水平方向電界の比が最大1で、位相差は90゜になるべきである。図7で示すように、広い領域120゜で円形偏波特性を示している。
【0033】
一方、図8は、本発明による蜂の巣層を含む多層誘電体層を用いた平面アンテナの構造を示す図であり、平面アンテナ層30及び多層誘電体層35よりなる。
【0034】
平面アンテナ層30は、自由空間に電波を放射するための導体板34、導体板34の上部に付着される上部誘電体層32、及び上部誘電体層32の上部表面に付着されて、導体板34の電波放射のための電流を供給する給電部33よりなる。給電部33は、通常の平面アンテナの給電部であって、その形態はマイクロストリップパッチアンテナまたはリングスロットアンテナの給電部を有しうる。平面アンテナ層30は、上部誘電体層32上に置かれている導体表面やスロット形態よりなる給電部に電流を誘起させて自由空間に電磁波エネルギーを放射する平面アンテナである。
【0035】
多層誘電体層35は、平面アンテナ層30の放射方向に付着される蜂の巣層37を含む多層の誘電体層よりなり、アンテナの利得を高める。多層誘電体層35は、誘電体よりなり、六角形のセル構造を有する蜂の巣層37、蜂の巣層37の下部に付着され、誘電率が高い誘電体よりなる下部誘電体層38及び蜂の巣層37の上部に付着され、誘電率が高い誘電体よりなる上部誘電体層36よりなる。1/4波長(誘電体内の波長)厚さの誘電体板上に、1/4波長(空気中の波長)厚さの蜂の巣層構造を有する層を載せた後、再び誘電体層を載せる。この方式で願う層数の多層誘電体層が具現できる。
【0036】
一般に、蜂の巣層は、誘電体層表面に付着されて外部的要因、即ち圧力や温度変化に従う誘電体層の変形を防止するために使われてきた。ここでは、蜂の巣層と誘電体を積層して多層誘電体層を構成し、これを平面アンテナに適用する。蜂の巣層37は、誘電体間の接触面が少ないため寄生効果が少なくなり、外部圧力や温度変化に従うアンテナ構造の変形を防止する役割をする。
【0037】
一方、多層誘電体層35を既存の平面アンテナの放射方向に付着し、平面アンテナ層30の放射器の構造はどんな構造でもよい。図9は、多層誘電体層35を適用したマイクロストリップパッチアンテナを示す。図10は、多層誘電体層35を適用したリングスロットアンテナを示す。
【0038】
一方、図11は、本発明の多層誘電体層の構造を示す図であり、平面アンテナ層1450及び多層誘電体層1460よりなる。
【0039】
平面アンテナ層1450は、低誘電率の誘電体1400、誘電体1400の下部に位置し自由空間に電波を放射するための導体板1410、誘電体1400の上部に付着されて導体板1410の電波放射のための電流を供給する給電部1440よりなる。給電部1440は、通常の平面アンテナの給電部であって、その形態はマイクロストリップパッチアンテナまたはリングスロットアンテナの給電部を有することができる。平面アンテナ層1450は、誘電体1400の上に置かれている導体表面やスロット形態でできた給電部に電流を誘起させて、自由空間に電磁波エネルギーを放射する平面アンテナである。
【0040】
多層誘電体層1460は、平面アンテナ層1450に付着され、高誘電率を有する誘電体よりなる上部誘電体層1420、高誘電率を有する誘電体よりなる下部誘電体層1425、上部誘電体層1420と下部誘電体層1425との間に位置し誘電体柱が支持する空気層1430よりなる。上部誘電体層1420及び下部誘電体層1425は、1/4波長(誘電体内の波長)厚さの高い誘電率を有する誘電体板である。前記誘電体板上の4つの角を含むいくつかの地点に1/4波長(空気中の波長)長さの誘電体柱を立て、その上に再び同じ誘電体層を覆う。このような方式で、願う層数の多層誘電体層が具現できる。誘電体柱は、誘電体層と同じ物質より構成でき、誘電率が低い物質で作ることができる。
【0041】
多層誘電体層1460を既存の平面アンテナの放射方向に付着する。ここで、放射器の構造は、どんな構造でもよい。図12は、空気層が挿入された多層誘電体層を用いたマイクロストリップパッチアンテナを示す図であり、空気層を含む多層誘電体層1500及びマイクロストリップパッチアンテナ1510よりなる。符号1520は誘電体層、符号1530は給電部、符号1540は導体層を示す。図13は、空気層が挿入された多層誘電体層を用いたスロットアンテナを示す図であり、空気層を含む多層誘電体層16及びリングスロットアンテナ18よりなる。
【0042】
【発明の効果】
本発明によるリングスロット放射素子を有する平面アンテナは、平面構造に一つの放射素子のみ使用するため、構造が非常に簡単で大きな面積を占めない。マイクロストリップ伝送線を給電として用いて多重給電回路具現が容易で、一つの給電から4箇所に給電するので、MMIC(Monolithic Microwave Integrated Circuit) 回路との連結が容易である。従って、このアンテナは、室内無線通信システムのベース用アンテナに適用できる。
【0043】
そして、室内無線通信システムのベースアンテナとして適した鉢形ビームの特性を得る。この場合、使用者の位置に関係なく受信電界が均一なので、RF増幅器のダイナミックレンジに対する設計条件が緩む。MMIC送受信器の場合は、設計が望みのダイナミックレンジを得難いため、このアンテナがシステム具現に役に立つはずである。
【0044】
また、120゜以上の3dBビーム幅を有し、ビームパターンが対称的で、120゜以上の広い角度で円形偏波の特性を維持する。また,単一放射素子を使用するので小さな空間を占め、製作が容易である。
【0045】
また、平面構造であるので端末器、PDA(Personal Digital Assitant) 、ノート型パソコン等使用者ターミナルの表面に付着でき、アンテナの大量生産ができて、製作コストが低い。また、ミリメートル波の場合で、半導体工程を用いる場合、寄生効果が発生する確率が減るため収率が高まる。
【0046】
また、多層誘電体層を使用する場合、効率が減らないながら厚い平面アンテナの製作ができるので、ミリメートル波用アンテナに適している。
【0047】
一方、多層誘電体層を用いた平面アンテナとして、誘電体層間に空気層を挿入した多層誘電体層を使用することによってアンテナの効率と利得を高め、ミリメートル波帯域でも容易に製作できる。
【0048】
そして、柱を用いた空気層を有する平面アンテナは、誘電体全体面を付ける必要がないため製作が容易で、誘電体間の接触面が少ないため寄生効果が少なくなる。
【0049】
また、多層誘電体層で各誘電体層間の誘電率差が大きいほど、利得が高まる。空気層の誘電率が1(得られる最小の誘電率値)であるので、アンテナ利得が極大化し、前/後方比が高まる。
【0050】
また、蜂の巣層構造を用いた空気層を有する平面アンテナは、既存の平面形アンテナより効率と利得が高くて、誘電体層的な強度に優れる。多層誘電体層の各誘電体層間の誘電率差が大きいほど利得が高まるが、蜂の巣層領域の大部分は空気であるので、実効誘電率は1に近い。従って、アンテナ利得が極大化し、前/後方比が高まる。
【0051】
また、本発明による平面アンテナは、無線通信、レーダー、自動車衝突防止装置などの多様な用途に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるリングスロットアンテナの放射器の構造を示す図である。
【図2】図1の導体板の上段にある上部誘電体層の表面に導体ストリップを付着してRF回路と連結するマイクロストリップ給電部を示す図である。
【図3】図1の下部誘電体層の代りに多層の誘電体層を導体板の下部に付着したリングスロットアンテナの構成を示す図である。
【図4】図1の下部誘電体層の代りに多層の誘電体層と誘電体レンズとを導体板の下部に付着したリングスロットアンテナの構成を示す図である。
【図5】リングスロット素子の半径に従う放射エネルギー(または放射抵抗)を示すグラフである。
【図6】本発明によるリングスロットアンテナの放射特性を理論的に計算した結果を示すグラフであり、(a)はE平面であり、(b)はH平面である。
【図7】円形偏波特性を調べるための軸比を示すグラフであり、(a)はE平面であり、(b)はH平面である。
【図8】本発明による蜂の巣層を含む多層誘電体層を用いた平面アンテナの構造を示す図である。
【図9】図8の多層誘電体層を適用したマイクロストリップパッチアンテナを示す図である。
【図10】図8の多層誘電体層を適用したリングスロットアンテナを示す図である。
【図11】本発明の多層誘電体層の構造を示す図である。
【図12】空気層が挿入された多層誘電体層を用いたマイクロストリップパッチアンテナを示す図である。
【図13】空気層が挿入された多層誘電体層を用いたスロットアンテナを示す図である。
【図14】室内高速移動通信のために提案されたアンテナのビームパターンを示す図である。
【図15】平面アンテナの例を示す図であり、(a)は平面アンテナとして広く使われているマイクロストリップパッチアンテナであり、(b)は多層誘電体層を用いた平面アンテナの一例である。
【図16】リングスロットアンテナを示す図である。
【符号の説明】
16,35,1460,1500・・・多層誘電体層
18・・・リングスロットアンテナ
30,1450・・・平面アンテナ層
32,36,400,1420・・・上部誘電体層
33,1440,1530・・・給電部
34,410,1410・・・導体板
37・・・蜂の巣層
38,420,1425・・・下部誘電体層
430・・・リングスロット放射素子
500・・マイクロストリップ給電部
700・・・誘電体レンズ
1400・・・誘電体
1430・・・空気層
1510・・・マイクロストリップパッチアンテナ
1520・・・誘電体層
1540・・・導体層
Claims (11)
- 自由空間に電波を放射するための導体板と、前記導体板上段に付着される上部誘電体層と、前記上部誘電体層表面に付着されて前記導体板の電波放射のための電流を供給する給電部と、
前記導体板下段に付着される下部誘電体層とを含み、
前記下部誘電体層は、少なくとも一つの空気層を含む複数の誘電体層よりなり、
前記空気層は、前記複数の下部誘電体層の中、二つの誘電体層との間に柱を挿入することによって形成されること、
を特徴とする平面アンテナ。 - 前記下部誘電体層は、前記上部誘電体層より高い誘電率を有することを特徴とする請求項1に記載の平面アンテナ。
- 前記空気層は、誘電率の大きさが前記空気層の上部及び下部の誘電体層より誘電率が低いことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の平面アンテナ。
- 前記空気層の厚さは、前記空気層を通過する電波の波長の1/4で、前記空気層が挿入される二つの誘電体層の厚さは、前記誘電体内の波長の1/4であることを特徴とする請求項1に記載の平面アンテナ。
- 前記導体板は、リングスロット放射素子を具備することを特徴とする請求項1に記載の平面アンテナ。
- 導体をリング形態にあけて形成されたリングスロット放射素子を具備し、
前記リングスロット放射素子を通じて電波が放射される導体板と、
前記導体板上段に付着され、誘電体よりなる上部誘電体層と、
前記上部誘電体層表面に付着され、前記導体板の電波放射のために電流を供給する給電部と、
前記導体板下段に付着される下部誘電体層とを含み、
前記給電部は、4つのマイクロストリップ伝送線給電構造を有し、4つの各給電点は前記リングスロット放射素子の中心線を基準として0゜、45゜、180゜、225゜に位置し、給電線の長さ調節を通じて、各給電線を通じて供給される給電信号の位相が各々0゜、90゜、0゜、90゜になり、
前記下部誘電体層は、少なくとも一つの空気層を含む複数の誘電体層よりなり、
前記空気層は、前記複数の下部誘電体層の中、二つの誘電体層との間に柱を挿入することによって形成されること、
を特徴とする平面アンテナ。 - 導体をリング形態にあけて形成されたリングスロット放射素子を具備し、
前記リングスロット放射素子を通じて電波が放射される導体板と、
前記導体板上段に付着され、誘電体よりなる上部誘電体層と、
前記上部誘電体層表面に付着され、前記導体板の電波放射のために電流を供給する給電部と、
前記導体板下段に付着される下部誘電体層とを含み、
前記給電部は、4つのマイクロストリップ伝送線給電構造を有し、4つの各給電点は前記リングスロット放射素子の中心線を基準として0゜、―45゜、180゜、135゜に位置し、給電線の長さ調節を通じて、各給電線を通じて供給される給電信号の位相が各々 0゜、90゜、0゜、90゜になり、
前記下部誘電体層は、少なくとも一つの空気層を含む複数の誘電体層よりなり、
前記空気層は、前記複数の下部誘電体層の中、二つの誘電体層との間に柱を挿入することによって形成されること、
を特徴とする平面アンテナ。 - 前記下部誘電体層は、前記上部誘電体層より高い誘電率を有することを特徴とする請求項6または7に記載の平面アンテナ。
- 前記複数個の誘電体層は、厚さがλd /4(λd :誘電体を通過して放射される電波の波長)になるように形成され、隣接した誘電体層の誘電率差が所定の値より大きく形成されることを特徴とする請求項6または7に記載の平面アンテナ。
- 前記下部誘電体層は、誘電体レンズであることを特徴とする請求項6または7に記載の平面アンテナ。
- 前記導体板のリングスロット放射素子は、少なくとも2次以上の共振モードを形成するようにまわりの長さが決まることを特徴とする請求項6または7に記載の平面アンテナ。
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