JP4128655B2 - スクロール式流体機械 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば空気圧縮機や真空ポンプ等に用いて好適なスクロール式流体機械に関し、特に、旋回スクロールの旋回半径を可変とする可変クランクが設けられたスクロール式流体機械に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、スクロール式流体機械は、ケーシングと、該ケーシングに設けられ、鏡板に渦巻状のラップ部が立設された固定スクロールと、前記ケーシングに回転可能に設けられた駆動軸と、該駆動軸の先端側に旋回可能に設けられ、鏡板に前記固定スクロールのラップ部と重なり合って複数の圧縮室を画成する渦巻状のラップ部が立設された旋回スクロールとによって大略構成されている。
【0003】
また、昨今のスクロール式流体機械には、特開平9−144674号公報のように、駆動軸の先端側に嵌合穴を設けると共に旋回スクロールにボス部を設け、該駆動軸の嵌合穴と旋回スクロールのボス部との間には、嵌合穴とボス部にそれぞれ嵌合し、該旋回スクロールの旋回半径を可変とする可変クランクを設けたものがある。ここで、可変クランクは、駆動軸の軸線に対して偏心して位置し該駆動軸の先端側に回動可能に挿嵌された第1の軸部と、該第1の軸部の軸線と駆動軸の軸線とに対してそれぞれ偏心して位置し、旋回スクロールに回転可能に接続された第2の軸部とによって大略構成されている。
【0004】
さらに、駆動軸と可変クランクとの間には、該可変クランクによる旋回スクロールの旋回半径の変化量を所定の変化量範囲で規制するストッパが設けられ、該ストッパは、駆動軸側に設けられたピンと、可変クランク側に形成され、微小な隙間を介して該ピンに嵌合するピン穴とによって構成されている。そして、ストッパは、前記ピンとピン穴との間の微小な隙間によって旋回スクロールの旋回半径の変化量範囲を規定している。
【0005】
この種の従来技術によるスクロール式流体機械では、外部から駆動軸を回転駆動し、旋回スクロールを固定スクロールに対して旋回運動させることにより、固定スクロールの外周側に設けた吸込口から空気等の流体を吸込みつつ、この流体を固定スクロールのラップ部と旋回スクロールのラップ部との間に形成される圧縮室内で順次圧縮し、固定スクロールの中心部に設けた吐出口から圧縮流体を吐出する。
【0006】
また、この運転時には、可変クランクが旋回スクロールのラップ部を固定スクロールのラップ部に押付けるように該旋回スクロールの旋回半径を調整し、各ラップ部間に形成される圧縮室の気密性を高めている。さらに、ストッパは、例えばラップ部を覆うように設けられた表面被覆層等が摺動により摩耗してラップ部が露出する前に、旋回スクロールの旋回半径の変位を停止させる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来技術によるスクロール式流体機械では、駆動軸側のピンと、該ピンに微小な隙間を介して嵌合した可変クランク側のピン穴とによってストッパを構成し、該ストッパは、旋回スクロールの旋回半径の変化量を所定の変化量範囲で規制するもので、ラップ部を覆う表面被覆層等の摩耗の進行を摩耗限界で食止めるものである。
【0008】
しかし、表面被覆層の膜厚は例えば数十μm(30μm程度)に設定されているため、ラップ部が露出する前に摩耗の進行を止めるには、旋回スクロールの旋回半径の変化量を数十μmで停止させる必要がある。このため、ストッパを構成するピン、ピン穴をそれぞれ高い精度をもって加工しなくてはならないから、加工作業に多大な労力と時間を要するという問題がある。
【0009】
しかも、駆動軸、固定スクロール、旋回スクロール等を組付けるときの累積公差を考慮した場合、旋回スクロールの旋回半径の変化量が数十μmとなるようにストッパを機能させるのは非常に困難であるという問題がある。
【0010】
これらのことにより、ストッパによって旋回スクロールの旋回半径の変化量を規制するときに遅れが生じる虞れがあり、この場合には表面被覆層が摩耗してラップ部が露出してしまい、各ラップ部間にかじり等が生じてしまうという問題がある。
【0011】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、可変クランクによる旋回スクロールの旋回半径の変化量を所望の位置で確実に規制でき、圧縮性能、寿命等を向上できるようにしたスクロール式流体機械を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明によるスクロール式流体機械は、ケーシングと、該ケーシングに設けられ、鏡板に渦巻状のラップ部が立設された固定スクロールと、前記ケーシングに回転可能に設けられ、先端側に嵌合穴を有する駆動軸と、該駆動軸の先端側に旋回可能に設けられ、鏡板の表面側に前記固定スクロールのラップ部と重なり合って複数の圧縮室を画成する渦巻状のラップ部が立設され、鏡板の背面側にボス部が設けられた旋回スクロールと、前記駆動軸の嵌合穴と該旋回スクロールのボス部とにそれぞれ嵌合して設けられ、該旋回スクロールの旋回半径を可変とする可変クランクとによって構成されている。
【0013】
そして、上述した課題を解決するために、請求項1による発明が採用する構成の特徴は、駆動軸の嵌合穴と可変クランクとの間には、常温状態では駆動軸に対して可変クランクが回動するのを許し、運転時の熱によって加熱されることにより駆動軸に対する可変クランクの回動を規制する回動規制部材を設けたことにある。
【0014】
このように構成したことにより、運転初期段階のような常温状態では回動規制部材が駆動軸に対して可変クランクの回動を許しているから、該可変クランクによって旋回スクロールの旋回半径が変化し、旋回スクロールのラップ部が固定スクロールのラップ部に押付けられる。また、連続して運転を行ない、圧縮熱、摩擦熱等の熱が発生している加熱状態では、この熱が回動規制部材に加わると、該回動規制部材は駆動軸に対する可変クランクの回動を規制するから、可変クランクによる旋回スクロールの旋回半径の変化量を旋回スクロールのラップ部を固定スクロールのラップ部に押付けた適正位置で保持する。
【0015】
請求項2の発明は、回動規制部材は駆動軸の嵌合穴と可変クランクとの間に設けられた熱膨張材料であり、該熱膨張材料は常温状態では駆動軸の嵌合穴と可変クランクとの間に隙間を確保し、運転時の加熱状態では熱膨張によって前記隙間を埋め前記可変クランクの回動位置を一時的に固定する特性を有したことにある。
【0016】
このように構成したことにより、運転初期段階のような常温状態では駆動軸、可変クランクと回動規制部材との間に隙間が確保されるから、可変クランクの回動を許すことができる。また、加熱状態では回動規制部材を熱膨張させて前記隙間を埋め、駆動軸に対する可変クランクの回動位置を一時的に固定することができる。
【0017】
請求項3の発明は、可変クランクには鍔部を設け、駆動軸には嵌合穴の開口側に位置して該鍔部が嵌合する鍔受段部を設け、該鍔受段部は可変クランクが所望の角度だけ回動したときに前記鍔部が当接するように嵌合穴の軸心に対し偏心させて配置したことにある。
【0018】
このように構成したことにより、圧縮運転の停止、開始の繰り返しにより固定スクロール、旋回スクロールのラップ部が当接して摩耗を生じた場合に、例えばラップ部の摩耗限界で鍔部を鍔受段部に当接させることができ、可変クランクによる旋回半径の変位を規制することができる。
【0019】
請求項4の発明は、回動規制部材は駆動軸の嵌合穴と可変クランクとの間に設けられた熱硬化性樹脂材料であり、該熱硬化性樹脂材料は常温状態では駆動軸の嵌合穴と可変クランクとの間に隙間を確保し、運転時の加熱状態で熱膨張によって前記隙間を埋めた状態で硬化した後、可変クランクの回動位置を恒常的に固定する特性を有したことにある。
【0020】
このように構成したことにより、運転初期段階のような常温状態では駆動軸、可変クランクと回動規制部材との間に隙間が確保されるから、可変クランクの回動を許すことができる。また、加熱状態では回動規制部材を熱膨張させて前記隙間を埋めた状態で該回動規制部材が硬化するから、駆動軸に対する可変クランクの回動位置を恒常的に固定することができる。
【0021】
請求項5の発明は、回動規制部材は駆動軸の嵌合穴内周面と可変クランク外周面との間に挿嵌される筒体として形成したことにある。これにより、筒体を熱膨張させることによって可変クランクを径方向から押圧して固定することができる。
【0022】
請求項6の発明は、駆動軸の嵌合穴にはその開口側に可変クランクの軸方向の移動を規制するストッパ部材を設け、回動規制部材は駆動軸の嵌合穴底面と可変クランク端面との間に設けられた板体であり、該板体は加熱状態では熱膨張して前記ストッパ部材との間で可変クランクを固定する構成としたことにある。これにより、板体を熱膨張させることによってストッパ部材との間で可変クランクを軸方向に挟んで固定することができる。
【0023】
請求項7の発明は、固定スクロールのラップ部と旋回スクロールのラップ部のうち少なくとも一方のラップ部には、ラップ部よりも軟質な材料からなる表面被覆層を設けたことにある。
【0024】
これにより、相対するラップ部との摺動摩擦によって表面被覆層の表面が円滑になるから、該表面被覆層によって旋回スクロールのラップ部と固定スクロールのラップ部との間の気密性が向上する。
【0025】
また、上述した課題を解決するために、請求項8による発明が採用する構成の特徴は、可変クランクは熱膨張材料によって形成し、該可変クランクは常温状態では駆動軸の嵌合穴との間に隙間を確保し、運転時の加熱状態では熱膨張によって前記隙間を埋め駆動軸に対する回動位置を一時的に固定する特性を有したことにある。
【0026】
このように構成したことにより、運転初期段階のような常温状態では駆動軸の嵌合穴と可変クランクとの間に隙間が確保されるから、可変クランクは回動すことができる。また、加熱状態では可変クランクが熱膨張して前記隙間を埋めるから、可変クランクは駆動軸に対し回動位置が一時的に固定される。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態によるスクロール式流体機械として無給油式のスクロール式空気圧縮機を例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
【0028】
まず、図1ないし図7は本発明の第1の実施の形態を示し、1はスクロール式空気圧縮機の外殻をなすケーシングで、該ケーシング1は、図2に示す如く、段付の小径筒状に形成された軸受部1Aと、該軸受部1Aの基端側から径方向外向きに延びた円板状の蓋部1Bと、該蓋部1Bの外周側から軸方向に延びた大径部1Cとによって大略構成され、前記大径部1Cにはフランジ部1Dが径方向外向きに突出して設けられている。
【0029】
2はケーシング1の先端側に取付けられた固定スクロールで、該固定スクロール2は、例えばアルミニウム系材料、鉄系材料等の硬質な材料によって形成されている。また、固定スクロール2は、略円板状に形成され、中心が後述する駆動軸3の軸線O1 −O1 (平面上では軸心O1 という)と一致するように配設された鏡板2Aと、該鏡板2Aの外縁側からケーシング1に向け軸方向に延びた筒部2Bと、該筒部2Bの外周側から径方向外側に突出し、ケーシング1のフランジ部1Dと衝合するフランジ部2Cと、前記鏡板2Aの表面側に軸方向に立設された渦巻状のラップ部2Dと、鏡板2Aの背面側に並列に多数立設された放熱板2E,2E,…とによって構成されている。ここで、固定スクロール2のラップ部2Dは、図3、図4に示す如く、加工誤差等によって表面が凹凸形状をなしている。
【0030】
3はケーシング1の軸受部1A内に回転可能に軸支された駆動軸で、該駆動軸3は鉄系材料によって円柱状に形成され、軸線O1 −O1 を中心にして回転駆動する。また、駆動軸3は、基端側が電動モータ(図示せず)等に連結され、先端側がケーシング1の軸受部1A内へと伸長している。さらに、駆動軸3の先端側には、図5、図6に示す如く、後述する可変クランク11の嵌合軸部12が筒体15と一緒に嵌合する有底の嵌合穴4と、該嵌合穴4の開口に位置し、可変クランク11の鍔部14が嵌合する鍔受段部5とが形成されている。
【0031】
ここで、嵌合穴4は、その軸心O2 が駆動軸3の軸心O1 から寸法αだけ偏心した位置となるように配設されている。また、嵌合穴4の内径寸法は、その内周面4Aと筒体15の外周面15Bとの間に後述する隙間δ1 を有する寸法、即ち筒体15の外形寸法よりも隙間δ1 の2倍だけ小さい直径寸法に設定されている。
【0032】
さらに、鍔受段部5は、その軸心O3 が嵌合穴4の軸心O2 から寸法βだけ偏心した位置となるように配設されている。なお、本実施の形態では、鍔受段部5の軸心と鍔部14の軸心とが同じ03 となり、その偏心量が同じ寸法βに設定されているが、鍔受段部5の軸心は嵌合穴4の軸心O2 に対して偏心していればよく、必ずしも鍔部14の軸心と同じ偏心量とする必要はない。また、鍔受段部5の内径寸法は、嵌合穴4の軸心O2 を中心にして可変クランク11が回動したときに、該可変クランク11の鍔部14が所望の回動角度で当接する直径寸法に設定されている。
【0033】
6は固定スクロール2と対向してケーシング1内に旋回可能に設けられた旋回スクロールで、該旋回スクロール6は、例えばアルミニウム系材料、鉄系材料等の硬質な材料によって形成されている。また、旋回スクロール6は、円板状に形成された鏡板6Aと、該鏡板6Aの表面側に軸方向に立設された渦巻状のラップ部6Bと、前記鏡板6Aの背面側に並列に多数立設された放熱板6C,6C,…とによって大略構成されている。また、旋回スクロール6には、各放熱板6Cの先端部に円板状の旋回プレート6Dが設けられ、該旋回プレート6Dの背面側中央にはボス部6Eが突設されている。
【0034】
そして、旋回スクロール6は、固定スクロール2のラップ部2Dに対し、例えば180度だけずらして重なり合うように配設され、両者のラップ部6B,2D間には複数の圧縮室7,7,…が画成される。
【0035】
8は固定スクロール2のラップ部2Dの周面に形成された表面被覆層、9は旋回スクロール6のラップ部6Bの周面に形成された表面被覆層をそれぞれ示し、該表面被覆層8,9はアルミニウム系材料、鉄系材料によって形成されたラップ部2D,6Bよりも軟質な材料、例えば二流化モリブデン、ふっ素系樹脂、りん酸皮膜等の軟質材料によって形成されている。また、表面被覆層8,9は、その膜厚寸法が例えば30μm程度に設定されている。
【0036】
ここで、表面被覆層8,9は、固定スクロール2のラップ部2Dに対し円滑に接して該ラップ部2Dとの間の摩擦抵抗を低減すると共に、各ラップ部2D,6B間の気密性を高めるものである。
【0037】
10は旋回スクロール6の自転を防止する自転防止機構をなす可動プレートで、該可動プレート10は、固定スクロール2と旋回スクロール6の旋回プレート6Dとの間で互いに直交する2軸方向に摺動可能にガイドされている。これにより、可動プレート10は、旋回スクロール6の自転を防止し、該旋回スクロール6に旋回半径εをもった円運動(旋回運動)を与えるようになっており、所謂オルダム継手を構成している。
【0038】
11は駆動軸3の先端側と旋回スクロール6との間に設けられた可変クランクで、該可変クランク11は、従来技術で述べた特開平9−144674号公報に記載された可変クランクとほぼ同様に構成されるものである。
【0039】
そして、可変クランク11は、図7に示すように、駆動軸3の嵌合穴4に嵌合される第1の軸部としての嵌合軸部12と、旋回スクロール6のボス部6E内に回転可能に嵌合した第2の軸部としての偏心軸部13とを有し、嵌合軸部12と偏心軸部13との間は円板状の鍔部14となっている。
【0040】
ここで、可変クランク11は、偏心軸部13の軸線O4 −O4 (図1、図6中に図示)が駆動軸3の軸線O1 −O1 に対して寸法εだけ偏心した位置に配設されている。なお、この偏心寸法εは、可変クランク11の回動位置によって変化する値である。
【0041】
そして、可変クランク11は当該スクロール式空気圧縮機の運転時に駆動軸3と一体となって回転することにより、旋回スクロール6を寸法εの旋回半径をもって旋回運動させるものである。さらに、可変クランク11は、圧縮室7内の圧力と駆動軸3の回転による遠心力との合力を受けることにより、駆動軸3に対して回動しつつ、旋回スクロール6のラップ部6Bを固定スクロール2のラップ部2Dに押付ける。
【0042】
15は駆動軸3の嵌合穴4と可変クランク11の嵌合軸部12との間に設けられた回動規制部材としての筒体で、該筒体15はブッシュ、スリーブ等と言われるものであり、円筒状に形成され、内周面15Aが嵌合軸部12の外周面12Aに嵌着している。また、筒体15の外形寸法は嵌合穴4の内径寸法よりも小さく、該筒体15の外周面15Bと嵌合穴4の内周面4Aとの間には隙間δ1 が形成される。
【0043】
ここで、筒体15は、駆動軸3、可変クランク11を形成する鉄系材料よりも十分に大きな熱膨張率を有する材料、例えばスチレン系熱可塑性樹脂、ポリ塩化ビニル系熱可塑性樹脂等の熱膨張材料によって形成されている。また、筒体15の外周面15Bと嵌合穴4の内周面4Aとの間の隙間δ1 は、当該スクロール式空気圧縮機を連続運転する加熱時では、圧縮室7の圧縮熱、各摺動部位の摩擦熱等による熱で筒体15が熱膨張して当該隙間δ1 を埋め、駆動軸3に対し可変クランク11を径方向から押圧して固定できる寸法に設定されている。
【0044】
本実施の形態によるスクロール式空気圧縮機は上述の如き構成を有するもので、次に、その作動について説明する。
【0045】
まず、電動モータにより駆動軸3を回転させると、旋回スクロール6は駆動軸3を中心として旋回半径εをもった旋回運動を行い、固定スクロール2のラップ部2Dと旋回スクロール6のラップ部6Bとの間に画成された圧縮室7,7,…が連続的に縮小する。これにより、固定スクロール2の外周側に設けられた吸込口16を通って外周側の圧縮室7内に空気が吸込まれ、この空気は旋回スクロール6が旋回運動する間に各圧縮室7内で順次圧縮され、最後に中心側の圧縮室7から固定スクロール2の中央に設けられた吐出口17を介して外部の空気タンク(図示せず)に供給される。また、この圧縮運転時には、可変クランク11によって旋回スクロール6のラップ部6Bを固定スクロール2のラップ部2Dに押付けるようにしている。
【0046】
ここで、上述したスクロール式空気圧縮機の運転時において、運転初期段階のような常温状態では、筒体15の外周面15Bと回動軸3の嵌合穴4との間に隙間δ1 が確保されているから、可変クランク11は駆動軸3に対して回動することができ、旋回スクロール6のラップ部6Bを固定スクロール2のラップ部2Dに押付けて気密性を高めることができる。
【0047】
また、このときには、図4に示すように、固定スクロール2のラップ部2Dに形成された表面被覆層8、旋回スクロール6のラップ部6Bに形成された表面被覆層9が互いに摺接して表面を滑らかにする。
【0048】
さらに、スクロール式空気圧縮機の運転を連続して行なっている加熱時には、圧縮室7の圧縮熱、各摺動部位の摩擦熱等の熱によって筒体15が加熱されると、該筒体15が熱膨張して隙間δ1 を埋めるから、駆動軸3に対し可変クランク11を径方向から押圧して固定することができる。これにより、可変クランク11による旋回スクロール6の旋回半径εを適正位置で保持することができ、高気密性を持続することができる。
【0049】
また、圧縮運転を停止し、筒体15が常温状態になると、該筒体15が収縮するから、筒体15と回動軸3の嵌合穴4との間に隙間δ1 が形成される。
【0050】
また、圧縮運転の停止、開始を繰り返すことにより、固定スクロール2のラップ部2Dの表面被覆層8と旋回スクロール6のラップ部6Bの表面被覆層9とが当接することによる該各表面被覆層8,9の摩耗が進行する。ここで、この摩耗が持続して進行する場合にはラップ部2D,6Bが露出することとなる。
【0051】
しかし、本実施の形態においては、ラップ部2D,6Bが露出する前、即ち、ラップ部2D,6Bの歯厚が所定値以下になる前(摩耗限界)に、可変クランク11の鍔部14が駆動軸3の鍔受段部5に当接し、旋回スクロール6の旋回半径の変位が規制されるので、表面被覆層8,9の摩耗の進行を止めることができる。
【0052】
以上のように、本実施の形態によれば、運転初期段階のような常温状態では、筒体15と駆動軸3の嵌合穴4との間に隙間δ1 を形成することにより、可変クランク11の回動を許し、旋回スクロール6のラップ部6Bを固定スクロール2のラップ部2Dに押付けて圧縮室7の気密性を高めることができる。しかも、連続して運転を行なっている加熱時には、筒体15を熱膨張させて隙間δ1 を埋め、駆動軸3に対し可変クランク11の回動位置を固定することができる。
【0053】
これにより、圧縮運転時には、加工精度の固体差に関係なく、固定スクロール2のラップ部2Dと旋回スクロール6のラップ部6Bとの間を自動的に高気密状態で保持することができるから、圧縮効率、寿命の向上を図ることができる。また、ラップ部2D,6B間の騒音を低減することができる。
【0054】
しかも、従来技術のように高精度の加工を必要としない上に、組付け時の累積公差を許容することができるから、組立作業等の作業性の向上、製造コストの低減を図ることができる。
【0055】
また、駆動軸3の鍔受段部5と可変クランク11の鍔部14とにより、該可変クランク11の回動量を規制することができるから、ラップ部2D,6Bの表面被覆層8,9が摩耗してラップ部2D,6Bが露出するのを防止でき、ラップ部2D,6B間のかじりを防止することができると共に、ラップ部2D,6B自体が摩耗し、その強度が所定値以下まで低下するのを防止することができる。
【0056】
次に、図8は本発明の第2の実施の形態を示すに、本実施の形態の特徴は、回動規制部材を駆動軸の嵌合穴と可変クランクとの間に設けられた熱硬化性樹脂材料によって形成し、該熱硬化性樹脂材料は例えばフェノール樹脂、エポキシ樹脂といった常温状態では駆動軸の嵌合穴と可変クランクとの間に隙間を確保し、運転時の加熱状態では熱膨張によって前記隙間を埋めた状態で硬化して可変クランクの回動位置を恒常的に固定する特性を有したことにある。なお、本実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0057】
21は第1の実施の形態による筒体15に代えて用いられた本実施の形態による筒体で、該筒体21は、第1の実施の形態による筒体15とほぼ同様に、円筒状に形成され、嵌合軸部12に嵌着している。また、筒体21と嵌合穴4との間には隙間δ1 が形成される。
【0058】
しかし、本実施の形態による筒体21は、駆動軸3、可変クランク11を形成する鉄系材料よりも十分に大きな熱膨張率を有し、かつ連続運転時に加熱されて例えば80〜100℃以上となったときに硬化する特性を有した材料、例えばフェノール系樹脂、エポキシ系樹脂等の熱硬化性樹脂材料によって形成されている点で第1の実施の形態による筒体15と相違している。
【0059】
かくして、このように構成された本実施の形態においても、前記第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができるが、特に、本実施の形態では、最初の連続運転で設定した旋回スクロール6の旋回半径を恒常的に維持することができるから、表面被覆層8,9の摩耗を最小限に抑えることができ、高気密性を持続できる上に、寿命を延ばすことができる。
【0060】
次に、図9は本発明の第3の実施の形態を示すに、本実施の形態の特徴は、駆動軸の嵌合穴開口側に可変クランクの軸方向の移動を規制するストッパ部材を設け、回動規制部材を駆動軸の嵌合穴底面と可変クランク端面との間に設けられた板体とし、該板体は加熱状態では熱膨張して前記ストッパ部材との間で可変クランクを固定する構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0061】
31は第1の実施の形態による駆動軸3に代えて用いられた本実施の形態による駆動軸で、該駆動軸31には、第1の実施の形態による駆動軸3とほぼ同様に、嵌合穴32、鍔受段部33が形成されている。しかし、本実施の形態による駆動軸31は、前記嵌合穴32が第1の実施の形態による嵌合穴4よりも深く形成されている点で第1の実施の形態による駆動軸3と相違している。
【0062】
34は第1の実施の形態による可変クランク11に代えて用いられた本実施の形態による可変クランクで、該可変クランク34は、前記第1の実施の形態による可変クランク11とほぼ同様に、嵌合軸部35、偏心軸部36、鍔部37によって構成されている。しかし、本実施の形態による可変クランク34は、嵌合軸部35の外周面35Aと駆動軸31の嵌合穴32の内周面32Aとの間に僅かな隙間を有する程度に大径に形成されている点、鍔部37が薄肉に形成されている点で第1の実施の形態による可変クランク11と相違している。
【0063】
38は駆動軸31の先端側に位置して嵌合穴32の開口側に設けられたストッパ部材としてのストッパプレートで、該ストッパプレート38は、可変クランク34の偏心軸部36を囲む円環状に形成され、その内周側が可変クランク34の鍔部37に係合することにより、該可変クランク34の軸方向上側への移動を規制している。
【0064】
39は嵌合穴32の底面32Bと嵌合軸部35の端面35Bとの間に設けられた回動規制部材としての板体で、該板体39は、シム、スペーサ等と言われるものであり、前記第1の実施の形態による筒体15と同様に、駆動軸31、可変クランクを形成する材料よりも十分に大きな熱膨張率を有する熱膨張材料によって円板状に形成されている。
【0065】
そして、板体39は、圧縮室7の圧縮熱、各摺動部位の摩擦熱等による加熱時には、この熱で熱膨張することにより、可変クランク34の鍔部37とストッパプレート38との間の隙間δ2 と、嵌合軸部35の端面35Bと板体39の上端面39Aとの間の隙間δ3 を埋め、駆動軸31に対し可変クランク34を軸方向から挟んで固定するものである。
【0066】
かくして、このように構成された本実施の形態においても、前記第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。
【0067】
なお、第1の実施の形態では、円筒状の筒体15の内周面15Aを嵌合軸部12の外周面12Aに嵌着し、外周面15Bと嵌合穴4の内周面4Aとの間に隙間δ1 を形成した場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、図10に示す第1の変形例の如く、筒体41の外周面41Bを嵌合穴4の内周面4Aに嵌着し、内周面41Aと嵌合軸部12の外周面12Aとの間に隙間δ4 を形成してもよい。
【0068】
また、筒体の外周面と嵌合穴の内周面との間、筒体の内周面と嵌合軸部の外周面との間の両方に隙間を形成してもよい。これらの構成は、第2の実施の形態にも適用することができる。
【0069】
また、各実施の形態では、駆動軸3,31と可変クランク11,34との間に熱膨張材料によって形成された筒体15,21,41、板体39を設ける構成としているが、本発明はこれに限らず、例えば、図11に示す第2の変形例の如く、可変クランク51を駆動軸3よりも十分に大きな熱膨張率を有する熱膨張金属材料によって形成してもよい。この場合には、可変クランク51の嵌合軸部52を大径にし、該嵌合軸部52と駆動軸3の嵌合穴4との間に隙間δ1 を設ける構成とすればよく、偏心軸部53、鍔部54は各実施の形態と同様の形状となっている。
【0070】
また、第3の実施の形態では、板体39を大きな熱膨張率を有する熱膨張材料によって形成した場合を例示したが、これに替えて、板体39を大きな熱膨張率を有し、かつ加熱されることにより硬化する特性を有した熱硬化性樹脂材料によって形成してもよい。
【0071】
また、第1の実施の形態では、熱膨張率の大きな材料としてスチレン系熱可塑性樹脂、ポリ塩化ビニル系熱可塑性樹脂等の熱膨張材料を用いた場合を例示したが、本発明はこれに限らず、例えば形状記憶合金、セラミックス等の他の熱膨張材料を用いてもよい。
【0072】
さらに、各実施の形態では、スクロール式流体機械としてスクロール式空気圧縮機を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、例えば真空ポンプ、冷媒圧縮機等にも広く適用することができる。
【0073】
【発明の効果】
以上詳述した通り、請求項1の発明によれば、運転初期段階のような常温状態では回動規制部材によって駆動軸に対する可変クランクの回動を許すことにより、該可変クランクによって旋回スクロールの旋回半径を変化させ、旋回スクロールのラップ部を固定スクロールのラップ部に押付けて隙間を適正状態とすることができる。また、連続して運転を行ない、圧縮熱、摩擦熱等の熱が発生している加熱状態では、この熱によって回動規制部材が加熱されることにより、該回動規制部材によって駆動軸に対する可変クランクの回動を規制することができるから、可変クランクによる旋回スクロールの旋回半径の変化量を適正位置で保持することができる。
【0074】
この結果、運転時には、加工精度の固体差に関係なく、固定スクロールのラップ部と旋回スクロールのラップ部との間を自動的に高気密状態に保持することができるから、圧縮効率、寿命等を向上することができる。しかも、組付け時の累積公差を許容することができるから、組立作業等の作業性の向上、製造コストの低減を図ることができる。
【0075】
請求項2の発明によれば、運転初期段階のような常温状態では駆動軸、可変クランクと回動規制部材との間に隙間を確保できるから、可変クランクの回動を許すことができる。また、加熱状態では回動規制部材を熱膨張させて前記隙間を埋め、駆動軸に対する可変クランクの回動位置を一時的に固定することができる。これにより、毎回の圧縮運転時には各ラップ部間の気密性を高めて圧縮効率を向上することができる。
【0076】
請求項3の発明によれば、圧縮運転の停止、開始の繰り返しにより固定スクロール、旋回スクロールのラップ部が当接して摩耗を生じた場合に、例えばラップ部の摩耗限界で鍔部を鍔受段部に当接させ、可変クランクによる旋回半径の変位を規制することができるから、ラップ部の異常摩耗やかじり等を防止でき、寿命を延ばすことができる。
【0077】
請求項4の発明によれば、運転初期段階のような常温状態では駆動軸、可変クランクと回動規制部材との間に隙間を確保できるから、可変クランクの回動を許すことができる。また、加熱状態では回動規制部材を熱膨張させて前記隙間を埋めた状態で該回動規制部材を硬化させることにより、駆動軸に対する可変クランクの回動位置を恒常的に固定することができる。これにより、最初の圧縮運転時における各ラップ部間の高気密性を維持でき、圧縮効率を向上することができる。
【0078】
請求項5の発明によれば、回動規制部材を駆動軸の嵌合穴内周面と可変クランク外周面との間に挿嵌される筒体として形成しているから、筒体を熱膨張させることにより可変クランクを径方向から押圧して固定することができる。
【0079】
請求項6の発明によれば、駆動軸の嵌合穴開口側に可変クランクの軸方向の移動を規制するストッパ部材を設け、回動規制部材を駆動軸の嵌合穴底面と可変クランク端面との間に設けられた板体として形成し、該板体は加熱状態では熱膨張して前記ストッパ部材との間で可変クランクを固定する構成としているから、板体を熱膨張させることによって可変クランクをストッパ部材との間で軸方向に挟んで固定することができる。
【0080】
請求項7の発明によれば、固定スクロールのラップ部と旋回スクロールのラップ部のうち少なくとも一方のラップ部に、ラップ部よりも軟質な材料からなる表面被覆層を設けているから、相対するラップ部との摺動摩擦によって表面被覆層の表面を円滑にでき、該表面被覆層によって旋回スクロールのラップ部と固定スクロールのラップ部との間の気密性を向上することができる。
【0081】
請求項8の発明によれば、運転初期段階のような常温状態では駆動軸の嵌合穴と可変クランクとの間に隙間を確保できるから、可変クランクを回動させることができる。また、加熱状態では可変クランクを熱膨張させて前記隙間を埋めることができるから、駆動軸に対する可変クランクの回動位置を一時的に固定することができる。これにより、毎回の圧縮運転時には各ラップ部間の気密性を高めて圧縮効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態によるスクロール式空気圧縮機を示す縦断面図である。
【図2】図1中のケーシング、駆動軸、旋回スクロール、可変クランク等を示す分解斜視図である。
【図3】運転の初期段階における固定スクロールのラップ部、旋回スクロールのラップ部、表面被覆層を拡大して示す図1中の矢示 III−III 方向断面図である。
【図4】圧縮運転によって表面被覆層が摩耗した状態を示す図3と同様位置からみた断面図である。
【図5】図1中の駆動軸、可変クランク、筒体を拡大して示す要部拡大縦断面図である。
【図6】駆動軸、可変クランク、筒体を示す図5の平面図である。
【図7】駆動軸、可変クランク、筒体を分解した状態で示す示す分解縦断面図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態による筒体を駆動軸、可変クランクと一緒に示す図5と同様位置からみた要部拡大縦断面図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態による駆動軸、可変クランク、板体を示す図5と同様位置からみた要部拡大縦断面図である。
【図10】本発明の第1の変形例による筒体を示す図5と同様位置からみた要部拡大縦断面図である。
【図11】本発明の第2の変形例による可変クランクを示す図5と同様位置からみた要部拡大縦断面図である。
【符号の説明】
1 ケーシング
2 固定スクロール
2A,6A 鏡板
2D,6B ラップ部
3,31 駆動軸
4,32 嵌合穴
4A,32A,15A,41A 内周面
5,33 鍔受段部
6 旋回スクロール
7 圧縮室
8,9 表面被覆層
11,34,51 可変クランク
12,35,52 嵌合軸部
12A,35A,15B,41B 外周面
14,37,54 鍔部
15,21,41 筒体(回動規制部材)
32B 底面
35B 端面
38 ストッパプレート(ストッパ部材)
39 板体(回動規制部材)
δ1 ,δ2 ,δ3 ,δ4 隙間
Claims (8)
- ケーシングと、該ケーシングに設けられ、鏡板に渦巻状のラップ部が立設された固定スクロールと、前記ケーシングに回転可能に設けられ、先端側に嵌合穴を有する駆動軸と、該駆動軸の先端側に旋回可能に設けられ、鏡板の表面側に前記固定スクロールのラップ部と重なり合って複数の圧縮室を画成する渦巻状のラップ部が立設され、鏡板の背面側にボス部が設けられた旋回スクロールと、前記駆動軸の嵌合穴と該旋回スクロールのボス部とにそれぞれ嵌合して設けられ、該旋回スクロールの旋回半径を可変とする可変クランクとを備えたスクロール式流体機械において、
前記駆動軸の嵌合穴と可変クランクとの間には、常温状態では前記駆動軸に対して可変クランクが回動するのを許し、運転時の熱によって加熱されることにより前記駆動軸に対する可変クランクの回動を規制する回動規制部材を設けたことを特徴とするスクロール式流体機械。 - 前記回動規制部材は前記駆動軸の嵌合穴と可変クランクとの間に設けられた熱膨張材料であり、該熱膨張材料は常温状態では前記駆動軸の嵌合穴と可変クランクとの間に隙間を確保し、運転時の加熱状態では熱膨張によって前記隙間を埋め前記可変クランクの回動位置を一時的に固定する特性を有する請求項1に記載のスクロール式流体機械。
- 前記可変クランクには鍔部を設け、前記駆動軸には嵌合穴の開口側に位置して該鍔部が嵌合する鍔受段部を設け、該鍔受段部は前記可変クランクが所望の角度だけ回動したときに前記鍔部が当接するように前記嵌合穴の軸心に対し偏心させて配置してなる請求項2に記載のスクロール式流体機械。
- 前記回動規制部材は前記駆動軸の嵌合穴と可変クランクとの間に設けられた熱硬化性樹脂材料であり、該熱硬化性樹脂材料は常温状態では前記駆動軸の嵌合穴と可変クランクとの間に隙間を確保し、運転時の加熱状態で熱膨張によって前記隙間を埋めた状態で硬化した後、前記可変クランクの回動位置を恒常的に固定する特性を有する請求項1に記載のスクロール式流体機械。
- 前記回動規制部材は前記駆動軸の嵌合穴内周面と前記可変クランク外周面との間に挿嵌される筒体として形成してなる請求項1,2,3または4に記載のスクロール式流体機械。
- 前記駆動軸の嵌合穴にはその開口側に前記可変クランクの軸方向の移動を規制するストッパ部材を設け、前記回動規制部材は前記駆動軸の嵌合穴底面と可変クランク端面との間に設けられた板体であり、該板体は加熱状態では熱膨張して前記ストッパ部材との間で可変クランクを固定する構成としてなる請求項1,2,3または4に記載のスクロール式流体機械。
- 前記固定スクロールのラップ部と前記旋回スクロールのラップ部のうち少なくとも一方のラップ部には、ラップ部よりも軟質な材料からなる表面被覆層を設けてなる請求項1,2,3,4,5または6に記載のスクロール式流体機械。
- ケーシングと、該ケーシングに設けられ、鏡板に渦巻状のラップ部が立設された固定スクロールと、前記ケーシングに回転可能に設けられ、先端側に嵌合穴を有する駆動軸と、該駆動軸の先端側に旋回可能に設けられ、鏡板の表面側に前記固定スクロールのラップ部と重なり合って複数の圧縮室を画成する渦巻状のラップ部が立設され、鏡板の背面側にボス部が設けられた旋回スクロールと、前記駆動軸の嵌合穴と該旋回スクロールのボス部とにそれぞれ嵌合して設けられ、該旋回スクロールの旋回半径を可変とする可変クランクとを備えたスクロール式流体機械において、
前記可変クランクは熱膨張材料によって形成し、該可変クランクは常温状態では前記駆動軸の嵌合穴との間に隙間を確保し、運転時の加熱状態では熱膨張によって前記隙間を埋め駆動軸に対する回動位置を一時的に固定する特性を有することを特徴とするスクロール式流体機械。
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