JP4127883B2 - 回折レンズの設計方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、屈折レンズのレンズ面上に回折レンズを形成する場合に適した回折レンズの設計方法に関し、より詳しくは、一般的な光軸に斜めに入射する光束がある場合の回折屈折ハイブリッドレンズの設計方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
単レンズで色収差を補正するために、屈折レンズの曲面であるレンズ面上に回折レンズ作用を持つ輪帯構造を形成したレンズが従来から知られている。例えば、特開平6−242373号公報には屈折レンズの表面に回折レンズ構造を形成した光ディスク装置用の対物レンズが開示されている。
【0003】
また、特開平8−171052号公報には、スウェットモデルを利用した高屈折率法により回折レンズを非常に高い屈折率を持つ薄膜として設計し、これに基づいて輪帯の段差を設ける位置、段差の量を決定すると共に、段差間の輪帯表面のサグ量をベースになる屈折レンズのサグ量と回折レンズ構造のサグ量の和として求める設計方法が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
これら以外にも、回折レンズを利用したレンズ設計の従来例はいくつか知られているが、微細形状の決定法や数値データを示しているものは、上記2公報の様に光ディスク用として設計されているもの以外には知られていない。
特開平6−242373号公報に記載の対物レンズは、各輪帯毎に非球面係数を決めているため計算が煩雑になる。また、特開平8−171052号公報に開示されている計算では、輪帯内での回折レンズ構造のサグ量の変化を s(z)-(r(z)2−H2)1/2という、球面を表す形式の表現を用いて定義しているため、回折レンズのパワーが0に近い部分、即ち曲率半径rが非常に大きくなる部分が存在するときに誤差が大きくなることと、2次関数による表現であることから、得られる性能にも限界があり、特開平6−242373号公報に開示される方法により得られる回折レンズ構造と比較すると発生する収差の量が大きいという問題がある。
【0005】
この発明は、上述した従来技術の課題に鑑みてなされたものであり、各輪帯毎に非球面係数を決定する(特開平6−242373号公報に開示)ほど煩雑ではなく、特開平8−171052号公報に開示される方法によるよりは表現上の誤差による収差の発生を抑えることができ、さらに平行光束以外の入射光にも対応し、一般的な、画角のあるレンズでも回折効率を最大にする微細形状を決定することができる回折レンズの設計方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明にかかる回折レンズの設計方法は、レンズ面上の点の前記回折レンズの作用を通過光線に対する光路長付加量として表すステップと、前記回折レンズの巨視的な形状から面の傾きを求めるステップと、予定される前記レンズ面上の点に入射する光線束の平均的入射角度の余弦を求めるステップと、前記平均的入射角度の余弦より単位波長分に相当する光軸方向の面のシフト量を求めるステップと、前記光路長付加量に基づいて、前記点の光軸方向シフトにより与えるべき実光路差量を求めるステップと、前記単位波長分に相当する光軸方向のシフト量と前記光路差とに基づいて前記レンズ面上の点における光軸方向シフト量を決定するステップと、を備えることを特徴としている。
【0007】
別の観点からは、本発明に係る屈折レンズのレンズ面上に形成される回折レンズの設計方法は、前記回折レンズの作用を光軸からの高さを変数として多項式の光路差関数として表すステップと、該光路差関数に基づいて段差となる輪帯の切り換え点を決定するステップと、前記回折レンズの巨視的な形状から輪帯毎の光線の入射角度を求めるステップと、輪帯毎に光路差の単位波長分に相当する光軸方向のシフトを前記入射角度に基づいて求めるステップと、前記光路差関数に基づいて各輪帯で与えるべき光路差を求めるステップと、前記光軸方向のシフトと前記光路差とに基づいて前記各輪帯毎の微視的形状を決定するステップと、を備えることを特徴としている。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、この発明にかかる回折レンズの設計方法の実施形態を説明する。まず、対象となる回折レンズが形成された回折屈折ハイブリッドレンズの構成を説明する。上述のように、本発明は、画角のあるレンズ(即ち、光軸に対して斜めに入射する光線がある場合)に対しても適用可能であるが、まず入射光線が光軸に対して平行と考えることのできる光ディスク装置用の対物レンズについて説明し、次に、一般的な、例えばCCD等の受光デバイス上に像を形成するための集光レンズについて説明する。
【0009】
図1は、本発明が適用される回折レンズ10を示す図である。レンズ10は、例えば、CCD等の受光デバイス上に像を形成するための集光レンズ、あるいは光ディスク装置のピックアップ用対物レンズとして用いられる正レンズである。図1(A)はレンズ10の正面図、(B)はレンズ10の巨視的形状を示す側面図、(C)はレンズ10の微視的形状を示すための一部拡大側面図である。
【0010】
レンズ10は、巨視的に見て共に中心から周辺に向けて曲率半径が大きくなる非球面である2つのレンズ面11,12を有する両凸の単レンズである。レンズ10の一方のレンズ面11には、図1(A)に示したように、光軸を中心とする多数の同心円状の輪帯を備える回折レンズが形成されている。回折レンズは、フレネルレンズのように各輪帯の境界に光軸方向の段差を持つ。この段差の高さは、利用する回折光の次数と波長とに応じて決定される。なお、回折レンズは曲面上に設定することができるので、本実施の形態においては、回折レンズを形成するためにレンズの一方の面を平面にすることはしない。図1に示す例では平行光束の入射側の面に回折レンズを設けている。
【0011】
次に、上記のような回折レンズの設計方法について説明する。実施形態の方法は、フレネルタイプの回折レンズを曲面である屈折レンズのレンズ面に付加する際の設計方法であり、より詳細には、位相関数法によって得られた巨視的形状と光路差関数、またはスウェットモデルで得られた高屈折率薄膜層の巨視的形状と、回折構造を作る媒質の屈折率とから具体的な加工形状を得る方法である。
【0012】
前述のように、回折と屈折とが混在したレンズの設計法として、巨視的な形状と回折レンズのパワーとを分離して設計する方法として種々の方法が知られており、その代表的なものとして、スウェットモデルを利用する高屈折率法や位相関数法が知られている。スウェットモデルを利用した高屈折率法は、回折レンズの屈折力をその巨視的形状を示す薄い膜状の屈折レンズに置換して計算するモデルである。この方法は、ウルトラハイインデックス法とも呼ばれ、回折パワーを屈折パワーに置き換えるため、非常に高い屈折率を薄膜に与える。スウェットモデルを用いることにより、既存のレンズ設計プログラムで回折レンズを扱うことができるようになる。本設計法でスウェットモデルを用いて設計する場合、最終的形状を求める手順の途中で光路差関数を得るステップがある。一方、位相関数法で設計する場合には巨視的形状と光路差関数が、通常の収差補正のための設計の終了時に得られる。以下の説明では、スウェットモデルを用いて設計する場合を例に設計手順を示す。
【0013】
スウェットモデルによる回折レンズの設計自体は前述の公報(特開平8−171052号公報)にも記載されるように、従来から知られている。ただし、スウェットモデルにより得られるデータは薄膜の両面の巨視的形状であるため、スウェットモデルにより得られた薄膜レンズの作用を実現するためにどのようなピッチでどのようなステップを持つ輪帯を形成すればよいかはスウェットモデルを用いて得られたデータだけからは判断できない。本実施形態では、このスウェットモデルにより得られた薄膜レンズを具体的な輪帯群を有する回折レンズに変換する手順を示す。
【0014】
まず、前提となるスウェットモデルによる回折レンズの設計について簡単に説明する。
スウェットモデルを用いた高屈折率法により回折レンズ設計で光線追跡をする際には、回折レンズを表す薄膜の屈折率は高いほど望ましい。しかし、現実には使用するソフトウェアの計算精度の限界による有効桁数の減少と、モデルとなる薄膜の屈折率が有限の値を取ることによるシミュレーションの誤差とのバランスを考えて屈折率を設定する必要がある。具体的には、薄膜の屈折率は例えば500〜100万程度の間でプログラムの精度に応じて設定する。
【0015】
スウェットモデルにおける薄膜の屈折率nは使用光線の波長λの関数としての特性を持たせるため、n(λ)=λ×C+1で定義することが望ましい。Cは任意の定数である。これにより、薄膜の厚さの変化に対する波長単位の光路差のシフト量が波長によらずに一定になる。また、計算を分かり易くするためには、n(λ)=λ×10s+1で設定することが好ましい。ここでsは、屈折率nが上記の屈折率範囲を満たす範囲で定められる任意の数である。例えば、ブレーズ化される波長λをd線の波長587.56nmとし、sを6に設定すると、薄膜の屈折率は588.56となり、薄膜の厚さ1nm当たりの光路差のシフト量が1λとなる。この様に関数を設定することにより、設計者にとって屈折率と波長との対応がわかりやすくなると共に、薄膜層の面に垂直な方向の厚さと、光路長のシフト量とが簡単な関係として表現される。
【0016】
なお、上記の式の「1」は、空気の屈折率であり、薄膜として表されている部分が実際の輪帯構造に加工された際に空気になること、すなわち、輪帯構造が薄膜とレンズとの境界面に形成されることを意味する。薄膜として表されている部分が実際の加工後にレンズ材料で埋まる場合、すなわち、薄膜と空気との境界面に輪帯構造が形成される場合には、「1」に代えてレンズの屈折率、例えば「1.5」を用いる。ただし、このような定数の違いは、設定される屈折率が比較的低く、回折作用を表現する薄膜の厚さが厚くなってしまう場合には結果に影響するが、薄膜の屈折率が10000以上に設定されている場合にはほとんど影響しない。
【0017】
スウェットモデルを用いた回折レンズの設計においては、まず、回折レンズを屈折レンズのどの面に設けるかを決定する。レンズのある面に回折格子を形成する場合、回折レンズにより補正すべき収差の種類により、また、加工の容易さに鑑みていずれの面に形成するかを決定する。従来、回折格子は、平面に付されるのが一般的であったが、超精密旋盤を用いれば平面以外の球面あるいは非球面に回折格子を付することも可能となる。本実施の形態においては、前述のように、回折レンズを曲面に形成する。
【0018】
スウェットモデルによる設計では回折レンズは薄膜として表現されるため、回折レンズの微細形状やパワーは現れない。そこで、スウェットモデルにより得られた薄膜データを具体的な回折レンズ構造に展開する途中のステップとして、光路差関数を作成する。光路差関数とは、薄膜内を進む光線と、薄膜がなかった場合の光線との光路差を光線が薄膜に入射する点の光軸からの距離hを変数として示す関数である。スウェットモデルでは、薄膜内を進む光線と、薄膜がなかった場合の光線との光路長の差が、回折レンズの光路長の飛び値である。すなわち、光路差関数を作成するためには、この光路長の飛び値を求めることになる。なお、光軸について回転対称な光学系では、レンズ上の位置は光軸からの距離hのみで表しても良いので、光路差はhの関数として表現される。
【0019】
空気、あるいはレンズ等の屈折率n0を持つ他の媒質から薄膜に対して入射角度θ0で入射する光線は、屈折の法則「n0・sinθ0=n1・sinθ1」に従って屈折角θ1で薄膜中を進むこととなる。ただし、スウェットモデルでは薄膜の屈折率n1が他の媒質の屈折率n0と比較して著しく大きいため、入射角度θ0の大小に拘わらず、屈折角θ1はほぼ0度となる。すなわち、薄膜に対してどのような角度で入射した光線も、薄膜中ではほぼ入射点での法線に沿って進むこととなる。したがって、光線が入射する面の法線に沿う方向における薄膜の厚さを各点で求めれば、光路差関数を得ることができる。実際には、光軸からの距離hが異なる10点程度の位置で法線に沿う薄膜の厚さを計算して求め、この結果を多項式近似することにより光路差関数を求めることができる。
【0020】
なお、スウェットモデルによる設計では、回折レンズ構造が付される屈折レンズのレンズ面(ベースカーブ)が曲面である場合には、設計時に面の定義に用いた関数の次数より高次の光路差成分が発生する。従って、スウェットモデルを利用した場合の光路差関数は2次関数では十分に近似することができない。少なくとも4次関数、可能であれば、8次関数程度の精度で近似することが望ましい。
【0021】
光路差関数の近似誤差は、そのまま波面収差となる。ほとんどの光学系では波面の誤差は0.01λ程度は許容できると考えられる。表1、表2に示されるレンズデータの場合では、8次までの展開で誤差が最大でl/1000λになり、8次関数を用いれば精度的には十分であった。6次までの展開では誤差は最大0.02λになる。最大誤差がこの程度となるのが光ディスク用の対物レンズの微細形状を作る場合に必要とされる精度であり、4次までの展開では若干精度不足である。光路差関数の2次の項P2と回折レンズの焦点距離fDは波長をλとして次式、fD=−l/(2・P2・λ)の関係になる。
【0022】
光路差関数が決定されると、この光路差関数に基づいて各輪帯の切り替え点の光軸からの距離を求める。切り替え点は、前記の公報に開示されるように薄膜を透過する光線の光路長が波長の整数倍になる位置として定義してもよいが、より一般的に、光路長を2nπ+αとして捉え(0rad.<α<2πrad.)、光路長を波長で割った際の剰余がαに一致する点を切り替え点としてもよい。
なお、回折レンズ構造を曲面上に形成する場合、前述のように光路差関数が高次の項を持つため、この光路差関数をそのまま利用すると計算式が複雑になる。特に光路差関数が8次、あるいは10次の関数で定義される場合、これを解いて光路差を波長の整数倍にすることは困難である。
【0023】
一方、回折レンズの段差の位置は、回折レンズのパワーを決める重要なものではあるが、段差の位置の誤差は直接的に波面収差にはならない。段差の位置の誤差は、パワーの回折成分と、屈折成分の負担の割合をわずかに変えるのみである。それは、段差位置の誤差は、ブレーズ化波長にあっては何ら影響を与えるものではなく、波長幅がある光学系において、球面収差の波長変化の成分が変わることを意味する。従って、球面収差の色収差変化を、波面収差で4次のオーダー、いわゆる3次の球面収差のレベルまで補正する場合、4次までの光路差関数をもとに段差位置を求めれば十分である。
そこで、実施形態では、輪帯の切り替え点の決定に際しては光路差関数を2次項と4次項とを含む4次関数で表現し、この4次関数を解くことにより境界のhを決定する。そして、4次関数で表現しきれない6次、8次等の高次の項については、各輪帯の形状を決定する際に考慮に入れ、光軸方向の位置を決定する。
【0024】
2次項と4次項とから構成される4次関数の解は2次関数の解の公式で求めることができるため、境界位置を容易に求めることが可能である。すなわち、輪帯の切り替え点の決定には4次の光路差関数、各輪帯の光軸方向の位置の決定には8次の光路差関数というように、次数の異なる光路差関数を求め、それぞれの計算に用いることにより、計算の負荷を軽減することができる。当然、波面収差で6次以上のオーダーの球面収差の色収差変化を補正したい場合は、段差位置の設定時にも高次の項を考慮して行う。
【0025】
結局、輪帯の切り替え点を求めるためには、計算が容易な4次の展開式を用い、光路差関数から微細形状を作るのであればそのための光路差関数としては8次までの展開式を用いる。そうでなければ各輪帯毎の面を光路差関数とは別なルートで設計し位相整合を図るといった設計の際の光路差関数の次数の使い分けが考えられる。また、設計上高次の回折効果は無くても設計可能である場合は、高屈折率法で設計データ中で高次非球面を用いて光路差関数の高次項を無視し得るような小さい値になるよう設計することもできる。
【0026】
次に、回折レンズ構造を高屈折率の薄膜から実際の屈折率を持つ媒質に置き換えてフレネルレンズ状の輪帯構造を設計する。実形状では屈折率が低いため、薄膜での説明のように入射光線が法線方向に沿うことはなく、入射角度に応じて異なる方向に進む。したがって、入射角度の違いにより与えられる光路差が異なることとなるため、入射角度を一つに特定できない場合には、軸外光線の回折効率をも考慮して輪帯の形状を決定する必要がある。また、入射光束の波長に幅がある場合には、波長の違いによる回折効率の変化も考慮する必要がある。
【0027】
回折レンズ構造への光線の入射角度は、巨視的な形状に対して決定されているが、実際の輪帯は図1(C)に示されるように巨視的な形状とは異なるため、輪帯に対する入射角度は巨視的な形状に対する入射角度とは異なることになる。正確を期するためには、この入射角度の変化を考慮に入れて輪帯の設計をすることが望ましいが、色収差の補正を目的とするような場合、巨視的な形状と微視的な形状とに対する入射角度の違いは2度程度であるため、輪帯に対する入射角度は巨視的な形状に対する入射角度の違いを無視したとしても影響は小さい。また、無視できない大きさになりそうな場合は、巨視的な形状をもとに決めた暫定的な形状に対し、改めて入射角度を求め直して微細形状を求めることもできる。
【0028】
次に、具体的なレンズ構成を用いてこの発明の回折レンズ設計方法についてより詳細に説明する。まず、実施例1として、まず入射光線が光軸に対して平行と考えることのできる光ディスク装置用の対物レンズについて説明する。本実施例のレンズは、光ディスク用の対物レンズであり、プラスチック製の両面非球面レンズの平行光束が入射する側のレンズ面に回折レンズを付加した回折屈折ハイブリットレンズである。
【0029】
実施例1の巨視的な形状を示す数値構成は、表1に示される。表中、第1面と第2面との間がウルトラハイインデックスレンズで表される回折レンズ部分を示す薄膜(高屈折率薄膜)、第2面と第3面との間がプラスチック製の屈折レンズ、第4面、第5面が光ディスクの保護層を示す。なお、表中の記号NAは対物レンズの開口数、fは波長780nmでの全系の焦点距離、rは光軸との交点における曲率半径(単位:mm)、dは面間隔(単位:mm)、n780、n830はそれぞれ波長780nm,830nmでの屈折率である。第1面から第3面の非球面形状を規定する円錐係数Kと4,6,8,10次の各非球面係数A4、A6、A8、A10は、表2に示される。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
上記のようにスウェットモデルによる設計が終了した後、薄膜のデータに基づいて光路差関数を多項式として求め、これを利用して輪帯の段差部分の光軸からの高さを求め、次に、各輪帯内での光軸方向の高さを近似式により規定する。光路差関数は、スウェットモデルによって設計された薄膜の通過光線に対する光路長付加量を薄膜上の数点についてサンプリングして、近似により求められる。ここでは、下に示すように、段差の光軸からの高さを求めるための4次の近似式
【数15】
と、輪帯内での光軸方向の高さを求めるための10次の近似式
【数16】
とを規定する。
【0033】
高屈折率薄膜から、光路長付加量を求める場合、従来の、平面上に付された回折格子の作用を考える場合には、薄膜で与えられる光路差は全ての位置で光軸に平行な距離として求めれば足りた。しかし本発明では回折格子を曲面上に形成した場合を想定しているため、光路長は光線を追跡して光線と面との交点を求めて計算する必要がある。ただし、薄膜の屈折率が上記の設定のように極端に大きい場合、入射角度とは無関係に屈折角はほぼ0となり、屈折した光線は面上の入射点に立てた法線に沿って進むので、薄膜へ入射する光線の光路長付加量は、薄膜の光軸方向の厚さを薄膜の光入射側の面の入射点における法線のy方向の方向余弦で割った値で近似することもできる。この近似により計算量を少なくすることができる。
【0034】
【表3】
【0035】
第1に、輪帯の切り替え位置を求める。本レンズでは球面収差の波長変化を補正するために4次で展開した光路差関数φ4に基づいて、輪帯の切り替え位置を決定する。以下の表4は、中心からN番目の輪帯の中心側の端部の光軸からの高さhi(N)、輪帯の中央点の光軸からの高さhc(N)、輪帯の最も周辺側の端部の光軸からの高さho(N)を各輪帯毎に示す。
これらの値は、
【数17】
【数18】
【数19】
に従って求められる。
【0036】
また、位相関数法で設計した場合で高次の光路差関数を持たない場合や、球面収差の波長変化を補正しないでも良い場合は、2次関数で輪帯の切り替え位置を求めればよい。
【0037】
【表4】
【0038】
次に、非球面係数により定められる薄膜と屈折レンズの境界面の巨視的な形状を各輪帯の中心側端部、中央部、周辺側端部について求めておく。巨視的形状は、
【数20】
により計算される。計算結果は、表5に示す通りであり、段差のない連続した回転対称面として定義される。
【0039】
【表5】
【0040】
続いて、上記の巨視的形状から求められる各輪帯への光線の入射角度を求める。
【0041】
巨視的形状の高さhによる一次微分値dXo(N)/dhを求め、これに基づいて、
【数21】
にしたがって方向余弦の光軸方向成分Lを求めると共に、巨視的形状で規定される面の光軸に対する角度α(rad.)を、
【数22】
を用いて求める。
【0042】
この例では、入射光は基本的に光軸に平行に調整された平行光線のみ出あるので、レンズ上のどの高さの点でも入射光線が光軸となす角度Wは0rad.である。したがって、W-αで求められる各点での入射角度θ(rad.)は表6に示す通りとなる。ここでは、実際の回折レンズ面は決定されていないため、巨視的な形状を用いて角度θを計算する。表7には各輪帯の外周部の端部における各値を示している。
【0043】
【表6】
【0044】
上記の入射角θに基づいてその余弦を求めると共に、実際の材料の屈折率を用いて屈折角の余弦を計算し、これらに基づいて法線方向に沿った1λ分の光路差を与える厚さΔtを、
【数23】
により計算する。n0は回折レンズ面より入射側の媒質の屈折率、n1は射出側の媒質の屈折率である。また、この段差を光軸と平行な方向の段差ΔXに変換するためには、光軸と面の法線とのなす角度をαとして、ΔX=Δt/cosαとなる。なお、光束が光軸に平行な本実施例の光学系では、cosα=cosθである。これらの計算結果は、表7に示される通りである。
【0045】
【表7】
【0046】
10次の光路差関数φ10に、4次の光路差関数φ4から決定した各輪帯の中央部の光軸からの距離を代入して計算された結果がφc(N)である。スウェットモデルにより設定された高屈折率の薄膜が設けられている場合と、これが設けられていない場合との光路差を波長λを単位として表8に示している。φi(N)-N、φc(N)-N、φo(N)-Nは、それぞれ中心側端部、中央部、周辺側端部での光軸からの距離を10次の光路差関数φ10に代入して計算された結果から波長の整数分を差し引いた結果であり、連続的な光路差関数φ10で表された薄膜を4次の光路差関数φ4から決定した位置に段差を設けてフレネルレンズ状の複数の輪帯に分割した場合の各輪帯での中心側端点、中央部、周辺側端点の巨視的な形状に対して微細形状によって付加するべき光路差量を示している。
また、もし輪帯の境界高さをサンプル点からの近似関数を作らずに、例えば光路長差が0.5λ丁度の小数部を持つような位置を探し求めれば、微細形状にするべき光路長差に表8のような細かい有効数字を持つことはなくなるが、計算量が増えるばかりであまり意味のあることではない。
【0047】
【表8】
【0048】
上記で求めた10次の光路差関数の計算結果と各輪帯毎の1波長分に相当する光軸方向の厚さΔXとの積をとることにより、各輪帯の各位置で必要な光軸方向の光路差を実形状のレンズ厚さに変換した量を求める。すなわち、ΔXは各輪帯の周辺端部分での1波長に相当する光軸方向の厚さであり、上記の表で示されるφo(N)-Nは1波長に満たない余剰を規定しているため、これらを掛け合わせることにより、余剰分に必要な光軸方向のレンズ厚さを求めることができる。なお、表8に示しているΔXは周辺端部分での値である。中心側端部での段差を求めるためには一つ中心側の輪帯のΔXの値を参照すればよい。また、中心部での光路差を求めるためには表8に示していない輪帯中心部用のΔXを作らなくともその中心部を挟む前後の輪帯のΔXの値の平均値を利用しても十分な精度の設計が可能である。
表9に各輪帯の内側端部、中心部、外側端部の光路差分のレンズ厚さ ΔXi(N)、ΔXc(N)、 ΔXo(N)を示す。
【0049】
【表9】
【0050】
これらの光路差付加分のレンズ厚さデータと、表5に示された巨視的形状とから実際の形状を求める。表10は、この形状データを示している。これは、巨視的形状、すなわち、ベースカーブの情報も含んだ状態で提供されるサグ量のデータである。
【0051】
【表10】
【0052】
回折レンズ(もしくはその成形型)を超精密旋盤を用いて作製する場合、上記の表10に示すような輪帯上の各点でのデータをバイトの送りピッチ毎に全て求めて加工データを作成することもできるが、計算量を少なくするためには、バイトの送り軌跡を関数で近似させて表現できた方が望ましい。そこで、本実施例では、上記の各輪帯毎に求められた3つの点の光路差分のレンズ厚さを関数として4次の多項式で近似し、0次、2次、4次の係数を求め、この4次の近似多項式に基づいてバイトの送り量を制御するようにしている。3点を通る4次関数(数3)の係数は、
【数24】
【数25】
【数26】
により求められる。表11は、巨視的な形状に付加される微細構造部分サグ量を4次関数で近似した場合の各係数の演算結果のリストである。
【0053】
【表11】
【0054】
表11に示す各係数と、表1のr、表2の非球面係数、そして(数3)より、任意のh(光軸からの高さ)に対する巨視形状(サグ量)Xを求めることができる。
【0055】
また、微細形状全体を輪帯毎の4次関数、あるいは2次関数として表現することも可能である。4次関数で表現する場合には以下に記載の
【数27】
にて表わされ、この場合の係数C0N、C2N、C4Nはそれぞれ(数12)、(数13)、(数14)にて求められる。係数の計算結果を表12に示す。
【0056】
【表12】
【0057】
表12に示す各係数と、(数27)に基づいて、任意のh(光軸からの高さ)に対する巨視形状(サグ量)Xを求めることができる。
なお、微細形状全体を輪対毎の2次関数で表現することもできる。ここで2次関数は(数2)で表わされる関数である。(数2)の関数で表わす場合の係数C0N、C2Nはそれぞれ(数10)、(数11)により求められる。
【0058】
次に、実施例2として、一般的な、画角のあるレンズ(即ち、光軸に対して斜めに入射する光線がある場合)に対して本発明を適用した例について説明する。実施例2のレンズはCCD等の、微小な受光面積を持つ受光デバイス上に可視光の像を結ぶためのレンズであり、ガラス製の両面非球面レンズの光束が入射する側のレンズ面に回折レンズを付加した回折屈折ハイブリッドレンズである。集光レンズの結像面側には平行平面板状の媒質が存在する。実施例2の巨視的な形状を示す数値構成は、表14に示される。このレンズは光路差関数を用いて設計されており、ウルトラハイインデックスデータはない。第1面11Mが回折屈折ハイブリッド面、第1面11Mと第2面12Mとの間がプラスチック製の屈折レンズ10M、第3面、から第6面は2枚の平行平面板21、22を示している(図3参照)。
【0059】
表13において、fはd線の波長(587.56nm)での全系の焦点距離(単位:mm)、Wは半画角、rは光軸との交点における曲率半径(単位:mm)、dは面問隔(単位:mm)、ndはd線(波長:587.56nm)での屈折率、νdはアッベ数である。第1面と第2面の非球面形状を規定する円錐係数Kと4、6、8、10次の各非球面係数は、表14に示される。
【0060】
【表13】
【0061】
【表14】
【0062】
第1に、8次まで利用されている光路差関数φ8に基づき、輪帯の切り替え位置を決定する。光路差関数φ8は
【数28】
に示す。光路差関数φ8を用いる場合、4次関数と異なり、切り替え位置を求めるには、繰り返し計算を行うことになるが、十分な精度の計算が可能である。
【0063】
以下の表15は、中心からN番目の輪帯の中心側の端部の光軸からの高さhi(N)、輪帯の中央点の光軸からの高さhc(N)、輪帯の最も周辺側の端部の光軸からの高さho(N)を各輪帯毎に示す。 これらの値は、ニュートン法などの繰り返し計算によって求められる。ただし、第1面の有効半径は2.2mmであり、輪帯の総数は70になるため、表15では途中の輪帯を一部省略して記述している。
【0064】
【表15】
【0065】
次に、非球面係数により定められる回折屈折ハイブリッド面の巨視的な形状を各輪帯の中心側端部、中央部、周辺側端部について求めておく。巨視的形状は、(数20)により計算される。計算結果は、表16に示す通りであり、段差のない連続した回転対称面として定義される。
【0066】
【表16】
【0067】
続いて、上記の巨視的形状から求められる各輪帯への光線の入射角度を求める。
巨視的形状の高さhによる一次微分値dXo(N)/dhを求め、 これに基づいて(数21)に従って方向余弦の光軸方向成分Lを求めると共に、巨視的形状で規定される面の光軸に対する角度α(rad.)を(数22)を用いて求める。この例では、入射光線が光軸となす角度Wは、画角によって変化するため、平均的入射角度を考える。
光束幅も、画角もあり、1つの光線で入射角度を決定できない場合には、面に入射する光線の平均的な入射角度を利用して、微細形状を決定することになる。
【0068】
平均的に回折効率を上げるには、
(1)入射角度の絶対値の最小値と最大値の平均を取る方法、
(2)入射角の絶対値を画像面積を加味して平均を取る方法、
(3)θの2乗を画像面積を加味して平均を取る方法、等が考えられる。
本実施例では、最終的に求められるべき段差厚さが入射角度の2乗で変化することから、入射角度の2乗の平均で入射角度を決める方法を採用している。
【0069】
2乗平均入射角度を用いた方法について説明する。
レンズ上の1点に入射する(有効に結像に寄与する)光線の分布は簡単には決定できない。しかし1点毎に入射角度を求めることは煩わしいので、ここではかなり粗い仮定の下に、単純な計算で各点での段差を決める。
ここでは、次のような仮定を設ける。
(1)1点への入射光線は完全な円錐状の領域になる。
(2)入射角度の分布は同心円上の等間隔。
上記の仮定が成立しているものとして、2乗和平均で、平均入射角度を求めることにする。
【0070】
なお、ほとんど近似すること無しに、平均入射角度を求めることも、現在の設計ツールを利用すれば不可能ではない。しかし、写真レンズのように、有効に利用される像面が長方形の場合では、像高の方向毎に入射角度分布は異なってしまうため、面の回転対称性が失われるため計算量が爆発的に増加してしまう。これに対し、実際に画角、光束幅、のあるレンズではほとんどの場合波長幅もあるため、計算精度を上げた分の入射角度変化による回折効率への寄与は波長特性の項によるロスに埋もれてしまうので、そこまで厳密に計算する必要はない。
上記の近似の下で単純平均入射角度をm、角度幅の半値をr、2乗平均入射角度をUとして、
【数29】
が成立する。
【0071】
(数29)において、rとmは次のようにして求めることができる。
(1)光線追跡により、メリディオナル断面内で、面の高さhに対し、入射可能な最大光線角度θU、最小光線角度θLを求める。
(2)θU、θLをhの関数化して、任意のhに対しθU、θLが定まるようにする。
(3)m=((θU+θL)/2−面の法線角度α)
r=((θU−θL)/2)
【0072】
このような計算の結果、各点での2乗平均入射角度θ(rad.)は表17に示す通りとなる。ここでも実施例1と同様に、実際の回折レンズ面は決定されていないため、巨視的な形状を用いて角度θを計算する。
【表17】
【0073】
上記の入射角θに基づいてその余弦を求めると共に、実際の材料の屈折率を用いて屈折角の余弦を計算し、これらに基づいて法線方向に沿った厚さ△tを(数23)により計算する。この段差を光軸と平行な方向の段差△Xに変換するためには、光軸と面の法線とのなす角度をαとして、△X=△t/cosαとなる。これらの計算結果は、表18に示される通りである。
【0074】
【表18】
【0075】
前述のように、第2実施例では輪帯の境界点等の決定を設計時に得られた8次の光路差関数自体を用いて行っているため、輪帯中心側端部、中央部、周辺側端部での巨視的な形状からの位相ずれ分φi(N)-N、φc(N)-N、φo(N)-Nは、それぞれ0.500λ、0λ,-0.500λになっている。この結果を表19に示す。
【0076】
【表19】
【0077】
各輪帯毎の1波長分に相当する光軸方向の厚さ△Xと±0.5の積をとることにより、各輪帯の各位置で必要な光軸方向の光路差を実形状に変換した微細形状として求める。結果を表20に示す。
【0078】
【表20】
【0079】
これらの光路差データと、表16に示された巨視的形状とから上記の光路差を与えるために必要な実際の形状を求める。表21は、この形状データを示している。これは、巨視的形状、すなわち、ベースカーブの情報も含んだ状態で提供されるサグ量のデータである。
【0080】
【表21】
【0081】
この例でも、上記の各輪帯毎に求められた3つの点の光路差分のレンズ厚さを関数として4次の多項式で近似し、0次、2次、4次の係数を求め、加工用データとすることができるが、第2実施例の場合、輪帯数が多いため1つ1つの輪帯幅は狭くなるため、2次式で近似しても最大で誤差1/300λ以下の十分な精度に近似できる。2次の関数は(数1)で表わされ、この場合の係数B0N、B2Nはそれぞれ(数5)、(数6)により求められる。表22は、各係数B0N、B2Nの演算結果のリストである。
【表22】
【0082】
表13に示すrと、表14に示す非球面係数と、表22に示すB0NとB2Nと(数1)で、任意の高さhに対するサグ量Xのデータを求めることができる。
【0083】
また、実施例1の場合と同様、微細形状全体を輪帯毎の2次関数として表現することも可能である。この場合の2次関数は(数2)で表わされ、各係数C0N、C2Nはそれぞれ(数10)、(数11)で求められる。このようにして計算した係数は表23に示すものとなる。
【0084】
【表23】
【0085】
従って、表23に示す各係数と、(数30)より、任意のh(光軸からの高さ)に対する巨視形状(サグ量)Xを求めることができる。
【0086】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明の回折レンズの設計方法によれば、スウェットモデル等に基づく自動設計プログラムの出力に基づいて回折レンズの輪帯の境や段差等を簡単に設計することができ、しかも、回折レンズの性能となる精度を高く保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の設計方法が適用される回折屈折ハイブリッドレンズの説明図である。
【図2】実施例の対物レンズのレンズ図である。
【図3】実施例2の集光レンズのレンズ図である。
【符号の説明】
10 対物レンズ
11,12 レンズ面
10M 集光レンズ
11M,12M レンズ面
Claims (19)
- 屈折レンズのレンズ面上に形成される回折レンズの微細形状設計方法において、
前記回折レンズの作用を該回折レンズ面上の点を通過する光線に対する光路長付加量として表すステップと、
前記回折レンズの巨視的な形状で規定される前記回折レンズ面上の点における回折面の光軸に対する角度を求めるステップと、
予定される前記回折レンズ面上の点に入射する光線束の平均的入射角度の余弦を求めるステップと、
前記平均的入射角度の余弦に基づいて単位波長分の光路差を与える光軸方向の前記回折レンズの厚さを求めるステップと、
前記光路長付加量に基づいて、前記回折レンズ面上の点における前記回折レンズの微細形状により与えるべき光路差量を求めるステップと、
前記単位波長分の光路差を与える光軸方向の前記回折レンズの厚さと前記回折レンズの微細形状により与えるべき光路差量とに基づいて前記回折レンズ面上の点における光軸方向の前記回折レンズの厚さを決定するステップと、を備えることを特徴とする回折レンズの設計方法。 - 屈折レンズのレンズ面上に形成される回折レンズの設計方法において、
前記回折レンズの作用を光軸からの高さを変数として多項式の光路差関数として表すステップと、
該光路差関数に基づいて段差となる輪帯の切り換え位置を決定するステップと、
前記回折レンズの巨視的な形状に基づいて各輪帯への光線の入射角度を求めるステップと、
輪帯毎に光路差の単位波長分に相当する光軸方向の前記回折レンズの厚さを前記入射角度に基づいて求めるステップと、
前記光路差関数に基づいて各輪帯の各位置で与えるべき光路差を求めるステップと、
前記輪帯毎に求めた光路差の単位波長分に相当する光軸方向の前記回折レンズの厚さと前記各輪帯の各位置で与えるべき光路差とに基づいて前記各輪帯の各位置の微視的形状を決定するステップと、
を備えることを特徴とする回折レンズの設計方法。 - 前記入射角度を求めるステップには、設計データから光線の平均入射角度を求めるステップを備えることを特徴とする請求項2に記載の回折レンズの設計方法。
- 前記平均入射角度を求めるステップは、入射角度の2乗平均の入射角度を求めるステップであることを特徴とする請求項3に記載の回折レンズの設計方法。
- 前記微視的形状を決定するステップには、該微視的形状を2次の多項式で近似するステップとを備えることを特徴とする請求項2に記載の回折レンズの設計方法。
- 前記微視的形状を決定するステップには、該微視的形状を4次の多項式で近似するステップとを備えることを特徴とする請求項2に記載の回折レンズの設計方法。
- 前記光路差関数は、
前記輪帯の切り換え位置を決定するための第1の近似式と、
前記各輪帯毎の光軸方向の前記回折レンズの厚さを決定するための、前記第1の近似式より次数の高い第2の近似式と
を有することを特徴とする請求項2に記載の回折レンズの設計方法。 - 前記第1の近似式は、4次の多項式であり、前記第2の近似式は少なくとも8次の多項式であることを特徴とする請求項7に記載の回折レンズの設計方法。
- 前記第2の近似式は10次の多項式であることを特徴とする請求項8に記載の回折レンズの設計方法。
- 前記回折レンズの作用は、スウェットモデルによる高屈折率法により求められることを特徴とする請求項1または2に記載の回折レンズの設計方法。
- 前記微視的形状を近似するための多項式は、前記輪帯毎に微視的形状の光軸に対する対称性を利用し、少なくとも光軸からの高さが異なる2点を通る軌跡として定義されていることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の回折レンズの設計方法。
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