JP4127618B2 - 密閉型の電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は密閉型の電池、すなわち電池ケースの開口を蓋で密閉した電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
密閉型の電池には、電池ケースの開口を密閉する蓋が備えられる。蓋には、端子取り付け孔が貫通状に設けられ、この端子取り付け孔に正極または負極の端子(出力端子)が取り付けられる。端子は、外径が端子取り付け孔の内径よりも小さい軸部と、軸部の基端側にあって外径が端子取り付け孔の内径よりも大きな頭部とを有する構成で、絶縁パッキング(ガスケットともいう)を介して端子取り付け孔に抜け外れ不能にかしめ固定される。端子と蓋との間は、前記絶縁パッキングによりシールされて気密・液蜜状態に保たれるとともに電気的にも絶縁される。
【0003】
このように密閉型の電池においては、蓋と端子との間を絶縁およびシールするために絶縁パッキングが使用される。この種の絶縁パッキングは、例えば特開2000−208130公報に記載されている。これは、図5に示すように、端子9の頭部20と蓋6とで挟持されるフランジ部23と、蓋6に設けられた端子取り付け孔12に内嵌するボス部24とを有し、ボス部24に軸挿通孔25を上下貫通状に設けた構成である。そして、ボス部24の軸挿通孔25に端子9の軸部21を挿通して、これらを端子取り付け孔12に取り付けた状態で、軸部21の先端部分(頭部20と反対側のかしめ軸部22となる部分)をかしめたときに、当該軸部21が僅かに膨張変形して、絶縁パッキング8に設けられた軸挿通孔25に密着することにより、軸部21と絶縁パッキング8との間がシールされ、同時に、軸部21に外嵌する絶縁パッキング8のボス部24が膨張変形して、端子取り付け孔12の周辺部に密着することにより、絶縁バッキング8と蓋6との間がシールされるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような絶縁パッキングとして、従来においては通常、所要の耐熱性を有する比較的グレードの高い耐熱樹脂からなるプレス成形品(一体成形品)が使用されている。絶縁パッキングの成形材料に耐熱樹脂が使用されるのは、薄型の電池ケースに蓋をレーザ溶接等により取り付けるような場合、溶接が行われる蓋の周縁部から絶縁パッキングまでの距離が僅かしか存在しなくなるため、耐熱性に乏しい比較的グレードの低い樹脂を用いると溶接熱の影響で絶縁パッキングが変形・変質したり溶融したりする可能性があるからである。また、射出成形品や打ち抜き品ではなくプレス成形品が使用されるのは、上記のような耐熱樹脂を用いて射出成形を行うのは困難であること、板状樹脂素材をプレス等で打ち抜くだけで上記のようなフランジ部とボス部とを備えた比較的複雑な構造のものを製造することは不可能もしくは非常に困難であることによる。
【0005】
ところが、プレス成形品は、射出成形品や打ち抜き品に比べて製造コストが高く、成形材料として用いられている耐熱樹脂も、それほど耐熱性の高くないグレードの低い樹脂やゴムに比べると材料単価が高いといった問題がある。コスト面でこのような問題があるにも拘らず、密閉型の電池において上記のような耐熱樹脂のプレス成形品からなる絶縁パッキングが使用されているのは、先に述べたような事情があったからである。たとえ、グレードの低い樹脂やゴムを用いて射出成形や打ち抜きにより安価な絶縁パッキングが得られたとしても、気密・液蜜性を十分に確保できなかったり、溶接熱の影響で変形・変質・溶融したりしたのでは、密閉型の電池における蓋と端子との間の絶縁およびシール手段として用いることはできない。
【0006】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたもので、絶縁パッキングの構造を改良することにより、耐熱性やシール性を犠牲にすることなく絶縁パッキングの低コスト化を図り、ひいては安価で且つ耐熱性および気密・液蜜性に優れた密閉型の電池を実現することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、図1および図2に例示したような密閉型の電池に適用されるものである。電池には、電池ケース1の開口を塞ぐ蓋6に端子取り付け孔12が貫通状に設けられている。端子取り付け孔12には、軸部21の一端に頭部20を有する端子(出力端子)9が嵌合されており、その状態で端子9が絶縁パッキング8を介してかしめ固定されている。蓋6と端子9との間は絶縁パッキング8によりシールされているとともに電気的にも絶縁されている。
【0008】
このような密閉型の電池において、本発明は、次のように構成したものである。すなわち、前記絶縁パッキング8を、蓋6の外面側に配置される外側パッキング81と、蓋6の内面側に配置される内側パッキング82とで構成し、これらの外側パッキング81および内側パッキング82に軸挿通孔81a・82aをそれぞれ貫通状に設ける。そして、これらの軸挿通孔81a・82aに端子9の軸部21を挿通・嵌合した状態で、外側パッキング81を蓋6と端子9の頭部20とで挟持するとともに、内側パッキング82を、蓋6と、端子9の軸部21の他端に形成されたかしめ軸部22とで挟持した構成とする。
【0009】
具体的には、外側パッキング81および内側パッキング82における各軸挿通孔81a・82aの周縁部が、端子9のかしめ固定に伴う両パッキング81・82の変形により端子取り付け孔12における蓋6と軸部21との間に所定量だけ入り込んでボス状となるようにし、これらのボス状部81b・82bによって蓋6と軸部21との間をシールする構成とする。その場合、気密・液蜜性をさらに高める目的で、外側パッキング81におけるボス状部81bと内側パッキング82におけるボス状部82bとの間に、端子9のかしめ固定に伴う両ボス状部81b・82bの形成により圧力が高められた密閉空間Sを形成する。なお、密閉型の電池においては一般に電池内圧力が一定値を越えたときに作動して内圧を外部に開放する安全弁(後述する防爆用の開裂ベント)が備えられるが、端子9のかしめ固定に伴うボス状部81b・82bの形成にあたっては、絶縁パッキング8によるシールを一層確実なものとするために、密閉空間S内の圧力が前記の安全弁の作動圧よりも高くなるようにしておくのが望ましい。
【0010】
本発明における外側パッキング81および内側パッキング82では、これらに設けられた軸挿通孔81a・82aの周縁部が、端子9のかしめ固定に伴う両パッキング81・82の変形により端子取り付け孔9における蓋6と軸部21との間に所定量だけ入り込んでボス状となるから、端子取り付け孔9への組み付け前の状態においてあらかじめボス部を形成しておく必要はない。したがって、外側パッキング81および内側パッキング82のいずれにも、板状素材を打ち抜いて軸挿通孔81a・82aを形成しただけの打ち抜き品を使用することができる(図4参照)。
【0011】
絶縁パッキング8は、電池ケース1に蓋6を溶接する際の溶接熱により溶融したり変質したりするものであってはならない。その意味では外側パッキン81および内側パッキング82のいずれにも比較的グレードの高い所要の耐熱性を有する耐熱樹脂を用いるのが確実であるが、この種の耐熱樹脂はゴム等に比べると高価である。そこで、位置関係等からみて溶接熱の影響を受けやすい外側パッキング81には所要の耐熱性を有する耐熱樹脂を用い、これに比べると溶接熱の影響を受けにくい内側パッキング82には、例えばフッ素系ゴム等のゴムを用いるのが好ましい。この種のゴムは、耐熱樹脂よりも安価であり、シール性も優れているからである。先に述べたように、内側パッキング82は外側パッキング81に比べて溶接熱の影響を受けにくいので、上記のようなゴムを内側パッキング82の材質として使用しても、溶接熱の影響で変質したり溶融したりすることはない。
【0012】
【作用】
本発明の密閉型の電池によれば、蓋6の外面側では外側パッキング81がこれを挟持している蓋6と端子9の頭部20とに密着し、蓋6の内面側では内側パッキング82がこれを挟持している蓋6と端子9のかしめ軸部22(図1に例示したように内側パッキング82とかしめ軸部22との間に押さえ板10等の他の部材を介在させている場合には、当該他の部材)とに密着するから、絶縁バッキング8を構成しているこれら二つのパッキング81・82によって蓋6の内面側および外面側の両方から端子9まわりがシールされることとなる。これにより、端子9まわりを気密・液蜜状態に保つことができる。
【0013】
外側パッキング81および内側パッキング82における各軸挿通孔81a・82aの周縁部が、端子9のかしめ固定に伴う両パッキング81・82の変形により端子取り付け孔12における蓋6と軸部22との間に所定量だけ入り込んでボス状となり、これらのボス状部81b・82bによって蓋6と軸部22との間がシールされることにより、端子6まわりの気密・液蜜性が一層高められる。
【0014】
端子取り付け孔12における蓋6と軸部22との間に、端子9のかしめ固定に伴う上記両パッキングにおけるボス状部81b・82bの形成により圧力が高められた密閉空間Sが形成され、しかも内側パッキング82の材質にシール性に優れたゴムが用いられていることで、電池内の電解液や電池内部で発生したガスが内側パッキング82と蓋6との界面や内側パッキング82と端子9との界面を通って端子取り付け孔12内に滲出するといった事態を確実に防止することができる。
【0015】
本発明では、絶縁パッキング8として、従来のようにフランジ部とボス部とを有する比較的複雑な構造のプレス成形品を使用するのではなく、所定位置に軸挿通孔81a・82aを形成しただけの単純な構造の外側パッキング81および内側パッキング82を使用するので、この種のパッキングを板状素材の打ち抜きにより製造することができる。すなわち、外側パッキング81および内側パッキング82には、両者を合わせても従来のプレス成形品よりかは安価な打ち抜き品を用いることができる。
【0016】
外側パッキング81に耐熱樹脂を使用し、内側パッキング82に耐熱樹脂よりも材料コストの安いゴムを使用することで、絶縁パッキング81のすべてを耐熱樹脂で製作した場合に比べてコストを低減できる。溶接熱の影響を受けやすい外側パッキング81には耐熱樹脂を使用しているので、溶接熱によって外側パッキング81が変形・変質したり溶融したりするといった不具合が生じることもない。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1ないし図4は、この発明を角形のリチウムイオン二次電池に適用した例を示す。図2において、電池は、上面が開口する縦長角箱状の電池ケース1と、電池ケース1内に装填される電極体2および電解液と、電池ケース1の開口を塞ぐ封口構造などで構成されている。電池ケース1はニッケル板を深絞り加工して形成されており、正極側の出力端子を兼ねている。その底壁の下面には、正極端子板3が溶接されている。電極体2は、LiCoO2 を活物質とするシート状の正極と、黒鉛を活物質とするシート状の負極とを、セパレータを間にして渦巻状に巻回した後、電池ケース1の断面形状に合致するように全体を断面四角形状に押し潰し変形して形成されている。シート状の正極および負極からは、それぞれ、導電タブ4・5が上向きに導出されている。符号17は電極体2の下端周面に巻装した絶縁テープである。
【0018】
封口構造は、電池ケース1の上面開口を塞ぐ蓋6と、蓋6の内側に配置されるプラスチック製のインシュレータ7と、蓋6に対して絶縁パッキング8を介してかしめ固定される負極端子(出力端子)9と、負極端子9と同時にかしめ固定される押さえ板10などで構成されている。
【0019】
蓋6は、図1ないし図3に示すように、アルミニウム合金板を素材にしたプレス成形品からなり、その板面中央に絶縁パッキング8用の平面視で円形の端子取り付け孔12を貫通形成し、端子取り付け12の一側板面に防爆用の開裂ベント13を設け、他側板面に電解液用の注入孔14を設けた構成である。端子取り付け孔12の上面側の開口周縁壁には、後述する外側パッキング81用の受座15が凹み形成されている。開裂ベント13は、断続的に周回する切溝で囲まれていて、電池ケース1の内圧が一定値を越えると、切溝が破断してガスを放出する。注入孔14は、電解液を注入したのちプラグ16で閉鎖され、プラグ16を蓋6に対して溶接することにより密封される。
【0020】
図1において、負極端子9は、頭部20と、頭部20の下面に突設した軸部21と、軸部21の下端に形成したかしめ軸部22とを有するアルミニウム製の軸体からなる。かしめ軸部22は、下向きに開口する筒軸からなり、これの筒壁の下半側を拡径し反転状にかしめ変形することで、図1に示したように負極端子9が蓋6の端子取り付け孔12に固定される。頭部20は、平面視が長円状の端子部20aと、端子部20aの下面に突設した断面円形の首部20bとからなる。首部20bの下面には軸部21が突設されている。軸部21には、絶縁パッキング8との密着性を高める目的で、図1に示した状態において、首部20b側に下すぼまり状のテーパ部21aが形成され、かしめ軸部22側に上すぼまり状のテーパ部21bが形成されている。
【0021】
このような負極端子9と蓋6との間をシールし且つ電気的に絶縁する手段として、先の絶縁パッキング8が装着されている。この絶縁パッキング8は、蓋6の外面側に配置された耐熱樹脂製の外側パッキング81と、蓋の内面側に配置されたゴム製の内側パッキング82とで構成されている。これらの外側パッキング81および内側パッキング82には、軸挿通孔81a・82aがそれぞれ貫通状に設けられており、これらの軸挿通孔81a・82aに負極端子9の軸部21が挿通・嵌合されている。この状態で、外側パッキング81が蓋6と負極端子9の頭部20とで挟持されているとともに、内側パッキング82が蓋6と負極端子9のかしめ軸部22とで挟持されている。そして、これらの両パッキング81・82によって、蓋6と負極端子9との間が気密・液蜜状態にシールされ、かつ電気的にも絶縁された状態となっている。
【0022】
なお、内側パッキング82と負極端子9のかしめ軸部22との間には、先に述べた押さえ板10が介装されているが、この押さえ板10は金属製で、負極端子9のかしめ時にかしめ軸部22側からの押圧力が内側パッキング82の下面のほぼ全体に加わるようにして、当該内側パッキング82の上面全体が蓋6の内面(裏面)に密着した状態となるようにする。この押さえ板10には、負極端子9の軸部21が挿通される軸挿通孔10aが貫通形成されているとともに、先に述べた負極側の導電タブ5が溶接されている(図2参照)。
【0023】
上記の外側パッキング81および内側パッキング82には、それぞれ、図4に示すように所定位置に軸挿通孔(かしめに伴って変形する前の軸挿通孔)81a・82aを貫通形成した板状の打ち抜き品が用いられている。図4に示した状態において、各軸挿通孔81a・82aの直径は、蓋6に設けられた端子取り付け孔12の内径とほぼ同じか、それよりも僅かに小さく、さらに負極端子9の軸部21の外径(両テーパ部21a・21b間に位置する部分の外径)と同じか、それよりも僅かに小さい。
【0024】
蓋6に設けられた端子取り付け孔12に負極端子9をかしめ固定する際、外側パッキング81および内側パッキング82は、図4に示すように配置されて、蓋6、負極端子9、押さえ板10と一体化される。具体的には、蓋6の外面側に外側パッキング81を、蓋6の内面側に内側パッキング82および押さえ板10をそれぞれ所定の状態に配置したうえで、外側パッキング81の軸挿通孔81aから蓋6の端子取り付け孔12、内側パッキング82および押さえ板10の各軸挿通孔82a・10aに順番に負極端子9の軸部21を挿通して、当該軸部21の先端部分を押さえ板10の軸挿通孔10aから突出させる。そして、この突出した軸部21の先端部分をかしめて外側に拡径変形させる(かしめ軸部22を形成する)ことにより、端子取り付け孔12に負極端子9をかしめ固定して、当該負極端子9、外側パッキング81、蓋6、内側パッキング82、押さえ板10を一体化する。
【0025】
このようにすると、図1に示したように、外側パッキング81は、蓋6と負極端子9の頭部20および軸部21とで挟持されて、これらと密着し、内側パッキング82は、蓋6と負極端子9のかしめ端部22(直接的には押さえ板10)および軸部21とで挟持されて、これらと密着する。こうして、端子取り付け孔12に取り付けられた負極端子9の周辺部が、蓋6の外面側に配置された外側パッキング81と、蓋6の内面側に配置された内側パッキング82とにより、二重にシールされた状態となる。これにより、蓋6と、その端子取り付け孔12に取り付けられた負極端子9との間が気密・液蜜状態に保たれる。
【0026】
ところで、上記のようにして負極端子9と蓋6との間に外側パッキンク81および内側パッキング82を挟み込んだ状態で軸部21の先端部分をかしめると、かしめに伴う締めつけにより外側パッキング81および内側パッキング82が変形する。この時、両パッキング81・82における各軸挿通孔81a・82aの周縁部は、端子取り付け孔12内の壁面と軸部21の外周面とで規制されてこれらの面に密着しつつ、両者間の隙間に所定量だけ入り込んでボス状となる。言い換えれば、かしめに伴う締めつけにより、外側パッキング81および内側パッキング82における各軸挿通孔81a・82aの周縁部が、軸部21が挿通されている端子取り付け孔12の上端側の隙間を埋めるように流動・変形して、図1に示したように、端子取り付け孔12内に所定量だけ入り込むことによりボス状となる。同時に、端子取り付け孔12における軸部21と蓋6との間には、当初の状態から両パッキング81・82におけるボス状部81b・82bの形成により体積が減少した分だけ、かしめ前に比べて圧力が高められた密閉空間Sが形成される。その結果、端子取り付け孔12における負極端子9の軸部20と蓋6との間のシール性が一層向上する。
【0027】
以上のようにして負極端子9まわりが外側パッキング81および内側パッキング82によって確実にシールされるのであるが、この場合に用いられている外側パッキング81および内側パッキング82は、所定位置に軸挿通孔81a・82aを形成しただけの単純な構造の打ち抜き品である。このような打ち抜き品は、従来から用いられている比較的複雑な構造のプレス成形品、すなわちフランジ部とボス部とをあらかじめ具備してなる従来のプレス形成品に比へると低コストで製造できる。しかも、外側パッキング81には耐熱樹脂製の打ち抜き品が使用されているものの、内側パッキング82には耐熱樹脂からなるものに比べて材料コストが一般的に安価なゴム製の打ち抜き品が使用されているから、この点においても全体が耐熱樹脂からなる従来の絶縁パッキングに比べるとコスト的に有利である。実際、外側パッキング81および内側パッキング82は、両者を合わせても従来の絶縁パッキングよりも低コストである。本発明の電池では、蓋6と負極端子9との間をシールする絶縁パッキング8として、従来のものよりも低コストの上記のような外側パッキング81および内側パッキング82を使用したことにより、その分だけコストの低減が図れることとなる。
【0028】
電池全体の組み立ては、次のような手順で行う。まず電池ケース1にインシュレータ7を内嵌装着する。次いで、蓋6に負極端子9等を一体的に組み付けてなる上記の組立体における押さえ板10に負極側の導電タブ5を溶接し、蓋6の内面に正極側の導電タブ4を溶接する。この後、蓋6を電池ケース1に内嵌したうえで、蓋6と電池ケース1との嵌合面を溶接して封止する。このとき、溶接熱の影響を受けやすい外側パッキング81には耐熱樹脂が使用されているので、溶接熱によって外側パッキング81が変形・変質したり溶融したりすることはない。最後に注入孔14から電解液をケース内へ注入したうえで、注入孔14にプラグ16を内嵌し溶接して、注入孔14を封止し電池を完成する。
【0029】
なお、上記の例では、出力端子9を負極側の端子としたが、これを正極側の端子としてもよい。また首部20bを省略して、頭部20の下面に軸部21を直接設けてもよい。
【0030】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係る密閉型の電池では、所定位置に軸挿通孔81a・82aを形成しただけの単純な構造の外側パッキング81および内側パッキング81を絶縁パッキング8として使用したので、フランジ部とボス部とを有する比較的複雑な構造のプレス成形品からなる絶縁パッキングを使用していた従来のものに比べて、コストを低減することができる。しかも、蓋6に取り付けられた出力端子9の周辺部は、上記の外側パッキング81および内側パッキング82によって二重にシールされるから、電池内の電解液や電池内部で発生したガスが出力端子9の周辺部から外部に漏出するといった事態も確実に防止できる。内側パッキング82に比べて溶接熱の影響を受けやすい外側パッキング81を耐熱樹脂で形成することで、溶接熱による外側パッキング81の変形・変質・溶融を回避することができる。こうして安価で且つ耐熱性および気密・液蜜性に優れた密閉型の電池を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図2におけるA−A線断面図である。
【図2】本発明を適用した密閉型の電池の一例を示す縦断正面図である。
【図3】電池の平面図である。
【図4】蓋に外側パッキングおよび内側パッキング等を介して出力端子を組み付ける前の状態を示す斜視図である。
【図5】従来の密閉型の電池における出力端子周辺部の構造を例示した断面図である。
【符号の説明】
1 電池ケース
6 蓋
3 缶本体
8 絶縁パッキング
9 出力端子(負極端子)
12 端子取り付け孔
81 外側パッキング
82 内側パッキング
81a・82a 軸挿通孔
81b・82b ボス状部
S 密閉空間
Claims (3)
- 電池ケースの開口を塞ぐ蓋に端子取り付け孔が貫通状に設けられており、この端子取り付け孔に、軸部の一端に頭部を有する端子(出力端子)が嵌合されて、絶縁パッキングを介してかしめ固定されていることにより、蓋と端子との間が前記絶縁パッキングにより絶縁およびシールされた密閉型の電池であって、
前記絶縁パッキングが、蓋の外面側に配置される外側パッキングと、蓋の内面側に配置される内側パッキングとで構成されており、
これらの外側パッキングおよび内側パッキングには軸挿通孔がそれぞれ貫通状に設けられており、
これらの軸挿通孔に端子の軸部を挿通・嵌合した状態で、外側パッキングが蓋と端子の頭部とで挟持されているとともに、内側パッキングが、蓋と、端子の軸部の他端に形成されたかしめ軸部とで挟持されており、
外側パッキングおよび内側パッキングにおける各軸挿通孔の周縁部は、端子のかしめ固定に伴う両パッキングの変形により端子取り付け孔における蓋と端子の軸部との間に所定量だけ入り込んでボス状となっており、
これらのボス状部によって蓋と端子の軸部との間がシールされている端子取り付け孔における蓋と端子の軸部との間には、端子のかしめ固定に伴う両パッキングにおけるボス状部の形成により圧力が高められた密閉空間が形成されていることを特徴とする密閉型の電池。 - 外側パッキングおよび内側パッキングには、いずれも打ち抜き品が用いられている請求項1記載の密閉型の電池。
- 外側パッキングは耐熱樹脂からなり、内側パッキングはゴムからなる請求項1または2記載の密閉型の電池。
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