JP4127529B2 - 有機酸製剤 - Google Patents

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Description

本発明は、難溶性有機酸を瞬時に溶解できる速溶性の有機酸製剤に関する。
従来より、食品添加物の酸味料として認められているフマル酸、アジピン酸、コハク酸等の難溶性有機酸は、溶解度が小さいために殆ど使用されていないのが現状である。特に、フマル酸は酸性度も高く、その酸味もクエン酸やリンゴ酸よりかなり強く、少量の使用量で有効であり、かつ安価でもある。
しかしながら、このフマル酸は、吸湿性が殆どなく、溶解速度が小さく比重も小さいため、水に添加されたとき、水面に浮上し溶解させるのに長時間を要する欠点がある。そのため、高価なクエン酸やリンゴ酸に代替されているのが現状である。また、フマル酸は、有機酸の中でも殺菌力が非常に強いために、食品(野菜等)の洗浄や食品工場等のタンク・ラインの洗浄や一般的な殺菌洗浄剤としての利用価値が高いものである。
一方、フマル酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸などの有機酸は、海藻や農作物等の植物の病害菌を駆除する農薬の代替としても注目されている。例えば、海苔養殖においては、養殖中に発生する赤腐れ病、白腐れ病、壷状菌病等の病害や珪藻、アオノリ等の雑藻類を駆除する殺藻殺菌剤として有機酸が使用されている。使用方法は、クエン酸、乳酸等の有機酸溶液(0.05〜1%)に海苔養殖網を浸漬したり、有機酸液を直接散布する方法で行われている。
しかしながら、フマル酸等の難溶性有機酸は、上述と同様に、海苔の病害等に対して高い殺菌力を示すことがわかっているが、溶解性が低く溶解するのに時間がかかりすぎる欠点があるため使用されていないのが現状である。また、安息香酸、ソルビン酸等も保存料として有用であるが、難溶性のため、ナトリウム塩やカリウム塩で使用されることが多く、安息香酸、ソルビン酸としての使用が殆どなされていないものである。これらのフマル酸等の難溶性有機酸は、下記表1に示すようにクエン酸・リンゴ酸と較べて溶解度が極端に低いことがわかる。
Figure 0004127529
これらのフマル酸、アジピン酸、コハク酸、イタコン酸、ソルビン酸、安息香酸等の難溶性有機酸は、吸湿性がほとんどなく、比重も小さく水に添加されたとき、水面に浮上しなかなか溶解しないため、短時間で溶解するには加熱溶解する方法しかなく、しかも、室温にて溶解するのは困難である。従って、フマル酸等の難溶性有機酸を簡単に溶解する方法若しくは製剤が開発されれば、安価で効果の高い酸味料、保存料、殺菌洗浄剤等を提供することが可能となるものである。
他方、フマル酸等の難溶性有機酸の溶解性を向上させる技術としては、例えば、疎水性粉末の食品添加物にポリグリセリン脂肪酸エステルを混合維持させることを特徴とする速溶性食品製剤の製法(例えば、特許文献1参照)が知られ、また、冷水中において高められた溶解速度を有する顆粒状フマル酸生成物において、その生成物がフマル酸及び少なくとも75重量%の三種顆以上の多糖類を含む低デニストロース、当量のマルトースデキストリン湿潤剤2.5と10重量%を含み、そして50と400の間の米国標準節寸法を有すること及び上述組成の多数の凝集した粒子から本質的になり、その粒子は10および40ミクロンの間の寸法であって、マルトースデキストリン湿潤剤で塗被されていることを特徴とする顆粒子フマル酸生成物(例えば、特許文献2参照)が知られている。また、本出願人は、フマル酸等の難溶性有機酸を水又は酸性溶液中にて200μm以下、実施例では10〜200μm以下で湿式粉砕することにより、瞬時に高濃度溶解することのできる製剤を出願している(例えば、特許文献3及び4参照)。
しかしながら、上記特許文献1及び2に記載される技術でも、明細書に記載されるように、0.17%のフマル酸を溶解するのに3〜6分という時間を要している。また、即溶しないため現実的な疎水性の改善はなされていないものである。更に、疎水性を改善するために、ポリグリセリン脂肪酸エステルやマルトースデキストリンを均一に塗被しなければならず、製法が困難であると共に、界面活性剤の発泡や大量に使用するマルトースデキストリンのために味覚を損なうという課題を生じている。また、上記特許文献3及び4に記載される方法は、今までにない優れたものであるが、長期保存した場合に、有機酸が固まり分散できなくなったり、溶解性が低下し使用できなくなる欠点などが生じることがわかった。更に、ポリグリセリン脂肪酸エステルなどの分散剤を用いてもその分散性の結果は同じであった。特に、夏場を想定した42℃保存では1ケ月でも沈殿してしまい溶解性もなくなることが判った。
特公昭62−19146号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特公昭57−54110号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開2001−57864号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開2001−122707号公報(特許請求の範囲、実施例等)
本発明は、上記従来技術の課題及び現状等に鑑み、これを解消しようとするものであり、高温や低温で長期保存した場合にも、分散性に優れ、希釈して使用するときにも難溶性の有機酸を瞬時に溶解できると共に、食品用の酸味料、殺菌剤、保存料、または植物の病害等を駆除する殺菌剤などに好適に利用することができる有機酸製剤を提供することを目的とする。
本発明者は、上記従来の課題等を解決するために、更に、長期保存しても分散安定な製剤等とすることについて以下に示す検討を行った。すなわち、平均粒子径10μm以下の難溶性有機酸を水又は酸性溶液中に混合分散させる方法により、瞬時に高濃度溶解でき、長期保存しても分散安定で溶解性も良好な製剤になることを見い出したが、室温での長期保存ではある程度分散できたが、42℃、−5℃といった高温・低温の条件下で長期保存した場合には短期間で沈殿が発生し、混合することが困難となったり溶解しなくなったりしてしまった。市場で販売する場合には、夏場や冬場の高温・低温にさらされるため、42℃、−5℃の長期保存でも安定でなければ、商品価値がないものである。なお、42℃、−5℃の恒温保存においては、6ケ月間の保存で極端な粘度変化、分散力の低下、可溶化能の低下がないこと、更に、室温においても、1年間の保存で、極端な粘度変化、分散力の低下、可溶化能の低下がないことが市場に出すことができる判断基準となる。
そこで、本発明者は、上記従来の課題を解決し、かつ、上記判断基準に適合する有機酸製剤を得るために鋭意検討した結果、平均粒子径10μm以下の難溶性有機酸と、水又は酸性溶液の1種以上と、特定の分散剤とを混合分散させる方法により、高温、室温、低温状態での長期保存においても、分散安定で溶解性も良好な製剤が得られることを見い出し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明は、次の(1)〜(6)に存する。
(1) 平均粒子径0.1〜8μmとなる下記A群から選ばれる少なくとも1種の難溶性有機酸5〜40重量%と、水又は酸性溶液の1種以上と、分散剤として酢酸基の割合が0.1〜3%となるキサンタンガム0.01〜5重量%とを含有することを特徴とする有機酸製剤。
A群:フマル酸、アジピン酸、コハク酸、イタコン酸、ソルビン酸、安息香酸
(2) 酸性溶液がリンゴ酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、酢酸、グルコン酸、フィチン酸、α−ケトグルタル酸、ギ酸、プロピオン酸、アスコルビン酸、リン酸、塩酸から選ばれる少なくとも1種よりなる水溶液であることを特徴とする上記(1)記載の有機酸製剤。
(3) 海苔養殖用の殺藻殺菌剤として使用することを特徴とする上記(1)又は(2)記載の海苔養殖用処理剤。
(4) 食品の酸味料、保存料、殺菌洗浄剤として使用することを特徴とする上記(1)又は(2)記載の有機酸製剤。
(5) 植物の病害駆除剤として使用することを特徴とする上記(1)又は(2)記載の有機酸製剤。
(6) 更に、アルコール類、界面活性剤、抗菌類の1種以上を含有することを特徴とする上記(1)〜(5)の何れか一つに記載の有機酸製剤。
本発明によれば、高温や低温においても、しかも、経時的にも分散性、長期安定性に優れ、希釈して使用するときにも難溶性の有機酸を瞬時に溶解することができる有機酸製剤が提供される。
以下に、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明の有機酸製剤は、平均粒子径10μm以下の難溶性有機酸と、水又は酸性溶液の1種以上と、分散剤としてキサンタンガムとを含有することを特徴とするものである。
本発明で使用する平均粒子径10μm以下の難溶性有機酸は、一般的には原料として市販されているフマル酸、アジピン酸などの難溶性有機酸を乾式又は湿式の方法で粉砕して使用する。また、原料製造時に10μm以下になるよう結晶化させて取り出したものを使用しても良い。
使用する難溶性有機酸は、平均粒子径10μm以下であるが、好ましくは、平均粒子径10μm未満、最も好ましいものは、平均粒子径が0.1〜8μmとなるものが望ましい。
この難溶性有機酸の平均粒子径が10μmを越えるものでは、長期保存した場合に、少し分散状態が悪くなり、好ましくない。なお、平均粒子径が0.1μmより小さくなると、粉砕が難しくなると共に、粉砕ロスが悪くなり、好ましくない。
本発明で用いる難溶性有機酸としては、例えば、フマル酸、アジピン酸、コハク酸、イタコン酸、安息香酸、ソルビン酸などが挙げられ、これらは単独で又は2種以上混合して使用することができる。これらの難溶性有機酸の中でも、酸性度も高く、その酸味もクエン酸やリンゴ酸よりかなり強く、また、殺菌力が強く、少量の使用量で有効であり、かつ安価でもある点などからフマル酸の利用価値が高いものである。
本発明において、分散安定剤として使用するキサンタンガムは、澱粉などの糖類を原料とし、微生物キサントモナス・キャンベストリスを用いて好気的に液体醗酵することにより得られる多糖類であり、通常、増粘剤などとして使用されるものを用いることができる。
本発明で用いるキサンタンガムは、キサンタンガムとして市販されているものを使用することができるが、通常使用されるキサンタンガムの酢酸基の割合は約5%位であるが、特に、0〜3%のものを使用すると、更に粘度安定性に優れているため特に望ましいといえる。
使用するキサンタンガムの濃度は、特に限定されないが、有機酸製剤全量に対して、0.01重量%(以下、単に「%」という)以上が好ましく、特に好ましくは、0.01〜5%とすることが望ましい。このキサンタンガムの濃度が0.01%未満になると、分散能力がなくなることとなり、また、5%を越えると、粘度が高くなりすぎるために、溶解工程及び希釈使用するときの作業性が悪くなり、好ましくない。
本発明に用いる水としては、精製水、イオン交換水、純水、超純水、蒸留水、水道水、海洋深層水などを挙げることができる。
本発明に用いる酸性溶液に使われる酸としては、例えば、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、酢酸、グルコン酸、フィチン酸、ギ酸、α−ケトグルタル酸、アスコルビン酸、リン酸、塩酸といった食品添加物として認められたものが挙げられ、これらは単独で又は2種以上混合して使用することができる。
特に、食品添加物として使用する場合には、乳酸、フィチン酸、リン酸といった常温で液体、無臭のものを使用すると、食品の味・風味を損なわないために、使用時の用途が幅広くなり好ましいものといえる。
また、海藻や植物の病害駆除を目的で使用する場合には、効果の高いギ酸、酢酸、乳酸などの溶液を用いた方が好ましい。
本発明において、酸性溶液における酸濃度は、用いる酸種、有機酸製剤の用途により、変動するものであるが、酸性溶液中に1〜100%、好ましくは、5〜60%になることが望ましい。
これらの水又は酸性液に混合する難溶性有機酸の含有量は、特に限定されるものではないが、有機酸製剤全量に対して、5%未満であると分散状態が悪く、難溶性有機酸の溶解性も悪くなるため、5%以上とすることが好ましい。また、難溶性有機酸の含有量は、有機酸製剤全量に対して、40%を越えると、粘度が高くなり過ぎ、製剤化が難しくなる。好ましくは、難溶性有機酸の含有量を5〜40%の範囲とすることが望ましい。
本発明の速溶性を有する有機酸製剤の使用用途としては、何ら限定されるものではないが、食品の酸味料、保存料、殺菌剤として、または、食品や食品工場等のタンク・ラインの洗浄剤として使用することができ、更に、一般的な殺菌洗浄剤としても使用することができる。
食品の酸味料としては、本発明の有機酸製剤をそのまま、または、希釈して使用することができ、保存料、殺菌剤としては、本発明の有機酸製剤をそのまま、または、希釈して使用、更に、エタノールなどのアルコール類、抗菌剤などを適宜含有せしめて使用することができる。
また、洗浄剤としては、本発明の有機酸製剤にノニオン界面活性剤などの界面活性剤、アルコール類、抗菌剤などを含有せしめて使用することができる。
更に、海藻や農作物等の植物の病害菌を駆除する製剤としても使用できる。例えば、海苔養殖中に発生する、珪藻・アオノリ等の雑藻の駆除や赤腐れ病等の病害菌の駆除剤としても使用することができる。海苔養殖用の病害菌駆除剤等としては、本発明の有機酸製剤をそのまま、または、海水などで希釈して使用、更に、他の有機酸(酢酸、リンゴ酸、クエン酸)を組合わせて使用することができる。
なお、本発明の有機酸製剤の使用方法としては、平均粒子径10μm以下の難溶性有機酸を予め用意しておき、上述の分散剤としてのキサンタンガム、並びに、水又は酸性溶液の1種以上を用いて分散させた分散液を調製し、これを希釈等して使用してもよいものである。
このように構成される本発明の有機酸製剤では、平均粒子径10μm以下の難溶性有機酸と、分散剤としてのキサンタンガムと、水又は酸性溶液の1種以上とを含有することにより、初めて、高温及び低温状態で長期保存した場合にも、分散性、溶解性に優れ、難溶性の有機酸を瞬時に高濃度で即溶できると共に、食品用の酸味料、殺菌剤、保存料、または植物(海苔養殖用を含む)の病害等を駆除する殺菌剤などに好適に利用することができるものとなる。
次に、試験例による実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明するが、下記実施例等に限定されるものではない。
〔試験例1、実施例1〜2及び比較例1〜4〕
下記表2に示す組成のフマル酸30%分散液(有機酸製剤)を調製した。この調製法は、20℃の水(精製水、以下同様)にキサンタンガム(酢酸基5%)又はポリグリセリン脂肪酸エステルを溶解した後、平均粒子径5μmのフマル酸を投入して分散させた。
比較例1〜2及び実施例1は湿式粉砕により5μmに調整した。また、比較例3〜4及び実施例2は乾式粉砕機により乾式粉砕した5μmのフマル酸を使用した。
得られた有機酸製剤について、42℃、室温、−5℃にて保存し、6ケ月後と1年後の製剤の分散状態とフマル酸を0.2w/v%濃度になるように20℃の水で希釈した時の溶解性を官能評価した。
なお、希釈溶解性は、20℃の水(精製水、以下同様)で希釈した後、軽く撹拌した直後の状態を観察した。
これらの試験結果を下記表2及び表3に示す。
Figure 0004127529
Figure 0004127529
上記表2及び表3の結果から明らかなように、本発明の範囲となる実施例1〜2(湿式粉砕、乾式粉砕)の平均粒径5μm以下のフマル酸と分散剤としてのキサンタンガムとを水に混合分散したものを各保存温度(42℃、室温、−5℃)で6ケ月又は1年間保存した後であっても、分散状態は良好であり、0.2w/v%のフマル酸濃度に希釈しても簡単に溶解できることが判明した。
これに対して、キサンタンガムを使用しない本発明の範囲外となる比較例1及び3では、各保存温度(42℃、室温、−5℃)で6ケ月又は1年間保存した後では、分散状態が悪く、希釈した場合に不溶物があるなどの問題が生じることが判明した。
また、分散剤としてキサンタンガムの代わりに、食品添加物として許可される界面活性剤の一種であるポリグリセリン脂肪酸エステル(デカグリセリンモノラウレート)を使用した本発明の範囲外となる比較例2及び4においても、各保存温度(42℃、室温、−5℃)で6ケ月又は1年間保存した後では、分散状態が悪く、希釈した場合に不溶物があるなどの問題が生じることが判明した。
〔試験例2、実施例3〜7及び比較例5〕
下記表4に示す組成(乾式粉砕による平均粒径0.1μm、1μm、5μm、8μm、10μm、30μm)のフマル酸30%分散液(有機酸製剤)を調製した。この調製法は、水にキサンタンガム(酢酸基:5%)0.4%になるように溶解した後、平均粒子径の異なるフマル酸を投入して分散させた。
上記試験例1と同様に、得られた有機酸製剤について、42℃、室温、−5℃にて保存し、6ケ月後と1年後の製剤の分散状態とフマル酸を0.2w/v%濃度になるように20℃の水で希釈した時の溶解性を官能評価した。なお、希釈溶解性は、20℃の水で希釈した後、軽く撹拌した直後の状態を観察した。
これらの試験結果を下記表4及び表5に示す。
Figure 0004127529
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上記表4及び表5の結果から明らかなように、本発明範囲となる実施例3〜7は、本発明の範囲外となる比較例5に較べ、平均粒径10μm以下のものであれば、溶解性が良好であり、製剤の状態も分散が良好となることが判った。特に、平均粒径10μm未満となる実施例4〜7では、溶解性が更に良好であり、製剤の状態も分散が更に良好となることが判った。
〔試験例3、実施例8〜11及び参考例〕
下記表6に示す各濃度のキサンタンガム(酢酸基:5%)溶液を調製した後、乾式粉砕による平均粒径5μmのフマル酸が30%分散液(有機酸製剤)になるように分散させた分散液を調製した。
得られた有機酸製剤について、42℃にて保存し、6ケ月後と1年後の製剤の分散状態とフマル酸を0.2w/v%濃度になるように20℃の水で希釈した時の溶解性を官能評価した。希釈溶解性は、上記試験例1と同様にして、軽く撹拌した直後の状態を観察した。
これらの試験結果を下記表6及び表7に示す。
Figure 0004127529
Figure 0004127529
上記表6及び表7の結果から明らかなように、本発明範囲となる各キサンタンガム濃度となる実施例8〜11は、溶解性が良好であり、製剤の状態も分散が良好となることが判った。
〔試験例4、実施例12〜16〕
下記表8に示す組成の各難溶性有機酸(コハク酸、アジピン酸、イタコン酸、ソルビン酸、安息香酸)の20%分散液を調製した。この調製法は、水にキサンタンガム(酢酸基:5%)0.5%になるように溶解した後、乾式粉砕による平均粒子径1μmの各難溶性有機酸を投入して分散させた。
得られた有機酸製剤について、42℃にて保存し、6ケ月後の製剤の分散状態と有機酸を0.05w/v%濃度になるように20℃の水で希釈した時の溶解性を官能評価した。
なお、希釈溶解性は、上記試験例1と同様に、軽く撹拌した直後の状態を観察した。
これらの試験結果を下記表8に示す。
Figure 0004127529
上記表8の結果から明らかなように、本発明範囲となる各難溶性有機酸を用いた実施例12〜16においても、溶解性が良好であり、製剤の状態も分散が良好となることが判った。
〔試験例5、実施例17〜21〕
下記表9に示すように、乳酸、酢酸、ギ酸、クエン酸、リンゴ酸の10%液にキサンタンガム(酢酸基:5%)を製剤中0.4%になるように添加溶解した後、乾式粉砕による平均粒子径5μmのフマル酸が30%になるように添加して分散混合させて有機酸製剤を調製した。
得られた有機酸製剤について、42℃にて保存し、6ケ月後と1年後の製剤の分散状態とフマル酸を0.1w/v%濃度になるように20℃の水で希釈した時の溶解性を官能評価した。なお、希釈溶解性は、上記試験例1と同様に、軽く撹拌した直後の状態を観察した。
これらの試験結果を下記表9に示す。
Figure 0004127529
上記表9の結果から明らかなように、本発明範囲となる各種酸性溶液を使用した実施例17〜21においても、溶解性が良好であり、製剤の状態も分散が良好となることが判った。
〔試験例6、実施例22〜26〕
下記表10に示す各種のキサンタンガム(酢酸基:0.1%、1%、2%、3%、5%)を0.5%になるように溶解した後、乾式粉砕による平均粒径5μmのフマル酸が10%になるように添加して有機酸製剤を調製した。
得られた有機酸製剤について、42℃、室温、−5℃にて保存し、1年後の製剤の分散状態とフマル酸を0.2w/v%濃度になるように20℃の水で希釈した時の溶解性を官能評価した。なお、希釈溶解性は、上記試験例1と同様に、軽く撹拌した直後の状態を観察した。
これらの試験結果を下記表10に示す。
Figure 0004127529
上記表10の結果から明らかなように、本発明範囲となる各酢酸基濃度のキサンタンガムとなる実施例22〜26は、溶解性が良好であり、製剤の状態も分散が良好となることが判った。特に、各酢酸基濃度が5%未満のキサンタンガムは、溶解性が更に良好であり、製剤の状態も分散が更に良好となることが判った。
上記試験例1〜6(表2〜10)の結果を総合すると、平均粒子径10μm以下の難溶性有機酸と、水又は酸性溶液の1種以上と、分散剤としてキサンタンガムとを含有する有機酸製剤とすることにより、初めて、高温、室温、低温状態での長期保存においても、長期安定性、分散性及び溶解性に優れた従来にない有機酸製剤が得られるものとなることが判った。
この優れた本発明の有機酸製剤の用途としての一例、植物の病害等を駆除する海苔養殖用の殺菌・殺藻剤の配合組成を以下に示す。
〔実施例27〜31、本発明の有機酸製剤の海苔養殖用殺菌・殺藻剤への用途〕
海苔養殖用の殺菌・殺藻剤として上記実施例1,14,17〜19の有機酸製剤(42℃、暗所で6ケ月瓶での保存後)を海水で希釈して用いた。すなわち、上記で得た実施例1,14,17〜19の有機酸製剤を6ケ月保存後、下記表11に示す濃度の希釈液(海水希釈)にして各海苔養殖用の殺菌・殺藻剤とした。この各濃度の希釈液(殺菌・殺藻剤)200mlに赤腐れ菌感染海苔葉体を15℃にて下記表13に示す各時間で浸漬処理した後、海水で洗浄し、一昼夜静置し赤腐れ菌の駆除効果を評価した。これらの結果を下記表11に示す。
また、上記同様に、6ケ月保存後の有機酸製剤を下記表14に示す各濃度の希釈液(殺菌・殺藻剤)に珪藻(リクモフォラ)付着海苔葉体を15℃にて下記表12に示す各時間で浸漬処理した後、海水で洗浄し、一昼夜静置し珪藻駆除効果を評価した。これらの結果を下記表12に示す。
Figure 0004127529
Figure 0004127529
上記表11及び表12の結果から明らかなように、実施例27〜31の有機酸製剤は、長期保存後にも優れた溶解性を有すると共に、海苔養殖用殺菌・殺藻剤として優れた赤腐れ菌、珪藻駆除効果を有するものであった。
本発明の有機酸製剤の使用用途は、何等限定されるものではないが、食品の酸味料、保存料、殺菌洗浄剤として、食品(野菜等)の洗浄や食品工場等のタンク・ラインの洗浄剤として使用することができる。また、一般的な殺菌洗浄剤としても使用することができる。更に、海藻や農作物などの植物の病害菌を駆除する製剤としても使用できる。例えば、海苔養殖中に発生する、珪藻、アオノリなどの雑藻の駆除や赤腐れ病等の病害菌の駆除剤としても使用することができる。

Claims (6)

  1. 平均粒子径0.1〜8μmとなる下記A群から選ばれる少なくとも1種の難溶性有機酸5〜40重量%と、水又は酸性溶液の1種以上と、分散剤として酢酸基の割合が0.1〜3%となるキサンタンガム0.01〜5重量%とを含有することを特徴とする有機酸製剤。
    A群:フマル酸、アジピン酸、コハク酸、イタコン酸、ソルビン酸、安息香酸
  2. 酸性溶液がリンゴ酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、酢酸、グルコン酸、フィチン酸、α−ケトグルタル酸、ギ酸、プロピオン酸、アスコルビン酸、リン酸、塩酸から選ばれる少なくとも1種よりなる水溶液であることを特徴とする請求項1記載の有機酸製剤。
  3. 海苔養殖用の殺藻殺菌剤として使用することを特徴とする請求項1又は2記載の海苔養殖用処理剤。
  4. 食品の酸味料、保存料、殺菌洗浄剤として使用することを特徴とする請求項1又は2記載の有機酸製剤。
  5. 植物の病害駆除剤として使用することを特徴とする請求項1又は2記載の有機酸製剤。
  6. 更に、アルコール類、界面活性剤、抗菌類の1種以上を含有することを特徴とする請求項1〜5の何れか一つに記載の有機酸製剤。
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