JP4126882B2 - 多光軸光電センサ用の設定システム - Google Patents

多光軸光電センサ用の設定システム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、複数の光軸毎に遮光状態を検知してその検知結果を出力する多光軸光電センサに関するもので、特に、センサにその検知動作の定義を設定するための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的な多光軸光電センサは、複数の投光素子が一列に配置された投光部と、投光素子と同数の受光素子が一列に配置された受光部とを、各投受光素子を一対一の関係で向かい合うように配置して成る。前記投光部と受光部とは、通信線を介して接続されており、投光部側で各投光素子を順次発光させるとともに、受光部側で各投光素子に対応する受光素子から前記投光素子の発光動作に同期するタイミングで得た受光量を取り出すことにより、光軸毎の遮光状態を順に検知するようにしている。さらに受光部では、各光軸毎の検知結果を用いて検知エリアに物体があるか否かを判別し、その判別結果を示す信号(以下、「物体検知信号」という。)を出力する。
【0003】
この種の多光軸光電センサは、主として、機械などの作動により生じる危険領域に作業者の身体が近づいたことを検知して、機械を停止させたり、警報を出力するなど、事故を防止するための対応をとる目的で使用される。したがって通常は、いずれか一光軸において遮光状態を検知すると、物体検知信号をオンにするように設定される。しかしながらセンサの設置状態によっては、特定の光軸における検知結果を無効にしなければならない場合がある。
【0004】
図7は、特定光軸の無効化を必要とする具体例であって、図中、101は投光部を、102は受光部を、103は機械を、それぞれ示す。この例では、機械103の危険領域に合わせて投受光部101,102を設置したとき、図7(1)に示すように、光軸の一部(図中、P1,P2,P3と示す。)が機械103に遮断された状態となるため、通常の設定では正常な検知動作を行うことは不可能となる。このような場合には、図7(2)に点線で示すように、遮断される各光軸P1,P2,P3をあらかじめ無効化して、有効な光軸のみで検知を行うように設定する。
【0005】
このように一部の光軸を無効化する処理は、「フィックスブランキング」と呼ばれている。従来、このフィックスブランキングを行うには、センサ内に設定したディップスイッチの切替により、機体をティーチングモードにした上で投受光動作を行わせ、遮光状態となった光軸やその光軸の数を記憶させるようにしている。
【0006】
さらに近年の多光軸光電センサには、フィックスブランキング以外にも、検出すべき物体の大きさに応じた光軸数、出力信号の形式、遮光状態を判別するためのしきい値など、最適な検知動作を行うための種々の機能を設定する必要が生じている。このような状況から、近年では、ディップスイッチに代えて、専用のコントローラやパーソナルコンピュータなどの外部機器により設定を行うようにしたセンサも提供されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ディップスイッチによる設定では、操作性が悪く、また上記したように設定できる項目に限界がある。またフィックスブランキングの設定時には、塵芥などのノイズによって遮光状態となるべきでない光軸が遮光状態となって、誤った設定が行われる虞があるが、光軸毎の検知結果を表示する機能がないため、ユーザーが正しい設定を行ったか否かを確認することは不可能である。
【0008】
一方、多光軸光電センサ用のコントローラは、操作性の面では、ディップスイッチよりも優れているが、この種のコントローラは、通常、センサの設置位置から離れた配電盤内に格納されるため、たとえコントローラに表示機能を設けたとしても、検知された遮光状態がセンサの実際の遮光状態を正しく反映しているか否かを確認するのは困難である。また従来のこの種のコントローラは、センサ毎に1台ずつ必要であるため、複数のセンサが導入されている現場においては、コスト高となる。
【0009】
これに対し、小型のパーソナルコンピュータにより設定を行うようにすると、センサの近傍において、光軸の遮光状態や設定の内容などを表示することにより、センサの実際の遮光状態との対応関係を確認しながら設定処理を行うことができる。またセンサ毎に個別に設定用の機器を用意する必要がなくなる、という利点がある。
【0010】
しかしながらパーソナルコンピュータによる設定を行う場合、センサ側には、前記投受光部間の通信のための構成以外に、コンピュータへの接続用にRS232C規格の通信インターフェースやコネクタを設ける必要があるので、コスト高となる。またこれらインターフェースやコネクタを配備する場所の分だけセンサの外形が大きくなるという問題も生じる。またこの種のコネクタは、センサの決まった位置に設定されるので、センサが装置の奥まった場所に設置されるなどして、コネクタへの接続が困難となる場合がある。さらに、複数のセンサを連結させて使用する場合にも、各センサ毎に接続を切り替えて設定を行わなければならないので、設定作業が繁雑になる、という問題も生じる。
【0011】
この発明は上記問題点に着目してなされたもので、多光軸光電センサのセンサ本体の構成を変更することなく、持ち運び自由なコンソールを用いて、センサの近傍において検知動作の定義を設定する処理を簡単に実行できるようにすることを第1の目的とする。
【0012】
またこの発明は、前記コンソールを接続する位置を、センサの設置場所や設置条件などに応じて自由に選択できるようにすることによって、利便性を大幅に向上することを第2の目的とする。
【0013】
さらにこの発明は、複数組の多光軸光電センサを連結させて使用する場合に、マルチドロップ通信用の通信線を介して、各センサへの設定を個別かつ効率よく行うことができるようにすることを第3の目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
この発明が適用される多光軸光電センサは、長手形状の機体を有する投光部および受光部を、投受光面を対向させて配備して成る。投光部および受光部の内部には、それぞれ複数の投光素子、複数の受光素子が機体の長手方向に沿って配備されるほか、投受光動作を制御するための制御回路や通信回路などが組み込まれている。各通信回路は、通信線を介して接続されており、この通信線を介した信号のやりとりにより、各光軸を順に有効化して遮光状態を検知し、その検知結果を出力する。
【0015】
この発明では、前記投光部と受光部とを双方向通信が可能な通信線により接続し、この通信線に、通信線を外部に分岐させるための分岐コネクタを取り付ける。さらに分岐コネクタには、検知動作の定義を設定するためのコンソールが取り外し自由に接続される。
分岐コネクタは、本来の投受光部間の通信線を中継するとともに、この中継点で通信線を一方向に分岐させるT字コネクタとして形成することができる。コンソールは、持ち運び可能な大きさの携帯型機器であって、多光軸光電センサへの設定が必要なときに、分岐コネクタを介して接続された後、設定終了後は、分岐コネクタから取り外すことができる。
【0016】
コンソールにより設定される「検知動作の定義」とは、前記フィックスブランキングのように、検知処理に使用しない光軸を定める条件のほか、遮光状態と判断するためのしきい値,検知信号として出力される信号の種類,外部入力信号(センサと機械側の駆動系との間に介在させるリレーからの信号など)を受け付けるか否かなど、センサの検知動作に関わる種々の条件についての定義を意味する。
【0017】
上記構成によれば、投受光部間での通信に用いられる通信線を利用してコンソールを接続し、センサの検知動作の定義を設定するので、センサの近傍において各種設定を簡単に行うことが可能となる。またパーソナルコンピュータを接続する場合のように、センサの本体に接続用のコネクタを設けたり、投受光部間での通信とは別のインターフェースを設けるなど、センサ本体の構成を変更する必要がなくなる。しかもコンソールは、必要に応じて分岐コネクタに接続すればよいので、複数のセンサの設定を1台のコンソールで行うことができ、コストを削減することができる。
【0018】
好ましい態様によれば、前記投光部および受光部には、長手方向の少なくとも一端部にそれぞれ同一径の接続用コネクタが設けられており、前記分岐コネクタは、各接続用コネクタに連結可能に構成される。
上記の接続用コネクタは、投受光部を設置するために使用されるほか、複数のセンサを連結させる場合に他のセンサの投受光部と接続するために使用されるもので、前記通信線のほか、電源ライン,検知信号を出力するための外部出力ライン,前記外部リレーに対する入力ラインなどの信号線を中継するように構成することもできる。ただし外部へ分岐させるのは通信線のみで良く、必要に応じて電源ラインや外部出力ラインなどをともに分岐させるようにしてもよい。
【0019】
上記の態様によれば、分岐コネクタは、投光部または受光部のいずれのコネクタにも取り付けることができるので、コンソールを接続するのに都合の良い方のコネクタを選択して分岐用コネクタを取り付けることにより、センサへのコンソールの着脱を容易に行うことができ、利便性を大幅に向上することができる。
【0020】
さらに好ましい態様によれば、コンソールには、表示器が設けられるとともに、各光軸毎の受光量または遮光状態の検知結果を示すデータを前記通信線を介して取り込んで表示器に表示される手段が組み込まれる。この構成によれば、フィックスブランキングの設定において、遮光状態として検知された光軸が適正であるか否かを確認したり、遮光状態として検知するためのしきい値を設定する場合に、実際の遮光状態と受光量との関係を確認して最適なしきい値を設定することができ、誤った設定が行われるのを防止することができる。
【0021】
さらにこの発明では、複数の多光軸光電センサを一連に接続して、各センサの検知動作を統合した検知を行う場合には、各センサの投光部および受光部を、マルチドロップ通信が可能な通信線により一連に接続し、前記通信線に、通信線を外部に分岐させるための分岐コネクタを取り付ける。さらに前記分岐コネクタには、各センサに検知動作の定義を個別に設定するためのコンソールが取り外し自由に接続される。
なお、上記の各センサは、一方向に連結して検出域を伸ばす用途に適用されるほか、垂直方向に沿って配置したセンサと水平方向に沿って配置したセンサとを連結して、3次元空間における物体の検知を行う場合にも用いられる。
【0022】
前記マルチドロップ通信が可能な通信線は、RS485のように、1つの機器から他の複数の機器に、それぞれ個別に信号を送信できる規格に対応するもので、投光部,受光部,コンソールの各機器には、同様の規格に準拠する通信インターフェースが組み込まれる。各センサ間においては、たとえば第1のセンサによる検知動作が終了すると、第2のセンサの検知動作が開始される、というように、各センサの検知動作を連動させるための信号のやりとりが行われる。また、同じセンサの投受光部間では、単体のセンサにおけるのと同様に、投受光動作を同期させるための信号のやりとりが行われる。さらにセンサ間においては、各センサにおける検知結果を特定のセンサに送信し、この特定のセンサから統合された検知結果を出力することができる。
【0023】
さらにコンソールからは、各センサの投光部および受光部に、それぞれ種々の設定を行うためのコマンドを送信したり、光軸毎の検知結果などの送信を要求するコマンドを送って必要なデータの送信を受けることができる。
このような構成によれば、連結された複数のセンサに個別の設定処理を行う場合に、各センサを接続する通信線に設けられた分岐コネクタを介してコンソールを接続することによって、センサ毎の設定を行うことができるので、設定対象のセンサが変わってもコンソールを接続し直す必要がなく、簡単かつ効率の良い設定処理を行うことができる。
【0024】
上記システムの好ましい態様によれば、各センサの投光部および受光部には、長手方向の両端部にそれぞれ同一径の接続用コネクタが設けられ、これら接続用コネクタにより各センサが投光部,受光部毎に連結される。また分岐コネクタは、前記各接続用コネクタに接続可能に構成される。
この態様によれば、複数組の投光部および受光部の各両端部のうち、コンソールの接続に最適な場所を選択して分岐用コネクタを取り付けることができるので、コンソールの着脱を簡単に行うことができ、利便性を向上することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
図1は、この発明の一実施例にかかる多光軸光電センサの構成を示す。
この多光軸光電センサSは、複数の投光素子11が配備された投光部1と、前記投光素子11と同数の受光素子21が配備された受光部2とを、投受光面を対向させて配備したものである。投光部1には、前記投光素子11のほか、各投光素子11を個別に駆動する駆動回路12,光軸順次選択回路13,制御回路16,通信回路17,電源回路18などが組み込まれる。また受光部2には、前記受光素子21のほか、各受光素子21毎のアンプ22およびアナログスイッチ23,光軸順次選択回路25,制御回路26,制御回路26への入力用のアンプ24,通信回路27,電源回路28などが組み込まれる。
【0026】
投受光部1,2の各制御回路16,26は、CPUやメモリを具備するマイクロコンピュータなどにより構成される。各通信回路17,27は、RS485に準拠する通信インターフェースであって、同じくRS485に対応するタイプの2本の通信線6A,6Bを介して、投受光部1,2間における信号のやりとりを制御する。
【0027】
各電源回路18,28は、共通の外部電源5(直流電源)から電源の提供を受け、それぞれ同じ装置内(投光部1または受光部2内)の各部に電源を供給する。なお、外部電源5から各電源回路18,28への電源供給は、2本の電源ライン7A,7Bをそれぞれ分岐させて、一方を投光部1側の電源回路18に、他方を受光部2側の電源回路28に接続することにより行われる。したがって投光部1と受光部2とは、前記通信線6A,6Bおよび電源ライン7A,7Bにより接続された状態となる。
【0028】
投光部1側の制御回路16は、所定の時間毎にタイミング信号を発生させて、これを光軸順次選択回路13に与える。光軸順次選択回路13は、各投光素子11の駆動回路12を順に制御回路16に接続するためのゲート回路であって、この回路における切替処理により、前記制御回路16からのタイミング信号が各駆動回路12に順に与えられて、各投光素子11の順次発光動作が実現する。
さらに前記タイミング信号は、通信回路17,27を介して受光部2側の制御回路26にも与えられる。
【0029】
受光部2において、各受光素子21からの出力(以下、受光出力」という。)は、アンプ22,アナログスイッチ23を介して制御回路26への入力ライン29に送出される。制御回路26は、投光部1からのタイミング信号を光軸順次選択回路25に送って、各光軸のアナログスイッチ23を順にオン動作させ、発光した投光素子11に対応する受光素子21からの受光出力を取り込むとともに、各受光出力をそれぞれ所定のしきい値と比較するなどして、各光軸が遮光状態であるか否かを判別する。すべての光軸に対する受光出力の取り込みが終了すると、制御回路26は、光軸毎の判別結果をまとめて最終的な判別処理を行って、その判別結果を示す物体検知信号を生成し、これを図示しない出力回路を介して外部に出力する。
【0030】
さらにこの実施例では、前記投受光部1,2間において、分岐コネクタ4により通信線6A,6Bや電源ライン7A,7Bを中継しつつ、これらのラインを外部に分岐させて、設定用のコンソール3を接続するようにしている。
なお、コンソール3内にバッテリーを組み込む場合は、電源ライン7A,7Bを分岐させる必要はない。
【0031】
前記コンソール3は、稼働前のセンサSをティーチングモードにして、前記したフィックスブランキングなど、種々の検知動作の定義を設定するためのものである。
図2は、前記コンソール3の外観を示す。機体の前面には、数値などを表示するための表示器31A,31Bのほか、設定モードを報知するための複数の報知用ランプ32や押釦キー33などが設けられる。また機体の上面には、前記分岐コネクタ4からの接続ケーブル57を接続するための接続端子(図示せず。)が設けられる。
【0032】
前記押釦キー33は、センサSをティーチングモードに設定したり、設定用のデータやコマンドを入力するためのものである。表示部31A,31Bは、押釦キー33の操作内容に応じたデータを表示したり、フィックスブランキングの設定時などに、光軸毎の受光量、または遮光状態の検知結果を表示するのに用いられる。
【0033】
図1に戻って、前記コンソール3の機体内部には、マイクロコンピュータによる制御回路36のほか、通信回路37,電源回路38,表示回路34,入力部35などが組み込まれる。通信回路37は、投受光部2の通信回路と同様に、RS485規格のインターフェースであり、前記分岐コネクタ4により分岐された通信線6A,6Bに接続される。電源回路28は、分岐コネクタ4により分岐された電源ライン7A,7Bに接続されており、外部電源5からの電源を取り込んでコンソール3内の各部に供給する役割を果たす。
【0034】
表示回路34は、前記機体前面の表示器31A,31Bに情報を表示したり、報知用ランプ32を点灯させるための制御を行う表示用インターフェースである。また入力部35は、押釦キー33による入力を受け付けて、その入力内容を制御回路36に伝える入力用インターフェースである。
【0035】
図3は、前記投受光部1,2の外観を分岐コネクタ4の取り付け例とともに示す。なお、この図3上では投受光部1,2の各部材の構成を示す符号にP,Qを付けているが、以下の説明では、投受光部1,2の両方の構成に言及する場合は、各構成に共通する数字部分のみを示すことにする。
【0036】
この実施例の投光部1および受光部2の機体本体は、両端が開口された長手形状のケース体51により構成される。ケース体51の両端開口部には、それぞれ蓋体54が密封固定されている。各蓋体54の上面には、それぞれ接続用のコネクタ52,53が設けられている。これら上下位置のコネクタ52,53は、前記通信線6A,6Bや電源ライン7A,7Bのほか、入出力用の複数の信号線を中継するためのもので、下方のコネクタ53は雄コネクタ,上方のコネクタ52は雌コネクタとして、それぞれ同一径に形成される。
【0037】
また各コネクタ52P,52Q,53P,53Qの端子配置はいずれも同様であるが、各端子が扱う信号には、投光部1,受光部2によって若干の違いがある。ただし、前記通信線6A,6Bおよび電源ライン7A,7Bについては、いずれのコネクタでも同じ位置の端子を使用する。
【0038】
投光部1および受光部2は、それぞれ下方の雄コネクタ53P,53Qがケーブル54を介して図示しない配線基盤などに取り付けられる。前記分岐コネクタ4は、T字コネクタであって、コネクタ53P,53Qのいずれか一方(図示例では、受光部2側のコネクタ53Q)とケーブル58Qとの間で信号を中継するとともに、分岐路は、前記コンソール3への接続用ケーブル57に接続される。なおこの分岐コネクタ4により分岐されるのは前記通信線6A,6Bおよび電源ライン7A,7Bのみであり、その他の信号線については、接続用コネクタ53からケーブル58への中継用の信号路のみが形成される。
なお、図中、55a,55b,55cは、各部材の接続を固定させるためのローレット、56,59は中継用のコネクタである。
【0039】
前記したように、投受光部1,2の各雄コネクタ53P,53Qは、同一径であり、通信線6A,6Bおよび電源ライン7A,7B用の端子が同じ位置に配置されているので、分岐コネクタ4は、図4に示すように、投光部1および受光部2のいずれのコネクタ53P,53Qにも接続することができる。
【0040】
また分岐コネクタ4の中継用の各接続口は、一方が雄コネクタ53に、他方が雌コネクタ52にそれぞれ対応するように形成されている。したがって分岐コネクタ4は、上方の雌コネクタ52P,52Qにも接続することができるので、センサの設置場所などの条件に応じて接続に最適のコネクタを選択して分岐コネクタ4を取り付けることができ、コンソール3の接続や取り外しをきわめて容易に行うことが可能となる。また分岐コネクタ4自身も簡単に取り外すことができるので、センサの設置場所を変更する場合などにも容易に対応することができる。ただし投受光部1,2の上面には、コネクタのない蓋体54が配備される場合もあり、この場合は、投光部1,受光部2の下方のコネクタ53P,53Qのうち、接続に都合の良い方のコネクタを選択することになる。
【0041】
さらにコンソール3は、必要に応じて分岐コネクタ4に接続することができるので、複数のセンサが配備される環境においても、各センサに同様の分岐用コネクタを取り付けておけば、共通のコンソール3を使用することができ、設定用の機器にかかるコストを削減することができる。
【0042】
またこの実施例では、投光部1,受光部2,およびコンソール3の各通信回路17,27,37にRS485規格のインターフェースを用いることにより、投光部1,受光部2,コンソール3をそれぞれ個別の機器として、各機器間においてそれぞれ個別に双方向通信を行うように設定されているので、コンソール3では、投光部1,受光部2のいずれに対しても、個別の設定処理を行うことができる。
【0043】
またこの種の多光軸光電センサを、両端部のコネクタ52を介して複数接続した場合も、同様に、マルチドロップ通信を行うように構成することができる。したがってこのシステムでも、前記分岐コネクタ4を用いてコンソール3を接続するようにすれば、各センサにそれぞれ個別に検知動作の定義を設定することが可能となる。
【0044】
図5は、複数の多光軸センサ(図中SA,Bの2個のみ示す。)を接続した場合の構成例を示す。なお、この図5では、各投光部1A,1Bおよび受光部2A,2Bの構成のうち、図示しない投受光動作に関わる構成については、いずれのセンサも図1と同様の構成を具備するので図示を省略し、通信に関与する構成(制御回路16,26,通信回路17,27)および電源回路18,28のみを示す。
【0045】
この実施例では、前記両端部の接続用コネクタ52,53を介して各センサSA,Bが投光部毎,受光部毎に連結される。最上位のセンサSAの投光部1Aと受光部2Aとは、図1の実施例と同様に通信線6A,6Bおよび電源ライン7A,7Bによって接続されており、またセンサ間においては、前記接続用コネクタ52,53により、通信線6A,6Bおよび電源ライン7A,7Bがシリアルに中継される。さらに各投受光部の通信回路17,27は通信線6A,6Bに、電源回路18,28は電源ライン7A,7Bに、それぞれ接続されて、各投受光部が一連に接続される。
【0046】
さらにこの実施例では、最上位のセンサSAの投受光部1A,1B間の通信線6A,6Bおよび電源ライン7A,7Bを、前記図1と同様に、分岐コネクタ4により中継するとともに、外部に分岐させて、コンソール3を接続するようにしている。
【0047】
図5の構成によれば、各投受光部1,2およびコンソール3には、それぞれ個別のアドレスが割り当てられるので、センサ間,同じセンサの投受光部1,2間,および各センサとコンソールとの間で、それぞれ個別に双方向通信を行うことができる。
たとえば上位センサから順に検知動作を行うように設定されている場合、上位センサSA側の投光部1Aまたは受光部2Aからつぎに動作すべきセンサの投光部2Aまたは受光部2Bにコマンドを送信することにより、センサ間での検知処理の引き継ぎが行われる。また各センサにおいては、投光部1A,1Bから対応する受光部2A,2Bにあてて各光軸毎のタイミング信号を送信することにより、単体のセンサにおけるのと同様に投受光動作を同期させて、一連の物体検知処理を実行する。また下位のセンサSBの投光部1Bまたは受光部2Bは、上記のセンサSAの投光部1Aまたは受光部2Aに対し、一連の検知動作が終了する都度、自機における最終的な検知結果を出力する。
【0048】
さらにコンソール3が接続された場合は、コンソール3から各センサSA,Bの投受光部に個別に通信を行って、機体をティーチングモードに設定し、各種設定を行うことができる。特に、フィックスブランキングなど、光軸毎の遮光状態を確認しながらティーチングを行う必要がある場合には、対応するセンサの受光部から光軸毎の検知結果を取り込んで前記表示器31A,31Bに表示させながら設定処理を行うことができる。
【0049】
従来、この種の設定をパーソナルコンピュータにより行う場合は、センサ毎にパーソナルコンピュータの接続を切り替えなければならなかったが、この実施例によれば、ユーザーは、コンソール3上で通信先のセンサのアドレスを指定するなどの操作を行うだけで良くなるので、接続切替による煩雑さを解消でき、効率の良い設定処理を行うことができる。
【0050】
また各センサの投受光部1,2の接続用コネクタ52,53は、同一径に形成されているので、図6に示すように、前記分岐コネクタ4は、いずれの位置にある接続用コネクタ52,53にも取り付けることができる。したがってユーザーは、これらセンサSA,SBの設置環境や各センサSA,SBの位置関係などに応じて、各接続用コネクタの中からコンソール3を接続するのに最適な場所を選択することができ、利便性を大幅に向上することができる。
【0051】
【発明の効果】
上記したように、この発明では、多光軸光電センサの投光部と受光部との通信に使用される通信線に分岐コネクタを取り付け、この分岐コネクタを介して接続したコンソールにより検知動作の定義を設定するようにしたので、センサ側の構成を変更することなく、センサの近傍位置において各種の設定処理を簡単に実行することができる。また現場に複数のセンサが設置されている場合も、各センサにおいて1台のコンソールを共有できるので、コストを削減することができる。
【0052】
またこの発明は、複数のセンサを接続して使用する場合に、各センサの投光部および受光部をマルチドロップ通信用の通信線により一連に接続するとともに、この通信線に前記コンソール接続用の分岐コネクタを取り付けるようにしたから、設定対象のセンサが変わってもコンソールを接続し直す必要がなく、簡単かつ効率の良い設定処理を行うことができる。
【0053】
さらにこの発明では、前記分岐コネクタを投受光部の接続用コネクタに接続可能に構成したから、コンソールの接続に最適な場所を選択して分岐用コネクタを取り付けることによって、コンソールの着脱を簡単に行うことができ、利便性を大幅に高めることができる。
【0054】
さらにこの発明では、前記コンソールに、センサ側から光軸毎の受光量または遮光状態の検知結果を示すデータを取り込んで表示する機能を設けたから、フィックスブランキングや遮光状態を検知するためのしきい値を設定するなどの設定を行う場合に、正しい設定が行われたか否かを確認することができ、センサの近傍位置において、効率良くかつ正確な教示作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例にかかる設定用システムの構成を示すブロック図である。
【図2】コンソールの外観を示す正面図である。
【図3】投受光部の外観および分岐コネクタの取付例を示す正面図である。
【図4】分岐コネクタの取付例を示す正面図である。
【図5】複数のセンサを接続する場合の設定用システムの構成を示すブロック図である。
【図6】分岐コネクタの取付例を示す正面図である。
【図7】フィックスブランキングの概念を示す説明図である。
【符号の説明】
S 多光軸光電センサ
1 投光部
2 受光部
3 コンソール
5 分岐コネクタ
6A,6B 通信線
16,26,36 制御回路
17,27,37 通信回路

Claims (5)

  1. 投光部と受光部とを対向配備して複数の光軸を形成し、光軸毎に遮光状態を検知してその検知結果を出力する多光軸光電センサに、検知動作の定義を設定するためのシステムであって、
    前記投光部と受光部とは双方向通信が可能な通信線により接続されており、前記通信線には、この通信線を外部に分岐させるための分岐コネクタが取り付けられるともに、前記分岐コネクタには、前記検知動作の定義を設定するためのコンソールが取り外し自由に接続されて成る多光軸光電センサ用の設定システム。
  2. 前記投光部および受光部には、それぞれ長手方向の少なくとも一端部に同一径の接続用コネクタが設けられており、前記分岐コネクタは、各接続用コネクタに接続可能に構成されて成る請求項1に記載された多光軸光電センサ用の設定システム。
  3. 前記コンソールは、機体上に表示器が設けられるとともに、各光軸毎の受光量または遮光状態の検知結果を示すデータを前記通信線を介して取り込んで前記表示器に表示させる手段とを具備して成る請求項1または2に記載された多光軸光電センサ用の設定システム。
  4. 投光部と受光部とを対向配備して複数の光軸を形成し、光軸毎に遮光状態を検知してその検知結果を出力する多光軸光電センサを複数接続し、各センサに検知動作の定義を個別に設定するシステムであって、
    前記各センサの投光部および受光部は、マルチドロップ通信が可能な通信線により一連に接続されており、前記通信線には、通信線を外部に分岐させるための分岐コネクタが取り付けられるとともに、前記分岐コネクタには、前記検知動作の定義を設定するためのコンソールが取り外し自由に接続されて成る多光軸光電センサ用の設定システム。
  5. 前記各センサの投光部および受光部には、それぞれ長手方向の両端部に同一径の接続用コネクタが設けられ、これら接続用コネクタにより各センサが投光部,受光部毎に連結されて成り、
    前記分岐コネクタは、各接続用コネクタに接続可能に構成されて成る請求項4に記載された多光軸光電センサ用の設定システム。
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