JP4126555B2 - 光学活性ジオキシシクロヘキサン化合物および光学活性ヒドロキシエチレンジオキシシクロヘキサン化合物の製造方法 - Google Patents

光学活性ジオキシシクロヘキサン化合物および光学活性ヒドロキシエチレンジオキシシクロヘキサン化合物の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
本発明は、光学活性ジオキシシクロヘキサン化合物、および該化合物を用いた19−ノル−活性型ビタミンD誘導体合成の重要中間体である光学活性ヒドロキシエチレンジオキシシクロヘキサン化合物の製造方法に関する。
【0002】
従来から、活性型ビタミンD3(1,25−ジヒドロキシコレカルシフェロール)は、小腸におけるカルシウム輸送能、骨塩動員能などの生理活性が強く、そのため人の生理機能に重要な役割を果たすことが知られている。
また、その19−ノル−体には、血中のカルシウムイオン濃度を増加させることなく、腫瘍細胞の増殖抑制を行うという選択的な生理活性作用が報告されており、腎不全による続発生副甲状腺機能亢進症に対する臨床開発がなされている(Tetrahedron Letters, 31, 1823 (1990)、Tetrahedron Letters, 32, 7663 (1991), Tetrahedron Letters, 33, 2937 (1992)等)。
【0003】
一般式(3)で示される光学活性ヒドロキシエチレンジオキシシクロヘキサン化合物、例えば、下記化合物(X=Y=t−ブチルジメチルシリル基)は、19−ノル−活性型ビタミンD誘導体を製造する際の最も重要な中間体の1つであるA環部分前駆体としてよく知られている。
【0004】
【化5】
Figure 0004126555
(式中、TBSはt−ブチルジメチルシリル基を表す。)
【0005】
このA環部分前駆体の製造方法としては、現在までのところ、例えば、スキーム1に示すように、(1)プロピオール酸のアルキルエステルとホモアリリックなエーテルとから11工程で製造する方法(Tetrahedron Letters, 39, 3359 (1998) ,Tetrahedron Letters, 39, 3363 (1998))、(2)ジエポキシペンタンとプロパルギルエーテルとから5工程で製造する方法(Tetrahedron Letters, 37, 7637 (1996))等が知られている。
【0006】
【化6】
Figure 0004126555
(式中、Bnはベンジル基、TBSはt−ブチルジメチルシリル基、MPMはp−メトキシフェニルメチル基、TBDPSはt−ブチルジフェニルシリル基を表す。)
【0007】
しかしながら、上記スキーム1に記載されている製造方法は、いずれも出発物質からの工程数が長く、しかも、全工程のトータル収率が低い等の課題を抱えており、より実用的な製造方法の開発が望まれている。
そして、現在もA環部分前駆体の効率的製造方法の確立を目指して研究が盛んに行われているのが現状である。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、19−ノル−活性型ビタミンD誘導体を製造する際の重要中間体であるA環部分前駆体に効率的に変換可能な鍵中間体となる光学活性ジオキシシクロヘキサン化合物、および該化合物を用いたA環部分前駆体である光学活性ヒドロキシエチレンジオキシシクロヘキサン化合物の効率的な製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
本発明者らは、上記目的を達成するため、鋭意検討を重ねた結果、一般式(1)および一般式(2)で示される光学活性ジオキシシクロヘキサン化合物が、19−ノル−活性型ビタミンD誘導体製造におけるA環部分前駆体の重要な鍵中間体となり得ることを見いだすとともに、該化合物をヒドロキシメチル化することでA環部分前駆体である光学活性ヒドロキシエチレンジオキシシクロヘキサン化合物を効率的に製造できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、
[1]下記一般式(1)
【化7】
Figure 0004126555
(式中、Rはハロゲン原子を表す。XおよびYは水素原子、水酸基の保護基または該保護基を末端に有する固相を表す。)
で表されることを特徴とする光学活性ジオキシシクロヘキサン化合物またはその鏡像体、
[2]下記一般式(2)
【化8】
Figure 0004126555
式中、R′およびR″は互いに独立してハロゲン原子を表す。XおよびYは水素原子、水酸基の保護基または該保護基を末端に有する固相を表す。)
で表されることを特徴とする光学活性ジオキシシクロヘキサン化合物またはその鏡像体。
[3]前記水酸基の保護基を末端に有する固相が、カルボニル基樹脂末端、カルボニルオキシ基樹脂末端、カルボニルアミノ基樹脂末端、またはシリル基樹脂末端である[1]または[2]の光学活性ジオキシシクロヘキサン化合物またはその鏡像体、
[4]前記樹脂が、ポリスチレン樹脂、PEG−ポリスチレン樹脂またはPGA樹脂である[3]の光学活性ジオキシシクロヘキサン化合物またはその鏡像体
[5]下記一般式(1)
【化9】
Figure 0004126555
(式中、Rはハロゲン原子を表す。XおよびYは水素原子、水酸基の保護基または該保護基を末端に有する固相を表す。)
で表される光学活性ジオキシシクロヘキサン化合物の前記ハロゲン原子をリチオ化した後、ホルムアルデヒドと反応させてヒドロキシメチル化反応を行い、下記一般式(3)
【化10】
Figure 0004126555
(式中、XおよびYは水素原子、水酸基の保護基または該保護基を末端に有する固相を表す。)
で表される化合物を得ることを特徴とする光学活性ヒドロキシエチレンジオキシシクロヘキサン化合物の製造方法、
[6]前記水酸基の保護基を末端に有する固相が、カルボニル基樹脂末端、カルボニルオキシ基樹脂末端、カルボニルアミノ基樹脂末端、またはシリル基樹脂末端である[5]の光学活性ヒドロキシエチレンジオキシシクロヘキサン化合物の製造方法
を提供する。
【0011】
以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
なお、本明細書中において、「n」はノルマルを、「i」はイソを、「s」はセカンダリーを、「t」はターシャリーを、「c」はシクロを、「o」はオルトを、「m」はメタを、「p」はパラを意味する。
上記一般式(1)において、置換基Rはハロゲン原子、置換シリル基、置換ホウ素基または置換スズ基を表す。
ここで、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0012】
置換シリル基としては、例えば、アルキル基、およびフェニル基(該フェニル基は、アルコキシ基で置換されていてもよい)から選ばれる3個の基によって置換された三置換シリル基が挙げられ、具体的には、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、ジエチルイソプロピルシリル、ジメチルイソプロピルシリル、t−ブチルジメチルシリル、テキシルジメチルシリル、ジフェニルメチルシリル、t−ブチルジフェニルシリル、t−ブチルジメトキシフェニルシリル、トリフェニルシリル等を例示できる。
【0013】
置換ホウ素基としては、ジアルキルホウ素基(例えば、ジメチルホウ素、ジエチルホウ素、ジ−n−ブチルホウ素等が挙げられる)、ジアリールホウ素基(例えば、ジフェニルホウ素等が挙げられる)、ジアルコキシホウ素基(例えば、ジイソプロポキシホウ素、エチレンジオキシホウ素、テトラメチルエチレンジオキシホウ素等が挙げられる)等が挙げられる。
置換スズ基としては、トリアルキルスズ基(例えば、トリメチルスズ、トリエチルスズ、トリ−n−プロピルスズ、トリ−n−ブチルスズ、トリ−c−ヘキシルスズ等が挙げられる)、トリアリールスズ基(例えば、トリフェニルスズ等が挙げられる)等が挙げられる。
これらの中でも、置換基Rとして、ハロゲン原子、トリメチルシリル、テトラメチルエチレンジオキシホウ素、トリ−n−ブチルスズを用いることが好ましく、より好ましくはハロゲン原子、特に臭素原子が好適である。
【0014】
上記一般式(2)における置換基R′およびR″は、互いに独立して置換アルキル基、ハロゲン原子、置換シリル基、置換ホウ素基、または置換スズ基を表す。
ここで、ハロゲン原子、置換シリル基、置換ホウ素基、および置換スズ基については、上記と同様のものを用いることができる。
【0015】
置換アルキル基としては、直鎖、分岐または環状のC1〜6のアルキル基(該アルキル基は、ハロゲン原子で任意に置換されていてもよい)が挙げられ、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、c−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、c−ブチル、1−メチル−c−プロピル、2−メチル−c−プロピル、n−ペンチル、1−メチル−n−ブチル、2−メチル−n−ブチル、3−メチル−n−ブチル、1,1−ジメチル−n−プロピル、1,2−ジメチル−n−プロピル、2,2−ジメチル−n−プロピル、1−エチル−n−プロピル、c−ペンチル、1−メチル−c−ブチル、2−メチル−c−ブチル、3−メチル−c−ブチル、1,2−ジメチル−c−プロピル、2,3−ジメチル−c−プロピル、1−エチル−c−プロピル、2−エチル−c−プロピル、n−ヘキシル、1−メチル−n−ペンチル、2−メチル−n−ペンチル、3−メチル−n−ペンチル、4−メチル−n−ペンチル、1,1−ジメチル−n−ブチル、1,2−ジメチル−n−ブチル、1,3−ジメチル−n−ブチル、2,2−ジメチル−n−ブチル、2,3−ジメチル−n−ブチル、3,3−ジメチル−n−ブチル、1−エチル−n−ブチル、2−エチル−n−ブチル、1,1,2−トリメチル−n−プロピル、1,2,2−トリメチル−n−プロピル、1−エチル−1−メチル−n−プロピル、1−エチル−2−メチル−n−プロピル、c−ヘキシル、1−メチル−c−ペンチル、2−メチル−c−ペンチル、3−メチル−c−ペンチル、1−エチル−c−ブチル、2−エチル−c−ブチル、3−エチル−c−ブチル、1,2−ジメチル−c−ブチル、1,3−ジメチル−c−ブチル、2,2−ジメチル−c−ブチル、2,3−ジメチル−c−ブチル、2,4−ジメチル−c−ブチル、3,3−ジメチル−c−ブチル、1−n−プロピル−c−プロピル、2−n−プロピル−c−プロピル、1−i−プロピル−c−プロピル、2−i−プロピル−c−プロピル、1,2,2−トリメチル−c−プロピル、1,2,3−トリメチル−c−プロピル、2,2,3−トリメチル−c−プロピル、1−エチル−2−メチル−c−プロピル、2−エチル−1−メチル−c−プロピル、2−エチル−2−メチル−c−プロピル、2−エチル−3−メチル−c−プロピル等が挙げられる。
【0016】
置換基R′およびR″として、両方ともハロゲン原子、一方がメチルで他方がハロゲン原子、一方がエチルで他方がハロゲン原子、一方がn−ブチルで他方がハロゲン原子のものを用いることが好ましく、より好ましくは両方ともハロゲン原子のもの、特に、両方とも臭素原子のものが好適である。
【0017】
上記一般式(1)および一般式(2)において、置換基XおよびYは水素原子、水酸基の保護基または該保護基を末端に有する固相を表す。
水酸基の保護基としては、例えば、C1〜7アシル基(例えば、ホルミル、アセチル、フルオロアセチル、ジフルオロアセチル、トリフルオロアセチル、クロロアセチル、ジクロロアセチル、トリクロロアセチル、プロピオニル、ピバロイル、チグロイル等が挙げられる)、アリールカルボニル基(例えば、ベンゾイル、ベンゾイルホルミル、ベンゾイルプロピオニル、フェニルプロピオニル等が挙げられる)、C1〜4アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、i−プロポキシカルボニル、n−ブトキシカルボニル、i−ブトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、t−アミルオキシカルボニル、ビニルオキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、2−(トリメチルシリル)エトキシカルボニル、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル等が挙げられる)、アリールオキシカルボニル基(例えば、ベンジルオキシカルボニル、p−ニトロベンジルオキシカルボニル、p−メトキシベンジルオキシカルボニル等が挙げられる)、C1〜4アルキルアミノカルボニル基(例えば、メチルカルバモイル、エチルカルバモイル、n−プロピルカルバモイル等が挙げられる)、アリールアミノカルボニル基(例えば、フェニルカルバモイル等が挙げられる)、トリアルキルシリル基(例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、ジエチルイソプロピルシリル、ジメチルイソプロピルシリル、ジ−t−ブチルメチルシリル、イソプロピルジメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、テキシルジメチルシリル等が挙げられる)、トリアルキルアリールシリル基(例えば、ジフェニルメチルシリル、t−ブチルジフェニルシリル、t−ブチルジメトキシフェニルシリル、トリフェニルシリル等が挙げられる)等が挙げられる。
【0018】
水酸基の保護基を末端に有する固相としては、例えば、カルボニル基樹脂末端、カルボニルオキシ基樹脂末端、カルボニルアミノ基樹脂末端、シリル基樹脂末端等が挙げられる。
用いられる樹脂としては、ポリスチレン樹脂、PEG−ポリスチレン樹脂、PGA樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、置換基XおよびYとして、C1〜7アシル基、C1〜4アルコキシカルボニル基、トリアルキルシリル基、トリアルキルアリールシリル基、シリル基樹脂末端等を用いることが好ましく、特に好ましくは、トリアルキルシリル基、トリアルキルアリールシリル基、シリル基樹脂末端等である。
なお、置換基XおよびYは、互いに同一でもよく異なっていてもよい。
【0019】
次に、上記一般式(1)で示される光学活性ジオキシシクロヘキサン化合物の製造方法について説明する。
この化合物は従来知られていない新規な化合物であり、例えば、化合物(R=臭素原子、X=Y=t−ブチルジメチルシリル基)は下記スキーム2に示す方法により製造することができる。
【0020】
【化11】
Figure 0004126555
(式中、TBSはt−ブチルジメチルシリル基を表す。)
【0021】
すなわち、出発原料である光学活性シクロヘキセノン化合物をエポキシ化し、シクロヘキセノンオキシド体とした後、ケトンにブロムメチレン化導入反応をしてブロムメチレンシクロヘキセンオキシド体とし、最後にエポキシドを還元し、生じた水酸基をシリル化することにより製造することができる。
最初のエポキシ化反応の酸化剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、過酢酸、過安息香酸、m−クロロ過安息香酸等の過酸類、過酸化水素、酸素等が挙げられ、好ましくは、過酸化水素である。
酸化剤の使用量は、通常、基質に対して0.8〜50モル倍の範囲であり、特に、1.0〜20モル倍の範囲が好ましい。
【0022】
反応溶媒としては、当該反応条件下において安定であり、かつ、不活性で反応を妨げないものであれば特に制限はなく、例えば、以下に示す溶媒を用いることができる。
具体的には、水、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、オクタノール等)、セロソルブ類(例えば、メトキシエタノール、エトキシエタノール等)、非プロトン性極性有機溶媒類(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、テトラメチルウレア、スルホラン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルイミダゾリジノン等)、エーテル類(例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)、脂肪族炭化水素類(例えば、ペンタン、ヘキサン、c−ヘキサン、オクタン、デカン、デカリン、石油エーテル等)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン等)、ハロゲン化炭化水素類(例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、低級脂肪族酸エステル(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル等)、アルコキシアルカン類(例えば、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン等)、ニトリル類(例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル等)等の溶媒が挙げられる。これらの溶媒は反応の起こり易さに従って適宜選択され、1種単独でまたは2種以上混合して用いることができる。なお、必要に応じて適当な脱水剤や乾燥剤により水分を除去し、非水溶媒として用いてもよい。
【0023】
反応温度は、通常、−100℃から使用する溶媒の沸点まで可能であるが、好ましくは−50〜50℃の範囲で行うのがよい。
反応時間は、通常、0.1〜1000時間である。
反応終了後は、適当な溶媒により目的物を抽出し、溶媒を減圧濃縮して粗物を得ることができる。さらに、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等の常法による精製を行うことで、純粋なシクロヘキセノンオキシド体を単離することができる。
【0024】
次に、ケトンへのブロムメチレン化導入反応としては、例えば、ブロムメチルトリフェニルホスホニウムブロマイドを用いたウィティッヒ反応、または、例えばジイソプロピルブロムメチルホスホネートを用いたホーナー・エモンズ反応等が挙げられ、好ましくは、ブロムメチルトリフェニルホスホニウムブロマイドを用いたウィティッヒ反応である。
この場合、ブロムメチルトリフェニルホスホニウムブロマイドの使用量は、通常、基質に対して0.8〜20モル倍の範囲であり、特に、1.0〜5.0モル倍の範囲が好ましい。
【0025】
反応溶媒としては、反応に関与しないものであれば特に制限はなく、上記した溶媒のうち、ケトン類溶媒以外の溶媒を用いることができる。
反応温度は、通常、−100℃から使用する溶媒の沸点まで可能であるが、好ましくは−50〜50℃の範囲で行うのがよい。
反応時間は、通常、0.1〜1000時間である。
反応終了後は、適当な溶媒により目的物を抽出し、溶媒を減圧濃縮して粗物を得ることができる。さらに、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等の常法による精製を行うことで、純粋なブロムメチレンシクロヘキセンオキシド体を単離することができる。
【0026】
最後に、得られたブロムメチレンシクロヘキセンオキシド体のエポキシドを還元、水酸基をシリル化することにより化合物が得られる。
エポキシドの還元剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化アルミニウムリチウム、水素化ビスメトキシエトキシアルミニウムナトリウム等が挙げられ、好ましくは、水素化ジイソブチルアルミニウムである。
還元剤の使用量は、通常、基質に対して0.5〜20モル倍の範囲であり、特に、1.0〜10モル倍の範囲が好ましい。
【0027】
反応溶媒としては、反応に関与しないものであれば特に制限はなく、上記した溶媒のうち、水、ケトン類、エステル類溶媒以外の溶媒を用いることができる。
反応温度は、通常、−100℃から使用する溶媒の沸点まで可能であるが、好ましくは−80〜50℃の範囲で行うのがよい。
反応時間は、通常、0.1〜1000時間である。
反応終了後は、適当な溶媒により目的物を抽出し、溶媒を減圧濃縮して粗物を得ることができる。さらに、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等の常法による精製を行うことで、純粋なヒドロキシル体を単離することができる。
【0028】
上記のようにして得られたヒドロキシル体の水酸基を保護する保護試剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、アシル化剤、オキシカルボニル化剤、アミノカルボニル化剤、シリル化剤等が挙げられ、好ましくはシリル化剤である。
このようなシリル化剤としても、特に限定はなく、例えば、トリメチルシリルクロライド、t−ブチルジメチルシリルクロライド、ジフェニル−t−ブチルシリルクロライド等が挙げられる。
シリル化剤の使用量は、通常、基質に対して0.5〜20モル倍の範囲であり、特に、1.0〜10モル倍の範囲が好ましい。
【0029】
この場合、反応を促進させるために、反応系に塩基を共存させることもでき、このような塩基としては、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、DBU、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルアニリン等のアミン類、ピリジン、メチルエチルピリジン、ルチジン、4−N,N−ジメチルアミノピリジン等のピリジン類、イミダゾール、ピラゾールが挙げられ、好ましくは、イミダゾールである。
塩基の使用量は、通常、基質に対して0.5〜20モル倍の範囲であり、特に、1.0〜10モル倍の範囲が好ましい。
【0030】
反応溶媒としては、反応に関与しないものであれば特に制限はなく、上記した溶媒のうち、水、アルコール類以外の溶媒を用いることができる。
反応温度は、通常、−100℃から使用する溶媒の沸点まで可能であるが、好ましくは−50〜50℃の範囲で行うのがよい。
反応時間は、通常、0.1〜1000時間である。
反応終了後は、適当な溶媒により目的物を抽出し、溶媒を減圧濃縮して粗物を得ることができる。さらに、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等の常法による精製を行うことで、純粋な化合物を単離することができる。
【0031】
上記スキーム2において、ブロムメチレンシクロヘキセンオキシド体のエポキシドを還元した後、生じた水酸基を、反応性シリル基を末端に持つ樹脂と反応させることにより、シリル基樹脂末端を持つ化合物(R=臭素原子、XまたはYのどちらか一方=t−ブチルジメチルシリル基、他方=シリル基樹脂末端)を製造することができる。
このような化合物は、固相担持されているため、反応系から容易に分離でき、コンビナトリアルケミストリーや自動合成装置による高速合成に適している。
【0032】
【化12】
Figure 0004126555
【0033】
また、上記一般式(1)で示される化合物として、例えば、化合物(R=テトラメチルエチレンジオキシホウ素、X=Y=t−ブチルジメチルシリル基)は下記スキーム3に示す方法により製造することができる。
【0034】
【化13】
Figure 0004126555
(式中、TBSはt−ブチルジメチルシリル基を表す。)
【0035】
すなわち、上記で得られた化合物を原料として、該化合物をリチオ化した後、ホウ素化剤で処理することにより製造することができる。
リチオ化剤としては、例えば、n−ブチルリチウム、s−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム等を挙げることができる。
リチオ化剤の使用量は、通常、基質に対して0.5〜20モル倍の範囲であり、特に、1.0〜10モル倍の範囲が好ましい。
【0036】
反応溶媒としては、反応に関与しないものであれば特に制限はなく、上記した溶媒のうち、水、アルコール類、ケトン類、エステル類以外の溶媒を用いることができる。
反応温度は、通常、−100℃から使用する溶媒の沸点まで可能であるが、好ましくは−80〜0℃の範囲で行うのがよい。
反応時間は、通常、0.1〜1000時間である。
リチオ化した化合物は単離せずに、反応系にそのままホウ素化剤を加えてホウ素化合物とする。さらに、得られたホウ素化合物をピナコールで処理することにより、化合物を合成することができる。
【0037】
ここでホウ素化剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、トリメトキシボラン、トリエトキシボラン、トリイソプロポキシボラン等が挙げられる。
ホウ素化剤の使用量は、通常、基質に対して0.5〜20モル倍の範囲であり、特に、1.0〜10モル倍の範囲が好ましい。
反応溶媒としては、反応に関与しないものであれば特に制限はなく、リチオ化に使用した溶媒をそのまま用いることができる。
反応温度は、通常、−100℃から使用する溶媒の沸点まで可能であるが、好ましくは−80〜50℃の範囲で行うのがよい。
反応時間は、通常、0.1〜1000時間である。
反応終了後は、適当な溶媒により目的物を抽出し、溶媒を減圧濃縮して粗物を得ることができる。
さらに、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等の常法による精製を行うことで、純粋な化合物を単離することができる。
【0038】
また、一般式(1)で示される化合物として、例えば、化合物(R=トリメチルシリル、X=Y=t−ブチルジメチルシリル基)は下記スキーム4に示す方法により製造することができる。
【0039】
【化14】
Figure 0004126555
(式中、TBSはt−ブチルジメチルシリル基、Meはメチル基を表す。)
【0040】
すなわち、上記で得られた化合物を原料として、リチオ化した後、シリル化剤で処理することにより製造することができる。
リチオ化剤としては、上記と同様の試剤を挙げることができる。
リチオ化剤の使用量は、通常、基質に対して0.5〜20モル倍の範囲であり、特に、1.0〜10モル倍の範囲が好ましい。
反応溶媒としては、反応に関与しないものであれば特に制限はなく、上記した溶媒のうち、水、アルコール類、ケトン類、エステル類以外の溶媒を用いることができる。
反応温度は、通常、−100℃から使用する溶媒の沸点まで可能であるが、好ましくは−80〜0℃の範囲で行うのがよい。
反応時間は、通常、0.1〜1000時間である。
【0041】
リチオ化した化合物は単離せずに、反応系にそのままシリル化剤を加えてシリル化する。
シリル化剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、クロルトリメチルシラン、ブロムトリメチルシラン、クロルトリエチルシラン、ブロムトリエチルシラン、クロルトリ−n−ブチルシラン、ブロムトリ−n−ブチルシラン、クロルトリ−n−オクチルシラン、ブロムトリ−n−オクチルシラン、クロルトリフェニルシラン、ブロムトリフェニルシラン等が挙げられる。
【0042】
シリル化剤の使用量は、通常、基質に対して0.5〜20モル倍の範囲であり、特に、1.0〜10モル倍の範囲が好ましい。
反応溶媒としては、反応に関与しないものであれば特に制限はなく、リチオ化に使用した溶媒をそのまま用いることができる。
反応温度は、通常、−100℃から使用する溶媒の沸点まで可能であるが、好ましくは−80〜50℃の範囲で行うのがよい。
反応時間は、通常、0.1〜1000時間である。
反応終了後は、適当な溶媒により目的物を抽出し、溶媒を減圧濃縮して粗物を得ることができる。
さらに、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等の常法による精製を行うことで、純粋な化合物を単離することができる。
【0043】
なお、一般式(1)で示される光学活性ジオキシシクロヘキサン化合物を製造する際の出発原料となる光学活性シクロヘキセノン化合物は、スキーム5に示されようにTetrahedron Letters, 38, 8299 (1997)、J. Am. Chem. Soc., 121, 3640 (1999)に記載の方法にしたがって製造することができる。
【0044】
【化15】
Figure 0004126555
(式中、TBSはt−ブチルジメチルシリル基を表す。)
【0045】
すなわち、光学活性クロルヒドリンエステルをヨウ素化して、ヨードヒドリン体10とし、次いで水酸基をシリル化して、シロキシ体11とし、さらにビニルグリニャール試剤を反応させてホモアリルエーテル体12とし、最後にTiで環化することにより製造することができる。
【0046】
次に、一般式(2)で示される光学活性ジオキシシクロヘキサン化合物の製造方法について説明する。
この化合物も従来知られていない新規な化合物であり、例えば、化合物14(R′=R″=臭素原子、X=Y=t−ブチルジメチルシリル基)は、下記スキーム6に示す方法により製造することができる。
【0047】
【化16】
Figure 0004126555
(式中、TBSはt−ブチルジメチルシリル基を表す。)
【0048】
すなわち、出発原料である光学活性シクロヘキセノン化合物をエポキシ化し、シクロヘキセノンオキシド体とした後、ケトンにジブロムメチレン化導入反応をしてジブロムメチレンシクロヘキセンオキシド体13とし、最後にエポキシドを還元、水酸基をシリル化することにより製造することができる。
【0049】
最初のエポキシ化反応の酸化剤としては、一般式(1)で示される化合物で示したものと同様のものを用いることができる。
酸化剤の使用量は、通常、基質に対して0.8〜50モル倍の範囲であり、特に、1.0〜20モル倍の範囲が好ましい。
反応溶媒としては、反応に関与しないものであれば特に制限はなく、上記した溶媒を用いることができる。
【0050】
反応温度は、通常、−100℃から使用する溶媒の沸点まで可能であるが、好ましくは−50〜50℃の範囲で行うのがよい。
反応時間は、通常、0.1〜1000時間である。
反応終了後は、適当な溶媒により目的物を抽出し、溶媒を減圧濃縮して粗物を得ることができる。
さらに、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等の常法による精製を行うことで、純粋なシクロヘキセノンオキシド体を単離することができる。
【0051】
次に、ケトンへのジブロムメチレン化導入反応としては、特に限定されるものではなく、例えば、四塩化炭素およびトリフェニルホスフィンを用いたウィティッヒ反応が挙げられる。
四塩化炭素の使用量は、通常、基質に対して0.8〜20モル倍の範囲であり、特に、1.0〜5.0モル倍の範囲が好ましい。
トリフェニルホスフィンの使用量は、通常、基質に対して0.8〜20モル倍の範囲であり、特に、1.0〜5.0モル倍の範囲が好ましい。
【0052】
反応溶媒としては、反応に関与しないものであれば特に制限はなく、上記した溶媒のうち、ケトン類以外の溶媒を用いることができる。
反応温度は、通常、−100℃から使用する溶媒の沸点まで可能であるが、好ましくは−50〜50℃の範囲で行うのがよい。
反応時間は、通常、0.1〜1000時間である。
反応終了後は、適当な溶媒により目的物を抽出し、溶媒を減圧濃縮して粗物を得ることができる。
さらに、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等の常法による精製を行うことで、純粋なジブロムメチレンシクロヘキセンオキシド体13を単離することができる。
【0053】
最後に、得られたジブロムメチレンシクロヘキセンオキシド体13のエポキシドを還元、水酸基をシリル化することにより化合物14が得られる。
ここで、エポキシドの還元剤としては、前述と同様のものが挙げられるが、特に、水素化ジイソブチルアルミニウムを用いることが好ましい。
還元剤の使用量は、通常、基質に対して0.5〜20モル倍の範囲であり、特に、1.0〜10モル倍の範囲が好ましい。
【0054】
反応溶媒としては、反応に関与しないものであれば特に制限はなく、上記した溶媒のうち、水、ケトン類、エステル類以外の溶媒を用いることができる。
反応温度は、通常、−100℃から使用する溶媒の沸点まで可能であるが、好ましくは−80〜50℃の範囲で行うのがよい。
反応時間は、通常、0.1〜1000時間である。
反応終了後は、適当な溶媒により目的物を抽出し、溶媒を減圧濃縮して粗物を得ることができる。
さらに、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等の常法による精製を行うことで、純粋なヒドロキシル体を単離することができる。
【0055】
水酸基を保護する保護試剤としては、上記と同様のものが挙げられるが、シリル化剤を用いることが好ましい。
ここで、シリル化剤の種類およびその使用量、反応促進剤としての塩基の種類およびその使用量、ならび反応条件についても、上記と同様である。
シリル化反応終了後は、適当な溶媒により目的物を抽出し、溶媒を減圧濃縮して粗物を得ることができる。
さらに、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等の常法による精製を行うことで、純粋な化合物14を単離することができる。
【0056】
次に、一般式(3)で示される光学活性ヒドロキシエチレンジオキシシクロヘキサン化合物の製造方法について説明する。
当該化合物は、上記で得られた、一般式(1)で示される光学活性ジオキシシクロヘキサン化合物に、ヒドロキシメチル化反応を行うことにより製造することができる。
【0057】
例えば、化合物(X=Y=t−ブチルジメチルシリル基)は、上記化合物をリチオ化後、ホルムアルデヒドと反応させることにより製造することができる。
リチオ化剤としては、例えば、n−ブチルリチウム、s−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム等が挙げられる。
リチオ化剤の使用量は、通常、基質に対して0.5〜20モル倍の範囲であり、特に、1.0〜10モル倍の範囲が好ましい。
【0058】
反応溶媒としては、反応に関与しないものであれば特に制限はなく、上記した溶媒のうち、水、アルコール類、ケトン類、エステル類以外の溶媒を用いることができる。
反応温度は、通常、−100℃から使用する溶媒の沸点まで可能であるが、好ましくは−80〜0℃の範囲で行うのがよい。
反応時間は、通常、0.1〜1000時間である。
【0059】
リチオ化した化合物は単離せず、反応系にそのままホルムアルデヒドを加え、ヒドロキシメチル化を行う。
ホルムアルデヒドの使用量は、通常、基質に対して0.5〜20モル倍の範囲であり、特に、1.0〜10モル倍の範囲が好ましい。
【0060】
反応溶媒としては、反応に関与しないものであれば特に制限はなく、リチオ化に使用した溶媒をそのまま用いることができる。
反応温度は、通常、−100℃から使用する溶媒の沸点まで可能であるが、好ましくは−80〜50℃の範囲で行うのがよい。
反応時間は、通常、0.1〜1000時間である。
反応終了後は、適当な溶媒により目的物を抽出し、溶媒を減圧濃縮して粗物を得ることができる。
さらに、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等の常法による精製を行うことで、純粋な光学活性ヒドロキシエチレンジオキシシクロヘキサン化合物を単離することができる。
【0061】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0062】
[実施例1] シクロヘキセノンオキシド体の合成
【化17】
Figure 0004126555
(式中、TBSはt−ブチルジメチルシリル基を表す。)
【0063】
氷冷した光学活性5−シロキシ−2−シクロへキセノン(226mg,1.0mmol)と35%過酸化水素水(0.8mL,10mmol)との混合液に、メタノール(38mL)および3モル/L水酸化ナトリウム水溶液(33mL,0.1mmol)を加えた。混合溶液を氷冷下で6時間攪拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液(3mL)を加えた。
その後、エーテル(5mL)で3回抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。
ろ過後、ろ液を減圧下濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、光学活性5−シロキシ−2,3−エポキシシクロヘキサノンを収率83%(204mg)で得た。
1H NMRおよびGC分析から立体異性体比は>95:<5であった。
【0064】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ4.22−4.33 (m, 1H, CHOSi), 3.54−3.59 (m, 1H, CH2CHO), 3.26 (d, J=3.9Hz, 1H, C(=O)CHO), 2.77 (dd, J=3.0, 15.3Hz,1H, one of CH2C(=O)), 2.39 (dd, J=4.2, 15.3Hz, 1H, one of CH2), 2.19 (dd, J=4.2, 15.3Hz,1H, one of CH2C(=O)), 2.00 (dt, J=15.3, 3.3Hz,1H, one of CH2), 0.85 (s, 9H, t−Bu), 0.04 and 0.03 (2s, 6H, 2SiCH3).
13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ204.8, 67.3, 55.4, 54.7,44.9, 32.9, 25.5, 17.8, -5.0, -5.1.
IR (neat) 2929, 2888, 2857, 1726, 1472,1406, 1361, 1331, 1255, 1075,1031, 985, 935, 871, 837, 778, 715 cm-1.
【0065】
[実施例2] ブロムメチレンシクロヘキセンオキシド体の合成
【化18】
Figure 0004126555
(式中、TBSはt−ブチルジメチルシリル基を表す。)
【0066】
ブロムメチルトリフェニルホスホニウムブロマイド(567mg,1.3mmol)のトルエン(2mL)縣濁液に、室温下でカリウムビストリメチルシリルアミド(0.5M/トルエン液,2.6mL,1.3mmol)を加え、そのまま室温下で30分撹拌した。
この混合溶液を0℃に冷却した後、5−シロキシ−2,3−エポキシシクロヘキサノン(242mg,1.0mmol)のトルエン溶液を加え、その反応液を30分かけて室温まで昇温した。
反応液を減圧下濃縮し、得られた残渣にジエチルエーテル(2mL)とヘキサン(40mL)とを加え、析出した結晶をセライトでろ過した。
ろ液を減圧下濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、1−ブロムメチレン−5−シロキシ−2,3−エポキシシクロヘキサンを収率82%(262mg)で得た。
【0067】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ0.06 (s, 6H), 0.86 (s, 9H), 1.81 (ddd, J = 2.4, 6.9,15.0 Hz, 1H), 2.16 (ddd, J = 2.1, 8.4, 15.9 Hz, 1H), 2.27 (dd, J = 3.9, 15.0 Hz, 1H), 2.42 (br d, J = 15.9 Hz, 1H), 3.38-3.45 (m, 1H), 3.49 (d, 4.2 Hz, 1H), 3.87- 4.02 (m, 1H), 6.48 (br s, 1H).
13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ-4.7, -4.6, 18.1, 25.8, 33.9, 35.4, 54.1, 54.7, 64.3, 109.2, 137.5.
IR (neat) 2928, 2856, 1621, 1471, 1360, 1254, 1092, 876, 836, 777 cm-1.
【0068】
[実施例3] 光学活性ジオキシシクロヘキサン化合物の合成
【化19】
Figure 0004126555
(式中、TBSはt−ブチルジメチルシリル基を表す。)
【0069】
氷冷下、1−ブロムメチレン−5−シロキシ−2,3−エポキシシクロヘキサン(100mg,0.313mmol)のTHF(3mL)溶液に、水素化ジイソブチルアルミニウム(1.0M/ヘキサン液,0.94mL,0.94mmol)を加え、そのまま0℃で15時間攪拌した。
反応液に、水(0.18mL)、フッ化ナトリウム(1g)、セライト(1g)を加えて、その混合液をセライトでろ過した。
ろ液を減圧下濃縮して得られた1−ブロムメチレン−3−ヒドロキシ−5−シロキシシクロヘキサンの粗生成物は、そのまま次の反応に用いた。
【0070】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ0.07 and 0.09 (2s, 6H), 0.88 (s, 9H), 1.42 (d, J = 5.1Hz, 1H, OH), 1.74 (ddd, J = 3.6, 7.2, 13.2 Hz, 1H), 1.83 (ddd, J = 3.9, 6.9, 13.2 Hz, 1H), 2.15 (dd, J = 7.5, 13.5 Hz, 1H), 2.43-2.54 (m, 2H), 4.04-4.16 (m, 2H), 6.02 (brs).
13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ-4.9, -4.7, 18.1, 25.8, 39.2, 42.5, 43.1, 66.9 (two carbons), 101.9, 138.8.
【0071】
上記で得られた1−ブロムメチレン−3−ヒドロキシ−5−シロキシシクロヘキサンの粗生成物とイミダゾール(43mg,0.63mmol)とのジメチルホルムアミド(1mL)溶液に、0℃でt−ブチルジメチルシリルクロライド(71mg,0.47mmol)を加え、室温で12時間攪拌した。
飽和重曹水(3mL)を加えた後、ヘキサン(4mL)で3回抽出した。有機層を乾燥(無水硫酸マグネシウム)し、ろ過後、ろ液を減圧下濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、1−ブロムメチレン−3,5−ジシロキシシクロヘキサンを収率68%(93mg)で得た。
【0072】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ0.04 (s, 6H), 0.06 and 0.09 (2s, each 3H), 0.87 and 0.89 (2s, each 9H), 1.62-1.84 (m, 2H), 2.09 (ddd, J = 0.9, 7.5, 13.5 Hz, 1H), 2.30-2.48 (m, 3H), 4.02-4.15 (m, 2H), 5.94 (br s, 1H).
13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ-4.86, -4.74, -4.67, -4.64, 18.16, 18.20, 25.87, 25.90, 39.2, 43.2, 43.6, 67.1, 67.4, 101.2, 139.3.
IR (neat) 2953,2857,1637,1471,1361,1255,1099,1025,914,836,775 cm-1.
【0073】
[実施例4] 光学活性ジオキシシクロヘキサン化合物の合成
【化20】
Figure 0004126555
(式中、TBSはt−ブチルジメチルシリル基を表す。)
【0074】
1−ブロムメチレン−3,5−ジシロキシシクロヘキサン(348mg,0.80mmol)のジエチルエーテル(3mL)溶液に、t−ブチルリチウム(1.35M/ペンタン液,1.30mL,1.76mmol)を−78℃で加え、そのまま−78℃で1時間撹拌した。
トリイソプロポキシボラン(2.0M/ジエチルエーテル液,0.6mL,1.2mmol)を、−78℃で加え、反応液を4時間かけて室温に昇温した後、飽和塩化アンモニウム水溶液(8mL)と酢酸エチル(8mL)とを加えた。
続いて、酢酸エチル(6mL)で2回抽出し、有機層を減圧下濃縮した。
残渣に酢酸エチル(3mL)を加えて溶解し、これに、ピナコール(113mg,0.96mmol)と硫酸マグネシウム(1.0g)とを加えて、室温下12時間撹拌した。
ろ過後、ろ液を減圧下濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物を収率93%(415mg)で得た。
【0075】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ5.12 (s, 1H), 4.03-4.11 (m, 2H), 2.67 (dd, J = 3.6, 13.2 Hz, 1H), 2.54 (dd, J = 6.9,13.2, Hz, 1H), 2.36 (dd, J = 3.6, 12.9 Hz, 1H), 2.13 (dd, J = 7.5, 12.9 Hz, 1H), 1.62-1.76 (m, 2H), 1.22 (s, 6H), 1.21 (s, 6H), 0.86 (s, 9H), 0.84 (s, 9H), 0.043, 0.036, 0.008 and 0.004 (4s, each 3H).
13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ160.1, 115.6 (br s), 82.5, 68.3, 67.9, 48.0, 43.1, 40.8, 25.8, 25.7, 24.9, 24.6, 18.1, 17.9, -4.9, -5.0, -5.1, -5.2.
IR (neat) 2954, 2856, 1645, 1471, 1386, 1256, 1096, 1028, 837, 775 cm-1.
【0076】
[実施例5] 光学活性ジオキシシクロヘキサン化合物の合成
【化21】
Figure 0004126555
(式中、TBSはt−ブチルジメチルシリル基、Meはメチル基を表す。)
【0077】
1−ブロムメチレン−3,5−ジシロキシシクロヘキサン(174mg,0.40mmol)のジエチルエーテル(2mL)溶液に、t−ブチルリチウム(1.35M/ペンタン液,0.65mL,0.88mmol)を−78℃で加え、そのまま−78℃で1時間撹拌した。
次に、クロルトリメチルシラン(76μL,0.6mmol)を、−78℃で加え、反応液を3時間かけて室温に昇温した後、飽和塩化アンモニウム水溶液(4mL)を加えた。
続いて、ジエチルエーテル(3mL)で2回抽出し、有機層を乾燥(硫酸マグネシウム)した。
ろ過後、ろ液を減圧下濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物を収率89%(153mg)で得た。
【0078】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ5.22 (s, 1H), 4.01-4.13 (m, 2H), 2.49 (dd, J = 3.6, 12.9 Hz, 1H), 2.32 (dd, J = 3.0, 13.2 Hz, 1H), 2. 08-2. 17 (m, 2H), 1. 73-1. 83 (m, 1H), 1. 56-1. 67 (m, 1H), 0.89 and 0.86 (2s, each 9H), 0.097 (s, 9H), 0.06 and 0.03 (2s, each 6H).
13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ152.3, 126.0, 68.1, 67.6, 47.9, 43.1, 42.8, 26.0, 25.8, 18.3, 0.5, -4.5, -4.59, -4.62, -4.7.
IR(neat) 2952, 2857, 1624, 1472, 1362, 1250, 1098, 1028, 836, 774, 691 cm-1.
【0079】
[実施例6] ジブロムメチレンシクロヘキセンオキシド体13の合成
【化22】
Figure 0004126555
(式中、TBSはt−ブチルジメチルシリル基を表す。)
【0080】
四臭化炭素(830mg,2.5mmol)のジクロルメタン(3mL)溶液に、0℃でトリフェニルホスフィン(1.31g,5.0mmol)を加え、そのまま0℃で5分撹拌した。
2−メチル−2−ブテン(1.4mL,12.5mmol)を加え5分撹拌した後、5−シロキシ−2,3−エポキシシクロヘキサノン(242mg,1.0mmol)のジクロルメタン(3mL)溶液を0℃で加え、その反応液を30分撹拌した。
その後、反応液をヘキサン(30mL)で希釈し、セライトでろ過した。
ろ液を減圧下濃縮して得られた1−ジブロムメチレン−5−シロキシ−2,3−エポキシシクロヘキサンの粗生成物は、そのまま次の反応に用いた。
【0081】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ3.85-3.95 (m, 2H), 3.40-3.44 (m, 1H), 2.52 (dd, J = 3.6, 15.3Hz, 1H), 2.28 (dd, J = 4.5, 15.0 Hz, 1H), 2.11 (dd, J = 6.0, 15.3 Hz, 1H), 1.75 (ddd, J = 2.7,7.8, 15.0 Hz, 1H), 0.87 (s, 9H), 0.061 (s, 3H), 0.05 (s, 3H).
13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ137.0, 93.6, 64.3, 54.6, 53.8, 39.2, 33.5, 25.8, 18.1, -4.66, -4.74.
【0082】
[実施例7] 光学活性ジオキシシクロヘキサン化合物14の合成
【化23】
Figure 0004126555
(式中、TBSはt−ブチルジメチルシリル基を表す。)
【0083】
氷冷下、実施例6で得られた1−ジブロムメチレン−5−シロキシ−2,3−エポキシシクロヘキサン粗生成物のヘキサン(5mL)溶液に、水素化ジイソブチルアルミニウム(0.96M/ヘキサン液,2.08mL,2.0mmol)を加え、そのまま0℃で1時間攪拌した。
反応液に、水(0.36mL)を0℃で注意深く加えた後30分撹拌し、フッ化ナトリウム(1g)とセライト(1g)とを加えて、その混合液をセライトでろ過した。
ろ液を減圧下濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、1−ジブロムメチレン−3−ヒドロキシ−5−シロキシシクロヘキサンを収率74%(287mg)で得た。
【0084】
[α]24 D = +10.68 (c1.47 CHCl3).
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ4.80-4.20 (m, 2H), 2.73 (dd, J= 3.9, 13.5 Hz, 1H), 2.42-2.56 (m, 2H), 2.38 (dd, J = 7.5, 13.5 Hz, 1H), 1.68-1.86 (m, 2H),1.58 (s, 1H), 0.88 (s, 9H), 0.081 (s, 3H), 0.064 (s, 3H).
13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ139.3, 85.8, 66.8, 66.6, 42.4, 42.2, 41.9, 25.7, 17.9, -5.07, -5.14.
IR (neat) 3350, 2928, 2856, 1470, 1254, 1103, 908, 837, 776 cm-1.
Anal. Calc. for C13H24Br2O2Si: C, 39.01; H, 6.04. Found: C, 38.91; H, 5.94.
【0085】
上記で得られた1−ジブロムメチレン−3−ヒドロキシ−5−シロキシシクロヘキサン(272mg,0.7mmol)とイミダゾール(95mg,1.4mmol)とのジメチルホルムアミド(2mL)溶液に、0℃でt−ブチルジメチルシリルクロライド(136mg,0.9mmol)を加え、室温で12時間攪拌した。
水(2mL)を加えた後、ジエチルエーテル(6mL)で3回抽出した。有機層を乾燥(無水硫酸マグネシウム)し、ろ過後、ろ液を減圧下濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、1−ジブロムメチレン−3,5−ジシロキシシクロヘキサン14を収率96%(348mg)で得た。
【0086】
[α] 30 D = +2.27 (c1.21 CHCl3).
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ4.06-4.14 (m, 2H), 2.56 (dd, J=3.3, 13.5Hz, 2H), 2.37 (dd, J = 7.2, 13.8 Hz, 2H), 1.69 (t, J = 5.4 Hz, 2H), 0.892 (s, 9H), 0.889 (s, 9H), 0.079 (s, 3H), 0.062 (s, 3H).
13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ139.9, 85.1, 67.0, 42.8, 42.5, 18.0, -5.08, -5.14.
IR (neat) 2928, 2856, 1471, 1362, 1256, 1092, 1027, 958, 838, 695 cm-1.
Anal. Calc. for C19H38Br2O2Si2 : C, 44.36; H, 7.44. Found: C, 44.40; H,7.45.
【0087】
[実施例8] 光学活性ヒドロキシエチレンジオキシシクロヘキサン化合物の合成
【化24】
Figure 0004126555
(式中、TBSはt−ブチルジメチルシリル基を表す。)
【0088】
1−ブロムメチレン−3,5−ジシロキシシクロヘキサン(40.3mg,0.1mmol)のジエチルエーテル(1mL)溶液に、−78℃でt−ブチルリチウム(1.7M/ペンタン液,0.14mL,0.24mmol)を加え、1時間かけて−20℃まで昇温した。
これに、過剰量のホルムアルデヒド(ジエチルエーテル溶液)を加えた後、室温に昇温した。
飽和塩化アンモニウム水溶液を加えた後、ジエチルエーテルで抽出し、有機層を乾燥(無水硫酸マグネシウム)した。
ろ過後、ろ液を減圧下濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、1−(2−ヒドロキシエチリデン)−3,5−ジシロキシシクロヘキサンを収率52%(17.7mg)で得た。
【0089】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ5.60 (t, J = 7.2 Hz, vinylic), 3.95−4.20 (m, 4H, CHO and CH2O), 2.25−2.40 (m, 2H), 2.18 (dd, J=3.3, 13.2Hz, 1H, allylic), 2.05 (dd, J=8.1, 13.2Hz, 1H, allylic), 1.75−1.86 (m, 1H), 1.69 (br s, 1H, OH), 1.63 (dd, J=3.0, 9.0Hz, 1H, CH2), 0.87 (s, 18H, t−Bu), 0.06 (s, 6H, SiCH3), 0.05 and 0.04 (2s, each 3H, SiCH3).
13C NMR (75 MHz, CDCl3) d 138.2, 125.2, 68.1, 67.9, 58.4, 45.6, 43.4, 36.6, 25.9, 18.2, -4.57, -4.66, -4.70, -4.74.
IR (neat) 3367, 2928, 2856, 1654, 1472,1361, 1253, 1109, 1084, 1082,835, 774 cm-1.
【0090】
[実施例9] 光学活性ジオキシシクロヘキサン化合物15の合成
【化25】
Figure 0004126555
(式中、TBSはt−ブチルジメチルシリル基を表す。Buは、n−ブチル基を表す。)
【0091】
1−ブロムメチレン−3,5−ジシロキシシクロヘキサン(348mg,0.80mmol)のジエチルエーテル(3mL)溶液に、t−ブチルリチウム(1.35M/ペンタン液,1.30mL,1.76mmol)を−78℃で加え、そのまま−78℃で1時間撹拌した。
続いて、クロルトリ−n−ブチルスズ(0.434mL,1.2mmol)を、−78℃で加え、反応液を3時間かけて室温に昇温した。
飽和重曹水(10mL)を加えた後、反応液をヘキサン(10mL)で2回抽出し、有機層を乾燥(硫酸マグネシウム)した。
硫酸マグネシウムをろ過後、ろ液を減圧下濃縮して得られた粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物15を収率93%(481mg)で得た。
【0092】
1H NMR (CDCl3) δ 5.47 (s, 1H), 3.99-4.13 (m, 2H), 2.33-2.40 (m, 2H), 2.22 (dd, J=3.9, 13.5Hz, 1H), 2.11 (dd, J=9.6, 12.9Hz, 1H), 1.82-1.90 (m, 1H), 1.43-1.61 (m, 7H), 1.24-1.38 (m, 6H), 0.78-1.06 (m, 6H), 0.89 (t, J=8.1Hz, 9H), 0.90 (s, 18H), 0.067 and 0.062 (2s, each 3H), 0.030 (s, 6H);
13C NMR (CDCl3) δ 152.1, 124.1, 68.3, 67.7, 47.1, 46.5, 43.1, 29.3, 27.4, 26.0, 25.8, 18.2, 18.1, 13.8, 10.3, -4.5, -4.6, -4.8;
IR (neat) 2926, 2862, 1613, 1463, 1376, 1361, 1255, 1099, 836, 775, 691;
[α]25 D −14.3 (c 7.90, CHCl3);.
Anal. Calcd. for C31H66O2Si2Sn: C, 57.66; H, 10.30. Found: C, 57.28; H, 10.32.
【0093】
[実施例10] 光学活性ジオキシシクロヘキサン化合物の合成
【化26】
Figure 0004126555
【0094】
50mLシュレーカー反応チューブ(アルドリッチ社製)に、PS−DESレジン(アルゴノート製,0.6〜1.0mmol/g,1.00g)を仕込み、減圧下30分乾燥した後、アルゴンでパージした。
これに、1,3−ジクロロ−5,5−ジメチルヒダントイン(443mg,2.25mmol)の塩化メチレン(11mL)溶液を加え、室温下2時間ゆっくり撹拌した。
アルゴン下で反応液をろ過し、得られた樹脂を塩化メチレン(20mL)で3回、さらにTHF(20mL)で3回洗浄した後、減圧下乾燥した。
【0095】
続いて、樹脂を入れた反応チューブに、実施例3で得られた1−ブロムメチレン−3−ヒドロキシ−5−シロキシシクロヘキサン(723mg,2.25mmol)とイミダゾール(180mg,2.63mmol)の塩化メチレン(25mL)溶液を加え、室温下4時間ゆっくりと撹拌した。
反応液をろ過し、得られた樹脂をエーテル(18mL)で2回洗浄した。
ろ液を水(20mL)で2回洗浄した後、有機層を乾燥(硫酸マグネシウム)し、硫酸マグネシウムをろ過後、ろ液を減圧下濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで処理して原料の1−ブロムメチレン−3−ヒドロキシ−5−シロキシシクロヘキサン(382mg,1.19mmol)を回収した。
【0096】
樹脂は、THF−水(3/1(v/v),12mL)で3回、エタノール(12mL)で2回、さらにエーテル(18mL)で2回洗浄した後、減圧下終夜で乾燥し、シリル基樹脂末端を持つ固相担持光学活性ビニリデンシクロヘキサン化合物5を回収原料からの基準による収率90%(1.31g)で得た。
得られた樹脂のローディングは、樹脂をフッ化水素酸−ピリジンで分解した後、生成したアルコール体を1HNMRで分析することにより、0.738mmol/gと決定した。
すなわち、シリンジ型のPP反応器(EYELA RT5−S100,武田理化製)に樹脂(144mg)とTHF(3mL)を仕込み、これにフッ化水素酸−ピリジン(0.1mL)を加え、室温下6時間撹拌した。
反応液に、内部標準物質として1,4−ジブロモベンゼン(25.6mg)を加えた後、THF(3mL)でろ過した。
ろ液に酢酸エチル(4mL)を加え、飽和重曹水(3mL)で洗浄し、さらに水層より酢酸エチル(3mL)で2回抽出した。
合わせた有機層を乾燥(硫酸マグネシウム)し、硫酸マグネシウムをろ過後、ろ液を減圧下濃縮して得られた残渣を1HNMRで分析した。
その結果、ブロモメチレンシクロヘキサンジオールは0.1063mmolであり、樹脂のローディングは0.738mmol/gと計算された。
【0097】
本発明によれば、19−ノル−活性型ビタミンD誘導体および活性型ビタミンD3誘導体を製造する際の重要中間体である光学活性ヒドロキシエチレンジオキシシクロヘキサン化合物を、光学活性ジオキシシクロヘキサン化合物を用いることで、比較的簡便に、かつ、効率的に製造することができる。

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)
    Figure 0004126555
    (式中、Rはハロゲン原子を表す。XおよびYは水素原子、水酸基の保護基または該保護基を末端に有する固相を表す。)
    で表されることを特徴とする光学活性ジオキシシクロヘキサン化合物またはその鏡像体。
  2. 下記一般式(2)
    Figure 0004126555
    式中、R′およびR″は互いに独立してハロゲン原子を表す。XおよびYは水素原子、水酸基の保護基または該保護基を末端に有する固相を表す。)
    で表されることを特徴とする光学活性ジオキシシクロヘキサン化合物またはその鏡像体。
  3. 前記水酸基の保護基を末端に有する固相が、カルボニル基樹脂末端、カルボニルオキシ基樹脂末端、カルボニルアミノ基樹脂末端、またはシリル基樹脂末端である請求項1または2記載の光学活性ジオキシシクロヘキサン化合物またはその鏡像体。
  4. 前記樹脂が、ポリスチレン樹脂、PEG−ポリスチレン樹脂またはPGA樹脂である請求項3記載の光学活性ジオキシシクロヘキサン化合物またはその鏡像体。
  5. 下記一般式(1)
    Figure 0004126555
    (式中、Rはハロゲン原子を表す。XおよびYは水素原子、水酸基の保護基または該保護基を末端に有する固相を表す。)
    で表される光学活性ジオキシシクロヘキサン化合物の前記ハロゲン原子をリチオ化した後、ホルムアルデヒドと反応させてヒドロキシメチル化反応を行い、下記一般式(3)
    Figure 0004126555
    (式中、XおよびYは水素原子、水酸基の保護基または該保護基を末端に有する固相を表す。)
    で表される化合物を得ることを特徴とする光学活性ヒドロキシエチレンジオキシシクロヘキサン化合物の製造方法。
  6. 前記水酸基の保護基を末端に有する固相が、カルボニル基樹脂末端、カルボニルオキシ基樹脂末端、カルボニルアミノ基樹脂末端、またはシリル基樹脂末端である請求項5記載の光学活性ヒドロキシエチレンジオキシシクロヘキサン化合物の製造方法。
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