JP4396810B2 - ビタミンd誘導体の製造法 - Google Patents

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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビタミンD誘導体の新規な製造法に関する。
【0002】
活性型ビタミンD3(1,25−ジヒドロキシコレカルシフェロール)は、小腸におけるカルシウム輸送能、骨塩動員能などの生理活性が強く、そのため人の生理機能に重要な役割を果たすことが知られている。
従来、活性型ビタミンD誘導体の製造方法としては、(1)ステロイド化合物からの誘導(非特許文献1:J. Am. Chem. Soc. 1981, 103, 6781等)、(2)A環部のホスフィンオキシド体を用いたホーナーエモンズ反応による方法(非特許文献2:Tetrahedron Letters 1975, 3863等)、(3)A環部のエンイン化合物を用いたStilleカップリング反応による方法(非特許文献3:Tetrahedron Letters 1988, 1203等)、(4)A環部相当のエンイン化合物を用いたPdによるカップリング反応による方法(非特許文献4:J. Am. Chem. Soc. 1992, 114, 9836等)等が知られている。
【0003】
【非特許文献1】
ジャーナル オブ アメリカン ケミカル ソサイエティ(J. Am. Chem. Soc.)、1981年、第103巻、p.6781
【非特許文献2】
テトラヘドロン レターズ(Tetrahedron Letters)、1975年、p.3863
【非特許文献3】
テトラヘドロン レターズ(Tetrahedron Letters)、1988年、p.1203
【非特許文献4】
ジャーナル オブ アメリカン ケミカル ソサイエティ(J. Am. Chem. Soc.)、1992年、第114巻、p.9836
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの従来法は、出発物質からの工程数が長い、全工程のトータル収率が低い等、種々の課題を抱えており、より実用的な製造方法の開発が望まれており、現在も効率的な製造方法の確立を目指して研究が盛んに行われているのが現状である。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、活性型ビタミンD誘導体の効率的、かつ、有用な製造法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者らは、上記目的を達成するため、鋭意検討を重ねた結果、上記式(1)で示される光学活性ハロビニリデンメチレンシクロヘキサン化合物を原料に用いることで、活性型ビタミンD誘導体を効率的に製造できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、
[1]下記式(1)
【化10】
Figure 0004396810
〔式中、R1は水素原子、ハロゲン原子、−SnR456、−SiR456(R4、R5及びR6は互いに独立して、C1〜6アルキル基又はアリール基を表す)、C1〜6アルキル基(該アルキル基はハロゲン原子で任意に置換されていてもよい)、又はアリール基(該アリール基はハロゲン原子又はC1〜6アルキル基で任意に置換されていてもよい)を表す。R2及びR3は互いに独立して、水素原子、C1〜6アルキル基、C1〜6アルコキシ基、C1〜6アルキルカルボニルオキシ基、C1〜6アルコキシカルボニルオキシ基、水酸基又は水酸基の保護基を、又はR2とR3が一緒になってC2〜3アルキレンジオキシ(該C2〜3アルキレンジオキシはC1〜4アルキル基で任意に置換されていてもよい)を表す。Xはハロゲン原子を表す。Wは水素原子、水酸基の保護基又は該保護基を末端に有する固相を表す。Yは水素原子又はOW′(W′は水素原子、水酸基の保護基又は該保護基を末端に有する固相を表す。)を表す。〕で示されるハロビニリデンメチレンシクロヘキサン化合物と、下記式(2)
M−Z (2)
〔式中、Mは、−BRab[Ra及びRbは互いに独立して、C1〜6アルキル基、C1〜6アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基若しくは水酸基を、又はRaとRbが一緒になってC2〜3アルキレンジオキシ(該C2〜3アルキレンジオキシはC1〜4アルキル基で任意に置換されていてもよい)を表す。]を表す。Zは、C1〜26アルキル基、C2〜26アルケニル基、C2〜26アルキニル基{該アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基はハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、C1〜10アルコキシ基(該アルコキシ基はハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、C1〜6アルコキシ基、C1〜6アルコキシカルボニル基、C1〜6アルキルカルボニルオキシ基又は置換シリルオキシ基で任意に置換されていてもよい)、C1〜6アルコキシカルボニル基、C1〜6アルキルカルボニルオキシ基又は置換シリルオキシ基で任意に置換されていてもよい}、アリール基、フリル基、チエニル基又はピロール基(該アリール基、フリル基、チエニル基及びピロール基は、C1〜6アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、C1〜6アルコキシ基、C1〜6アルコキシカルボニル基、C1〜6アルキルカルボニルオキシ基又は置換シリルオキシ基で任意に置換されていてもよい)を表す。〕
で示される化合物とを反応させることを特徴とする、式(3)
【化11】
Figure 0004396810
〔式中、R1、R2、R3、Z、W及びYは前記に同じ。〕
で示されるビタミンD誘導体の製造法、
[2] 前記Zが、
【化12】
Figure 0004396810
〔式中、R7は、水素原子又はC1〜6アルキル基{該アルキル基はハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、C1〜10アルコキシ基(該アルコキシ基はハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、C1〜6アルコキシ基、C1〜6アルコキシカルボニル基、C1〜6アルキルカルボニルオキシ基又は置換シリルオキシ基で任意に置換されていてもよい)、C1〜6アルコキシカルボニル基、C1〜6アルキルカルボニルオキシ基又は置換シリルオキシ基で任意に置換されていてもよい}を表す。R8はC1〜18アルキル基、C2〜18アルケニル基又はC2〜18アルキニル基{該アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基はハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、C1〜10アルコキシ基(該アルコキシ基はハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、C1〜6アルコキシ基、C1〜6アルコキシカルボニル基、C1〜6アルキルカルボニルオキシ基又は置換シリルオキシ基で任意に置換されていてもよい)、C1〜6アルコキシカルボニル基、C1〜6アルキルカルボニルオキシ基又は置換シリルオキシ基で任意に置換されていてもよい}を表す。〕で示される基、
【化13】
Figure 0004396810
〔式中R9は、C1〜9アルキル基、C2〜9アルケニル基又はC2〜9アルキニル基{該アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基はハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、C1〜10アルコキシ基(該アルコキシ基はハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、C1〜6アルコキシ基、C1〜6アルコキシカルボニル基、C1〜6アルキルカルボニルオキシ基又は置換シリルオキシ基で任意に置換されていてもよい)、C1〜6アルコキシカルボニル基、C1〜6アルキルカルボニルオキシ基又は置換シリルオキシ基で任意に置換されていてもよい}を表す〕で示される基、又は、
【化14】
Figure 0004396810
〔式中R8は、前記と同じ意味を表す〕で示される基であることを特徴とする[1]のビタミンD誘導体の製造法、
[3] 前記Mが、−BRab[Ra及びRbは互いに独立して、C1〜6アルキル基、C1〜6アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基若しくは水酸基を、又はRaとRbが一緒になってC2〜3アルキレンジオキシ(該C2〜3アルキレンジオキシはC1〜4アルキル基で任意に置換されていてもよい)を表す。]で示される基であるとともに、前記Zが、
【化15】
Figure 0004396810
〔式中、R8はC1〜18アルキル基、C2〜18アルケニル基又はC2〜18アルキニル基{該アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基はハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、C1〜10アルコキシ基(該アルコキシ基はハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、C1〜6アルコキシ基、C1〜6アルコキシカルボニル基、C1〜6アルキルカルボニルオキシ基又は置換シリルオキシ基で任意に置換されていてもよい)、C1〜6アルコキシカルボニル基、C1〜6アルキルカルボニルオキシ基又は置換シリルオキシ基で任意に置換されていてもよい}を表す〕で示される基、又は、
【化16】
Figure 0004396810
〔式中R9は、C1〜9アルキル基、C2〜9アルケニル基又はC2〜9アルキニル基{該アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基はハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、C1〜10アルコキシ基(該アルコキシ基はハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、C1〜6アルコキシ基、C1〜6アルコキシカルボニル基、C1〜6アルキルカルボニルオキシ基又は置換シリルオキシ基で任意に置換されていてもよい)、C1〜6アルコキシカルボニル基、C1〜6アルキルカルボニルオキシ基又は置換シリルオキシ基で任意に置換されていてもよい}を表す〕で示される基であることを特徴とする[2]のビタミンD誘導体の製造法、
[4]前記Zが、
【化17】
Figure 0004396810
〔式中、M1は水素原子、水酸基又は置換シリルオキシ基を表す。M2は、水素原子又はC1〜6アルキル基を表す〕であることを特徴とする[3]のビタミンD誘導体の製造法、
[5]前記Zが、
【化18】
Figure 0004396810
〔式中、M1は水素原子、水酸基又は置換シリルオキシ基を表す〕であることを特徴とする[3]のビタミンD誘導体の製造法
[6]前記R 1 が、水素原子又は−SiR 4 5 6 (R 4 、R 5 及びR 6 は互いに独立して、C1〜6アルキル基を表す)であり、前記R 2 及びR 3 が、水素原子である[1]〜[5]のいずれかのビタミンD誘導体の製造法
を提供する。
【0007】
以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
なお、本明細書中において、「n」はノルマルを、「i」はイソを、「s」はセカンダリーを、「t」はターシャリーを、「c」はシクロを、「p」はパラを、「o」はオルトを意味する。
【0008】
本発明におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
C1〜6アルキル基は、直鎖、分岐もしくは環状であってよく、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、c−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、c−ブチル、n−ペンチル、1−メチル−n−ブチル、2−メチル−n−ブチル、3−メチル−n−ブチル、1,1−ジメチル−n−プロピル、c−ペンチル、2−メチル−c−ブチル、n−ヘキシル、1−メチル−n−ペンチル、2−メチル−n−ペンチル、1,1−ジメチル−n−ブチル、1−エチル−n−ブチル、1,1,2−トリメチル−n−プロピル、c−ヘキシル、1−メチル−c−ペンチル、1−エチル−c−ブチル、1,2−ジメチル−c−ブチル等が挙げられる。
【0009】
C1〜9アルキル基は、直鎖、分岐もしくは環状であってよく、例えば、上記C1〜6アルキル基に挙げた置換基に加えて、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル等を挙げることができる。
C1〜18アルキル基は、直鎖、分岐もしくは環状であってよく、例えば、上記C1〜9アルキル基に挙げた置換基に加えて、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル等が挙げられる。
【0010】
C1〜26アルキル基は、直鎖、分岐もしくは環状であってよく、例えば、上記C1〜9アルキル基に挙げた置換基に加えて、n−ノナデシル、n−エイコシル等が挙げられる。
なお、上記各炭素数のアルキル基は、アルキル鎖の中ほどに、単環式又は縮合多環式の炭化水素基を含んでいてもよい。該炭化水素基としては、例えば、下記式で示される基が挙げられる。
【0011】
【化19】
Figure 0004396810
【0012】
C2〜9アルケニル基は、直鎖、分岐もしくは環状であってよく、例えば、エテニル、n−プロペニル、i−プロペニル、c−プロペニル、n−ブテニル、i−ブテニル、s−ブテニル、t−ブテニル、c−ブテニル、n−ペンテニル、1−メチル−n−ブテニル、2−メチル−n−ブテニル、3−メチル−n−ブテニル、1,1−ジメチル−n−プロペニル、c−ペンテニル、2−メチル−c−ブテニル、n−ヘキセニル、1−メチル−n−ペンテニル、2−メチル−n−ペンテニル、1,1−ジメチル−n−ブテニル、1−エチル−n−ブテニル、1,1,2−トリメチル−n−プロペニル、c−ヘキセニル、1−メチル−c−ペンテニル、1−エチル−c−ブテニル、1,2−ジメチル−c−ブテニル、n−ヘプテニル、n−オクテニル、n−ノネニル等が挙げられる。
【0013】
C2〜18アルケニル基は、直鎖、分岐もしくは環状であってよく、例えば、上記C2〜9アルケニル基に挙げた置換基に加えて、n−デセニル、n−ウンデセニル、n−ドデセニル、n−トリデセニル、n−テトラデセニル、n−ペンタデセニル、n−ヘキサデセニル、n−ヘプタデセニル、n−オクタデセニル等が挙げられる。
C2〜26アルケニル基は、直鎖、分岐もしくは環状であってよく、例えば、上記C2〜18アルケニル基に挙げた置換基に加えて、n−ノナデセニル、n−エイコセニル等が挙げられる。
なお、アルケニル基の二重結合は2以上あってよく、また、アルケニル鎖の中ほどに、単環式もしくは縮合多環式の炭化水素基を含んでいてもよく、該炭化水素基としては、上記の炭化水素基が挙げられる。
【0014】
C2〜9アルキニル基は、直鎖、分岐もしくは環状であってよく、例えば、エチニル、n−プロピニル、i−プロピニル、c−プロピニル、n−ブチニル、i−ブチニル、s−ブチニル、t−ブチニル、c−ブチニル、n−ペンチニル、1−メチル−n−ブチニル、2−メチル−n−ブチニル、3−メチル−n−ブチニル、1,1−ジメチル−n−プロピニル、c−ペンチニル、2−メチル−c−ブチニル、n−ヘキシニル、1−メチル−n−ペンチニル、2−メチル−n−ペンチニル、1,1−ジメチル−n−ブチニル、1−エチル−n−ブチニル、1,1,2−トリメチル−n−プロピニル、c−ヘキシニル、1−メチル−c−ペンチニル、1−エチル−c−ブチニル、1,2−ジメチル−c−ブチニル、n−ヘプチニル、n−オクチニル、n−ノニニル等が挙げられる。
【0015】
C2〜18アルキニル基は、直鎖、分岐もしくは環状であってよく、例えば、上記C2〜9アルキニル基に挙げた置換基に加えて、n−デシニル、n−ウンデシニル、n−ドデシニル、n−トリデシニル、n−テトラデシニル、n−ペンタデシニル、n−ヘキサデシニル、n−ヘプタデシニル、n−オクタデシニル等が挙げられる。
C2〜26アルキニル基は、直鎖、分岐もしくは環状であってよく、例えば、上記C2〜18アルキニル基に挙げた置換基に加えて、n−ノナデシニル、n−エイコシニル等が挙げられる
なお、上記アルキニル基の三重結合は2個以上あってもよく、また、アルキニル鎖の中ほどに、単環式もしくは縮合多環式の炭化水素基を含んでいてもよい。該炭化水素基としては、例えば、上述した炭化水素基が挙げられる。
【0016】
C1〜6アルコキシ基は、直鎖、分岐もしくは環状であってよく、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、c−プロポキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、c−ブトキシ、n−ペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシ、c−ヘキシルオキシ等が挙げられる。
C1〜10アルコキシ基は、直鎖、分岐もしくは環状であってよく、例えば、上記C1〜6アルコキシ基に挙げた置換基に加えて、例えば、n−ヘプチルオキシ、n−オクチルオキシ、n−ノニルオキシ、n−デシルオキシ等が挙げられる。
【0017】
C1〜4アルコキシカルボニル基は、直鎖、分岐もしくは環状であってよく、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、i−プロポキシカルボニル、n−ブトキシカルボニル、s−ブトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル等が挙げられる。
C1〜6アルコキシカルボニル基は、直鎖、分岐もしくは環状であってよく、上記C1〜4アルコキシ基に挙げた置換基に加えて、例えば、n−ペンチルオキシカルボニル、n−ヘキシルオキシカルボニル等が挙げられる。
【0018】
C1〜6アルキルカルボニルオキシ基は、直鎖、分岐もしくは環状であってよく、例えば、メチルカルボニルオキシ、エチルカルボニルオキシ、n−プロピルボニルオキシ、i−プロピルボニルオキシ、n−ブチルカルボニルオキシ、s−ブチルカルボニルオキシ、t−ブチルカルボニルオキシ、n−ペンチルカルボニルオキシ、n−ヘキシルカルボニルオキシ等が挙げられる。
【0019】
アリール基としては、フェニル、ナフチル、p−トリル等が挙げられる。
アリールオキシ基としては、フェノキシ、ナフトキシ、p−トリルオキシ等が挙げられる。
C2〜3アルキレンジオキシ基(該C2〜3アルキレンジオキシ基はC1〜4アルキル基で任意に置換されていてもよい)としては、エチレンジオキシ、テトラメチルエチレンジオキシ、プロピレンジオキシ、2,2−ジメチルプロピレンジオキシ等が挙げられる。
【0020】
水酸基の保護基としては、例えば、C1〜7アシル基(例えば、ホルミル、アセチル、フルオロアセチル、ジフルオロアセチル、トリフルオロアセチル、クロロアセチル、ジクロロアセチル、トリクロロアセチル、プロピオニル、ピバロイル、チグロイル等が挙げられる)、アリールカルボニル基(例えば、ベンゾイル、ベンゾイルホルミル、ベンゾイルプロピオニル、フェニルプロピオニル等が挙げられる)、C1〜4アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、i−プロポキシカルボニル、n−ブトキシカルボニル、i−ブトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、t−アミルオキシカルボニル、ビニルオキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、2−(トリメチルシリル)エトキシカルボニル、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル等が挙げられる)、アリールオキシカルボニル基(例えば、ベンジルオキシカルボニル、p−ニトロベンジルオキシカルボニル、p−メトキシベンジルオキシカルボニル等が挙げられる)、C1〜4アルキルアミノカルボニル基(例えば、メチルカルバモイル、エチルカルバモイル、n−プロピルカルバモイル等が挙げられる)、アリールアミノカルボニル基(例えば、フェニルカルバモイル等が挙げられる)、トリアルキルシリル基(例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、ジエチルイソプロピルシリル、ジメチルイソプロピルシリル、ジ−t−ブチルメチルシリル、イソプロピルジメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、テキシルジメチルシリル等が挙げられる)、トリアルキルアリールシリル基(例えば、ジフェニルメチルシリル、t−ブチルジフェニルシリル、t−ブチルジメトキシフェニルシリル、トリフェニルシリル等が挙げられる)等が挙げられる。
【0021】
水酸基の保護基を末端に有する固相としては、例えば、カルボニル基樹脂末端、カルボニルオキシ基樹脂末端、カルボニルアミノ基樹脂末端、シリル基樹脂末端等が挙げられる。
用いられる樹脂としては、ポリスチレン樹脂、PEG−ポリスチレン樹脂、PGA樹脂等が挙げられる。
【0022】
置換シリルオキシ基としては、トリアルキルシリルオキシ基(例えば、トリメチルシリルオキシ、トリエチルシリルオキシ、トリイソプロピルシリルオキシ、ジエチルイソプロピルシリルオキシ、ジメチルイソプロピルシリルオキシ、ジ−t−ブチルメチルシリルオキシ、イソプロピルジメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ、テキシルジメチルシリルオキシ等が挙げられる)、トリアルキルアリールシリルオキシ基(例えば、ジフェニルメチルシリルオキシ、t−ブチルジフェニルシリルオキシ、t−ブチルジメトキシフェニルシリルオキシ、トリフェニルシリルオキシ等が挙げられる)等が挙げられる。
【0023】
上記式(1)で示される化合物において、置換基R1としては、水素原子、メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基、トリ−n−ブチルスズ基、水酸基等を用いることが好ましい。
置換基R2およびR3としては、水素原子、メチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基、水酸基等を用いることが好ましい。
置換基Xとしては、臭素原子、ヨウ素原子を用いることが好ましい。
【0024】
置換基Wとしては、水素原子、C1〜7アシル基、C1〜4アルコキシカルボニル基、トリアルキルシリル基、トリアルキルアリールシリル基、シリル基樹脂末端等を用いることが好ましく、特に好ましくは、トリアルキルシリル基、トリアルキルアリールシリル基、シリル基樹脂末端等である。
置換基Yとしては、水素原子、水酸基、C1〜7アシルオキシ基、C1〜4アルコキシカルボニルオキシ基、トリアルキルシリルオキシ基、トリアルキルアリールシリルオキシ基、シリルオキシ基樹脂末端等を用いることが好ましく、特に好ましくは、トリアルキルシリルオキシ基、トリアルキルアリールシリルオキシ基、シリルオキシ基樹脂末端等である。
【0025】
上記式(2)で示される化合物において、Mは、上記のように、水素原子、−BRab[Ra及びRbは互いに独立して、C1〜6アルキル基、C1〜6アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基若しくは水酸基を、又は、RaとRbが一緒になってC2〜3アルキレンジオキシ(該C2〜3アルキレンジオキシはC1〜4アルキル基で任意に置換されていてもよい)を表す。]、−SnRcde、−SiRcde[Rc、Rd及びReは互いに独立して、C1〜6アルキル基又はアリール基を表す]、−ZnHal又は−MgHal(Halは、ハロゲン原子を表す)を表すが、これらの中でも特に、−BRabで表されるものを用いることが好ましい。
【0026】
上記Mとして、−BRabで示されるものを用いる場合、置換基Ra及びRbとしては、特に、テトラメチルエチレンジオキシ基、2,2−ジメチルプロピレンジオキシ基であることが好ましい。
上記Mとして、−SnRcdeで示されるものを用いる場合、置換基Rc、Rd及びReとしては、エチル、n−プロピル、n−ブチルを用いることが好ましい。
上記Mとして、SiRcdeで示されるものを用いる場合、置換基Rc、Rd及びReとしては、メチル、エチル、n−プロピルを用いることが好ましい。
上記Mとして、−ZnHal及び−MgHalで示されるものを用いる場合、置換基Halとしては、臭素原子、ヨウ素原子を用いることが好ましい。
【0027】
置換基Zは、上記のように、直鎖、分岐もしくは環状のC1〜26アルキル基、C2〜26アルケニル基、C2〜26アルキニル基、アリール基、フリル基、チエニル基、又はピロール基を表す。
ここで、上記アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基は、いずれもハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、C1〜10アルコキシ基(該アルコキシ基はハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、C1〜6アルコキシ基、C1〜6アルコキシカルボニル基、C1〜6アルキルカルボニルオキシ基又は置換シリルオキシ基で任意に置換されていてもよい)、C1〜6アルコキシカルボニル基、C1〜6アルキルカルボニルオキシ基、又は置換シリルオキシ基で任意に置換されていてもよい。
【0028】
上記アリール基、フリル基、チエニル基又はピロール基は、いずれも任意の位置で、C1〜6アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、C1〜6アルコキシ基、C1〜6アルコキシカルボニル基、C1〜6アルキルカルボニルオキシ基、又は置換シリルオキシ基で任意に置換されていてもよい。
【0029】
これらの置換基Zとしては、例えば、下記式で示されるものを挙げることができる。
【0030】
【化20】
Figure 0004396810
〔式中、R7は、水素原子又はC1〜6アルキル基C2〜18アルケニル基、又はC2〜18アルキニル基{該アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基はハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、C1〜10アルコキシ基(該アルコキシ基はハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、C1〜6アルコキシ基、C1〜6アルコキシカルボニル基、C1〜6アルキルカルボニルオキシ基、又は置換シリルオキシ基で任意に置換されていてもよい)、C1〜6アルコキシカルボニル基、C1〜6アルキルカルボニルオキシ基、又は置換シリルオキシ基で任意に置換されていてもよい}を表す。R8はC1〜18アルキル基、C2〜18アルケニル基、又はC2〜18アルキニル基{該アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基はハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、C1〜10アルコキシ基(該アルコキシ基はハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、C1〜6アルコキシ基、C1〜6アルコキシカルボニル基、C1〜6アルキルカルボニルオキシ基又は置換シリルオキシ基で任意に置換されていてもよい)、C1〜6アルコキシカルボニル基、C1〜6アルキルカルボニルオキシ基又は置換シリルオキシ基で任意に置換されていてもよい}を表す。R9は、C1〜9アルキル基、C2〜9アルケニル基、又はC2〜9アルキニル基{該アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基はハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、C1〜10アルコキシ基(該アルコキシ基はハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、C1〜6アルコキシ基、C1〜6アルコキシカルボニル基、C1〜6アルキルカルボニルオキシ基、又は置換シリルオキシ基で任意に置換されていてもよい)、C1〜6アルコキシカルボニル基、C1〜6アルキルカルボニルオキシ基、又は置換シリルオキシ基で任意に置換されていてもよい}を表す。〕
【0031】
特に、置換基Zとして、下記式で示されるものを用いることが好ましい。
【0032】
【化21】
Figure 0004396810
〔式中、M1は、水素原子、水酸基又は置換シリルオキシ基を表す。M2は、水素原子又はC1〜6アルキル基を表す。〕
【0033】
本発明に係る製造法に用いられる反応溶媒としては、当該反応条件下において安定であり、かつ、不活性で目的とする反応を妨げないものであれば特に制限はない。
具体的には、水、アルコール類(例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、オクタノール等)、セロソルブ類(例えばメトキシエタノール、エトキシエタノール等)、非プロトン性極性有機溶媒類(例えばジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、テトラメチルウレア、スルホラン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルイミダゾリジノン等)、エーテル類(例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)、脂肪族炭化水素類(例えばペンタン、ヘキサン、c−ヘキサン、オクタン、デカン、デカリン、石油エーテル等)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン等)、ハロゲン化炭化水素類(例えばクロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、低級脂肪族酸エステル(例えば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル等)、アルコキシアルカン類(例えばジメトキシエタン、ジエトキシエタン等)、ニトリル類(例えばアセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル等)等の溶媒が挙げられる。
【0034】
これらの溶媒は反応の起こり易さに従って適宜選択され、1種単独でまたは2種以上混合して用いることができる。なお、必要に応じて適当な脱水剤や乾燥剤により水分を除去し、非水溶媒として用いてもよい。
以上述べた溶媒は、本発明を実施する際の一例であって、本発明はこれらの条件に限定されるものではない。
【0035】
次に、上記一般式(1)で示されるハロビニリデンメチレンシクロヘキサン化合物の製造方法について説明する。
例えば、化合物(R1=R2=R3=水素原子、X=臭素原子、W=t−ブチルジメチルシリル基、Y=t−ブチルジメチルシリルオキシ基)は下記スキーム1に示す方法により製造することができる。
【0036】
【化22】
スキーム1
Figure 0004396810
(式中、TMSはトリメチルシリル基、TBSはt−ブチルジメチルシリル基を表す。)
【0037】
すなわち、既知化合物であるエンイン化合物をチタンで環化した後、臭素化することによりブロムビニリデンブロムメチルシクロヘキサン化合物を得、これを、脱臭化水素と脱トリメチルシリルを行ない、最後に水酸基をシリル化することによりブロムビニリデンメチレンシクロヘキサン化合物を製造することができる。
【0038】
最初のエンイン化合物は、チタン化合物とグリニャール試剤との存在下に環化反応させた後、臭素化することによりブロムビニリデンブロムメチルシクロヘキサン化合物とする。
ここで、チタン化合物としては、テトラ−i−プロポキシチタン、クロロトリ−i−プロポキシチタン、ジクロロジ−i−プロポキシチタン等が挙げられる。チタン化合物の使用量は、通常、基質に対して、0.01〜5.0モル倍の範囲であり、特に、0.5〜2.0モル倍の範囲が好ましい。
【0039】
グリニャール試剤としては、エチルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウムブロミド、n−プロピルマグネシウムクロリド、n−プロピルマグネシウムブロミド、i−プロピルマグネシウムクロリド、i−プロピルマグネシウムブロミド等が挙げられる。
グリニャール試剤の使用量は、使用するチタン化合物に対して、1〜10モル倍の範囲であり、特に、反応基質との副反応を避けるという点から、1.5〜2.5モル倍の範囲が好ましい。
各原料の添加順序は、チタン化合物とグリニャール試剤とを混合した後、基質のエンイン化合物を加える方法、基質のエンイン化合物にチタン化合物を加えた後、グリニャール試剤を加える方法等があるが、特に限定されるものではない。
【0040】
反応溶媒としては、反応に関与しないものであれば特に制限はなく、上記した溶媒のうち、水、アルコール類、セロソルブ類、非プロトン性極性有機溶媒類、ケトン類、低級脂肪酸エステル類、ニトリル類以外の溶媒を用いることができ、特に、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルを用いることが好ましい。
反応温度は、特に限定はなく、−100℃から使用する溶媒の沸点まで可能であるが、好ましくは−80〜40℃の範囲で行うのがよい。
反応時間は、通常、0.1〜1000時間である。
【0041】
反応終了後は、環化した化合物を単離せずに、反応系にそのまま臭素化剤を加えて臭素化を行う。
この場合、臭素化剤としては、例えば、N−ブロムコハク酸イミド、N,N−ジブロムジメチルヒダントイン、臭素等が挙げられ、好ましくはN−ブロムコハク酸イミドである。
また、臭素化剤の使用量は、通常、基質に対して0.5〜20モル倍の範囲であり、特に、1.0〜10モル倍の範囲が好ましい。
【0042】
臭素化に用いる反応溶媒としては、反応に関与しないものであれば特に限定はなく、上記環化反応に使用した溶媒をそのまま用いることができる。
反応温度は、特に限定はなく、−100℃から使用する溶媒の沸点まで可能であるが、好ましくは−50〜50℃の範囲で行うのがよい。
反応時間は、通常、0.1〜1000時間である。
【0043】
反応終了後は、適当な溶媒により目的物を抽出し、溶媒を減圧濃縮して粗物を得ることができる。
得られた粗物について、さらにシリカゲルカラムクロマトグラフィー等の常法による精製を行うことで、純粋なブロムビニリデンブロムメチルシクロヘキサン化合物を単離することができる。
【0044】
なお、上記反応において、臭素化剤の替わりに、N−クロルコハク酸イミド,塩素等の塩素化剤、又はN−ヨードコハク酸イミド,ヨウ素等のヨウ素化剤を使用することで、クロルビニリデンクロルメチルシクロヘキサン化合物又はヨードビニリデンヨードメチルシクロヘキサン化合物を得ることもできる。
【0045】
次に、得られた化合物を、脱臭化水素化及び脱トリメチルシリル化し、さらに、水酸基をt−ブチルジメチルシリル化することにより、ブロムビニリデンメチレンシクロヘキサン化合物を製造することができる。
脱臭化水素の試剤としては、トリエチルアミン,ジイソプロピルエチルアミン,トリ−n−プロピルアミン,トリ−n−ブチルアミン,DBN(ジアザビシクロノナン),DBU(ジアザビシクロウンデセン)等のアミン類、リチウムジイソプロピルアミド,カリウムビストリメチルシリルアミド等のアミン金属塩類等が挙げられ、好ましくは、DBU(ジアザビシクロウンデセン)である。
【0046】
脱臭化水素化剤の使用量は、通常、基質に対して0.5〜50モル倍の範囲であり、特に、1.0〜20モル倍の範囲が好ましい。
反応溶媒としては、反応に関与しないものであれば特に制限はなく、上記した溶媒を用いることができる。
反応温度は、通常、−100℃から使用する溶媒の沸点まで可能であるが、好ましくは−50〜50℃の範囲で行うのがよい。
反応時間は、通常、0.1〜1000時間である。
反応終了後は、適当な溶媒により目的物を抽出し、溶媒を減圧濃縮して粗物を得ることができる。
さらに、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等の常法による精製を行うことで、純粋な脱臭化水素体を単離することができる。
【0047】
一方、脱トリメチルシリル化剤としては、水酸化リチウム,水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,水酸化マグネシウム,水酸化カルシウム,水酸化バリウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸ナトリウム,炭酸カリウム,炭酸セシウム,炭酸マグネシウム,炭酸カルシウム,炭酸バリウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の炭酸塩、ナトリウムメトキシド,ナトリウムエトキシド,t−ブトキシカリウム等の金属アルコキシド等が挙げられ、これらの中でも、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の炭酸塩が好ましく、特に、炭酸セシウムが好ましい。
【0048】
脱トリメチルシリル化剤の使用量は、通常、基質に対して0.5〜20モル倍の範囲であり、特に、1.0〜10モル倍の範囲が好ましい。
反応溶媒としては、反応に関与しないものであれば特に制限はなく、上記した溶媒を用いることができる。
反応温度は、通常、−100℃から使用する溶媒の沸点まで可能であるが、好ましくは−50〜50℃の範囲で行うのがよい。
反応時間は、通常、0.1〜1000時間である。
反応終了後は、適当な溶媒により目的物を抽出し、溶媒を減圧濃縮して粗物を得ることができる。
さらに、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等の常法による精製を行うことで、純粋な脱トリメチルシリル体を単離することができる。
【0049】
次に、t−ブチルジメチルシリル化する試剤としては、例えば、t−ブチルジメチルシリルクロライドが挙げられる。
このt−ブチルジメチルシリルクロライドの使用量は、通常、基質に対して0.5〜20モル倍の範囲であり、特に、1.0〜10モル倍の範囲が好ましい。この場合、反応を促進させるために、反応系に塩基を共存させることもでき、このような塩基としては、ジエチルアミン,トリエチルアミン,ジイソプロピルエチルアミン,トリ−n−プロピルアミン,トリ−n−ブチルアミン,DBN(ジアザビシクロノナン),DBU(ジアザビシクロウンデセン),N−メチルモルホリン,N,N−ジメチルアニリン等のアミン類、ピリジン,メチルエチルピリジン,ルチジン,4−N,N−ジメチルアミノピリジン等のピリジン類、イミダゾール、ピラゾールが挙げられ、特に、イミダゾールが好適である。
塩基の使用量は、通常、基質に対して0.5〜20モル倍の範囲であり、特に、1.0〜10モル倍の範囲が好ましい。
【0050】
反応溶媒としては、反応に関与しないものであれば特に制限はなく、上記した溶媒のうち、水、アルコール類、セロソルブ類以外の溶媒を用いることができる。
反応温度は、通常−100℃から使用する溶媒の沸点まで可能であるが、好ましくは−50〜50℃の範囲で行うのがよい。
反応時間は、通常0.1〜1000時間である。
反応終了後は、適当な溶媒により目的物を抽出し、溶媒を減圧濃縮して粗物を得ることができる。
さらに、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等の常法による精製を行うことで、純粋なブロムビニリデンメチレンシクロヘキサン化合物を単離することができる。
【0051】
また、このシリル化の際、反応性シリル基を末端に持つ樹脂と水酸基とを反応させることにより、シリル基樹脂末端を持つ化合物3′(R1=R2=R3=水素原子、X=臭素原子、W=t−ブチルジメチルシリル基、Y=シリルオキシ基樹脂末端)を製造することができる。
このような化合物3′は、固相担持されているため、反応系から容易に分離でき、コンビナトリアルケミストリーや自動合成装置による高速合成に適している。
【0052】
【化23】
Figure 0004396810
【0053】
また、例えば下記化合物(R1=R2=R3=水素原子、X=臭素原子、W=t−ブチルジメチルシリル基、Y=水素原子)は下記スキーム2に示す方法により製造することができる。
【0054】
【化24】
スキーム2
Figure 0004396810
(式中、TMSはトリメチルシリル基、TBSはt−ブチルジメチルシリル基を表す。)
【0055】
すなわち、既知化合物であるエポキシアセチレン化合物にアリルグリニャールを反応させてエンイン化合物を得た後、チタンで環化し、続いて臭素化することにより、ブロムビニリデンブロムメチルシクロヘキサン化合物を得、これをシリル化して化合物とし、脱臭化水素化および脱トリメチルシリル化を行うことで、ブロムビニリデンメチレンシクロヘキサン化合物を製造することができる。
【0056】
最初の反応において、アリルグリニャールの使用量は、通常、基質に対して0.8〜20モル倍の範囲であり、特に、1.0〜5.0モル倍の範囲が好ましい。
反応溶媒としては、反応に関与しないものであれば特に制限はなく、上記した溶媒のうち、水、アルコール類、セロソルブ類、非プロトン性極性有機溶媒類、ケトン類、低級脂肪酸エステル類、ニトリル類以外の溶媒を用いることができる。
【0057】
反応温度は、通常−100℃から使用する溶媒の沸点まで可能であるが、好ましくは−50〜50℃の範囲で行うのがよい。
反応時間は、通常0.1〜1000時間である。
反応終了後は、適当な溶媒により目的物を抽出し、溶媒を減圧濃縮して粗物を得ることができる。
さらに、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等の常法による精製を行うことで、純粋なエンイン化合物を単離することができる。
【0058】
次に、得られたエンイン化合物を、チタン化合物とグリニャール試剤との存在下で環化反応させた後、さらに臭素化することで、ブロムビニリデンブロムメチルシクロヘキサン化合物を得ることができる。
この場合、使用可能なチタン化合物としては、テトラ−i−プロポキシチタン、クロロトリ−i−プロポキシチタン、ジクロロジ−i−プロポキシチタン等が挙げられる。
チタン化合物の使用量は、通常、基質に対して0.01〜5.0モル倍の範囲であり、特に、0.5〜2.0モル倍の範囲が好ましい。
【0059】
また、使用可能なグリニャール試剤としては、エチルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウムブロミド、n−プロピルマグネシウムクロリド、n−プロピルマグネシウムブロミド、i−プロピルマグネシウムクロリド、i−プロピルマグネシウムブロミド等が挙げられる。
グリニャール試剤の使用量は、使用するチタン化合物に対して、1〜10モル倍の範囲であり、特に、反応基質との副反応を避けるという点から、1.5〜2.5モル倍の範囲が好ましい。
なお、各原料の添加順序は、チタン化合物とグリニャール試剤とを混合した後、基質のエンイン化合物を加える方法、基質のエンイン化合物にチタン化合物を加えた後、グリニャール試剤を加える方法等があるが、特に限定されるものではない。
【0060】
リチオ化した化合物は単離せずに、反応系にそのままホウ素化剤を加えてホウ素化合物とする。
さらに、得られたホウ素化合物をピナコールで処理することにより化合物を合成することができる。
ここで、ホウ素化剤としては特に限定されるものではなく、例えば、トリメトキシボラン、トリエトキシボラン、トリイソプロポキシボラン等が挙げられる。
ホウ素化剤の使用量は、通常、基質に対して0.5〜20モル倍の範囲であり、特に、1.0〜10モル倍の範囲が好ましい。
【0061】
反応溶媒としては、反応に関与しないものであれば特に制限はなく、上記した溶媒のうち、水、アルコール類、セロソルブ類、非プロトン性極性有機溶媒類、ケトン類、低級脂肪酸エステル類、ニトリル類以外の溶媒を用いることができ、特に、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等を用いることが好ましい。なお、これらの溶媒は単独又は組み合わせて使用することもできる。
反応温度は、特に制限はなく、−100℃から溶媒の沸点まで使用可能であるが、好ましくは、−80℃〜40℃の範囲である。
反応時間は、通常0.1〜1000時間である。
【0062】
上記のようにして得られた環化生成物は単離せず、反応系にそのまま臭素化剤を加えて臭素化する。
使用可能な臭素化剤としては、例えば、N−ブロムコハク酸イミド、N,N−ジブロムジメチルヒダントイン、臭素等が挙げられ、特に、N−ブロムコハク酸イミドが好適である。
臭素化剤の使用量は、通常、基質に対して0.5〜20モル倍の範囲であり、特に、1.0〜10モル倍の範囲が好ましい。
【0063】
反応溶媒としては、反応に関与しないものであれば特に制限はなく、環化反応に使用した溶媒をそのまま用いることができる。
反応温度は、通常−100℃から使用する溶媒の沸点まで可能であるが、好ましくは−80〜40℃の範囲で行うのがよい。
反応時間は、通常0.1〜1000時間である。
反応終了後は、適当な溶媒により目的物を抽出し、溶媒を減圧濃縮して粗物を得ることができる。
さらに、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等の常法による精製を行うことで、純粋なブロムビニリデンブロムメチルシクロヘキサン化合物を単離することができる。
【0064】
なお、上記臭素化剤の替わりに、N−クロルコハク酸イミド,塩素等の塩素化剤、N−ヨードコハク酸イミド,ヨウ素等のヨウ素化剤を使用することにより、クロルビニリデンクロルメチルシクロヘキサン化合物又はヨードビニリデンヨードメチルシクロヘキサン化合物を得ることもできる。
【0065】
上述のようにして得られたブロムビニリデンブロムメチルシクロヘキサン化合物の水酸基を、t−ブチルジメチルシリル化する試剤としては、例えば、t−ブチルジメチルシリルクロライドが挙げられる。
t−ブチルジメチルシリルクロライドの使用量は、通常、基質に対して0.5〜20モル倍の範囲であり、特に、1.0〜10モル倍の範囲が好ましい。
【0066】
この場合、反応を促進させるために、反応系に塩基を共存させることもでき、このような塩基としては、ジエチルアミン,トリエチルアミン,ジイソプロピルエチルアミン,トリ−n−プロピルアミン,トリ−n−ブチルアミン,DBN(ジアザビシクロノナン),DBU(ジアザビシクロウンデセン),N−メチルモルホリン,N,N−ジメチルアニリン等のアミン類、ピリジン,メチルエチルピリジン,ルチジン,4−N,N−ジメチルアミノピリジン等のピリジン類、イミダゾール、ピラゾールが挙げられ、特に、イミダゾールが好適である。
塩基の使用量は、通常、基質に対して0.5〜20モル倍の範囲であり、特に、1.0〜10モル倍の範囲が好ましい。
【0067】
反応溶媒としては、反応に関与しないものであれば特に制限はなく、上記した溶媒のうち、水、アルコール類、セロソルブ類以外の溶媒を用いることができる。
反応温度は、通常−100℃から使用する溶媒の沸点まで可能であるが、好ましくは−50〜50℃の範囲で行うのがよい。
反応時間は、通常0.1〜1000時間である。
反応終了後は、適当な溶媒により目的物を抽出し、溶媒を減圧濃縮して粗物を得ることができる。
さらに、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等の常法による精製を行うことで、純粋な化合物を単離することができる。
【0068】
最後に、化合物を脱臭化水素化及び脱トリメチルシリル化することで、ブロムビニリデンメチレンシクロヘキサン化合物を得ることができる。
使用可能な脱臭化水素試剤としては、トリエチルアミン,ジイソプロピルエチルアミン,トリ−n−プロピルアミン,トリ−n−ブチルアミン,DBN(ジアザビシクロノナン),DBU(ジアザビシクロウンデセン)等のアミン類、リチウムジイソプロピルアミド,カリウムビストリメチルシリルアミド等のアミン金属塩類等が挙げられ、特に、DBU(ジアザビシクロウンデセン)が好適である。
脱臭化水素化剤の使用量は、通常、基質に対して0.5〜50モル倍の範囲であり、特に、1.0〜20モル倍の範囲が好ましい。
【0069】
反応溶媒としては、反応に関与しないものであれば特に制限はなく、上記した溶媒を用いることができる。
反応温度は、通常−100℃から使用する溶媒の沸点まで可能であるが、好ましくは−50〜50℃の範囲で行うのがよい。
反応時間は、通常0.1〜1000時間である。
反応終了後は、適当な溶媒により目的物を抽出し、溶媒を減圧濃縮して粗物を得ることができる。
さらに、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等の常法による精製を行うことで、純粋な脱臭化水素体を単離することができる。
【0070】
一方、使用可能な脱トリメチルシリル化剤としては、水酸化リチウム,水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,水酸化マグネシウム,水酸化カルシウム,水酸化バリウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸ナトリウム,炭酸カリウム,炭酸セシウム,炭酸マグネシウム,炭酸カルシウム,炭酸バリウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の炭酸塩、ナトリウムメトキシド,ナトリウムエトキシド,t−ブトキシカリウム等の金属アルコキシド等が挙げられ、これらの中でも、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の炭酸塩が好ましく、特に、炭酸セシウムが好適である。
脱トリメチルシリル化剤の使用量は、通常、基質に対して0.5〜20モル倍の範囲であり、特に、1.0〜10モル倍の範囲が好ましい。
【0071】
反応溶媒としては、反応に関与しないものであれば特に制限はなく、上記した溶媒を用いることができる。
反応温度は、通常−100℃から使用する溶媒の沸点まで可能であるが、好ましくは−50〜50℃の範囲で行うのがよい。
反応時間は、通常0.1〜1000時間である。
反応終了後は、適当な溶媒により目的物を抽出し、溶媒を減圧濃縮して粗物を得ることができる。
さらに、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等の常法による精製を行うことで、純粋なブロムビニリデンメチレンシクロヘキサン化合物を単離することができる。
【0072】
またシリル化の際、ブロムビニリデンブロムメチルシクロヘキサン化合物の水酸基を反応性シリル基を末端に持つ樹脂と反応させることにより、シリル基樹脂末端を持つ化合物8′ (R1=R2=R3=水素原子、X=臭素原子、W=シリルオキシ基樹脂末端、Y=水素原子)を製造することができる。
このような化合物8′は、固相担持されているため、反応系から容易に分離でき、コンビナトリアルケミストリーや自動合成装置による高速合成に適している。
【0073】
【化25】
Figure 0004396810
【0074】
次に、一般式(2)で示される化合物の製造方法について説明する。
上記一般式(2)で示される化合物が、例えば、ビニルホウ素化合物の場合は、一般的に、対応するビニルハライド化合物等のハロゲン原子をホウ素に置換することで製造する方法や、対応するアセチレン化合物へのハイドロボレーションにより製造する方法等がある。
【0075】
これらのうち、対応するビニルハライド化合物等のハロゲン原子をホウ素に置換することにより製造する方法としては、例えば、下記化合物10は、公知の方法(J. Org. Chem., 1992, 57, 3173、Chem. Lett., 1993, 3, 1845及びJ. Org. Chem., 1988, 53, 3450等)に準じて製造可能な下記ビニル臭素化合物を、ホウ素化することにより製造することができる。
【0076】
【化26】
Figure 0004396810
(式中、M1水素原子、水酸基又は置換シリルオキシ基を表す。)
【0077】
すなわち、化合物をリチオ化した後、ホウ素化剤で処理することにより製造することができる。
この場合、リチオ化剤としては、例えば、n−ブチルリチウム、s−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム等を挙げることができる。
リチオ化剤の使用量は、通常、基質に対して0.5〜20モル倍の範囲であり、特に、1.0〜10モル倍の範囲が好ましい。
【0078】
反応溶媒としては、反応に関与しないものであれば特に制限はなく、上記した溶媒のうち、水、アルコール類、セロソルブ類、ケトン類、ハロゲン化炭化水素類、エステル類以外の溶媒を用いることができる。
反応温度は、通常−100℃から使用する溶媒の沸点まで可能であるが、好ましくは−80〜0℃の範囲で行うのがよい。
反応時間は、通常0.1〜1000時間である。
上記のようにしてリチオ化した化合物は、単離せずに反応系にそのままホウ素化剤を加えてホウ素化合物とする。
【0079】
さらに、得られたホウ素化合物をピナコールで処理することにより化合物10を合成することができる。
ここで、ホウ素化剤としては特に限定されるものではなく、例えば、トリメトキシボラン、トリエトキシボラン、トリイソプロポキシボラン等を用いることができる。
ホウ素化剤の使用量は、通常、基質に対して0.5〜20モル倍の範囲であり、特に、1.0〜10モル倍の範囲が好ましい。
【0080】
反応溶媒としては、反応に関与しないものであれば特に制限はなく、リチオ化に使用した溶媒をそのまま用いることができる。
反応温度は、通常−100℃から使用する溶媒の沸点まで可能であるが、好ましくは−80〜50℃の範囲で行うのがよい。
反応時間は、通常0.1〜1000時間である。
反応終了後は、適当な溶媒により目的物を抽出し、溶媒を減圧濃縮して粗物を得ることができる。
さらに、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等の常法による精製を行うことで、純粋な化合物10を単離することができる。
【0081】
次に、一般式(3)で示されるビタミンD誘導体の製造方法について説明する。
上記一般式(3)で示されるビタミンD誘導体は、一般式(1)で示されるハロビニリデンメチレンシクロヘキサン化合物と、一般式(2)で示される化合物とを反応させることにより製造することができる。
例えば、化合物11は、上記のようにして得られた化合物と化合物10とを反応させることにより製造することができる。
【0082】
【化27】
Figure 0004396810
(式中、TBSはt−ブチルジメチルシリル基を、TMSはトリメチルシリル基を表す。)
【0083】
また、例えば化合物12は、上記で得られた化合物と化合物10′とを反応させることにより製造することができる。
【0084】
【化28】
Figure 0004396810
(式中、TBSはt−ブチルジメチルシリル基を表す。)
【0085】
上記各反応において、ビニルホウ素化合物の使用量は、通常、基質に対して0.5〜2.0モル倍の範囲である。
上記反応を進行させるためには、パラジウム触媒又はニッケル触媒が必要である。この場合、いわゆる低原子価のパラジウム錯体又はニッケル錯体を好適に用いることができ、特に、3級ホスフィンや3級ホスファイトを配位子とするゼロ価錯体が好ましいが、反応系中で容易にゼロ価錯体に変換される適当な前駆体を用いてもよい。
また、反応系中で、3級ホスフィンや3級ホスファイトを配位子として含まない錯体と3級ホスフィンや3級ホスファイトとを混合し、3級ホスフィンや3級ホスファイトを配位子とする低原子価錯体を発生させることもできる。
【0086】
ここで、3級ホスフィンや3級ホスファイトとしては、トリフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィン、フェニルジメチルホスフィン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,1′−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリフェニルホスファイト等が挙げられ、これらの配位子の2種以上を混合して含む錯体も好適に用いられる。
【0087】
また、3級ホスフィンや3級ホスファイトを含まない錯体としては、ビス(ベンジリデンアセトン)パラジウム、酢酸パラジウム、塩化パラジウム、酢酸ニッケル、塩化ニッケル等が挙げられる。
具体的なホスフィン錯体又はホスファイト錯体としては、ジメチルビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジメチルビス(ジフェニルホスフィン)パラジウム、(エチレン)ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム等が挙げられる。
【0088】
これらのパラジウム触媒又はニッケル触媒の使用量は、いわゆる触媒量でよく、一般的には基質に対して、20モル%以下で十分である。
反応溶媒としては、反応に関与しないものであれば特に制限はなく、上記した溶媒を用いることができる。
反応温度は、通常−100℃から使用する溶媒の沸点まで可能であるが、好ましくは−30〜50℃の範囲で行うのがよい。
反応時間は、通常0.1〜1000時間である。
反応終了後は、適当な溶媒により目的物を抽出し、溶媒を減圧濃縮して粗物を得ることができる。
さらに、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等の常法による精製を行うことで、純粋なビタミンD誘導体を単離することができる。
【0089】
【実施例】
以下、参考例及び実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、参考例及び実施例にて採用した分析条件等は以下の通りである。
▲1▼1H NMR(300MHz)及び13C NMR(75MHz)測定条件;
装置:Varian Gemini-2000
測定溶媒:CDCl3
基準物質:テトラメチルシラン(TMS)(δ0.00)又はCHCl3(δ7.26)
▲2▼IR測定装置;JASCO FT/IR-230
【0090】
[参考例] ブロムビニリデンメチレンシクロヘキサン化合物の合成
(1)光学活性エンイン化合物の合成
【0091】
【化29】
Figure 0004396810
(式中、TMSはトリメチルシリル基を表す。)
【0092】
シアン化銅(90mg,1mmol)のTHF(60mL)懸濁液を−20℃に冷却し、アリルマグネシウムブロマイド(1.0M/エーテル液,30mL,30mmol)を−20℃で滴下した。
−20℃で10分攪拌した後、光学活性エポキシアセチレン(3.08g,20mmol)のTHF(30mL)の溶液を−20℃で滴下した。
1時間以上かけて0℃に昇温した後、飽和塩化アンモニウム水溶液(60mL)を加えた。
反応液をエーテル(40mL)で2回抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。
ろ過後、ろ液を減圧下濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、光学活性エンイン化合物を収率78%(3.06g)で得た。
【0093】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ5.74−5.89 (m, 1H), 4.94−5.08 (m, 2H), 3.69−3.79 (m, 1H), 2.45 (dd, J=5.2, 16.8Hz, 1H), 2.34 (dd, J=6.9, 16.8Hz, 1H), 2.11−2.22 (m, 2H), 2.07 (s, 1H), 1.57−1.65 (m, 2H), 0.14 (s, 9H).13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ138.2, 115.0, 103.1, 87.6, 69.2, 35.2, 29.7, 28.8.
IR (neat) 3368, 2959, 2176, 1653, 1642, 1419, 1250, 1081, 1020, 913, 844, 760, 699 cm-1.
[α]25 D -5.83 (c 6.65 CHCl3)
【0094】
(2)光学活性ブロムビニリデンブロムメチルシクロヘキサン化合物の合成
【0095】
【化30】
Figure 0004396810
(式中、TMSはトリメチルメチルシリル基を表す。)
【0096】
上記で得られたエンイン化合物(490mg,2.5mmol)のエーテル(25mL)溶液を0℃に冷却し、i−プロピルマグネシウムクロライド(1.0M/エーテル液,2.5mL,2.5mmol)を0℃で滴下した。
−78℃に冷却後、テトラ−i−プロポキシチタン(1.47mL,4.98mmol)を加えた後、i−プロピルマグネシウムクロライド(1.0M/エーテル液,10.0mL,10.0mmol)を滴下した。
3時間以上かけて−50℃に昇温した後、N−ブロムコハク酸イミド(1.78g,10.0mmol)のTHF(10mL)溶液を−50℃で滴下した。
【0097】
1時間以上かけて室温に昇温した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、エーテル(15mL)で2回抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下濃縮して得られた残渣にヘキサンを加えて出てきた固体をろ過した。
ろ液を減圧下濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、光学活性ブロムビニリデンブロムメチルシクロヘキサン化合物を収率65%(543mg)で得た。
【0098】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ4.08 (br s, 1H), 3.61−3.70 (m, 1H), 3.43 (d, J=8.1Hz, 2H), 2.68−2.76 (m, 1H), 2.18 (dd, J=3.0, 15.0Hz, 1H), 1.54−1.95 (m, 5H), 0.28 (s, 9H).
13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ147.3, 127.8, 67.0, 44.3, 36.9, 33.1, 27.3, 22.1, 1.51.
IR (neat) 3411, 2952, 1587, 1447, 1250, 1092, 1009, 841, 762, 669 cm-1.
【0099】
(3)光学活性ブロムビニリデンブロムメチルシクロヘキサン化合物の合成
【0100】
【化31】
Figure 0004396810
(式中、TMSはトリメチルシリル基、TBSはt−ブチルジメチルシリル基を表す。)
【0101】
上記で得られた化合物(520mg,1.46mmol)のDMF(5mL)溶液に、イミダゾール(220mg,3.24mmol)を室温下で加えた後、t−ブチルジメチルシリルクロライド(260mg,1.73mmol)を室温下で加え、そのまま12時間攪拌した。
飽和重曹水溶液を加え、ヘキサン(10mL)で3回抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。
ろ過後、ろ液を減圧下濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、光学活性ブロムビニリデンブロムメチルシクロヘキサン化合物を収率95%(652mg)で得た。
【0102】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ4.04−4.08 (m, 1H), 3.57−3.63 (m, 2H), 3.37−3.46 (m, 2H), 2.67 (d, J=15.0Hz, 1H), 2.06 (dd, J=3.0, 15.0Hz, 1H), 2.00 (dt, J=4.5, 13.2Hz, 1H), 1.76−1.85 (m, 1H), 1.65 (tt, J=3.3, 13.5Hz, 1H), 1.43−1.52 (m, 1H), 0.87 (s, 9H), 0.28 (s, 9H), 0.04 (s, 6H).
13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ148.1, 127.0, 67.3, 44.3, 37.5, 33.8, 27.6, 25.9, 21.4, 18.2, 1.49, -4.57.
IR (neat) 2954, 2857, 1589, 1472, 1361, 1251, 1096, 1030, 960, 838, 775, 693 cm-1.
【0103】
(4)光学活性ブロムビニリデンメチレンシクロヘキサン化合物の合成
【0104】
【化32】
Figure 0004396810
(式中、TMSはトリメチルシリル基、TBSはt−ブチルジメチルシリル基を表す。)
【0105】
上記で得られた化合物(652mg,1.39mmol)のジクロロメタン(5mL)溶液に、DBU(3mL,20mmol)を室温下で加え、そのまま3日間攪拌した。
飽和重曹水溶液を加え、ジクロロメタン(10mL)で2回抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。
ろ過後、ろ液を減圧下濃縮して得られた粗生成物はそのまま次の反応に使用した。
【0106】
上記で得られた粗生成物のDMF(2.8mL)溶液に、炭酸セシウム(1.81g,5.56mmol)を室温下で加え、そのまま12時間攪拌した。
飽和重曹水溶液を加え、ヘキサン(15mL)で2回抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。
ろ過後、ろ液を減圧下濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、光学活性ブロムビニリデンメチレンシクロヘキサン化合物を収率90%(397mg)で得た。
【0107】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ5.98 (s, 1H), 5.15 (s, 1H), 5.09 (s, 1H), 3.80−3.88 (m, 1H), 2.40−2.49 (m, 2H), 2.08−2.25 (m, 2H), 1.79−1.89 (m, 1H), 1.52−1.65 (m, 1H), 0.88 (s, 9H), 0.052 (s, 3H), 0.056 (s, 3H).
13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ143.1, 141.5, 113.6, 99.0, 69.5, 45.4, 35.7, 31.8, 25.9, 18.2, -4.6.
IR (neat) 2929, 2856, 1617, 1472, 1360, 1252, 1094, 836, 774 cm-1.
【0108】
[参考例2]ブロムビニリデンメチレンシクロヘキサン化合物の合成
(1)光学活性ブロムビニリデンブロムメチルシクロヘキサン化合物の合成
【0109】
【化33】
Figure 0004396810
(式中、TMSはトリメチルシリル基、TBSはt−ブチルジメチルシリル基を表す。)
【0110】
光学活性エンイン化合物(498mg,1.5mmol)のエーテル(15mL)溶液を0℃に冷却し、i−プロピルマグネシウムクロライド(1.29M/エーテル液,0.78mL,1.5mmol)を0℃で滴下した。
−78℃に冷却後、テトラ−i−プロポキシチタン(0.89mL,3.0mmol)を加えた後、i−プロピルマグネシウムクロライド(1.29M/エーテル液,4.65mL,6.0mmol)を滴下した。
【0111】
3時間以上かけて−40℃に昇温した後、N−ブロムコハク酸イミド(1.07g,6.0mmol)のTHF(6mL)溶液を−40℃で滴下した。
そのまま−40℃で1時間攪拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、エーテル(10mL)で3回抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。
ろ過後、ろ液を減圧下濃縮して得られた残渣にヘキサンを加えて出てきた固体をろ過した。
ろ液を減圧下濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、光学活性ブロムビニリデンブロムメチルシクロヘキサン化合物を収率89%(657mg)で得た。
【0112】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ4.20−4.26 (m, 2H), 4.00 (br s, 1H), 3.93−4.00 (m, 1H), 3.39 (dd, J=6.3, 10.2Hz, 1H), 3.26 (t, J=10.2Hz, 1H), 2.83 (d, J=15.0Hz, 1H), 2.18 (dd, J=3.0, 15.0Hz, 1H), 1.94−2.01 (m, 1H), 1.79 (dt, J=14.7, 3.0Hz, 1H), 0.89 (s, 9H), 0.30 (s, 9H), 0.12 (s, 3H), 0.08 (s, 3H).
13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ144.2, 131.6, 69.8, 69.0, 52.1, 36.9, 32.7, 31.8, 25.9, 18.0, 1.49, -4.83, -5.03.
IR (neat) 3468, 2953, 2858, 1464, 1362, 1251, 1158, 839 cm-1.
[α]25 D 14.8 (c 1.48 CHCl3)
【0113】
(2)光学活性ブロムビニリデンメチレンシクロヘキサン化合物の合成
【0114】
【化34】
Figure 0004396810
(式中、TMSはトリメチルシリル基、TBSはt−ブチルジメチルシリル基を表す。)
【0115】
上記で得られた化合物(295mg,0.60mmol)のジクロロメタン(3mL)溶液に、DBU(1.8mL,12mmol)を室温下で加え、そのまま3日間攪拌した。
飽和重曹水溶液を加え、ジクロロメタン(10mL)で2回抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。
ろ過後、ろ液を減圧下濃縮して得られた粗生成物はそのまま次の反応に使用した。
【0116】
上記で得られた粗生成物のDMF(1.2mL)溶液に、炭酸セシウム(0.78g,2.4mmol)を室温下で加え、そのまま15時間攪拌した。
飽和重曹水溶液を加え、エーテル(10mL)で2回抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。
ろ過後、ろ液を減圧下濃縮して得られた粗生成物はそのまま次の反応に使用した。
【0117】
上記で得られた粗生成物のメタノール(0.5mL)溶液に、クエン酸(23mg,0.12mmol)を加え、室温下30分間攪拌した。
飽和重曹水溶液を加え、ジクロロメタン(10mL)で2回抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。
ろ過後、ろ液を減圧下濃縮して得られた粗生成物はそのまま次の反応に使用した。
【0118】
上記で得られた粗生成物のDMF(1mL)溶液に、イミダゾール(41mg,1.2mmol)を室温下で加えた後、t−ブチルジメチルシリルクロライド(109mg,0.72mmol)を室温下で加え、そのまま12時間攪拌した。
飽和重曹水溶液を加え、ヘキサン(10mL)で2回抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。
ろ過後、ろ液を減圧下濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、光学活性ブロムビニリデンメチレンシクロヘキサン化合物を収率63%(169mg)で得た。
【0119】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ6.11 (d, J=2.1Hz, 1H), 5.48 (t, J=2.1Hz, 1H), 5.18 (t, J=2.1Hz, 1H), 3.93−4.01 (m, 1H), 3.64−3.74 (m, 1H), 2.54 (ddd, J=2.1, 4.5, 12.9Hz, 1H), 2.12−2.21 (m, 1H), 2.12 (ddd, J=2.4, 10.8, 12.9Hz, 1H), 1.55 (q, J=11.4Hz, 1H), 0.94 (s, 9H), 0.89 (s, 9H), 0.12 (s, 3H), 0.10 (s, 3H), 0.07 (s, 6H).
13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ145.8, 140.0, 111.4, 101.5, 69.3, 67.8, 46.2, 45.7, 25.93, 25.89, 18.2, 18.4, -4.5, -4.6, -4.8, -4.9.
IR (neat) 2951, 2862, 1619, 1471, 1361, 1258, 1080, 911, 835, 675 cm-1.
[α]30 D -58.1 (c 3.42 CHCl3)
【0120】
[参考例3]ビニルホウ素化合物10の合成
【0121】
【化35】
Figure 0004396810
(式中、TMSはトリメチルシリル基を表す。)
【0122】
ビニルブロマイド(261mg,0.61mmol)のエーテル(1.8mL)溶液に、t−ブチルリチウム(1.35M/ペンタン液,0.99mL,1.3mmol)を−78℃で加えた。そのまま、−78℃で1時間撹拌した後、トリイソプロポキシボラン(2.0M/エーテル液,0.45mL,0.9mmol)を加え、その反応液を4時間かけて室温まで昇温した。
反応液に、飽和塩化アンモニウム水溶液(5mL)と酢酸エチル(5mL)とを加え、酢酸エチル(10mL)で2回抽出した。
【0123】
有機層を減圧下濃縮して得られた残渣を、酢酸エチル(1.2mL)に溶解し、これにピナコール(86mg,0.73mmol)と硫酸マグネシウム(1.2g)とを加え、室温で12時間撹拌した。
反応液をろ過後、減圧下濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、ビニルホウ素化合物10を収率79%(228mg)で得た。
【0124】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ4.90 (s, 1H), 3.17 (br d, J=6.3Hz, 1H), 1.94-2.07 (m, 2H), 0.80-1.90 (m, 16H), 1.26 (s, 12H), 1.19 (s, 6H), 0.92 (d, J=6.3Hz, 3H), 0.54 (s, 3H), 0.09 (s, 9H)
13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ166.1, 108.2 (br s), 82.5, 74.1, 58.0, 56.9, 46.3, 45.2, 40.5, 36.4, 36.1, 33.3, 30.0, 29.9, 27.6, 25.0, 24.9, 24.4, 22.4, 21.0, 18.9, 12.2, 2.76
IR (neat) 2949, 1639, 1467, 1341, 1249, 1146, 1044, 838, 752 cm-1
[α]25 D +64.4 (c 1.28, CHCl3)
Anal. Calcd. for C28H53BO3Si: C, 70.56; H, 11.21. Found: C, 70.62; H, 11.34.
【0125】
[参考例4]ビニルホウ素化合物10′の合成
【0126】
【化36】
Figure 0004396810
【0127】
ビニルブロマイド9′(208mg,0.61mmol)のエーテル(1.8mL)溶液に、t−ブチルリチウム(1.35M/ペンタン液,0.99mL,1.3mmol)を−78℃で加えた。そのまま、−78℃で1時間撹拌した後、トリイソプロポキシボラン(2.0M/エーテル液,0.45mL,0.9mmol)を加え、その反応液を4時間かけて室温まで昇温した。
反応液に、飽和塩化アンモニウム水溶液(5mL)と酢酸エチル(5mL)とを加え、酢酸エチル(10mL)で2回抽出した。
【0128】
有機層を減圧下濃縮して得られた残渣を、酢酸エチル(1.2mL)に溶解し、これにピナコール(86mg,0.73mmol)と硫酸マグネシウム(1.2g)とを加え、室温で12時間撹拌した。
反応液をろ過後、減圧下濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、ビニルホウ素化合物10′を収率79%(177mg)で得た。
【0129】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ4.90 (s, 1H), 3.14-3.19 (m, 1H), 1.07-2.06 (m, 19H), 1.26 (s, 12H), 0.91 (d, J=6.3Hz, 3H), 0.86 & 0.85 (d, J=6.6Hz, each 3H), 0.54 (s, 3H)
13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ166.2, 115.9 (br s), 82.5, 58.1, 56.9, 46.3, 40.5, 39.5, 36.14, 36.10, 33.3, 28.1, 27.5, 25.0, 24.9, 24.4, 23.9, 22.9, 22.6, 22.4, 19.0, 12.2
IR (neat) 2952, 2862, 1636, 1468, 1340, 1215, 1146, 975, 866, 736 cm-1 [α]27 D +80.4 (c 2.27, CHCl3)
【0130】
[実施例1] ビタミンD誘導体13の合成
【0131】
【化37】
Figure 0004396810
(式中、TBSはt−ブチルジメチルシリル基を表す。)
【0132】
参考例4で得られたビニルホウ素化合物10′(130mg,0.34mmol)のTHF(0.3mL)溶液に、3M水酸化カリウム水溶液(0.11mL)、参考例1で得られた光学活性ビニリデンシクロヘキサン化合物(66.6mg,0.21mmol)、及び塩化パラジウム・ジフェニルホスフィノフェロセン錯体(12.3mg,0.017mmol)のTHF(0.3mL)溶液を室温下で加えた。
そのまま室温下で10時間撹拌した後、50℃に昇温し更に13時間撹拌した。
反応液を冷却後、エーテル(10mL)を加えた後、1M塩酸(3mL)で洗浄し、さらに飽和食塩水で洗浄した。
【0133】
有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過後、ろ液を減圧下濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、カップリング生成物12を得た。
得られたカップリング生成物12をTHF(0.22mL)に溶解し、これにテトラブチルアンモニウムフルオライド(1.0M/THF液,0.44mL,0.44mmol)を加え、室温で10時間撹拌した。
反応液に飽和重曹水を加えて、エーテル(4mL)で3回抽出した。
有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過後、ろ液を減圧下濃縮して得られた粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、ビタミンD誘導体13を収率74%(59.8mg)で得た。
【0134】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ6.24 (d, J=11.1Hz, 1H), 6.03 (d, J=11.1Hz, 1H), 5.05 (d, J=2.4Hz, 1H), 4.82 (d, J=2.4Hz, 1H), 3.95 (br s, 1H), 2.82 (dd, J=3.3, 11.4Hz, 1H), 2.57 (dd, J=3.3, 12.9Hz, 1H), 2.35-2.45 (m, 1H), 2.28 (dd, J=7.5, 13.2Hz, 1H), 2.13-2.23 (m, 1H), 1.83-2.04 (m, 4H), 1.06-1.72 (m, 18H), 0.91 (d, J=6.3Hz, 3H), 0.87 & 0.86 (d, J=6.6Hz, each 3H), 0.54 (s, 3H).
13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ144.9, 142.2, 134.9, 122.3, 117.4, 112.3, 69.2, 56.6, 56.3, 45.94, 45.87, 40.6, 39.5, 36.2, 35.2, 32.0, 29.1, 28.1, 27.7, 23.9, 23.7, 22.9, 22.6, 22.3, 18.9, 12.1.
Rf値 0.27(シリカゲルTLC、ヘキサン:酢酸エチル=3:1(vol/vol))
【0135】
[実施例2]ビタミンD誘導体14の合成
【0136】
【化38】
Figure 0004396810
(式中、TBSはt−ブチルジメチルシリル基、TMSはトリメチルシリル基を表す。)
【0137】
参考例3で得られたビニルホウ素化合物10(0.16g,0.31mmol)と3M水酸化カリウム水溶液(0.11mL)のTHF(0.3mL)溶液に、参考例2で得られた光学活性ブロムビニリデンメチレンシクロヘキサン化合物(0.090g,0.2mmol)、及び塩化パラジウム・ジフェニルホスフィノフェロセン錯体(12.3mg,0.016mmol)のTHF(0.3mL)溶液を室温下で加えた。
そのまま室温下で5時間撹拌した後、55℃に昇温し、さらに30時間撹拌した。反応液を冷却後、エーテル(10mL)を加えた後、1M塩酸(5mL)で洗浄し、さらに飽和食塩水で洗浄した。
【0138】
有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過後、ろ液を減圧下濃縮して得られた11の粗生成物をそのまま次の脱シリル化反応に用いた。
得られた11の粗生成物のTHF(10mL)溶液に1MテトラブチルアンモニウムフルオライドのTHF溶液(1.0mL)を室温下加え、24時間撹拌した。
反応溶液を減圧下濃縮した後、水(5mL)を加え、続いて酢酸エチル(10mL)で2回抽出した。有機層を水(5mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過後,ろ液を減圧下濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、シビタミンD誘導体14を収率71%(59mg)で得た。
【0139】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ6.43 (d, J=11.1Hz, 1H), 6.02 (d, J=11.1Hz, 1H), 5.39 (d, J=2.1Hz, 1H), 4.99 (d, J=2.1Hz, 1H), 4.30 (m, 1H), 4.04 (m, 1H), 2.84 (d, J=12.6Hz, 1H), 2.56 (dd, J=2.7, 13.5Hz, 1H), 2.43 (dd, J=5.7, 13.5Hz, 1H), 0.85-2.09 (m, 32H), 1.20 (s, 6H), 0.93 (d, J=6.3 Hz, 3H), 0.54 (s, 3H).
13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ147.0, 143.1, 131.5, 125.4, 116.9, 112.8, 73.1, 71.1, 68.2, 56.5, 56.4, 45.9, 45.5, 44.4, 40.7, 40.5, 36.4, 36.2, 29.4, 29.2, 29.1, 27.7, 23.6, 22.3, 20.9, 18.9, 12.1.
Rf値 0.32 (シリカゲルTLC, 酢酸エチル)
【0140】
【発明の効果】
本発明によれば、光学活性ハロビニリデンメチレンシクロヘキサン化合物を原料として用いることで、ビタミンD誘導体を、比較的簡便に、かつ、効率的に製造することができる。

Claims (6)

  1. 下記式(1)
    Figure 0004396810
    〔式中、R1は水素原子、ハロゲン原子、−SnR456、−SiR456(R4、R5及びR6は互いに独立して、C1〜6アルキル基又はアリール基を表す)、C1〜6アルキル基(該アルキル基はハロゲン原子で任意に置換されていてもよい)、又はアリール基(該アリール基はハロゲン原子又はC1〜6アルキル基で任意に置換されていてもよい)を表す。
    2及びR3は互いに独立して、水素原子、C1〜6アルキル基、C1〜6アルコキシ基、C1〜6アルキルカルボニルオキシ基、C1〜6アルコキシカルボニルオキシ基、水酸基又は水酸基の保護基を、又はR2とR3が一緒になってC2〜3アルキレンジオキシ(該C2〜3アルキレンジオキシはC1〜4アルキル基で任意に置換されていてもよい)を表す。
    Xはハロゲン原子を表す。
    Wは水素原子、水酸基の保護基又は該保護基を末端に有する固相を表す。
    Yは水素原子又はOW′(W′は水素原子、水酸基の保護基又は該保護基を末端に有する固相を表す。)を表す。〕
    で示されるハロビニリデンメチレンシクロヘキサン化合物と、下記式(2)
    M−Z (2)
    〔式中、Mは、−BRab[Ra及びRbは互いに独立して、C1〜6アルキル基、C1〜6アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基若しくは水酸基を、又はRaとRbが一緒になってC2〜3アルキレンジオキシ(該C2〜3アルキレンジオキシはC1〜4アルキル基で任意に置換されていてもよい)を表す。]を表す。
    Zは、C1〜26アルキル基、C2〜26アルケニル基、C2〜26アルキニル基{該アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基はハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、C1〜10アルコキシ基(該アルコキシ基はハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、C1〜6アルコキシ基、C1〜6アルコキシカルボニル基、C1〜6アルキルカルボニルオキシ基又は置換シリルオキシ基で任意に置換されていてもよい)、C1〜6アルコキシカルボニル基、C1〜6アルキルカルボニルオキシ基又は置換シリルオキシ基で任意に置換されていてもよい}、アリール基、フリル基、チエニル基又はピロール基(該アリール基、フリル基、チエニル基及びピロール基は、C1〜6アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、C1〜6アルコキシ基、C1〜6アルコキシカルボニル基、C1〜6アルキルカルボニルオキシ基又は置換シリルオキシ基で任意に置換されていてもよい)を表す。〕
    で示される化合物とを反応させることを特徴とする、式(3)
    Figure 0004396810
    〔式中、R1、R2、R3、Z、W及びYは前記に同じ。〕
    で示されるビタミンD誘導体の製造法。
  2. 前記Zが、
    Figure 0004396810
    〔式中、R7は、水素原子又はC1〜6アルキル基{該アルキル基はハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、C1〜10アルコキシ基(該アルコキシ基はハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、C1〜6アルコキシ基、C1〜6アルコキシカルボニル基、C1〜6アルキルカルボニルオキシ基又は置換シリルオキシ基で任意に置換されていてもよい)、C1〜6アルコキシカルボニル基、C1〜6アルキルカルボニルオキシ基又は置換シリルオキシ基で任意に置換されていてもよい}を表す。
    8はC1〜18アルキル基、C2〜18アルケニル基又はC2〜18アルキニル基{該アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基はハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、C1〜10アルコキシ基(該アルコキシ基はハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、C1〜6アルコキシ基、C1〜6アルコキシカルボニル基、C1〜6アルキルカルボニルオキシ基又は置換シリルオキシ基で任意に置換されていてもよい)、C1〜6アルコキシカルボニル基、C1〜6アルキルカルボニルオキシ基又は置換シリルオキシ基で任意に置換されていてもよい}を表す。〕で示される基、
    Figure 0004396810
    〔式中R9は、C1〜9アルキル基、C2〜9アルケニル基又はC2〜9アルキニル基{該アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基はハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、C1〜10アルコキシ基(該アルコキシ基はハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、C1〜6アルコキシ基、C1〜6アルコキシカルボニル基、C1〜6アルキルカルボニルオキシ基又は置換シリルオキシ基で任意に置換されていてもよい)、C1〜6アルコキシカルボニル基、C1〜6アルキルカルボニルオキシ基又は置換シリルオキシ基で任意に置換されていてもよい}を表す〕で示される基、又は、
    Figure 0004396810
    〔式中R8は、前記と同じ意味を表す〕で示される基であることを特徴とする請求項1記載のビタミンD誘導体の製造法。
  3. 前記Mが、−BRab[Ra及びRbは互いに独立して、C1〜6アルキル基、C1〜6アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基若しくは水酸基を、又はRaとRbが一緒になってC2〜3アルキレンジオキシ(該C2〜3アルキレンジオキシはC1〜4アルキル基で任意に置換されていてもよい)を表す。]で示される基であるとともに、前記Zが、
    Figure 0004396810
    〔式中、R8はC1〜18アルキル基、C2〜18アルケニル基又はC2〜18アルキニル基{該アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基はハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、C1〜10アルコキシ基(該アルコキシ基はハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、C1〜6アルコキシ基、C1〜6アルコキシカルボニル基、C1〜6アルキルカルボニルオキシ基又は置換シリルオキシ基で任意に置換されていてもよい)、C1〜6アルコキシカルボニル基、C1〜6アルキルカルボニルオキシ基又は置換シリルオキシ基で任意に置換されていてもよい}を表す〕で示される基、又は、
    Figure 0004396810
    〔式中R9は、C1〜9アルキル基、C2〜9アルケニル基又はC2〜9アルキニル基{該アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基はハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、C1〜10アルコキシ基(該アルコキシ基はハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、C1〜6アルコキシ基、C1〜6アルコキシカルボニル基、C1〜6アルキルカルボニルオキシ基又は置換シリルオキシ基で任意に置換されていてもよい)、C1〜6アルコキシカルボニル基、C1〜6アルキルカルボニルオキシ基又は置換シリルオキシ基で任意に置換されていてもよい}を表す〕で示される基であることを特徴とする請求項2記載のビタミンD誘導体の製造法。
  4. 前記Zが、
    Figure 0004396810
    〔式中、M1は水素原子、水酸基又は置換シリルオキシ基を表す。M2は、水素原子又はC1〜6アルキル基を表す〕であることを特徴とする請求項3記載のビタミンD誘導体の製造法。
  5. 前記Zが、
    Figure 0004396810
    〔式中、M1は水素原子、水酸基又は置換シリルオキシ基を表す〕であることを特徴とする請求項3記載のビタミンD誘導体の製造法。
  6. 前記R 1 が、水素原子又は−SiR 4 5 6 (R 4 、R 5 及びR 6 は互いに独立して、C1〜6アルキル基を表す)であり、
    前記R 2 及びR 3 が、水素原子である請求項1〜5のいずれか1項記載のビタミンD誘導体の製造法。
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