JP4126185B2 - 締結装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動変速機に内蔵された多板型の締結装置における摩擦板の踊り防止構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動変速機に内蔵された多板型のクラッチやブレーキは、スプラインを直径方向に対向させた相対回転可能な外側および内側の支持部材と、外側の支持部材のスプラインに噛み合う複数の外側摩擦板と、外側摩擦板と交互に重ね合わせて内側の支持部材のスプラインに噛み合う複数の内側摩擦板と、これらの外側摩擦板と内側摩擦板とを軸方向の移動を限界付けられたリテーナプレートとの間で軸方向に圧縮する油圧ピストン機構とを有する。
【0003】
このような締結装置では、摩擦板の圧縮を解除して内側と外側の支持部材を相対回転状態とすると、相対回転に引きずられた摩擦板が支持部材に対して踊って騒音を発生する問題がある。とくに、自動変速機のケースに形成したスプラインで周方向の回転を規制させた摩擦板で内側の摩擦板を規制するブレーキでは、ケース側の摩擦板が踊ってスプライン内壁を打撃して大きな騒音を発生する。
【0004】
このような、ブレーキにおける摩擦板の異音防止構造として、特開平10−238565号公報に記載されたようなものがある。これはスプラインの側壁とスプライン内部に伸びる摩擦板の歯部の周方向の対向面間にばね部材を配置して、複数の摩擦板の歯をスプライン側壁に共通に周方向に付勢し、ケースに設けたスプラインと摩擦板とのがたつきをなくして、摩擦板の踊りが発生する余地をなくすものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平10−238565号公報に示される摩擦板の踊り防止構造においては、ばね部材の軸方向の移動を規制するため、ばね部材の端部を折り曲げてストッパ部を設け、ストッパ部を摩擦板とリテーナプレートとの間隙に配置して摩擦板を周方向に付勢している。このため、摩擦板の端部に設けられたリテーナプレートに対してばね部材による弾性力を付勢することができず、リテーナプレートとケースに設けたスプラインとの間で衝撃を生じ、騒音を発生するといった問題があった。
【0006】
したがって本発明は、上記の問題点に鑑み、リテーナプレートとスプライン間のがたつきを防止し、リテーナプレートの踊りによって生ずる騒音を防止した締結装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、それぞれのスプラインを直径方向に対向させた相対回転可能な外側および内側の支持部材と、外側の支持部材のスプラインに噛み合う歯を備える外側の複数の摩擦板と、内側の支持部材のスプラインに噛み合う歯を備える内側の複数の摩擦板と、交互に重ね合わせた外側と内側の摩擦板を軸方向に圧縮する油圧ピストン機構と、該油圧ピストン機構の押圧方向の端部に設けられたリテーナプレートと、外側および内側の少なくともいずれかの支持部材のスプラインと、当該スプラインに噛み合う摩擦板の歯との周方向の対向面に挿入されたばね部材とを有し、該ばね部材が、板状の弾性体から最外側の2つの長辺とこれらの長辺との間に介在する少なくとも1つの曲げ部とからなる折り返し形状に形成され、一方の長辺を摩擦板の歯およびリテーナプレートの歯に当接させ、他方の長辺を支持部材のスプラインに当接させて両辺が互いに近寄る方向に圧縮され、摩擦板およびリテーナプレートを周方向の一方の側に付勢し、摩擦板に当接している側の長辺の外面に凸部を設けてストッパ部を形成し、該ストッパ部を摩擦板間または摩擦板とリテーナプレート間に配置し、ストッパ部が、摩擦板に当接している側の長辺の側端から周方向に伸びる連結部と、該連結部の端部から軸の中心方向に伸びるつめ部からなり、連結部は、摩擦板およびリテーナプレートのうち少なくともいずれかの歯の外周面に当接され、またつめ部は、摩擦板間またはリテーナプレートと摩擦板との間隙に配置するものとした。
【0009】
請求項2記載の発明は、ストッパ部が、ばね部材の長辺の一部を折り曲げることによって形成されているものとした。
請求項3記載の発明は、ばね部材が配置されるスプラインの溝を他のスプラインの溝よりも周方向に長く形成して、摩擦板およびリテーナプレートの歯とスプラインとの周方向の対向面間に軸方向に連続した隙間を形成し、該隙間に前記ばね部材が配置されているものとした。
請求項4記載の発明は、摩擦板とリテーナプレートの歯のうち、ばね部材が配置されるスプラインの溝に噛み合わされる歯を、他の歯よりも周方向に短く形成して、摩擦板およびリテーナプレートの歯とスプラインとの周方向の対向面間に軸方向に連続した隙間を形成し、該隙間にばね部材が配置されているものとした。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を実施例により説明する。
図1、図2は、自動変速機の多板型ブレーキにおけるドリブンプレートの踊り防止に適用した実施例を示し、図1は自動変速機の軸方向に沿った断面図、図2はリテーナプレートを軸方向から見た図である。
図1に示すように、トランスミッションケース10の内側にスプライン11が形成されている。トランスミッションケース10は、ダイカスト鋳造によりスプライン11を含めて一体に製作され、スプライン11には、軸方向に鋳型の抜き勾配が形成されている。
【0011】
リテーナプレート14およびドリブンプレート15が、その外周に形成された歯をスプライン11に噛み合わせてトランスミッションケース10に対する回転を規制されている。ドリブンプレート15は、スプライン11に沿って軸方向に移動可能である。スプライン11に形成したスナップリング溝12にはスナップリング13が嵌め込まれ、リテーナプレート14の軸方向の移動を規制している。
【0012】
ドリブンプレート15と交互に重ね合せたドライブプレート16は、その内周に形成された歯を回転部材20のスプライン21に噛合せて回転部材20と一体に回転するとともに、スプライン21に沿って軸方向に移動可能である。回転部材20は、自動変速機の出力軸22と中心軸を共通にしてトランスミッションケース10に対して回転可能である。回転部材20の図中左側の図示を省略した部分に変速機構の他の部分が配置されている。
【0013】
トランスミッションケース10の図中右側にブレーキを油圧駆動する機構が配置される。リターンスプリング17によって右側に付勢されたピストン19は、シリンダ空間18に油圧が供給されると、リターンスプリング17を押し縮めて左側に移動する。ピストン19は、リテーナプレート14と共働して交互に重なったドリブンプレート15とドライブプレート16を挟み込んで圧縮し、ドリブンプレート15とドライブプレート16の間に摩擦力を発生させて、回転部材20の回転を停止させる。
【0014】
図2に示すように、ばね部材25がスプライン11とドリブンプレート15およびリテーナプレート14の歯11Hの周方向の対向面間に配置される。ばね部材25は、ドライブプレート16を交互に挟んだドリブンプレート15をスプライン11に挿入した後に、リテーナプレート14に先立って、スプライン11とドリブンプレート15の歯の周方向の対向面間に挿入されている。
【0015】
ばね部材25は、スプライン11とドリブンプレート15およびリテーナプレート14の歯の全周28か所の周方向の対向面中、1か所に挿入配置される。ばね部材25が挿入される部位でのスプライン11の溝は、他のスプラインの溝よりも1.6倍程度周方向の長さが長く設定されている。
【0016】
図示しないドライブプレート16は矢印の方向に回転する。ばね部材25がない場合、ドライブプレートは、ドリブンプレート15およびリテーナプレート14の図中左側の部分を持ち上げてドリブンプレート15およびリテーナプレート14の歯をスプライン11との周方向の対向面に衝突させた後に重力により落下させ、歯の反対側の対向面を衝突させる動作を繰り返して騒音を発生する。
図2における左肩部分に配置されたばね部材25は、ドリブンプレート15およびリテーナプレート14を周方向に付勢して反対側の歯側面をスプライン11に密着させることで、ドリブンプレート15の左側部分が上下振動する余地をなくす。
【0017】
ドリブンプレート15およびリテーナプレート14は、エンジンの駆動力が自動変速機を通じて車輪に伝達されるドライブ状態では、矢印の方向に角度偏位して、ばね部材25が配置されている側と反対側の歯面をスプライン11に密着させる。
一方、エンジンブレーキトルクが車輪から自動変速機を通じてエンジンに伝達されるエンジンブレーキ状態では、矢印とは逆に、ばね部材25が配置された側の歯面をスプライン11に密着させる方向に角度偏位する。
【0018】
このとき、ドリブンプレート15およびリテーナプレート14の歯とスプライン11に挟み込まれたばね部材25が周方向に圧縮される。しかし、ばね部材25を配置する際に、スプライン11の溝の周方向の長さを他のスプラインの溝と比較して長く形成して周方向に大きな隙間を確保しているから、他の歯が先にスプライン11に突き当たってばね部材25に大きな圧縮変形が及ばない。
【0019】
図3の(a)はばね部材の展開図を示し、図3の(b)はばね部材の斜視図を示す。
ばね部材25は、図3の(a)に示すように、長辺25c、斜辺25b、長辺25a、および長辺25aの端部側面から伸びる連結部26、連結部26の長辺25aにつながらない側の端部側面から、長辺25aから長辺25cの方向へ伸びるつめ部27で構成された板状のばね鋼材からなる。
このばね鋼材を図3の(b)に示すように、曲げ部32、33で折り返すことにより長辺25a、斜辺25b、長辺25cからなる変形N字型に形成する。また連結部26が外方を向くように曲げ部31で略直角に折り、つめ部27が長辺25aの面上から垂直に伸びる形状となる方向に、曲げ部30で略直角に折り曲げる。さらに長辺25cの端部34は、内側に折り曲げられて外側に凸な曲面を形成している。
【0020】
図4に、図2におけるA−A矢視図を示す。
ばね部材25は、一方の長辺25aを複数枚のドリブンプレート15およびリテーナプレート14の歯の側面に当接させ、他方の長辺25cをトランスミッションケース10のスプライン11の側壁に当接させて、両長辺が互いに近寄る方向に圧縮させている。
【0021】
ばね部材25は、端部34を先にしてスプライン11とドリブンプレート15の歯との周方向の対向面間に差し込んだあと、リテーナプレート14の歯が長辺25aとスプライン11の間隙に挟み込まれるようにしてリテーナプレート14を組み付ける。これにより、つめ部27がリテーナプレート14とドリブンプレート15の間隙(ドライブプレート16の厚みに相当する。)に落とし込まれた状態となり、ばね部材25の軸方向の移動を規制する。またばね部材25を差し込む際に、連結部26をリテーナプレート14の外周面に当接させて配置することにより、ばね部材25の直径方向の移動を規制する。
【0022】
長辺25aは、リテーナプレート14およびドリブンプレート15全数の歯面を支持可能の直線部に若干の余裕を加えた長さを備え、長辺25cは長辺25aに略対応する長さを有する。
なお、ばね部材25の付勢力は、ドリブンプレート15の軸方向の移動を妨げたり、ドリブンプレート15およびリテーナプレート14を傾けてドライブプレート16に干渉させることのない振動防止に必要な最小限レベルに設定されている。
【0023】
長辺25cの端部34が内側に折り曲げられて外側に凸な曲面を形成していることにより、端部のエッジがスプライン11の壁面に接触せず、リテーナプレート14側から当該端部34を先にしてばね部材25を差し込む際に引っかかったりすることがない。またばね部材25が伸縮を繰り返してもスプライン11の壁面が削れることによって磨耗することがない。
本実施例においては、ドリブンプレート15が本発明における外側の複数の摩擦板を構成し、またドライブプレート16が本発明における内側の複数の摩擦板を構成する。
【0024】
本実施例は以上のように構成され、リテーナプレート14およびドリブンプレート15がドライブプレート16の回転によって引きずられる方向と、ばね部材25による付勢方向とを一致させているため、リテーナプレート14およびドリブンプレート15の歯とスプライン11との周方向の対向面が接触状態に保たれて、リテーナプレート14およびドリブンプレート15が移動する余地が無く、振動を起こすことがない。したがってリテーナプレート14およびドリブンプレート15の振動に起因する騒音が発生することがない。
【0025】
またばね部材25のつめ部27が、ドリブンプレート15とリテーナプレート14との間の、ドライブプレート16の厚みに相当する間隙に落とし込まれていることにより、ばね部材25の軸方向の移動が規制され、リテーナプレート14およびドリブンプレート15の歯とスプライン11との間隙からばね部材25が脱落することがない。
【0026】
さらに、連結部26をリテーナプレート14の外周面に当接させて配置することにより、ばね部材25の直径方向の移動が規制されることとなり、リテーナプレート14およびドリブンプレート15に対し常に一定の位置で付勢力を与えることができるので、騒音防止のための品質が安定する。
一番トルクのかからないリテーナプレート14およびドリブンプレート15の歯の先端部側面にばね部材25を配置することができるので、過剰品質のばね部材25を用いる必要がない。特に歯丈の高いリテーナプレート14およびドリブンプレート15では、ばね部材25の位置決めがされることによる効果が顕著に現れる。
【0027】
また、スプライン11の溝を周方向に長く設定することによってばね部材25を挿入し、摩擦板およびリテーナプレートを付勢するようにしたので、摩擦板およびリテーナプレートの組み付け方向が規制されることもなく、組み付け性が容易となる。
【0028】
図5にばね部材の第1の変形例を示す。
ばね部材25Aは、板状のばね鋼材からなり、曲げ部32’、33’で折り返えされた長辺25a’、斜辺25b’、長辺25c’からなる変形N字型に形成されている。また長辺25a’の側面中央付近に設けられた連結部26’が、外方を向くように曲げ部31’で略直角に折り返えされ、連結部26’のばね部材25Aの自由端側の側端部に設けられたつめ部27’を長辺25a’の面上から垂直に伸びる形状となる方向に曲げ部30’で略直角に折り返えされている。さらに長辺25c’の端部34’が内側に折り曲げられて外側に凸な曲面を形成している。
ばね部材25Aは、長辺25a’および長辺25c’が互いに近寄る方向に圧縮されて、複数枚のドリブンプレート15およびリテーナプレート14の歯と、スプライン11の周方向の対向面間に配置される。
【0029】
ばね部材25Aは、端部34’側を先にしてスプライン11とドリブンプレート15の歯との対向面間に差し込んだあと、リテーナプレート14の歯が長辺25a’の端部とスプライン11の間隙に挟み込まれるようにしてリテーナプレート14を組み付ける。よってつめ部27’はリテーナプレート14とドリブンプレート15の間隙に落とし込まれた状態となり、ばね部材25Aの軸方向の移動を規制する。またばね部材25Aを差し込む際に、連結部26’をドリブンプレート15の外周面に当接させて配置することにより、ばね部材25Aの直径方向の移動を規制する。
【0030】
以上のように第1の変形例においても、ばね部材25Aによってリテーナプレート14およびドリブンプレート15を付勢することができ、実施例と同様な振動防止効果が得られる。また実施例よりも、連結部を軸方向に長く取ることができるので、より確実にばね部材の直径方向の位置決めをすることができる。
【0031】
図6に第2の変形例を示す。
ばね部材25Bは、板状のばね鋼材からなり、曲げ部35で折り返された長辺25a’、長辺25c’からなる変形U字型に形成されている。また長辺25a’の自由端側の側面端部に設けられた連結部26が外方を向くように曲げ部31で略直角に折り返され、つめ部27が長辺25a’の面上から垂直に伸びる形状となる方向に、曲げ部30で略直角に折り返される。さらに長辺25c’の自由端側の端部34’は、内側に折り曲げられて外側に凸な曲面を形成している。
【0032】
ばね部材25Bは、長辺25a’および長辺25c’が近寄る方向に圧縮されて、曲げ部35を先にしてスプライン11とドリブンプレート15の歯との対向面間に差し込まれる。そのあとリテーナプレート14の歯が長辺25a’の端部とスプライン11との間隙に挟み込まれるようにしてリテーナプレート14を組み付ける。ばね部材25Bは、つめ部27によって軸方向の移動が規制され、また連結部26によって直径方向の移動が規制される。
【0033】
以上のように第2の変形例においても、長辺25a’および長辺25c’によってリテーナプレート14およびドリブンプレート15を付勢することができ、実施例と同様な振動防止効果が得られる。また、2つの長辺をつなぐ斜辺を設けていないので、軽量なばね部材を得ることができる。
【0034】
図7に第3の変形例を示す。
ばね部材25Cは、第2の変形例の連結部26の位置を異ならせたものであり、長辺25a’の中央付近の側面に設けられた連結部26’が外方を向くように曲げ部31で略直角に折り返され、つめ部27’が長辺25a’の面上から垂直に伸びる形状となる方向に曲げ部30で略直角に折り返されたものである。長辺25a’および長辺25c’で、スプライン11とリテーナプレート14およびドリブンプレート15の歯を付勢することにより、第3の変形例においても、実施例と同様な振動防止効果が得られる。
【0035】
なお、本実施例では軸方向の移動を規制するためのつめ部27を、リテーナプレート14とドリブンプレート15の間隙に落とし込むように配置したがこれに限定されず、図4における連結部26の位置を長辺25aの中央に設け、つめ部27をドリブンプレート15の間隙に落とし込むようにして、リテーナプレート14およびドリブンプレート15を付勢するようにしてもよい。
【0036】
また、本実施例ではトランスミッションケース10のスプライン溝を周方向に長く形成して、ばね部材25を挿入したが、図8に示すリテーナプレートの軸方向から見た図のように、トランスミッションケース10のスプラインの溝の周方向の長さを均一にして、リテーナプレート14およびドリブンプレート15の歯11Hの周方向の長さを短く形成し、ばね部材25を挿入してもよい。その際、短い歯11Hと、リテーナプレート14およびドリブンプレート15の中心を通る上下軸との対象位置に、リテーナプレート14およびドリブンプレート15の歯を周方向に短く形成した歯11H’を設ける。これにより対称位置の歯11H’は、リテーナプレート14およびドリブンプレート15を裏返しに装着した際にばね部材25の挿入スペースを確保させ、リテーナプレート14およびドリブンプレート15の組み付けミスを発生させない。
【0037】
さらに、本実施例ではリテーナプレート14およびドリブンプレート15を、ばね部材25によって付勢して騒音を防止するようにしたが、リテーナプレート14の歯がスプライン21に噛み合うように内側に伸びた構造となっている場合には、内側に伸びるリテーナプレート14およびドライブプレート16の歯と、スプライン21との周方向の対向面間にばね部材25を配置して、リテーナプレート14およびドライブプレート16を周方向に付勢することにより、リテーナプレート14およびドライブプレート16の振動に起因する騒音を防ぐようにしてもよい。
また、本実施例では自動変速機の多板ブレーキにおけるドリブンプレートおよびリテーナプレートの踊り防止に適用した例を示したが、自動変速機の多板クラッチにおいても同様にばね部材を装着して周方向のがたつきを無くすことができる。
【0038】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、板状の弾性体から最外側の2つの長辺とこれらの長辺との間に介在する少なくとも1つの曲げ部とからなる折り返し形状に形成したばね部材が、支持部材のスプラインと摩擦板およびリテーナプレートの歯との周方向の対向面間に挿入されることにより、ばね部材が摩擦板およびリテーナプレートを周方向に付勢して、摩擦板およびリテーナプレートの周方向のがたつきをなくしたので、相手側の摩擦板に引きずられても摩擦板およびリテーナプレートの振動に起因する騒音が発生しない。
また、ばね部材に設けられたストッパ部が、摩擦板間または摩擦板とリテーナプレート間に配置されることにより、ばね部材の軸方向の移動が規制され、ばね部材が摩擦板およびリテーナプレートから脱落することがない。
【0039】
さらに、ばね部材25に形成されたストッパ部は、周方向に伸びる連結部と中心方向に伸びるつめ部からなり、連結部が摩擦板とリテーナプレートの少なくとも一方の歯の外周面に当接されていることにより、ばね部材の直径方向の移動が規制される。これにより、ばね部材は常に一定の位置で付勢力を与える事ができるので、ばね部材によって摩擦板およびリテーナプレートの振動を防止する際の品質が安定する。
【0040】
請求項2記載の発明によれば、ストッパ部を、ばね部材の長辺の一部を折り曲げて形成しているためプレス成形が可能となり、容易に成形を行うことができる。
請求項3記載の発明によれば、ばね部材が配置されるスプラインの溝を他のスプラインの溝よりも周方向に長く形成することにより、周方向に大きな隙間を確保することができる。これにより、エンジンブレーキ状態等によってばね部材が配置された側の摩擦板およびリテーナプレートの歯の側面がスプラインに密着する方向に角度変位した際にも、他の歯が先にスプラインに突き当たって角度変位を規制し、ばね部材に大きな圧縮変形が及ばない。また、スプラインの溝を周方向に長く形成することによって、摩擦板およびリテーナプレートの組み付け方向が規制されることもなく組み付け性が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】自動変速機の軸方向に沿った断面図である。
【図2】リテーナプレートを軸方向から見た図である。
【図3】ばね部材の構造を示す図である。
【図4】図2におけるA−A矢視図である。
【図5】ばね部材の第1の変形例を示す図である。
【図6】ばね部材の第2の変形例を示す図である。
【図7】ばね部材の第3の変形例を示す図である。
【図8】他の変形例を示す図である。
【符号の説明】
11 スプライン
14 リテーナプレート
15 ドリブンプレート
16 ドライブプレート
25 ばね部材
26 連結部
27 つめ部
Claims (4)
- それぞれのスプラインを直径方向に対向させた相対回転可能な外側および内側の支持部材と、前記外側の支持部材のスプラインに噛み合う歯を備える外側の複数の摩擦板と、前記内側の支持部材のスプラインに噛み合う歯を備える内側の複数の摩擦板と、交互に重ね合わせた前記外側と内側の摩擦板を軸方向に圧縮する油圧ピストン機構と、該油圧ピストン機構の押圧方向の端部に設けられたリテーナプレートと、前記外側および内側の少なくともいずれかの支持部材のスプラインと、当該スプラインに噛み合う前記摩擦板の歯との周方向の対向面に挿入されたばね部材とを有し、
該ばね部材が、板状の弾性体から最外側の2つの長辺とこれらの長辺との間に介在する少なくとも1つの曲げ部とからなる折り返し形状に形成され、一方の長辺を前記摩擦板の歯およびリテーナプレートの歯に当接させ、他方の長辺を前記支持部材のスプラインに当接させて両辺が互いに近寄る方向に圧縮され、前記摩擦板およびリテーナプレートを周方向の一方の側に付勢し、前記摩擦板に当接している側の長辺の外面に凸部を設けてストッパ部を形成し、
該ストッパ部を前記摩擦板間または前記摩擦板と前記リテーナプレート間に配置し、前記ストッパ部は、前記摩擦板に当接している側の長辺の側端から周方向に伸びる連結部と、該連結部の端部から軸の中心方向に伸びるつめ部からなり、前記連結部は、前記摩擦板および前記リテーナプレートのうち少なくともいずれかの歯の外周面に当接され、また前記つめ部は、前記摩擦板間または前記リテーナプレートと摩擦板との間隙に配置されたことを特徴とする締結装置。 - 前記ストッパ部は、前記ばね部材の長辺の一部を折り曲げることによって形成されていることを特徴とする請求項1記載の締結装置。
- 前記ばね部材が配置される前記スプラインの溝を他のスプラインの溝よりも周方向に長く形成して、前記摩擦板および前記リテーナプレートの歯と前記スプラインとの周方向の対向面間に軸方向に連続した隙間を形成し、該隙間に前記ばね部材が配置されていることを特徴とする請求項1または2記載の締結装置。
- 前記摩擦板と前記リテーナプレートの歯のうち、前記ばね部材が配置される前記スプラインの溝に噛み合わされる歯を、他の歯よりも周方向に短く形成して、前記摩擦板および前記リテーナプレートの歯と前記スプラインとの周方向の対向面間に軸方向に連続した隙間を形成し、該隙間に前記ばね部材が配置されていることを特徴とする請求項1、2または3記載の締結装置。
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