JP4126097B2 - Mycoplasma arthritidis由来アルギニンデイミナーゼ及びそれを含むポリマーコンジュゲート - Google Patents
Mycoplasma arthritidis由来アルギニンデイミナーゼ及びそれを含むポリマーコンジュゲート Download PDFInfo
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Description
本発明は、新規なアルギニンデイミナーゼ及び長時間作用するアルギニンデイミナーゼ含有組成物に関するものである。特に本発明は、高レベルの保持酵素活性を示す、Mycoplasma arthritidis(マイコプラズマ関節炎菌)由来のアルギニンデイミナーゼを含む実質的に非抗原性のポリマーコンジュゲートに関するものである。
生物学的に活性なタンパク質または酵素をポリマーとコンジュゲートすると、in vivoでの循環寿命、水溶性、あるいは抗原性等の性質の1以上が改善されることが示唆されている。例えば、ペプチドまたはポリペプチドとポリエチレングリコール(PEG)及び同様な水溶性ポリマーとを結合することに関する初期の概念のいくつかが米国特許第4,179,337号に記載されている。この開示内容は引用により本明細書の一部とする。コンジュゲートは、生物学的に活性な物質と、末端結合基を含むように修飾された数倍モル過剰のポリマーとを反応させることにより形成される。初期においてコンジュゲートされた治療薬としてはインスリン及びヘモグロビンが挙げられる。これらの比較的大型のポリペプチドは、いくつかの遊離アミノ結合部位を有する。いくつかのポリマーが生物学的活性を有意に損失することなく結合することが可能であった。
しかし、コンジュゲートプロセスには複雑さが伴う。一定の比率より高い過剰モルのポリマーを用いた過剰ポリマーコンジュゲーションまたは反応によって、不活性なコンジュゲートや十分な活性を有していないコンジュゲートが形成されることがある。タンパク質または酵素上の活性部位(即ち生物活性に関連する基が存在する部位)が共有結合によるポリマーの結合の結果、ブロックされた状態になる場合に問題が起こることが多い。ポリマー及びタンパク質または酵素は、通常溶液性の反応において結合されることから、この問題は回避することが困難なものである場合がある。ピリドキサールリン酸のような可逆性物質によって活性部位を予めブロックすることも提案されてきたが、その結果は一貫しないものであった。この問題は、比較的低分子量のタンパク質やペプチドの場合に特に顕著である。これらの生物活性物質は、多くの場合、生物活性とは無関係な結合部位を殆ど有していない。
アルギニンデイミナーゼ(ADI)は、改良型ポリマーコンジュゲーション技術を有益に利用できる酵素の1つの型である。ADIはアルギニンを加水分解する酵素であり、アルギニンの欠乏はある種の腫瘍を死滅させる効果を有するものと推定されてきた。特にこの酵素はL-アルギニンのグアニジノ基を加水分解してL-シトルリン及びアンモニアに分解する。ADI酵素は、アルギニンジヒドロラーゼ、アルギニンデスイミナーゼあるいはグアニジノデスイミナーゼとしても知られている。ADIは他の種類のマイコプラズマ菌株のみならず、例えばシュードモナスや連鎖球菌のような他の微生物からも得られているが、得られた酵素は多様なものである。特に、各宿主株は、異なる数のリシンを有すると共にその活性部位が異なる酵素を産生し、一次配列並びにリシンの数及び位置の異なる酵素を産生する。
これまでいくつかのポリマー-アルギニンデイミナーゼコンジュゲートが報告されてきた。例えば、特にメトキシポリエチレングリコール-4,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジンとコンジュゲートしたマイコプラズマアルギニニ(Mycoplasma arginini)を起源とするアルギニンデイミナーゼについて記載するJpn. J. Cancer Res 84, 1195-1200, Nov. 1993を参照されたい。しかし、現在までに製造された従来のアルギニンデイミナーゼ−ポリマーコンジュゲートは許容され得ないものと考えられてきた。その主な欠点の1つは、増殖阻害実験において、高度に修飾されたコンジュゲートにより得られる保持アルギニンデイミナーゼ活性のレベルが低すぎることであった。酵素上の一定のリシン結合点は酵素活性部位と緊密に結合されていると推定されている。従って、適当な時間及び資源コストで高レベルの保持活性を示す高度に修飾されたコンジュゲートを得ることは不可能であった。
本発明は、これらの欠点を解決しようとするものである。
発明の概要
本発明の目的は、配列番号2のアミノ酸配列を有するMycoplasma arthritidisから得られた新規な精製アルギニンデイミナーゼサブユニット(以下ADIと称する)を提供することである。この形態においては、本発明は、図面及び配列番号1及び配列番号2に記載するアミノ酸配列を有するADIをコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子、及びそれに相補的な核酸分子を包含する。
本発明の別の形態としては、本発明のADIの発現に有用な、Mycoplasma arthritidis由来ADIのクローン化遺伝子を含む発現ベクター、(組換え)宿主細胞、及び本発明のADIを含む実質的に非抗原性のポリマーコンジュゲートが挙げられる。本発明のさらに別の形態は、精製ADIの製造方法、上記のアルギニンデイミナーゼを含む実質的に非抗原性のポリマーをベースとする組成物の製造方法、及び哺乳動物におけるアルギニンデイミナーゼ感受性症状の治療方法を包含する。この形態において、前記治療方法は、本明細書に開示する組成物の有効量を、好ましくはポリマーコンジュゲートの一部として、そのような治療を必要とする哺乳動物に投与することを含む。
この実質的に非抗原性のポリマーは、分子量が約600〜約60,000、好ましくは約12,000のポリエチレングリコールのようなポリアルキレンオキシドであることが好ましい。他の実質的に非抗原性のポリマーも用いることができる。1つの好ましい態様においては、実質的に非抗原性のポリマーは好ましくはウレタンまたは類似の耐加水分解性結合を介してADIに共有結合によりコンジュゲートされる。アルギニンデイミナーゼポリマーコンジュゲートを含む組成物は、医薬上許容される溶液にその一部として含めることができる。
本発明のM. arthritidisから得られたADIは、以前にJ. Biol. Chem. Vol 253 No. 17 pp6016-6020(1978)及びJ. Biol. Chem. Vol 252 No. 8 pp2615-2620(1977)に報告されているものとは異なる。これらの文献は、I型、II型、及びIII型酵素と命名されたADI酵素を記載しており、著者によればこれらの酵素は相互変換可能な関連するタンパク質と報告されている。J. Biol. Chem.に記載のADI酵素と本発明のADIとは、同一のAmerican Type Culture Collection(”ATCC”)14152株から得られたものであるが、本発明のADIは、以前に報告されたI型、II型、及びIII型酵素とはいくつかの基本的な特性について完全に区別できるものである。第1に、本明細書に開示するADIは、サブユニット配列あたりシステインを2つしか有していない。以前に報告されたタンパク質は、サブユニット当たり18のシステインを含んでいた。第2に、本発明のADIは等電点が約5.25であるが、以前に報告されたM. arthritidis由来ADIの等電点は7.0であった。上記の以前に報告された研究で、M. arthritidis由来ADIがM. arginini由来ADIよりサブユニット当たりのリシンの数が少ないと予測していた。しかし本発明者らは、驚くべきことに事実はその逆であるということを見いだした。さらに別の相違点は、本発明のADIのN末端残基がセリン(メチオニンの翻訳後除去の後)であるのに対し、以前に報告されたM. arthritidis ADIでは、N末端残基がアラニンであることが報告されていたという事実である。これらの相違は予想外であり、M. arthritidis由来のADI間で不均一性が存在することを示唆している。さらに別の可能性は、M. arthritidisが有するADI活性について1以上の遺伝子が存在するということである。
また、本発明のアルギニンデイミナーゼ-ポリマーコンジュゲートによれば、従来技術のものよりも優れた利点が得られる。例えば、本発明のADIは、突然変異体リシン変異種を調製しなくても修飾可能なリシン位置を従来のADIよりいくつか多く有している。これにより、腫瘍細胞増殖阻害活性を失うことなく、実質的により多くのポリマー鎖を別の表面上の位置で共有結合させることが可能となる。さらに、このようにして形成されたコンジュゲートは、従来技術によって製造された同様なレベルの保持活性を有するコンジュゲートより実質的に長いin vivo循環寿命を有する。
用語「アルギニンデイミナーゼ感受性症状」は、例えば腫瘍増殖、癌、あるいは関連する症状のような疾患状態であって、外部からのアルギニンデイミナーゼの投与によって治療効果が得られるような疾病症状はいずれも含むものと理解されるべきものである。このような症状についての詳細は後の第4節に記載する。
本発明をさらに理解できるように以下の説明を記載するものであり、また本発明の範囲は添付の特許請求の範囲に記載する。
【図面の簡単な説明】
図1は、M. arthritidis ATCC 14152からクローン化されたADIをコードする完全DNA配列(1230塩基)を示す。5-トリプトファンコドンにおける下線を付したGは部位指向突然変異誘発によりAからGに変化させたものである。
図2は、M. arthritidis ATCC 14152を起源とするアルギニンデイミナーゼサブユニットの翻訳産物(410アミノ酸)を示す。
図3は、種々のアルギニンデイミナーゼのアミノ酸配列アライメントを示す。行a:M. arthritidis ATCC 14152、行b:Mycoplasma arginini LBIF、OhnoらInfection and Immunity 58: Nov. 1990, pp3788-3795を参照、行c:Mycoplasma hominis PG21、行d:Mycoplasma orale FERM BP-1970。M. hominis及びM. oraleは、R. HarasawaらMicrobiol. Immunol. 36, pp661-665, 1992に基づいて得たものである。
発明の詳細な説明
1.. アルギニンデイミナーゼ
従って本発明は、アルギニンデイミナーゼ酵素活性を有する配列番号2を含む新規なタンパク質及びそれをコードする核酸分子を含む。好ましくは、このADIは、M. arthritidisから単離された配列番号1の核酸配列を有する新規な遺伝子により発現される。また本発明は、その製造方法及び使用方法を包含する。以下の説明を読者がよりよく理解できるように、以下の用語について説明する。
配列番号1のヌクレオチド配列はデオキシリボ核酸、つまりDNA配列の形態で示される。しかし当業者には、配列番号1のヌクレオチド配列は必要に応じてRNA分子の形態でも調製され得ることが理解されるであろう。さらに、このDNAまたはRNA分子を含むヌクレオチドは、例えば37 C.F R. §1.822(p)(1)に列挙されているもののようなヌクレオチド誘導体または類似体の形態でもあり得る。その内容は引用によりその全体を本明細書の一部とする。さらに本発明は、本発明のヌクレオチド配列の相補配列を包含する。当業者であれば、本発明の範囲には同じアミノ酸をコードし得る遺伝暗号の縮重による別のコドンも含まれるという事実を理解するであろう。
「トランスフェクション」は、何らかのコード化配列が実際に発現されるか否かにかかわらず宿主細胞が発現ベクターを取り込むことをいう。多くのトランスフェクションの方法が当業者に知られている。例えば、トランスフェクションは、発現ベクターと高濃度のCaPO4の存在下におけるエレクトロポレーション、宿主細胞への挿入のためのファージまたはウイルス発現ベクターの使用、核酸の物理的な挿入、さらにはパッケージされていない核酸断片の存在下で宿主細胞を培養することにより得られる。トランスフェクションの成功は一般に、対象となるベクターの作用を示す何らかの現象が宿主細胞内で発生することにより認識される。
「形質転換」は、核酸が染色体外のエレメントとして、あるいは宿主の染色体に一体化されて、複製可能となるようにその核酸を生物体内に導入することを意味する。形質転換は、使用される宿主細胞に応じて、その特定の宿主細胞に適した公知の方法を用いて行われる。Cohen, S. N. Proc. Natl. Acad. Sci.(USA), 69:2110(1972)及びMandelら, J Mol. Biol. 53:154(1970)に記載されているような塩化カルシウムを用いたカルシウム処理は、原核細胞または細胞壁内に内包されたその他の細胞(例えば多くの細菌細胞及び/または植物細胞)に一般的に用いられる。そのような細胞壁をもたない哺乳動物細胞の場合は、Graham, F.及びvan der Eb, A., Virology, 52: 456-457(1978)のリン酸カルシウム沈降法が好ましい。哺乳類細胞宿主系の形質転換の一般的な形態は、1983年8月16日に発行された米国特許第4,399,216号に記載されている。酵母への形質転換は、典型的にはVan Solingen, P.ら, J. Bact., 130:946(1977)及びHsiao, C. L.ら, Proc. Natl. Acad. Sci(USA)76: 3829(1979)の方法によって行われる。しかし、例えば核注入やプロトプラスト融合法による方法のような、核酸、例えばDNAを細胞に導入するための他の当分野で知られた方法を用いてもよい。
本明細書において使用する、核酸についての用語「相補的」は、(ワトソン−クリックの塩基対形成を用いた場合の)反対側の鎖であり、この反対側の鎖は、第1の核酸分子がそれを鋳型として複製され、第1の核酸鎖に相補的な新たな第2の核酸鎖を形成するときに生成される。本発明の1つの形態においては、2つの核酸分子がストリンジェントな条件下で互いにハイブリダイズ、つまり結合する場合、それらが互いに相補的であるとみなす。
本発明の範囲内に包含される核酸分子のハイブリダイゼーションについて記載する「ストリンジェントな条件の下でハイブリダイズする」という表現は、高いハイブリダイゼーション特異性の条件、例えば洗浄のための高温かつ低イオン強度下でハイブリダイズすることをいう。このようなストリンジェントな条件には、例えば50℃で0.15M NaCl/0.015Mクエン酸ナトリウム/0.1% NaDodSO4を用いたハイブリダイゼーション、あるいは、ホルムアルデヒドのような変性剤の存在下で、例えば、42℃で750mM NaCl、75mMクエン酸ナトリウムを含む0.1%ウシ血清アルブミン/0.1%フィコール/0.1%ポリビニルピロリドン/50mM pH6.5のリン酸ナトリウムバッファーと50%(vol/vol)ホルムアルデヒドを用いたハイブリダイゼーションが含まれる。「低いストリンジェンシーでハイブリダイズする」は、低いハイブリダイゼーション特異性の条件下でハイブリダイズすることをいう。このような条件には、これは単なる例示であるが、42℃で、20%ホルムアルデヒド、5xSSC、50mMリン酸ナトリウムpH6.8、0.1%ピロリン酸ナトリウム、5xデンハート溶液、及び50μg/mlサケ精子DNAを用いたハイブリダイゼーション及び42℃で2xSSC、0.1パーセントSDSを用いた洗浄が含まれる。
さらに、「部位指向突然変異誘発」を利用して、本発明のアルギニンデイミナーゼ遺伝子に特定の突然変異を導入することができる。これは当分野において標準的な技術であり、例えば、限定的なミスマッチを除いて所望の突然変異を有する、変異誘発される一本鎖ファージDNAに相補的な合成オリゴヌクレオチドプライマーを用いて行われる。このような変異には、例えば天然のアミノ酸を発現するコドンの欠失、挿入、または置換が含まれ得る。このような変異は、タンパク質の特性の変化をもたらし得、そのような変化としては例えばタンパク質の酸化、熱、及び/またはpHに対する安定性の改善及び/または変化が含まれ得る。簡単に説明すると、この方法では合成オリゴヌクレオチドをプライマーとして使用し、ファージに相補的な鎖の合成を誘導し、得られた二本鎖DNAをファージを支持する宿主細菌に形質転換する。形質転換された細菌の培養物を寒天上で平板培養し、ファージを含む1個の細胞からプラークを形成させる。通常、新たなプラークの約50%から最大約90%は、変異した形態を有する一本鎖としてファージを含んでいる。正確にマッチしたハイブリダイゼーションは可能であるが、もとの鎖とのミスマッチが十分にハイブリダイゼーションを阻止する温度において、プラークをキナーゼ処理合成プライマーとハイブリダイズさせる。次にプローブとハイブリダイズするプラークを選択し、培養してDNAを回収する。すなわち、配列番号1のヌクレオチド配列に、公知の技術、例えばヌクレオチド置換により突然変異を誘発することによって有用な変異体アレルを好適に形成することができるということは当業者に理解されるであろう。単なる例示であるが、配列番号1のヌクレオチド配列は、ヌクレオチド39にTを、ヌクレオチド104にCを、ヌクレオチド206にAを、ヌクレオチド337にGを、ヌクレオチド729にAを、ヌクレオチド830にCを、ヌクレオチド1023にCを、ヌクレオチド6にAを、ヌクレオチド15にTを、ヌクレオチド18にCを与える置換、及び/またはこれらの組み合わせを有するように様々な形に調製した。特に、337番の特定の置換はスレオニンからアラニンへ変化させる。
「機能可能なように結合した」は、例えば調節領域及びオープンリーディングフレームのような成分の、それらの成分の正常な機能が発揮され得るような隣接関係をいう。従って、調節配列に「機能可能なように結合した」オープンリーディグフレームとは、前記配列の制御下で前記コード配列が発現され得、結合されているDNA配列が隣接しているような構成をいい、分泌リーダーの場合は、隣接し、リーディング相にある構成をいう。例えば、プレ配列または分泌リーダーのDNAは、それがポリペプチドの分泌に関与するプレタンパク質として発現される場合にそのポリペプチドのDNAに機能可能なように結合しているものであり、プロモーターまたはエンハンサーは、配列の転写にそれが影響を与える場合にコード配列に機能可能なように結合しているものであり、またリボソーム結合部位はそれが翻訳を促進するように配置される場合にコード配列に機能可能なように結合しているものである。結合は、好適な制限部位でのライゲーションにより得られる。そのような部位が存在しない場合は、例えば、従来から行われているように合成オリゴヌクレオチドアダプターまたはリンカーを用いる。
「調節配列」は、特定の宿主生物における機能可能なように結合したコード配列の発現のために必要な核酸配列をいう。原核細胞に適した制御配列としては、例えば、プロモーター、任意にオペレーター配列、リボソーム結合部位、及び現時点ではよく知られていないその他の配列も含まれ得る。真核細胞は、例えば、プロモーター、ポリアデニル化シグナル、エンハンサー等の調節配列を利用することが知られている。
「発現系」または「発現ベクター」は、所望のコード配列及び機能可能なように結合した調節配列を含み、これらの配列によって形質転換された宿主がコードされたタンパク質を生成することができるような核酸配列である。形質転換を得るためには、発現系はベクター上にあってもよいが、さらに対象の核酸分子が宿主の染色体内に組み込まれてもよい。
本明細書において使用する「細胞」、「細胞系」及び「細胞培養物」は、互換できるものとして用いられ、これらの名称は全て子孫を含む。従って「形質転換体」または「形質転換された細胞」は、対象の一次細胞、及び継代の回数にかかわりなくそれに由来する培養物を含む。また、全ての子孫は、意図されたあるいは偶発的な突然変異のため、ゲノムの内容と正確に同一でないものであり得るということは理解されるであろう。元の形質転換細胞についてのスクリーニングされたものと同一の機能を有する変異体の子孫は包含される。異なる名称であることが意図されている場合は、前後関係から明らかとなるであろう。
本明細書で開示するベクターは、広範な原核生物及び真核生物の宿主細胞において使用するのに適したものである。一般に、原核生物は、DNA配列の最初のクローン化及び本発明において有用なベクターの構築に好適である。例えば大腸菌K12株MM294(ATCC No. 31,446)は特に有用である。使用され得る他の微生物株には、以下は単に例示であるが、例えば大腸菌B及び大腸菌X1776(ATCC No. 31,537)のような大腸菌株が含まれる。原核生物は発現のためにも用いることができる。上記の菌株の他、例えば大腸菌株W3110(F-、λ-、原栄養性、ATCC No. 27,325)、K5772(ATCC No. 53,635)、及びSR101、枯草菌のような桿菌、及びSalmonella typhimuriumやSerratia marcesansのような腸内細菌、及び種々のシュードモナス属種も使用し得る。
一般に、宿主細胞に適合する種に由来する調節配列及びレプリコンを含むプラスミドベクターをそのような宿主と共に用いる。そのようなベクターは、通常、複製部位と、形質転換された細胞において表現型による選択が可能となる標識配列とを有する。例えば大腸菌は、典型的にはpBR322、即ち大腸菌種由来のプラスミドを用いて形質転換される(例えばBolibarら, 1977, Gene, 2:95を参照)。pBR322はアンピシリン及びテトラサイクリン耐性の遺伝子を有し、これにより形質転換された細胞を容易に同定するための手段を与える。同様に、pUCプラスミドは選択及び複製のためのDNA分子を有する便利なクローニングベクターとなる(Yanisch-Perronら, 1985, Gene 33:103-119、この開示は引用によりその全体を本明細書の一部とする)。またpBR322プラスミド、あるいはその他の微生物プラスミドまたはファージは、それ自身のタンパク質の発現のためにその微生物によって用いられ得るプロモーターを有するか、あるいはそれを有するように改変されていなければならない。
「プラスミド」は、先頭の小文字のp及び/またはその後の大文字及び/または数字により名称が付される。本発明における出発プラスミドは市販のもので、規制なしに公衆が入手可能なものであるか、あるいは文献に記載された手順に従ってそのような入手可能なプラスミドから作製可能なものである。さらに、その他の同等なプラスミドも当分野で知られており、それらは当業者には明らかであろう。
組換えDNA構築物において最も一般的に用いられるプロモーターとしては、β-ラクタマーゼ(ペニシリナーゼ)及びラクトースプロモーター系(Changら, 1978 Nature, 375: 615; Itakuraら, 1977, Science, 198: 1056; Goeddelら, 1979, Nature, 281: 544)及びトリプトファン(trp)プロモータ系(Goeddelら, 1980, Nucleic Acids Res., 8:4057; EPO Appl. Publ. No. 0036,776)が含まれる。これらのプロモーターは最も一般的に用いられるものであるが、その他の微生物プロモーターも発見され利用されている。それらのヌクレオチド配列に関する詳細も文献に記載されており、当業者が、例えばプラスミドベクターのような公知のベクターにそれらを機能的にライゲートすることを可能としている。
単なる例示であるが、大腸菌における転写調節は、以下の誘導性プロモーター、即ちlac、trp、phoA、araBAD、T7、及びラムダPL及びPRプロモーターの誘導体、並びに当分野において周知のその他のプロモーターの何れかにより達成され得る(例えばMakrides, 1996, Microbiol. Rev. 60:512-538、この開示は引用によりその全体を本明細書の一部とする)。好ましくは、このプロモーターはOL/PRハイブリッドプロモーターであり、これはSandellaらによる共有の米国特許第5,162,216号に記載されており、この開示は引用によりその全体を本明細書の一部とする。
原核生物に加えて、例えば酵母培養物のような真核微生物を用いてもよい。Saccharomyces cerevisiae、すなわち一般的なパン酵母は真核微生物の中で最もよく用いられるものであるが、その他の多くの菌株も一般に利用可能である。Saccharomycesにおける発現のためには、例えばプラスミドYRp7(Stinchcombら, 1979, Nature, 282:39; Kingsmanら, 1979, Gene, 7: 141; Tschemperら, 1980, Gene, 10: 157)が一般に用いられる。このプラスミドは、例えばATCC No. 44,076またはPEP4-1のようなトリプトファンにおいて増殖する能力を欠いた酵母の変異株に対する選択マーカーとなるtrp1遺伝子を既に含んでいる(Jones, 1977, Genetics, 85: 12)。そして酵母宿主細胞ゲノムの特徴としてのtrp1障害の存在により、トリプトファンの存在下での増殖により形質転換を検出するための有効な環境が得られる。
Pichia pastoris発現系は、いくつかのタンパク質の高レベル産生を達成することが示されており(Cregg, J.M.ら, 1993, Bio/Technology 11: 905-910、この開示は引用によりその全体を本明細書の一部とする)、Pichia pastorisの細胞質において可溶性タンパク質としてADIを発現するために用いることができる。
酵母ベクターにおける適当なプロモーター配列としては、3-ホスホグリセレートキナーゼ(Hitzemanら, J. 1980, Biol. Chem., 255:2073)あるいはその他の解糖系酵素(Hessら, 1968, J. Adv. Enzyme Reg., 7: 149;Hollandら, 1978, Biochemistry, 17: 4900)に対するプロモーターが含まれる。前述の解糖酵素としては、例えばエノラーゼ、グリセルアルデヒド-3-ホスフェートデヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピリペートデカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース-2-6-ホスフェートイソメラーゼ、3-ホスホグリセレートムターゼ、ピルベートキナーゼ、トリオースホスフェートイソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼ、及びグルコキナーゼがある。適当な発現プラスミドの作製においては、これらの遺伝子に関連する終結配列も、mRNAのポリアデニル化及び転写の終結を得るために、発現されることが所望される配列の発現ベクター3’末端にライゲートする。その他のプロモーターとしては、増殖条件により制御される転写のさらなる利点を有するものがあり、アルコールデヒドロゲナーゼ2、イソチトクロムC、酸ホスファターゼ、窒素代謝に関連する分解酵素、及び上記のグリセルアルデヒド-3-ホスフェートデヒドロゲナーゼ、及びマルトース及びガラクトース利用を担う酵素のプロモーター領域が挙げられる。酵母適合プロモーター、複製起点及び終結配列を含む任意のプラスミドベクターが適当である。
複製起点は、例えばSV40由来あるいはその他のウイルス(例えばポリオーマウイルス、アデノウイルス、VSV、BPV)を起源とするものとし得る外来起点を含むようにベクターを構築するか、あるいは宿主細胞の染色体複製機構により与えることができる。ベクターが宿主細胞の染色体に組み込まれる場合は、後者の方法で十分であることが多い。
細胞培養により十分な量のタンパク質が産生されるが、二次コード配列を用いた精製によりさらに生成レベルが高められる。二次コード配列の1つの例は、例えば、メトトレキセート(MTX)のような外部の調節パラメーターにより影響を受け、従ってメトトレキセート濃度の調節により発現の調節が可能なジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)を含む。
M. arthritidisの任意の適当な株を本発明の新規な遺伝子の起源として用いることができるが、好ましくは、用いられるM. arthritidis株は、American Type Culture Collection(”ATCC”)に受託番号14152で寄託されている株である。
本発明の新規なアルギニンデイミナーゼ酵素を発現し得る遺伝子は、好ましくはプライマーにより誘導される核酸増幅によりM. arthritidisゲノムから単離され、その後適当なスクリーニング用ベクター及び発現系にクローン化される(Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition, J. Sambrook, E.F.Fritshch及びT Maniatis, Eds., Cold Spring Harbor Press, 1989)。当業者には、適当なプライマーを利用する任意の適当な公知の核酸増幅法を用いることができるということが理解されるであろう。好ましくは、増幅方法はポリメラーゼ連鎖反応法であり、この方法は、単に例示に過ぎないがMullisによる米国特許第4,683,195号、4,683,202号、及び4,800,159号に記載されており、その開示内容は引用により全体を本明細書の一部とする。
また、当業者には、本発明のアルギニンデイミナーゼをコードする増幅された核酸断片の発現、スクリーニング、及び同定のために各宿主細胞に挿入された任意のプラスミド、ファージまたはコスミド発現ベクターを用いることができることが理解されるであろう。好ましくは大腸菌発現系が用いられる。より好ましくは、GX6712/pGX9401大腸菌発現系が用いられる。
後述する実施例でADI遺伝子を増幅するために用いたプライマーは、それぞれ配列番号3及び4の配列を有するオリゴヌクレオチドであった。これらのプライマーにより全遺伝子を増幅することができた。後述の実施例に記載するように、配列番号3のプライマーは、コードされるペプチド配列を変えない3つの塩基の置換により、単離された遺伝子(配列番号1)の対応するN末端コード領域とは異なっていた。この3箇所の塩基の置換は、配列番号1の番号に基づいた番号で、塩基6のTがAに、塩基15のCがTに、塩基18のTがCに置換したものである。
このように配列番号1を含む配列を有する全遺伝子を成功裏に増幅できたことは驚くべきことである。これは、単離されたADI遺伝子の天然のN末端配列に対する上記のミスマッチの結果、配列番号3のプライマーは標的の断片にアニールしにくいからであり、これは配列番号3のプライマーを用いた増幅によって生ずる非常に弱いPCRシグナルを説明するものである。
また当業者には、配列番号1の天然のN末端配列そのものに基づくプライマーも、本発明のADI遺伝子の増幅に容易に使用し得、よりよい効率を示すことは理解されるであろう。
後述する実施例により得られたクローンは、発現ベクターpGX9401中のADI遺伝子を含むプラスミドpEN232を含む。M. arthritidis ADI遺伝子の初めの2回のPCRの単離物はプラスミドpBluescrpt II SK(-)(Stratagene Cloning Systems, La Jolla, CA)にもクローン化し、pEN241及びpEN242と称した。実施例1Bに記載した、ADI遺伝子セグメントのpBluescrpt II SK(-)へのN末端断片クローニングには、pEN245及びpEN246と指称する2つの独立して分析したクローンを使用した。大腸菌DH5-α(GIBCO BRL, Gaithersburg, MD)のプラスミドpEN241、pEN242、pEN245、及びpEN246を用いた個別の形質転換により、それぞれEN243、EN244、EN247及びEN248と称する大腸菌クローンが産生された。
トランスフェクトまたは形質転換された宿主細胞が得られたら、配列番号1の配列を含む核酸分子は、当分野で周知の方法によりその宿主細胞を培養し、所望に応じて核酸を抽出し単離することによって容易に得られる。所望の精製度に応じて、抽出された核酸を単離することができ、あるいは必要ならば当分野で公知の方法により実質的に単離して混入宿主細胞タンパク質及び核酸を含まない、あるいは実質的に含まないものとし得る。同様に、本発明の発現ベクターによりコードされたアルギニンデイミナーゼタンパク質を発現する宿主細胞は、選択された宿主細胞に適当な方法によって培養する。
例えば、宿主細胞を所望の細胞密度が得られるまで培養し、次いでこの細胞を増殖培地から分離し、タンパク質を抽出し、その後当分野で公知の方法に従って復元する。特に、細胞を培地から分離して細胞ペーストを形成する。次にこの細胞ペーストを再懸濁し、標準的な方法、例えば機械的破砕、超音波破砕、及び/または化学的破砕によって破砕する。好ましくは、細胞はMicrofluidizer(Microfluidics Corp. Newton MA)において処理した後、例えばTriton X-100のような適当な界面活性剤によって洗浄することにより破砕する。
得られたホモジネートをグアニジンHCl、6Mで変性し、次いで再折畳みバッファー(例えば10mM K2PO4、pH7.0)中に希釈し、例えば遠心分離によって粒子を除去し、その後標準的な方法、例えばQ Sepharoseカラムクロマトグラフィーにより上清の精製を行うことによって、例えば純度が約60%で約3〜約25IU/mgまたはそれ以上、好ましくは約5〜約20IU/mgの範囲の比活性を有する実質的に精製されたアルギニンデイミナーゼが得られる。Centriprep-10、Amicon, Inc. Beverly, MAを用いてさらに高濃度のADIを得ることができる。必要ならば他の同様に機能するカラムを用いることもできる。
2. 非抗原性ポリマー
本発明のポリマー-アルギニンデイミナーゼコンジュゲートを形成するために、例えばポリ(アルキレンオキシド)(PAO)のようなポリマーを活性化形態に転換する。このような用語は当業者にはよく知られている。すなわち、末端ポリマーヒドロキシル末端基(即ちα及びω末端ヒドロキシル基)の片方または両方を、共有結合コンジュゲーションが可能な反応性官能基に変換する。このプロセスは「活性化」と称されることが多く、その生成物は「活性化ポリ(アルキレンオキシド)」と呼ばれる。α及びω結合基の両方を含むポリマーは、ビス活性化ポリアルキレンオキシドと称される。その他の実質的に非抗原性のポリマーも同様に「活性化」または官能化される。実質的に非抗原性のポリマーの中では、例えばモノメトキシ−ポリエチレングリコールのようなモノ活性化ポリアルキレンオキシド(PAO)が好ましい。別の態様では、ホモ二官能性ビス活性化ポリマー、例えばビススクシンイミジルカーボネート活性化PEGが好ましい。
このようにして活性化ポリマーはアルギニンデイミナーゼと反応しADIポリマーコンジュゲートを形成するのに適したものとなり、結合は好ましくはアミノ末端αアミノ基またはADI上に存在するリシンのεアミノ基の何れかに存在する。
本発明の1つの好ましい形態においては、カルバメート(ウレタン)結合をADIεアミノ基及び活性化ポリアルキレンオキシドを用いて形成する。好ましくは、カルバメート結合は、同一出願人の米国特許第5,122,614号に記載のように形成される。この米国特許の開示は引用により本明細書の一部とする。この特許は、ポリアルキレンオキシドのモノ及びビスN-スクシンイミジルカーボネート誘導体(SC-PEG)の形成を開示している。代替的なものとして、パラニトロフェニルカーボネート及びカルボニルイミダゾール活性化ポリマーが挙げられる。
本発明の別の形態においては、例えば環状イミドチオン活性化ポリアルキレンオキシド、スクシンイミジルエステル等のようなアミド形成リンカーで活性化したポリマーを使用してアルギニンデイミナーゼとポリマー末端基との間を結合させる。例えばGreenwaldらに付与された米国特許第5,349,001号を参照されたい。この米国特許の開示は引用により本明細書の一部とする。本発明のさらに別の形態においては、その他の活性化ポリマーを使用してεアミノまたは他の基を介したポリマーとアルギニンデイミナーゼとの共有結合を形成する。例えば、イソシアネートまたはイソチオシアネート形態の末端が活性化されたポリマーを用いてリシンアミノ基との尿素またはチオ尿素に基づく結合を形成することができる。PEG-ジアルデヒドも、アルギニンデイミナーゼと反応させ、その後NaCNBH3で還元することにより2級アミン結合を形成することができる。
適当なポリマーの分子量は一定ではないが、本発明の目的のためには通常約200〜約60,000の範囲の分子量を有するポリマーが選択される。約1,000〜約40,000の分子量が好ましく、2,000〜約20,000が特に好ましい。
使用されるポリマー物質は、さらに室温で水溶性であることが好ましい。そのようなポリマーの例としては、限定するものではないが、ポリエチレングリコール(PEG)やポリプロピレングリコールのようなポリアルキレンオキシドホモポリマー、ポリオキシエチレン化ポリオール、それらの共重合体、及びその水溶性が維持されることを条件にそれらのブロック共重合体がリストされる。
PAOベースのポリマーに代わるものとして、例えばデキストラン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、炭水化物系ポリマー等のような実質的に非抗原性の材料を用いることができる。実際には、これらのポリマー物質のα及びω末端基の活性化はポリアルキレンオキシドを変換するために用いたものと同様の方法で行うことができ、従って当業者には自明であろう。当業者には、前述のリストが単なる例示であること、及びここに説明した特性を有する全てのポリマー材料を用いることができるということが理解されるであろう。本発明の目的において、「実質的に非抗原性」とは、無毒で、哺乳動物において有意な免疫原性応答を誘発しない当分野で知られる全ての材料を意味する。
3. 反応条件
ペジレーション反応と称されることもあるコンジュゲーション反応は、一般に約等モルから約数倍モル過剰の活性化ポリマーを用いて溶液中で行う。活性化ポリマーのモル過剰量は約50倍以上であるのが好ましい。アルギニンデイミナーゼの生物活性を維持するための1つの方法は、ポリマーカップリングプロセスにおいて活性部位と結合するこれらのアルギニンデイミナーゼリシンが含まれるのを実質的に回避することである。カップリング反応が通常は非特異的なものであることを考えれば、この理論的なステップを実際に行うのは多くの場合困難である。しかし本発明の方法は、ポリマー結合のために利用できるリシンの数が実質的に増加したM. arthritidisから得られたアルギニンデイミナーゼを用い、コンジュゲーション反応の際に例えば約100倍以上のような過剰に高いモル過剰の活性化ポリマーを使用することを避けることにより高レベルの保持活性を有するアルギニンデイミナーゼコンジュゲートを提供するものである。
従ってコンジュゲーション条件としては、約50〜約100倍の活性化ポリマーのアルギニンデイミナーゼに対する比率で、適当なバッファー溶液中でM. arthritidisから得られたアルギニンデイミナーゼを例えばSC-PEGのような適当な活性化された実質的に非抗原性のポリマーと反応させることが挙げられる。
このコンジュゲーション反応は、アルギニンデイミナーゼを不活性化させることを回避するために比較的温和な条件の下で行う。温和な条件としては、反応溶液のpHを6〜8の範囲に、反応温度を約0〜30℃の範囲、好ましくは約4℃に約1時間維持することが挙げられる。適当なバッファーとしては、コンジュゲーション反応を妨げることなく好適なpH範囲であるpH6〜8を維持することができるバッファー溶液が挙げられる。非限定的な適当なバッファーとしては、例えばリン酸バッファー、クエン酸バッファー、酢酸バッファーがリストされる。
本明細書に説明した反応条件ではある程度の未修飾アルギニンデイミナーゼが生じ得るが、この未修飾アルギニンデイミナーゼは容易に回収して、その後の別のコンジュゲーション反応のバッチに再利用することができる。
本発明のコンジュゲーション反応により、酵素のサブユニット当たり約16〜約22本の鎖を有する(リシンが全部で31)アルギニンデイミナーゼコンジュゲート、場合によっては未反応アルギニンデイミナーゼ、及び未反応ポリマーを含む反応混合物またはプールが最初に得られる。未反応種を除去した後、アルギニンデイミナーゼポリマーコンジュゲートを含む組成物が回収される。この組成物は、例えば下記実施例3に記載されているもののようなアッセイを用いて測定して、天然すなわち開始アルギニンデイミナーゼの有する生物活性の約20%以上の生物活性を有する。しかし本発明の好ましい態様では、コンジュゲートは、出発アルギニンデイミナーゼ生物活性の少なくとも約30%、最も好ましくは出発アルギニンデイミナーゼ生物活性の少なくとも約90%の生物活性を有するものである。
代表的なコンジュゲーション反応について以下説明する。
約50倍モル過剰の活性化ポリマーを、Water For Injection(pH約6.0)に溶解し、次いで例えばリン酸バッファーまたはホウ酸バッファーのような適当なバッファーで約pH8.0に調節されたM. arthritidisアルギニンデイミナーゼ溶液に加える。この反応は、連続的に穏やかに攪拌しながら、適当な時間、例えば約1時間、約pH8.0、約4℃でインキュベートすることにより行う。その後、コンジュゲーション反応を、例えば数倍モル過剰のアルギニンまたはグリシンで停止させる。コンジュゲーション反応を停止した後、反応プールに未修飾アルギニンデイミナーゼが存在する場合には、イオン交換クロマトグラフィーまたはサイズ排除クロマトグラフィーまたは同様な分離法を用いて、回収しその後の反応で再利用することができる。本発明のコンジュゲートを含む溶液が含む未修飾アルギニンデイミナーゼは、約5%未満であるのが好ましい。
必要ならば、アルギニンデイミナーゼ-ポリマーコンジュゲートを反応混合物から単離して、高分子量の種、及び未修飾アルギニンデイミナーゼを除去する。この分離プロセスは、混合された種を約1〜10mg/mlのアルギニンデイミナーゼ-ポリマーコンジュゲートを含むバッファー溶液に入れることにより開始する。適当な溶液のpHは約6.0〜約9.0、好ましくは約7.5〜約8.5である。好ましくは、溶液はKCl、NaCl、K2HPO4、KH2PO4、Na2HPO4、NaH2PO4、NaHCO3、NaBO4、及びNaOHから選択される1種またはそれ以上のバッファー塩を含む、リン酸ナトリウムバッファーが好ましい。
反応バッファーに応じて、アルギニンデイミナーゼポリマーコンジュゲート溶液を最初に、存在する未反応ポリマーを取り除くためにバッファー交換/限外濾過にかけなければならない場合がある。例えば、PAO-アルギニンデイミナーゼコンジュゲート溶液は、低分子量カットオフ(10,000〜30,000ダルトン)膜を通して限外濾過し、例えば未反応ポリマーや界面活性剤等のような望ましくない物質が存在する場合にそれらの殆どを除去することができる。
必要であれば、アニオン交換クロマトグラフィー媒体を用いてADIポリマーコンジュゲートを分画化することもできる。このような媒体は、ある程度予想できる形で変化する電荷の差によってPAO-アルギニンデイミナーゼコンジュゲートに選択的に結合し得るものである。例えば、ADIの表面電荷は、タンパク質表面上の使用可能な荷電アミノ酸の数によって決まる。これらの荷電アミノ酸のうち、リシン残基はポリアルキレンオキシドコンジュゲートの結合可能点として機能する。従って、アルギニンデイミナーゼコンジュゲートは他の種とは異なる電荷を有し、これによって選択的単離が可能となる。例えば4級アミンアニオン交換樹脂のような強い極性のアニオン交換樹脂を用いるのが本発明の方法に特に好ましい。本発明において用いるのに適した市販の4級アニオン交換樹脂としては、Sepracor(Marlborough, Massachusetts)用の、IBF(Garenne, France)製のポリマーマトリックス上にコーティングされた4級アミン樹脂である、Q-HD、QA TRISACRYL▲R▼及びQMA-SPHEROSIL▲R▼;EM-Separators(Gibbstown, New Jersey)製のポリマーマトリックス上にコーティングされたテトラメチルアミノエチル樹脂である、TMAE650M▲R▼;それぞれTosoHaas(Montgomeryville, PA)製のポリマーマトリックス上にコーティングされた4級アミン樹脂である、QAE550C▲R▼及びSUPERQC▲R▼が挙げられる。Millipore(Millford, MA)製のQMA Accell及びJT Baker(Phillipsburg, NJ)製のPEI樹脂も用いることができる。その他の適当なアニオン交換樹脂、例えばDEAE樹脂も用いることができる。
例えば、アニオン交換樹脂を好ましくはカラムに充填し、慣用の手段により平衡化する。ポリマーとコンジュゲートしたアルギニンデイミナーゼ溶液と同じpH及び浸透圧モル濃度を有するバッファーを用いる。溶出バッファーは、好ましくは、KCl、NaCl、K2HPO4、KH2PO4、Na2HPO4、NaH2PO4、NaHCO3、NaBO4、及び(NH4)2CO3から選択される1種またはそれ以上の塩を含むものである。次にこのコンジュゲートを含む溶液を、高分子量の種が吸着され、未反応のポリマーは保持されないカラムに吸着させる。ロードした後、増加する塩濃度を有する溶出バッファーの勾配流をカラムに通し、ポリアルキレンオキシドコンジュゲートアルギニンデイミナーゼの所望の分画を溶出する。溶出されプールされた分画は、アニオン交換分離ステップの後に、均一なモノ−及びビス−アルギニンデイミナーゼポリマーコンジュゲートに限定されていることが好ましい。その後存在する未コンジュゲートアルギニンデイミナーゼ種を慣用の技術によりカラムから洗い落とすことができる。必要ならば、アルギニンデイミナーゼ種をさらに別のイオン交換クロマトグラフィーまたはサイズ排除クロマトグラフィーによって分離してもよい。溶出の温度範囲は約4℃〜約25℃である。好ましくは、溶出は、約6〜約22℃の温度範囲で行う。分画の回収は、単純な時間溶出プロフィールによって得られる。
4. 治療方法
本発明の別の形態は、哺乳動物における種々の医学的症状の治療方法を提供する。この方法は、本明細書に説明したように調製したアルギニンデイミナーゼ-ポリマーコンジュゲートの有効量を、そのような治療が必要な哺乳動物に投与することを含む。コンジュゲートは特に、アルギニンデイミナーゼ感受性症状、すなわち、アルギニンデイミナーゼを用いた治療に対して、医学分野において知られている意味で正にあるいは有益に反応する症状の治療に有用である。
何らかの仮説または理論に拘束されることは望まないが、アルギニンはヒトの食餌において非必須栄養素と考えられている天然アミノ酸であるということは当業者には理解されるであろう。哺乳動物の組織、細胞、または循環体液におけるアルギニンの量または濃度の低下により利益を受けるような症状、疾病、または疾患を有する哺乳動物は、本発明のADIポリマーコンジュゲートを用いたそのような治療により利益を受ける。アルギニンデイミナーゼは、L-アルギニン及びH2OからL-シトルリン及びNH3への直接の変換を触媒する。
従って、前記アルギニンデイミナーゼコンジュゲートは、限定するものではないが、酵素アルギニノコハク酸合成酵素の欠損する癌腫、例えば黒色腫(Sugimuraら, 1992, Melanoma Res. 2:191-196)、及び窒素酸化物(NO)関連症状、例えば窒素酸化物シンターゼの調整により治療または軽減され得る症状等の症状の治療に用いることができる。特に、細胞のNO生成はアルギニンの利用可能性に完全に依存することが判明している(Nagasakiら, 1996, J. Biol. Chem. 271:2658-2662;Xiaら, 1996, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:6770-6774)。またADIは、一定の食餌についての用途、例えば低タンパク食餌の負の効果の調節における用途も有する(Naritaら, 1995, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92:4552-4556)。
上記のような症状の治療のために投与するアルギニンデイミナーゼ-ポリマーコンジュゲートの量は、ポリマーコンジュゲートのアルギニンデイミナーゼ活性に基づく。その量は、正の臨床的応答を有意に得るのに十分な量である。ヒトを含む哺乳動物についての最大投与量は、臨床的に重大な副作用を生じない最大の投与量である。本発明の目的については、このような臨床的に重大な副作用とは、例えば高血圧反応及び/または他の免疫原性反応のような治療の中止が必要となるような副作用である。
当然ながら、アルギニンデイミナーゼに基づく組成物の投与量は、アルギニンデイミナーゼ部分及び選択されたポリマーによりいくらか変化する。しかし一般には、前記コンジュゲートは、哺乳動物の症状に基づいて、1日当たりのアルギニンデイミナーゼが300〜3000IU/m2の範囲の量で投与する。上記の範囲は例示に過ぎず、当業者であれば、臨床経験及び治療適応症に基づいて選択されたコンジュゲートの最適投与量を決定するであろう。
本発明のADIポリマーコンジュゲートは、哺乳動物への投与用の1種またはそれ以上の適当な医薬品組成物に含めることができる。この医薬品組成物は、当分野において周知の方法によって製造された溶液、懸濁液、錠剤、カプセル等の剤形であり得る。またこのような組成物の投与は主として非経口経路によって行うことが意図されるが、当業者の必要に応じて経口経路または吸入投与経路を用いることもできる。
実施例
以下の実施例は、本発明をさらに理解するためのものであるが、あらゆる意味において本発明の実質的な範囲を限定しようとするものではない。
実施例1
大腸菌におけるM. arthritidis ADI遺伝子の発現
A. ADI遺伝子の単離及びクローン化
M. arthritidis株14152は、American Type Culture Collectionから得た。M. arthritidisのアルギニンデイミナーゼ遺伝子をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により増幅した。これに用いたプライマー対は、5’-GGCAATCGATGT CTGTATTTGACAGTA-3’(配列番号3)及び5’-TGAGGATCCTTACTACCACTTAACATCTTTACG-3’(配列番号4)であり、これらは、文献に記載されたMycoplasma arginini LBIFの配列(Ohno, Tら1990)”Cloning and Nucleotide Sequence of the Gene Encoding Arginine Deiminase of Mycoplasma arginini”Infect. Immun. 58:3788-3795に由来するものである。この文献は引用によりその内容を本明細書の一部とする。
このPCR増幅は、以下のパラメーターを使用して標準的な方法(Saikiら, 1989, PCR Technology, pages7-16; Ed. Henry A. Erlich. Stockton Pressに概説されている)により行った。
反応は、10mMトリス-HCl, pH8.3、50mM KCl、2mM MgCl2、及びそれぞれ200μMのデオキシヌクレオチドトリホスフェート(dATP, dCTP, dGTP及びdTTP)及び2.5単位のTaq DNAポリメラーゼ(Perkin Elmer製)を用いて100μlの容量で行った。Perkin Elmer PCRシステム9600サーマルサイクラーにおいて、94℃で60秒間変性させ、37℃で180秒間アニールさせ、72℃で120秒間伸長させるように設定して30サイクルの増幅を行った。
PCR増幅の後、アガロースゲル分析により1.4kbと1.2kbの位置に増幅された断片を示す2つの比較的弱いバンドが観察された。各断片のサンプルをそれぞれゲルから切出して精製し、Antibody Expression and Engineering(H.Y. Wang及びT. Imanaka, eds.)American Chemical Society, pp70-85に記載されたFilpulaらによる”Engineering of Immunoglobulin Fc and Single Chain Fv Proteins in Escherichia coli”に開示されたように、ClaI-BamHI断片として発現プラスミドpGX9401に直接クローン化した。上記文献は引用によりその内容を本明細書の一部とする。両断片を配列決定し、ADI酵素活性を有する酵素をコードする公知の遺伝子に対するその部分的相同性により、1.2kbの断片がADIをコードするものであることが確認された。
マイコプラズマにおけるトリプトファンをコードする、単離されたADI遺伝子上の5つのTGAコドンを、大腸菌における遺伝子発現の前に、SayersらBiotechniques 13:592-596(1992)の方法によるオリゴヌクレオチド指向突然変異誘発によってTGGコドンに変えた。上記文献の開示内容は引用により本明細書の一部とする。使用したGX6712/pGX9401大腸菌発現系は、上記のFilpulaらの文献に記載のものと同一である。組換えADIは、全細胞タンパク質の10%のレベルで封入体中で発現された。
B. ADI遺伝子のN末端配列の確認
PCRプライマー配列番号3に対応する、M. arthritidis遺伝子のN末端領域を確認するために、第1回目のPCRで得られたDNA配列のデータを用いて、N末端領域のPCR増幅を独立して行った。使用した方法は、H. Ochmanら, 1990,(PCR PROTOCOLS: A GUIDE TO METHOD AND APPLICATIONS, Academic Press, Inc., Eds., M.A. Innis, D.H. Gelfandら)に記載されたような「逆PCR」である。
この逆PCRは、PCRプライマー5’-CTAAAACGGTTTCTAGTTCACC-3’(配列番号5)及び5’-AGCGTGGAATTAATGTTGTTG-3’(配列番号6)を用いて行った。2μgのゲノムM. arthritidis DNAを制限エンドヌクレアーゼSau 3Aで消化し、その断片をT4 DNAリガーゼで処理することにより環状にした。次にこのDNA調製物を、配列番号5及び6を用いたPCR増幅にかけた。増幅されたDNAをクローン化し、DNAシークエンシングにより分析した。DNA配列分析の結果、開始メチオニン(翻訳後除去されると推定される)に後続するアミノ酸としてセリンが割り当てられていることが確認された。このクローン化配列において、3箇所の塩基のサイレント変化が認められた。即ち、塩基6がTでなくAに、塩基15がCでなくTに、塩基18がTからCに変化している。さらにこのクローン化配列の塩基39はCではなくTである。これらの変化はいずれも翻訳されたタンパク質の配列を変化させるものではない。
確認されたゲノム配列のN末端コード領域と、遺伝子を単離するために用いた配列番号3のプライマーとの間の3箇所の塩基の相違は、PCR産物をゲル電気泳動法で分析したときに生成した、上記の比較的弱いバンドを説明するものと考えられる。これらの3箇所の塩基の相違によって、プライマーとN末端コード領域の間のアニーリングが低下し、ゲル電気泳動において観察される弱いPCRシグナルを生じたと考えられる。従って、この相違及び弱いPCRシグナルにより、PCRによって全ADI遺伝子の増幅を成功させるためにはPCR条件を注意深く選択することが必要であり、従って配列番号1によって表される遺伝子が成功裏に単離されることは予測されなかったことである。
実施例2
組換えADIの復元及び精製
本実施例においては、実施例1の結果得られたADIタンパク質をMisawaらにより報告されたものを若干変更した方法(J. Biotechnol. 36: 145-155のMisawa et al., 1994”High-Level Expression of Mycoplasma arginine deiminase in Echerichia coli and Its Efficient Renaturation As An Antitumor Enryme、この内容は引用によりその全体を本明細書の一部とする)により復元する。
最初に細胞ペーストの100gを800mlの10mM K2PO4, pH7.0, 1mM EDTA(バッファー1)に再懸濁し、Microfluidizer(Microfluidics Corp. Newton MA)を2回通すことにより破砕する。Triton X-100を4%(v/v)の最終濃度に加える。ホモジネートを4℃で30分間攪拌し、その後13,000gで30分間遠心分離する。ペレットを回収し、0.5%のTriton X-100を含む1リットルのバッファー1に再懸濁する。溶液を、100kD保持の等級の中空糸カートリッジ(Microgon Inc. Laguna Hills, CA)を使用して5倍容量の変性バッファー(50mMトリスHCl, pH8.5. 10mM DTT)に対して透析濾過する。グアニジンHClを加えて6Mの最終濃度を得、溶液を4℃で15分間攪拌する。溶液を再折畳みバッファー(10mM K2PO4, pH7.0)中に100倍に希釈し、15℃で48時間攪拌する。粒子を13,000gでの遠心分離により除去する。得られる上清を再折り畳みバッファーで予め平衡化したQ Sepharose Fast Flow(Pharmacia Inc. Piscataway, NJ)カラムで濃縮する。0.2M NaClを含む再折り畳みバッファーを使用してADIを溶出する。この精製法によりSDS-PAGE分析による評価で95%を上回る純度のADIタンパク質が得られる。1kgの細胞ペーストから約8グラムの純粋な復元ADIタンパク質が精製され、これは1リットルの培養物あたり200ミリグラムのADIの収率に相当する。
実施例3
アルギニンデイミナーゼアッセイ
ADI活性は、Oginskyらにより”Isolation and Determination of Arginine and Citrulline”Methods Enzymology 3:639-643(1957)に記載されたものを若干変更した方法により測定した。上記文献の開示は引用により本明細書の一部とする。0.1M Na2PO4, pH7.0(BUNアッセイバッファー)中の10マイクロリットルのサンプルを96ウェルマイクロタイタープレートに入れ、40マイクロリットルのBUNアッセイバッファー中の0.5Mアルギニンを加え、プレートをカバーして37℃で15分インキュベートした。200マイクロリットルの完全BUN試薬(Sigma Diagnostics)を加え、カバーしたプレートを100℃で10分間インキュベートした。プレートを22℃に冷却し、マイクロタイタープレートリーダー(Molecular Devices, Inc.)により490nmで分析した。1IUは1分間に1マイクロモルのL-アルギニンをL-シトルリンに変換する酵素量である。タンパク質濃度はPierce Coomassie Plus Protein Assay Reagent(Pierce Co., Rockford, IL)を使用してウシ血清アルブミンを標準として測定した。精製ADI調製物の比酵素活性は約3〜30IU/mgと測定された。
実施例4
本実施例においては、スクシンイミジルカーボネート活性化モノメトキシポリエチレングリコール、分子量12,000を使用して実施例2の結果得られたアルギニンデイミナーゼを修飾した。スクシンイミジルカーボネート活性化mPEGは、前記米国特許第5,122,614号の方法に従って調製した。
アルギニンデイミナーゼの溶液(1ml容量中に0.910mg)を100mMホウ酸バッファーによりpH8.0に調整した。50倍モル過剰の活性化PEGをWater For Injection中に溶解し、その後アルギニンデイミナーゼに加えた。反応物を穏やかに攪拌しながら4℃で約1時間インキュベートした。1時間後、過剰のアルギニンにより反応を停止した。PEG-ADIコンジュゲートを、0.1モルリン酸ナトリウム、pH7.0の15倍容量によりCentriprep 30を通して透析濾過し、ポリマーの存在について0.05未満まで220nmでモニターした。反応生成物を上記実施例3に記載したようにして分析したところ、40%の保持ADI活性を有することが判った。
実施例5
N-アシルチアゾリジンにより活性化した分子量12,000のmPEGを使用して実施例4の工程を繰り返す。
実施例6
スクシンイミジルカーボネート活性化モノメトキシポリエチレングリコール、分子量5,000を使用して実施例4の工程を繰り返す。
実施例7
SK-MEL-1細胞増殖のPEG 12,000 -ADI阻害
本実施例においては、細胞増殖阻害アッセイにおいて、実施例4により調製したPEG-ADIをM. argininiより得たADIを使用して製造したPEG ADIコンジュゲートと比較した。M. arginini ADIは、M. arthritidis ADIを得るのに使用したものと同様に得た。但し、M. arginini ADIはM. arthritidis ADIよりも高い程度まで精製した。特に、M. arthritidis ADIは約60%の純度まで抽出し、再折り畳みしたが、アニオン交換クロマトグラフィーにより処理しなかった。アニオン交換クロマトグラフィーによる処理によればM. arthritidis ADI酵素の90%純度よりも高い収率が期待される。M. arginini由来ADIコンジュゲートを調製するのに使用したPEG-コンジュゲーション法は実施例4において使用したものと同じものとした。両方の場合において、分子量12,000のPEGをコンジュゲートを調製するのに使用した。
0.1mM非必須アミノ酸、1mMピルビン酸ナトリウム及びEagle塩; 胎児ウシ血清10%を含むMinimum Essential Medium(Eagle)中でメラノーマ細胞を増殖させた。トリプシン処理の後、トリパンブルー排除により生存細胞をカウントした。96ウェルマイクロタイタープレート中、合計100マイクロリットルで各ウェルに細胞(104)を加えた。PEG12,000-ADIコンジュゲートを完全培地(0.1ml)中に2倍連続希釈し、各ウェルに加えた。5%CO2インキュベーター中で37℃でプレートをインキュベートした。1/10容量の”alamar Blue”染料(Alrmar Biosciences, Inc. Sacramento, CA)を加えることにより第3日の細胞増殖を測定した。5時間のインキュベートの後、Molecular Deviceプレートリーダーにより570〜630nmにおいてプレートを読み取った。
M. arginini由来PEG-ADIコンジュゲートは0.00015IU/mlのIC50を有していることが判明し、一方M. arthritidis由来PEG-ADIは0.00010IU/mlのIC50を有していた。従ってIU/mlの単位に標準化すると、M. arthritidis由来PEG-ADIはM. arginini由来PEG-ADIの能力の150%の能力を有していることが判った。
実施例8
SDS PAGE分析
SDS-PAGE分析を行い、M. arginini由来ADI、あるいは本発明に従いM. arthritidis由来ADIにより調製したPEG12,000-ADIコンジュゲートを比較した。その結果、M. arthritidis由来コンジュゲートはサイズのより均一な分布を有し、より高い平均分子量を有していた(従ってADIサブユニットあたりのより多い結合PEG分子を有する)。出願人は理論に拘束されることを意図するものではないが、M. arthritidis由来ADIはより多い数のリシンを含み、それにPEGが共有結合し得たものであり、そしておそらくより重要なこととして、この特異的ADI上には活性部位に関連しない十分な数のリシンが存在すると考えられる。
実施例9
配列比較
本実施例においては、種々のアルギニンデイミナーゼのアミノ酸配列及び配列アライメントを考察した。図3においては、行「a」は本発明に従って使用したM. arthritidis ATCC 14152 ADIを示す。行「b」はM. arginini LBIF ADIを示す。行「c」はM. hominisPG2I ADIを示す。行「d」はM. oraleFERM BP-1970 ADIを示す。ダッシュは行「a」において見られるものと同一のアミノ酸を示す。ドットはギャップを示す。M. arthritidis ADIに対するアミノ酸配列同一性は以下の通りである。
M. arginini - 87%
M. hominis - 81%
M. orale - 83%
それぞれの遺伝子のコードされたアミノ酸配列間の非相同性のこれらのレベルはそれぞれのマイコプラズマ種のコードタンパク質間の有意な相違を示すものである。リシン置換の部位は分散しておりかつ広範なものであり、可能性のあるポリマーコンジュゲーション部位の高い多様性を示している。
現時点で本発明の好ましい態様と考えられるものを記載したが、当業者には本発明の概念を逸脱することなくそれらに変更や改変を加え得ることが理解されるであろう。本発明の範囲にあるそのような変更や改変の全てを特許請求することを意図するものである。本明細書中において引用した多くの参考文献の開示はそれらの全体を引用により本明細書の一部とする。
配列表
配列番号:1
配列の長さ:1230
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:関係なし
配列の種類:DNA(genomic)
起源:
生物名:Mycoplasma arthritidis
個体・単離クローン名:EN231
細胞の種類:単細胞生物
配列
配列番号:2
配列の長さ:410
配列の型:アミノ酸
トポロジー:不明
配列の種類:タンパク質
起源:
生物名:Mycoplasma arthritidis
個体・単離クローン名:EN231
細胞の種類:単細胞生物
配列
配列番号:3
配列の長さ:27
配列の型:核酸
鎖の数:両形態
トポロジー:関係なし
配列の種類:他の核酸
配列の種類:/desc=”oligonucleotide”
ハイポセティカル配列:NO
起源:
生物名:Mycoplasma arthritidis
株名:ATCC 14152
個体・単離クローン名:EN231
細胞の種類:単細胞生物
配列
配列番号:4
配列の長さ:33
配列の型:核酸
鎖の数:両形態
トポロジー:関係なし
配列の種類:他の核酸
配列の種類:/desc=”oligonucleotide”
ハイポセティカル配列:NO
起源:
生物名:Mycoplasma arthritidis
株名:ATCC 14152
個体・単離クローン名:EN231
細胞の種類:単細胞生物
配列
配列番号:5
配列の長さ:22
配列の型:核酸
鎖の数:両形態
トポロジー:関係なし
配列の種類:他の核酸
配列の種類:/desc=”oligonucleotide”
ハイポセティカル配列:NO
アンチセンス:NO
起源:
生物名:Mycoplasma arthritidis
株名:ATCC 14152
個体・単離クローン名:EN231
細胞の種類:単細胞生物
配列
配列番号:6
配列の長さ:21
配列の型:核酸
鎖の数:両形態
トポロジー:関係なし
配列の種類:他の核酸
配列の種類:/desc=”oligonucleotide”
ハイポセティカル配列:NO
起源:
生物名:Mycoplasma arthritidis
株名:ATCC 14152
個体・単離クローン名:EN231
細胞の種類:単細胞生物
配列
配列番号:7
配列の長さ:410
配列の型:アミノ酸
鎖の数:関係なし
トポロジー:不明
配列の種類:タンパク質
ハイポセティカル配列:NO
起源:
生物名:Mycoplasma arginini
株名:LBIF
細胞の種類:単細胞生物
公表情報
著者:Ohnoら
雑誌:Infection and Immunity
巻:58
頁:3788-3795
日付け:1990年11月
配列
配列番号:8
配列の長さ:410
配列の型:アミノ酸
鎖の数:関係なし
トポロジー:不明
配列の種類:タンパク質
ハイポセティカル配列:NO
起源:
生物名:Mycoplasma hominis
株名:PG21
細胞の種類:単細胞生物
配列
配列番号:9
配列の長さ:410
配列の型:アミノ酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:関係なし
配列の種類:DNA(genomic)
ハイポセティカル配列:NO
アンチセンス:NO
起源:
生物名:Mycoplasma orale
株名:FERM BP-1970
細胞の種類:単細胞生物
配列
Claims (36)
- 配列番号2のアミノ酸配列を含むアルギニンデイミナーゼ酵素をコードする単離された核酸分子。
- 配列番号1の核酸配列を含む請求項1に記載の単離された核酸分子。
- 配列番号1の核酸配列が、ヌクレオチド39におけるT、ヌクレオチド104におけるC、ヌクレオチド206におけるA、ヌクレオチド729におけるA、ヌクレオチド337におけるG、ヌクレオチド830におけるC、ヌクレオチド1023におけるC、ヌクレオチド6におけるA、ヌクレオチド15におけるT、及びヌクレオチド18におけるCからなる群から選択されるヌクレオチド置換により変異している請求項2に記載の単離された核酸分子。
- RNA分子及びDNA分子からなる群から選択される請求項1に記載の単離された核酸分子。
- 請求項1に記載の核酸分子に相補的な単離された核酸分子。
- 調節配列に機能可能なように結合した請求項1に記載の核酸分子を含む発現ベクター。
- 調節配列がプロモーターを含む請求項6に記載の発現ベクター。
- プロモーターが誘導可能なものである請求項7に記載の発現ベクター。
- プロモーターが、β-ラクタマーゼプロモーター、lacプロモーター、trpプロモーター、phoAプロモーター、araBADプロモーター、T7プロモーター、λPL及びPRプロモーターの誘導体、及びOL/PRハイブリッドプロモーターからなる群から選択される請求項6に記載の発現ベクター。
- プラスミド、ファージ及びコスミドからなる群から選択される請求項6に記載の発現ベクター。
- 発現ベクターpGX9401中に配列番号1の核酸分子を含んでなるプラスミドpEN232を含む大腸菌クローン。
- 請求項1に記載の核酸分子を含む組換え宿主細胞。
- 原核宿主細胞及び真核宿主細胞からなる群から選択される請求項12に記載の宿主細胞。
- 細菌及び酵母からなる群から選択される請求項12に記載の宿主細胞。
- 大腸菌である請求項14に記載の宿主細胞。
- 配列番号2のアミノ酸配列を含む単離されたアルギニンデイミナーゼ。
- 約3〜約30 IU/mgの比活性を有する請求項16に記載の単離されたアルギニンデイミナーゼ。
- a)請求項12に記載の宿主細胞を培養し、
b)アルギニンデイミナーゼを前記宿主細胞中で発現させることを含む方法により製造されたアルギニンデイミナーゼ。 - a)請求項12に記載の宿主細胞を培養し、
b)アルギニンデイミナーゼを前記宿主細胞中で発現させることを含むアルギニンデイミナーゼの製造方法。 - a)宿主細胞を請求項6に記載のベクターにより形質転換またはトランスフェクトし、
b)形質転換またはトランスフェクトされた宿主細胞を培養し、
c)培養宿主細胞中にアルギニンデイミナーゼを発現させることを含むアルギニンデイミナーゼの製造方法。 - 発現されたアルギニンデイミナーゼを回収することをさらに含む請求項20に記載の方法。
- 発現されたアルギニンデイミナーゼを宿主細胞から抽出し、発現されたアルギニンデイミナーゼを復元することを含む方法によりアルギニンデイミナーゼを回収する請求項21に記載の方法。
- 配列番号3、配列番号4、及び塩基6においてTをAに、塩基15においてCをTに、塩基18においてTをCに置換するように改変された配列番号3及びこれらの組合せからなる群から選択されるプライマー対を使用したポリメラーゼ連鎖反応によりMycoplasma arthritidisゲノムから増幅された単離された核酸分子。
- 非抗原性ポリマーに共有結合された、配列番号2のアミノ酸配列を含むMycoplasma arthritidisから得られた精製アルギニンデイミナーゼ(ADI)を含む非抗原性ポリマー-アルギニンデイミナーゼコンジュゲート。
- 非抗原性ポリマーがポリアルキレンオキシドを含む請求項24に記載の非抗原性ポリマー-アルギニンデイミナーゼコンジュゲート。
- ポリアルキレンオキシドがポリエチレングリコールである請求項25に記載の非抗原性ポリマー-アルギニンデイミナーゼコンジュゲート。
- 非抗原性ポリマーがモノメチル末端化ポリエチレングリコール(mPEG)である請求項25に記載の非抗原性ポリマー-アルギニンデイミナーゼコンジュゲート。
- 非抗原性ポリマーが約200〜約60,000の分子量を有する請求項24に記載の非抗原性ポリマー-アルギニンデイミナーゼコンジュゲート。
- 非抗原性ポリマーが約1,000〜約40,000の分子量を有する請求項28に記載の非抗原性ポリマー-アルギニンデイミナーゼコンジュゲート。
- 非抗原性ポリマーが約2,000〜約12,500の分子量を有する請求項29に記載の非抗原性ポリマー-アルギニンデイミナーゼコンジュゲート。
- 非抗原性ポリマーが、デキストラン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、及び炭水化物系ポリマーからなる群から選択される請求項24に記載の非抗原性ポリマー-アルギニンデイミナーゼコンジュゲート。
- アルギニンデイミナーゼ及び非抗原性ポリマーの間にカルバメート結合またはアミド結合をさらに含む請求項24に記載の非抗原性ポリマー-アルギニンデイミナーゼコンジュゲート。
- 請求項16に記載の単離されたアルギニンデイミナーゼを含む、哺乳動物におけるアルギニンデイミナーゼ感受性症状を治療するための医薬組成物。
- 請求項24に記載のコンジュゲートを含む、哺乳動物におけるアルギニンデイミナーゼ感受性症状を治療するための医薬組成物。
- 請求項21に記載の方法により製造された生成物。
- アルギニンデイミナーゼ感受性症状がアルギニンデイミナーゼ感受性腫瘍または癌である請求項33に記載の医薬組成物。
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