JP4126034B2 - フレキシブルプリント基板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば電子機器等の電気的接続に用いるフレキシブルプリント配線板のベース基板であるフレキシブルプリント基板の製造方法に関し、詳しくは導体上にポリイミド樹脂層からなる絶縁体が形成されたフレキシブルプリント基板の製造方法に関する。
携帯型記録再生装置等のいわゆるポータブル電気製品では、小型化や低価格化を図るために、電気回路部間を比較的安価で省スペース化が可能なフレキシブルプリント配線板を利用して接続されたものが多い。従来のフレキシブルプリント配線板は、例えば、ベース基板であるフレキシブルプリント基板の導体にエッチングが施されて回路が形成されてなる。
このフレキシブルプリント基板としては、柔軟性や耐熱性の点からポリイミドフィルムが多用されている。具体的には、図8に示すように、銅箔51上にポリアミック酸からなるポリイミド前駆体用ワニスを直接塗布し、このポリイミド前駆体を乾燥した後にイミド化して、ポリイミド樹脂層52を形成した2層フレキシブルプリント基板50が提案され実用化されている。
ところが、この2層フレキシブルプリント基板50では、金属箔51上に塗布したポリアミック酸をイミド化する際に高温下にて行うため、カールが生じてしまうという問題があった。
このようなカールが生じる原因の一つとしては、金属箔51とポリイミド樹脂層52との熱膨張率の差が起因して、イミド化後に常温に戻した際に、金属箔51とポリイミド樹脂層52との熱収縮率に差が生じるためと考えられる。
そこで、2層フレキシブルプリント基板におけるカールの除去等を目的として、金属箔上に形成されるポリイミド樹脂層を多層構造とし、金属箔とポリイミド樹脂層との熱線膨張係数の差を緩和する方法が特許文献1において提案されている。この方法では、銅箔上にポリイミド樹脂層を形成しフレキシブルプリント基板を完成させた時点ではカールをかなり効果的に除去することができると知られている。
上述の方法では、銅箔を含めた状態でポリイミド樹脂層の熱線膨張係数を調整しているため、フレキシブルプリント基板の完成後に銅箔をエッチングして回路パターンを形成しフレキシブルプリント配線板を作製した際には、再びカールが生じてしまう。すなわち、この方法では、回路を形成した後のものについてはカールの矯正は不可能であるという問題がある。
また、2層フレキシブルプリント基板にカールが生じる他の原因としては、ポリイミド前駆体がイミド化される際に材料自体が収縮を起こし、この収縮が原因となってカールが生じると考えられる。
このようなポリイミド前駆体がイミド化する際の材料収縮が原因となってカールが生じる現象に対しては、効果的な手当が施されていないのが現状である。そのため、従来の2層フレキシブルプリント基板では、カールを完全に除去することは困難であり、このカールが原因してエッチング後の回路の導体間隔の精度が落ちてしまい、昨今求められているような更なる微細な回路パターンを形成するには不向きである。
また、このようなポリイミド前駆体がイミド化される際に材料収縮が起こることによって、銅箔51とポリイミド樹脂層52との間に歪みが生じて接着強度が劣化するという問題もある。
さらに、従来の2層フレキシブルプリント基板では、実際にイミド化する際に、図9に示すように、銅箔上にポリアミック酸からなるポリイミド前駆体用ワニスを塗布したフィルム53をロール状に巻き取り、この状態で加熱処理を施してイミド化を行う。
このように、イミド化時にロール状態で加熱処理を行うので、ロール化されたフィルム53全体に均一に加熱処理が行えず、結果的にイミド化後にロールを解いたフレキシブルプリント基板50では、巻き取り軸に最も近い巻芯部53a、中間部53b及び巻外部53cに相当する各部分において、銅箔51とポリイミド樹脂層52との接着強度がばらついてしまい、均一な品質が得られないという問題がある。詳しくは、特に、巻芯部53aから中間部53bに相当する部分のものは、銅箔とポリイミド樹脂層との接着強度が安定しなかった。
特開平8−250860号公報
本発明は、上述したような実情に鑑みて提案されたものであり、接着強度が向上されて、しかも接着強度のばらつきが抑えられて品質が均一化されるとともに、カールが極力抑えられて寸法安定性に優れた微細な回路に十分対応可能なフレキシブルプリント基板を製造することを可能とする方法を提供することを目的とする。
本発明に係るフレキシブルプリント基板の製造方法は、8μm〜18μmの厚さを有する銅箔上に、酸無水物成分とアミン成分とが反応してなる下記の化1に示されるポリアミック酸成分と、酸無水物成分とイソシアネート成分とが反応してなる下記の化2に示されるポリイミド成分を30%〜50%の範囲で含有し予め部分的にイミド化された第1のポリイミド前駆体用ワニスを塗工して第1のポリイミド前駆体層を形成する工程と、上記第1のポリイミド前駆体層上に、酸無水物成分とアミン成分とが反応してなるポリアミック酸成分からなり、イミド化後の熱線膨張係数が30×10−6/K未満である第2のポリイミド前駆体用ワニスを塗工して第2のポリイミド前駆体層を形成して金属複合フィルムを作製する工程と、上記金属複合フィルムに熱処理を施して第1のポリイミド前駆体層及び第2のポリイミド前駆体層をイミド化することにより、第1のポリイミド樹脂層及び第2のポリイミド樹脂層を形成する工程とを有する。
Figure 0004126034
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このように、本発明に係るフレキシブルプリント基板の製造方法では、銅箔に接する第1のポリイミド樹脂層の材料であるポリイミド前駆体として、上記化に示すポリアミック酸成分の他に、上記化に示すポリイミド成分を含有したものを用いてポリイミド前駆体層を形成する。
即ち、本発明に係るフレキシブルプリント基板の製造方法では、第1のポリイミド樹脂層の材料であるポリイミド前駆体として、イミド化処理を施す前に予め部分イミド化されている材料を用いるため、この第1のポリイミド樹脂層の材料であるポリイミド前駆体がイミド化されることによる材料収縮が小さく抑えられる。その結果、本発明に係るフレキシブルプリント基板の製造方法によれば、イミド化時における銅箔と第1のポリイミド樹脂層との間に生じる歪みが抑えられて、銅箔と第1のポリイミド樹脂層との接着強度が向上される。
しかも、本発明に係るフレキシブルプリント基板の製造方法では、ロール化してイミド化する際に上記の材料収縮が小さく抑えられるので、イミド化後にロールを解いたフレキシブルプリント基板において巻芯部、中間部及び巻取部に相当する各部分において、銅箔と第1のポリイミド樹脂層との接着強度のばらつきが抑えられて、品質が極力均一化なものとなる。
さらに、本発明に係るフレキシブルプリント基板の製造方法では、ポリイミド前駆体がイミド化されることによる材料収縮が小さく抑えられるため、カールが極力抑えられる。
以下、本発明に係るフレキシブルプリント基板の製造方法を図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明に説明に先立って、本発明方法により製造されるフレキシブルプリント基板を説明する。
本発明方法により製造されるフレキシブルプリント基板1は、図1に示すように、銅箔2の一主面2a上に第1のポリイミド樹脂層3a、第2のポリイミド樹脂層3bが順次積層されてなるものである。そして、このフレキシブルプリント基板1は、銅箔2にエッチングによって所望の回路パターンが形成されて、電子機器等の電気的接続に用いられるフレキシブルプリント配線板となされる。
銅箔2としては、具体的には、電解銅箔や圧延銅箔等を使用することができる。銅箔2の厚さは、35μm以下、好ましくは8μm〜18μmが微細回路を形成する上で好ましい。ここで、銅箔2の厚さが18μm以上であると、微細回路の形成が難しい。銅箔2の厚さが8μm以下であると、塗布工程でしわ等が生じやすく作業しにくい。
なお、銅箔2は、第1のポリイミド樹脂層3aや第2のポリイミド樹脂層3bのイミド化温度である250℃〜400℃の雰囲気で熱処理すると、熱線膨張係数が上昇する性質がある。例えば、銅箔2の熱線膨張係数は、イミド化前には16.0×10−6/K〜18.0×10−6/Kであるが、イミド化後になると18.0×10−6/K〜20.0×10−6/Kとなる。
また、銅箔2は、表面処理を施さない銅箔が最適であるが、亜鉛やクロムや酸化等によって表面処理した場合には、中心線平均粗さRaが10μm以下、好ましくは7μm以下がよい。
特に、本発明のフレキシブルプリント基板1において、銅箔2と接する第1のポリイミド樹脂層3aは、酸無水物成分とアミン成分とが反応してなる化に示されるポリアミック酸成分と、酸無水物成分とイソシアネート成分とが反応してなる化に示されるポリイミド成分とを含有してなるポリイミド前駆体を、イミド化して形成されるものである。
Figure 0004126034
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言い換えれば、本発明のフレキシブルプリント基板1では、第1のポリイミド樹脂層3aの材料として用いる第1のポリイミド前駆体用ワニスが、化に示すようなポリイミド成分を含有することにより、イミド化工程前に既に部分的にイミド化された状態である。詳しくは、後述するように、第1のポリイミド前駆体用ワニスは、ジイソシアネート成分により部分イミド化されている。
そして、第1のポリイミド樹脂層3aは、この第1のポリイミド前駆体用ワニスが銅箔2上に塗布され乾燥された後に、イミド化工程を経て形成されるものである。
上記の化に示す成分は、通常のポリアミック酸成分であり、酸二無水物と芳香族ジアミンとが縮合されてなる。よって、化に示されるAr,Arは、以下に示す酸二無水物と芳香族ジアミンとの縮合物から構成される芳香環部分である。なお、この芳香環部分は、適宜置換されたものでもよい。
酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(ジカルボキシフェニル)スルホン酸二無水物、ビス(ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等を用いることができる。
芳香族ジアミンとしては、例えば、o−,m−及びp−フェニレンジアミン、4,4ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、4,4−ジアミノベンズアニリド、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、3,3‘−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル等を好適に用いることができる。
上記の化に示す成分は、上記酸二無水物に芳香族ジイソシアネートが反応(イミド化反応)してイミド環が形成されたものである。よって、化に示されるAr,Arは、以下に示す芳香族ジイソシアネート化合物と上記の酸二無水物との縮合物から構成される芳香環部分である。なお、この芳香環部分は、適宜置換されたものでもよい。
上述の芳香族ジイソシアネート化合物としては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、1,5−ナフタリンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
このように、本発明方法により製造されるフレキシブルプリント基板1では、銅箔2に接する第1のポリイミド樹脂層3aの材料として用いる第1のポリイミド前駆体用ワニスが、上記化に示すポリイミド成分を含有している。
即ち、本発明方法により製造されるフレキシブルプリント基板1では、第1のポリイミド樹脂層3aの材料であるポリイミド前駆体がイミド化処理を施す前に予め部分イミド化されているため、この第1のポリイミド樹脂層3aの材料であるポリイミド前駆体がイミド化されることによる材料収縮を小さく抑えることができる。その結果、本発明のフレキシブルプリント基板1によれば、イミド化時における銅箔2と第1のポリイミド樹脂層3aとの間に生じる歪みが抑えられて、銅箔2と第1のポリイミド樹脂層3aとの接着強度を向上することができる。
しかも、本発明方法により製造されるフレキシブルプリント基板1では、ロール化してイミド化する際に、上記の材料収縮が小さく抑えられるので、イミド化後にロールを解いたフレキシブルプリント基板において巻芯部、中間部及び巻取部に相当する各部分において、銅箔2と第1のポリイミド樹脂層3aとの接着強度のばらつきが抑えられて、品質が極力均一化な高品質なものとすることができる。
さらに、本発明方法により製造されるフレキシブルプリント基板1では、ポリイミド前駆体がイミド化されることによる材料収縮が小さく抑えられるため、カールが極力抑えられて良好な平面性が得られたものとなる。
なお、このとき、第1のポリイミド樹脂層3aに用いられる第1のポリイミド前駆体用ワニス中において化に示す成分の割合は、化に示す成分及び化に示す成分の和を100モル%としたときに10モル%〜70モル%が好ましく、より好ましくは30モル%〜50モル%の範囲がよい。
ここで、使用した芳香族ジイソシアネート化合物のモル数を、ポリアミック酸のイミド化率とする。すなわち、第1のポリイミド樹脂層3aの第1のポリイミド前駆体用ワニスでは、化に示すようなポリイミド成分を含有することにより、イミド化工程前に既に10モル%〜70モル%イミド化されているのが好ましく、より好ましくは30モル%〜50モル%イミド化されているのが良い。言い換えれば、上記第1のポリイミド前駆体用ワニスは、既に部分的にイミド化された率(以下、仕込みイミド化率と称する。)が10モル%〜70モル%であると好ましく、30モル%〜50モル%であるとより好ましい。
仕込みイミド化率が10モル%を下回ると、フレキシブルプリント基板1にカールが発生しやすくなる。一方、仕込みイミド化率が70モル%以上であると、銅箔2と第1のポリイミド樹脂層3aとの接着強度が低下する。また、熱線膨張係数が30×10−6/K以下のポリイミド樹脂は、前駆体であるポリアミック酸の一部がイミド化していると、N−メチル−2−ピロリドンやジメチルアセトアミドのような極性溶媒に溶解しにくく、樹脂が分離したり、ポリアミック酸溶液がゲル化又は粘度が高くなる。このような状態であると、銅箔2上に塗布することが困難となる。そのため、仕込みイミド化率の上限としては、70モル%が限界である。
また、第1のポリイミド樹脂層3aに用いる第1のポリイミド前駆体用ワニスは、後のイミド化処理により高温下にて加熱処理を施すため、この高温の加熱処理による熱膨張を低減するために、上記仕込みイミド化率の範囲内でガラス転移温度Tgが高いものを用いることが必要である。理想的には、この第1のポリイミド前駆体用ワニスのガラス転移温度Tgとしては、250℃以上が好ましい。
ここで、250℃以下であると、イミド化の温度が300℃〜400℃の高温を必要とするため、銅箔2に対する第1のポリイミド樹脂層3aの幅方向及び長手方向の接着強度や、フレキシブルプリント基板1の銅箔2をエッチング除去して回路を形成したフレキシブルプリント配線板を作製した場合にこのフレキシブルプリント配線板の収縮率に大きなばらつきが生じやすく、寸法安定性が劣ったものとなる。
一方、第2のポリイミド樹脂層3bは、ポリイミド系樹脂の前駆体である酸二無水物と芳香族ジアミンとの縮合化合物であるポリアミック酸を主成分とする第2のポリイミド前駆体用ワニスを塗布し乾燥させた後に、イミド化されることにより形成されるものである。
上記酸二無水物及び芳香族ジアミンとしては、上述したような第1のポリイミド樹脂層3aのポリイミド前駆体に用いられる酸二無水物及び芳香族ジアミンと同様なものを用いることができる。
なお、上記第1及び第2のポリイミド樹脂層3a,3bの何れのポリイミド前駆体であるポリアミック酸溶液についても、ポリアミック酸のカルボン酸基が銅箔2等の金属箔を腐食させることが考えられるため、防錆剤を添加することができる。しかも、防錆剤は、防錆の機能の他に、金属箔との接着強度を向上させることもできる。このような防錆剤としては、例えば、3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,3−トリアゾール等のトリアゾール化合物や、2−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物とその塩が挙げられる。そして、このような防錆剤の添加量としては、ポリアミック酸100重量部に対して1〜10重量部とすることが好ましい。
また、多層構造のポリイミド樹脂層において、個々のポリイミド樹脂層3a,3b相互間の層間剥離を起こさないように接着力を向上するために、又は、銅箔2等の金属箔との接着力を向上させるために、エポキシ樹脂を添加しても良い。このエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノール型、ノボラックフェノール型等の汎用エポキシ樹脂を使用することができる。なお、必ずしも、エポキシ樹脂の硬化剤は必要ではないが添加してもよい。その場合、硬化剤は、ポリアミック酸溶液に配合すればよい。
また、第2のポリイミド樹脂層3bは、その熱線膨張係数が30×10−6/K未満となされることが好ましい。つまり、第2のポリイミド樹脂層3b用のポリイミド前駆体は、イミド化後の熱線膨張係数が30×10 −6 /K未満となるものであることが好ましい。この第2のポリイミド樹脂層3bの熱線膨張係数が30×10 −6 /K以上であると、フレキシブルプリント基板1の銅箔2をエッチング除去してフレキシブルプリント配線板を作製した際に、このフレキシブルプリント配線板が平坦にならないからである。
このように、本発明のフレキシブルプリント基板1では、銅箔2上に接する第1のポリイミド樹脂層3a上に積層される第2のポリイミド樹脂層3bの熱線膨張係数が規定されることにより、カールをより効果的に抑制することが可能となり、更なる高密度実装に求められる微細回路の形成を実現することができる。
ここで、このような熱線膨張係数に設定するには、特開昭60−157286号公報,特開昭60−243120号公報,特開昭63−239998号公報,特開平1−245586号公報,特開平3−123093号公報等に報告されるように、既存の酸二無水物と芳香族ジアミンとの組み合わせやそれぞれの化学構造、並びにこれらの配合比等を変えることにより、熱線膨張係数を自在に調整することができる。
なお、本発明を適用したフレキシブルプリント基板は、図1に示すような2層のポリイミド樹脂層からなる構造に限らず、銅箔2上に複数のポリイミド樹脂層が積層された多層構造であっても良い。このとき、特に、ポリイミド樹脂層が3層以下の多層構造であることが好ましい。4層以上だとコストアップを招き経済的でないからである。
具体的には、本発明のフレキシブルプリント基板20としては、図2に示すように、銅箔2に第1のポリイミド樹脂層13a、第2のポリイミド樹脂層13b及び第3のポリイミド樹脂層13cが順次積層形成されてなる。そして、上記第1のポリイミド樹脂層13aは、図1に示したフレキシブルプリント基板1における第1のポリイミド樹脂層3aと同様に、部分イミド化された第1のポリイミド前駆体用ワニスをイミド化してなるものである。また、上記第2のポリイミド樹脂層13bは、図1に示したフレキシブルプリント基板1における第2のポリイミド樹脂層3bと同様に、従来公知のポリアミック酸溶液をイミド化されてなるものである。
ここで、第3のポリイミド樹脂層13cは、上記第2のポリイミド樹脂層13bと同様に、従来公知のポリアミック酸溶液がイミド化されてなるものである。そして、このフレキシブルプリント基板20においては、外側に位置する第3のポリイミド樹脂層13cは、中央に位置する第2のポリイミド樹脂層13bよりも熱線膨張係数が高い方が好ましい。このような構成とすることにより、銅箔2との接着強度を向上させることができるとともに、フレキシブルプリント基20のカールを抑えることができる。
そして、特に、銅箔2側の第1のポリイミド樹脂層13aの熱線膨張係数が外側の第3のポリイミド樹脂層13cの熱線膨張係数よりも若干大きいとより好ましい。これは、銅箔2の表面粗さがカールに影響を及ぼすためである。
このように、ポリイミド樹脂層を多層構造にすることにより、熱線膨張係数を銅箔2の熱線膨張係数とより近い値に調整することができ、カールを抑制することができる。特に、銅箔2に対して外側の層のポリイミド系樹脂の厚さによってカールを制御することができる。
なお、本発明のフレキシブルプリント基板としては、銅箔2との接着強度を向上させるとともにその接着強度のばらつきを抑えることのみを目的とする場合には、銅箔2上に形成されるポリイミド樹脂層は単層でも良く、化及び化に示すような部分的にイミド化されたポリイミド前駆体を用いて当該ポリイミド前駆体をイミド化してポリイミド樹脂層を形成すればよい。但し、上述したように、接着強度だけでなく、カールの抑制をより効果的に実現するには、銅箔2と接する第1のポリイミド樹脂層上に積層される第2のポリイミド樹脂層の熱線膨張係数を規定することがより好ましい。
次に、以上のように構成されたフレキシブルプリント基板1を製造するための本発明に係る製造方法を図面を参照しながら説明する。
先ず、図3に示すような導体である銅箔2を用意する。
次に、この銅箔2上に形成する第1のポリイミド樹脂層3aの材料である第1のポリイミド前駆体用ワニスを以下のように合成し調整する。始めに、過剰な酸二無水物と芳香族ジアミンとを溶剤中に溶解して反応させて、両末端が酸二無水物であるポリアミック酸プレポリマーを作る。そして、このポリアミック酸プレポリマー中に芳香族ジイソシアネート化合物を添加し、ポリアミック酸プレポリマー中の酸二無水物と上記芳香族ジイソシアネート化合物とを反応させて直接イミド環を持つポリアミック酸溶液を作る。このとき、芳香族ジイソシアネート化合物との反応は、ポリアミック酸のカルボキシル基より酸二無水物の方が反応し易いため、例えば、60℃等の温和な条件下で行うことができる。
なお、上記溶剤としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン等のピロリドン系溶剤、N,N’−ジメチルアセトアミド等のアセトアミド系溶剤、クレゾール等のフェノール系溶剤を使用可能であるが、安全性の点からN−メチル−2−ピロリドンの使用が好ましい。又、キシレン、トルエン、エチレングリコールモノエチルエーテル等も混合して使用することができる。
以上のようにして、第1のポリイミド樹脂層3a用の部分的にイミド化された第1のポリイミド前駆体用ワニスが合成される。
次に、このように合成された第1のポリイミド前駆体用ワニスを、図4に示すように、銅箔2上に例えばナイフコータ、バーコータ等の公知のコーティング方法により膜厚1μm〜5μmとなるように塗布し、その後、連続乾燥炉にて乾燥させて溶剤を所定量揮発させ、既に部分的にイミド化された第1のポリイミド前駆体層31を形成する。なお、上記連続乾燥炉としては、カールの発生を抑制するために、アーチ型炉やフローティング炉等が好ましいが、これらに限定されるものでない。
ここで、乾燥温度としては、ポリイミド前駆体層の残存揮発量%で決定する。この残存揮発量は、未乾燥の溶剤及びイミド化による縮合水の和と考えられる。
このとき、第1のポリイミド前駆体層31の残存揮発量は、20%〜30%が好ましい。20%以下であると、後に形成される第2のポリイミド樹脂層3bとの接着強度が低下してしまい、層間剥離が生じやすい。また、30%以上であると、出来上がったフレキシブルプリント基板1における金属箔とポリイミド樹脂層との接着強度やフレキシブルプリント基板1のイミド化後の収縮が、巻芯部分、中間部分及び巻取部分で安定せず、均一な品質のものが得られないからである。また、30%以上であると、イミド化の際に発泡する虞がある。
次に、このポリイミド前駆体層31上に形成する第2のポリイミド樹脂層3b用の第2のポリイミド前駆体用ワニスを以下のように作製する。
この第2のポリイミド前駆体用ワニスは、第1のポリイミド前駆体用ワニスと同様な極性溶媒中で上述したような酸二無水物と芳香族ジアミンとを反応させて合成する。なお、この反応は発熱反応であるため、必要に応じて冷却を行いながら反応を制御するものとする。通常、約0℃〜90℃、好ましくは約5℃〜50℃にて反応させる。溶液の粘度が高い場合には、90℃に近い温度で熱処理することにより粘度を低下させることができる。このとき、酸二無水物と芳香族ジアミンとを同時に加えても良いし、又はどちらか一方を先に極性溶媒中に溶解又は懸濁させておき、他方を徐々に添加させつつ反応させてもよい。酸二無水物と芳香族ジアミンのモル比は、当モルとなるのが望ましいが、約10:9〜9:10の範囲内で両成分のどちらか一方を過剰量用いても良い。
以上のようにして、第2のポリイミド樹脂層に用いる第2のポリイミド前駆体用ワニスが合成される。
次に、このように合成された第2のポリイミド前駆体用ワニスを、図5に示すように、第1のポリイミド前駆体層31上に塗布し、その後連続乾燥炉にて乾燥して溶剤を所定量揮発させ、第2のポリイミド前駆体層32を形成し、金属複合フィルム30を得る。上記連続乾燥炉としては、第1のポリイミド前駆体層31を形成する場合と同様なものを用いることができる。
このとき、第1のポリイミド前駆体層31と第2のポリイミド前駆体層32とを合わせた残存揮発量を30%〜50%とすることが好ましい。30%以下であると、後にイミド化されて形成される第2のポリイミド樹脂層3bとの接着強度が低下してしまい、層間剥離を生じやすい。また、50%以上であると、次工程にて発泡が起こる。そのため、連続乾燥炉の温度は、溶剤の飛散による発泡が起こらない温度で特に限定しないが、例えば、N−メチル−2−ピロリドンを溶剤とした場合、その沸点が204℃であるので残存揮発量を50%以下とするためには、最高温度を170℃とすれば良い。
次に、このような工程を経て形成された第1のポリイミド前駆体層31及び第2のポリイミド前駆体層32には、各前駆体層中にかなりの溶媒が残存しているので、ここで加熱処理を施して溶剤を揮発させておくことが好ましい。
通常、このときの乾燥温度は、210℃〜250℃が好ましく、この加熱処理によりポリイミド前駆体層31,32全体の残存揮発量が7%〜10%程度に調整することが好ましい。250℃以上であると、銅箔2と接する第1のポリイミド前駆体層31中のポリアミック酸がイミド化してしまい、イミド化処理前にイミド化率が上述したような所定範囲から外れる虞がある。その結果、金属複合フィルム30のカールを抑えることが難しくなる。210℃以下では残存揮発量を7%以下にすることができない。また、この加熱処理により残存揮発量を7%以下にしないと、次工程のロール状でイミド化する際にブロッキングが起こり、金属複合フィルム30同士が互いにくっついてしまう。
次に、図6に示すように、上記の金属複合フィルム30をロール状に巻き取り、300℃〜350℃の温度範囲で加熱処理を施して上記の第1及び第2のポミイド前駆体層31,32を一気にイミド化して、最終的に、図7に示すような銅箔2上に第1及び第2ポリイミド樹脂層3a,3bが形成されたフレキシブルプリント基板1を作製する。
なお、ポリイミド樹脂層を3層以上有するフレキシブルプリント基板を作製するには、上記の図5の工程と同様にしてポリイミド前駆体層を順次塗布乾燥して積層形成した後に、上記の図6の工程と同様にしてイミド化を行えばよい。
また、従来より提案されているフレキシブルプリント基板の一例としては、導体上に形成するポリイミド樹脂層が、化に示すような構造となされているものがある。しかし、このポリイミド樹脂層は、あくまでも酸無水物とジアミンとからなるポリイミド前駆体をイミド化することによって、前述した化に示すような構造となされたものである。
一方、本発明方法により製造されたフレキシブルプリント基板1では、上述したように、第1のポリイミド樹脂層3aが、既に部分的にイミド化された化に示す成分を含むポリイミド前駆体を用いて、このポリイミド前駆体のうちのイミド化されていない成分を完全にイミド化することによって形成されるものである。
よって、上記の従来例と本発明とは、導体上に形成するポリイミド樹脂層のポリイミド前駆体の構成成分が異なるものである。
また、従来より提案されているフレキシブルプリント基板の他の例としては、導体上に多層構造のポリイミド樹脂層を積層形成したものがある。このフレキシブルプリント基板は、導体上にポリイミド前駆体を塗工及び乾燥した後に、順次ポリイミド前駆体の塗工及び乾燥を繰り返し行うことにより、多層のポリイミド前駆体層を形成する。そして、その後に、この多層のポリイミド前駆体層を一気にイミド化することにより、多層構造のポリイミド樹脂層を形成するものである。
ここで、ポリイミド前駆体を塗工及び乾燥する毎に、若干ポリイミド前駆体がイミド化される。そのため、最終的に多層のポリイミド前駆体層を一気にイミド化する前の段階で、既に多層のポリイミド前駆体が若干部分的にイミド化されている。
しかし、この従来のフレキシブルプリント基板では、部分的にイミド化されているが、この部分イミド化のイミド化率を制御することは製造上非常に困難であり、大量生産を考慮すると品質の均一なものを製造するという点で非常に不利である。
一方、本発明方法により製造されたフレキシブルプリント基板1では、最終的にイミド化する前に、導体上に接するポリイミド前駆体層が部分的にイミド化されているという点では上記の従来例と一見同一のようである。しかし、上記の従来例ではポリイミド前駆体を塗工した後の乾燥工程にて当該ポリイミド前駆体が若干部分的にイミド化されるのに対して、本発明では使用するポリイミド前駆体が始めからイソシアネート成分を含有することにより部分的にイミド化されており、このような予め部分イミド化されているポリイミド前駆体を積極的に用いるものである。
すなわち、上記の従来例と本発明とは、多層構造のポリイミド前駆体層を完全にイミド化する前に、若干部分イミド化されている点では同一のようだが、部分イミド化する方法が全く異なる。しかも、本発明では、イソシアネート成分により部分的にイミド化するため、部分的にイミド化する際のイミド化率、つまり仕込みイミド化率を容易に制御することが可能であり、製造工程上、非常に有利である。
以下、本発明の実施例について具体的な実験結果に基づいて説明する。
まず、ポリアミック酸を次のように合成した。そして、合成したポリアミック酸溶液をイミド化してなるポリイミド系樹脂の熱線膨張係数を測定するため、以下のようなポリイミドフィルムを作製した。
<部分イミド化されたポリアミック酸溶液の合成>
合成例(1)−1
先ず、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DPE)120g(0.6モル)を、2.0kgのN−メチル−2−ピロリドン中に溶解し、20℃に保持しながら、次いで、ピロメロリット酸二無水物(PMDA)218g(1.0モル)を添加し1時間反応させて、両末端が酸無水物のプレポリマーを得た。
次に、この酸無水物のプレポリマーにトリジンジイソシアネート(TODI)105.6g(0.4モル)を添加し、60℃まで徐々に昇温した。この反応初期では二酸化炭素の泡の発生が認められ増粘した。そして、これにN−メチル−2−ピロリドン2.0kgを分添しながら2時間反応させて、部分イミド化されたポリアミック酸溶液を得た。
合成例(1)−2〜合成例(1)−9
表1に示すように、酸二無水物、芳香族ジアミン、芳香族ジイソシアネートの種類や割合等を変化させた以外は、合成例(1)−1と同様にして、部分イミド化されたポリアミック酸溶液を得た。
以上のようにして得られた部分イミド化された各ポリアミック酸溶液について、以下のよう特性を評価した。その結果を表1に示す。
(1)仕込みイミド化率の測定
この部分イミド化されたポリアミック酸溶液の既にイミド化された割合を仕込みイミド化率とし、このポリアミック酸溶液の仕込みイミド化率を次のようして測定した。
赤外線吸光分析計を使用し表面反射法(ATR法)により、イミド基の吸収波長1780cm−1の吸光量を、同試料を100モル%イミド化した時のイミド基の吸光量に対する百分率から算出した。
(2)粘度及び固形分の測定
この部分イミド化されたポリアミック酸溶液の粘度及び固定分の割合をそれぞれB型粘度計及び300℃における乾燥減量により測定した。
(3)ガラス転移温度の測定
この部分イミド化されたポリアミック酸溶液を厚さ35μmの電解銅箔に塗布して溶剤を乾燥した後、350℃で10分間イミド化した。その後、この銅箔をエッチングで除去し、ポリイミドフィルムを得た。このようにして得られたポリイミドフィルムのガラス転移温度を、示差走査熱量計法(DSC法)により測定した。
Figure 0004126034
<ポリアミック酸溶液の合成>
合成例(2)−1
始めに、温度制御できるジャケット付きの60リットルの反応釜に、パラフェニレンジアミン(PDA、三井化学社製)0.866kg(8.00モル)と、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DPE、和歌山精化社製)1.603kg(8.00モル)とを窒素ガス雰囲気下で溶剤N−メチル−ピロリドン(NMP、三菱化学社製)約44kgに溶解した。その後、50℃においてピロメリット酸二無水物(PMDA、三菱ガス化学社製)3.523kg(16.14モル)を徐々に加えながら3時間反応させた。このようにして、固形分約12%の25℃における粘度20Pa・Sのポリアミック酸溶液を得た。
次に、このポリアミック酸溶液を銅箔上にイミド化後のフィルムの厚さが25μmとなるように塗布し、80℃〜160℃の連続炉で溶剤を飛散させた後、230℃〜350℃まで昇温し、350℃で30分間加熱処理してイミド化した。
その後、塩化第2銅溶液でエッチングして銅箔を除去し、ポリイミドフィルムを作製した。
合成例(2)−2〜合成例(2)−7
表2に示すように、酸二無水物、芳香族ジアミンの種類や割合を変化させた以外は、合成例(2)−1と同様にして、ポリアミック酸溶液を合成した。
以上のようにして得られたポリイミドフィルムの熱線膨張係数を以下のようにして測定し、その結果を表2に示す。
(4)熱線膨張係数の測定
得られたポリイミドフィルムについて、サーマルメカニカルアナライザー(TMA:SCC150CU、S11社製)を使用し、荷重2.5〜5.0gをかけた引張法により、100℃〜350℃の温度範囲の測定データに従って、熱線膨張係数を測定した。
Figure 0004126034
次に、以上のようにして得られたポリアミック酸溶液を用いて、フレキシブルプリント基板を作製した。
<フレキシブルプリント基板の作製>
実施例1
先ず、厚さ18μm、幅540μmの電解銅箔(商品名:CF−T9−LP,福田金属社製)を用意し、この銅箔上に、合成例(1)−1の部分イミド化されたポリアミック酸溶液を、乾燥後の厚さが2μmとなるように連続塗工して乾燥させ、第1のポリイミド前駆体層を形成した。このとき、残存揮発量は25%であった。
次に、この第1のポリイミド前駆体層上に合成例(2)−1のポリアミック酸溶液を、イミド化後の厚さが22μmとなるように連続塗工して乾燥させ、第2のポリイミド前駆体層を形成した。このとき、第1及び第2のポリイミド前駆体層を合わせた残存揮発量は30%であった。
更に、この上に、合成例(2)−2のポリアミック酸溶液を、イミド化後の厚さが3μmとなるように連続塗工して乾燥させ、第3のポリイミド前駆体層を形成した。このとき、第1,第2及び第3のポリイミド前駆体層の3層を合わせた残存揮発量は38%であった。
次に、銅箔2上に第1,第2及び第3のポリイミド前駆体層が順次積層された金属複合フィルムを230℃の連続乾燥炉にて加熱処理し、余分な溶剤を揮発させた。このとき、3層の残存揮発量は、7.9%となった。
次に、この金属複合フィルム100m分を、直径250mmのステンレス管に銅箔が内側となるように巻き取った。そして、このロール状の金属複合フィルムを窒素置換ができるバッチオーブンに入れ、オーブン内に窒素ガスを吹き込み、酸素濃度が0.1%になるまで窒素置換を行った。その後、窒素ガスを吹き込みながら昇温し、約1時間かけて350℃に到達させた。
その後、この350℃にて15分間保持して、第1、第2及び第3のポリイミド前駆体を完全にイミド化し、第1、第2及び第3のポリイミド樹脂層を形成した。その後、窒素雰囲気下で200℃まで降温し、大気中で冷却した。
そして、ロール状に巻き取られた状態でイミド化されたフィルムを解いて、最終的に、長尺状のフレキシブルプリント基板を得た。
実施例2〜実施例14及び比較例1
表3に示すように、ポリイミド樹脂層の種類や膜厚や残存揮発量を変化させた以外は、実施例1と同様にして、フレキシブルプリント基板を得た。
以上のようにして得られたフレキシブルプリント基板について、以下の評価試験を行い、その測定結果を表3及び表4に示した。
評価試験の方法
(5)残存揮発量の測定
各ポリイミド前駆体層を塗工乾燥した毎に、形成された金属複合フィルムが含有する全揮発成分の百分率で表す。
すなわち、乾燥した金属複合フィルムの重量をw0とし、イミド化して形成したフレキシブルプリント基板の重量をw1とし、イミド化後のフレキシブルプリント基板から金属箔をエッチングにより除去して得られる複合ポリイミドフィルムの重量をw2とすると、残存揮発量は、下記式(1)にて示される。
残存揮発量=(w0−w1)×100/{w0−(w1−w2)}・・(1)
よって、上記w0をポリイミド前駆体層を形成した毎にそれぞれ測定し、さらに上記ポリイミド前駆体層をイミド化させて上記w1、w2測定した。そして、測定したw0、w1、w2の値を上記式(1)に代入して、残存揮発量を求めた。
(6)接着強度の測定
各実施例のフレキシブルプリント基板をロール状に巻き戻し、巻外部、長手方向に約50mに位置する中間部及び巻芯部をサンプリングした。
そして、巻外部、中間部及び巻芯部のそれぞれについて、各部分の銅箔を1.59mm幅にエッチングによって形成し、金属箔の引きはがし強さJIS C 6471に準じて、各銅箔を基板面とは90度の垂直方向に引き剥がすことにより接着強度を測定した。
(7)寸法安定性(収縮率)の測定
片面銅張積層板の寸法安定性JIS C 6471に準じた方法に従った。詳しくは、各実施例のフレキシブルプリント基板の巻外部、中間部及び巻芯部の各部分について、210mm×210mmの大きさの標点をつけ、標点間の距離を測定する。その後、銅箔をエッチングにより除去して複合ポリイミドフィルムを作製し、この複合ポリイミドフィルムを乾燥してエッチング及び乾燥後の標点間の距離を測定し、フレキシブルプリント基板の標点間の距離との比率を計算して寸法安定性を求めた。更に、複合ポリイミドフィルムを280℃に10分間放置して加熱処理後の寸法安定性を同様にして測定した。
(8)カールの測定
フレキシブルプリント基板を100mm×100mmの大きさに切断して試験片を作製し、この試験片を常温で所定時間放置した後に、下が凸の状態で水平な板の上に載せたときの四隅の高さの平均から曲率半径を算出した。また、試験片を260℃で所定時間放置した後に、同様にしてカールの曲率半径を算出した。
また、実施例のフレキシブルプリント基板の銅箔をエッチングにより除去して複合ポリイミドフィルムを作製し、各複合ポリイミドフィルムについて、上記の方法と同様にして常温及び260℃下で放置後のカールの曲率半径を算出した。
Figure 0004126034
Figure 0004126034
以上の表4の結果から示されるように、ジイソシアネートにより部分イミド化された第1のポリイミド前駆体用ワニスを用いて第1のポリイミド樹脂層が形成されてなる実施例1〜実施例14は、銅箔との接着強度が非常に優れており、巻外部、中間部及び巻芯部における接着強度のばらつきも少ない。しかも、実施例1〜実施例14は、巻外部、中間部及び巻芯部において収縮率、即ち寸法安定性のばらつきが少ないことがわかった。
一方、ジイソシアネートにより部分イミド化されたポリイミド前駆体用ワニスを用いていない比較例1は、銅箔との接着強度が劣っており、巻外部、中間部及び巻芯部において接着強度のばらつきが大きい。しかも、比較例1は、収縮率自体も大きく、寸法
安定性に劣っており、巻外部、中間部及び巻芯部において収縮率のばらつきも大きい。
また、実施例1〜実施例14は、比較例1よりもカールが小さく抑えられてい
ることがわかった。
以上の結果から、銅箔と接する第1のポリイミド樹脂層がジイソシアネートにより既に部分イミド化されたポリイミド前駆体をイミド化することにより形成されることにより、特に、銅箔との接着強度が向上され、また、巻外部、中間部及び巻芯部において接着強度のばらつきが少なくなって品質が極力均一化されるとともに、寸法安定性が向上することが判明した。しかも、カールを小さく抑えることも可能であることが判明した。
なお、第1のポリイミド樹脂層の材料であるポリイミド前駆体の仕込みイミド化率が80モル%である実施例14は、実際にはこのポリイミド前駆体用ワニスを塗工することができなかった。このことから、実施例1〜実施例13に示されるように、第1のポリイミド樹脂層の材料であるポリアミック酸溶液の仕込みイミド化率は、10モル%〜70モル%であることが好ましいと判明した。
さらに、仕込みイミド化率が30モル%〜50モル%である実施例1〜実施例11は、仕込みイミド化率が上記の範囲外である実施例12及び実施例13よりも接着強度に優れていたり、またカールがより小さく抑えられている。このことから、第1のポリイミド樹脂層の材料であるポリアミック酸溶液の仕込みイミド化率は、30モル%〜50モル%がより好ましいと判明した。
また、第1のポリイミド樹脂層上に形成される第2のポリイミド樹脂層の熱線膨張係数が30×10−6/K以上の実施例9、実施例10及び実施例11は、第2及び第3のポリイミド樹脂層の熱線膨張係数が30×10−6/K以下である実施例1〜実施例7と比較して、カールが大きい。このことから、第1のポリイミド樹脂層上に形成される第2のポリイミド樹脂層の熱線膨張係数が30×10−6/K以上であると、カールを抑制する効果が小さくなることがわかる。よって、第1のポリイミド樹脂層上に形成される第2のポリイミド樹脂層の熱線膨張係数は、30×10−6/K未満であることがカール抑制の点でより好ましいと判明した。
本発明に係るフレキシブルプリント基板の製造方法は、導体に接する第1のポリイミド樹脂層の材料であるポリイミド前駆体として、イミド化処理を施す前に予め部分イミド化された材料を用いるため、第1のポリイミド樹脂層の材料であるポリイミド前駆体がイミド化されることによる材料収縮を小さく抑えることができる。
その結果、本発明に係るフレキシブルプリント基板の製造方法によれば、導体と第1のポリイミド樹脂層との接着強度が向上されて、しかも接着強度のばらつきが抑えられて品質が極力均一化されるとともに、カールが極力抑えられて平面性に優れた高品質なフレキシブルプリント基板を提供することができる。
本発明を適用したフレキシブルプリント基板の一例の断面図である。 本発明を適用したフレキシブルプリント基板の他の例の断面図である。 本発明を適用したフレキシブルプリント基板の製造工程のうち、銅箔を用意する工程を示す断面図である。 本発明を適用したフレキシブルプリント基板の製造工程のうち、銅箔上に第1のポリイミド前駆体層を形成する工程を示す断面図である。 本発明を適用したフレキシブルプリント基板の製造工程のうち、第1のポリイミド前駆体層上に第2のポリイミド前駆体層を形成する工程を示す断面図である。 本発明を適用したフレキシブルプリント基板の製造工程のうち、ロール化してイミド化処理を行う工程を示す斜視図である。 本発明を適用したフレキシブルプリント基板の製造工程のうち、イミド化後にロールを解いてフレキシブルプリント基板が得られた工程を示す断面図である。 従来のフレキシブルプリント基板の一例を示す断面図である。 従来のフレキシブルプリント基板を作製する際のイミド化工程を示す斜視図である。
符号の説明
1,20 フレキシブルプリント基板、 2 銅箔、3a,13a、 第1のポリイミド樹脂層、 3b,13b 第2のポリイミド系樹脂層、 13c 第3のポリイミド樹脂層

Claims (3)

  1. 8μm〜18μmの厚さを有する銅箔上に、酸無水物成分とアミン成分とが反応してなる下記の化1に示されるポリアミック酸成分と、酸無水物成分とイソシアネート成分とが反応してなる下記の化2に示されるポリイミド成分を30%〜50%の範囲で含有し予め部分的にイミド化された第1のポリイミド前駆体用ワニスを塗工して第1のポリイミド前駆体層を形成する工程と、
    上記第1のポリイミド前駆体層上に、酸無水物成分とアミン成分とが反応してなるポリアミック酸成分からなり、イミド化後の熱線膨張係数が30×10−6/K未満である第2のポリイミド前駆体用ワニスを塗工して第2のポリイミド前駆体層を形成して金属複合フィルムを作製する工程と、
    上記金属複合フィルムに熱処理を施して第1のポリイミド前駆体層及び第2のポリイミド前駆体層をイミド化することにより、第1のポリイミド樹脂層及び第2のポリイミド樹脂層を形成する工程と
    を有することを特徴とするフレキシブルプリント基板の製造方法。
    Figure 0004126034
    Figure 0004126034
  2. 上記第1のポリイミド前駆体層上に、上記第2のポリイミド前駆体用ワニスを繰り返し塗工して乾燥することにより複数層からなる第2のポリイミド前駆体層を形成することを特徴とする請求項1記載のフレキシブルプリント基板の製造方法。
  3. 上記第1のポリイミド前駆体層及び上記第2のポリイミド前駆体層をイミド化する前に、上記第1のポリイミド前駆体層のイミド化を促進しない所定温度で上記第1のポリイミド前駆体層及び上記第2のポリイミド前駆体層から溶剤を所定量揮発させる工程を有することを特徴とする請求項1記載のフレキシブルプリント基板の製造方法。
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