JP4124670B2 - 動力伝達装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、入力シャフトの回転駆動力を変速して出力シャフトに伝達する無段変速機構および有段回転伝達機構を備えて構成される動力伝達装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
このように無段変速機構および有段回転伝達機構を備えて構成される動力伝達装置は、例えば特許文献1に示されている。この特許文献1に開示の動力伝達装置(変速機)は、エンジンからの回転駆動力を受けるトルクコンバータと、このトルクコンバータの出力軸に繋がる入力シャフトと車輪側に繋がる出力シャフトとの間に並列に配設されたギヤ列(ギヤ式回転伝達機構すなわち有段回転伝達機構)およびベルト式無段変速機構とを有して構成されている。
【0003】
この特許文献1に開示の装置における動力伝達部材の配置を図8に示しており、回転軸O11を有する入力シャフトの上にベルト式無段変速機構のドライブプーリ501が配設され、回転軸O12を有する中間シャフトの上に配設されたドリブンプーリ502との間にVベルト503が掛けられており、両プーリ501,502のプーリ幅を調整する制御を行って無段変速制御が行われる。このように変速されたドリブンプーリ502の回転は、中間シャフト上に配設された出力ドライブギヤ510から出力シャフト(回転軸O13を有する)の上に配設されてこれと噛合する出力ドリブンギヤ511に伝達される。
【0004】
一方、入力シャフトには前進ロードライブギヤ505も設けられており、回転軸O13を有する出力シャフトに設けられた前進ロードリブンギヤ506と噛合しており、前進ロー変速段を設定可能である。入力シャフトにはさらに後進ドライブギヤ507が配設されており、これが後進アイドラギヤ508と噛合し、後進アイドラギヤ508は上記出力ドリブンギヤ511と噛合する。これにより後進方向の回転伝達がなされる。なお、出力シャフト上にはファイナルドライブギヤ515が設けられており、これが回転軸O14を有するディファレンシャル機構と一体に形成されたファイナルドリブンギヤ516と噛合しており、上記のように変速されて出力シャフトに伝達された回転駆動力が、これらファイナルドライブおよびドリブンギヤ515,516を介して車輪側に伝達される。
【0005】
無段変速機構および有段回転伝達機構を備えて構成される動力伝達装置としては、特許文献2に開示の構成のものもある。この装置は、ダンパーを介してエンジンと繋がる入力シャフトから出力シャフトに至る間に、ベルト式無段変速機構とギヤ列からなる有段回転伝達機構を並列に配設して構成される。有段回転伝達機構は入力シャフト上に配設された遊星歯車列から構成される前後進切換機構を備え、前後進切換設定のための前進(発進)クラッチおよび後進ブレーキが遊星歯車列に設けられている。さらに、ベルト式無段変速機構による動力伝達を選択設定するための直結クラッチが入力シャフト上に設けられている。
【0006】
【特許文献1】
特開平1−150065号公報
【特許文献2】
特開2002−48213号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のように無段変速機構と有段回転伝達機構とを組み合わせて変速機(動力伝達装置)を構成する場合、これら二つの機構を並列に配設するための組み合わせが多数考えられ、如何に効率よく且つコンパクトに配設するかということが重要である。特に、無段変速機構を構成するドライブおよびドリブンプーリや、プーリ幅調整用のドライブおよびドリブン油室構成部材は外径が大きな部品であり、これらと有段回転伝達機構の構成部品とを如何にコンパクトに配設するかが重要である。
【0008】
このような観点から見て、上記特許文献1の変速機構成(図8に示した変速機構成)の場合には、入力シャフト上に、ベルト式無段変速機構のドライブプーリと、前進ロー変速段を設定するための前進ロークラッチと、後進変速段を設定するための後退クラッチとが並列に配設されているため、入力シャフトの軸方向寸法が長くなり、変速機におけるこの入力シャフト配設部分が著しく突出するなどして、変速機をコンパクト化するのが難しいという問題がある。同様に、上記特許文献2の変速機構成の場合には、入力シャフト上に、ドライブプーリと、遊星歯車列からなる前後進切換機構と、前進(発進)クラッチと、後進ブレーキと、直結クラッチとが配設されており、変速機における入力シャフト配設部分の軸方向寸法および径方向寸法が大きくなり、変速機をコンパクト化するのが難しいという問題がある。
【0009】
本発明は、このような問題に鑑みたもので、無段変速機構および有段回転伝達機構を備えて構成される動力伝達装置において、変速機ハウジング内のスペースを有効利用できるように無段変速機構の構成部品および有段回転伝達機構の構成部品(ギヤ類)の配設位置を工夫し、小型・コンパクト化を図り易い構成の動力伝達装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
このような目的達成のため、本発明に係る動力伝達装置は、入力シャフト(例えば、実施形態におけるプライマリーシャフト1)と出力シャフト(例えば、実施形態におけるカウンターシャフト3)との間に無段変速機構(例えば、実施形態におけるベルト式無段変速機構CVT)および有段回転伝達機構を並列に備えて構成される。そして、無段変速機構が、入力シャフトの上に設けられたドライブプーリと、中間シャフト(例えば、実施形態におけるセカンダリーシャフト2)の上に設けられたドリブンプーリと、ドライブプーリおよびドリブンプーリ間に掛けられたVベルトとを有して構成され、有段回転伝達機構が、入力シャフトの回転を、中間シャフトに伝達する第1回転伝達ギヤ列(例えば、実施形態におけるLOWもしくは前進用ギヤ列)と、中間シャフトの回転を出力シャフトに伝達する第2回転伝達ギヤ列(例えば、実施形態における前進出力伝達ギヤ列)とを有して構成される。さらに、第1回転伝達ギヤ列が、ドライブプーリの側部に設けられてドライブプーリのプーリ幅制御を行うドライブ油室の背面側に配設され、第2回転伝達ギヤ列が、中間シャフト上におけるドリブンプーリと第1回転伝達ギヤ列との間に配設され、第2回転伝達ギヤ列とドライブ油室とが軸直角方向に延びる略同一平面上に位置し、無断変速機構および有段回転伝達機構を収容するハウジングが、無断変速機構および第2回転伝達ギヤ列のドライブギヤを収容する第1収容室と、第2回転伝達ギヤ列のドライブギヤを除く有段回転伝達機構を収容する第2収容室とを有して構成され、第1収容室と第2収容室とを隔成する隔成壁に形成された開口部を介して第2回転伝達ギヤ列のドライブギヤと第2回転伝達ギヤ列のドリブンギヤとが噛合する。
【0011】
以上のように動力伝達装置を構成することにより、無段変速機構と有段回転伝達機構とを並列に且つコンパクトに配置し、動力伝達装置を小型・コンパクトな構成とすることができる。特に、第2回転伝達ギヤ列を、中間シャフト上におけるドリブンプーリと第1回転伝達ギヤ列との間に配設し、第2回転伝達ギヤ列とドライブ油室とが軸直角方向に延びる略同一平面上に位置するように構成することにより、径が大きなドライブ油室の外周側空間に沿って第2回転伝達ギヤ列を配置でき、これによりドライブ油室の外周側空間を有効利用して動力伝達装置をコンパクト化することができる、とともに、第1および第2収容室内に分かれて配設される二つのギヤ(第2回転伝達ギヤ列のドライブおよびドリブンギヤ)を、開口部を介して直接噛合させることにより、このギヤ噛合部分においては隔成壁がなくなることになり、少なくともこの隔成壁の寸法分だけ軸方向寸法を小さくでき、変速機を小型・コンパクト化することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。本発明の実施形態に係る変速機(動力伝達装置)を図1〜図3に示している。この変速機は、変速機ハウジングHSG内に、トルクコンバータTC、ベルト式無段変速機構CVT、有段回転伝達機構GT、および終減速機構FGを図示のように配設して構成されている。トルクコンバータTCの入力側部材(ポンプインペラ)はエンジン(図示せず)の出力軸に繋がり、トルクコンバータTCの出力側部材(タービンランナ)にはプライマリーシャフト(入力シャフト)1が繋がっており、エンジンの出力回転がトルクコンバータTCを介してプライマリーシャフト1に伝達される。プライマリーシャフト1の回転中心軸を符号O1で示す。
【0014】
ハウジングHSG内にはプライマリーシャフト1と所定間隔を有して平行に延びるセカンダリーシャフト(中間シャフト)2が回転自在に配設されており、これらプライマリーシャフト1とセカンダリーシャフト2とに跨って、ベルト式無段変速機構CVTが配設されている。セカンダリーシャフト2の回転中心軸を符号O2で示す。このベルト式無段変速機構CVTは、プライマリーシャフト1に支持されたドライブプーリ10と、セカンダリーシャフト2に支持されたドリブンプーリ15と、ドライブプーリ10およびドリブンプーリ15間に巻き掛けられた金属Vベルト14とを備える。
【0015】
ドライブプーリ10は、プライマリーシャフト1の上に相対回転自在に配設された固定側プーリ半体11と、固定側プーリ半体11と一体回転し且つこれに対して近接・離反するように軸方向に移動可能に配設された可動側プーリ半体12とを備えて構成される。可動プーリ半体12の側面にドライブ油室13が形成されており、ドライブ油室13にドライブ制御油圧を供給して可動側プーリ半体12の軸方向移動を制御するようになっている。ドリブンプーリ15は、セカンダリーシャフト2の上に結合して配設された固定側プーリ半体16と、固定側プーリ半体16と一体回転し且つこれに対して近接・離反するように軸方向に移動可能に配設された可動側プーリ半体17とを備えて構成される。この可動プーリ半体17の側面にはドリブン油室18が形成されており、ドリブン油室18にドリブン制御油圧を供給して可動側プーリ半体17の軸方向移動を制御するようになっている。
【0016】
無段変速機構CVTにおいては、上記のようにドライブ油室13およびドリブン油室18への油圧供給を制御してドライブプーリ10およびドリブンプーリ15のプーリ幅を可変調整し、金属Vベルト14の巻き掛け半径を可変設定し、ドライブプーリ10の回転を無段階に変速してドリブンプーリ15に伝達する変速制御を行う。なお、プライマリーシャフト1の上に、ドライブプーリ10の固定側プーリ半体11の背面側に位置してCVTクラッチ21が配設されており、プライマリーシャフト1の上に相対回転自在に配設されたドライブプーリ10をCVTクラッチ21によりプライマリーシャフト1に係脱可能となっている。このようにCVTクラッチ21を無段変速機構CVTの回転伝達経路の上流側であるプライマリーシャフト1上に配設することにより、エンジンスタート時にドライブ油室13およびドリブン油室18に供給されるプーリ幅制御油圧の立ち上がり応答遅れが生じたとしても、CVTクラッチ21の係合制御を適切に行って、この応答遅れを原因とするベルトスリップの発生を防止することができる。
【0017】
なお、変速機ハウジングHSG内には、CVTクラッチ21を囲む形の凹部空間からなるクラッチ収容室7aを形成する第1隔成壁5が形成されており、クラッチ収容室7aは外部に開口している。CVTクラッチ21を配設した状態でクラッチ収容室7aを覆ってカバー5aがボルトにより固定されており、カバー5aを取り外した状態でCVTクラッチ21が外部から着脱可能となっている。変速機ハウジングHSG内にはさらに、収容室を二分割して第1収容室7bおよび第2収容室7cを形成する第2隔成壁6が設けられている。上記無段変速機構CVTは第1収容室7b内に配設されている。
【0018】
次に、有段回転伝達機構GTについて説明する。有段回転伝達機構GTは、入力ドライブギヤ31、この入力ドライブギヤ31と噛合するアイドラギヤ32、およびアイドラギヤ32と噛合するLOWドリブンギヤ33とからなるLOWギヤ列(前進用ギヤ列)を備える。入力ドライブギヤ31はプライマリーシャフト1と一体に形成されている。アイドラギヤ32は、プライマリーシャフト1と所定間隔を有して平行に延びるとともにハウジングHSGにより回転自在に支持されたアイドラシャフト4と一体に形成されている。このアイドラシャフト4の回転中心軸を符号O5で示す。入力ドリブンギヤ33は、セカンダリシャフト2の上に回転自在に配設されている。
【0019】
入力ドリブンギヤ33の内周部にワンウエイクラッチ24が配設されるとともに、入力ドリブンギヤ33に隣接してLOWクラッチ22が配設されている。このLOWクラッチ22は、ワンウエイクラッチ24を介して入力ドリブンギヤ33とセカンダリーシャフト2とを係脱自在に連結する。この結果、LOWクラッチ22を係合させると、LOWギヤ列を介して入力ドライブギヤ31からセカンダリーシャフト2への駆動方向の回転伝達が可能となるが、ワンウエイクラッチ24の作用によりこれと逆方向(エンジンブレーキが作用する方向)の回転伝達は行われない。なお、LOWクラッチ22が解放された状態では、LOWギヤ列を介した回転伝達はできない状態となる。
【0020】
有段回転伝達機構GTは、前進ドライブギヤ34およびこれと噛合する前進ドリブンギヤ35からなる前進出力伝達ギヤ列も備える。前進ドライブギヤ34はセカンダリーシャフト2に結合されて配設されており、前進ドリブンギヤ35はセカンダリーシャフト2と所定間隔を有して平行に延びるとともにハウジングHSGにより回転自在に支持されたカウンターシャフト3に結合されて配設されている。このカウンターシャフト3の回転中心軸を符号O3で示す。このため、セカンダリーシャフト2の回転は前進出力伝達ギヤ列を介してそのままカウンターシャフト3に伝達される。
【0021】
有段回転伝達機構GTはさらに、カウンターシャフト3の上に回転自在に配設されるとともに、上記アイドラギヤ32と噛合するリバースドリブンギヤ36も備える。これにより、入力ドライブギヤ31、アイドラギヤ32およびリバースドリブンギヤ36からなる後進用ギヤ列が構成される。リバースドリブンギヤ36には後進クラッチ23が設けられており、後進クラッチ23によりリバースドリブンギヤ36をカウンターシャフト3と係脱させることができる。このため、後進クラッチ23を係合させれば、後進用ギヤ列を介して回転動力伝達が行われる状態となる。
【0022】
カウンターシャフト3にはファイナルドライブギヤ37が一体に形成されており、このファイナルドライブギヤ37はファイナルドリブンギヤ38と噛合し、終減速機構FGを構成している。ファイナルドリブンギヤ38にはディファレンシャル機構40が取り付けられており、ファイナルドリブンギヤ38の回転はディファレンシャル機構40を介して左右のアクスルシャフト41,42に分割して伝達され、左右の車輪(図示せず)を駆動する。なお、これらファイナルドリブンギヤ38およびディファレンシャル機構40の回転中心軸を符号O4により示している。
【0023】
なお、有段回転伝達機構GTにおいて、前進ドライブギヤ34のみが第1収容室7b内に配設され、その他の有段回転伝達機構GTの構成部品はすべて第2収容室7c内に配設されており、終減速機構FGも第2収容室7c内に収容されている。この構成から分かるように、互いに噛合して前進出力伝達ギヤ列を構成する前進ドライブギヤ34と前進ドリブンギヤ35とが、第1収容室7bと第2収容室7cとに分かれて配設されている。
【0024】
このため、第2隔成壁6に開口部8が形成され、この開口部8を介して両ギヤ34,35が噛合するように構成されており、この噛合構成を図4および図5に示している。これら図4および図5は、第1収容室7b側から前進ドライブおよびドリブンギヤ34,35と第2隔成壁6とを見た状態を示しており、第2隔成壁6の手前側(すなわち、第1収容室7b内)に前進ドライブギヤ34が位置する。この前進ドライブギヤ34は、第2隔成壁6を貫通して延びるとともに、第2隔成壁6に取り付けられたローラベアリング2aにより回転自在に支持されたセカンダリーシャフト2にスプライン結合されて取り付けられている。
【0025】
第2隔成壁6は前進ドリブンギヤ35の側方において第1収容室7bの方に円筒状に膨らんで形成されており、この円筒状膨出部6aの内側に位置して前進ドリブンギヤ35が配設されている。なお、カウンターシャフト3の端部が円筒状膨出部6a内に取り付けられたテーパローラベアリング3aにより回転自在に支持され、前進ドリブンギヤ35はこのカウンターシャフト3にスプライン結合されて取り付けられている。円筒状膨出部6aには図示のように開口部8が形成されており、この開口部8を介して前進ドライブギヤ34が前進ドリブンギヤ35と噛合している。このように第1および第2収容室7b,7c内に分かれて配設される二つのギヤ34,35を開口部8を介して直接噛合させることにより、このギヤ噛合部分においては隔成壁がなくなることになり、少なくともこの隔成壁の寸法分だけ軸方向寸法を小さくできる。すなわち、二つの収容室7a,7b間に配設された部材を、これら二つの収容室7a,7bを仕切る隔成壁に邪魔されることなく近づけて配設して噛合させることができるため、その分、軸方向寸法を小さくして、変速機を小型・コンパクト化することができる。
【0026】
この構成について、図6および図7を参照して説明する。図6には、上記変速機における開口部8の周囲を拡大して示しており、第1および第2収容室7b,7c内に分かれて配設された前進ドライブギヤ34および前進ドリブンギヤ35が開口部8を介して互いに噛合している。一方、図7には、これと同一機構の変速機を開口部8を設けないで構成した場合、すなわち、従来構成の場合を示している。なお両図において、対応する同一形状部品には同一番号を付し、対応するが形状が相違する部品にはダッシュ記号′を付して示している。
【0027】
図7に示すように、従来構成では第2隔成壁6が存在するため、前進ドライブギヤ34が第2収容室7c内に配設され、この第2収容室7c内において前進ドライブギヤ34′および前進ドリブンギヤ35′が噛合し、その隣に第2隔成壁6′が設けられる。このため、ドリブンプーリ15の固定側プーリ半体16の背面Aから後進クラッチ23の背面Bまでの寸法が、図6に示す本発明の実施形態の構成の方が図7に示す従来の構成より短くなる。
【0028】
また、このように構成される前進出力伝達ギヤ列(すなわち、前進ドライブギヤ34および前進ドリブンギヤ35)が、プライマリーシャフト1上に配設されたドライブプーリ10のドライブ油室13を構成する部材と軸直角方向に延びる同一平面上に位置している。このように構成することにより、径が大きなドライブ油室13の外周側空間を有効利用して前進出力伝達ギヤ列を配設し、変速機をコンパクトにしている。
【0029】
一方、プライマリーシャフト1上における入力ドライブギヤ31とトルクコンバータTCとの間の部分は、ハウジングHSGと一体に形成された作動油受け渡し部9により囲まれている。この作動油受け渡し部9において、プライマリーシャフト1内を軸方向に延びて形成された油路に対する作動油の受け渡しが行われ、トルクコンバータTCへの作動油給排や、ドライブ油室13への係合制御油圧の供給が行われる。作動油受け渡し部9とLOWクラッチ22とは軸直角方向に延びる同一平面上に位置しており、比較的径方向寸法の小さな作動油受け渡し部9の外周側の空間を利用して、径寸法の大きなLOWクラッチ22を近接して配設し、変速機の小型・コンパクト化を図っている。
【0030】
以上のように構成された変速機(動力伝達装置)の変速作動について以下に説明する。エンジンからの回転駆動力はトルクコンバータTCを介してプライマリーシャフト1に伝達されるが、CVTクラッチ21、LOWクラッチ22および後進クラッチ23が解放された状態ではこの回転駆動力はカウンターシャフト3に伝達されず、ニュートラル状態となる。
【0031】
ニュートラル状態からLOWクラッチ22を係合させると、プライマリーシャフト1の回転駆動力は、LOWギヤ列(入力ドライブギヤ31、アイドラギヤ32およびLOWドリブンギヤ33)を介してセカンダリーシャフト2に伝達され、さらに、前進出力伝達ギヤ列(前進ドライブギヤ34および前進ドリブンギヤ35)を介してカウンターシャフト3に伝達される。そして、終減速機構FGを介して左右の車輪に伝達されてこれが駆動される。すなわち、LOWレンジが設定される。なお、LOWレンジにおいては、ワンウエイクラッチ24の作用により、車輪駆動方向の回転駆動力は伝達されるが、これと逆方向の回転駆動力は伝達されない。
【0032】
次に、CVTクラッチ21を係合させると、プライマリーシャフト1の回転駆動力はドライブプーリ10に伝達される。この状態で、ドライブ油室13およびドリブン油室18への供給油圧を制御してドライブプーリ10およびドリブンプーリ15のプーリ幅を可変制御し、無段変速制御が行われる。これにより、ドリブンプーリ15の回転が無段階に変速制御されてセカンダリーシャフト2に伝達され、さらに、前進出力伝達ギヤ列を介してカウンターシャフト3に伝達され、終減速機構FGを介して左右の車輪に伝達されてこれが駆動される。すなわち、CVTレンジ(前進無段変速レンジ)が設定される。
【0033】
一方、ニュートラル状態から、後進クラッチ23を係合させると、プライマリーシャフト1の回転駆動力は後進用ギヤ列(入力ドライブギヤ31、アイドラギヤ32およびリバースドリブンギヤ36)を介してカウンターシャフト3に伝達される。このとき、カウンターシャフト3の回転方向は、上記LOWレンジおよびCVTレンジのときと逆方向であり、この回転駆動力が終減速機構FGを介して左右の車輪に伝達されてこれが後進方向に駆動される。すなわち、後進レンジが設定される。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、有段回転伝達機構を構成する第1回転伝達ギヤ列が、ドライブプーリの側部に設けられてドライブプーリのプーリ幅制御を行うドライブ油室の背面側に配設され、第2回転伝達ギヤ列が、中間シャフト上におけるドリブンプーリと第1回転伝達ギヤ列との間に配設され、第2回転伝達ギヤ列とドライブ油室とが軸直角方向に延びる略同一平面上に位置するように構成されているので、無段変速機構と有段回転伝達機構とを並列に且つコンパクトに配置し、動力伝達装置を小型・コンパクトな構成とすることができる。特に、第2回転伝達ギヤ列を、中間シャフト上におけるドリブンプーリと第1回転伝達ギヤ列との間に配設し、第2回転伝達ギヤ列とドライブ油室とが軸直角方向に延びる略同一平面上に位置するように構成することにより、径が大きなドライブ油室の外周側空間に沿って第2回転伝達ギヤ列を配置でき、これによりドライブ油室の外周側空間を有効利用して動力伝達装置をコンパクト化することができる、とともに、第1および第2収容室内に分かれて配設される二つのギヤ(第2回転伝達ギヤ列のドライブおよびドリブンギヤ)を、開口部を介して直接噛合させることにより、このギヤ噛合部分においては隔成壁がなくなることになり、少なくともこの隔成壁の寸法分だけ軸方向寸法を小さくでき、変速機を小型・コンパクト化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る変速機の内部構成を示す断面図である。
【図2】上記変速機の軸配列位置を示す側面概略図である。
【図3】上記実施形態に係る変速機の動力伝達経路構成を示すスケルトン図である。
【図4】上記変速機における第2隔成壁に形成された開口部周辺を示す部分断面側面図である。
【図5】上記変速機における第2隔成壁に形成された開口部周辺を示す部分断面斜視図である。
【図6】上記変速機における第2隔成壁に形成された開口部周辺の構造を示す断面図である。
【図7】図7と同一機構構成を第2隔成壁に開口部を形成せずに構成した場合の構造を示す断面図である。
【図8】従来の変速機の動力伝達経路構成を示すスケルトン図である。
【符号の説明】
1 プライマリーシャフト(入力シャフト)
2 セカンダリーシャフト(中間シャフト)
3 カウンターシャフト(出力シャフト)
6 第2隔成壁
7b 第1収容室
7c 第2収容室
8 開口部
10 ドライブプーリ
13 ドライブ油室
14 Vベルト
15 ドリブンプーリ
31 入力ドライブギヤ(第1回転伝達ギヤ列)
32 アイドラギヤ(第1回転伝達ギヤ列)
33 LOWドリブンギヤ(第1回転伝達ギヤ列)
34 前進ドライブギヤ(第2回転伝達ギヤ列)
35 前進ドリブンギヤ(第2回転伝達ギヤ列)
CVT ベルト式無段変速機構
GT 有段回転伝達機構
Claims (1)
- 入力シャフトと出力シャフトとの間に無断変速機構および有段回転伝達機構を並列に有して構成され、
前記無断変速機構が、
前記入力シャフトの上に設けられたドライブプーリと、中間シャフトの上に設けられたドリブンプーリと、前記ドライブプーリおよび前記ドリブンプーリ間に掛けられたVベルトとを有して構成され、
前記有段回転伝達機構が、
前記入力シャフトの回転を、前記中間シャフトに伝達する第1回転伝達ギヤ列と、前記中間シャフトの回転を前記出力シャフトに伝達する第2回転伝達ギヤ列とを有して構成され、
前記第1回転伝達ギヤ列が、前記ドライブプーリの側部に設けられて前記ドライブプーリのプーリ幅制御を行うドライブ油室の背面側に配設され、
前記第2回転伝達ギヤ列が、前記中間シャフト上における前記ドリブンプーリと前記第1回転伝達ギヤ列との間に配設され、
前記第2回転伝達ギヤ列と前記ドライブ油室とが軸直角方向に延びる略同一平面上に位置し、
前記無断変速機構および前記有段回転伝達機構を収容するハウジングが、前記無断変速機構および前記第2回転伝達ギヤ列のドライブギヤを収容する第1収容室と、前記第2回転伝達ギヤ列のドライブギヤを除く前記有段回転伝達機構を収容する第2収容室とを有して構成され、
前記第1収容室と前記第2収容室とを隔成する隔成壁に形成された開口部を介して前記第2回転伝達ギヤ列のドライブギヤと前記第2回転伝達ギヤ列のドリブンギヤとが噛合することを特徴とする動力伝達装置。
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