JP3692053B2 - 変速機の油圧制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、変速機ハウジング内にオイルポンプおよび油圧制御バルブを配設して構成される変速機の油圧制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
変速機の変速制御を油圧力を用いて行う構成は従来から良く知られており、変速機にはこの変速制御のための油圧制御装置が設けられている。このような油圧制御装置はオイルポンプおよび油圧制御バルブから構成され、これらを変速機ハウジング内に配設する構成が知られている。例えば、特開平3−121370号公報には、変速機ハウジングの後端面に油圧制御バルブを設けるとともにこの油圧制御バルブを覆うサイドカバーを変速機ハウジングの後端面に取り付け、さらに、変速機ハウジングの前部にオイルポンプを配設した油圧制御装置構成が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような油圧制御装置構成では、オイルポンプと油圧制御バルブとが変速機ハウジング内において別々に且つ離れて配設されているため、オイルポンプからの吐出油を油圧制御バルブに供給するための油路を変速機ハウジング内に形成する必要があり、油路構成が複雑化しやすいという問題がある。また、この油路長が長くなりがちで、油路抵抗が増加し、圧損が大きくなってポンプ駆動効率が低下するという問題もある。
【0004】
なお、バルブボディによりポンプケーシング部を構成し、このポンプケーシング部内にアウターロータ、インナーロータ等を配設することも考えられている。しかしながら、バルブボディは軽量化のためアルミ系材料から構成されるのに対し、オイルポンプは強度要求から鉄系部材により構成されており、バルブボディによりポンプケーシング部を構成する場合にその材料が問題となる。例えば、バルブボディをアルミ系材料から作った場合、これと一体に形成されるポンプケーシング部の強度不足が問題となる。さらに、アルミ系材料のポンプケーシング内に鉄系材料のロータ部材を配設したときに熱膨張率の差を許容するためにロータとケーシングの隙間を大きくする必要があるため、ポンプ効率(容積効率)が低下するという問題がある。一方、バルブボディを鉄系材料で作ればこのような問題は解消できるが、全体重量が大きくなり、変速機の重量が増加するという問題が生じる。
【0005】
本発明はこのような問題に鑑み、変速機ハウジング内にオイルポンプおよび油圧制御バルブをコンパクトに且つ隣接して配設することができ、バルブボディをアルミ系材料で構成するとともにオイルポンプを鉄系材料で構成できるような油圧制御装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このような目的達成のため、本発明に係る変速機の油圧制御装置は、変速機ハウジング(例えば、実施形態における第1ハウジングH1)の内壁面(例えば、実施形態における第1ハウジングH1の側端面S1)に接合配設された油圧制御バルブボディ(例えば、実施形態における第1油圧制御バルブ60のバルブボディ)と、この油圧制御バルブボディに接合配設されたオイルポンプと、変速機ハウジング内に回転自在に配設されたポンプ駆動軸(例えば、実施形態における変速機入力軸1)とを備えて構成される。そして、オイルポンプが、油圧制御バルブボディに接合されるポンプケーシングと、ポンプケーシング内に配設されたアウターロータおよびインナーロータとから構成され、ポンプ駆動軸がポンプケーシング内に挿入されてインナーロータと嵌合接続され、ポンプ駆動軸によりインナーロータを回転駆動させるように構成されており、このポンプ駆動軸がポンプケーシングに軸方向に貫通形成された挿入孔内に挿入配設されたベアリングにより回転自在に支持されている。さらに、オイルポンプは変速機ハウジングの底部に形成されたオイルタンクから油圧制御バルブボディ内に形成された吸入油路(例えば、実施形態における吸入油路61)を介して作動油を吸入してバルブボディとの接合部に繋がって油圧制御バルブボディに形成された吐出油路を介して油圧制御バルブボディ内に作動油を供給するように構成されている。
【0007】
変速機の油圧制御装置をこのように構成すれば、オイルポンプを油圧制御バルブボディに直接接合して配設するため、オイルポンプから油圧制御バルブへの油の供給が簡単であり、且つ圧損が少なく効率の良いオイルポンプ駆動が可能である。また、変速機ハウジングに油圧制御バルブボディを取り付け、この油圧制御バルブボディにオイルポンプを取り付ける構成であるため、取り付け構成が簡単で且つ全体としてコンパクトな油圧制御装置を得ることができる。
【0008】
なお、ポンプケーシング、アウターロータおよびインナーロータを鉄系材料から構成し、バルブボディをアルミ系材料から構成するのが好ましい。これにより十分な強度を有するオイルポンプを構成することができるとともに、熱膨張の影響を受けることが無いため容積効率の高いオイルポンプを構成することができる。また、ポンプケーシングに比較して大型化するバルブボディはアルミ系材料を用いて軽量化でき、油圧制御装置全体を軽量コンパクトにすることができる。
【0009】
また、変速機ハウジングの内壁面にポンプ収容凹部を形成し、この内壁面に油圧制御バルブボディが接合配設された状態で、油圧制御バルブボディに接合配設されたオイルポンプがポンプ収容凹部内に収容されるように構成するのが好ましい。これにより、オイルポンプを変速機ハウジングの内壁面より内側に配設して、コンパクトな構成の油圧制御装置を得ることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。図1および図2に本発明に係る油圧制御装置を備えたベルト式無段変速機CVTを示している。このベルト式無段変速機CVTは、エンジンENGの出力軸Esとカップリング機構CPを介して繋がる変速機入力軸1と、この変速機入力軸1と平行に配設された変速機カウンタ軸2と、変速機入力軸1および変速機カウンタ軸2の間を繋いで配設された金属Vベルト機構10と、変速機入力軸1上に配設された遊星歯車式の前後進切換機構20と、変速機カウンタ軸2上に配設された発進クラッチ機構40と、出力伝達ギヤ列6a,6b,7a,7bおよびディファレンシャル機構8とを変速機ハウジング内に備える。また、変速機入力軸1上に位置してオイルポンプ50が配設されている。
【0011】
なお、変速機ハウジングは第1〜第4ハウジングH1〜H4をボルト結合して構成されており、第1ハウジングH1内にカップリング機構CPが配設され、第1および第2ハウジングH1,H2に囲まれた空間内に発進クラッチ40、出力伝達ギヤ列6a,6b,7a,7b、ディファレンシャル機構8等が配設され、第2および第3ハウジングH2,H3に囲まれた空間内に金属Vベルト機構10が配設され、第3および第4ハウジングH3,H4に囲まれた空間内に前後進切換機構20が配設されている。
【0012】
金属Vベルト機構10は、変速機入力軸1上に配設された駆動側プーリ11と、変速機カウンタ軸2上に配設された従動側プーリ16と、両プーリ11,16間に巻き掛けられた金属Vベルト15とから構成される。駆動側プーリ11は、変速機入力軸1上に回転自在に配設された固定プーリ半体12と、この固定プーリ半体12に対して軸方向に移動可能で一体回転する可動プーリ半体13とからなり、駆動側シリンダ室14に供給される油圧力により可動プーリ半体13を軸方向に移動させる制御がなされる。一方、従動側プーリ16は、変速機カウンタ軸2に固定された固定プーリ半体17と、この固定プーリ半体17に対して軸方向に移動可能で一体回転する可動プーリ半体18とからなり、従動側シリンダ室19に供給される油圧力により可動プーリ半体18を軸方向に移動させる制御がなされる。
【0013】
このため、上記両シリンダ室14,19への供給油圧を適宜制御することにより、可動プーリ半体13,18に作用する軸方向移動力を制御し、両プーリ11,16のプーリ幅を変化させることができる。これにより、金属Vベルト15の両プーリ11,16に対する巻き掛け半径を変化させて変速比を無段階に変化させる制御を行うことができる。
【0014】
前後進切換機構20は、変速機入力軸1に繋がるサンギヤ21と、サンギヤ21と噛合する複数のピニオンギヤ22aを回転自在に保持するとともにサンギヤ21と同軸上を回転自在なキャリア22と、ピニオンギヤ22aと噛合するとともにサンギヤ21と同軸上を回転自在なリングギヤ23とを有したシングルピニオンタイプの遊星歯車機構からなり、キャリア22を固定保持可能な後進ブレーキ25と、サンギヤ21とリングギヤ23とを係脱自在に繋げる前進クラッチ30とを備える。なお、後進ブレーキ25および前進クラッチ30はその詳細構造説明は省略するが、作動油圧の給排制御により係脱制御が行われる。
【0015】
このように構成された前後進切換機構20において、後進ブレーキ25が解放された状態で前進クラッチ30を係合させると、サンギヤ21とリングギヤ23とが結合されて一体回転する状態となり、サンギヤ21、キャリア22およびリングギヤ23の全てが変速機入力軸1と一体回転して、駆動プーリ11が変速機入力軸1と同方向(前進方向)に回転駆動される状態となる。一方、前進クラッチ30を解放させて後進ブレーキ25を係合させると、キャリア22が固定保持され、リングギヤ23はサンギヤ21と逆の方向に回転され、駆動プーリ11が変速機入力軸1とは逆方向(後進方向)に回転駆動される状態となる。
【0016】
以上のようにして、変速機入力軸1の回転が前後進切換機構20により切換されて駆動側プーリ11が前進方向もしくは後進方向に回転駆動されると、この回転が金属Vベルト機構10により無段階に変速されて変速機カウンタ軸2に伝達される。変速機カウンタ軸2には発進クラッチ40が配設されており、この発進クラッチ40により出力伝達ギヤ6aへの駆動力伝達制御が行われる。このように発進クラッチ40により制御されて出力伝達ギヤ6aに伝達された回転駆動力は、この出力伝達ギヤ6aを有する出力伝達ギヤ列6a,6b,7a,7bおよびディファレンシャル機構8を介して左右の車輪(図示せず)に伝達される。このため、発進クラッチ40による係合制御を行えば、車輪に伝達される回転駆動力制御が可能であり、例えば、発進クラッチ40により車両発進制御を行うことができる。なお、発進クラッチ40はその詳細説明を省略するが、作動油圧の供給制御によりその係合制御を行う構成の油圧作動クラッチである。
【0017】
以上のように構成された無段変速機において、上述したように、金属Vベルト機構10を構成する駆動側シリンダ室14および従動側シリンダ室19への作動油の給排制御を行って無段変速制御が行われ、前後進切換機構20を構成する前進クラッチ30および後進ブレーキ25への作動油給排制御により前後進切換制御が行われ、発進クラッチ40への作動油圧供給制御により発進制御が行われる。このような制御のため、作動油の供給を行うオイルポンプ50と、オイルポンプ50からの油の給排制御を行う油圧制御バルブ(第1油圧制御バルブ60、セパレータプレート70および第2油圧制御バルブ80から構成される)とが設けられている。なお、第1および第2油圧制御バルブ60,80はいずれもアルミ系材料製のハウジングを有して構成される。
【0018】
オイルポンプ50は図1に示すように変速機入力軸1の上に取り付けられおり、この部分を拡大して図3に示している。また、オイルポンプ50が変速機入力軸1の上に組み付けられる前の状態、すなわちポンプ単体での構成を図4に示している。変速機ハウジングを構成する第1ハウジングH1の側端面(図1および図3における左側端面)S1に第1油圧制御バルブ60が接合して配設されており、この第1油圧制御バルブ60の側端面(図1および図3における右側端面)S2にオイルポンプ50が接合して配設されている。なお、第1ハウジングH1の側端面S1を図5に示している。上記第1油圧制御バルブ60の上にはセパレータプレート70と第2油圧制御バルブ80とが図示のように重なって接合配設されている。
【0019】
このように第1ハウジングH1の側端面S1の上に接合配設された第1油圧制御バルブ60の側端面にオイルポンプ50を接合配設した状態では、オイルポンプ50は第1ハウジングH1の側端面S1より内側(図1および図3における右側)に突出する。このため、オイルポンプ50を収容するためのポンプ収容凹部D1が第1ハウジングH1に形成されている。なお、このポンプ収容凹部D1は図5におけるハッチングを施した部分に形成されている。これにより、オイルポンプ50を変速機ハウジング内にコンパクトに配設することができる。
【0020】
オイルポンプ50は、ロータ受容凹部51aを有したポンプケーシング51と、ロータ受容凹部51aにより形成される空間内に外周部が回転自在に受容保持されたアウターロータ52と、このように受容保持されたアウターロータ52のインターナルトロコイド歯52aに囲まれた空間内に配設されたインナーロータ53と、このようにアウターロータ52およびインナーロータ53をロータ受容凹部51a内に配設した状態でこれらを覆ってポンプケーシング51にボルト56により取り付けられたポンプカバー54とを備えて構成される。なお、これらポンプケーシング51、アウターロータ52、インナーロータ53およびポンプカバー54は鉄系材料(鋳鉄、鋼など)から作られている。さらに、ポンプケーシング51にはリング状受け部51cを有して軸方向に貫通形成された挿入孔51bが形成されており、この挿入孔51b内にベアリング55が挿入配設されている。
【0021】
ベアリング55は軸方向外側端面がリング状受け部51cに当接して位置決めされており、この状態でベアリング55の軸方向内側端部55aがロータ受容凹部51a内に突出する。そして、このように突出する軸方向内側端部55aを受容するリング状の嵌入凹部53bがインナーロータ53の側端面に形成されている。この結果、オイルポンプ50が図4に示すように単体で組み立てられた状態において、インナーロータ53がベアリング55の軸方向内側端部55aの外周にガイドされ、ベアリング55と同心となるようにセンタリングされて回転自在に保持される。一方、アウターロータ52を回転自在に受容保持するロータ受容凹部51aはベアリング55の中心に対して偏心しており、アウターロータ52はポンプケーシング51により偏心してセンタリングされる。この結果、アウターロータ52の内周側インターナルトロコイド歯52aがインナーロータ53の外周側エクスターナルトロコイド歯53aと偏心状態で噛合する。
【0022】
ポンプカバー54には図4(B)に示すように吸入ポート開口54a,54bと吐出ポート開口54c,54dとが形成されている。さらに、ポンプケーシング51には吸入ポート開口54a,54bに連通する吸入ポート空間51dと、吐出ポート開口54c,54dに連通する吐出ポート空間51eとが形成されている。これら吸入ポート空間51dおよび吐出ポート空間51eはベアリング55の挿入孔51bの外周側に設けられている。このように、ベアリング55の挿入孔51bのために軸方向に厚くなる部分を利用して吸入ポート空間51dおよび吐出ポート空間51eを設けることにより、オイルポンプ50の幅方向寸法が大きくなることを防止している。
【0023】
ポンプカバー54にはベアリング55と同心に位置する貫通孔54eが軸方向に貫通して形成されており、変速機入力軸1が貫通孔54eを通ってベアリング55内に挿入するようにしてオイルポンプ50が変速機入力軸1の上に取り付けられる。このとき上述のようにインナーロータ53がベアリング55によりセンタリングされて保持されているため、変速機入力軸1上へのオイルポンプ50の取付作業を簡単に行うことができる。この状態で、ポンプケーシング51およびポンプカバー54が第1油圧制御バルブ60の側端面S2にボルト結合されて取り付けられ、変速機入力軸1はベアリング55により回転自在に支持される。さらに、変速機入力軸1に形成されたエクスターナルスプライン1aがインナーロータ53の内径部に形成されたインターナルスプライン53cと嵌合し、変速機入力軸1とインナーロータ53とが一体回転する状態となる。
【0024】
なお、ポンプケーシング51およびポンプカバー54が第1油圧制御バルブ60の側端面S2にボルト結合されて取り付けられた状態で、吸入ポート開口54a,54bおよび吐出ポート開口54c,54dにそれぞれ対向する吸入油路61および吐出油路(図示せず)が第1油圧制御バルブ60に形成されている。この吸入油路61は、図1に示すように、変速機ハウジングの底部に形成されたオイルタンク空間内に配設されたストレーナSTと第1油圧制御バルブ60を介して繋がっており、ストレーナSTから吸入油路61を介してオイルタンク空間内の作動油を吸入するようになっている。
【0025】
以上のように構成されたベルト式無段変速機CVTにおいて、エンジンENGにより変速機入力軸1が回転駆動されると、変速機入力軸1とともにインナーロータ53が回転され、インナーロータ53の外周側エクスターナルトロコイド歯53aとアウターロータ52の内周側インターナルトロコイド歯52aとが偏心状態で噛合したままアウターロータ52が一緒に回転される。この結果、ストレーナSTおよび吸入油路61を通って吸入ポート開口54a,54bおよび吸入ポート空間51dから作動油が吸入され、吐出ポート開口54c,54dおよび吐出ポート空間51eに作動油が吐出される。
【0026】
ここで、上述のように第1油圧制御バルブ60にはポンプカバー54との接合部において吐出ポート開口54c,54dに連通する図示しない吐出油路が形成されており、上記のようにして吐出された作動油は吐出ポート開口54c,54dから吐出油路を通って第1油圧制御バルブ60内に供給される。そして、第1制御バルブ60、セパレータプレート70および第2制御バルブ80により金属Vベルト機構10による変速制御、前後進切換機構20の作動制御および発進クラッチ40の作動制御を行う制御油圧が作られる。
【0027】
但し、本実施形態に係るベルト式無段変速機CVTにおいては、図6に示すように、第2ハウジングH2の上面に第3油圧制御バルブ85が配設されており、上記第1油圧制御バルブ60および第2油圧制御バルブ80等に加えて第3油圧制御バルブ85により上記制御油圧が作られて、上述の各制御が行われる。第3油圧制御バルブ85は変速機の外面に配設されるものであるため、ソレノイドバルブ等のような電気制御部品や、作動点検、部品交換等が要求されることが多い部品などが主としてこの第3油圧制御バルブ85に搭載される。
【0028】
なお、図6にはベルト式無段変速機CVTを第1ハウジングH1およびこれに取り付けられた部品を取り外した状態でエンジン側から見て示しており、変速機入力軸1の軸心位置を符号O1で示し、変速機カウンタ軸2の軸心位置を符号O2で示し、出力伝達ギヤ6b,7aが設けられたシャフトの軸心位置を符号O3で示し、ディファレンシャル機構8の軸心位置を符号O4で示している。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、オイルポンプを油圧制御バルブボディに直接接合して配設する構成であるため、オイルポンプから油圧制御バルブボディ内への油の供給が簡単であり、且つ圧損が少なく効率の良いオイルポンプ駆動が可能である。また、変速機ハウジングに油圧制御バルブボディを取り付け、この油圧制御バルブボディにオイルポンプを取り付け、ポンプケーシング内に挿入されてインナーロータと嵌合接続されてインナーロータを回転駆動するポンプ駆動軸がポンプケーシングに軸方向に貫通形成された挿入孔内に挿入配設されたベアリングにより回転自在に支持されており、さらに、オイルポンプは変速機ハウジングの底部に形成されたオイルタンクから油圧制御バルブボディ内に形成された吸入油路を介して作動油を吸入してバルブボディとの接合部に繋がって油圧制御バルブボディに形成された吐出油路を介して油圧制御バルブボディ内に作動油を供給する構成であるため、取り付け構成が簡単で且つ全体としてコンパクトな油圧制御装置を得ることができる。
【0030】
なお、ポンプケーシング、アウターロータおよびインナーロータを鉄系材料から構成し、バルブボディをアルミ系材料から構成するのが好ましい。これにより十分な強度を有するオイルポンプを構成することができるとともに、熱膨張の影響を受けることが無いため容積効率の高いオイルポンプを構成することができる。また、バルブボディはアルミ系材料を用いて軽量化でき、油圧制御装置全体を軽量コンパクトにすることができる。
【0031】
また、変速機ハウジングの内壁面にポンプ収容凹部を形成し、この内壁面に油圧制御バルブボディが接合配設された状態で、油圧制御バルブボディに接合配設されたオイルポンプがポンプ収容凹部内に収容されるように構成するのが好ましい。これにより、オイルポンプを変速機ハウジングの内壁面より内側に配設して、コンパクトな構成の油圧制御装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るオイルポンプ構造を有したベルト式無段変速機の断面図である。
【図2】上記無段変速機の動力伝達経路構成を示す概略図である。
【図3】上記無段変速機においてオイルポンプ取付部を拡大して示す断面図である。
【図4】上記オイルポンプ単体の構成を示す側面図および断面図である。
【図5】第1ハウジングにおける第1油圧制御バルブボディが接合配設される端面を示す端面図である。
【図6】上記無段変速機を第1ハウジングを取り外した状態で示す側面図である。
【符号の説明】
1 変速機入力軸(ポンプ駆動シャフト)
50 オイルポンプ
51 ポンプケーシング
52 アウターロータ
53 インナーロータ
54 ポンプカバー
60 第1油圧制御バルブ
D1 ポンプ収容凹部
H1〜H4 第1〜第4ハウジング(変速機ハウジング)
Claims (3)
- 変速機ハウジングの内壁面に接合配設された油圧制御バルブボディと、前記油圧制御バルブボディに接合配設されたオイルポンプと、前記変速機ハウジング内に回転自在に配設されたポンプ駆動軸とを備え、
前記オイルポンプが、前記油圧制御バルブボディに接合されるポンプケーシングと、前記ポンプケーシング内に配設されたアウターロータおよびインナーロータとから構成され、前記ポンプ駆動軸が前記ポンプケーシング内に挿入されて前記インナーロータと嵌合接続され、前記ポンプ駆動軸により前記インナーロータを回転駆動させるように構成されており、
前記ポンプ駆動軸が前記ポンプケーシングに軸方向に貫通形成された挿入孔内に挿入配設されたベアリングにより回転自在に支持され、
前記オイルポンプは前記変速機ハウジングの底部に形成されたオイルタンクから前記油圧制御バルブボディ内に形成された吸入油路を介して作動油を吸入して前記油圧制御バルブボディとの接合部に繋がって前記油圧制御バルブボディに形成された吐出油路を介して前記油圧制御バルブボディ内に作動油を供給するように構成されていることを特徴とする変速機の油圧制御装置。 - 前記ポンプケーシング、前記アウターロータおよび前記インナーロータを鉄系材料から構成し、前記油圧制御バルブボディをアルミ系材料から構成したことを特徴とする請求項1に記載の油圧制御装置。
- 前記変速機ハウジングの前記内壁面にポンプ収容凹部が形成されており、前記内壁面に前記油圧制御バルブボディが接合配設された状態で、前記油圧制御バルブボディに接合配設された前記オイルポンプが前記ポンプ収容凹部内に収容されるように構成されていることを特徴とする請求項1もしくは2に記載の油圧制御装置。
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