JP4124652B2 - トランスミッションブレーキ - Google Patents

Description

本発明は、モータ手段により駆動方向に駆動される回転部材のための、モータ手段が逆方向に回転する程度にのみ回転部材の逆方向への回転を可能にするトランスミッションブレーキに関する。

モータ手段は、通常、電気モータであって良く、回転部材はそこから延出する軸であって良い。上記のモータが駆動方向に駆動されると、その回転は軸に伝達される。モータの励起が停止されると、軸の逆方向への回転は阻止される。すなわち、軸はその方向に係止される。モータが逆方向に駆動された場合に限り、軸はその方向に回転する。
＜発明＞
上記の機能を実現するためのトランスミッションブレーキは、本発明によれば、回転部材と非回転ハウジングとの間にあるクラッチ手段と、モータ手段ではなく、回転部材が逆方向に回転したとき、クラッチ手段の係合を実現するランプ手段とを特徴とする。

このトランスミッションブレーキの典型的な使用場所は、主にバス、トラック及びトレーラーなどの大型道路走行用車両の電気ブレーキであるが、レール走行用車両にも適用可能である。現時点における開発は、大型道路走行用車両並びにレール走行用車両において圧縮空気の使用を減らし、電力をより多く使用する方向に向かっている。従って、ブレーキを作動させるために電力を使用する可能性を論じることは極めて当然である。

電気ブレーキの場合、ブレーキを駆動する手段、すなわち、ブレーキをかける手段として通常は電気モータが使用される。一方向、すなわち、駆動方向に駆動されると、モータはブレーキをかける。ブレーキは、通常、ディスクブレーキ又はブロックブレーキであれば良い。ディスクブレーキの場合、ブレーキライニングがブレーキディスクに当接されて制動する。従って、ブレーキはモータの回転運動をブレーキライニングの直線運動に変換する手段を具備していなければならない。

このように、電気モータはブレーキをかけるために駆動方向に駆動され、ブレーキを解除するときは逆方向に駆動される。ブレーキが所望の程度までかけられたならば、通常はモータにそれ以上の電流は供給されなくなり、ブレーキ解除のためにモータが逆方向に駆動されるまで、ブレーキはかかった状態のままである。

トランスミッションブレーキ又はカップリングの目的は、この機能を実現することである。解除方向へのモータの回転はトランスミッションブレーキ又はカップリングの係止を解除し、モータ軸の回転を可能にする。

以下、添付の図面を参照して本発明を更に詳細に説明する。

＜図１から図５による第１の実施例＞
カバー２を有するモータハウジング１の内部に固定子３が装着されている。軸４は第１の軸受５によりハウジング１に軸支されていると共に、第２の軸受６によりカバー２に軸支されている。軸４の、ハウジング１から延出する端部には歯車７が設けられている。この歯車７は、詳細には説明しない電気ディスクブレーキ構造のその他の部分に結合するためのものである。

軸４には、軸に軸支され、以下に更に説明するランプリング８と、その外側に同軸に位置する回転子９とが設けられている。電力が供給されると、固定子３と回転子９は協働して、軸４をブレーキをかけるための方向又はブレーキを解除するための逆の方向のいずれか一方へ回転駆動する電気モータを形成する。

ドライバピン１０は軸４を貫通している。このピン１０は実際にはいくつかの部品から構成されているが、１つのユニットとしてみなされる。しかし、ピンの両端部には弾性スリーブ１０'が設けられている。図４に最も明瞭になるように図示されている通り、ランプリング（ramp ring)８にはピン１０に対応する凹部が設けられており、ランプリング８は軸４に回転自在に配置されている。すなわち、軸４とランプリング８との間には一定の回転遊隙１１が存在している。

スプラインリング１２は軸４上に一方向継手１３を介して配置されている。ブレーキディスク１４はスプラインリング１２とスプライン係合しており、摩擦材料１４'を具備している。摩擦材料は、カバー２内で圧縮ばね１５によりばね軸受１６を介して、カバー２に対して回転係止状態である薄板１７に当接するように偏向されている。圧縮ばね１５はサラ座金の形態を有していても良い。

ランプリング８とランプスリーブ１９との間にはローラ１８（図２及び図５）が配置され、図２に指示するように、これらの部品にある対応するランプ面８'及び１９'の間で作用している。ランプスリーブ１９は、ドライバピン１０に対応する凹部１９"により軸４に対して回転係止されている（図３）。

軸４に対してランプリング８が回転されると、ローラ１８はランプ面８'及び１９'に沿って転がり、上って行くので、ブレーキディスク１４とランプスリーブ１９との間の遊隙２０がそのために利用され、ばね１５は圧縮される。すなわち、摩擦材料１４'と薄板１７との間の摩擦が消滅する。これにより、反力は軸方向の軸受２１で受け取られる。

＜機能＞
電気モータがブレーキをかけるための方向に回転すると、ランプリング８は軸４を伴って動く。軸４は一方向継手１３の非係止方向に回転する。

電気モータが停止し、ランプリング８のトルクが消滅して、軸４が逆方向、すなわち、ブレーキ解除方向に回転しようとすると、この回転は一方向継手１３及びブレーキディスク１４により阻止される。

ブレーキ解除のために電気モータが逆方向に回転されると、ランプリング８は遊隙１１の中を回転運動するので、ローラ１８はランプ面８'及び１９'に沿って転がって上り、ブレーキディスク１４上の摩擦材料１４'と薄板１７との間の摩擦は消滅する。最後に、ブレーキディスク１４、従って、軸４はブレーキ解除方向に回転できるようになる。

＜図６から図８による第２の実施例＞
第２の実施例は第１の実施例と類似する点を数多く有するが、この場合、トランスミッションブレーキは電気モータに組み込まれていない。従って、対応する部分に対しては、同じ図中符号に「Ａ」を追加して図中符号を使用する。

そこで、ハウジング１Ａ、カバー２Ａ、固定子３Ａ、カバー軸受６Ａ及び回転子９Ａを認識できる。軸４Ａはねじ９Ａ'によって回転子９Ａに回転運動自在に装着され、歯車７Ａを有する。

ランプリング８Ａは回転子９Ａに配置され、軸４Ａは軸ハブ４Ａ'を具備している。図８に示すように、円筒形のドライバ要素１０Ａは軸ハブＡ'に配置され、軸４Ａ（むしろ、そのハブ４Ａ'）とランプリング８Ａとの間に一定の回転遊隙１１Ａが存在するように、ランプリング８Ａにある凹部へ延出している。ドライバ要素１０Ａは弾性である。

先に述べた通り、この第２のトランスミッションブレーキは電気モータの外側に配置されており、従って、独自のハウジング１Ａ'を有していなければならず、ハウジングは図示されない方法により固定保持されている。

ハウジング１Ａ'内部には次に示す部品が認識できるが、その構造は異なっている。すなわち、スプラインリング１２Ａ、一方向継手１３Ａ、スプラインリング１２Ａに結合されたブレーキディスク１４Ａ、圧縮ばね１５Ａ、軸受１６Ａ、ハウジング１Ａ'に結合された薄板１７Ａ、ローラ１６Ａ、１９Ａ"で示す箇所で軸ハブ４Ａ'に対して回転係止されたランプスリーブ１９Ａ、ランプスリーブ１９Ａとブレーキディスク１４Ａ（図６の右側の最も遠い１つのディスクを除く）を貫通するプッシュピン２２Ａとの間に形成された軸方向遊隙２０Ａ、及び軸方向軸受２１Ａである。

ここで説明する第２の実施例の機能は第１の実施例の機能に対応している。

本発明によるトランスミッションブレーキの第１の実施例を有する電気モータの断面図である。 トランスミッションブレーキの主要な部分の側面図である。 トランスミッションブレーキの図２に対して９０°回転させた別の側面図である。 図３の線ＩＶ−ＩＶに沿ったトランスミッションブレーキの断面図である。 図１にほぼ対応しているが、９０°回転させ且つ電気モータのいくつかの部分を省略した断面図である。 本発明によるトランスミッションブレーキの第２の実施例を有する電気モータの断面図である。 図６にほぼ対応しているが、縮小した側面図である。 図６の線ＶＩＩＩ−ＶＩＩＩに沿った断面図である。

Claims (7)

1. モータ手段（３、９；３Ａ、９Ａ）により駆動方向に駆動される回転部材（４；４Ａ）のためのトランスミッションブレーキにおいて、前記モータ手段が逆方向に回転する程度だけ前記回転部材の逆方向への回転を可能にするトランスミッションブレーキであって、
   前記回転部材（４；４Ａ）と非回転ハウジング（１、２；１Ａ'）との間のクラッチ手段（１４、１７；１４Ａ、１７Ａ）と、前記モータ手段（３、９；３Ａ、９Ａ）ではなく、前記回転部材が前記逆方向に回転したとき、前記クラッチ手段の解放を実現するランプ手段（８、１０、１８、１９；８Ａ、１０Ａ、１８Ａ、１９Ａ）と、を備え、前記クラッチ手段（１４、１７；１４Ａ、１７Ａ）は、係合状態となるようにばね（１５；１５Ａ）で偏向されていることを特徴とするトランスミッションブレーキ。
2. 前記クラッチ手段（１４、１７；１４Ａ、１７Ａ）は、モータ軸である前記回転部材（４；４Ａ）に結合された、少なくとも１つのブレーキディスク（１４；１４Ａ）と、前記ハウジング（１，２；１Ａ）に結合された、少なくとも１つの薄板（１７；１７Ａ）と、を具備することを特徴とする請求項１に記載のトランスミッションブレーキ。
3. 少なくとも１つの前記ブレーキディスク（１４；１４Ａ）は、一方向継手（１３；１３Ａ）を介して前記軸（４；４Ａ）に結合されたスプラインリング（１２；１２Ａ）とスプライン係合していることを特徴とする請求項２に記載のトランスミッションブレーキ。
4. 前記モータ（３、９；３Ａ、９Ａ）の回転子（９；９Ａ）に結合されるようにして、ランプリング（８；８Ａ）の傾斜ランプ面（８'、１９'）の間に配設される複数のローラ（１８；１８Ａ）と、前記ばね（１５；１５Ａ）の偏向に抗して前記クラッチ手段（１４、１７；１４Ａ、１７Ａ）の係合を解除するランプスリーブ（１９；１９Ａ）と、が配置されていることを特徴とする請求項１乃至３のいずれか１項に記載のトランスミッションブレーキ。
5. 前記ランプリング（８；８Ａ）と前記軸（４；４Ａ）との間に回転遊隙（１１；１１Ａ）を設けたことを特徴とする請求項４に記載のトランスミッションブレーキ。
6. 前記軸（４）を貫通するドライバピン（１０）は、前記軸（４）に回転自在に配置された前記ランプリング（８）の半径方向端面にある凹部と係合していることを特徴とする請求項５に記載のトランスミッションブレーキ。
7. 軸ハブ（４Ａ'）から半径方向に突出するドライバ要素（１０Ａ）は、前記ランプリング（８Ａ）にある周囲凹部と係合しており、前記軸（４Ａ）は前記軸ハブ（４Ａ'）と共に前記回転子（９Ａ）に対して回転自在に配置され、かつ前記ランプリング（８Ａ）は回転子（９Ａ）に結合されていることを特徴とする請求項５に記載のトランスミッションブレーキ。

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