WO2005005167A1

WO2005005167A1 - 車両用駆動装置及びそのディスクブレーキ装置

Info

Publication number: WO2005005167A1
Application number: PCT/JP2004/009639
Authority: WO
Inventors: Tsutomu Ueda; Seishi Morishita; Takeshi Nishikawa
Original assignee: Tcm Corporation
Priority date: 2003-07-11
Filing date: 2004-07-07
Publication date: 2005-01-20

Abstract

　車両用駆動装置１は、車両のホイール２を支持するホイールハブ３と、モータの回転出力をホイールハブ３に伝達する駆動シャフト６とを備えており、駆動シャフト６の先端部の軸心位置には、固定ボルト１１の螺合用のねじが形成されており、ホイールハブ３には、駆動シャフト６の先端部が挿入されるシャフト挿入孔が形成されている。駆動シャフト６の先端部をホイールハブ３のシャフト挿入孔に挿入して駆動シャフト６とホイールハブ３とをスプライン結合し、固定ボルト１１をホイールハブ３の外側から駆動シャフト６の先端部のねじに螺合してホイールハブ３を駆動シャフト６から抜止した。ホイールハブ３の脱着作業は、ホイールハブ３の外側から固定ボルト１１を取外し及び螺合するだけで容易に行える。

Description

技術分野

[0001] 本発明は、車両のホイールを支持するホイールハブをモータの回転出力を用いて回転駆動する車両用駆動装置に関するものである。

また、本発明は、例えば、フォークリフトなどの車両用駆動装置に用いられるデイスクブレーキ装置に関するものであり、特に、車両用駆動装置のハウジング内にブレー明

キディスクが収納されたディスクブレーキ装置に関するものである。

田

背景技術

[0002] 従来から、モータの回転出力を平歯車減速機、及び遊星歯車減速機により減速し、その減速した回転出力を駆動シャフトを介してホイールハブに伝達して、ホイ一ノレハブを回転駆動する車両用駆動装置がある。この種の車両用駆動装置は、一般に、平歯車減速機、遊星歯車減速機、及び駆動シャフトがハウジング内に収納されており、ホイールハブがハウジング内部から駆動シャフトに連結された構成になっている。平歯車減速機は、モータのシャフトに連結されるピニオン平歯車と、このピニオン平歯車に嚙合される大平歯車とを有している。遊星歯車減速機は、平歯車減速機の大平歯車の回転に応じて大平歯車の回転軸と同軸上を自転する太陽歯車と、太陽歯車の周囲のハウジングに設けられたリング歯車と、太陽歯車及びリング歯車に嚙合されて太陽歯車の自転により太陽歯車の周囲を公転する遊星歯車と、この遊星歯車の公転により太陽歯車の自転軸と同軸上を自転する遊星キャリアとを有している。また、ホイールハブとハウジングとの間には、ハブベアリングが設けられている。

このような車両用駆動装置は、ホイールハブと一体にホイールシャフトを形成すると共に、駆動シャフトの軸心部にシャフト揷入孔を形成し、ホイールシャフトをシャフト揷入孔に揷入してホイールハブを駆動シャフトに連結したものが知られている（例えば、特許文献 1及び特許文献 2参照)。これら特許文献 1及び特許文献 2に記載の装置では、ホイールハブと駆動シャフトとをスプライン結合により連結し、ホイールハブの内側から（すなわちハウジング内部にて）ホイールシャフトの先端部にナットを螺合することによりホイールハブを駆動シャフトから抜止した構成となっている。また、駆動シャフトを遊星キャリアと一体に形成した構成となっている。

また、ホイールノ、ブと駆動シャフトとを特許文献 1及び特許文献 2に記載の装置と同様に連結し、ホイールノヽブの内側からホイールシャフトの先端部にボルトを螺合してホイールハブを駆動シャフトから抜止した構成も知られている。

ところ力上述した従来の車両用駆動装置においては、ホイールハブの内側からホィールシャフトにナット又はボルトを螺合することによりホイールハブの抜止を行っているため、ホイールハブを脱着するには、ホイールハブの内側力、らナット又はボルトを操作する必要がある。このため、ホイールハブの脱着作業が煩雑であり、ホイールハブとハウジングとの間に設けられるハブベアリングのメンテナンスが煩雑である。また、特許文献 1及び特許文献 2に示されるように、この種の車両用駆動装置では、ホイールハブの回転を制動するブレーキに湿式ディスクブレーキを用レ、、この湿式ディスクブレーキを平歯車減速機の大平歯車と遊星歯車減速機のリング歯車との間に配置している。

特許文献 1に記載の装置では、湿式ディスクブレーキは、インナーディスクとァウタ一ディスクとプレツシャプレートとを備えており、これらが大平歯車と遊星歯車減速機との間に配置された構成となっている。インナーディスクとアウターディスクとは大平歯車の回転軸方向に交互に重ね合わせられており、インナーディスクは大平歯車に連結されていて大平歯車と共に回転し、一方、アウターディスクは回転しないようにリング歯車を経てハウジングに連結されている。プレツシャプレートは、大平歯車に連結されていて大平歯車と共に回転し、プレピストンによって押圧されることにより、インナ一ディスク及びアウターディスクを相互に押し付けるようになつている。

特許文献 2に記載の装置では、湿式ディスクブレーキは、インナーディスクとァウタ一ディスクとを備えており、これらが大平歯車と遊星歯車減速機との間に配置された構成となっている。特許文献 1に記載の装置と同様に、インナーディスクとアウターデイスクとは大平歯車の回転軸方向に交互に重ね合わせられており、インナーディスクは大平歯車に連結されており、アウターディスクはリング歯車を経てハウジングに連結されている。大平歯車は、プレピストンによって押圧されることにより、インナーディスク及びアウターディスクを相互に押し付けるようになつている。

特許文献 1及び特許文献 2の何れに記載の装置も、平歯車減速機の大平歯車と遊星歯車減速機の太陽歯車とは別部材であり、これら大平歯車と太陽歯車とをボルトで連結固定した構成となっている。

ところが、上述した従来の車両用駆動装置においては、平歯車減速機の大平歯車と遊星歯車減速機のリング歯車との間に湿式ディスクブレーキを配置している。すなわち、大平歯車と遊星歯車減速機との間に湿式ディスクブレーキを配置するためのエリアを設けて、そのエリアに湿式ディスクブレーキを配置している。このため、大きなハウジングが必要となり、車両用駆動装置が大型化していた。また、プレツシャプレートが回転するため、プレツシャプレートを押圧するプレピストンとの間に摩耗が発生する。

さらに、従来から、車両用駆動装置に用いられるディスクブレーキ装置の省スぺース化を図るために工夫がなされており、ブレーキディスクをギヤハウジングの内側に収納したディスクブレーキ装置が知られている（例えば、特許文献 3参照）。このようなディスクブレーキ装置は、ブレーキディスクがギヤハウジングの内側に収納されているため余計なスペースが不要になる。特許文献 3に記載のディスクブレーキ装置においては、ギヤハウジングの外側から内側に貫通して設けられたプレスピンを挟んで、ギヤハウジングの内側にブレーキディスクが配置され、かつ、ギヤハウジングの外側に運転者のブレーキ操作により作動する液圧シリンダ及びこれと一体的に形成されたレバーが配置されており、液圧シリンダのシリンダピストンがギヤハウジングを押圧することによりレバーが回動し、プレピストンをギヤハウジングの内方に押圧し、ブレーキディスクを作動させる。そのため、ギアハウジングを分解せずに消耗品である液圧シリンダを修理交換することができる。

しかし、特許文献 3に記載のディスクブレーキ装置においては、液圧シリンダとレバ一が一体的に形成されているため、液圧シリンダに不具合が生じた場合には、レバ一部分に不具合がなくてもレバー全体を交換しなければならず、不必要な修理コストが生じていた。また、液圧シリンダがピン支持されていないため、シリンダピストン作動時にシリンダピストンの先端がギヤハウジング表面を移動して作動抵抗が大きいという問題があった。

一方、二輪車用のドラムブレーキ装置において、ブレーキシュ一を作動させるためのアームと液圧シリンダとを別部材として構成したものが知られている（例えば、特許文献 4参照）。しかし、特許文献 4に記載のドラムブレーキ装置は、ブレーキドラムとブレーキシュ一の隙間調整機構に関するものであって、車両用駆動装置に取り付けられるブレーキの省スペース化を意図するものではなレ、。さらに、特許文献 4に記載のドラムブレーキ装置においては、シリンダピストンは、運転者によりブレーキ操作がされるとアーム上を摺動しながらアームを押圧することになる力このときシリンダピストンとアームの当接角度が変化するため、適切な当接角度を維持することができない。そのため、シリンダピストンの運動をアームに効果的に伝達することが難しぐまた、シリンダピストンの半径方向に負荷が力、かるため、シリンダピストンの寿命が短くなる虞力 Sある。

特許文献 1： DE4321699C1

特許文献 2 : USP5, 147, 255

特許文献 3： DE4011304C1

特許文献 4：特開平 10— 203464号公報

発明の開示

本発明の目的は、ホイールハブの脱着作業が容易に行える車両用駆動装置を提供することである。

本発明の別の目的は、コンパクトなハウジング内に大きな減速比を持つ駆動機構とブレーキを組み込むことができると共に、プレツシャプレートとプレピストンとの間に摩耗が生じない車両用駆動装置を提供することである。

本発明のさらに別の目的は、車両用駆動装置のハウジング内にブレーキディスクが収納されたディスクブレーキ装置において、液圧シリンダを単独で分解修理又は交換可能で、かつ、シリンダピストンの運動を効果的にレバーに伝達することができるデイスタブレーキ装置を提供することである。

上記目的を達成するために第 1発明は、車両のホイールを支持するホイールハブを備え、原動機の回転出力を用いてホイールノヽブを回転駆動する車両用駆動装置において、原動機の回転出力をホイールノ、ブに伝達する駆動シャフトを備え、駆動シャフトは、該駆動シャフトのホイール側先端部にボルト螺合用のねじを有して成り、ホイールハブは、駆動シャフトのホイール側先端部が挿入されるシャフト挿入孔を有して成り、駆動シャフトのホイール側先端部の外周面及びホイールハブのシャフト揷入孔の内周面には、駆動シャフトとホイールノ、ブとを結合するスプラインが設けられ、ホイールハブの外側からねじに固定ボルトを螺合することによりホイールハブを駆動シャフトから抜止して駆動シャフトに固定したものである。

この構成においては、ホイールハブの取外しは、固定ボルトを駆動シャフトから取外して、ホイールハブを駆動シャフトから抜き取ることにより行われる。また、ホイールノ、ブの装着は、ホイールハブを駆動シャフトに嵌め込み、固定ボルトを駆動シャフトに螺合することにより行われる。固定ボルトの取外し及び螺合は、ホイールハブの外側力、ら行われる。すなわち、ホイールハブの脱着作業は、ホイールハブの外側から固定ボルトを取外し及び螺合するだけで容易に行える。

第 2発明は、第 1発明の車両用駆動装置において、原動機の回転出力を減速する遊星歯車減速機を駆動シャフトと原動機との間にさらに備え、該遊星歯車減速機は、原動機の回転出力が伝達される太陽歯車と、太陽歯車に嚙合されて太陽歯車の自転により太陽歯車の周囲を公転する遊星歯車と、遊星歯車を支持して遊星歯車の公転により太陽歯車の自転軸と同軸上を自転する遊星キャリアとを有して成り、駆動シャフトは、遊星キャリアと一体であり、ねじは、駆動シャフトの軸心に設けられており、固定ボルトは一本であり、該一本の固定ボルトをねじに螺合することによりホイールハブを駆動シャフトに固定したものである。

この構成においては、駆動シャフトが遊星キャリアと一体であるため、駆動シャフトと遊星キャリアとを連結固定する作業が不要であり、組立て作業が簡素化される。また、駆動シャフト及び遊星キャリアの強度が高まる。また、固定ボルトが駆動シャフトに一本取付けとされているため、一本の固定ボルトを取外し及び螺合するだけで、容易にホイールノヽブの脱着作業を行える。

また、上記目的を達成するために第 3発明は、車両のホイールを支持するホイールハブを備え、原動機の回転出力を用いてホイールノヽブを回転駆動する車両用駆動装置において、原動機の回転出力を減速してホイールノヽブに伝達する歯車減速機と、ホイールハブの回転を制動するブレーキとを備え、歯車減速機は、原動機の出力力 Sインプットされるピニオン歯車と、このピニオン歯車に嚙合される大歯車とを有し、ブレーキは、大歯車の回転軸方向において大歯車のフランジ部に隣接して配置されるブレーキディスクと、ブレーキディスクをフランジ部に押し付けるプレツシャプレートとを有し、ブレーキディスクをフランジ部に押し付けて大歯車の回転を減速することによりホイールハブの回転を制動するものである。

この構成においては、プレツシャプレート及びブレーキディスクを大歯車の内側に配置することが可能となり、ブレーキディスク及びプレツシャプレートを配置するための別途のエリアをなくすることができる。これにより、歯車減速機を有する大きな減速比を持つ駆動機構とホイールノ、ブの回転を制動するブレーキとをコンパクトなハウジング内に組み込むことができる。また、プレツシャプレートをハウジングに固定することが可能となり、これにより、プレツシャプレートは、プレツシャプレートを押圧するプレピストン（回転しなレ、）と摩擦することがなレ、。

第 4発明は、第 3発明の車両用駆動装置において、ブレーキディスク及びプレツシャプレートは、大歯車の内側に配置されており、ブレーキディスクは、大歯車のフランジ部から大歯車の回転軸方向に交互に重ねて配置される複数のインナーブレーキディスクとアウターブレーキディスクとを有して成り、インナーブレーキディスクは、大歯車の内側にあって、歯車減速機のハウジングカバーに固定されている支持部材に支持されており、アウターブレーキディスクは、大歯車の内周面に取付けられているものである。

この構成においては、大歯車の内側のスペースがブレーキディスク及びプレツシャプレートを配置するためのエリアとして利用されているため、ブレーキディスク及びプレツシャプレートを配置するためのエリアを別途設ける必要がなレ、。これにより、歯車減速機を有する大きな減速比を持つ駆動機構とホイールノヽブの回転を制動するブレ一キとをコンパクトなハウジング内に組み込むことができる。

第 5発明は、第 4発明の車両用駆動装置において、歯車減速機の回転出力を減速してホイールハブに伝達する遊星歯車減速機をさらに備え、遊星歯車減速機は、大歯車の回転に応じて大歯車の回転軸と同軸上を自転する太陽歯車と、太陽歯車に嚙合されて太陽歯車の自転により太陽歯車の周囲を公転する遊星歯車と、遊星歯車を支持して遊星歯車の公転により太陽歯車の自転軸と同軸上を自転する遊星キヤリァとを有し、遊星キャリアの回転出力がホイールハブに伝達されるものであり、大歯車のフランジ部が太陽歯車と一体であるものである。

この構成においては、大歯車のフランジ部が太陽歯車と一体であるため、大歯車と太陽歯車とを連結固定する作業が不要であり、組立作業が簡素化される。また、大歯車及び太陽歯車の強度が高まる。

第 6発明は、第 4発明の車両用駆動装置において、プレツシャプレートに開けられた孔にプレツシャプレートの回転を拘束するメンバーが揷入されているものである。この構成においては、プレツシャプレートの孔にメンバーが揷入されることによりプレッシャプレートの回転が拘束されるため、プレツシャプレートの回転を拘束するための構造が簡単であり、組立作業が簡素化される。また、プレツシャプレートが回転しないため、プレツシャプレートは、プレツシャプレートを押圧するプレピストン（回転しなレ、）と摩擦することがない。

第 7発明は、第 4から第 6発明のいずれかの車両用駆動装置において、大歯車のフランジ部は大歯車の歯車部と別部材で構成されており、歯車部とフランジ部とがボルトにより結合されているものである。

この構成においては、大歯車のフランジ部と歯車部とは別部材で構成されているため、フランジ部と歯車部は別々の鍛造加工により製造され、各々の鍛造型の構造は簡単なものとなる。

上記目的を達成するために第 8発明は、ギヤハウジングの内側に配置され、外部から加えられる力により作動するブレーキディスクと、ギヤハウジングの外側から内側に貫通して設けられ、ギヤハウジングの外側から内方に押圧されることにより移動して前記ブレーキディスクを作動させるブレーキ作動ピストンと、ギヤハウジングの外側に設けられ、運転者のブレーキ操作に基づいてシリンダピストンが往復動する液圧シリンダと、ギヤハウジングに設けられた軸回りに回動自在で、前記シリンダピストンの動作を前記ブレーキ作動ピストンに伝達するレバーとを備えたディスクブレーキ装置において、前記液圧シリンダと前記レバーとは別部材で分離して構成され、前記液圧シリンダは、ギヤハウジングの外側にシリンダ支持ピンで回動可能に取り付けられ、前記レバーの回動動作に追従して該液圧シリンダの向きが変わるものである。

この構成においては、液圧シリンダとレバーとは別部材で分離して構成されているため、液圧シリンダに不具合が生じた場合には液圧シリンダを単独で分解修理又は交換すること力 Sできる。また、液圧シリンダは、ギヤハウジングの外側に支持ピンで回動自在に取り付けられ、レバーの回動動作に追従して向きが変わるため、シリンダピストンをレバーに適切な角度で当接させて、運転者のブレーキ操作を効果的にレバ一に伝達することができると共に、シリンダピストンの半径方向の負荷を小さくすることができる。また、シリンダピストンはギヤハウジング表面を摺動しないため、ブレーキ作動時の摩擦がなぐ作動が円滑で磨耗が生じない。

第 9発明は、第 8発明のディスクブレーキ装置において、前記液圧シリンダがシリンダ本体の中間に前記シリンダ支持ピンを有するものである。

この構成においては、液圧シリンダとしてトラニオン型シリンダが用いられているため、液圧シリンダとその支持部分をコンパクトにすることができる。すなわち、液圧シリンダとギヤハウジングの間に液圧シリンダを支持する支持ピンを設けると液圧シリンダとその支持部分の全長が長くなるが、トラニオン型シリンダにおいては、シリンダの両側に設けられた一対の支持ピンで液圧シリンダが支持されるため液圧シリンダとその支持部分の全長を短くすることができる。

第 10発明は、第 8又は第 9発明のディスクブレーキ装置において、運転者によって操作されるブレーキワイヤによるブレーキ作動機構をさらに有するものである。

この構成においては、運転者はブレーキワイヤを操作することにより、ディスクブレーキ装置をパーキングブレーキとして使用することができる。

図面の簡単な説明

[図 1]本発明の第 1実施形態に係る車両用駆動装置の概略構成を示す断面図。

[図 2]同車両用駆動装置の構成を示す一部破断した斜視図。

[図 3]同車両用駆動装置のホイールノヽブと駆動シャフトとの連結構造を示す分解斜視図。 [図 4]本発明の第 2実施形態に係る車両用駆動装置の概略構成を示す断面図。

[図 5]本発明の第 3実施形態に係る車両用駆動装置のディスクブレーキ装置部分の全体図。

[図 6]ベルクランクとハウジングカバーを水平方向に外から見た図。

園 7]液圧シリンダとベルクランクの断面図。

[図 8]同装置のブレーキ解放状態を示す図。

[図 9]同装置の制動状態を示す図。

[図 10]パーキングブレーキ用ワイヤの取付図。

[図 11]本発明の第 3実施形態の変形例を示す断面図。

符号の説明

1 車両用駆動装置

2 ホイール

3 ホイールハブ

4 平歯車減速機

5 遊星歯車減速機

6 駆動シャフト

7 湿式ディスクブレーキ

8 ハウジング

9 ノヽ

10 モータシャフト

11 固定ボルト

12 リテーナプレート

13 ボルトキャップ

15 ハブベアリング

16 タイヤ

31 シャフト揷入孔

32 係合溝

41 ピニオン平歯車大平歯車

大平歯車のフランジ部

大平歯車の歯車部

ストッパ

太陽歯車

遊星歯車

遊星キャリア

ボルト螺合用のねじ

係合凸部

ブレーキディスク

プレツシャプレート

インナーブレーキディスク

アウターブレーキディスク

ディスク支持部材

突出メンバー

孔

プレピストン

ディスクブレー^

ブレーキディスク

a インナーブレ ^

b アウターブレーキディスク

プレピストン（ブレーキ作動ピストン）ベルクランク（レバー）ギヤハウジング

ワイヤ接続部

シリンダ支持ピン

ブレーキワイヤ発明を実施するための最良の形態

[第 1実施形態]

<全体構成 >

以下、本発明を具体化した実施形態について図面を参照して説明する。図 1及び図 2において、車両用駆動装置 1は、車両のホイール 2を支持するホイールハブ 3を原動機であるモータ（モータシャフト 10のみを図示している）の回転出力を用いて回転駆動するものである。この車両用駆動装置 1は、モータの回転出力を平歯車減速機 4、及び遊星歯車減速機 5により減速し、その減速した回転出力を駆動シャフト 6を介してホイールハブ 3に伝達することによりホイールハブ 3を回転駆動し、また、湿式ディスクブレーキ 7によりホイールノヽブ 3の回転を制動する。平歯車減速機 4、遊星歯車減速機 5、駆動シャフト 6、及び湿式ディスクブレーキ 7は、ハウジング 8内に収納されており、ホイールハブ 3は、ハウジング 8の外部力ら駆動シャフト 6に連結されている。ハウジング 8は、ハウジングカバー 9によりカバーされている。

く平歯車減速機〉

平歯車減速機 4は、モータの回転出力を減速するものであり、ピニオン平歯車 41と、大平歯車 42とを有している。ピニオン平歯車 41は、モータの回転出力を大平歯車 42に伝達するものであり、モータシャフト 10に連結されている。大平歯車 42は、ピニオン平歯車 41に嚙合されており、ピニオン平歯車 41の回転に応じて回転する。大平歯車 42の回転出力は、ピニオン平歯車 41と大平歯車 42とのギア比に応じてピニォン平歯車 41の回転出力を減速したものとなる。この大平歯車 42は、シャフト部 45及びフランジ部 46が歯車部 47と別部材で構成されている。また、フランジ部 46には、後述のブレーキディスク 71が押し付けられるストッノ 48が設けられている。ストッノ 48 は、歯車部 47に大平歯車 42の回転軸方向に移動可能なように拘束されており、フランジ部 46と共に回転する。歯車部 47とフランジ部 46とは、ボルト 49により連結固定されている。

平歯車減速機 4は、ピニオン平歯車 41の回転出力をギア比に応じて減速して大平歯車 42の回転出力とし、これにより、ピニオン平歯車 41に伝達されるモータシャフト 1 0の回転出力を減速する。く遊星歯車減速機 >

遊星歯車減速機 5は、大平歯車 42の回転出力（すなわち平歯車減速機 4により減速されたモータの回転出力）を減速するものであり、太陽歯車 51と、遊星歯車 52と、リング歯車 53と、遊星キャリア 54とを有している。太陽歯車 51は、大平歯車 42の回転出力を遊星歯車 52に伝達するものであり、大平歯車 42のシャフト部 45及びフランジ部 46と一体に形成されており、大平歯車 42の回転に応じて大平歯車 42の回転軸と同軸上を自転する。

遊星歯車 52は、太陽歯車 51及びリング歯車 53に嚙合されている。リング歯車 53は、ハウジング 8に固定されている。遊星歯車 52は、太陽歯車 51及びリング歯車 53に嚙合されてレ、ることにより、太陽歯車 51の自転に応じて太陽歯車 51の周囲を公転する。遊星歯車 52の公転出力は、太陽歯車 51の自転出力を減速したものとなる。遊星キャリア 54は、遊星歯車 52を太陽歯車 51の周囲に公転可能に支持した構造となつており、遊星歯車 52の公転に応じて太陽歯車 51の自転軸と同軸上を自転する。遊星キャリア 54の自転出力は遊星歯車 52の公転方向と同じに（従って太陽歯車 51の自転出力を減速したものと）なる。遊星キャリア 54とハウジング 8との間には、キャリアベアリング 59が設けられている。

遊星歯車減速機 5は、太陽歯車 51の自転出力を用いて遊星歯車 52を公転させ、遊星歯車 52の公転出力を遊星キャリア 54の自転出力とすることにより、太陽歯車 51 の自転出力を減速して遊星キャリア 54の自転出力とし、これにより、太陽歯車 51に伝達される大平歯車 42の回転出力（すなわち平歯車減速機 4により減速されたモータの回転出力）を減速する。

<駆動シャフト >

駆動シャフト 6は、遊星キャリア 54の自転出力（すなわち遊星歯車減速機 5により減速されたモータの回転出力）をホイールハブ 3に伝達するものである。この駆動シャフト 6は、遊星キャリア 54と一体に形成されている。ホイールハブ 3と駆動シャフト 6とは、固定ボルト 11及びリテーナプレート 12を用いて連結固定されてレ、る。このホイールハブ 3と駆動シャフト 6との連結構造の詳細については後述する。リテーナプレート 12には、固定ボルト 11の頭部を覆うようにボルトキャップ 13が装着されている。ホイブ 3とハウジング 8との間には、ハブベアリング 15が設けられている。ホイールハブ 3 は、駆動シャフト 6の回転により回転駆動され、ホイール 2及びタイヤ 16を回転させる

<ディスクブレーキ装置 >

湿式ディスクブレーキ 7は、ホイールハブ 3の回転を制動するものであり、平歯車減速機 4の大平歯車 42の内側に配置されており、複数枚のブレーキディスク 71と、プレッシャプレート 72とを有している。複数枚のブレーキディスク 71は、複数枚のインナーブレーキディスク 73と、複数枚のアウターブレーキディスク 74とから構成されており、各インナーブレーキディスク 73とアウターブレーキディスク 74と力大平歯車 42の回転軸方向に交互に重ね合わせられて、ストッパ 48に隣接する位置に配置されている。ストツバ 48は、上述のように大平歯車 42の歯車部 47に軸方向に移動可能なように拘束されている。

インナーブレーキディスク 73は、ハウジングカバー 9に固定されているディスク支持部材 75に支持されており、アウターブレーキディスク 74は、大平歯車 42の歯車部 47 の内周面に支持されている。インナーブレーキディスク 73は回転せず、アウターブレーキディスク 74は大平歯車 42と共に回転する。インナーブレーキディスク 73及びァウタ一ブレーキディスク 74は、どちらも大平歯車 42の回転軸方向に移動可能に支持されており、各インナーブレーキディスク 73とアウターブレーキディスク 74との間にはオイルが介在されている。なお、ディスク支持部材 75は、ボルト 76によりハウジング力バー 9に固定されており、ディスク支持部材 75と大平歯車 42のシャフト部 45との間には平歯車用ベアリング 77が設けられている。

プレツシャプレート 72は、ブレーキディスク 71をストッパ 48に押し付けるものである。このプレツシャプレート 72は、プレピストン 85によりハウジングカバー 9の外部から押圧されることにより、ストッパ 48に向かって移動し、ブレーキディスク 71をストッノ 48に押し付けるようになつている。ハウジングカバー 9と一体に形成された突出メンバー 81 がプレツシャプレート 72に形成された孔 82に揷入されており、これにより、プレツシャプレート 72は、大平歯車 42の回転軸方向に移動可能に支持されていると共に、プレ

-ト 72の回転が拘束されてレ、る。湿式ディスクブレーキ 7は、プレピストン 85によりプレツシャプレート 72が押圧されると、プレツシャプレート 72によりブレーキディスク 71をストッパ 48に押し付け、これにより、各インナーブレーキディスク 73とアウターブレーキディスク 74との間に摩擦力が生じ、この摩擦力により大平歯車 42の回転を減速して、ホイールハブ 3の回転を制動する。

<ホイールハブと駆動シャフトとの連結構造 >

次に、ホイールノヽブ 3と駆動シャフト 6との連結構造について、図 3を参照して説明する。ホイールハブ 3は、中央部にシャフト揷入孔 31が形成されており、シャフト揷入孔 31の内周面には、駆動シャフト 6の先端部をスプライン結合するための複数の係合溝 (スプライン溝） 32が形成されている。各係合溝 32は、駆動シャフト 6の揷入方向に伸びている。一方、駆動シャフト 6は、先端部の軸心位置にボルト螺合用のねじ 61が形成されており、先端部の外周面には、ホイールハブ 3をスプライン結合するための複数の係合凸部（スプライン） 62が形成されている。各係合凸部 62は、駆動シャフト 6の軸方向に伸びている。

ホイールハブ 3は、係合溝 32が駆動シャフト 6の係合凸部 62と係合した状態に駆動シャフト 6に嵌め込まれて、駆動シャフト 6と連結される。ホイールハブ 3と駆動シャフト 6とは、係合溝 32と係合凸部 62とが係合することにより、軸心周りの相互の回転が規制されたスプライン結合となる。

また、ホイールハブ 3は、固定ボルト 11がリテーナプレート 12を介して駆動シャフト 6 のボルト螺合用のねじ 61に螺合されることにより、駆動シャフト 6から抜止された状態となる。なお、ボルトキャップ 13が固定ボルト（座付きボルト） 11の頭部を覆うようにリテーナプレート 12に装着されて、固定ボルト 11の弛み、破損等が防止される。ボルトキヤップ 13は、金属又はプラスチックにより形成されており、弾性力によってリテーナブレート 12に嵌着される。このようなホイールノヽブ 3と駆動シャフト 6との連結構造により、駆動シャフト 6が回転すると、その回転出力がホイールハブ 3に伝達されて、駆動シャフト 6と共にホイールハブ 3が回転する。

<ホイールハブの着脱 >

このような構成の車両用駆動装置 1によれば、ホイールハブ 3の取外しは、ボルトキヤップ 13を外し、固定ボルト 11をホイールハブ 3の外側から（すなわちハウジング 8の外部から）取外して、ホイールノ、ブ 3を駆動シャフト 6から抜き取ることにより行われる。また、ホイールハブ 3の装着は、ホイールハブ 3を駆動シャフト 6に嵌め込み、固定ボルト 11をホイールハブ 3の外側力螺合し、ボルトキャップ 13を取付けることにより行われる。このように、ホイールハブ 3の脱着作業は、固定ボルト 11をホイールハブ 3の外側から取外し及び螺合することにより容易に行われる。

また、固定ボルト 11が駆動シャフト 6に一本取付けとされているため、一本の固定ボノレト 11を取外し及び螺合するだけで、容易にホイールノヽブ 3の脱着作業が行われる。また、駆動シャフト 6が遊星キャリア 54と一体であるため、組立て作業が簡素化されると共に駆動シャフト 6及び遊星キャリア 54の強度が高まる。

<ディスクブレーキ装置の特徴 >

また、このような構成の車両用駆動装置 1によれば、大平歯車 42の内側にブレーキディスク 71及びプレツシャプレート 72が配置されているため、ブレーキディスク 71及びプレツシャプレート 72を配置するためのエリアを別途設ける必要がない。これにより、ハウジング 8をコンパクトにして、平歯車減速機 4、遊星歯車減速機 5、及び湿式デイスクブレーキ 7を組み込むことができる。また、ハウジングカバー 9と一体の突出メンバー 81をプレツシャプレート 72の孔 82に挿入することによりプレツシャプレート 72の回転を拘束しているため、プレツシャプレート 72の回転を拘束するための構造が簡単であり、湿式ディスクブレーキ 7の組み込み作業が簡素化される。さらに、プレツシャプレート 72が回転しないので、プレツシャプレート 72とプレピストン 85との間には摩擦がなぐ摩耗が生じない。

また、大平歯車 42のフランジ部 46が太陽歯車 51と一体であるため、組立作業が簡素化されると共に大平歯車 42及び太陽歯車 51の強度が高まる。また、大平歯車 42 のフランジ部 46と歯車部 47とは別部材で構成されているため、フランジ部 46と歯車部 47は各々簡単な構造の鍛造型により製造され、これにより、大平歯車 42を簡単な構造の鍛造型を用いて作製することができる。

[第 2実施形態]

次に、本発明の第 2の実施形態について説明する。図 4において、本実施形態の車両用駆動装置 1では、大平歯車 42は、シャフト部 45、フランジ部 46、及び歯車部 47がー体に形成されている。また、太陽歯車 51は、大平歯車 42と一体に形成されている。すなわち、本実施形態の車両用駆動装置 1では、大平歯車 42のシャフト部 4 5、フランジ部 46、歯車部 47、及び太陽歯車 51がー体に形成されている。本実施形態における他の構成については、第 1の実施形態の構成と同様である。

このような構成の車両用駆動装置 1によっても、第 1実施形態と同様に、ハウジング 8をコンパクトにして平歯車減速機 4、遊星歯車減速機 5、及び湿式ディスクブレーキ 7を組み込むことができると共に、湿式ディスクブレーキ 7の組み込み作業が簡素化される。また、このような構成の車両用駆動装置 1によれば、大平歯車 42のシャフト部 4 5、フランジ部 46、歯車部 47、及び太陽歯車 51がー体であるため、組立作業が簡素化されると共に大平歯車 42及び太陽歯車 51の強度が高まり、また、大量生産によりコストが低減される。

[第 3実施形態]

図 5に、ディスクブレーキ装置の別の実施形態を示す。なお、他の構成は第 1実施形態と同様である。

<ディスクブレーキ装置の全体構成 >

このディスクブレーキ装置 102は、ブレーキディスク 103と、このブレーキディスク 10 3を押圧するためのプレツシャプレート 104と、プレツシャプレート 104を押圧するためのプレピストン 105と、液圧シリンダ 107の運動をプレピストン（ブレーキ作動ピストン） 105に伝達するベルクランク（レバー） 106と、運転者のブレーキ操作に基づいてシリンダビストン 172が往復動する液圧シリンダ 107とを備えている。ブレーキディスク 103はギヤハウジング 108の内側（平歯車減速機 113の大平歯車 122の内側）に配置されており、複数枚のインナーブレーキディスク 103aと、複数枚のアウターブレーキディスク 103bなどで構成されている。一方、平歯車減速機 113 の大平歯車 122のフランジ部 123には、ブレーキディスク 103が押し付けられるストツパ 125が設けられている。ストッパ 125は、大平歯車 122の歯車部 124に、大平歯車 122の回転軸方向（矢印 c方向）に移動可能なように拘束されており、フランジ部 123 と共に回転する。各インナーブレーキディスク 103aとアウターブレーキディスク 103b は、矢印 c方向に交互に重ね合わせられてストッパ 125に隣接する位置に配置されている。インナーブレーキディスク 103aは、ハウジングカバー 109に固定されているディスク支持部材 130に支持されており、アウターブレーキディスク 103bは、大平歯車 122の歯車部 124の内周面 124bに支持されている。また、インナーブレーキディスク 103aは回転せず、アウターブレーキディスク 103bは大平歯車 122と共に回転する。インナーブレーキディスク 103a及びアウターブレーキディスク 103bは、どちらも矢印 c方向に移動可能に支持されており、各インナーブレーキディスク 103aとァウタ一ブレーキディスク 103bとの間にはオイルが介在されている。

<プレッシャープレート >

プレツシャプレート 104は、プレピストン 105によりハウジングカバー 109の外部から押圧されることにより矢印 c方向に向かって移動し、ブレーキディスク 103をストッパ 12 5に押し付けるようになっている。ハウジングカバー 109と一体に形成された突出メンバー 180がプレツシャプレート 104に形成された孔 140に挿入されている。これにより、プレツシャプレート 104は、矢印 c方向に移動可能に支持されると共に、プレツシャプレート 104の回転が拘束される。プレツシャプレート 104が大平歯車 122と共に回転することを防ぐことにより、プレツシャプレート 104とプレピストン 105の間の摩擦によるこれらの磨耗を防ぎ、プレツシャプレート 104とプレピストン 105の寿命を長くすることができる。プレピストン 105は、ハウジングカバー 109に設けられた貫通孔 190にギヤハウジングの外側から内側に貫通して取り付けられており、ハウジングカバー 109の外側から押圧されることにより矢印 c方向に移動してプレツシャプレート 104を押圧する。図 6及び図 8に示されるように、ベルクランク 106は、ハウジングカバー 109に設けられたベルクランク取付部 191にベルクランク支持ピン 161を用いて回動自在に取り付けられており、プレピストン 105と当接する短い方の腕 162と、液圧シリンダ 107と当接する長い方の腕 163とを有している。なお、ベルクランク取付部 191は、必要に応じて取り付け位置が変更できるように、 2つの取付孔 191a, 191bが設けられている。ベルクランク 106の短い方の腕 162には、プレピストン 105と当接するプレピストン当接部 162aが設けられており、長い方の腕 163には、液圧シリンダ 107のシリンダビストン 172を受け止めるピストン受け部 163aが設けられている。短い方の腕 162及び長い方腕 163を有するベルクランク 106を用いることより、液圧シリンダ 107から伝達されたカをプレピストン 105に増大して伝えることができるため、液圧シリンダ 107のシリンダ径を小さくすることができる。液圧シリンダ 107は、シリンダ本体 171と、このシリンダ本体 171に揷入されるシリンダピストン 172と、シリンダ本体 171内の液圧がない状態でもシリンダピストン 172をピストン受け部 163aに当接させるためのバネ 173と、シリンダ本体 171内へブレーキ液を供給するためのブレーキ液供給口 174と、ブレーキ液を供給する配管（図示せず）が接続される接続部 175と、シリンダからのブレーキ液の漏れを防ぐパッキン 176と、シリンダカバー 177等により構成されている。液圧シリンダ 107としては、所謂、トラニオン型シリンダが使用されており、図 7に示されるように、液圧シリンダ 107は、ピストンロードの中心線 Bに対してシリンダ本体 171の両側に直角に伸びた一対の円筒状のシリンダ支持ピン 170で支えられてハウジングカバー 109に回動可能に取り付けられている。また、シリンダ支持ピン 170は、図 8に示されるように、ベルクランク 106の回動動作に追従して液圧シリンダ 107の向きが変わるように、ベルクランク支持ピン 1 61と平行に配置されている。なお、シリンダ支持ピン 170を固定する固定部 192は、ボルト 193によりハウジングカバー 109に取り付けられている。

<制動動作 >

次に、ディスクブレーキ装置 2の制動動作について図 8及び図 9を参照して説明する。運転者により不図示のブレーキペダルが操作されると、接続部 175に取り付けられた配管からブレーキ液供給口 174を介してシリンダ本体 171内にブレーキ液が供給され、シリンダ本体 171内の液圧が上がりシリンダピストン 172が矢印 a方向に移動する。シリンダピストン 172の運動は、ベルクランク 106のピストン受け部 163aを介してベルクランク 106に伝達され、ベルクランク 106はベルクランク支持ピン 161を中心に矢印 b方向に回動する。このとき、ベルクランク 106の短い方の腕 162は、プレビストン当接部 162aでプレピストン 105を矢印 c方向に押圧する。液圧シリンダ 107は、ベルクランク 106の回動動作に追従してシリンダ支持ピン 170を中心に回動するため、シリンダピストン 172は、常にベルクランク 106のピストン受け部 163aで当接する。プレピストン 105は、ベルクランク 106で押圧されることによりギヤハウジング 108の内側に移動し、プレツシャプレート 104を押圧する。さらに、プレツシャプレート 104は矢印 c方向に移動して、ブレーキディスク 103をストツバ 125に押し付け、これにより、各インナーブレーキディスク 103aとアウターブレーキディスク 103bとの間に摩擦力が生じ、この摩擦力により大平歯車 122の回転を減速して、ホイールハブ 112の回転が制動される。

<特徴 >

このような構成のディスクブレーキ装置 102によれば、液圧シリンダ 107を単独で分解修理又は交換することができるため、ディスクブレーキ装置 102のメンテナンスのコストを抑えることができる。また、液圧シリンダ 107は、ベルクランク 106の回動動作に追従して向きが変わるため、運転者のブレーキ操作を効果的にベルクランク 106に伝達して車両用駆動装置を制動することができると共に、シリンダピストン 172の半径方向の負荷を小さくできるため、シリンダピストン 172の寿命を延ばすことができる。また、液圧シリンダ 107としてトラニオン型シリンダを用いることにより、液圧シリンダ 1 07とその支持部分をコンパクトにすることができ、省スペース化を図ることができる。さらに、省スペース化により得られたスペースを利用して、大型の液圧シリンダを使用することによりディスクブレーキ装置の制動力を向上することができる。

<変形例 >

また、図 10に示すように、ベルクランク 106の長い方の腕 163に運転者によって操作されるパーキングブレーキ用のブレーキワイヤ Wを接続するワイヤ接続部 164を設けてもよレ、。運転者により不図示のパーキングブレーキレバーが操作されるとブレーキワイヤ Wが矢印 a方向に引っ張られ、ベルクランク 106が矢印 b方向に回動する。こ

-ト 104を矢印 c方向に押圧する。プレツシャプレート 104は矢印 c方向に移動して、ブレーキディスク 103をストッパ 125に押し付け、これにより、各インナーブレーキディスク 103aとアウターブレーキディスク 103bとの間に摩擦力が生じ、この摩擦力により大平歯車 122の回転を減速して、ホイールハブ 112の回転が制動される。

運転者はパーキングブレーキレバーを介してブレーキワイヤ Wを操作することにより、ディスクブレーキ装置 102の制動動作を制御することができるため、ディスクブレーキ装置 102に液圧シリンダ 107による制動とブレーキワイヤ Wによる制動の二系統のブレーキ作動機構を持たせることができる。

[他の実施形態]

なお、本発明は、上記実施形態の構成に限られず、種々の変形が可能である。例えば、第 1及び第 2実施形態において、スプラインに代えて、セレーシヨンでホイールハブ 3と駆動シャフト 6とをスプライン結合してもよレ、。また、駆動シャフト 6の軸心周りに複数本の固定ボルト 11を螺合させて、ホイールハブ 3を抜止してもよレ、。駆動シャフト 6は、遊星キャリア 54と一体であるものに限られず、遊星キャリア 54と別部材のものであってもよい。

また、ストッパ 48は、フランジ部 46と一体に形成したものであってもよレ、。また、太陽歯車 51は、大平歯車 42 (大平歯車 42のフランジ部 46)と一体であるものに限られず、別部材のものであってもよレ、。さらに、大平歯車 42は、ヘリカルギヤ、ウォームギヤ等であってもよい。

さらに、第 3実施形態において、例えば、ハウジングカバー 109への液圧シリンダ 1 07の取り付け方法は、図 11又は図 12に示される構成であってもよい。図 11に示したディスクブレーキ装置 102においては、液圧シリンダ 107を回動自在に支持する一本のシリンダ支持ピン 170力ベルクランク支持ピン 161と平行に、シリンダ本体 171の底部 171aとハウジングカバー 109の間に配置されている。

産業上の利用可能性

第 1発明によれば、固定ボルトをホイールノ、ブの外側から駆動シャフト先端部に螺合させてホイールハブを抜止しているため、ホイールハブの外側力固定ボルトを取外し及び螺合するだけで容易にホイールハブの脱着作業が行え、ハブベアリングのメンテナンスが容易に行える。

第 2発明によれば、駆動シャフトが遊星キャリアと一体であるため、組立て作業が簡素化し、製造コストを低減できると共に、駆動シャフト及び遊星キャリアの強度が高まり、走行性能が向上する。また、固定ボルトが一本取付けとされているため、一層容易にホイールノヽブの脱着作業が行え、ハブベアリングのメンテナンスが一層容易に行える。また、細長い駆動シャフトにも適用できる上、部品点数、ねじ加工が少なぐコストダウンになる。

第 3発明によれば、プレツシャプレートによりブレーキディスクを大歯車のフランジ部に押し付ける構成であるため、ブレーキを配置するためのエリアを別途設けることなくブレーキをハウジング内に配置することが可能となり、これにより、歯車減速機を有する大きな減速比を持つ駆動機構とブレーキとをコンパクトなハウジング内に組み込んで、車両用駆動装置を小型化することができる。また、プレツシャプレートをハウジングに固定することが可能となり、これにより、プレツシャプレートはプレピストンと摩擦することがなく、プレツシャプレートとプレピストンとの間に摩耗が生じない。

第 4発明によれば、ブレーキディスク及びプレツシャプレートが大歯車の内側に配置されていることにより、歯車減速機を有する大きな減速比を持つ駆動機構とブレーキとをコンパクトなハウジング内に組み込んで、車両用駆動装置を小型化することができる。

第 5発明によれば、大歯車のフランジ部が太陽歯車と一体であるため、組立て作業が簡素化し、製造コストを低減できると共に、大歯車及び太陽歯車の強度が高まり、走行性能が向上する。

第 6発明によれば、プレツシャプレートに開けられた孔にプレツシャプレートの回転を拘束するメンバーを揷入する構成であるため、組立て作業が簡素化し、製造コストを低減できる。また、プレツシャプレートが回転しないため、プレツシャプレートはプレピストンと摩擦することがなぐプレツシャプレートとプレピストンとの間に摩耗が生じなレ、。

第 7発明によれば、大歯車のフランジ部は大歯車の歯車部と別部材で構成されているため、簡単な鍛造型により大歯車を作製することができ、生産性が向上する。第 8発明によれば、液圧シリンダを単独で分解修理又は交換することができるため、ディスクブレーキ装置のメンテナンスのコストを抑えることができる。また、液圧シリンダは、レバーの回動動作に追従して向きが変わるため、運転者のブレーキ操作を効果的にレバーに伝達して車両用駆動装置を制動することができると共に、シリンダピストンの半径方向の負荷を小さくできるため、シリンダピストンの寿命を延ばすことができる。また、シリンダピストンはギヤハウジング表面を摺動しないため、ブレーキ作動時の摩擦がなぐ作動が円滑で磨耗が生じない。

第 9発明によれば、液圧シリンダとしてトラニオン型シリンダを用いることにより、液圧シリンダとその支持部分をコンパクトにすることができ、ディスクブレーキ装置の省スぺ一ス化を図ることができる。さらに、省スペース化により得られたスペースを利用して、大型の液圧シリンダを使用することによりディスクブレーキ装置の制動力を向上することができる。

第 10発明によれば、運転者はブレーキワイヤを操作することにより、ディスクブレーキ装置の制動動作を制御することができるため、ディスクブレーキ装置に液圧シリンダによる制動とブレーキワイヤによる制動の二系統のブレーキ作動機構を持たせることができ、例えば、パーキングブレーキとして使用できる。

Claims

請求の範囲

[1] 車両のホイールを支持するホイールノ、ブを備え、原動機の回転出力を用いて前記ホイールハブを回転駆動する車両用駆動装置において、

前記原動機の回転出力を前記ホイールハブに伝達する駆動シャフトを備え、前記駆動シャフトは、該駆動シャフトのホイール側先端部にボルト螺合用のねじを有して成り、

前記ホイールハブは、前記駆動シャフトのホイール側先端部が挿入されるシャフト挿入孔を有して成り、

前記駆動シャフトのホイール側先端部の外周面及び前記ホイールハブのシャフト挿入孔の内周面には、前記駆動シャフトと前記ホイールノ、ブとを結合するスプラインが設けられ、

前記ホイールハブの外側から前記ねじに固定ボルトを螺合することにより前記ホイ一ルハブを前記駆動シャフトから抜止して前記駆動シャフトに固定したことを特徴とする車両用駆動装置。

[2] 前記原動機の回転出力を減速する遊星歯車減速機を前記駆動シャフトと前記原動機との間にさらに備え、該遊星歯車減速機は、前記原動機の回転出力が伝達される太陽歯車と、前記太陽歯車に嚙合されて前記太陽歯車の自転により前記太陽歯車の周囲を公転する遊星歯車と、前記遊星歯車を支持して前記遊星歯車の公転により前記太陽歯車の自転軸と同軸上を自転する遊星キャリアとを有して成り、

前記駆動シャフトは、前記遊星キャリアと一体であり、

前記ねじは、前記駆動シャフトの軸心に設けられており、

前記固定ボルトは一本であり、該一本の固定ボルトを前記ねじに螺合することにより前記ホイールハブを前記駆動シャフトに固定した請求項 1に記載の車両用駆動装置

[3] 車両のホイールを支持するホイールノ、ブを備え、原動機の回転出力を用いて前記ホイールハブを回転駆動する車両用駆動装置において、

前記原動機の回転出力を減速して前記ホイールハブに伝達する歯車減速機と、前記ホイールハブの回転を制動するブレーキとを備え、前記歯車減速機は、前記原動機の出力がインプットされるピニオン歯車と、このピ二オン歯車に嚙合される大歯車とを有し、

前記ブレーキは、前記大歯車の回転軸方向において前記大歯車のフランジ部に隣接して配置されるブレーキディスクと、前記ブレーキディスクを前記フランジ部に押し付けるプレツシャプレートとを有し、前記ブレーキディスクを前記フランジ部に押し付けて前記大歯車の回転を減速することにより前記ホイールハブの回転を制動するものであることを特徴とする車両用駆動装置。

[4] 前記ブレーキディスク及びプレツシャプレートは、前記大歯車の内側に配置されており、

前記ブレーキディスクは、前記大歯車のフランジ部から前記大歯車の回転軸方向に交互に重ねて配置される複数のインナーブレーキディスクとアウターブレーキディスクとを有して成り、

前記インナーブレーキディスクは、前記大歯車の内側にあって、前記歯車減速機のハウジングカバーに固定されている支持部材に支持されており、

前記アウターブレーキディスクは、前記大歯車の内周面に取付けられている請求項 3に記載の車両用駆動装置。

[5] 前記歯車減速機の回転出力を減速して前記ホイールハブに伝達する遊星歯車減速機をさらに備え、

前記遊星歯車減速機は、前記大歯車の回転に応じて前記大歯車の回転軸と同軸上を自転する太陽歯車と、前記太陽歯車に嚙合されて前記太陽歯車の自転により前記太陽歯車の周囲を公転する遊星歯車と、前記遊星歯車を支持して前記遊星歯車の公転により前記太陽歯車の自転軸と同軸上を自転する遊星キャリアとを有し、前記遊星キャリアの回転出力が前記ホイールノ、ブに伝達されるものであり、

前記大歯車のフランジ部が前記太陽歯車と一体である請求項 4に記載の車両用駆

[6] 前記プレツシャプレートに開けられた孔に前記プレツシャプレートの回転を拘束するメンバーが揷入されている請求項 4に記載の車両用駆動装置。

[7] 前記大歯車のフランジ部は前記大歯車の歯車部と別部材で構成されており、前記歯車部とフランジ部とがボルトにより結合されている請求項 4から 6の何れかに記載の車両用駆動装置。

[8] ギヤハウジングの内側に配置され、外部から加えられる力により作動するブレーキディスクと、

ギヤハウジングの外側から内側に貫通して設けられ、ギヤハウジングの外側から内方に押圧されることにより移動して前記ブレーキディスクを作動させるブレーキ作動ピストンと、

ギヤハウジングの外側に設けられ、運転者のブレーキ操作に基づいてシリンダビストンが往復動する液圧シリンダと、

ギヤハウジングに設けられた軸回りに回動自在で、前記シリンダピストンの動作を前記ブレーキ作動ピストンに伝達するレバーとを備えたディスクブレーキ装置において前記液圧シリンダと前記レバーとは別部材で分離して構成され、

前記液圧シリンダは、ギヤハウジングの外側にシリンダ支持ピンで回動可能に取り付けられ、前記レバーの回動動作に追従して該液圧シリンダの向きが変わることを特徴とするディスクブレーキ装置。

[9] 前記液圧シリンダがシリンダ本体の中間に前記シリンダ支持ピンを有すること特徴とする請求項 8に記載のディスクブレーキ装置。

[10] 運転者によって操作されるブレーキワイヤによるブレーキ作動機構をさらに有することを特徴とする請求項 8又は 9に記載のディスクブレーキ装置。