JP4124106B2 - 自己架橋性樹脂、製造方法、樹脂組成物および用途 - Google Patents
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Description
しかしながら、この方法では、成分配合した時点または重合中に、該両不飽和モノマーのそれぞれの官能基が反応してしまい、ゲル化したり、部分的に高分子化したりするので、製造ロット間の品質のばらつきが大きくなる問題がある。
自己架橋性を有する樹脂においては、エポキシ基に替えて、より反応性の低いオキセタン基を導入したものも開発されている(特許文献2および3)。しかし、ゲル化や高分子化の問題点については、何ら解決されていない。
これらの問題を解決する方法として、ヒドロキシル基およびエポキシ基を同一分子中に有する化合物の該ヒドロキシル基に環状酸無水物を開環ハーフエステル反応させた自己架橋性樹脂あるいは、エポキシ基および環状酸無水基を同一分子中に有する化合物の該環状酸無水基にアルコール成分を開環ハーフエステル反応させた自己架橋性樹脂が提案されている。(特許文献4)
しかしながら、これらの方法でも、開環ハーフエステル化反応により発生したカルボキシル基とエポキシ基の反応が進行してしまうため、結果的に、ゲル化したり高分子化したりしてしまう等の問題が生じる。
また、本発明の第2の目的は、前記の自己架橋性樹脂を、ゲル化や部分的に高分子化することなしに製造する方法を提供することにある。
また、さらに、本発明の第3の目的は、前記の自己架橋性樹脂を用いた熱硬化性組成物を提供することにある。
また、本発明の第4の目的は、前記の自己架橋性樹脂または樹脂組成物を硬化してなる硬化物および用途を提供することにある。
[1] ヒドロキシル基とオキセタン基を同一分子中に有する化合物と、1分子中に環状酸無水基を1個とカルボキシル基を1個有する化合物または1分子中に環状酸無水基を2個有する化合物を用い、該ヒドロキシル基と該環状酸無水基を開環ハーフエステル化反応させて、カルボキシル基とオキセタン基を有する化合物を得、さらに該化合物の該カルボキシル基に対してジビニル(チオ)エーテル化合物を付加反応させることを特徴とする重量平均分子量1,000〜1,000,000の自己架橋性樹脂。
[2] 下記式(1)または(2)で表される基を繰り返し単位として有し、該繰り返し単位の数が1〜400である前記の[1]に記載の自己架橋性樹脂。
工程I:1分子中にヒドロキシル基とオキセタン基を少なくとも1個づつ有するヒドロキシオキセタン化合物を原料とし、該ヒドロキシル基に、1分子中に環状酸無水基を1個とカルボキシル基を1個有する化合物または1分子中に環状酸無水基を2個有する化合物をハーフエステル化反応させる工程。
工程II:さらに、生成したカルボキシル基に対して、ジビニル(チオ)エーテル化合物を付加反応させる工程。
[4] 前記の工程Iの反応において、触媒として塩基触媒を使用する前記の[3]に記載の自己架橋性樹脂の製造方法。
[5] 前記の[1]または[2]に記載の自己架橋性樹脂に、触媒を含有してなる熱硬化性組成物。
[6] 触媒が、加熱硬化時に活性を示す熱潜在性触媒である前記の[5]に記載の熱硬化性組成物。
[7] 触媒が、アルミニウム錯体から誘導される化合物である前記の[5]または[6]に記載の熱硬化性組成物。
[8] 1分子中にカルボキシル基と加熱により化学結合を形成しうる反応性官能基を1個以上有する化合物をさらに含有することを特徴とする前記の[5]〜[7]のいずれかに記載の熱硬化性組成物。
[9] 前記の反応性官能基がエポキシ基またはオキセタン基である前記の[8]に記載の熱硬化性組成物。
[10] 前記の[1]または[2]に記載の自己架橋性樹脂、あるいは前記の[5]〜[9]のいずれかに記載の樹脂組成物を硬化してなる樹脂硬化物。
[11] 前記の[1]または[2]に記載の自己架橋性樹脂、あるいは前記の[5]〜[9]のいずれかに記載の熱硬化性組成物を硬化して用いる電子部品。
本発明の自己架橋性樹脂(A)は、1分子中にヒドロキシル基とオキセタン基を少なくとも1個づつ有するヒドロキシオキセタン化合物(a1)と、1分子中に環状酸無水基を1個とカルボキシル基を1個有する化合物(a21)または1分子中に環状酸無水基を2個有する化合物(a22)を用いて、該ヒドロキシル基と該環状酸無水基をハーフエステル化反応させて、カルボキシル基とオキセタン基を有する化合物(a12)を得て、さらに該化合物(a12)の該カルボキシル基とジビニル(チオ)エーテル化合物(a3)を付加反応させて得られる。
本発明の自己架橋性樹脂(A)は、より好ましくは、下記式(1)または(2)で表される基を繰り返し単位として有し、該繰り返し単位の数が1〜400である樹脂である。
さらに、A1は水素原子あるいは炭素数1〜20のアルキル基である。炭素数が21以上であると原料が入手しにくい等の問題がある。
また、式(1)および(2)で表される樹脂の末端は、特に限定されないが、酸無水物およびジビニル(チオ)エーテルの残基を示す。
すなわち、第1段階の反応として、ヒドロキシル基およびオキセタン基を同一分子中に有するヒドロキシオキセタン化合物(a1)の該ヒドロキシル基に、1分子中に環状酸無水基を1個とカルボキシル基を1個有する化合物(a21)または1分子中に環状酸無水基を2個有する化合物(a22)を開環ハーフエステル化反応させ、次いで工程IIの反応として、前記の第1段階の反応で得られた化合物を出発原料として、この化合物の新たに生成したカルボキシル基に、ジビニル(チオ)エーテル化合物(a3)を、付加させることにより、該カルボキシル基がブロック化された自己架橋性樹脂(A)が得られる。
前記の一連の2段階の反応は、逐次行ってもよいし、中間反応物を一旦回収することなく、同一反応容器中で継続して行ってもよい。
前記原料としてのヒドロキシル基およびオキセタン基を同一分子中に有するヒドロキシオキセタン化合物(a1)としては、下記式(3)で表される化合物が挙げられる。
前記の原料(a1)は1種単独で、または2種以上を混合して使用できる。
前記の1分子中に環状酸無水基を1個とカルボキシル基を1個有する化合物(a21)としては、具体的には、例えば、無水ピロメリット等のベンゼントリカルボン酸が無水物を形成したもの;シクロヘキサン−1,3,4−トリカルボン酸−3,4−無水物等のシクロアルカントリカルボン酸が無水物を形成したもの等が挙げられる。
また、前記の1分子中に環状酸無水基を2個有する化合物(a22)としては、具体的には、例えば、無水ピロメリット酸、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4'−オキシジフタル酸二無水物、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールビスアンヒドロトリメリテートモノアセテート、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物等の芳香族カルボン酸無水物;ブタンテトラカルボン酸二無水物等の脂肪族カルボン酸の無水物;5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロへキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物等の脂環式カルボン酸無水物等が挙げられる。
これらの環状酸無水物(a21およびa22)の中でも、無水コハク酸、テトラヒドロ無水フタル酸、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物が、入手性の点と、得られる自己架橋性樹脂(A)の溶剤や樹脂に対する溶解性の点から好ましく挙げられる。
前記の原料(a21およびa22)は1種単独で、または2種以上を混合して使用できる。
(ここで、R2、Yは前記式(1)に同じであり、R2はそれぞれ水素原子または炭素数1〜18の有機基、Yは酸素原子またはイオウ原子である。)
前記の原料(a3)は1種単独で、または2種以上を混合して使用できる。
まず、工程Iのヒドロキシオキセタン化合物の該ヒドロキシル基と環状酸無水物との開環ハーフエステル化反応は、ヒドロキシル基1モルに対して環状酸無水基1モルが反応して、該環状酸無水基が開環して遊離のカルボキシル基1モルが生成する反応である。この開環ハーフエステル化反応は、公知の方法で行うことができ、例えば、有機溶媒中で室温〜200℃の温度で行うことができる。
工程Iの開環ハーフエステル化反応に際しては、反応を促進するために、有機アミン化合物などの触媒を使用することができる。具体的には、そのような触媒としては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、ブチルアミン、s−ブチルアミン、t−ブチルアミン、アミルアミン、オクチルアミン、シクロへキシルアミン、ビニルメチルアミン、アリルアミン、エトキシメチルアミン等の第1級アミン;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジアリルアミン、ジヘキシルアミン、ジドデシルアミン等の第2級アミン類;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン等の第3級アミン類;エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類;フェニルプロピルアミン、フェニルエチルアミン、メトキシベンジルアミン、ジエチルベンジルアミン、ベンジルアミン、ジメチルベンジルアミン等のベンゼン環を有する脂肪族アミン類;モルホリン、メチルモルホリン等のモルホリン誘導体;t−ブチルアニリン等のアニリン誘導体;ジメチルトルイジン等の芳香族アミン類;2−ヒドロキシピリミジン、2−ヒドロキシピリジン、3−ヒドロキシピリジン、4−ヒドロキシピリジン等のピリジン誘導体;ピペリジン、メチルピペリジン、ベンジルピペリジン等のピペリジン誘導体;メチルピロリジン等のピロリジン誘導体;ピロール等のピロール誘導体;2−ヒドロキノリン、3−ヒドロキノリン、4−ヒドロキノリン、2−メチルキノリン、4−メチル−8−ヒドロキノリン等のキノリン誘導体;ベンゾイミダゾール、メチルイミダゾール、イミダゾール等のイミダゾール誘導体;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の第4級アンモニウム塩等が挙げられる。
前記の触媒は、1種単独で、または2種以上を混合して使用できる。
前記の触媒の使用量は、原料である化合物(a1)と化合物(a21および/またはa22)との合計量100重量部に対して、好ましくは0.005〜10重量部であり、より好ましくは0.01〜5重量部である。
前記の工程Iで得られた中間原料の開環ハーフエステル化物(a12)に、前記のジビニル(チオ)エーテル化合物(a3)を付加させることによって、本発明の自己架橋性樹脂(A)を得る反応である。
この付加反応は、それ自体既知の方法で行うことができ、例えば、室温〜200℃の温度で行うことができる。
より具体的には、n−プロパノール、n−ブタノール、n−ヘキサノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール等の第一級アルコール類、およびイソプロパノール、2−ブタノール、2−ヘキサノール、2−オクタノール、シクロヘキサノール等の第二級アルコール類のリン酸モノエステル類あるいはリン酸ジエステル類が挙げられる。
酸触媒の使用量は、特に制限はないが、ヒドロキシオキセタン化合物の該ヒドロキシル基に環状酸無水物を開環ハーフエステル化反応させた化合物とジビニル(チオ)エーテル化合物(a3)の合計量100重量部に対して、通常0.0005〜5重量部が好ましく、特に0.001〜1重量部が好ましい。
合成する自己架橋性樹脂の分子量、その樹脂を使用する用途、選択する配合系にもよるが、通常得られる樹脂の酸価は、50mgKOH/g以下である。より好ましくは、樹脂の酸価は30mgKOH/g以下であり、さらに好ましくは、5mgKOH/g以下である。
特に、フラックスやはんだペーストに本発明の自己架橋性樹脂を用いる場合には、樹脂の酸価が低い方が保存等においてより安定性に優れるので望ましい。
前記のモノビニル(チオ)エーテル化合物としては、具体的には、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、t−アミルビニルエーテル、2−エチルへキシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロへキシルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル類;ヒドロキシエチルビニルエーテル、9−ヒドロキシノニルビニルエーテル、4−ヒドロキシシクロへキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、エチレングリコールモノビニルエーテル、ヘキサンジオールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル等のヒドロキシル基を含むビニルエーテル類;エチレングリコールブチルビニルエーテル、トリエチレングリコールメチルビニルエーテル等のアルキレングリコールアルキルビニルエーテル類;アミノプロピルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、プロペニルエーテルプロピレンカーボネート等のその他のビニルエーテル類、およびこれらに対応するビニルチオエーテル類が挙げられる。
自己架橋性樹脂の末端カルボキシル基と前記アルキルビニルエーテルまたはアルキルビニルチオエーテル化合物を反応させる際の反応比は、残存する未反応物の残存量や樹脂に対する物性の点から、当量比{(カルボキシル基/ビニルエーテル)の当量比}で通常1.0:1.0〜1.0:5.0であればよく、好ましくは1.0:2.0〜1.0:5.0である。
当量比が1.0:1.0よりアルキルビニルエーテルまたはアルキルビニルチオエーテルが少ないと、自己架橋性樹脂の酸価が下がらないので好ましくなく、前記の当量比が1.0:5.0より多いと、未反応物として多量に残存するので好ましくない。
また、反応温度は、通常室温〜200℃の範囲の温度であればよく、好ましくは、室温〜150℃である。また、この反応の反応時間は、反応進行状況に応じて適宜選定すればよいが、通常1〜100時間でよい。
より好ましくは、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが挙げられる。
前記の有機溶剤は、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。前記の有機溶媒の使用量は、特に限定されないが、反応原料100質量部に対して、通常、5〜95質量部、好ましくは、20〜80質量部である。
全2段階の反応において、有機溶媒は、同一の、あるいは相異なる溶媒を用いることができ、後段の工程IIの反応においては、前段階で用いた溶媒の一部または全部を留去等の方法で除去してもよいし、除去せずそのまま、あるいはさらに溶剤を追加して、使用してもよい。
前記の樹脂組成物は、場合により、長期にわたる貯蔵安定性を良好に保ち、かつ低温にて短時間で硬化させる際に、硬化反応を促進し、硬化物に良好な化学性能および物理性能を付与する目的で、加熱硬化時に活性を示す熱潜在性触媒を含有することができる。
この熱潜在性酸触媒は、60℃以上の温度において、酸触媒活性を示す化合物が望ましい。この熱潜在性酸触媒が60℃未満の温度で酸触媒活性を示す場合、得られる組成物は貯蔵中に増粘したり、ゲル化したりするなど、好ましくない事態を招来する恐れがある。前記の熱潜在性酸触媒としては、具体的には、プロトン酸をルイス塩基で中和した化合物(i)、ルイス酸をルイス塩基で中和した化合物(ii)、ルイス酸とトリアルキルホスフェートの混合物(iii)、スルホン酸エステル類(iv)、リン酸エステル類(v)、オニウム化合物類(vi)、アルミニウム錯体から誘導される化合物(vii)、および第4オニウム塩(viii)が好ましく挙げられる。
また、ルイス酸をルイス塩基で中和した化合物(ii)としては、例えばBF3、FeCl3、SnCl4、AlCl3、ZnCl2などのルイス酸を前記のルイス塩基で中和した化合物が挙げられる。あるいは上記ルイス酸とトリアルキルホスフェートとの混合物(iii)も挙げられる。該スルホン酸エステル類(iv)としては、例えば式(6)
前記の化合物としては、具体的には例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ノニルナフタレンスルホン酸などのスルホン酸類とn−プロパノール、n−ブタノール、n−ヘキサノール、n−オクタノ−ルなどの第一級アルコール類またはイソプロパノール、2−ブタノール、2−ヘキサノール、2−オクタノ−ル、シクロヘキサノールなどの第二級アルコール類とのエステル化物、さらには前記スルホン酸類とオキシラン基含有化合物との反応により得られるβ‐ヒドロキシアルキルスルホン酸エステル類などが挙げられる。
該リン酸エステル類(v)としては、例えば、工程Iで用いることのできる前記の酸触媒、すなわち前記の式(5)で表される化合物が挙げられる。
[(R7)3NR8]+・X− ・・・・・(7)
[(R9)3PR10]+・X− ・・・・・(8)
[(R11)2OR12]+・X− ・・・・・(9)
[(R13)2SR14]+・X− ・・・・・(10)
(式中のR7、R9、R11およびR13は炭素数1〜12のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルカリール基、アルカノール基またはシクロアルキル基であって、2個のR7、R9、R11およびR13は互いに結合してN、P、OまたはSをヘテロ原子とする複素環を形成していてもよく、R8、R10、R12およびR14は水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルカリール基、X−はSbF6 −、AsF6 −、PF6 −またはBF4 −である)
これらの触媒のうち、より好ましくは、アルミニウム錯体から誘導される化合物が挙げられる。
該反応性官能基については、カルボキシル基と反応する性質を有するものであればよく、特に制限はないが、例えば、エポキシ基、オキセタン基、オキサゾリン基、シラノール基、アルコキシシラン基、ヒドロキシル基、アミノ基、イミノ基、イソシアネート基、ブロック化イソシアネート基、シクロカーボネート基、ビニルエーテル基、ビニルチオエーテル基、アミノメチロール基、アルキル化アミノメチロール基、アセタール基、ケタール基などが好ましく挙げられる。B成分中には、これらの反応性官能基は、1種含まれていてもよいし、2種以上が含まれていてもよい。より好ましくは、エポキシ基、オキセタン基、オキサゾリン基等が挙げられる。
さらに、式(11)で表される化合物の縮合体が挙げられる。
(式中のR15およびR16は、それぞれ炭素数1〜18のアルキル基またはアリール基、kは0、1または2である。)
またさらに、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロイルオキシプロピルトリ−n−ブトキシシランなどのα,β−不飽和シラン化合物の単独重合体または共重合体、およびこれらの化合物の加水分解生成物などのシラノール基やアルコキシシラン基含有化合物;脂肪族ポリオール類、フェノール類、ポリアルキレンオキシグリコール類、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートや2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのα,β−不飽和化合物の単独重合体または共重合体、およびこれらのポリオール類のε−カプロラクトン付加物などのヒドロキシル基含有化合物;脂肪族、芳香族のジアミノ化合物やポリアミノ化合物および前記ポリオールのシアノエチル化反応生成物を還元して得られるポリアミノ化合物などのアミノ基含有化合物;脂肪族、芳香族ポリイミノ化合物などのイミノ基含有化合物;p−フェニレンジイソシアネート、ビフェニルジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサン−1,6−ジイソシアネート、メチレンビス(フェニルイソシアネート)、リジンメチルエステルジイソシアネート、ビス(イソシアネートエチル)フマレート、イソホロンジイソシアネート、メチルシクロヘキシルジイソシアネート、2−イソシアネートエチル−2,6−ジイソシアネートヘキサノエートおよびこれらのビュレット体やイソシアヌレート体、さらにはこれらのイソシアネート類と前記ポリオールとのアダクト化合物などのイソシアネート基含有化合物;前記イソシアネート基含有化合物のフェノール類、ラクタム類、活性メチレン類、アルコール類、酸アミド類、イミド類、アミン類、イミダゾール類、尿素類、イミン類、オキシム類によるブロック体などのブロック化イソシアネート基含有化合物;3−(メタ)アクリロイルオキシプロピレンカーボネートの単独重合体または共重合体、前記エポキシ基含有化合物と二酸化炭素との反応により得られる多価シクロカーボネート基含有化合物などのシクロカーボネート基含有化合物;前記多価ヒドロキシル基含有化合物とハロゲン化アルキルビニルエーテル類との反応によって得られる多価ビニルエーテル化合物、ヒドロキシアルキルビニルエーテル類と多価カルボキシル基含有化合物や前記ポリイソシアネート化合物との反応により得られるポリビニルエーテル化合物、ビニルオキシアルキル(メタ)アクリレート類とα,β−不飽和化合物との共重合体などのビニルエーテル化合物、およびこれらに対応するビニルチオエーテル化合物などのビニルエーテル基やビニルチオエーテル基含有化合物;メラミンホルムアルデヒド樹脂、グリコリルホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、アミノメチロール基やアルキル化アミノメチロール基含有α,β−不飽和化合物の単独重合体または共重合体などのアミノメチロール基やアルキル化アミノメチロール基含有化合物;多価ケトン、多価アルデヒド化合物、前記多価ビニルエーテル化合物などとアルコール類やオルソ酸エステル類との反応によって得られる多価アセタール化合物、およびこれらとポリオール化合物との縮合体、さらには前記ビニルオキシアルキル(メタ)アクリレートとアルコール類やオルソ酸エステルとの付加物の単独重合体または共重合体などのアセタール基やケタール基含有化合物などが挙げられる。
前記のオキサゾリン基を含有する化合物の市販品としては、例えば、2−エチル−2−オキサゾリンを1〜5モル%をアクリル系モノマーなどと共重合させた日本触媒化学(株)製、商品名「エポクロスK−1000」および「エポクロスK−2000」シリーズ(数平均分子量70,000〜80,000)等があり、好適に使用できる。
このような好ましくない組み合わせとしては、例えば、エポキシ基、イソシアネート基、ビニルエーテル基、ビニルチオエーテル、シクロカーボネ−ト基およびシラノール基の中から選ばれる官能基とアミノ基またはイミノ基との組み合わせ、イソシアネ−ト基またはビニルエーテル基とヒドロキシル基との組み合わせなどが挙げられる。
本発明の熱硬化性組成物に用いる熱可塑性樹脂としては、具体的には、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリビニルエーテル樹脂等が挙げられる。
本発明の熱硬化性組成物に用いる溶剤としては、特に限定されない。通常の汎用溶媒の中から適宜選択して使用することができる。溶媒としては、具体的には例えば、前記の自己架橋性樹脂(A)の製造時の反応に用いたのと同じ溶剤を使用することができる。その添加量は、およそ、0〜50重量%である。
次に用いた測定方法、評価方法を示す。
1.<IRの測定条件>
機種;日本分光(株)製、FT/IR−600
セル;臭化カリウムを用いた液膜法
分解;4cm−1
積算回数;32回
2.<1H−NMRの測定条件>
機種;日本ブルカー(株)製、400MHzのAdvance400
積算回数;16回
溶媒;CDCl3、TMS基準
3.<13C−NMRの測定条件>
機種;日本ブルカー(株)製、400MHzのAdvance400
積算回数;1024回
溶媒;CDCl3、TMS基準
4.<粘度測定>
機種;東機産業(株)製、EHD型粘度計
測定温度;25℃
5.<酸価の測定>
JIS K 0070−3(1992)の方法に準じて測定した。
<工程I>
温度計、還流冷却器、撹拌機を備えた容量200mLの4つ口フラスコに、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン27.4グラム、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロへキセン−1,2−ジカルボン酸無水物25.9グラム、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PMA)30.0グラムを仕込み、温度を140℃に昇温し、同温度を維持しながら2時間反応を続け、サンプルングした反応液の酸価の測定により、反応率が98%になったところで反応を終了した。
<工程II>
その後、系内の温度を100℃に下げて、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル16.7グラムを30分かけて等速滴下した。この後、ヘキサン/アセトン=9/1の混合溶媒によりポリマー分の再沈精製を行った。さらに、ロータリーエヴァポレーターを用い、混合液から溶剤を留去して、その後、真空ポンプにより真空乾燥することにより淡黄色透明の自己架橋性樹脂(a−1)64.3グラムを得た。仕込み組成、反応条件、粘度等の分析結果を表1に示す。
表1に示したように仕込み組成や条件を変更した以外は、実施例1と同様にして反応し、さらに精製して淡黄色の自己架橋性樹脂(a−2、a−3)を得た。実施例1と同様に仕込み組成と反応条件、粘度等の分析結果を表1に示す。
*1) エピクロンB−4400(5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロへキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、大日本インキ化学工業(株)製、商品名)
*2) リカシッドTDA−100(3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物、新日本理化(株)製、商品名)
*3) アロンオキセタンOXT−101(3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、東亜合成(株)製、商品名)
*4) PMA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
図2より、エステル構造のカルボニル炭素に起因するピークが、171ppm付近に、ヘミアセタール構造に基づくメチンカーボンのピークが100ppm付近に、オキセタン構造に起因するピークが78ppm付近にそれぞれ観測できた。以上の分析結果より、得られた自己架橋性樹脂(a−1)は、式(12)の構造であることが確認できた。
実施例1〜3で得られた自己架橋性樹脂(a−1〜3)を用いて、熱硬化性組成物を製造した。配合組成を表2に示す。得られた熱硬化性樹脂を用いて、次の方法により硬化物を得た。
<硬化膜の物性測定方法>
試験片の作成は、陽極酸化されたブラシ研磨アルミニウム板上に、表2に記載した実施例4〜9の樹脂組成物を用いて、乾燥膜厚で50μmになるようにバーコーターにて塗装し、80℃で30分間プリベイクした後、180℃、60分間硬化させて試験片を作成した。
(1)耐酸性−1
40重量%硫酸2mlを試験片上にスポット上に載せ、20℃で48時間放置後、硬化膜の異常を目視にて判定した。
(2)耐酸性−2
40重量%硫酸2mlを試験片上にスポット上に載せ、60℃で30分間加熱後、硬化膜の異常を目視にて判定した。
(3)耐酸性−3
試験片を0.1規定硫酸中に浸漬し、60℃で24時間保った後、硬化膜の異常を目視にて判定した。
(4)耐衝撃性
衝撃変形試験器[JIS K−5400(1979)613.3 B法]を用い、半径6.35mmの撃ち型に試験片をはさみ、500gのおもりを40cmの高さから落下させた際の硬化膜の損傷を目視にて判定した。
(5)ヌープ硬度
(株)島津製作所製のM型微小硬度計にて20℃で測定した。数値の大きいほど硬いことを示す。
(6)アセトン抽出分
試験片をアセトン溶剤中で3時間抽出したのちの残存試験片重量(%)を求めた。
(7)キシレン払拭性
試験片を混合キシレン(JIS K2435品)で湿潤させたガーゼで強くこすり、10往復したのちの試験片表面を目視判定した。
(8)引張り強度、弾性率
(株)島津製作所製オートグラフAGS−Hを用いて測定した
(9)硬化膜Tg(℃)
TMA(セイコーインスツルメント(株)製TMA/SS150)を用い、10℃/分で昇温した時の硬化物の伸び率が急変する温度を硬化膜Tg(℃)とした。
(10)貯蔵安定性試験
表2に示した組成物10gを50℃で密封貯蔵し、30日間貯蔵後の状態を目視により観察した。
これらの結果を表2に示す。
*1) アセチルアセトネートアルミニウム錯体とトリフェニルシラノールを等モルで反応させたアルミニウム錯体の60重量%トルエン溶液、
*2) オクチル酸亜鉛とトリエタノールアミンを等モルで反応させた亜鉛錯体の80重量%シクロヘキサノン溶液、
*3) ジャパンエポキシレジン(株)製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂。
実施例4〜9では、透明性に優れた硬化膜が得られた。
グリシジルメタクリレート2モル/kg、2−ヒドロキシエチルメタクリレート2モル/kgおよび残りがn−ブチルメタクリレートからなるアクリル樹脂(GPCによる重量平均分子量が40000)のキシレン50%溶液2000gに、無水フタル酸296gおよびジブチルすずジラウレート0.5gを配合し、50℃で8時間にわたって酸無水基の開環反応を行って、自己架橋性樹脂(b)を得た。該樹脂の酸価は85mgKOH/g、重量平均分子量45000であった。
自己架橋性樹脂(b)を用いて、実施例4〜9と同様の試験・評価を行った。結果を表2に示す。
グリシジルメタクリレート2モル/kg、メタクリル酸2モル/kgおよび残りがn−ブチルメタクリレートからなるアクリル樹脂のキシレン50%溶液(自己架橋性樹脂(c))を用いて、実施例4〜9と同様の試験・評価を行った。結果を表2に示す。自己架橋性樹脂(c)の酸価は112mgKOH/g、重量平均分子量は43000であった。
自己架橋性樹脂(c)を用いて、実施例4〜9と同様の試験・評価を行った。結果を表2に示す。
Claims (10)
- 下記式(1)または(2)で表される基を繰り返し単位として有し、該繰り返し単位の数が1〜400であり、重量平均分子量1,000〜1,000,000である自己架橋性樹脂。
- 次の工程Iおよび工程IIを行うことを特徴とする自己架橋性樹脂の製造方法。
工程I:1分子中にヒドロキシル基とオキセタン基を少なくとも1個づつ有するヒドロキシオキセタン化合物を原料とし、該ヒドロキシル基に、1分子中に環状酸無水基を1個とカルボキシル基を1個有する化合物または1分子中に環状酸無水基を2個有する化合物をハーフエステル化反応させる工程。
工程II:さらに、生成したカルボキシル基に対して、ジビニル(チオ)エーテル化合物を付加反応させる工程。 - 前記の工程Iの反応において、触媒として塩基触媒を使用する請求項2に記載の自己架橋性樹脂の製造方法。
- 請求項1に記載の自己架橋性樹脂に、触媒を含有してなる熱硬化性組成物。
- 触媒が、加熱硬化時に活性を示す熱潜在性触媒である請求項4に記載の熱硬化性組成物。
- 触媒が、アルミニウム錯体から誘導される化合物である請求項4または5に記載の熱硬化性組成物。
- 1分子中にカルボキシル基と加熱により化学結合を形成しうる反応性官能基を1個以上有する化合物をさらに含有することを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の熱硬化性組成物。
- 前記の反応性官能基がエポキシ基またはオキセタン基である請求項7に記載の熱硬化性組成物。
- 請求項1に記載の自己架橋性樹脂、あるいは請求項4〜8のいずれか1項に記載の熱硬化性組成物を硬化してなる樹脂硬化物。
- 請求項1に記載の自己架橋性樹脂、あるいは請求項4〜8のいずれか1項に記載の熱硬化性組成物を硬化して用いる電子部品。
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