JP4123765B2 - ソレノイド制御装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多段あるいは無段の自動変速機の油圧制御装置に付随するリニアソレノイド弁のソレノイド制御装置に関し、特に、リニアソレノイドの故障に対応する制御技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常の多段の自動変速機やCVTを用いた無段の自動変速機には、その変速や流体伝動装置のロックアップの制御のための油圧制御装置が設けられている。この油圧制御装置中にあって、ライン圧を生成させる調圧弁(レギュレータ弁)やロックアップのための油圧を制御する調圧弁(ロックアップコントロール弁)に印加する油圧(ソレノイド信号圧)を出力するリニアソレノイド弁やデューティソレノイド弁は、電子制御装置(ECU)の指令に従う電気的駆動信号、例えば電流のデューティ比の変更によるソレノイドへの印加電圧の変化で制御される。
【0003】
上記のようなソレノイドの制御において、ソレノイドへの印加電圧は、ソレノイドのコイルを流れる電流のフィードバック(モニタ電流)により監視され、適正値に制御されるが、ソレノイドコイルやその制御回路にフェールが生じた場合(本明細書において、コイルとその制御回路を含めたフェール、例えば断線、リーク、ショート、回路素子の劣化等の電気的故障を総称してソレノイドのフェールという)、モニタ電流に異常が生じることで、ソレノイドコイルへの供給電流が影響を受け、特に、モニタ電流値が低下した場合、その電流値を適正化すべく供給電流値を大きくする制御が働くため、ソレノイドコイルへの印加電圧が意図しない高電圧になってしまう。こうしたことから、従来の制御では、モニタ電流値が所定の正常値の範囲から外れた場合をフェールと判定し、フェールモードの適宜の制御に移行させる処理が行なわれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記のようなモニタ電流値を指標とするフェール判定では、コイルの断線やショートのような極端なモニタ電流の変化が生じる場合のフェールの検出には対応できても、本来の制御幅内の正常値の範囲から外れない僅かなモニタ電流値の異常には対応することができない。
【0005】
そこで、本発明は、正常値の範囲から外れない僅かなモニタ電流値の異常によってもソレノイドのフェールを検出可能なソレノイド制御装置を提供することを概括的な第1の目的とする。次に、本発明は、上記のような僅かなモニタ電流値の異常によりソレノイドのフェール検出に先行して生じる意図しないロックアップを回避可能なソレノイド制御装置を提供することを更なる目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は、請求項1に記載のように、変速機の油圧制御装置に配置され、供給圧を調圧して油圧を出力するロックアップソレノイド弁に、そのソレノイドの駆動による調圧制御のための電気信号を印加するソレノイド制御装置において、前記ソレノイドの印加電圧を、電流検出回路を経てフィードバックされるモニタ電流値に基づきデューティ比で制御するフィードバック制御手段と、ソレノイドのフェールを検出する検出手段と、ロックアップ解放判断の成立時に、前記検出手段によるフェールの検出に先行して、前記ソレノイドの駆動のために印加する電気信号の限界値を超える上昇を制限するロックアップ禁止手段を備えることを特徴とする構成により達成される。
【0007】
具体的には、請求項2に記載のように、前記フェールの検出は、前記ソレノイドの印加電圧とモニタ電流から算出した抵抗値に基づき検出される構成とされる。
【0008】
また、請求項3に記載のように、前記フェールの検出は、算出した抵抗値と、ソレノイドの正常時の抵抗値との比較によりなされる構成とされる。
【0009】
【0010】
前記の構成において、請求項4に記載のように、フェールの検出に基づき前記電気信号の出力を禁止する出力禁止手段を備える構成とすることもできる。
【0011】
【0012】
【0013】
【発明の作用及び効果】
上記請求項1記載の構成では、フェールの検出に先行して、モニタ電流値の異常により生じる意図しないロックアップを回避する制御が可能となる。
【0014】
次に、請求項2記載の構成では、ソレノイドへの印加電流に対するモニタ電流の異常を、計算上の抵抗値の変化として捕捉することができるため、正常時のモニタ電流の変動範囲内でのソレノイドフェールの検出が可能となる。
【0015】
更に、請求項3記載の構成では、計算で求められる抵抗値の異常を、単純に正常時の抵抗値と比較する異常判断がなされるため、ソレノイド正常時の印加電流に対して得られるべきモニタ電流の値を演算する等の複雑な制御処理を行なうことなく、ソレノイドフェールの判定が可能となる。
【0016】
【0017】
次に、請求項4記載の構成でも、ソレノイドフェール時に、そのソレノイド弁を非制御状態として、その弁が常開形の弁である場合には、油圧のフル出力状態、その弁が常閉形の弁である場合には、油圧の出力オフ状態とすることができるため、それらソレノイド弁の最低必要な機能を確保することができる。
【0018】
【0019】
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面に沿い、本発明の実施形態を説明する。図1は本発明のソレノイド制御装置により制御される油圧制御装置の一般的回路構成を簡略化して示す。この油圧回路は、オイルポンプ(O/P)1を油圧源とし、その吐出圧から車両の走行負荷に応じたライン圧を生成させるライン圧発生弁2と、ライン圧の生成に伴う余剰圧からライン圧より低圧のセカンダリ圧を生成させるセカンダリ圧発生弁3と、セカンダリ圧を調圧して、ロックアップクラッチ41付のトルクコンバータ4に供給する調圧弁としてのロックアップコントロール弁5と、ライン圧を基圧としてモジュレータ圧を発生させる減圧弁6と、モジュレータ圧を基圧として、ライン圧発生弁2とセカンダリ圧発生弁3に印加する油圧としてのソレノイド信号圧を出力するスロットルリニアソレノイド弁7と、同じくモジュレータ圧を基圧として、調圧弁5に印加する油圧としてのソレノイド信号圧を出力するロックアップリニアソレノイド弁8とを備える。これらリニアソレノイド弁7,8は、それらのソレノイド71,81に印加される電気信号によるプランジャの作動で、スプールを移動させて、モジュレータ圧のドレーン量を変化させることでソレノイド信号圧を調整する調圧作動をする。
【0021】
リニアソレノイド弁7,8に電気信号を印加するソレノイド駆動回路は、図2に示すように、リニアソレノイド71,81のコイルAに印加すべき電圧(V)を、指令値としての目標電流値(ir)に対して、フィードバック制御によりPWM出力を算出して出力デューティ比(_ls_duty)を決定することで制御する出力回路Bと、コイルAを流れる電流を制御ゲインに合わせて適宜増幅する等の処理を行なって出力回路Bにモニタ電流(ifb)としてフィードバックする電流検出回路Cからなるフィードバック制御手段で構成される。
【0022】
こうしたソレノイド駆動回路によるフィードバック制御では、電圧(V)を反映するモニタ電流(ifb)が上昇した場合には、出力デューティ比(_ls_duty)を下げることで印加電圧が低減補正され、逆に、モニタ電流(ifb)が下降した場合は、出力デューティ比(_ls_duty)を上げることで印加電圧が増加補正され、それにより常に印加電圧の適正制御がなされる。また、モニタ電流(ifb)が、コイルAのショート等で所定の正常値を外れて上昇した場合、あるいは、コイルAの断線等で所定の正常値を外れて下降した場合には、別途の異常判断手段によるリニアソレノイドの異常検出に基づき、指令値の出力を停止させる等の処理で、コイルAへの印加電圧を0として、ソレノイド弁が本形態におけるスロットルソレノイド弁のような常開形とされる弁の場合には最大出力、本形態におけるロックアップソレノイド弁のように常閉形の弁の場合には出力0とする制御がなされる。
【0023】
ところで、こうしたモニタ電流(ifb)を指標とするソレノイドのフェール検出では、目標電流値の変更幅内に入るようなモニタ電流の異常検出電流値を設定することができないため、電流検出回路Cの回路素子の異常の場合に想定されるような、小さなモニタ電流値の異常を検出することができない。次に示す図3は、比較的高いソレノイド信号圧出力状態でのこうしたソレノイドフェール発生時の出力デューティ比に応じた印加電流値(図に破線で示す)とモニタ電流値(図に点線で示す)の変化をタイムチャートで示す。図示のように、点線で示すモニタ電流値は、当初の正常状態に対して、フェール発生時から降下するのに対して、破線で示す印加電流値は、フィードバック制御によりフェール発生時から上昇する。この際のモニタ電流値の降下は、正常時のモニタ電流値の変動幅内にある。これに対して、図に実線で示す計算上で求められるソレノイドの抵抗値は、一点鎖線で温度変化に対する上限と下限を示す正常時に対して明確に識別可能な大きな値となる。本発明は、こうした計算上の抵抗値の変化をソレノイドフェール検出に用いたものである。
【0024】
上記の計算における抵抗値(R)は、R=V/ifbとして求められる。ここに、印加電圧(V)は、ソレノイドの駆動電源としてのバッテリ電圧を_vbとすると、V=_ls_duty×_vbとなる。
【0025】
このようにして求められる抵抗値(R)は、フィードバック制御の特性から、モニタ電流(ifb)の増減変化に対して印加電圧(V)が逆向きの増減変化となることから、モニタ電流(ifb)の変化に対して増幅された値(上記抵抗値の計算式において、分母が小さくなるときには、分子が大きくなり、逆に分母が大きくなるときには、分子が小さくなる)となり、温度変化によるソレノイドコイルの抵抗値の変動範囲から明確に外れた値となる。この関係は、図3を参照して、フェール発生時から、モニタ電流(図に点線で示す)が降下方向に変化しているのに対して、出力デューティ比に従う印加電流値(図に破線で示す)は上昇方向に変化し、これにより算出される抵抗値(図に実線で示す)は、正常時の抵抗値から大きく外れた値となることから了解される。したがって、この算出抵抗値(R)をソレノイドフェールの判断指標とすることで、従来のようなモニタ電流(ifb)それ自体を判断指標とするフェール検出では不可能であった、正常時のモニタ電流(ifb)変動幅内でのモニタ電流(ifb)の異常を検出する制御が可能となる。
【0026】
次に示す図4は、上記のフェール検出手法を用いた第1実施形態の制御装置によるスロットルリニアソレノイド制御の例をフローで示す。このフローは、一定時間(例えば、25msec)毎にタイマで起動させるものとし、当初のステップS1で、出力電圧(先の説明における印加電圧)とフィードバック電流(同じくモニタ電流)から抵抗値を算出する。これにより得られる抵抗値を、次のステップS2で所定の判定値(例えば40Ω)と比較し、この判断が不成立の場合は、正常としてステップS6によりタイマクリアの処理を行なう。ステップS2で抵抗値が所定の判定値を超える判断が成立する場合には、次のステップS3に進み、確認のための所定時間(例えば、スロットルソレノイドの制御の場合には1秒、ロックアップソレノイドの制御の場合には4秒)の経過を待つ。この判断は当初不成立となるので、この回のルーチンを終了する。こうして一定時間毎のタイマ起動によるルーチンの繰返しでステップS3による所定時間経過判断が成立すると、次のステップS4に進み、デューティ出力の禁止処理を行なう。これにより、次のステップS5に示すように、制御対象が常開形のスロットルリニアソレノイド弁の場合は、最大圧(モジュレータ圧)出力状態となる。また、制御対象が常開形のロックアップリニアソレノイド弁の場合には、出力オフ状態となる。
【0027】
こうしたフェール検出時の関連する制御内容としては、種々のものが考えられるが、例えば、スロットルリニアソレノイドがフェールした場合には、ソレノイド用電源をオフすることにより、シフトソレノイド、ロックアップソレノイド、プレッシャーコントロールソレノイドを全てオフとするエマージェンシーモード処理や、フェールメモリに故障発生情報をストアする処理や、ウォーニングランプを点滅させる処理等がある。また、上記エマージェンシーモードからの復帰条件としては、イグニションスイッチオフ後のスイッチ再投入とすることができる。
【0028】
ところで、上記の制御は、スロットルリニアソレノイドの制御、ロックアップリニアソレノイドの制御に共通に適用可能であるが、ロックアップ制御の場合、ソレノイドフェール発生時をロックアップオフ状態とすると、モニタ電流の低下方向の異常により意図しないロックアップがフェール検出前に生じる可能性がある。こうしたフェールによるロックアップは、車両振動等につながり、望ましくない。次に示す図5は、低いソレノイド信号圧出力状態でのソレノイドフェール発生時の出力デューティ比に従う印加電流値(図に破線で示す)とモニタ電流値(図に点線で示す)の変化をタイムチャートで示す。図示のように、点線で示すモニタ電流値は、当初の正常状態に対して、フェール発生時から僅かに降下するのに対して、破線で示す印加電流値は、フィードバック制御によりフェール発生時から細破線で示すように大きく上昇する。そしてこれによる印加電圧の上昇でロックアップリニアソレノイド弁のソレノイド信号圧出力は大きくなり、この信号圧で制御されるロックアップコントロール弁の制御でロックアップが生じる。そこで、こうした事態に対処するには、出力デューティ比を監視して、ロックアップオフ指令の成立時に、ロックアップオンに至るようなデューティ比出力となる場合に、デューティ比出力をロックアップオンとならない程度の値に制限する制御を、フェール検出に先行させて行なうのが有効である。
【0029】
次の図6は、前記のフェール検出手法とロックアップ禁止制御を組合せた制御を行なう第2実施形態の制御装置のロックアップリニアソレノイド制御の例をフローで示す。このフローも、一定時間(例えば、25msec)毎にタイマで起動させるものとし、当初のステップS11で、ロックアップオフ判断を行なう。この判断が不成立のロックアップオン状態では、後のステップを跳ばしてステップS14の抵抗値算出に進む。ステップS11でのロックアップオフ判断成立の場合は、次のステップS12に進み、出力デューティ比がリミット値を超えているか否かの判断を行なう。出力デューティ比がリミット値以下の場合には、次のステップを跳ばして、ステップS14の抵抗値算出に進む。出力デューティ比がリミット値を超えて大きいと判断された場合には、次のステップS13により出力デューティ比をリミット値にする処理を行なう。
【0030】
次のステップS14では、出力電圧(先の説明における印加電圧)とフィードバック電流(同じくモニタ電流)から抵抗値を算出する。これにより得られる抵抗値を、次のステップS15で所定の判定値(例えば40Ω)と比較し、この判断が不成立の場合は、正常としてステップS19によりタイマクリアの処理を行なう。ステップS15で抵抗値が所定の判定値を超える判断が成立する場合には、次のステップS16に進み、確認のための所定時間(例えば4秒)の経過を待つ。この判断は当初不成立となるので、この回のルーチンを終了する。こうして一定時間毎のタイマ起動によるルーチンの繰返しでステップS3による所定時間経過判断が成立すると、次のステップS17に進み、デューティ出力の禁止処理を行なう。これにより、次のステップS18に示すように、制御対象としての常閉形のロックアップリニアソレノイド弁は、ロックアップオフの出力0の状態となる。
【0031】
こうしたフェール検出時の関連する制御内容としては、種々のものが考えられるが、ロックアップリニアソレノイドへのデューティ出力禁止の他に、例えば、ロックアップ及びロックアップスリップ制御の禁止、フェールメモリに故障発生情報をストアする処理等がある。この場合も復帰条件としては、イグニションスイッチオフ後のスイッチ再投入とすることができる。
【0032】
以上、本発明をリニアソレノイド作動のスロットルソレノイド弁やロックアップソレノイド弁の制御に適用した実施形態を挙げて詳説したが、本発明の適用対象は、デューティソレノイド作動のこれら弁にも適用可能なものであり、更に、リニアソレノイドやデューティソレノイドで作動する一般的なソレノイド弁の制御に適用可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の適用に係る自動変速機の油圧制御装置の概略回路構成を示す油圧回路図である。
【図2】 ソレノイド制御のフィードバック回路図である。
【図3】 ソレノイドフェール時の作動を示すタイムチャートである。
【図4】 第1実施形態のソレノイド制御装置による制御内容を示すフローチャートである。
【図5】 ロックアップリニアソレノイドのフェール時の作動を示すタイムチャートである。
【図6】 第2実施形態のソレノイド制御装置によるロックアップソレノイド制御内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
5 ロックアップコントロール弁
7 スロットルリニアソレノイド弁
8 ロックアップリニアソレノイド弁
7a,8a ソレノイド
B 出力回路(フィードバック制御手段)
C 電流検出回路(フィードバック制御手段)
S4 出力禁止手段
S13 ロックアップ禁止手段
印加電圧
ifb モニタ電流
R 抵抗値

Claims (4)

  1. 変速機の油圧制御装置に配置され、供給圧を調圧して油圧を出力するロックアップソレノイド弁に、そのソレノイドの駆動による調圧制御のための電気信号を印加するソレノイド制御装置において、
    前記ソレノイドの印加電圧を、電流検出回路を経てフィードバックされるモニタ電流値に基づきデューティ比で制御するフィードバック制御手段と、
    ソレノイドのフェールを検出する検出手段と、
    ロックアップ解放判断の成立時に、前記検出手段によるフェールの検出に先行して、前記ソレノイドの駆動のために印加する電気信号の限界値を超える上昇を制限するロックアップ禁止手段と、を備えることを特徴とするソレノイド制御装置。
  2. 前記フェールの検出は、前記ソレノイドの印加電圧とモニタ電流から算出した抵抗値に基づき検出されてなる、請求項1記載のソレノイド制御装置。
  3. 前記フェールの検出は、算出した抵抗値と、ソレノイドの正常時の抵抗値との比較によりなされる、請求項2記載のソレノイド制御装置。
  4. フェールの検出に基づき前記電気信号の出力を禁止する出力禁止手段を備える、請求項1〜3のいずれか1項記載のソレノイド制御装置。
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