JP4123749B2 - 硬貨振分装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、硬貨を収納したり、返却したりするために、硬貨通路を滑動してきた硬貨の進路を変更する硬貨振分装置に関し、特に、硬貨を厚み方向に支持するようにして硬貨を面方向に滑動させる硬貨振分装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図4は従来の硬貨振分装置の概略の構成を示す側面図である。同図に基づいてこれを説明すると、符号2で示すものは硬貨選別手段であって、周知の選別手段が備えられた選別レール21が設けられ、この選別レール21によって選別された硬貨が金種毎に、複数個並設されたコインホッパー6(図中1個のみ図示)に選択的に落下する。85は振分手段としてのフラッパであって、底板86と底板86の両端に立設するように折曲形成された両側板87,87とによって断面コ字状に形成され、軸88を介して装置フレームに枢支されている。90は駆動手段としてのソレノイドであって、フラッパ85の係合部89に係合する進退自在なロッド91が備えられている。
【0003】
このような構成において、ソレノイド90のロッド91が後退することにより、フラッパ85は軸88を回動中心として自重によって図中反時計方向に回動するので、フラッパ85の底板86がコインホッパー6の開口61を閉塞する。したがって、選別レール21で選別されフラッパ85側に滑落してきた硬貨7は、フラッパ85の底板86上を滑動してオーバーフロー通路95を通って図示を省略した金庫内に収納される。一方、ソレノイド90のロッド91が前進することにより、ロッド91が係合部89に係合してフラッパ85を軸88を回動中心として図中時計方向に回動させる。したがって、コインホッパー6の開口61が開放されるので、選別レール21で選別されフラッパ85側に滑落してきた硬貨7は、コインホッパー6内に収納される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の硬貨振分装置においては、底板86とこの底板86の両側端に立設した両側板87,87とからなる硬貨通路を形成するフラッパ85全体を軸88の周りで回動させる構造としていることにより、可動する部分が大型化するばかりかではなく、ソレノイド90も大きな動力を要するために大型のものを使用するので装置全体が大型化するという問題があった。
【0005】
本発明は上記した従来の問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、装置の小型化を図ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、請求項1に係る発明は、硬貨が面方向に滑動するように硬貨の両端部を厚み方向に支持する一対の対向したレールと、これらレールの間に設けられた硬貨落下窓とからなり、前記一対の対向したレールのうちの少なくともいずれか一方のレールを硬貨通路を形成する進出位置と硬貨通路から退避する退避位置に進退自在な可動レールとし、この可動レールに一体に形成され、可動レールの退避位置において硬貨通路に進出し硬貨の滑動を規制して前記硬貨落下窓に落下させるストッパを設けたものである。
したがって、可動レールが進出することにより硬貨通路が形成され、可動レールが退避することにより、滑動してきた硬貨がストッパに係止され硬貨落下窓から落下する。
【0007】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記可動レールの動作状態を検出する検出レバーを可動レールに一体に形成したものである。
したがって、可動レールの動作状態を可動レールと一体に動作する検出レバーによって直接検出できる。
【0008】
また、請求項3に係る発明は、請求項1または2に係る発明において、前記可動レールを駆動手段によって回動させる枢支軸に設けたものである。
したがって、枢支軸が可動レールの回動支点と可動レールの駆動軸とを兼用する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。図1(a)は本発明に係る硬貨振分装置の概略の構成を示す側面図、同図(b)は同図(a)における I(b)-I(b)線断面図である。図2は図1(a)におけるII矢視図である。図3(a)は同じく振り分けの動作を説明するための概略の構成を示す側面図、同図(b)は同図(a)におけるIII(b)-III(b) 線断面図である。
【0010】
図1において、全体を符号1で示す硬貨振分装置は、硬貨選別手段2と、この硬貨選別手段2によって選別された硬貨7をコインホッパー6とオーバーフロー通路95に振り分ける振分手段3と、この振分手段3を駆動するソレノイド5とによって概略構成されている。
【0011】
振分手段3には、固定レール34が形成されたカバー32と、可動レール37が形成された回動部材35とが備えられている。カバー32は略L字状に折曲形成され、側面部33と固定レール34とが形成され、固定レール34が装置フレーム31に固定されている。
【0012】
回動部材35は、側面部36とこの側面部36に直角に折曲形成された可動レール37と、この可動レール37の一端に可動レール37および側面部36に直交するように折曲形成されたストッパ38と、このストッパ38の反対側に延設された検出レバー39と、この検出レバー39と平行となるように対向する一対の腕部41,41とによって構成されている。
【0013】
42は枢支軸であって、略中央部から一端側が断面D字状に形成され、Dカット部43が設けられ、他端部にはこの枢支軸42と直交するように駆動ピン44が植設されており、この駆動軸42は装置フレーム31に立設した3個の支持板45の支持孔(図示せず)に回動自在に支持されている。この枢支軸42のDカット部43には、上述した回動部材35の腕部41,41に形成された断面がD字状の嵌合孔(図示せず)が嵌合している。したがって、装置フレーム31の支持板45に枢支軸42が回動自在に支持され、後述するようにソレノイド5によって枢支軸42が回動することにより、回動部材35はこの枢支軸42と一体的に回動する。
【0014】
このように、枢支軸42に一体化された回動部材35は、枢支軸42に巻回されたねじりコイルばね46のねじりモーメントによって、図1(b)において、枢支軸42を回動中心として時計方向に付勢され、可動レール37が固定レール34が対向し、これら両レール34,37によって硬貨通路40が形成される。すなわち、前述した硬貨選別手段2の選別レール21によって選別された硬貨7がこの硬貨通路40に滑落し、この硬貨通路40を通過するとき、可動レール37と固定レール34とによって、その両端部が厚み方向に支持され、硬貨7がこれら可動レール37と固定レール34上を硬貨7の自重によって面方向に滑動する。
【0015】
47は可動レール37と固定レール34との間に形成された硬貨落下窓であって、コインホッパー6の開口61の真上に対応するように位置付けられている。48は装置フレーム31に固定された発光・受光素子からなる検出センサであって、回動部材35がねじりコイルばね46のねじりモーメントに抗して図3(b)に示すように、枢支軸42を回動中心として反時計方向に回動することにより、検出レバー39が検出センサ48を作動させる。この検出センサ48が作動することにより、可動レール37が硬貨通路40から退避した状態が検出されるので、硬貨選別手段2によって選別され、コインホッパー6内に収納される硬貨7の枚数を、この検出センサ48の状態と硬貨選別手段2または振分手段3の上流端に設けられる硬貨通過センサ(図示せず)によって計数される。
【0016】
ソレノイド5には進退自在なロッド51が備えられ、このロッド51には回動自在に支持された連結レバー52の一端が枢着され、連結レバー52の他端には駆動ローラ53が枢支されており、ロッド51が前進することにより、駆動ローラ53が上述した枢支軸42の駆動ピン44に係合する。駆動ローラ53が駆動ピン44に係合することにより、図3(b)に示すように、枢支軸42が反時計方向に回動するので、枢支軸42のDカット部43と一体化された回動部材35もねじりコイルばね46のねじりモーメントに抗して、枢支軸42を回動中心として反時計方向に回動する。
【0017】
このように、回動部材35の回動中心となる枢支軸42にDカット部43を設け、枢支軸42を回動させることにより、この枢支軸42によって直接回動部材35を枢支軸42と一体的に回動させるようにしたので、部品点数が削減されるだけでなく、構造が簡素化され装置が小型化される。また、回動部材35を枢支軸42に一体化するのに、枢支軸42のDカット部43を利用したことにより、組立の際に、枢支軸42を3個の支持板45の支持孔(図示せず)に貫挿するときに、この枢支軸42のDカット部43を回動部材35の腕部41,41のD字状の嵌合孔(図示せず)に嵌合させることができる。したがって、枢支軸42の組付けの際に、同時に回動部材35を枢支軸42に一体化することができるので、組立が容易になる。
【0018】
次に、このような構成の硬貨振分装置における硬貨の振分動作を説明する。
通常、図1に示すように、ソレノイド5のロッド51は後退しており、駆動ローラ53は駆動軸42の駆動ピン44と非係合状態になっている。したがって、同図(b)に示すように、回動部材35は、ねじりコイルばね46のねじりモーメントによって、枢支軸42を回動中心として時計方向に付勢され、可動レール37が固定レール34に対向し、硬貨通路40が形成されるとともに、ストッパ38が硬貨通路40から退避した状態になっている。
【0019】
この状態で、硬貨選別手段2の選別レール21で選別され硬貨通路40側に滑落してきた硬貨7は、可動レール37と固定レール34とによって硬貨7の両端部が厚み方向に支持され、硬貨7がこれら可動レール37と固定レール34上を面方向に自重によって滑動し、コインオーバーフロー通路95に導かれ図示を省略した金庫に収納される。
【0020】
一方、コインホッパ6に硬貨7を収納させる場合には、装置制御部(図示せず)からの信号によってソレノイド5が通電されロッド51が前進するので、駆動ローラ53が駆動軸42の駆動ピン44に係合する。したがって、図3(b)に示すように、回動部材35がねじりコイルばね46のねじりモーメントに抗して反時計方向に回動するので、可動レール37が硬貨通路40から退避するとともに、ストッパ38が硬貨通路40内に進出した状態になる。
【0021】
この状態で、選別手段2の選別レール21によって選別され硬貨通路40側に滑落する硬貨7は、硬貨通路40に進出しているストッパ38に係止されることにより、硬貨通路40内の滑動を阻止され、可動レール37が硬貨通路40から退避しているので、硬貨落下窓47からコインホッパ6内に収納される。このとき、回動部材35の検出レバー39が検出センサ48を作動させるので、この検出センサ48の作動状態と硬貨選別手段2または振分手段3の上流端に設けられる硬貨通過センサ(図示せず)によって、コインホッパー6内に収納された硬貨7の枚数が図示を省略した装置の制御部に計数される。
【0022】
このように、硬貨7を振り分けるのに、従来のように、硬貨通路を形成するフラッパ85全体を回動することなく、硬貨通路40の一部を形成する可動レール37を回動するだけでよいから、可動スペースを小さくすることができる。したがって、装置の小型化を図ることができるとともに、ソレノイド5による駆動力も小さくすることができるから、消費電力を低減することもできる。また、回動部材35に、可動レール37の進退状態を検出してコインホッパー6内に収納される硬貨7の枚数を、硬貨選別手段2または振分手段3の上流端に設けられる硬貨通過センサ(図示せず)と共に検出する検出レバー39を一体的に形成したことにより、硬貨7の枚数を検出するセンサを別に設ける必要がないから、部品点数が削減されるだけでなく、構造が簡素化され装置が小型化される。
【0023】
なお、本実施の形態においては、一対のレール34,37のうち、レール34のみを可動レールとしたが、両レール34,37を可動レールとしてもよい。また、駆動軸42の駆動をプッシュプルソレノイドタイプとしたが、ロータリソレノイドやモータによる駆動としてもよい。さらに、検出センサ48をフォトトランジスタタイプとしたが、マイクロスイッチといった機械的スイッチとしてもよい。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る発明によれば、装置の小型化を図ることができる。
【0025】
また、請求項2に係る発明によれば、硬貨の枚数を計数するためのセンサを別に設ける必要がないから、部品点数が削減されるだけでなく、構造が簡素化され装置が小型化される。
【0026】
また、請求項3に係る発明によれば、部品点数が削減されるだけでなく、構造が簡素化され装置が小型化される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 同(a)は本発明に係る硬貨振分装置の概略の構成を示す側面図、同図(b)は同図(a)における I(b)-I(b)線断面図である。
【図2】 図1(a)におけるII矢視図である。
【図3】 同図(a)は本発明に係る硬貨振分装置における振り分けの動作を説明するための概略の構成を示す側面図、同図(b)は同図(a)におけるIII(b)-III (b)線断面図である。
【図4】 従来の硬貨振分装置の概略の構成を示す側面図である。
【符号の説明】
1…硬貨振分装置、2…硬貨選別手段、3…硬貨振分手段、5…ソレノイド、6…コインホッパー、7…硬貨、34…固定レール、37…可動レール、38…ストッパ、39…検出レバー、40…硬貨通路、41…腕部、42…枢支軸、43…Dカット部、45…支持板、47…硬貨落下窓、48…検出器、51…ロッド。
Claims (3)
- 硬貨が面方向に滑動するように硬貨の両端部を厚み方向に支持し硬貨通路を形成する一対の対向したレールと、これらレールの間に設けられた硬貨落下窓とからなり、前記一対の対向したレールのうちの少なくともいずれか一方のレールを硬貨通路を形成する進出位置と硬貨通路から退避する退避位置に進退自在な可動レールとし、この可動レールに一体に形成され、可動レールの退避位置において硬貨通路に進出し硬貨の滑動を規制して前記硬貨落下窓に落下させるストッパを設けたことを特徴とする硬貨振分装置。
- 請求項1記載の硬貨振分装置において、前記可動レールの動作状態を検出する検出レバーを可動レールに一体に形成したことを特徴とする硬貨振分装置。
- 請求項1または2記載の硬貨振分装置において、前記可動レールを駆動手段によって回動させる枢支軸に設けたことを特徴とする硬貨振分装置。
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