JP4123663B2 - 電磁鋼板およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、モータ、変圧器等の鉄心材料としての使途に有用な騒音特性に優れた電磁鋼板およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
モータや変圧器等の鉄心材料として、電磁鋼板が広く用いられている。この電磁鋼板は、磁気特性に優れることが必要とされ、特に鉄損特性は製品のエネルギーロスに直結する特性であることから、様々な方法で鉄損を低減する試みがなされている。
また、最近では、環境の面から変圧器等の騒音が大きな問題となっていて、騒音に対する規制がさらに厳しくなってきており、騒音を低減することはもはや必須の要件になってきた。
このため、変圧器の製造メーカーでは、騒音の主因といわれている磁歪特性に大きな関心を持っている。従って、材料メーカーにおいても、この要請に応えるべく、電磁鋼板の磁歪低減に多大の努力を払っている。
【0003】
磁歪は、鋼板を磁化した場合の90°磁壁移動および回転磁化に起因するといわれている。
方向性電磁鋼板では、インヒビター等を利用して結晶粒方位の配向性を高めることによって、磁気特性を向上させると同時に 180°磁区を増加させ、その反面90°磁区を減少させることによって、磁歪の低減が図られている。
また、90°磁区を減少させるために、張力を付与することのできる皮膜やコーティングを施す方法も古くから試みられている。この方法は、鋼板に引張応力が付加されると磁歪が減少する性質を利用したもので、高温で鋼板とコーティングを焼き付け、鋼板とコーティングの熱膨張係数の差を利用して鋼板に張力を付加することによって、磁歪を低減する方法である。
【0004】
例えば、特公昭53−28375 号公報には、コロイド状シリカ、リン酸アルミニウムおよび無水クロム酸を用いて張力コーティングを作成する方法が提案されている。また、特公平5−77749 号公報には、TiC、TiNおよびTi(C,N) のうち少なくとも1種の極薄層を、鋼板に密着させて張力を付加する方法が開示されている。
しかしながら、これらの張力皮膜および張力コーティングは、ほとんどがガラス質またはセラミックス質であるため、非常に硬いという欠点がある。このため、打ち抜き加工性がほとんど要求されない一方向性電磁鋼板に専ら適用されてるのみで、打ち抜き加工性が重要な要件である無方向性電磁鋼板にはほとんど使用されていないのが現状である。
【0005】
また、磁歪特性の改善のために、Si量を増やすという方法も試みられている。この方法は、Fe中のSi量が6mass%に近づくと磁歪定数λ100 およびλ111 がほぼ0になり、磁歪が発生しないという性質を利用している。
例えば、特開昭62−227078号公報には、Si含有量が4mass%未満の鋼板にSiを浸透させ、ついでSiを板厚方向に拡散させて高珪素鋼板を得る方法が開示されている。
しかしながら、鋼中のSi量が増加すると鋼板の二次加工性が著しく劣化することから、鋼板を打ち抜いて製造されるモータ鉄心等への通用は困難である。しかも、この方法では、Siの浸透にムラが生じ、特に板厚方向においては無視できないほどの不均一性が現れ、磁気特性および磁歪の制御が難しいという欠点がある。
【0006】
さらに、特開平9−275021号公報および特開平9−275022号公報には、無方向性電磁鋼板の直流磁歪の絶対値を 1.5×10-6以下とすることによって低騒音鉄心を得る方法が開示されている。
そして、直流磁歪の絶対値を 1.5×10-6以下とするためには、Siを 4.0〜7.0mass%含有させる必要があると明記されている。
しかしながら、かように多量にSiを含有させると二次加工性が著しく劣化するため、鋼板を打ち抜いて製造されるモータ鉄心等への適用は困難である。
【0007】
一方、{100}<001>方位を発達させる、いわゆる二方向性電磁鋼板の製造方法も古くから検討されてきた。
例えば、特公昭35−2657号公報には、一方向に冷間圧延したのち、さらにこの方向と交差する向きに冷間圧延を加え、短時間焼鈍と高温焼鈍を行う、いわゆるクロス圧延によって、{100}<001>方位粒をインヒビターを利用して二次再結晶させる方法が開示されている。また、特開平4−362132号公報には、熱延方向に対して交差する方向に冷延圧延を施し、ついで一次再結晶を目的とする焼鈍を施したのち、二次再結晶と純化を目的とする最終仕上げ焼鈍を施して、{100}<001>方位粒をAlNを利用して二次再結晶させる方法が開示されている。
しかしながら、これらの二次再結晶を利用する方法では、面内の<100>軸が圧延方向にかつ<010>軸が板幅方向に高度に集積するため、圧延方向および板幅方向の磁化特性は良好であるが、圧延方向から45°の方向は<110>方向となるので、この方向の磁気特性や磁歪特性は大幅に劣化する。
従って、このような磁気特性の異方性が大きい材料は、回転機等の鉄心材料としてふさわしいとは言い難い。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述したとおり、張力皮膜や張力コーティングを施したり、Si量を高める等の磁歪低減方法は、電磁鋼板を硬質化させるため、実質的には打ち抜き加工性が重要視されない用途にしか適用できない。また、圧延方向および板幅方向へ<001>軸および<010>軸を集積させる二方向性電磁鋼板では、これらの方向以外の磁歪特性が劣化する。
本発明は、上記の現状に鑑み開発されたもので、モーター、変圧器の鉄心材料として好適な、打ち抜き加工性と磁歪特性に優れ、さらには騒音特性にも優れた電磁鋼板を、その有利な製造方法と共に提案することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
さて、発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、圧延方向と板幅方向の磁歪の和を低減することが騒音の低減につながることを新たに見出した。
さらに、鋼板における{100}<001>方位を適度に集積させることによって、鋼板の圧延方向と板幅方向の磁歪の和を低減できることも見出した。
本発明は、上記の知見に立脚するものである。
【0010】
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.Si:2.0〜4.0 mass%および Mn : 0.005 〜 3.0 mass %を含有し、かつ50Hzの交流で 1.5Tに励磁したときの圧延方向と板幅方向の磁歪の和が8×10-6以下であることを特徴とする電磁鋼板。
2.鋼板が、さらに、 Ni : 0.01 〜 1.50mass %、 Sn : 0.01 〜 1.50mass %、 Sb : 0.005 〜 0.50mass %、 Cu : 0.01 〜 1.50mass %、 Mo : 0.005 〜 0.50mass %および Cr : 0.01 〜 1.50mass %のうちから選んだ少なくとも一種を含有する組成になることを特徴とする上記1に記載の電磁鋼板。
【0011】
3.圧延方向と{100}<001>方位の方位差が15°以内である結晶粒の面積率が30〜70%であることを特徴とする上記1または2に記載の電磁鋼板。
【0012】
4.C:0.08mass%以下, Si:2.0〜4.0 mass%およびMn:0.005〜3.0 mass%を含有し、かつAlを0.02mass%以下、S,Se,OおよびNをそれぞれ 30ppm以下に低減し、残部は Fe および不可避的不純物の組成になる鋼スラブを、熱間圧延し、必要に応じて熱延板焼鈍を施したのち、1回または中間焼鈍をはさむ2回以上の冷間圧延を施して最終板厚とし、ついで再結晶焼鈍後、必要に応じて焼鈍分離剤を適用したのち、最終仕上げ焼鈍を施す一連の工程からなる電磁鋼板の製造方法において、
上記再結晶焼鈍を、800〜1000℃の温度範囲で、かつ窒素分圧が5vol%以上の雰囲気下で施すことを特徴とする電磁鋼板の製造方法。
5.鋼スラブが、さらに、 Ni : 0.01 〜 1.50mass %、 Sn : 0.01 〜 1.50mass %、 Sb : 0.005 〜 0.50mass %、 Cu : 0.01 〜 1.50mass %、 Mo : 0.005 〜 0.50mass %および Cr : 0.01 〜 1.50mass %のうちから選んだ少なくとも一種を含有する組成になることを特徴とする上記4に記載の電磁鋼板の製造方法。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を由来するに至った実験結果について説明する。
C:240ppm,Si:3.24mass%,Mn:0.14mass%,Al:70 ppm,Se:8ppm ,S:11ppm ,N:10 ppmおよびO:12 ppmを含み、残部は実質的にFeの組成になる鋼Aのスラブを、連続鋳造にて製造したのち、1100℃で20分間加熱後、熱間圧延により板厚:2.6 mmの熱延板とした。ついで、熱延板焼鈍後、冷間圧延により0.35mmの最終板厚に仕上げたのち、再結晶焼鈍を施した。この再結晶焼鈍は、900℃の温度で、雰囲気中の窒素分圧を種々に変更する条件下で行った。
その後、仕上げ焼鈍を施して製品板とした。
【0014】
上記のようにして得られた製品板のマクロ組織を調査したところ、鋼板の二次再結晶率が再結晶焼鈍時の窒素分圧により変化することが判明した。
図1に、再結晶焼鈍時の窒素分圧と製品板の二次再結晶率との関係を示す。
同図から明らかなように、窒素分圧が5 vol%未満の場合は二次再結晶率が低い。
【0015】
なお、再結晶焼鈍時の窒素分圧が二次再結晶率に影響を与える機構については明らかではないが、再結晶焼鈍時の窒素雰囲気からの窒化により、二次再結晶が促進されることによるものと推定される。
【0016】
次に、上記の製造過程で再結晶焼鈍温度を変化させる実験(雰囲気中の窒素分圧:50 vol%)を行い、得られた鋼板の圧延方向および板幅方向の磁歪をレーザドップラ法により測定した。
図2に、再結晶焼鈍温度と圧延方向および板幅方向の磁歪の和との関係を示す。
同図に示したように、再結晶焼鈍温度が 800〜1000℃の範囲で圧延方向および板幅方向の磁歪特性が良好であった。
【0017】
また、上記の実験で得られた鋼板のマクロ組織を調査したところ、再結晶温度の違いにより、二次再結晶率に差異があることが明らかとなった。
図3に、再結晶温度と二次再結晶率との関係を示す。
同図に示したとおり、再結晶温度が 800〜1000℃の場合には完全に二次再結晶することが分かる。
【0018】
上記の実験結果から、良好に二次再結晶させることによって圧延方向および板幅方向の磁歪特性が向上することが明らかとなったため、次に良好に二次再結晶した鋼板の集合組織を調査した。
表1に、鋼Aにおいて良好に二次再結晶した再結晶焼鈍条件と、得られた製品板の圧延方向と板幅方向の磁歪の和および圧延方向と{100}<001>方位の方位差が15°以内である結晶粒の面積率について調べた結果を示す。
【0019】
【表1】
【0020】
同表から明らかなように、良好に二次再結晶し、かつ磁歪の低い製品板は、圧延方向と{100}<001>方位の方位差が15°以内である結晶粒(以下、{100}<001>方位粒と略記する)の面積率が30〜70%の範囲にあることが判明した。
【0021】
そこで、種々の成分系についても同様にして、良好に二次再結晶する鋼板について、磁歪と{100}<001>方位粒の面積率との関係について調査した結果を、図4に示す。
同図に示したとおり、{100}<001>方位粒の面積率が30〜70%の範囲を満足する場合に、圧延方向と板幅方向の磁歪の和が小さくなることが明らかとなった。
【0022】
この機構は必ずしも明確ではないが、圧延方向および板幅方向への<100>軸の集積度が30%未満の場合は 180°磁区が減少して磁歪特性が悪化し、一方70%を超える場合は集積度が高すぎるため、圧延方向への<100>軸と共に板幅方向への<010>軸の集積が高まり、その結果90°磁区が増加するためであると考えられる。
【0023】
次に、様々な磁歪特性を有する方向性および無方向性電磁鋼板を、直径:150mmのリング状に打ち抜き、 750℃, 2時間の歪取り焼鈍を施したのち、積層し、鉄心を作製した。
そして、これらの鉄心の直上 100mmの位置にマイクロフォンを取り付け、周波数:50Hz、励磁磁束密度:1.5 Tで励磁したときの騒音について調査した。
図5に、電磁鋼板の圧延方向と板幅方向の磁歪の和と励磁時における騒音値との関係を示す。
同図に示したとおり、磁歪の和が8×10-6以下の場合に、騒音が 40 dB以下と小さくなることが明らかとなった。
【0024】
この機構は必ずしも明確ではないが、励磁方向が鋼板の圧延方向のみならず、鋼板の全方向に及ぶため、圧延方向および板幅方向の磁歪特性が悪い場合はいうまでもなく、圧延方向の磁歪特性は良好であっても板幅方向の磁歪特性が悪いと板幅方向の磁歪が大きくなり、その結果騒音が大きくなるものと考えられる。
【0025】
なお、本発明において、インヒビター成分を含まない成分系において二次再結晶が発現する理由については、以下のように考えている。
発明者らは、従来から、{110}<001>方位粒すなわちゴス方位粒が二次再結晶する機構について鋭意研究を重ねた結果、一次再結晶組織における方位差角(隣り合う結晶の格子を重ねるのに必要な最小回転角)が20〜45°である粒界が重要な役割を果たしていることを見出し、Acta Material 45巻 (1997) 85ページに報告した。
方向性電磁鋼板の二次再結晶直前の状態である一次再結晶組織を解析し、様々な結晶方位を持つ各々の結晶粒周囲の粒界について、粒界方位差角が20〜45°である粒界の全体に対する割合(%)について調査した結果を、図6に示す。
同図において、結晶方位空間はオイラー角(Φ1、Φ、Φ2)のΦ2=45°断面を用いて表示しており、ゴス方位などの主な方位を摸式的に表示してある。
【0026】
さて、図6によれば、ゴス方位粒周囲における方位差角が20〜45°である粒界の存在頻度については、ゴス方位が最も高い頻度を持つ。方位差角:20〜45°の粒界は、C.G.Dunnらによる実験データ(AIME Transaction 188巻(1949) 368 ページ)によれば、高エネルギー粒界である。高エネルギー粒界は、粒界内の自由空間が大きく乱雑な構造をしている。粒界拡散は、粒界を通じて原子が移動する過程であるので、粒界中の自由空間の大きい高エネルギー粒界の方が粒界拡散が速い。
二次再結晶は、インヒビターと呼ばれる析出物の拡散律速による成長に伴って発現することが知られている。高エネルギー粒界上の析出物は、仕上焼鈍中に優先的に粗大化が進行するので、優先的にピン止めがはずれて、粒界移動を開始しゴス粒が成長する機構を示した。
【0027】
発明者らは、上記の研究をさらに発展させて、二次再結晶の本質的要因は、一次再結晶組織中の高エネルギー粒界の分布状態にあり、インヒビターの役割は、高エネルギー粒界と他の粒界の移動速度差を生じさせることにあることを突き止めた。
従って、この理論に従えば、インヒビターを用いなくとも、粒界の移動速度差を生じさせることができれば、二次再結晶させることが可能となる。
【0028】
鋼中に存在する不純物元素は、粒界特に高エネルギー粒界に偏析し易いため、不純物元素を多く含む場合には、高エネルギー粒界と他の粒界の移動速度に差がなくなっているものと考えられる。
従って、素材の高純度化によって、このような不純物元素の影響を排除してやれば、高エネルギー粒界の構造に依存する本来的な移動速度差が顕在化して、ゴス方位粒の二次再結晶が可能になることが期待される。
以上の考察に基づいて、発明者らは、インヒビター成分を含まない成分系においても、素材の高純度化により二次再結晶を生じさせ得ることを究明したのである。
【0029】
本発明におけるインヒビターを使用しない技術の場合、二次再結晶する方位は{100}<001>近傍方位であり、インヒビターを含有する技術とは異なっている。
インヒビターを含まない場合には、熱延後あるいは熱延板焼鈍後の結晶組織が著しく粗大化し、冷間圧延後の再結晶焼鈍時に核生成する{111}組織に著しい影響を及ぼしているものと推定される。{111}組織はゴス方位粒の成長に有利な組織として知られており、かかる組織の減少により{100}<001>方位粒が替わって二次再結晶したものと推定されるが、本質的な機構は明らかではない。
【0030】
次に、本発明の電磁鋼板の構成についての限定理由を説明する。
Si:2.0 〜4.0 mass%
電磁鋼板において、Siは、電気抵抗を高め、鉄損を改善する必須元素であるが、2.0 mass%未満ではその添加効果に乏しく、またγ変態を生じ、熱延組織が大きく変化する他、最終仕上げ焼鈍において変態し、良好な磁気特性を得ることができない。一方、4.0 mass%を超えると鋼板の加工性が悪化し、さらに飽和磁束密度も低下するので、Si量は 2.0〜4.0 mass%の範囲に制限した。
【0031】
{100}<001>方位粒の面積率:30〜70%
{100}<001>方位粒の面積率が30%未満では、圧延方向および板幅方向への<100>軸の集積度が低くなり、これらの方向の磁歪特性が悪化する。一方、面積率が70%を超えると、前述したとおり、圧延方向および板幅方向の磁歪が劣化するのみならず、{100}<001>方位が高度に集積し、圧延方向および板幅方向の磁気特性は良好ではあるが、圧延方向から45°の方向に<110>方向が集積し、磁気特性の劣化を招く。
このような理由により、{100}<001>方位粒の面積率を30〜70%とした。
【0032】
50Hzの交流で 1.5Tに励磁したときの圧延方向と板幅方向の磁歪の和:8×10-6以下
磁歪は騒音の主因であり、50Hzの交流で1.5Tに励磁したときの圧延方向と板幅方向の磁歪の和が8×10-6を超えると騒音も非常に大きくなり、製品特性として好ましくなくなるためである。
【0033】
次に、本発明の製造方法について説明する。
まず、素材成分について説明する。
C:0.08mass%以下
Cは、結晶粒内における局所変形を促進させ、{100}<001>組織の発達を促す働きがある。しかしながら、含有量が0.08mass%を超えると脱炭焼鈍で除去することが非常に困難になるだけでなく、熱延板焼鈍時に部分的にγ変態を起こし、再結晶焼鈍での集合組織の発達に悪影響を及ぼすので、C量は0.08mass%以下(望ましくは 300 ppm以下)に限定した。
【0034】
Si:2.0 〜4.0 mass%
Siについての添加理由は、電磁鋼板について上述したところと同じである。
【0035】
Mn:0.005 〜3.0 mass%
Mnは、熱間加工性を良好にするために必要な元素であるが、0.005 mass%未満ではその添加効果に乏しく、一方3.0mass%を超えると二次再結晶が困難となるので、Mn量は0.005〜3.0 mass%の範囲に制限した。
また、この Mn : 0.005 〜 3.0 mass %は、製品である電磁鋼板においても必須成分である。
【0036】
Al:0.02mass%以下、Se,S,OおよびN:30 ppm以下
これらの元素はいずれも、二次再結晶の発現を阻害し、しかも地鉄中に残存して磁気特性を劣化させる有害元素である。そこで、Alは0.02mass%以下、またSe,S,OおびNはいずれも 30ppm以下(望ましくは20ppm 以下)に低減するものとした。
【0037】
以上、必須成分および抑制成分について説明したが、本発明ではその他、以下に述べる元素を適宜含有させることができる。
まず、磁束密度を向上させるためにNiを添加することができる。しかしながら、添加量が0.01mass%に満たないと磁気特性の向上量が小さく、一方1.50mass%を超えると二次再結晶粒の発達が不十分で満足いく磁気特性が得られないので、添加量は0.01〜1.50mass%とする。
また、鉄損を向上するために、Sn:0.01〜1.50mass%、Sb:0.005 〜0.50mass%、Cu:0.01〜1.50mass%、Mo:0.005 〜0.50mass%、Cr:0.01〜1.50mass%を添加することができる。これらの元素はいずれも、上記の範囲より添加量が少ない場合には鉄損改善効果がなく、一方添加量が多い場合には二次再結晶粒が発達しなくなり鉄損の劣化を招く。
【0038】
上記の好適成分組成に調整した溶鋼を、通常の造塊法や連続鋳造法によりスラブとする。また、直接鋳造法を用いて 100mm以下の厚さの薄鋳片を直接製造してもよい。
スラブは、通常の方法で加熱して熱間圧延するが、鋳造後、加熱せずに直ちに熱延に供してもよい。また、薄鋳片の場合には、熱間圧延を行っても良いし、熱間圧延を省略してそのまま以後の工程に進めてもよい。
スラブ加熱温度は、素材成分にインヒビター成分を含まないので、熱間圧延が可能な最低温度の1100℃程度で十分である。
【0039】
ついで、必要に応じて熱延板焼鈍を施したのち、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施す。
熱延板焼鈍は、磁気特性の向上に有用である。同様に、中間焼鈍を冷間圧延の間に挟むことは、磁気特性の安定化に有用である。しかしながら、いずれも生産コストを上昇させることになるので、経済的観点および一次再結晶粒径を適正範囲にする必要から、熱延板焼鈍や中間焼鈍の取捨選択および焼鈍温度と時間が決定される。
【0040】
ついで、再結晶焼鈍を行う。
この再結晶焼鈍は、前述したとおり、焼鈍温度が 800℃未満、1000℃超ではともに二次再結晶の進行が阻害される。また、窒素分圧が5 vol%未満であっても二次再結晶の進行に悪影響を及ぼす。二次再結晶が進行しないと、さまざまな方位の粒が数多く存在するため磁歪特性が劣化する。
それ故、本発明では、再結晶焼鈍を、800 〜1000℃の温度範囲で、かつ雰囲気中の窒素分圧:5 vol%以上の条件下で行うものとした。
なお、最終冷間圧延後あるいは再結晶焼鈍後に、浸珪法によってにSi量を増加させる技術を併用してもよい。
【0041】
その後、必要に応じて焼純分離剤を適用してから、最終仕上焼鈍を施すことによって二次再結晶組織を発達させる。
さらに、必要に応じて絶縁コーティングを施す。この絶縁コーティングは、2種類以上の被膜からなる多層膜であっても良いし、また用途に応じて樹脂等を混合させたコーティングを施しても良い。
【0042】
【実施例】
実施例1
表2に示す種々の成分組成になる鋼スラブを、連続鋳造にて製造した後、1100℃で20分間加熱してから、熱間圧延によって 2.6mm厚の熱延板とした。ついで、1100℃で60秒間の熱延板焼鈍後、温間圧延によって0.35mmの最終板厚に仕上げたのち、窒素:50 vol%、水素:50 vol%の雰囲気中にて、焼鈍温度:900 ℃の再結晶焼鈍を施した。ついで、仕上げ焼鈍を施して製品板とした。
かくして得られた製品板について、X線回折ラウエ法を用いて、{100}<001>方位粒の面積率を求めた。また、レーザドップラ法を用いて圧延方向および板幅方向の磁歪を測定した。
さらに、製品板を、直径:150 mmのリング状に打ち抜き、 750℃, 2時間の歪取り焼鈍を施したのち、積層して、鉄心を作製した。これらの鉄心の直上 100mmの位置にマイクロフォンを取り付け、周波数:50Hz、励磁磁束密度:1.5 Tで励磁したときの騒音を測定した。
得られた結果を表2に併記する。
【0043】
【表2】
【0044】
同表から明らかなように、本発明の成分組成範囲を満足する鋼スラブを用い、適正な再結晶焼鈍条件下で製造した場合には、磁歪特性および騒音特性とも優れた良好な製品が得られている。
【0045】
実施例2
インヒビターを含まない成分系であるC:220ppm,Si:3.25mass%,Mn:0.16mass%,Al:80ppm ,Se:12ppm ,S:11ppm ,N:9ppm およびO:13ppm を含み、残部は実質的にFeの組成になる鋼スラブを、連続鋳造にて製造したのち、1100℃で20分間加熱してから、熱間圧延により所定の板厚の熱延板とした。ついで、熱延板焼鈍後、温間圧延により0.35mmの最終板厚に仕上げたのち、表3に示す種々の条件にて再結晶焼鈍を施した。ついで、窒素雰囲気にて仕上げ焼鈍を行った。
かくして得られた製品板について、X線回折ラウエ法を用いて、{100}<001>方位粒の面積率を求めた。また、レーザドップラ法を用いて圧延方向および板幅方向の磁歪を測定した。
さらに、製品板を、直径:150 mmのリング状に打ち抜き、 750℃, 2時間の歪取り焼鈍を施したのち、積層して、鉄心を作製した。これらの鉄心の直上 100mmの位置にマイクロフォンを取り付け、周波数:50Hz、励磁磁束密度:1.5 Tで励磁したときの騒音を測定した。
得られた結果を表3に併記する。
【0046】
【表3】
【0047】
同表から明らかなように、焼鈍温度:800 〜1000℃、雰囲気中の窒素分圧:5 vol%以上の条件で再結晶焼鈍を行った場合には、磁歪特性および騒音特性とも優れた良好な製品を得ることができた。
【0048】
【発明の効果】
かくして、本発明によれば、圧延方向のみならず板幅方向についても磁歪特性が優れ、ひいては騒音特性に優れた電磁鋼板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 再結晶焼鈍時の雰囲気中の窒素分圧と製品板の二次再結晶率との関係を示した図である。
【図2】 再結晶焼鈍温度と製品板の磁歪との関係を示した図である。
【図3】 再結晶焼鈍温度と製品板の二次再結晶率の関係を示した図である。
【図4】 {100}<001>方位粒の面積率と製品板の磁歪との関係を示した図である。
【図5】 電磁鋼板の圧延方向と板幅方向の磁歪の和と励磁時における騒音値との関係を示した図である。
【図6】 方向性電磁鋼板の一次再結晶集合組織における方位差角20〜45°の粒界の各方位粒に対する存在頻度を示した図である。
Claims (5)
- Si:2.0〜4.0 mass%およびMn:0.005〜3.0 mass%を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になり、かつ50Hzの交流で 1.5Tに励磁したときの圧延方向と板幅方向の磁歪の和が8×10-6以下であることを特徴とする電磁鋼板。
- 鋼板が、さらに、Ni:0.01〜1.50mass%、 Sn:0.01〜1.50mass%、Sb:0.005〜0.50mass%、 Cu:0.01〜1.50mass%、Mo:0.005〜0.50mass%およびCr:0.01〜1.50mass%のうちから選んだ少なくとも一種を含有する組成になることを特徴とする請求項1に記載の電磁鋼板。
- 圧延方向と{100}<001>方位の方位差が15°以内である結晶粒の面積率が30〜70%であることを特徴とする請求項1または2に記載の電磁鋼板。
- C:0.08mass%以下, Si:2.0〜4.0 mass%およびMn:0.005〜3.0 mass%を含有し、かつAlを0.02mass%以下、S,Se,OおよびNをそれぞれ 30ppm以下に低減し、残部は Fe および不可避的不純物の組成になる鋼スラブを、熱間圧延し、必要に応じて熱延板焼鈍を施したのち、1回または中間焼鈍をはさむ2回以上の冷間圧延を施して最終板厚とし、ついで再結晶焼鈍後、必要に応じて焼鈍分離剤を適用したのち、最終仕上げ焼鈍を施す一連の工程からなる電磁鋼板の製造方法において、
上記再結晶焼鈍を、800〜1000℃の温度範囲で、かつ窒素分圧が5vol%以上の雰囲気下で施すことを特徴とする電磁鋼板の製造方法。 - 鋼スラブが、さらに、 Ni : 0.01 〜 1.50mass %、 Sn : 0.01 〜 1.50mass %、 Sb : 0.005 〜 0.50mass %、 Cu : 0.01 〜 1.50mass %、 Mo : 0.005 〜 0.50mass %および Cr : 0.01 〜 1.50mass %のうちから選んだ少なくとも一種を含有する組成になることを特徴とする請求項4に記載の電磁鋼板の製造方法。
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