JP4123628B2 - 車両用空調装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、空調ケースのケース壁の内壁面と板状ドアのスラスト方向の一側面との間のクリアランスとケースの内壁面と板状ドアのスラスト方向の他側面との間のクリアランスとを略均一化することが可能な車両用空調装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、車両用空調装置のヒータケース内には、エンジンを冷却する冷却水を熱源とするヒータコア等の加熱用熱交換器、およびこの加熱用熱交換器を通過する空気量と加熱用熱交換器を迂回する空気量とを調節するエアミックスドア等が収容されている。このような車両用空調装置において、ヒータケースの内壁面とエアミックスドアの側面との間には、エアミックスドアの作動性を保証するために3mm程度のクリアランスが設けられている。そして、このクリアランスは、エアミックスドアの両端で均一となるように設計されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、エアミックスドアをヒータケース内に組み付ける場合には、図3に示したように、エアミックスドア101がドア駆動用レバー102を組み付ける力に押されて、エアミックスドア101のスラスト方向の一側面とケース壁103の内壁面との間に形成されるクリアランスAとエアミックスドア101の他側面とケース壁104の内壁面との間に形成されるクリアランスBとが不均一になってしまう。
【0004】
それによって、空調使用時に、エアミックスドア101の両端の空気の流れが不均一となることによって、吹出口から車室内に向けて吹き出す空調風の吹出口温度がばらつく等の性能低下が発生するという不具合が生じてしまう。このような不具合を解消するために、図4(a)および図4(b)に示したように、ガイドリブ105を設けて空気通路106を絞るようにして、上記の性能低下を小さくするようにしているが、却って騒音の悪化および風量の低下という問題が生じる。
【0005】
【発明の目的】
本発明の目的は、ドアを組み付けた状態におけるケース内のドアの位置決めという点に着目し、ケースの内壁面とドアの側面との間のクリアランスを等しくすることのできる車両用空調装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明によれば、ケースの内壁面間にドアを組み付る際にドアがドア駆動手段を組み付ける力に押されても、ケースの内壁面間にドアを組み付ける際に生じるスラストガタを略半分にすることができる。このため、ケースの内壁面とドア本体の一側面との間のクリアランスとケースの内壁面とドア本体の他側面との間のクリアランスとを略等しくすることができる。それによって、空調使用時に、ドア本体の両端の空気の流れが均一となり、吹出口温度がばらつく等の性能低下を抑えることができる。
【0007】
また、ケースの内壁面間にドアを組み付ける際にドアがドア駆動手段を組み付ける力に押されて、突起部が軸受部に当接した状態で、ケースの内壁面間にドアが組み付けられることにより、ケースの内壁面間にドアを組み付ける際に生じるスラストガタを略半分にすることができる。
【0008】
請求項に記載の発明によれば、ドア駆動用レバーの駆動軸をドアの支軸の端面に結合させることにより、マニュアル駆動によってケースの外部からドアを回転操作することができる。
【0009】
請求項に記載の発明によれば、アクチュエータの駆動軸をドアの支軸の端面に結合させることにより、アクチュエータ駆動によってケースの外部からドアを回転作動させることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
〔実施形態の構成〕
図1および図2は本発明の実施形態を示したもので、図1はヒータケースの内壁面間に組み付けられたエアミックスドアを示した図で、図2は車両用空調装置の空調ユニットを示した図である。
【0011】
本実施形態の車両用空調装置は、エンジンを搭載する車両の車室内を空調する空調ユニットにおける空調手段を、車室内前面のエアコン操作パネル(図示せず)に設けられた各種操作レバーの操作位置に応じて作動させるように構成されたマニュアルエアコンである。
【0012】
空調ユニットは、空気の流れ方向に向かって、内外気モードを切り替える内外気切替装置、空気を冷却する空気冷却装置、および空気を加熱する空気加熱装置等を備えている。なお、内外気切替装置は、内外気切替箱、この内外気切替箱内に回動自在に組み付けられた内外気モード切替ドア等から構成される。また、空気冷却装置は、クーラケース、およびこのクーラケース内を通過する空気を冷却するエバポレータ等の冷却用熱交換器等から構成される。
【0013】
そして、内外気切替装置および空気冷却装置よりも空気下流側に位置する空気加熱装置は、ヒータケース1、遠心式送風機2、2個の吹出口モード切替ドア3、4、加熱用熱交換器5、エアミックス(A/M)ドア6およびドア駆動用レバー7等から構成されたヒータユニットである。
【0014】
ヒータケース1は、車室内前側に配設されて、内部に空気通路8が形成されている。その空気通路8は、途中で温風通路9と冷風通路10とに分かれた後にエアチャンバ11で再度合流するように構成されている。
【0015】
遠心式送風機2は、ヒータケース1の空気上流側に一体成形されたスクロールケーシング12と、このスクロールケーシング12内に回転自在に収容された遠心式ファン13と、この遠心式ファン13を回転駆動するブロワモータ14等から構成され、空気通路8内において車室内に向かう空気流を発生させる送風機である。
【0016】
2個の吹出口モード切替ドア3、4は、ヒータケース1の空気下流側に形成されたデフロスタ(DEF)通風路15、フェイス(FACE)通風路16およびフット(FOOT)通風路17を選択的に開閉することにより吹出口モードを切り替える。
【0017】
ここで、DEF通風路15には、図示しないデフロスタダクトが接続されている。このデフロスタダクト内に導入された空調風(主に温風)は、このデフロスタダクトの空気下流端であるデフロスタ(DEF)吹出口18から、車両のフロントウインドガラスの内面に向けて吹き出される。
【0018】
また、FACE通風路16には、図示しないフェイスダクトが接続されている。このフェイスダクト内に導入された空調風(主に冷風)は、このフェイスダクトの空気下流端であるフェイス(FACE)吹出口19から、車両の乗員の頭胸部(上半身)に向けて吹き出される。
【0019】
さらに、FOOT通風路17には、図示しないフットダクトが接続されている。このフットダクト内に導入された空調風(主に温風)は、このフットダクトの空気下流端であるフット(FOOT)吹出口20から、車両の乗員の足元部に向けて吹き出される。
【0020】
吹出口モード切替ドア3は、ドア本体21がPP(ポリプロピレン)樹脂等の樹脂部材よりなり、ドア本体21の一端に一体的に設けられたドアシャフト22を枢着位置とする平板状ドアであって、DEF通風路15およびFACE通風路16を開閉するフェイス・デフ(F/D)ドアである。そして、ドア本体21の両面には、シール性を高めるためにドアパッキン(ポリウレタンフォーム等の樹脂材料)23が一体成形されている。
【0021】
吹出口モード切替ドア4は、ドア本体24がPP(ポリプロピレン)樹脂等の樹脂部材よりなり、ドア本体24の略中央部に一体的に設けられたドアシャフト25を枢着位置とする平板状ドアであって、FOOT通風路17を開閉するフット(FOOT)ドアである。そして、ドア本体24の両面には、シール性を高めるためにドアパッキン(ポリウレタンフォーム等の樹脂材料)26が一体成形されている。
【0022】
加熱用熱交換器5は、内部をエンジンを冷却した冷却水が流れ、この冷却水を暖房用熱源として空気を再加熱するヒータコアである。この加熱用熱交換器5は、複数本のチューブおよびコルゲートフィンよりなる熱交換部27と、この熱交換部27の両端に設けられたタンク部28、29とから構成されている。
【0023】
A/Mドア6は、加熱用熱交換器5を通過する空気量と加熱用熱交換器5を迂回する空気量とを調節する。すなわち、A/Mドア6は、温風通路9を流れる空気量と冷風通路10を流れる空気量とを調節する通路開閉用ドアであって、各吹出口から車室内に吹き出される空気の吹出温度を調整する。
【0024】
A/Mドア6は、ドア駆動用レバー7によって回転操作され、高さが100mm、幅が300mm、板厚が3mm〜4mmのドア本体31がPP(ポリプロピレン)樹脂等の樹脂部材よりなり、ドア本体31の一端に一体的に設けられたドアシャフト(支軸)32を枢着位置とする平板状ドアである。そして、ドア本体31の両面には、シール性を高めるためにドアパッキン(ポリウレタンフォーム等の樹脂材料)33が一体成形されている。
【0025】
ここで、ヒータケース1には、対向して配置されるケース壁34、35が設けられている。ドア駆動用レバー7に対して逆側のケース壁34には、A/Mドア6のドアシャフト32の端部を回転自在に支持する円筒状の軸受部36が設けられている。この軸受部36には貫通穴37が形成されている。
【0026】
また、ドア駆動用レバー7側のケース壁35には、ドア駆動用レバー7を回転自在に支持する円筒状の軸受部38が設けられている。この軸受部38にも貫通穴39が形成されている。なお、軸受部36、38は、ケース壁34、35の内壁面より空気通路8側に例えば1.5mm程度突出している。
【0027】
ドア本体31は、ドアシャフト32の軸方向に対して、ケース壁34、35の内壁面間にA/Mドア6を組み付ける際、つまりドア駆動用レバー7をA/Mドア6と結合する際に生じるスラストガタの1/2分だけ、ドア駆動用レバー7側にオフセットした位置に設けられている。そして、ドア本体31のスラスト方向の側面には、突起部40が設けられている。
【0028】
この突起部40は、ドア本体31のスラスト方向の側面のドアシャフト32寄りの部位からケース壁34の内壁面に向けて突出するように、しかもドア駆動用レバー7をA/Mドア6と結合する際に生じるスラストガタの1/2分(例えば1.5mm)だけ突出するように設けられている。また、ドアシャフト32のドア駆動用レバー7側の端部には、ドア駆動用レバー7が差し込まれる円筒形状の結合部41が設けられている。
【0029】
ドア駆動用レバー7は、本発明のドア駆動手段に相当するもので、エアコン操作パネルに設けられた温度調節レバー等の手動操作手段(図示せず)にワイヤーケーブルを介して駆動連結された平板状部42、およびこの平板状部42の面方向に対して直交する方向に延長されて、ケース壁35の軸受部38に回転自在に支持される駆動軸43等を有している。
【0030】
そのドア駆動用レバー7の駆動軸43の先端部は、ドアシャフト32の結合部41内に差し込まれた(嵌合された)状態で保持固定されている。なお、駆動軸43には、ドア駆動用レバー7がケース壁35の軸受部38から抜けるのを防止するための可動式のストッパ44が設けられている。
【0031】
そして、そのドア駆動用レバー7をヒータケース1から脱着する際には、駆動軸43の外周に形成された溝(図示せず)内にストッパ44を引っ込めることで、軸受部38の貫通穴39を挿通できるようになる。
【0032】
〔実施形態の組付方法〕
次に、本実施形態の車両用空調装置のA/Mドア6およびドア駆動用レバー7の組付方法を図1に基づいて簡単に説明する。
【0033】
先ず、ヒータケース1のケース壁34、35の内壁面間に、A/Mドア6を嵌め込み、A/Mドア6のドアシャフト32の端部をケース壁34の軸受部36の貫通穴37内に差し込んだ状態で保持する。次に、ドア駆動用レバー7をヒータケース1の外側から組み付ける。
【0034】
具体的には、ドア駆動用レバー7の駆動軸43をケース壁35の軸受部38の貫通穴39内に差し込み、更に、駆動軸43の先端部をドアシャフト32の結合部41内に差し込んでA/Mドア6とドア駆動用レバー7とを組み付ける。これにより、ヒータケース1にA/Mドア6およびドア駆動用レバー7を組み付けることができる。
【0035】
しかし、ケース壁34、35の内壁面間に保持されたA/Mドア6がドア駆動用レバー7を組み付ける力に押されて、設計した位置よりもスラスト方向に動き、A/Mドア6のドア本体31の一側面(スラスト方向の側面)がケース壁34の内壁面側に押し付けられることになる。
【0036】
そこで、本実施形態では、A/Mドア6のドア本体31を、ドアシャフト32の軸方向に対して、組み付ける際に生じるスラストガタの1/2分だけ、ケース壁34に対向するケース壁35側にオフセットした位置となるように一体的に設け、そのオフセットした分だけケース壁34側に突出する突起部40をドア本体31のスラスト方向の側面に設けている。
【0037】
それによって、A/Mドア6がドア駆動用レバー7を組み付ける力に押されても、A/Mドア6のドア本体31のスラスト方向の側面に設けた突起部40が、ケース壁34に設けた軸受部36に当接することにより、A/Mドア6およびドア駆動用レバー7をヒータケース1に組み付ける際に生じるスラストガタが半分になる。
【0038】
〔実施形態の効果〕
以上のように、本実施形態の車両用空調装置は、A/Mドア6のドア本体31を、ドアシャフト32の軸方向に対して、ドア駆動用レバー7をA/Mドア6と結合する際に生じるスラストガタの半分(例えば1.5mm)だけ、ドア駆動用レバー7側にオフセットした位置(ずらした位置)に設けている。そして、A/Mドア6のドア本体31のスラスト方向の側面に、そのドア本体31のオフセット分(例えば1.5mm)だけ突出するように突起部40を設けることで、A/Mドア6にドア駆動用レバー7を組み付ける際に生じるスラストガタを半分にすることができる。
【0039】
この結果、A/Mドア6のドア本体31の一側面(スラスト方向の側面)とケース壁34の内壁面との間に生じるクリアランス(例えば3mmの隙間)と、ドア本体31の他側面(スラスト方向の側面)とケース壁35の内壁面との間に生じるクリアランス(例えば3mmの隙間)とを等しくすることができる。
【0040】
以上の構成によって、A/Mドア6のドア本体31の両端のクリアランスを等しくすることができるので、空調使用時に、A/Mドア6の両端の空気の流れが均一となることによって、各吹出口から車室内に向けて吹き出す空調風の吹出口温度がばらつく等の性能低下を抑えることができる。また、図4(a)および図4(b)に示したようなガイドリブ105を設けて空気通路106を絞ることなく、上記の性能低下を抑えることができるので、騒音の悪化および風量の低下も抑えることができる。
【0041】
〔他の実施形態〕
本実施形態では、本発明を、ヒータケース1、A/Mドア6およびドア駆動用レバー7に適用した例を説明したが、本発明を、空調ケース、内外気モード切替ドアまたは吹出口モード切替ドア、およびそれらのドアを駆動するドア駆動用レバーに適用しても良い。
【0042】
本実施形態では、ドアとして平板状ドアを適用した例を説明したが、ドアとしてフィルムドア、回転ドア等の他のドアを適用しても良い。また、本実施形態では、A/Mドア6のドア本体31のスラスト方向の側面の一部に突起部40を設けた例を説明したが、A/Mドア6のドア本体31のスラスト方向の側面の全部または異なる部位に突起部40を設けても良い。
【0043】
本実施形態では、ドアを駆動するドア駆動手段としてA/Mドア6に回転動作を与えるドア駆動用レバー7を適用した例を説明したが、ドア駆動手段としてモータを駆動源とするアクチュエータを適用しても良い。そして、アクチュエータの駆動軸の先端部を、ドアの支軸の端面に設けた結合部41に結合するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】ヒータケースの内壁面間に組み付けられたA/Mドアを示した正面図である(実施形態)。
【図2】車両用空調装置の空調ユニットを示した概略図である(実施形態)。
【図3】ヒータケースの内壁面間に組み付けられたエアミックスドアを示した正面図である(従来の技術)。
【図4】(a)および(b)はヒータケースの内壁面間に組み付けられたエアミックスドアを示した正面図および断面図である(従来の技術)。
【符号の説明】
1 ヒータケース
6 A/Mドア
7 ドア駆動用レバー(ドア駆動手段)
31 ドア本体
32 ドアシャフト(支軸)
34 ケース壁
35 ケース壁
36 軸受部
38 軸受部
40 突起部
41 結合部
43 駆動軸

Claims (3)

  1. 内壁面が対向するように形成されたケースと、
    このケースの内壁面間に配置されるドア本体、および前記ケースの内壁面に回転自在に支持される支軸を有するドアと、
    前記ケースの外部から前記ドアを駆動するドア駆動手段と
    を備え、
    前記ドア本体は、前記支軸に対して、前記ケースの内壁面間に前記ドアを組み付ける際に生じるスラストガタの略半分だけ、前記ドア駆動手段側にオフセットした位置に設けられ、
    前記ドア本体をオフセットした分だけ、前記ドア本体のスラスト方向側面の前記ドア駆動手段側に対して反対側のみに、前記ドア駆動手段側に対して反対側の前記ケースの内壁面に向けて突出するように突起部を前記ドア本体と一体的に設け
    前記ケースは、前記ドアの支軸を回転自在に支持する軸受部を有し、
    前記ドアは、前記突起部が前記軸受部に当接した状態で、前記ケースの内壁面間に組み付けられることを特徴とする車両用空調装置。
  2. 請求項1に記載の車両用空調装置において、
    前記ドア駆動手段は、手動操作手段を操作することで回動するドア駆動用レバーであり、
    前記ドア駆動用レバーは、前記ドアの支軸の端面に結合する駆動軸を有することを特徴とする車両用空調装置。
  3. 請求項1に記載の車両用空調装置において、
    前記ドア駆動手段は、モータを駆動源とするアクチュエータであり、
    前記アクチュエータは、前記ドアの支軸の端面に結合する駆動軸を有することを特徴とする車両用空調装置
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