JP4123399B2 - ヘアトリートメント - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、例えばシャンプー後の脱脂された状態の毛髪にオイル分を与えたり、薬液を用いて行なうパーマネント処理やヘアーブリーチあるいはヘアダイ等の後の損傷した毛髪を保護し損傷の進行を防止し、毛髪に滑らかさ、柔らかさ、しっとり感あるいはサラサラ感を与えるためのヘアートリートメントに関するものであり、更に詳しくは、ある特定の第4級アンモニウム塩を添加したヘアートリートメントに係る。
【0002】
【従来技術】
本来、正常な毛髪は皮膚腺から分泌する皮脂によって覆われているため、滑らかで柔軟なものである。しかしながら、シャンプーを行なうと、本来毛髪に必要な皮脂分も除去され、脱脂された状態となり滑らかさ、柔らかさ、しっとり感を欠如した状態となる。また、パーマネント処理やヘアーブリーチあるいはヘアダイ等を行なった後の毛髪は、施術時に使用するアルカリ性の薬液の影響で膨潤し損傷毛の状態となり、シャンプー後と同様に滑らかさ、柔らかさ、しっとり感を欠如した状態となっている。
【0003】
上述の点の対応策として、シャンプー後、ヘアダイ・ヘアブリーチ・パーマ等の薬液処理の施術前や施術後、パーマ1剤処理後等の毛髪にヘアトリートメントを処理し、毛髪表面にオイル被膜をコーティングし、滑らかさ、柔らかさ、しっとり感を与えることは一般的に行なわれることである。特にヘアトリートメントはヘアコンディショナーと呼称されることもあり、一般的には乳化したエマルジョンタイプの製品でありこれを直接毛髪に塗布して用いる。
【0004】
ヘアトリートメントとは上述の通り、一般的にはクリーム状のエマルジョンタイプのものもあるが、液状の可溶化状態のものもあり、通常はこれを直接毛髪全体に塗布後すぐにすすいで用いる。この他にシャンプー後水分をタオル等で拭き取った上で塗布し、しばらく放置、その間、蒸しタオルあるいはスチーマー等で加温し、成分を毛髪に浸透させ、然る後、水洗しドライヤーで乾燥し仕上るという方法もある。この方法はヘアパック法と称せられ、近年多く用いられている。この方法の特徴は、ヘアトリートメントによるコンディショニング効果がより顕著に現れる点にあり、更に、ヘアダイ・ヘアブリーチ・パーマ等の薬液処理の前処理や、パーマ1剤後の処理剤として用いても、よりよいコンディショニング効果が得られる。
【0005】
ヘアトリートメントを構成する成分としては、例えば半固体の油性原料、高級アルコール、高級脂肪酸アルコールエステル、吸着性に優れたポリペプチドおよびカチオン系の界面活性剤等を主成分として挙げることができる。これらを5〜20重量%程度含有するクリーム状のO/W型エマルジョンが一般的なヘアトリートメントである。ここで挙げたカチオン系の界面活性剤は毛髪に帯電防止、艶出し、柔軟性、滑り性、櫛通り性等を付与するものであり、例えば塩化ステアリルトリメチルアンモニウムなどの第4級アンモニウム塩が一般的に使用されている。
【0006】
シャンプー後、あるいはヘアブリーチ等の施術後の毛髪は、特に毛髪が非常に多かったり、太かったりした場合、そのガサつき、まとまりの悪さ等が問題視されているが、これは従来の一般的なヘアトリートメントでは対応し切れず、毛髪に対するコンディショニング性、特に柔軟化の性能がより優れたものでなければならない。上述の成分の内、第4級アンモニウム塩が主としてコンディショニング性を付与するものであるが、コンディショニング性を向上させる目的でこの成分のみを増加しても皮膚に対する刺激が高くなり、またエマルジョンとしてのバランスを崩すことにもなるので好ましくない。更に従来使用されているカチオン系の界面活性剤によって得られる主たる効果は毛髪の帯電防止、艶出し、滑り性の向上等にあり、柔軟性の付与については従の効果しかない。このような状況から、通常より条件の悪い毛髪に対してより優れたコンディショニング効果を持ったヘアトリートメントの開発が待たれていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者等は、上述の現行のヘアトリートメントの持つ問題点に鑑み、コンディショニング性、特に毛髪の柔軟化の付与性に優れたヘアトリートメントについて鋭意研究を行なった結果本発明を完成するに至ったものであり、その目的とする所は、毛髪柔軟化性に優れたヘアトリートメントを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述の目的は、油性原料およびカチオン系界面活性剤を主成分としてなるヘアトリートメントにおいて、カチオン系界面活性剤が、一般式(1)
【0009】
【化3】
Figure 0004123399
【0010】
(式中、R1は炭素数18のオレイル基を示し、Xはハロゲン原子または炭素数1〜2のアルキル硫酸基を示し、m+nは2〜5である)で現わされる第4級アンモニウム塩を1種またはそれ以上、及び、一般式(2)
【0011】
【化4】
Figure 0004123399
【0012】
(式中、R2およびR3ヤシ油から抽出されたヤシアルキル基を示し、Yはハロゲン原子または炭素数1〜2のアルキル硫酸基を示す)で現わされる第4級アンモニウム塩を1種またはそれ以上を含有するものであることを特徴とするヘアトリートメントにて達成される。上述のヘアトリートメントにおいて、カチオン系界面活性剤成分は、一般式(1)で示される第4級アンモニウム塩を0.1〜15重量%、一般式(2)で示される第4級アンモニウム塩を0.01〜5重量%を含有してなり、かつ、一般式(1)で示される第4級アンモニウム塩と、一般式(2)で示される第4級アンモニウム塩の比率が重量比において3:1から5:1の範囲にある。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の肝要は、従来のヘアトリートメントに用いるカチオン系界面活性剤として、異なったタイプの特定の第4級アンモニウム塩を混合して用いることにある。これにより、従来のカチオン系界面活性剤の主たる目的が帯電防止、艶出し、滑り性等の向上であったのを、毛髪の柔軟化の向上とコンディショニング性の付与を主たる目的とすることが可能となり、ヘアトリートメントとして優れたものが得られるようになる。ここで用いる第4級アンモニウム塩は、まず第1のタイプ即ち、前述の一般式(1)で示されるものは、ポリオキシエチレン(POE)分子よりなる部分を2つ含有することを特徴とした第4級アンモニウムの塩である。また、第2のタイプ即ち、前述の一般式(2)で示されるタイプのものは、ポリオキシエチレンを含まないタイプの第4級アンモニウムの塩である。各々のタイプから1種またはそれ以上のものを選別し、混合することによって本発明のヘアトリートメントを得ることができる。
【0014】
前述の一般式、(1)で示される第4級アンモニウム塩は、R1が炭素数18のオレイル基を示す。また、Xとしてはハロゲン原子あるいは炭素数1〜2のアルキル硫酸基を示すが、特に塩素原子が好ましく用いられる。さらに、ポリオキシエチレン分子に相当する部分を2つ含有し、その繰り返し単位を示す数値はm+n=2〜5の範囲にある。一般式(1)の第4級アンモニウム塩の具体例としては、例えば塩化ジ(ポリオキシエチレン)オレイルメチルアンモニウムをあげることができる。
【0015】
また、前述の一般式(2)で示される第4級アンモニウム塩は、R2及びR3ヤシ油から抽出されたヤシアルキル基を示すものである。またYとしてはハロゲン原子あるいは炭素数1〜2のアルキル硫酸基を示すが、特に塩素原子が好ましく用いられる。一般式(2)の第4級アンモニウム塩の具体的な例としては、例えば、塩化ジヤシアルキルジメチルアンモニウムを挙げることができる。ここでいう塩化ジヤシアルキルジメチルアンモニウムとは、一般式(2)の中のR2およびR3部分がヤシ油から抽出されたヤシアルキル基であるものを指す。一般的なヤシ油の成分としては主成分としてのラウリン酸の他に、カプリル酸、カプリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ヘキサデセン酸、オレイン酸、リノール酸等をあげることができ、ヤシアルキル基としての炭素数は12、14程度である。
【0016】
一般式(1)で示される第4級アンモニウム塩のカチオン系界面活性剤中での比率は、0.1〜15重量%、好ましくは0.5〜5重量%であり、一般式(2)で示される第4級アンモニウム塩のカチオン系界面活性剤中で比率は、0.01〜5重量%、好ましくは0.1〜2重量%である。配合量がこれ以下であるとその効果が十分でなく、またこれ以上であると量的に過剰でありヘアトリートメントとしての性能に悪い影響を与えることとなる。さらに一般式(1)で示される第4級アンモニウム塩と、一般式(2)で示される第4級アンモニウム塩の配合比が重量比において3:1から5:1の範囲にあることが本発明目的達成のために必要であり、より好ましい範囲は3:1から4:1のである。この範囲内においてすぐれた毛髪柔軟化効果とコンディショニング性を与えることができる。
【0017】
本発明のヘアトリートメントの主成分である油性原料とは、およそ次のようなものである。すなわち、毛髪に塗布されることによって、損傷した毛髪の表面をコーティングし、また、毛髪組織内に浸透し毛髪柔軟化効果とコンディショニング性を与える。この成分は、カチオン系界面活性剤の作用により、微細な粒子として安定なエマルジョンを形成している。つまり、この成分は毛髪の保護を行なうオイル分であり、具体的には油脂、高級脂肪酸、高級アルコール、高級脂肪酸アルコールエステルあるいは炭化水素類等よりなるものである。油性原料の具体例としては、特に限定を受けるものではないが、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸及びリノール酸、およびそれ等のグリセリンエステル、スクワラン、セタノール、ステアリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、ステアリン酸ブチル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、パラフィン、ワセリン、ワックス等を挙げることができる。
【0018】
更に、本発明にてなるヘアトリートメントに対しては、その本来の目的を阻害しない範囲で必要に応じて他の添加物を添加することができる。具体的には、アミノ酸、ポリペプタイド、両性界面活性剤等の他、香料、防腐剤、酸化防止剤、保湿剤、着色剤等を挙げることができる。その他、各種植物抽出油、セルロース誘導体、シリコーンオイル、水溶性高分子等を本発明のヘアトリートメントの効果を損なわない範囲で補助的に用いることができる。
【0019】
以下実施例に従い、本発明にてなるヘアートリートメントについての具体的な説明を行なうが、特にこれにより限定を行なうものではない。
なお、以下に述べる実施例において毛髪の硬さ、柔軟性の指標として用いたB値およびBS値の測定は、「毛髪こし感テスター」(カトーテック株式会社製、KES−FB2−S型)を用いて測定したものである。即ち、化学処理歴のない女子成人毛髪で長さ約40cmの黒色の直毛を検体とし、これを40〜50℃のラウリル硫酸ナトリウム溶液中に10分間浸漬して洗浄し、流水で洗浄した後風乾する。この毛髪検体200本を重ならないように3.5cm幅に引き揃え、毛髪の長さが3cmになるようにしてその両端を1cm幅のテープで固定したものを試験用のサンプルとする。このようにして作成した試験用サンプルを上述の毛髪こし感テスターにかけて、その折り曲げの際の応力を測定し、この値をB値(gf.cm2/cm)とする。このB値は毛髪の一方を固定し、等速で曲げた時の曲げ硬さを示す数値であって、数値が大きいほど毛髪が硬いことを示すものである。未処理の毛髪のB値と、ヘアトリートメント処理後の毛髪のB値とを測定し、後者の数値から前者の数値を減じた数値をBS値とする。
BS値(gf.cm2/cm)=(処理後のB値)−(未処理のB値)
【0020】
【実施例】
〔ヘアトリートメントの評価テスト〕
本発明になるトリートメントを、上述の検体となる毛髪に塗布した後、15分間約45℃で熱処理し、然る後水洗してすすぎ、ドライヤー乾燥を行なった。乾燥後のB値を測定し、予め測定したあった未処理状態のB値との差を求め、BS値とした。
実際の処理を行なった毛髪サンプルにつき、10人のパネラーによる官能テストを行ない未処理のものに対する比較において、軟化感の有無を確認した。10人のパネラー中、
8人以上が軟化感を感じた :○
4人以上7人以下が軟化感を感じた :△
軟化感を感じたのが3人以下であった :×
とした。
また、ヘアトリートメントのクリームとしての評価は下記の基準で測定した。
キメのよい滑らかなクリーム :○
キメの悪いクリーム :△
キメが悪く乳化不良 :×
とした。
【0021】
実施例1〜4、比較例1〜13
表1および表2に示す組成にて、ヘアトリートメントを調整し、クリームとしての評価、トリートメント後の毛髪のBS値、およびパネラーによる軟化感の評価テストを行なった。結果を表1および表2に示す。
結果から明らかなように、本発明のヘアトリートメントはBS値も低く、製品としてのクリームの外観、安定性および毛髪の軟化感においても○の評価が得られた。
【0022】
【表1】
Figure 0004123399
【0023】
【表2】
Figure 0004123399
【0024】
【発明の効果】
実施例および比較例の結果から明らかな通り、本発明になるヘアトリートメントは、毛髪に対して極めて良好な柔軟化効果を与えると同時に、ヘアトリートメントとしての外観、性能に対し何ら悪影響を与えることはない。本発明により、従来、毛髪の多い人、毛髪が太くて手入れが大変な人、毛髪が非常に硬い人等が、シャンプーの後、あるいはヘアブリーチ、ヘアダイ、パーマネント処理後に感じる硬さ、ゴワゴワ感を解消し、極めて快適な感触を与えることができるようになった。

Claims (3)

  1. 油性原料およびカチオン系界面活性剤を主成分としてなるヘアトリートメントにおいて、カチオン系界面活性剤が、一般式(1)
    Figure 0004123399
    (式中、R1は炭素数18のオレイル基を示し、Xはハロゲン原子または炭素数1〜2のアルキル硫酸基を示し、m+nは2〜5である)で現わされる第4級アンモニウム塩を1種またはそれ以上、及び、一般式(2)
    Figure 0004123399
    (式中、R2およびR3ヤシ油から抽出されたヤシアルキル基を示し、Yはハロゲン原子または炭素数1〜2のアルキル硫酸基を示す)で現わされる第4級アンモニウム塩を1種またはそれ以上を含有し、且つ、一般式(1)で表される第4級アンモニウム塩と、一般式(2)で示される第4級アンモニウム塩の配合比率が重量比で3:1から5:1の範囲にあることを特徴とするヘアトリートメント。
  2. 請求項第1項に記載のヘアトリートメントにおいて、カチオン系界面活性剤成分が、一般式(1)で示される第4級アンモニウム塩を0.1〜15重量%、一般式(2)で示される第4級アンモニウム塩を0.01〜5重量%を含有してなることを特徴とするヘアトリートメント。
  3. 油性原料が、油脂、高級脂肪酸、高級アルコール、高級脂肪酸アルコールエステルあるいは炭化水素類のうち少なくとも一つであることを特徴とする請求項第1項および第2項に記載のヘアトリートメント。
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