JP4122491B2 - ポリマ−―微粒子複合材料の製造方法及び装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリマ−中に微粒子を混合、分散したポリマ−―微粒子複合材料の製造方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリマ−中に適宜な微粒子を均一に混合、分散したポリマ−―微粒子複合材料は、ポリマ−を単体で用いる場合(微粒子を含まないポリマ−の場合)に比較して強度特性、耐熱性、耐摩耗性、耐薬品性、耐光性等に優れた性能を発現する他、導電性や選択吸着性等の高付加価値機能性ポリマ−となることが知られている。これらの優れた性能、機能性の発現のためには、ポリマ−と微粒子が極めて良好に混合していること、すなわちポリマ−内に一次粒子相当の大きさまで解砕された微粒子が極めて均一に混合、分散しており微粒子表面とポリマ−が強固に結びついている必要があり、そのため超高粘度物質であるポリマ−中に如何に均一に微粒子を混合させるかが課題であった。
【0003】
従来のポリマ−―微粒子系複合材料の製造においては、超高粘度を示すポリマ−と微粒子の混合や、その際に混入・発生する複合材料内の気泡の脱気のために、捏和機、混練機、ロ−ルミル等の装置を用い、多大な動力と時間を要する操作が行われている。この操作において、上述の機械による操作では不十分のため、対象とする系によっては操作不能のケ−スも生じていた。さらに同操作は省エネルギ−や、複合材料の量産のための装置のスケ−ルアップの点においても困難なものと見なされおり、プロセス開発に多大の費用を要する問題があった。
【0004】
さらに詳述すると、従来は下記するような製法が採用されていた。例えば、溶媒によるポリマ−の可塑化、低粘度化を行う方法では、予め製造したポリマ−に溶剤を加え、ポリマ−を溶解し可塑化、低粘度化させた後に捏和機、混練機、ロ−ルミル等の強力な攪拌、混合機を用いて微粒子と混合し、ポリマ−―微粒子―溶剤の混合物を得る。その後、加熱あるいは減圧することで溶剤を分離し、目的とするポリマ−―微粒子複合材料が得られる。しかし、この方法では、熱硬化性ポリマ−の場合には溶剤を用いた可塑化、低粘度化が不能であり、熱硬化性ポリマ−―微粒子複合材料の製造には用いることができない点に問題がある。
【0005】
また、上記方法では添加する溶剤の量に関しても、ポリマ−中への微粒子の混合を容易にするため溶剤の添加量を大きくした場合には混合後の溶媒の分離にエネルギ−と時間を要する他、単位バッチ、単位時間当たりの複合材料の製造量が低下するという問題がある。一方、溶剤量を少なくした場合には、攪拌、混合に要するエネルギ−、時間が多大となる。あるいは目的とするポリマ−―微粒子複合材料の性能、機能の発現が得られない場合もある。さらにポリマ−―微粒子―溶剤の混合物から溶剤を分離する操作においては、溶剤の気化に伴う複合材料内への気泡の発生、混入が起こり、この気泡を取り除く操作、いわゆる脱気操作が不可欠となる点も大きな問題である。
【0006】
熱によりポリマ−の可塑化、低粘度化を行う方法も知られている。この方法では、予め製造したポリマ−に高温(通常百数十℃以上)をかけ、ポリマ−を溶融し可塑化、低粘度化させた後に捏和機、混練機、ロ−ルミル等の強力な攪拌、混合機を用いて微粒子と混合し、ポリマ−―微粒子複合材料を得ている。しかし、この方法も上記方法と同様に、熱硬化性ポリマ−の場合には熱による可塑化、低粘度化が不能であり、熱硬化性ポリマ−―微粒子複合材料の製造には用いることができない点に問題がある。また熱可塑性ポリマ−を対象とした場合においても、熱により溶融したポリマ−は溶融するまえに比較して低粘度化したとはいえ、かなりの高粘度状態を呈しており、さらに低粘度化するため、高温の条件を設定するとポリマ−熱分解による品質の劣化が無視できなくなる。したがって、上記ポリマ−の粘度は、微粒子の攪拌混合を迅速かつ容易に行える程低粘度とはいえず、捏和機、混練機、ロ−ルミル等を用いる長時間の混合操作が不可欠な点で問題である。
【0007】
さらに、エキストル−ダ−(押出成形機)でポリマ−重合と微粒子の混合を同時に行う方法では、予め重合率0.3〜0.5程度まで予備重合したポリマ−重合液と微粒子をエキストル−ダ−に供給し、エキストル−ダ−内において重合反応と微粒子との混合を同時に行い、最終的にポリマ−―微粒子複合材料を得ている。しかし、この方法では装置としてエキストル−ダ−を用いるため、装置コストが大きくなり、大量生産のための装置のスケ−ルアップが困難であり、単位時間当たりの製造量が比較的小さくなる点に問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の解決課題は、ポリマ−中に微粒子を混合、分散させて複合材料を製造する際に生じる上述したような問題を解決し、ポリマ−中に微粒子が極めて均一に分散した高性能、高機能、高品質なポリマ−―微粒子複合材料を低エネルギ−にして迅速かつ大量に製造することを可能とする複合材料の製造方法及び装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、製造槽内に微粒子、モノマ−及び重合開始剤等の重合剤並びに超臨界流体を供給し、該製造槽内を超臨界圧力及び超臨界温度に加圧加温して超臨界場とし、超臨界流体中に微粒子を均一に分散させた状態で重合反応を開始し、重合反応終了後その生成物を製造槽から超臨界流体分離槽に取り出し、該超臨界流体分離槽を超臨界圧力及び超臨界温度以下に減圧、冷却して超臨界流体を分離回収し、該超臨界流体分離槽からポリマ−中に微粒子が混合、分散した複合材料を得ることを特徴とする複合材料の製造方法が提供され、上記課題が解決される。
【0010】
なお、本発明において超臨界流体とは、物質固有の臨界温度、臨界圧力すなわち臨界点を越えた流体であって、さらに臨界温度、臨界圧力を下回る状態であっても、ケルビン単位の臨界温度TCを基準とした還元温度TR(=T/TC)が0.8以上および臨界圧力PCを基準とした還元圧力PR(=P/PC)が0.8以上の流体であれば、多くの場合、超臨界状態にある物体と同様の物性を示すことから還元温度TRが0.8以上、還元圧力PRが0.8以上の流体も本発明においては超臨界流体に含むものとする。
【0011】
また、本発明において用いる微粒子としては、ガラスビ−ズ、グラスファイバ−、金属酸化物、岩石、砂等の無機微粒子、炭酸カルシウム、タルク、カ−ボンブラック、銅フタロシアニン、酸化チタン等の色材顔料微粒子、ポリ塩化ビニル、各種エンジニアリングプラスチック粉体等の有機微粒子、金、銀、アルミニウム等の金属微粒子があげられがそれに限るものではない。上記の微粒子の大きさとしては、粒径が数十mmの粒子から数nm程度の、いわゆる超微粒子であってもよい。また、微粒子の密度については、有機微粒子の様な数百kg/m3程度の軽い微粒子から金属微粒子の様な数万kg/m3の重い微粒子を対象とすることができる。また、微粒子の形態としては、球形のものに限らず、不規則形状のもの、繊維状のもの、扁平な形状のものを含めて微粒子と呼ぶ。
【0012】
また、本発明において、重合の対象とするポリマ−としては、ラジカル重合により生成されるスチレン、アクリル等のポリマ−、重縮合により生成されるポリエステル、ウレタン、エンジニアリングプラスチック等の各種ポリマ−があげられるが、それに限るものではない。
【0013】
また、本発明において、製造するポリマ−―微粒子複合材料としては、耐熱性、耐摩耗性、耐衝撃性、耐薬品性等の物性に優れた構造物用固体複合材料や導電性、選択吸着性等の物性に優れた機能性固体複合材料の他、発色性、耐光性、塗布性等の物性に優れた色材原料、塗料、ペンキ等の液体複合材料であってもよい。
【0014】
また、本発明によれば、上記製造方法において、上記製造槽に微粒子、重合剤、超臨界流体を供給する際に、微粒子、超臨界流体、重合剤の順に供給する製法、微粒子と超臨界流体を混合した微粒子―超臨界流体混合物、超臨界流体、重合剤の順に供給する製法が提供され、上記課題が解決される。
【0015】
さらに、本発明によれば、微粒子とモノマ−及び重合開始剤等の重合剤を収納し超臨界場を作成できる製造槽と、該製造槽内に超臨界流体を供給する超臨界流体供給用高圧ポンプと、該製造槽内を超臨界温度に加温するヒ−タと、上記製造槽内で重合された生成物を超臨界圧力以下に減圧して取り出す超臨界流体分離槽と、該超臨界流体分離槽を超臨界温度以下に冷却する調温手段を具備する複合材料の製造装置が提供され、上記課題が解決される。
【0016】
また、本発明によれば、上記製造装置において、上記製造槽には、微粒子供給槽に連絡する微粒子供給用高圧ポンプと、重合剤槽に連絡する重合剤供給用高圧ポンプが連結され、上記微粒子供給槽には、超臨界流体に微粒子を分散した微粒子―超臨界流体混合物が供給されるようにした複合材料の製造装置が提供され、上記課題が解決される。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の製造装置の一実施例を示す説明図である。図において、超臨界場を作成できる製造槽(1)には、超臨界流体を収納する超臨界流体供給槽(2)に連絡する超臨界流体供給用高圧ポンプ(3)が、超臨界流体供給ライン(L1)、バルブ(V1)を介して連結されている。また、モノマ−及び重合開始剤等の重合剤を収納する重合剤供給槽(4)に連絡する重合剤供給用高圧ポンプ(5)が、重合剤供給ライン(L2)、バルブ(V2)を介して上記製造槽(1)に連結され、微粒子を収納する微粒子供給槽(6)に連絡する微粒子供給用高圧ポンプ(7)が、微粒子供給ライン(L3)、バルブ(V3)を介して上記製造槽(1)に連結され、重合可塑剤、染料等の複合材料製造に必要となる薬剤を収納する薬剤供給槽(17)に連絡する薬剤供給用高圧ポンプ(19)が、薬剤供給ライン(L7) 、バルブ(V8)を介して上記製造槽(1)に連結されている。
【0018】
上記微粒子供給槽(6)に対する微粒子の供給は回分的に行ってもよいし、媒体攪拌ミル、ロ−ルミル等の微粒子を製造する装置および超微粒子を製造するための摩砕機、CVD粒子製造機等の既存の装置から連続的に行ってもよい。なお上記微粒子供給槽(6)には、攪拌翼(8)を設けてあり、後記するように微粒子のみを収納して製造槽へ供給することもできるし、超臨界流体に微粒子を混合、分散した微粒子―超臨界流体の混合物を収納して製造槽(1)に供給することもできる。また上記薬剤供給槽(17)にも攪拌翼(18)が設けられている。
【0019】
上記製造槽(1)には、該製造槽内を超臨界温度に加温するよう適宜の熱媒体等をジャケットに循環させるようにしたヒ−タ(10)が設けられており、またモ−タ−(11)、高圧用ノンシ−ル攪拌軸(12)を介して駆動される攪拌翼(13)や、後記するように重合反応後に製造槽内に残っている超臨界流体を減圧バルブ(V5)を介して製造槽(1)から回収して再利用するための超臨界流体回収ライン(L5)が連結されている。
【0020】
上記製造槽(1)の吐出口に連結した生成物輸送ライン(L4)は、減圧バルブ(V4)を介して超臨界流体分離槽(14)に連絡している。該超臨界流体分離槽(14)には、該分離槽内を超臨界温度以下に冷却するよう適宜の調温媒体をジャケットに循環させるようにした調温手段(15)が設けられ、また該分離槽(14)で上記生成物から分離した超臨界流体とバルブ(V6)を介して回収する超臨界流体回収ライン(L6)が連結されている。超臨界流体が除去されたポリマ−―微粒子複合材料を吐出する吐出口(16)にはバルブ(V7)が設けられている。なお、上記超臨界流体回収ライン(L6)は、上記超臨界流体回収ライン(L5)と共に超臨界流体を回収して、再利用するために用いられる。
【0021】
而して、上記製造装置を用いてポリマ−―微粒子複合材料を製造するには、原料の供給方法として下記するように3種の製法を採ることができる。先ず、図2に示す実施例では、製造槽(1)内に予め微粒子およびモノマ−、重合開始剤等の重合剤を仕込み(図2(A))、次に二酸化炭素、メタン等の超臨界流体を超臨界流体供給槽(2)より超臨界流体供給用高圧ポンプ(3)により設定した圧力まで製造槽(1)内に供給する(図2(B))。この場合には、モノマ−、重合開始剤等の重合剤供給槽(4)、重合剤供給用高圧ポンプ(5)、微粒子供給槽(6)及び微粒子供給用高圧ポンプ(7)等を用いなくてもよい。その後、攪拌翼(13)により槽内を攪拌し、超臨界流体中に微粒子が微細化し均一に分散した状態で重合を開始する(図2(C))。
【0022】
また、図3に示す実施例では、製造槽(1)内に予め微粒子を仕込んでおき(図3(A))、超臨界流体は超臨界流体供給槽(2)から超臨界流体供給用高圧ポンプ(3)により、モノマ−、重合開始剤等の重合剤は重合剤供給槽(4)から重合剤供給用高圧ポンプ(5)により製造槽(1)にそれぞれ供給する。この場合、図3(B)に示すように、製造槽(1)に、先に超臨界流体を所定の圧力まで供給し、微粒子を超臨界流体中に均一かつ一次粒子化した状態で分散しておき、その後重合剤を供給し(図3(C))、攪拌翼(13)で攪拌し、重合を開始する手順で行うことが望ましい。このようにすれば、一次粒子化し、微細化した微粒子が均一に分散されるので、高機能、高品質の複合材料が得やすい。なお、この方法では、微粒子供給槽(6)及び微粒子供給用ポンプ(7)等を用いなくてもよい。
【0023】
さらに、図4は他の実施例を示し、図1に示す微粒子供給槽(6)内には、予め超臨界流体中に一次粒子化した微粒子が均一に分散した微粒子―超臨界流体の混合物を仕込んでおき、微粒子の供給は、微粒子供給槽(6)内の上記混合物を微粒子供給用高圧ポンプ(7)で製造槽(1)に送液することで行う(図4(B))。そして、超臨界流体は、超臨界流体供給槽(2)から超臨界流体供給用高圧ポンプ(3)により製造槽(1)に供給され、モノマ−、重合開始剤等の重合剤は重合剤供給槽(4)から重合剤供給用高圧ポンプ(5)により製造槽(1)に供給される。この際、先ず上記微粒子―超臨界流体の混合物を供給し、次に超臨界流体を所定圧力まで供給し(図4(C))、微粒子を超臨界流体中に均一かつ一次粒子化した状態で分散しておき、その後に重合剤を供給し(図4(D))、攪拌翼(13)で攪拌し均一に分散した状態で重合を開始することが望ましい。このようにすれば、一次粒子化し微細化した微粒子が均一に分散した高機能、高品質の複合材料を得られ、しかも原料の連続的供給が可能となる。
【0024】
上記のようにして製造槽(1)内に超臨界流体とともに供給された微粒子、モノマ−等の分散の状態をみると、図5に示すように微粒子は、重合前の状態では、微粒子同志が凝集し、二次粒子としてモノマ−中に存在しているが、二酸化炭素等の超臨界流体によって超臨界化された状態では、濡れ性に優れ、拡散係数が大きく、粘度の小さい超臨界流体中にさらされることにより、複数の粒子が凝集した状態にある二次粒子の状態から解砕され、微粒子の細孔(細隙)内まで超臨界流体やモノマ−が入り込んで、一次粒子程度の大きさまで微細化された状態で槽内に均一に分散した状態となっている。
【0025】
上記のようにして原料が供給された製造槽(1)内は、ヒ−タ(10)により超臨界温度に加温され、減圧バルブ(V4)で超臨界圧力を保持することにより超臨界状態に維持され、重合反応が進行する。この際、上記槽内の攪拌翼(13)により槽内の微粒子が重合液中に均一に分散するよう適宜攪拌を行ってもよい。また、この際、複合材料の製造に必要となる重合可塑剤、染料等の薬剤を薬剤供給槽(17)より別途供給してもよい。重合反応によりポリマ−―微粒子複合材料が生成されている状態を模式図に表わすと、図6に示すように重合により生成したポリマ−は、一次粒子化された微粒子を核として析出し、微粒子はポリマ−により充分に濡らされ、微粒子表面とポリマ−が極めて強固に結合した状態でポリマ−相として沈積して行き、重合反応が終了した状態ではポリマ−相中に微粒子が均一に分散した複合材料となっている。
【0026】
上記のようにして製造槽内で重合反応が終了したら、減圧バルブ(V4)を開けて減圧し、上記製造槽内の生成物を超臨界流体分離槽(14)に取り出す。該分離槽(14)は、超臨界温度以下に調温されており、バルブ(V6)を開けることにより超臨界流体がポリマ−―微粒子複合材料から分離し、複合材料のみがバルブ(V7)を介して得られる。超臨界流体は、上記バルブ(V6)より回収され、回収した超臨界流体は製造槽に高圧に加圧して供給される超臨界流体として再利用される。複合材料の取り出し後、製造槽(1)内に残る超臨界流体は、バルブ(V5)を介して回収され、再利用される。
【0027】
なお、本発明においては製造槽を複数並列に準備して、同時に複合材料の製造を行うことにより製造量の増大を図るようにすることもできる。
【0028】
【実施例】
超臨界場を用いた本発明の上記ポリマ−―微粒子複合材料製造装置を用い、以下の複合材料の製造を行った。なお、重合反応条件は、重合温度340K、重合圧力10MPa とし、超臨界流体としては二酸化炭素を用い、重合開始剤にはアゾビスイソベンゾニトリロを用い、4時間重合を行うものとした。また、原料の供給方法として図4に示す供給方法を用いた。
【0029】
1.ポリメタクリル酸メチル―ケッチェンブラック複合材料
モノマ−として、重合反応により常温で固体となるポリメタクリル酸メチルを生成するメタクリル酸メチル、微粒子としては超微粒子であるケッチェンブラックを用い、複合材料の製造を行った。得られた複合材料を顕微鏡観測したところ、複合材料内においてケッチェンブラック微粒子はポリマ−に表面をよく濡らされた状態で、極めて均一に分散していることが確認された。また、得られた複合材料内にはポリマ−のバルク部分はもとより、ケッチェンブラック微粒子の表面に吸着した気泡も全く観測されなかった。
【0030】
2.ポリブチルアクリレ−ト―銅フタロシアニン複合材料
モノマ−として、重合反応により常温で液体となるポリブチルアクリレ−トを生成するブチルアクリレ−ト、微粒子としては色材顔料粒子である銅フタロシアニンを用い、複合材料の製造を行った。得られた複合材料を顕微鏡観測したところ、複合材料内において銅フタロシアニン微粒子はポリマ−に表面をよく濡らされた状態で、極めて均一に分散していることが確認された。また、得られた複合材料内にはポリマ−のバルク部分はもとより、銅フタロシアニン微粒子の表面に吸着した気泡も全く観測されなかった。
【0031】
3.ポリメタクリル酸メチル―ポリ塩化ビニル複合材料
モノマ−として、重合反応により常温で固体となるポリメタクリル酸メチルを生成するメタクリ酸メチル、微粒子としては有機微粒子であるポリ塩化ビニルを用い、複合材料の製造を行った。得られた複合材料を顕微鏡観測したところ、複合材料内においてポリ塩化ビニル微粒子はポリマ−に表面をよく濡らされた状態で、極めて均一に分散していることが確認された。また、得られた複合材料内にはポリマ−のバルク部分はもとより、ポリ塩化ビニル微粒子の表面に吸着した気泡も全く観測されなかった。
【0032】
【発明の効果】
本発明は上記のように構成されているので、下記するような効果を奏する。
1.予め超臨界流体中で微粒子を一次粒子程度まで微細化した状態で重合反応を行い、個々の微粒子を核としたポリマ−の析出を利用することにより複合材料を得る。そのため、微細化した微粒子が極めて均一に分散し、かつ微粒子表面とポリマ−が極めて強固に結合した複合材料を得ることができる。
2.複合材料の製造中、製造槽内は超臨界流体により常に低粘度に維持されるため、低動力での複合材料製造が行える。
3.得られるポリマ−―微粒子複合材料内において、ポリマ−のバルク部分はもとより、微粒子の表面に吸着した気泡も存在せず、気泡の脱気操作のための時間とエネルギ−を要しない。
4.熱によるポリマ−の溶融を行わないため、熱による複合材料の劣化が生じない。
5.溶媒によるポリマ−の可塑化を行わないため、溶媒の分離が不要となる。
6.重合反応によるポリマ−の製造とポリマ−中の微粒子の分散を同時に行うため、熱によるポリマ−の溶融、あるいは溶媒によるポリマ−の可塑化を必要とせず、熱硬化性ポリマ−を用いた複合材料の製造も行える。
7.製造槽内に微粒子を供給し、次に超臨界流体を供給し、その後に重合剤を供給するようにすると、微粒子が一次粒子化した状態で重合剤と混合されるから、ポリマ−中への微粒子の混合、分散が速やかに進行する。
8.微粒子を予め超臨界流体に混合、分散した微粒子―超臨界流体混合物を作り、これを製造槽に供給するようにすると、上述の効果を奏すると共に原料を連続的に供給することができ、複合材料の製造を連続して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造装置の一実施例を示す説明図。
【図2】原料の供給方法を示す説明図。
【図3】原料の供給方法の他の実施例を示す説明図。
【図4】原料の供給方法の他の実施例を示す説明図。
【図5】微粒子が分散している状態を示す模式図。
【図6】複合材料が作成されていく過程の模式図。
【符号の説明】
1 製造槽 2 超臨界流体供給槽 3 超臨界流体供給用高圧ポンプ
4 重合剤供給槽 5 重合剤供給用高圧ポンプ 6 微粒子供給槽
7 微粒子供給用高圧ポンプ 10 ヒ−タ 11 モ−タ− 12 高圧用ノンシ−ル攪拌軸 13 攪拌翼 14 超臨界流体分離槽 15 調温手段 17 薬剤供給槽 19 薬剤供給用高圧ポンプ
Claims (7)
- 製造槽内に微粒子、モノマ−及び重合開始剤等の重合剤、超臨界流体を供給し、該製造槽内を超臨界圧力及び超臨界温度に加圧加温して超臨界場とし、超臨界流体中に微粒子を均一に分散させた状態で重合反応を開始し、重合反応終了後その生成物を製造槽から超臨界流体分離槽に取り出し、該超臨界流体分離槽を超臨界圧力及び超臨界温度以下に減圧、冷却して超臨界流体を分離回収し、該超臨界流体分離槽からポリマ−中に微粒子が混合、分散したポリマ−―微粒子複合材料を得ることを特徴とするポリマ−―微粒子複合材料の製造方法。
- 上記製造槽には、予め微粒子を仕込み、次に超臨界流体を供給し、その後重合剤を供給するようにした請求項1に記載のポリマ−―微粒子複合材料の製造方法。
- 上記製造槽には超臨界流体中に一次粒子化した微粒子が分散した微粒子―超臨界流体混合物を仕込み、次に超臨界流体を供給し、その後重合剤を供給するようにした請求項1に記載のポリマ−―微粒子複合材料の製造方法。
- 微粒子とモノマ−及び重合開始剤等の重合剤を収納し超臨界場を作成できる製造槽と、該製造槽内に超臨界流体を供給する超臨界流体供給用高圧ポンプと、該製造槽内を超臨界温度に加温するヒ−タと、上記製造槽内で重合された生成物を超臨界圧力以下に減圧して取り出す超臨界流体分離槽と、該超臨界流体分離槽を超臨界温度以下に冷却する調温手段を具備するポリマ−―微粒子複合材料の製造装置。
- 上記製造槽には、微粒子供給槽に連絡する微粒子供給用高圧ポンプと、重合剤槽に連絡する重合剤供給用高圧ポンプが連結されている請求項4に記載のポリマ−―微粒子複合材料の製造装置。
- 上記製造槽には、薬剤供給槽に連絡する薬剤供給用高圧ポンプが連結されている請求項5に記載のポリマ−―微粒子複合材料の製造装置。
- 上記微粒子供給槽には、超臨界流体に微粒子を分散した微粒子―超臨界流体混合物が供給されている請求項5に記載のポリマ−―微粒子複合材料の製造装置。
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