JP6958206B2 - 熱硬化性樹脂組成物の成形品の製造方法 - Google Patents

熱硬化性樹脂組成物の成形品の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、熱硬化性樹脂組成物の成形品の製造方法に関する。
金型で成形する際、成形材料には、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂を含有する組成物が利用されている。
熱可塑性樹脂を含有する組成物(熱可塑性樹脂組成物)を利用して成形する場合、熱可塑性樹脂組成物に熱を加えて液状になったものを金型に流し込み、これを冷却して固めることにより、所定形状の成形品が得られる。
熱硬化性樹脂を含有する組成物(熱硬化性樹脂組成物)を利用して成形する場合、熱硬化性樹脂組成物を金型内に投入した後、熱硬化性樹脂組成物に熱を加えて、一時溶融した液状とし、その後さらに加熱して化学反応で硬化させることにより、所定形状の成形品が得られる。
成形材料として熱硬化性樹脂組成物を利用した成形品は、熱を加えても柔らかくならないという特性を有する。このため、熱硬化性樹脂組成物は、機械的強度特性、耐熱性、耐薬品性又は寸法精度等が要求される用途に好適な成形材料である。
また、熱硬化性樹脂組成物を利用して成形する方法には、例えば圧縮成形、トランスファー成形、射出成形が一般的に適用される。
例えば、特許文献1には、成形材料としてフェノール樹脂組成物を利用し、射出成形によりボビン(寸法50mm×30mm×60mm)を成形する技術が開示されている。
特開2011−074174号公報
しかしながら、成形材料として熱硬化性樹脂組成物を利用して成形した場合、加熱により化学反応が進み、いったん硬化してしまうと液状に戻ることはない。したがって、特に大きい寸法の大型成形品を成形する際、大容量の金型への充填途中に、熱硬化性樹脂組成物が加熱により徐々に硬化してしまう。このため、熱硬化性樹脂組成物が金型全体へ行き渡りにくく、成形不良が生じやすいという問題がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、熱硬化性樹脂組成物を用いて、大型の成形品を良好に製造することを課題とする。
上記課題を解決するために、以下の手段を提供する。
(1) 成形材料である熱硬化性樹脂組成物が供給される材料供給部1つ以上と、前記材料供給部に供給された熱硬化性樹脂組成物が流入するキャビティと、前記材料供給部に供給された熱硬化性樹脂組成物の前記キャビティへの流入口であるゲート1つ以上と、を備えた成形装置を用いて、熱硬化性樹脂組成物を硬化させることにより成形品を成形する製造方法であって、前記成形装置は、キャビティの容量(mm)/1つ以上のゲートのキャビティへの開口面積の総和(mm)≧2500(mm)の関係を満たし、前記材料供給部に供給された熱硬化性樹脂組成物を前記キャビティへ流入させる際、前記キャビティへ流入する熱硬化性樹脂組成物の流速を30000〜100000(mm/秒)の範囲内に制御することを特徴とする、熱硬化性樹脂組成物の成形品の製造方法。
(2) 前記材料供給部に供給された熱硬化性樹脂組成物を前記キャビティへ流入させる操作を、前記キャビティへ流入する熱硬化性樹脂組成物の流速を30000〜100000(mm/秒)の範囲内に制御しつつ30秒間以上継続して行うことを特徴とする、前項(1)に記載の熱硬化性樹脂組成物の成形品の製造方法。
本発明の製造方法によれば、熱硬化性樹脂組成物を用いて、大型の成形品を良好に製造することができる。
本実施形態に使用可能な成形装置の一実施形態を示す断面図である。 成形装置の他の実施形態を示す断面図である。 本実施形態で使用の成形材料に対してラボプラストミルによる試験で得られる、トルク値(縦軸)と混練時間(横軸)との関係を示すグラフである。
以下、本発明を適用した、熱硬化性樹脂組成物の大型成形品の製造方法について、図面を用いて詳細に説明する。尚、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
(熱硬化性樹脂組成物の大型成形品の製造方法)
本実施形態の、熱硬化性樹脂組成物の大型成形品の製造方法(以下単に「大型成形品の製造方法」又は「製造方法」ともいう。)においては、特定の成形装置を用い、熱硬化性樹脂組成物(成形材料)の流速を特定範囲に制御して、当該成形材料をキャビティへ流入させる。
<成形材料>
成形材料である熱硬化性樹脂組成物としては、特に制限されず、樹脂成分として熱硬化性樹脂を含有するものが挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、例えばレゾール型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ビスマレイド樹脂、ユリア(尿素)樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、シアネートエステル樹脂、シリコーン樹脂、オキセタン樹脂、(メタ)アクリレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、ベンゾオキサジン樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
成形材料である熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂の他、さらに、必要に応じて、熱硬化性樹脂以外の樹脂、溶媒もしくは分散媒、硬化剤、硬化助剤、酸化防止剤、充填材、離型剤、顔料(カーボンブラック等)、増感剤、酸増殖剤、可塑剤、難燃剤、安定剤又は帯電防止剤等を含有してもよい。
熱硬化性樹脂以外の樹脂としては、光硬化性樹脂、ラジカル反応性硬化樹脂、嫌気硬化性樹脂等の硬化性樹脂が挙げられる。
硬化剤としては、例えば2官能以上のエポキシ系化合物、イソシアネート類;ヘキサメチレンテトラミン、脂肪族ポリアミン、芳香族ポリアミン、ジシアミンジアミドなどのアミン化合物;脂環族酸無水物、芳香族酸無水物などの酸無水物、ノボラック型フェノール樹脂などのポリフェノール化合物、イミダゾール化合物等が挙げられる。
硬化助剤としては、例えば酸化マグネシウム等の酸化金属化合物、水酸化カルシウム等の水酸化金属化合物、イミダゾール化合物、三級アミン化合物、有機リン化合物等が挙げられる。
硬化助剤を用いる場合には、熱硬化性樹脂組成物における硬化助剤の含有率は、熱硬化性樹脂組成物の総量(100質量%)のうちの1.0質量%以下が好ましく、0.9質量%以下がより好ましく、0.3〜0.8質量%がさらに好ましい。硬化助剤の含有率を前記の好ましい範囲とすることにより、熱硬化性樹脂組成物の流動性をより高められる。
酸化防止剤としては、例えばポリリン酸メラミン、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、ホスファイト系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、ポリリン酸エステルなどのリン系難燃剤、メラミン系難燃剤等が挙げられる。
充填材としては、無機充填材、有機充填材等が挙げられる。無機充填材としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、炭酸カルシウム、クレー、シリカ、マイカ、タルク、ワラストナイト、ガラスビーズ、ミルドカーボン、グラファイト等が挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。有機充填材としては、例えば、ポリアミド繊維、アラミド繊維、ポリビニルブチラール、アクリロニトリルブタジエンゴム、パルプ、木粉等が挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
離型剤としては、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等が挙げられる。
本実施形態の製造方法において、成形材料である熱硬化性樹脂組成物は、粉体、溶液若しくは分散液、成形体(タブレット形状など)等の形態で用いることができる。熱硬化性樹脂組成物の形態は、例えば、使用する成形装置に応じて適宜選択できる。
本実施形態の製造方法においては、溶融時に流動性の高い成形材料を用いることが好ましい。
成形材料として、粉体状の熱硬化性樹脂組成物を調製する際、溶融時の流動性を高められやすいことから、熱硬化性樹脂組成物の粒子径は0.2〜3mm程度のものが好ましい。
成形材料である熱硬化性樹脂組成物としては、流動性が高く、硬化が速すぎずに適度な速さで進みやすいことから、下記のラボプラストミルにおける流動特性を有するものが好ましい。
ラボプラストミルにおける流動特性について:
ラボプラストミルによる試験で得られる、トルク値(縦軸)と混練時間(横軸)との関係を示すグラフにおいて、最低トルク値(t)が10N・m以下であり、かつ、トルク値が前記最低トルク値(t)に対して10%上昇した前記グラフ上の点Pと、トルク値が前記最低トルク値(t)に対して400%上昇した前記グラフ上の点Qと、を結ぶ直線の傾きが0.05〜0.5の範囲内となる成形材料。
[ラボプラストミルによる試験]
例えば、ラボプラストミル(株式会社東洋精機製作所製、4C150)を用い、容量30cmのチャンバー内に、15cm×密度(g/cm)の成形材料を投入し、温度130℃にて、ブレード(ミキサータイプR30)の回転数30rpmで2軸混練し、その際の混練抵抗を、軸に受けるトルクとして測定する。
図3は、本実施形態で使用の成形材料に対してラボプラストミルによる試験で得られる、トルク値(縦軸)と混練時間(横軸)との関係を示すグラフである。
図3中、tは最低トルク値;点Pは、トルク値が最低トルク値(t)に対して10%上昇したグラフ上の点;点Qは、トルク値が最低トルク値(t)に対して400%上昇したグラフ上の点である。
本実施形態では、直線PQの傾きが0.05〜0.5の範囲内となる成形材料を用いることが好ましく、直線PQの傾きが0.1〜0.3の範囲内となる成形材料を用いることがより好ましい。
成形材料における前記のラボプラストミルにおける流動特性は、例えば成形材料の組成(樹脂の配合量又はその種類、硬化助剤の配合量又はその種類、充填剤の配合量又はその種類など)を選択することにより制御できる。
<成形装置>
図1は、本実施形態に使用可能な成形装置の一実施形態を示す断面図である。
成形装置100は、少なくとも、成形金型10と、その上方中央部に設けられたトランスファーユニット20とを備える。
成形金型10は、上型となる第1プレート12と、下型となる第2プレート14とで構成されている。成形装置100においては、第1プレート12と第2プレート14とが鉛直方向に積み重なり、略直方体形状のキャビティ11が形成されている。
第1プレート12は、その上面が固定側取付板32に取り付けられている。トランスファーユニット20は、固定側取付板32に囲まれて固定され、第1プレート12に接続している。
第2プレート14は、その下面が可動側取付板34に取り付けられている。
トランスファーユニット20は、円筒状のシリンダ22と、シリンダ22内を長軸方向に可動するプランジャ24とを備える。
シリンダ22とプランジャ24と第1プレート12とで囲まれる空間は、材料供給部21(トランスファーポット)となる。材料供給部21には、成形材料である熱硬化性樹脂組成物が供給される。
第1プレート12には、スプル13が設けられている。すなわち、成形装置100は、材料供給部21とキャビティ11との間にスプル13を備える。スプル13は、材料供給部21及びキャビティ11のそれぞれに開口している。
スプル13は、材料供給部21とキャビティ11とを接続し、材料供給部21に供給された熱硬化性樹脂組成物がキャビティ11へ通流する通路となる。
図1において、スプル13は、材料供給部21からキャビティ11へ向かって先細り形状とされている。そして、熱硬化性樹脂組成物のキャビティ11への流入口(スプル13のキャビティ11への開口部)をゲート15としている。
成形装置100では、材料供給部21及びゲート15がキャビティ11の中央付近の上方に設けられている。
図1に示した成形装置100においては、ゲート15、スプル13、材料供給部21及びプランジャ24を各1つ(これらの組合せとして1セット)備えており、キャビティ11の容量(mm)/1つ以上のゲート15のキャビティ11への開口面積の総和(mm)≧2500(mm)の関係を満たしている。すなわち、キャビティの容量(mm)/1つ以上のゲートのキャビティへの開口面積の総和(mm)≧2500(mm)の関係を満たしている。
かかるキャビティの容量と、1つ以上のゲートのキャビティへの開口面積の総和と、の関係は、従来に比べて、成形材料の使用量が非常に多く、製造される成形品が大型サイズとなることを意味する。
成形装置100としては、キャビティ11の容量(mm)/1つ以上のゲート15のキャビティ11への開口面積の総和(mm)が、例えば4000〜120000(mm)の範囲にある装置が好ましく用いられ、より好ましくは10000〜60000(mm)の範囲にある装置が用いられ、さらに好ましくは20000〜60000(mm)の範囲にある装置が用いられる。
成形装置100において、キャビティ11の容量(mm)は、例えば500000mm以上であり、好ましくは1000000mm以上、より好ましくは1100000〜6000000mmである。このようにキャビティ11の容量が大きい場合、すなわち、成形材料である熱硬化性樹脂組成物の使用量が多い場合であっても、本実施形態の製造方法を適用することにより、大型の成形品を良好に製造することができる。
1つ以上の材料供給部21底部21bの投影面積の総和(mm)は、例えば700mm以上であり、好ましくは1000〜60000mmであり、より好ましくは10000〜55000mmである。
1つ以上のゲート15のキャビティ11への開口面積の総和(mm)は、例えば10〜600mmであり、好ましくは50〜500mm、より好ましくは100〜300mmである。
また、成形装置100としては、1つ以上の材料供給部21底部21bの投影面積の総和(mm)/1つ以上のゲート15のキャビティ11への開口面積の総和(mm)が、例えば10〜1100の範囲にある装置が好ましく用いられ、より好ましくは50〜500の範囲にある装置が用いられ、さらに好ましくは100〜500の範囲にある装置が用いられ、特に好ましくは200〜500の範囲にある装置が用いられ、最も好ましくは200〜400の範囲にある装置が用いられる。
1つ以上の材料供給部の投影面積の総和と、1つ以上のゲートのキャビティへの開口面積の総和との比を、前記の好ましい範囲内に設定することで、熱硬化性樹脂組成物のキャビティへの充填不良が生じにくくなり、熱硬化性樹脂組成物の大型成形品をより安定に成形できる。
成形装置100における、ゲート15から最も遠いキャビティ11端部までの距離は、所望とする成形品の形状等によるが、例えば60cm以上であり、好ましくは40〜60cmである。
第1プレート12、第2プレート14、プランジャ24をそれぞれ構成する材料は、例えば、鋼、アルミ等が挙げられる。
第1プレート12内部、第2プレート14内部には、それぞれ、キャビティ11に流入した熱硬化性樹脂組成物を加熱するため、熱媒体(不図示)が収容されている。温度調整は、前記熱媒体をヒータ(不図示)で加熱し、直接冷却方式又は間接冷却方式により行うことができる。
成形金型10の分割面(第1プレート12の下面及び/又は第2プレート14の上面)には、キャビティ11内の空気、又は熱硬化性樹脂組成物から発生するガスを排気するためのエアーベント(ガスベント)(不図示)を設けることができる。
<大型成形品を成形する工程>
≪第1実施形態の大型成形品の製造方法≫
第1実施形態の製造方法では、成形装置100を用いて、熱硬化性樹脂組成物(成形材料)を硬化させることにより大型成形品を成形する。具体的には、熱硬化性樹脂組成物を材料供給部21からキャビティ11へ、その流速を特定範囲に制御して流入させながら加熱する。
まず、成形材料である熱硬化性樹脂組成物を材料供給部21に供給する。
成形材料としての熱硬化性樹脂組成物は、粉体状物を用いてもよく、成形体を用いてもよい。これらの中でも、熱が均一に伝わりやすく、取扱い性が良いことから、成形体を用いることが好ましい。成形体の形状は、特に制限されず、例えばプランジャ24によりキャビティ11への押出しが容易なことから、タブレット形状が好ましい。
材料供給部21に供給された熱硬化性樹脂組成物は、キャビティ11方向へ下がるプランジャ24により押圧されてスプル13を通流し、最後にゲート15を通過してキャビティ11へ流入する。
熱硬化性樹脂組成物をプランジャ24により押圧する前に、予熱しておくことが好ましい。ここでの熱硬化性樹脂組成物の予熱は、材料供給部21に供給する前もしくは後に、又は材料供給部21に供給しながら行えばよい。
この際、熱硬化性樹脂組成物に対する予熱温度は、80℃以上とすることが好ましく、90〜120℃とすることがより好ましい。
第1実施形態の製造方法においては、材料供給部21に供給された熱硬化性樹脂組成物をキャビティ11へ流入させる際、キャビティ11へ流入する熱硬化性樹脂組成物の流速を、30000〜100000(mm/秒)の範囲内に制御する。かかる流速の制御により、熱硬化性樹脂組成物を用いて、従来に比べて大型の成形品を良好に製造することができる。
第1実施形態の製造方法においては、キャビティ11へ流入する熱硬化性樹脂組成物の流速を、30000〜100000(mm/秒)の範囲内に制御し、この範囲の中でも、40000〜80000(mm/秒)の範囲内に制御することが好ましい。
キャビティ11へ流入する熱硬化性樹脂組成物の流速を、前記の下限値以上とすることで、熱硬化性樹脂組成物の硬化が進行する前にキャビティ11への充填が完了することで、熱硬化性樹脂組成物のキャビティ11への充填不良を生じにくくなる。一方、前記の上限値以下とすることで、ゲート15通過による発熱を抑えられ、熱硬化性樹脂組成物の硬化が抑制される。
第1実施形態の製造方法においては、材料供給部21に供給された熱硬化性樹脂組成物をキャビティ11へ流入させる操作を、キャビティ11へ流入する熱硬化性樹脂組成物の流速を30000〜100000(mm/秒)の範囲内に制御しつつ、例えば30秒間以上継続して行うことができ、さらには30〜180秒間継続して行うことができ、好ましくは60〜120秒間継続して行うことができ、より好ましくは60〜90秒間継続して行う。
このように、第1実施形態の製造方法では、熱硬化性樹脂組成物の流速を特定の範囲内に制御しつつ、一定時間継続して、熱硬化性樹脂組成物をキャビティ11へ流入させることで、熱硬化性樹脂組成物のキャビティ11への充填不良をより生じにくくなる。
上述のように、キャビティ11へ流入する熱硬化性樹脂組成物の流速を30000〜100000(mm/秒)の範囲内に制御すること、及び熱硬化性樹脂組成物をキャビティ11へ流入させる操作を30秒間以上継続して行うことを可能とするためには、例えば、i)熱硬化性樹脂組成物の組成、ii)材料供給部21に供給する熱硬化性樹脂組成物の溶融粘度及び/又は流動特性、iii)1つ以上のゲート15のキャビティ11への開口面積の総和(mm)、iv)1つ以上の材料供給部21底部21bの投影面積の総和(mm)等を適宜変更する方法が挙げられる。
熱硬化性樹脂組成物をキャビティ11へ流入させながら加熱する際の温度は、例えば150℃以上とすることが好ましく、150〜180℃とすることがより好ましい。
熱硬化性樹脂組成物の硬化は、熱硬化性樹脂組成物をキャビティ11へ流入させながら加熱することにより行う他、熱硬化性樹脂組成物の全量をキャビティ11へ流入させた後に再度加熱することにより行ってもよい。
以上の工程により、熱硬化性樹脂組成物の大型成形品を製造することができる。
上述した第1実施形態の製造方法においては、キャビティ11の容量(mm)/1つ以上のゲート15のキャビティ11への開口面積の総和(mm)≧2500(mm)の関係を満たす成形装置100を用いて、キャビティ11へ流入する成形材料(熱硬化性樹脂組成物)の流速を30000〜100000(mm/秒)の範囲内に制御することにより、成形材料として熱硬化性樹脂組成物を用いて、従来よりも大型の成形品を良好に製造することができる。第1実施形態の製造方法によれば、特に、大容量のキャビティ11への充填途中に、熱硬化性樹脂組成物が加熱により硬化してキャビティ11への充填不良を生じることが無く、熱硬化性樹脂組成物の大型成形品を安定に成形できる。
上述した成形装置100は、ゲート15、スプル13、材料供給部21及びプランジャ24を各1つ(これらの組合せとして1セット)備えていたが、これに限定されず、成形装置にはゲート15、スプル13、材料供給部21及びプランジャ24の組合せとして2セット以上が設けられていてもよい。すなわち、成形材料である熱硬化性樹脂組成物が複数のゲートを通過してキャビティ11へ流入する形態でもよい。この形態である場合には、熱硬化性樹脂組成物をより速くかつ効率的にキャビティ11へ流入することができる。
かかる2セット以上の形態である場合、複数の材料供給部21の配置は、目的とする成形品の形状などに応じて適宜設定され、例えば成形金型10を上方から平面視した際、縦方向に2箇所以上かつ横方向に2箇所以上とする配置が挙げられる。
成形材料である熱硬化性樹脂組成物が複数のゲートを通過してキャビティへ流入する形態の場合、キャビティの容量(mm)/複数のゲートのキャビティへの開口面積の総和(mm)≧2500(mm)の関係を満たす成形装置を用いる。
また、成形材料である熱硬化性樹脂組成物が複数のゲートを通過してキャビティへ流入する形態の場合、「キャビティへ流入する熱硬化性樹脂組成物の流速」とは、複数のゲートを通過する熱硬化性樹脂組成物の合計量についての単位時間当たりのキャビティへの流入量をいう。
複数のゲートのキャビティへの開口面積の総和(mm)は、例えば10〜600mmであり、好ましくは50〜500mm、より好ましくは100〜300mmである。
複数のゲートが設けられる場合、そのゲートの数は、成形材料の種類又はキャビティの容量等を考慮して適宜設定され、例えば2〜10個とされ、好ましくは4〜8個とされる。
複数のゲートが設けられる場合、ゲート1個当たりのキャビティへの開口面積(mm)は、例えば10mm以上であり、好ましくは10〜300mmであり、より好ましくは10〜100mmである。かかる場合、ゲート1個当たりのゲート径G(mm)は、例えば4mm以上であり、好ましくは4〜20mm、より好ましくは4〜10mmである。
例えば、複数の材料供給部21が設けられている場合、複数のプランジャ24を同時に可動させ、又は個別の制御により可動させて、材料供給部21に供給された熱硬化性樹脂組成物を、キャビティ11へ押し出して流入させる。
上述した成形装置100においては、材料供給部21からキャビティ11の上方に設けられているゲート15を通過して熱硬化性樹脂組成物がキャビティ11へ流入する形態としているが、これに限らず、例えば、材料供給部21からランナを介して、熱硬化性樹脂組成物がキャビティ11の側面から流入する形態としてもよいし、キャビティ11の下方から流入する形態としてもよい。
また、同一の材料供給部21がランナを介して複数のスプル13と接続され、熱硬化性樹脂組成物がこれら複数のスプル13を通流してキャビティ11へ流入する形態としてもよい。
上述した第1実施形態の製造方法では、移送ユニットを備えた成形装置100が用いられているが、これに限らず、例えば射出ユニットを備えた成形装置等も用いることができる。
≪成形装置の他の実施形態≫
図2は、本実施形態に使用可能な成形装置の他の実施形態を示す断面図である。
成形装置200は、少なくとも、成形金型40と、その上方に設けられた射出ユニット50とを備える。
成形金型40は、上型となる第1プレート42と、中型となる第2プレート44と、下型となる第3プレート46とで構成されている。成形装置200においては、第1プレート42と第2プレート44と第3プレート46とが鉛直方向に積み重なり、略直方体形状のキャビティ41が形成されている。
第1プレート42は、その上面が固定側取付板62に取り付けられている。射出ユニット50は、固定側取付板62を介して第1プレート42に接続している。
第3プレート46は、その下面が可動側取付板66に取り付けられている。
射出ユニット50は、円筒状のシリンダ52と、シリンダ52内を長軸方向に可動するスクリュ54と、シリンダ52先端に設けられたノズル56と、成形材料である熱硬化性樹脂組成物を投入するための投入口(不図示)と、シリンダ52を介して熱硬化性樹脂組成物を加熱するヒータ(不図示)とを備える。
第1プレート42には、第1スプル43が設けられている。第2プレート44には、第2スプル47、及び第1スプル43と第2スプル47とを接続するランナ49が設けられている。
第2プレート44に設けられている第2スプル47及びランナ49は、射出ユニット50に連通する第1スプル43とキャビティ41とを接続し、射出ユニット50から送り出される熱硬化性樹脂組成物がキャビティ41へ通流する通路となる。
図2において、第1スプル43は、ランナ49から射出ユニット50へ向かって先細り形状とされている。第2スプル47は、ランナ49からキャビティ41へ向かって先細り形状とされている。そして、熱硬化性樹脂組成物のキャビティ41への流入口(第2スプル47のキャビティ41への開口部)をゲート45としている。
成形装置200では、ゲート45がキャビティ41の中央付近の上方に設けられている。
図2に示した成形装置200においては、キャビティ41の容量(mm)/1つ以上のゲート45のキャビティ41への開口面積の総和(mm)≧2500(mm)の関係を満たしている。すなわち、キャビティの容量(mm)/1つ以上のゲートのキャビティへの開口面積の総和(mm)≧2500(mm)の関係を満たしている。
このキャビティ41の容量と、1つ以上のゲート45のキャビティ41への開口面積の総和と、の関係は、従来に比べて、成形材料の使用量が非常に多く、製造される成形品が大型サイズとなることを意味する。
成形装置200におけるキャビティ41の容量(mm)についての説明は、成形装置100におけるキャビティ11の容量(mm)についての説明と同様である。
成形装置200において、ゲート45のゲート径G(mm)は、例えば4mm以上であり、好ましくは4〜20mmである。
成形装置200における、ゲート45から最も遠いキャビティ41端部までの距離は、所望とする成形品の形状等によるが、例えば60cm以上であり、好ましくは40〜60cmである。
第1プレート42、第2プレート44、第3プレート46、射出ユニット50をそれぞれ構成する材料は、例えば、鋼、アルミ等が挙げられる。
第1プレート42内部、第2プレート44内部、第3プレート46内部には、それぞれ、熱硬化性樹脂組成物を加熱するため、熱媒体(不図示)が収容されている。温度調整は、前記熱媒体をヒータで加熱し、直接冷却方式又は間接冷却方式により行うことができる。
成形装置200には、キャビティ41内の空気、又は熱硬化性樹脂組成物から発生するガスを排気するためのエアーベント(ガスベント)(不図示)がキャビティ41上方に設けられている。
≪第2実施形態の大型成形品の製造方法≫
第2実施形態の製造方法では、成形装置200を用いて、熱硬化性樹脂組成物(成形材料)を硬化させることにより大型成形品を成形する。具体的には、熱硬化性樹脂組成物を射出ユニット50からキャビティ41へ、その流速を特定範囲に制御して流入させながら加熱する。
まず、成形材料を投入するための投入口(不図示)から熱硬化性樹脂組成物を、ヒータ(不図示)で加熱されたシリンダ52内側に供給しつつ、スクリュ54を回転させることによって、ノズル56方向へ送り出す。そして、シリンダ52先端の空間に送り出された熱硬化性樹脂組成物を計量する。
計量された熱硬化性樹脂組成物は、シリンダ52とスクリュ54との間の空間を通過する際、加熱されて溶融する。また、計量された熱硬化性樹脂組成物は、スクリュ54の回転により、せん断力が加えられて溶融混合物となっている。
この溶融混合物は、シリンダ52内をノズル56方向へ前進するスクリュ54により、射出ユニット50から押し出されて第1スプル43を通流し、ランナ49へ流れ込む。そして、ランナ49へ流れ込んだ溶融混合物(熱硬化性樹脂組成物)は、第2スプル47を通流し、最後にゲート45を通過してキャビティ41へ流入する。
第2実施形態の製造方法においては、射出ユニット50におけるシリンダ52先端の空間に送り出されて計量された熱硬化性樹脂組成物をキャビティ41へ流入させる際、キャビティ41へ流入する熱硬化性樹脂組成物の流速を、30000〜100000(mm/秒)の範囲内に制御する。かかる流速の制御により、熱硬化性樹脂組成物を用いて、従来に比べて大型の成形品を良好に製造することができる。
上述のように、キャビティ41へ流入する熱硬化性樹脂組成物の流速を30000〜100000(mm/秒)の範囲内に制御することを可能とするためには、例えば、i)熱硬化性樹脂組成物の組成、ii)ゲート45のゲート径G(mm)、iii)スクリュ54の回転数等を適宜変更する方法が挙げられる。
熱硬化性樹脂組成物をキャビティ41へ流入させながら加熱する際の温度は、例えば80℃以上とすることが好ましく、90〜120℃とすることがより好ましい。
熱硬化性樹脂組成物の硬化は、熱硬化性樹脂組成物をキャビティ41へ流入させながら加熱することにより行う、又は熱硬化性樹脂組成物の全量をキャビティ41へ流入させた後に再度加熱することにより行う。
以上のようにして、第2実施形態の製造方法により、熱硬化性樹脂組成物の大型成形品を製造することができる。
図2に示した成形装置200を用いる第2実施形態の製造方法においては、キャビティ41の容量(mm)/1つ以上のゲート45のキャビティ41への開口面積の総和(mm)≧2500(mm)の関係を満たす成形装置200を用いて、キャビティ41へ流入する成形材料(熱硬化性樹脂組成物)の流速を30000〜100000(mm/秒)の範囲内に制御することにより、熱硬化性樹脂組成物を用いて、従来に比べて大型の成形品を良好に製造することができる。第2実施形態の製造方法によれば、特に、大容量のキャビティ41への充填途中に、熱硬化性樹脂組成物が加熱により硬化してキャビティ41への充填不良を生じることが無く、熱硬化性樹脂組成物の大型成形品を安定に成形できる。
上述した成形装置200は、ゲート45、第2スプル47及びランナ49を各1つ(これらの組合せとして1セット)備えていたが、これに限定されず、射出ユニットを備えた成形装置にはゲート45、第2スプル47及びランナ49の組合せとして2セット以上が設けられていてもよい。すなわち、成形材料である熱硬化性樹脂組成物が複数のゲートを通過してキャビティ41へ流入する形態でもよい。かかる形態の場合、第2プレート44に設けられる複数のランナ49の配置は、目的とする成形品の形状などに応じて適宜設定され、例えば第2プレート44を上方から平面視した際、第1スプル43との接続部から縦方向に2つ以上かつ横方向に2つ以上とする配置が挙げられる。
成形材料である熱硬化性樹脂組成物が複数のゲートを通過してキャビティへ流入する形態の場合、キャビティの容量(mm)/複数のゲートのキャビティへの開口面積の総和(mm)≧2500(mm)の関係を満たす成形装置を用いる。
例えば、第2プレート44に複数のランナが設けられている場合、それぞれのランナの先端付近に、キャビティ41に接続する第2スプルが設けられる。かかる場合、射出ユニット50内で計量された熱硬化性樹脂組成物(溶融混合物)は、シリンダ52内をノズル56方向へ前進するスクリュ54により、射出ユニット50から押し出されて第1スプル43を通流し、複数のランナへ分かれて流れ込む。そして、それぞれのランナへ流れ込んだ溶融混合物は、複数の第2スプルを通流し、最後に複数のゲートを通過してキャビティ41へ流入する。
尚、移送ユニットを備えた成形装置100は、射出ユニットを備えた成形装置200を用いる場合に比べて、場所を取らずに省スペース化が図れる点から好ましい。加えて、成形装置100は、成形装置200を用いる場合に比べて、熱硬化性樹脂組成物の材料供給部からキャビティまでの流動距離が短いため、キャビティの充填不良を生じにくい点から好ましい。
以下、本発明の効果を実施例及び比較例を用いて詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
<成形材料>
成形材料として、以下に示す粉体状の熱硬化性樹脂組成物(Ts1)と熱硬化性樹脂組成物(Ts2)とをそれぞれ用いた。
熱硬化性樹脂組成物(Ts1)の組成(合計100質量%):
樹脂成分としてレゾール型フェノール樹脂30質量%及びノボラック型フェノール樹脂(重量平均分子量5000)7質量%;硬化助剤として消石灰1質量%;充填材としてガラス繊維50質量%及び焼成クレー5質量%;離型剤としてステアリン酸2質量%;その他添加剤5質量%
熱硬化性樹脂組成物(Ts1)の密度:1.78g/cm
熱硬化性樹脂組成物(Ts2)の組成(合計100質量%):
樹脂成分としてレゾール型フェノール樹脂27質量%及びノボラック型フェノール樹脂(重量平均分子量1200)10質量%;硬化助剤として消石灰0.5質量%;充填材としてガラス繊維45質量%、焼成クレー5質量%及び溶融シリカ5質量%;離型剤としてステアリン酸2質量%;その他添加剤5.5質量%
熱硬化性樹脂組成物(Ts2)の密度:1.78g/cm
熱硬化性樹脂組成物(Ts1)及び熱硬化性樹脂組成物(Ts2)には、Tyler標準フルイにより篩分され、所定の目開きを通過した粒度のものを使用した。篩分に用いたそれぞれの目開きを次に示す。
熱硬化性樹脂組成物(Ts1)の篩分に用いたフルイの目開き2.0mm
熱硬化性樹脂組成物(Ts2)の篩分に用いたフルイの目開き1.4mm
また、熱硬化性樹脂組成物(Ts1)及び熱硬化性樹脂組成物(Ts2)について、[ラボプラストミルによる試験]を行い、成形材料の流動特性を評価した。
[ラボプラストミルによる試験]
ラボプラストミル(株式会社東洋精機製作所製、4C150)を用い、容量30cmのチャンバー内に、15cm×密度(g/cm)の成形材料を投入し、温度130℃にて、ブレード(ミキサータイプR30)の回転数30rpmで2軸混練し、その際の混練抵抗を、軸に受けるトルクとして測定した。かかる測定について、図3で示すように、トルク値(縦軸)と混練時間(横軸)との関係を示すグラフを得た。そして、得られたグラフより、所定の直線PQの傾きを求めた。
熱硬化性樹脂組成物(Ts1)における直線の傾き0.27
熱硬化性樹脂組成物(Ts2)における直線の傾き0.10
<熱硬化性樹脂組成物の成形品の製造方法>
図1に示す成形装置100と同様に、成形金型10と、その上方に設けられたトランスファーユニット20と、を備えた成形装置を用いて、成形材料を硬化させることにより大型成形品を成形した。
使用した成形装置においては、表1中のゲートの数が4個である場合、スプル13及びゲート15の配置は、成形金型10を上方から平面視した際、縦方向に2箇所かつ横方向に2箇所(2×2)とされている。表1中のゲートの数が8個である場合、スプル13及びゲート15の配置は、成形金型10を上方から平面視した際、縦方向に4箇所かつ横方向に2箇所(4×2)とされている。
各例の製造方法で使用した成形装置についてのキャビティの容量(X)(mm)、ゲート径G(mm)、ゲートの数(個)、複数のゲートのキャビティへの開口面積の総和(Y)(mm)、ゲート1個当たりのキャビティへの開口面積(mm)、キャビティの容量/複数のゲートのキャビティへの開口面積の総和(X/Y)(mm)、複数の材料供給部の底部の投影面積の総和(Z)(mm)、複数の材料供給部の底部の投影面積の総和/複数のゲートのキャビティへの開口面積の総和(Z/Y)をそれぞれ表1に示した。
(実施例1)
熱硬化性樹脂組成物(Ts1)2000gを材料供給部に供給し、温度100℃に予熱した。次いで、予熱状態の熱硬化性樹脂組成物(Ts1)を、プランジャにより押圧して、材料供給部からキャビティへ流入させながら160℃に加熱することで成形品を得た。
熱硬化性樹脂組成物(Ts1)をキャビティへ流入させる操作は、キャビティへ流入する熱硬化性樹脂組成物(Ts1)の流速を30367(mm/秒)に制御しつつ、37秒間継続して行った。
(実施例2〜6、比較例1〜3)
表1に示す通りに、成形材料、成形装置並びに製造条件(流速及び流入操作の継続時間)を変更した他は、実施例1と同様にして、成形材料を材料供給部からキャビティへ流入させながら160℃に加熱することで成形を行った。
<評価>
上述した各例の製造方法について、成形材料のキャビティへの充填性、及び、成形品の品質を評価した。
[成形材料のキャビティへの充填性]
以下に示す評価基準に従い、成形材料のキャビティへの充填性を評価した。この結果を表1に示した。
評価基準
A:充填不良を生じることなく、成形材料の使用量の全量をキャビティへ流入させることができた。
B:充填不良を生じることなく、成形材料の使用量の全量をキャビティへ流入させることができたが、熱硬化性樹脂組成物の硬化が進行して時間を要した、又は強制的に流速を上げて充填させた。
C:成形材料をキャビティへ流入させる操作の途中で、熱硬化性樹脂組成物が硬化して流動性を失い、その全量をキャビティへ流入させることができなかった。
[成形品の品質]
以下に示す評価基準に従い、得られた成形品の外観を目視観察することにより、成形品の品質を評価した。この結果を表1に示した。
評価基準
A:金型転写性が良好であり、欠肉等の外観表面状の不具合は観察されない。
B:未充填部は確認されないが、金型への転写性が部分的に劣る箇所が観察される。
C:部分的に未充填部又は形状欠落部が確認される。
Figure 0006958206
表1に示す評価結果から、実施例1〜6の製造方法によれば、成形材料のキャビティへの充填性に優れ、良好な外観の成形品が得られることが確認できる。
したがって、本発明を適用することによって、大容量のキャビティへの充填途中に、熱硬化性樹脂組成物が加熱により硬化してキャビティへの充填不良を生じることが無く、熱硬化性樹脂組成物の大型成形品を安定に成形できること、が分かる。
10 成形金型、11 キャビティ、12 第1プレート、13 スプル、14 第2プレート、15 ゲート、20 トランスファーユニット、21 材料供給部、22 シリンダ、24 プランジャ、40 成形金型、41 キャビティ、42 第1プレート、43 第1スプル、44 第2プレート、45 ゲート、46 第3プレート、47 第2スプル、49 ランナ、50 射出ユニット、52 シリンダ、54 スクリュ、56 ノズル、100 成形装置、200 成形装置。

Claims (2)

  1. 成形材料である熱硬化性樹脂組成物が供給される材料供給部1つ以上と、
    前記材料供給部に供給された熱硬化性樹脂組成物が流入するキャビティと、
    前記材料供給部に供給された熱硬化性樹脂組成物の前記キャビティへの流入口であるゲート1つ以上と、
    を備えた成形装置を用いて、熱硬化性樹脂組成物を硬化させることにより成形品を成形する製造方法であって、
    前記成形装置は、キャビティの容量(mm)/1つ以上のゲートのキャビティへの開口面積の総和(mm)≧2500(mm)の関係を満たし、
    前記材料供給部に供給された熱硬化性樹脂組成物を前記キャビティへ流入させる際、前記キャビティへ流入する熱硬化性樹脂組成物の流速を30000〜100000(mm/秒)の範囲内に制御し、熱硬化性樹脂組成物の加熱温度を150〜180℃の範囲内に制御し、
    前記キャビティの容量は、500000mm以上6000000m 以下であり、
    前記熱硬化性樹脂組成物はフェノール樹脂を含み、且つラボプラストミルによる試験で得られる、トルク値(縦軸)と混練時間(横軸)との関係を示すグラフにおいて、最低トルク値(t)が10N・m以下であり、かつ、トルク値が前記最低トルク値(t)に対して10%上昇した前記グラフ上の点Pと、トルク値が前記最低トルク値(t)に対して400%上昇した前記グラフ上の点Qと、を結ぶ直線の傾きが0.05〜0.5(N・m/秒)の範囲内であることを特徴とする、熱硬化性樹脂組成物の成形品の製造方法。
  2. 前記材料供給部に供給された熱硬化性樹脂組成物を前記キャビティへ流入させる操作を、前記キャビティへ流入する熱硬化性樹脂組成物の流速を30000〜100000(mm/秒)の範囲内に制御しつつ30秒間以上継続して行うことを特徴とする、請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物の成形品の製造方法。
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