JP4121636B2

JP4121636B2 - 空気式防舷材

Info

Publication number: JP4121636B2
Application number: JP29478198A
Authority: JP
Inventors: 繁樹榊原; 亘男鈴木
Original assignee: Yokohama Rubber Co Ltd
Current assignee: Yokohama Rubber Co Ltd
Priority date: 1998-06-11
Filing date: 1998-10-16
Publication date: 2008-07-23
Anticipated expiration: 2018-10-16
Also published as: JP2000064252A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
この発明は、空気式防舷材に係わり、更に詳しくは防舷材本体の過圧縮を防止すると共に、防舷材本体の過圧縮時における損傷を防止した空気式防舷材に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来、岸壁固定用の空気式防舷材としては、図３及び図４に示すように、内層ゴム１，少なくとも一層以上の補強層２（補強コード層），外層ゴム３を順次積層させて中空筒状に成形して成る防舷材本体４と、該防舷材本体４の両端部に取付けられる岸壁固定用の取付け固定板５及び受衝板取付け用の受衝板取付け板６とが加硫成形により一体的に構成されている。
【０００３】
そして、空気式防舷材を岸壁Ｇ等に固定する場合には、防舷材本体４の一方の端部に取付け固定板５を介してゴム被覆した環状のフランジ板７ａを挟持させるように配設してボルト等の締結部材８により固定し、また防舷材本体４の他方の端部にも受衝板取付け板６を介してゴム被覆した環状のフランジ板７ｂで挟持させるように配設してボルト等の締結部材８により固定するようにしている。また、９は防舷材本体４の空気室内に設けられたストッパである。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
然しながら、上記のような従来の防舷材は、防舷材本体４の取付け固定板５側における中空状の空気室内にストッパ９を設け、しかもゴム被覆した環状のフランジ板７ａ，７ｂの表面からボルト等の締結部材８の頭部が露出した構成となっているため、防舷材本体４の過圧縮時に防舷材本体内部に所定の空気室容積を確保することが出来ず、過度に内圧が上昇して破裂等の危険があった。
【０００５】
また、防舷材本体４の過圧縮時に、外側に膨出した防舷材本体の側面がボルト等の締結部材８の頭部等と接触して、締結部材８のエッヂによる防舷材本体４の損傷や、繰返しの接触により破裂等の危険があった。
【０００６】
この発明の目的は、防舷材本体内部の所定の空気室を確保して過度の内圧上昇による破裂等の危険を有効に防止でき、また防舷材本体の過圧縮時に、防舷材本体の側面が締結部材の頭部等と接触するのを防止して、防舷材本体の損傷や、繰返しの接触により破裂等を防止し、安全性及び耐久性を向上させることが出来る空気式防舷材を提供することにある。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の空気式防舷材は、中空筒状に形成された防舷材本体の一端部に、岸壁側へ取付けるための固定用のフランジ板を設けると共に、他端部に受衝板取付け用のフランジ板を設けて成る空気式防舷材において、前記防舷材本体を、内層ゴム、少なくとも一層以上の補強層、外層ゴムを順次円筒外側に積層させた積層体により形成し、前記固定用のフランジ板および受衝板取付け用のフランジ板の防舷材本体側の内側全周面に、防舷材本体の周方向に沿ってゴム状弾性ストッパー部材を設け、該ゴム状弾性ストッパー部材に、少なくとも締結部材の頭部を覆う高さ以上の厚さを有する切欠部を形成し、前記固定用のフランジ板および受衝板取付け用のフランジ板のそれぞれと防舷材本体とのコーナー部を覆うように前記ゴム状弾性ストッパー部材の上に、防舷材本体の周方向に連続する断面略三角形状のコーナーストッパー部材を設けたことを要旨とするものである。
【０００８】
また、前記切欠部の切欠幅を、ゴム状弾性ストッパー部材の内周側から外周側に向かって大きくすることもできる。
【００１１】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づきこの発明の実施の形態を説明する。
なお、従来例と同一構成要素は、同一符号を付して説明は省略する。
図１は、この発明を実施した空気式防舷材の斜視図、図２は図１のＡ−Ａ矢視断面図を示し、防舷材本体１０は、内層ゴム１，少なくとも一層以上の補強層２（補強コード層），外層ゴム３を順次積層させて中空筒状に成形され、防舷材本体１０の両端部には、岸壁固定用の取付け固定板５と受衝板取付け用の受衝板取付け板６とが環状のフランジ板７ａ，７ｂと、ボルト等の締結部材８とを介して一体的に固定されている。
【００１２】
前記環状のフランジ板７ａ，７ｂの防舷材本体１０側の内側面には、周方向に沿って所定の厚さ（この実施形態では、ワッシャ及びナット、或いはボルトヘッドの高さと略同厚かそれ以上の厚さ）のゴム状弾性ストッパー部材１１が設けてある。
このゴム状弾性ストッパー部材１１は、フランジ板７ａ，７ｂの防舷材本体１０側の内側面の全周面か、または所定の間隔を隔てて配設するものである。
【００１３】
前記ゴム状弾性ストッパー部材１１には、少なくとも締結部材８の頭部を覆う高さ以上の切欠部１２が設けてあり、防舷材本体１０の過圧縮時に、防舷材本体１０の側面が締結部材８の頭部等と接触しないように構成して、防舷材本体１０の側面が損傷しないようにしてある。
【００１４】
更に、前記防舷材本体１０とフランジ板７ａ，７ｂとのコーナー部Ｒには、周方向に連続的または所定の間隔を隔てて断面略三角形状のゴム状弾性体から成るコーナーストッパー部材１３が設けてあり、防舷材本体１０の内部の所定の空気室１４を確保して、過度の内圧上昇による破裂等の危険を有効に防止できるようにしてある。
【００１５】
以上のように、防舷材本体１０の中空状の空気室１４内に従来のようなストッパを設けることなく、フランジ板７ａ，７ｂの防舷材本体１０側の内側面に、周方向に沿ってゴム状弾性ストッパー部材１１を設けたことにより、防舷材本体１０内部の所定の空気室１４を確保して、過度の内圧上昇による破裂等の危険を有効に防止している。
【００１６】
また、フランジ板７ａ，７ｂの防舷材本体１０側内側面に、少なくとも締結部材８の頭部を覆う高さ以上の切欠部１２を設けたゴム状弾性ストッパー部材１１を設けたので、防舷材本体１０の過圧縮時に、防舷材本体１０の側面が締結部材８の頭部等と接触することがなく、防舷材本体８の損傷や、繰返しの接触により破裂等を防止し、安全性及び耐久性を向上させることが出来るものである。
【００１７】
更に、防舷材本体１０とフランジ板７ａ，７ｂとのコーナー部Ｒに、周方向に連続的または所定の間隔を隔てて断面略三角形状のゴム状弾性体から成るコーナーストッパー部材１３を設けたことにより、防舷材本体１０の過圧縮時に、防舷材本体が外側に膨出することがなく、防舷材本体の損傷を有効に防止出来るものである。なお、図４に示す空気室内に設けられるストッパー９を更に併設することも可能である。
【００１８】
また、この発明では、図５に示すように受衝板を有さない空気式防舷材にも適用することが出来る。
【００１９】
以上のようなこの発明にかかる実施形態の空気式防舷材と、従来の標準式空気式防舷材との圧縮試験を比較した結果、以下の表１に示すような結果を得ることが出来た。
（圧縮率６５％時にて）
▲１▼．実施形態の空気式防舷材：
高さ800 mm, 本体外径 800mm, 初内圧 1.2kgf/cm²
▲２▼. 従来の標準式空気式防舷材：
高さ800 mm, 本体外径 800mm, 初内圧 1.2kgf/cm²
▲３▼．従来の標準式空気式防舷材：
高さ800 mm, 本体外径 800mm, 初内圧 1.4kgf/cm²
【００２０】
【表１】

【００２１】
また、以上のような圧縮試験の結果の他に、本願発明の空気式防舷材は、以下のような特徴を有することが判った。
（ａ）．フランジ板のゴム状弾性ストッパー部材内に、取付けボルト、ナットを埋め込むことにより、過圧縮時の防舷材本体と取付けボルトの頭部との接触を大幅に少なくすることが出来ることが判った。
（ｂ）．防舷材本体の胴部とフランジ部間のコーナーストッパー部材により、防舷材本体の外側への膨出を抑制し、過圧縮時の防舷材本体と取付けボルトの頭部との接触を少なくすることが出来ることに加えて、防舷材本体の内圧の上昇を促すことが出来ることが判った。
（ｃ）．初内圧が同じでも、バネ定数を標準品に比べて約２０％アップし、係留特性は標準品と同様の範囲であることが判った。
【００２２】
【発明の効果】
この発明は、上記のようにフランジ板の防舷材本体側の内側面に、周方向に沿ってゴム状弾性ストッパー部材を設けたことにより、防舷材本体内部の所定の空気室を確保して、過度の内圧上昇による破裂等の危険を有効に防止できる効果がある。
【００２３】
また、フランジ板の防舷材本体側内側面に、少なくとも締結部材の頭部を覆う高さの切欠部を設けたゴム状弾性ストッパー部材を設けたので、防舷材本体の過圧縮時に、防舷材本体の側面が締結部材の頭部等と接触することがなく、防舷材本体の損傷や、繰返しの接触により破裂等を防止し、安全性及び耐久性を向上させることが出来る効果がある。
【００２４】
更に、防舷材本体とフランジ板とのコーナー部に、周方向に連続的または所定の間隔を隔てて断面略三角形状のゴム状弾性体から成るコーナーストッパー部材を設けたことにより、防舷材本体の過圧縮時に、防舷材本体が外側に膨出することがなく、防舷材本体の損傷を有効に防止すると共に、破裂等の危険を防止し、安全性及び耐久性を向上させることが出来る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図１】この発明を実施した空気式防舷材の斜視図である。
【図２】図１のＡ−Ａ矢視断面図である。
【図３】従来の空気式防舷材の一部切欠した斜視図である。
【図４】従来の空気式防舷材の断面図である。
【図５】この発明の他の実施形態を示す空気式防舷材の断面図である。
【符号の説明】
１内層ゴム２補強層（補強コード層）
３外層ゴム５取付け固定板
６受衝板取付け板７ａ，７ｂフランジ板
８締結部材１０防舷材本体
１１ゴム状弾性ストッパー部材１２切欠部
１３コーナーストッパー部材１４空気室
Ｒコーナー部

Claims

中空筒状に形成された防舷材本体の一端部に、岸壁側へ取付けるための固定用のフランジ板を設けると共に、他端部に受衝板取付け用のフランジ板を設けて成る空気式防舷材において、前記防舷材本体を、内層ゴム、少なくとも一層以上の補強層、外層ゴムを順次円筒外側に積層させた積層体により形成し、前記固定用のフランジ板および受衝板取付け用のフランジ板の防舷材本体側の内側全周面に、防舷材本体の周方向に沿ってゴム状弾性ストッパー部材を設け、該ゴム状弾性ストッパー部材に、少なくとも締結部材の頭部を覆う高さ以上の厚さを有する切欠部を形成し、前記固定用のフランジ板および受衝板取付け用のフランジ板のそれぞれと防舷材本体とのコーナー部を覆うように前記ゴム状弾性ストッパー部材の上に、防舷材本体の周方向に連続する断面略三角形状のコーナーストッパー部材を設けたことを特徴とする空気式防舷材。
前記切欠部の切欠幅を、ゴム状弾性ストッパー部材の内周側から外周側に向かって大きくしている請求項１に記載の空気式防舷材。