JP4121574B2 - 導電性フィルムおよびその製造方法 - Google Patents
導電性フィルムおよびその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4121574B2 JP4121574B2 JP20639296A JP20639296A JP4121574B2 JP 4121574 B2 JP4121574 B2 JP 4121574B2 JP 20639296 A JP20639296 A JP 20639296A JP 20639296 A JP20639296 A JP 20639296A JP 4121574 B2 JP4121574 B2 JP 4121574B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- conductive
- heat
- layer
- film
- laminated
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Laminated Bodies (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、導電性フィルム、およびその製造方法に関し、更に詳しくは、安定した導電性を有し、電子部品など静電気の影響を受けやすい製品の包装用に好適に使用できる導電性フィルムとその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、プラスチックフィルム製の袋など包装材料の内面などに帯電防止性を付与する方法として、以下に挙げるような方法が行われてきた。
▲1▼界面活性剤(帯電防止剤)をフィルムにコーティングする方法。
▲2▼界面活性剤(帯電防止剤)をフィルムに練り込む方法。
▲3▼導電性フィラーをバインダーに分散させた導電性塗布液をフィルムにコーティングする方法。
▲4▼導電性フィラーをフィルムに練り込む方法。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のような帯電防止方法では、それぞれ一定の帯電防止性をフィルムに付与することはできるが、適用される材料や、適用したフィルムの用途、即ち、使用条件などによっては、必ずしも満足できるものではなく、それぞれが下記のような欠点を有していた。
例えば、界面活性剤のコーティング、または練り込みによる方法では、その帯電防止効果が、環境の湿度に大きく依存し、低湿度の環境下では十分な効果が得られないこと。また、フィルム表面の界面活性剤が、他材料などとの接触や摩擦などによって表面から除かれ、帯電防止効果が低下しやすいこと。更に、包装された内容物が界面活性剤と接触することで、内容物が汚染されるという問題もあった。
【0004】
また、導電性フィラーを用いたコーティング、またはフィルムへの練り込みによる方法では、界面活性剤を用いた場合のような湿度依存性は小さいものの、フィラーが摩擦などで脱落しやすく、内容物が汚されるという問題があった。
このフィラーの脱落を防止するために、表面に更に保護層をコーティングする方法も研究されたが、導電性を損なうことなく、フィラーの脱落を防止できるような保護層を設けることは、その厚さの制御が非常に難しく、実際上有効な方法が見つかっていない。
【0005】
本発明は、上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、環境の湿度に影響されず、安定した導電性を有すると共に、導電性フィラーの脱落や、塵埃の付着もなく、且つ、良好なヒートシール性を有し、電子部品などの静電気や塵埃の付着を嫌う製品の包装用に好適に使用できる導電性フィルム、および、その製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は、以下の本発明により達成される。即ち、本発明の導電性フィルムの製造方法は、下記の(1)から(3)の工程を含むことを特徴とする包装用の導電性フィルムの製造方法であり、その工程は、
(1)表面が微細な凹凸により粗面化されて成る剥離性基材シートの該粗面上に、導電性ヒートシール層として、導電性フィラーを含有するヒートシール性樹脂層、または、導電性フィラーを含有するヒートシール性樹脂層と導電性フィラーを含有しないヒートシール性樹脂層とを順に積層して、剥離可能な導電性ヒートシール層が積層された積層シートAを作製する工程。
(2)前記積層シートAの導電性ヒートシール層面に接着層を介して基材フィルムを積層し、積層シートBを作製する工程。
(3)前記積層シートBから剥離性基材シートを剥がして、基材フィルムに接着層を介して表面が微細な凹凸により粗面化されて成る導電性ヒートシール層が積層された包装用の導電性フィルムを作製する工程からなる。
【0007】
そして、本発明の導電性フィルムは、上記のような製造方法によって初めて製造できる包装用の導電性フィルムであり、その構成は、基材フィルムの一方の面に導電性ヒートシール層を設けてなる包装用の導電性フィルムであって、該導電性ヒートシール層が、導電性フィラーとヒートシール性樹脂とからなり、該導電性ヒートシール層の表面は微細な凹凸により粗面化されて成り、且つ、導電性ヒートシール層内において導電性フィラーは、面方向に互いに接触し、導電性ヒートシール層の表面には導電性フィラーの表面の一部が露出し、その他の部分は導電性ヒートシール層内に埋没するように形成されていることを特徴とするものである。これにより安定した導電性が得られると同時に、導電性フィラーが強固に固着されるため、表面が摩擦されることがあっても導電性フィラーが簡単には脱落することがなくなる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の導電性フィルムおよびその製造方法の実施の形態について説明する。
本発明において、導電性フィルムの導電性ヒートシール層は、ヒートシール性樹脂をバインダーとし、その溶液中に導電性フィラーを分散した塗布液を、剥離性基材シート上に塗布、乾燥して形成するか、或いは、前記塗布液を剥離性基材シート上に塗布、乾燥した後、更にその上に導電性フィラーを含有しないヒートシール性樹脂のみの溶液を塗布、乾燥して形成する。
本発明の導電性フィルムの製造方法によれば、上記いずれの場合も、最終的に導電性フィルムに仕上げた際には、導電性フィラーを含有するヒートシール性樹脂の層が最外層となるため良好な導電性を得られるが、後者の方法による場合、ヒートシール性樹脂のみの層が前記最外層の内側に接して追加されるため、良好な導電性に加えて一層優れたヒートシール性を得られる効果がある。
【0009】
〔使用材料について〕
(ヒートシール性樹脂)
ヒートシール性樹脂としては、一般にヒートシール剤として用いられているものは何でも使用することができる。具体的には、ポリウレタン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などが挙げられる。
【0010】
(導電性フィラー)
導電性フィラーとしては、金属微粒子、酸化金属微粒子、絶縁体の微粒子の表面に金属蒸着などの導電化処理を施したもの、そして、導電性カーボンブラックなどを用いることができる。
前記ヒートシール性樹脂に対する導電性フィラーの添加量は、使用する導電性フィラーの種類および必要とする導電性のレベルなどにより異なるが、通常、帯電防止性能としては、表面比抵抗が109 Ω/□以下であればよく、例えば、導電性フィラーに金属の微粒子を用いる場合、ヒートシール性樹脂100重量部に対する金属の微粒子の添加量は、25〜150重量部の範囲でよく、33〜67重量部の範囲が更に好ましい。
【0011】
(剥離性基材シート)
導電性ヒートシール層を形成するために使用する剥離性基材シートとしては、ヒートシール性樹脂の溶液中に導電性フィラーを分散させた塗布液をその表面に塗布し、乾燥させた後、これを容易に剥離できる性能を有するものであれば何でもよく、特にその材質は問わない。
例えば、2軸延伸ポリプロピレンフィルム、2軸延伸ポリエステルフィルムなどが好適に使用できるほか、離型加工を施した紙なども使用できる。
只、これらの剥離性基材シートの表面(導電性フィラーを含有するヒートシール性樹脂層の積層面)は、微細なエンボス加工、艶消し加工などで粗面化されていることが好ましく、これにより剥離後の導電性ヒートシール層の耐ブロッキング性や、袋状に加工した場合の口開き性を向上させることができる。
【0012】
(基材フィルム)
導電性フィルムの基体となる基材フィルムは、その一方の面に導電性ヒートシール層を積層することにより、包装用の袋などに加工して用いるものであり、一般に包装に用いられている単体のフィルム、或いは、積層フィルムは何でもこれを使用することができる。
また、基材フィルムの導電性ヒートシール層を設ける面の反対側の面、即ち、袋の場合は外側面にも、塵埃の付着防止などの目的で帯電防止性を付与したい場合には、片面に帯電防止層を設けた基材フィルムを用いて、その帯電防止層の設けられていない面に、導電性ヒートシール層を積層することにより、両面に帯電防止性を付与することもできる。
更に、基材フィルムを積層フィルムとし、その構成中に金属層や金属蒸着層を設けることにより、フィルムまたは袋に静電気シールド性、或いは電磁波シールド性などをもたせることもできる。
【0013】
〔製造方法について〕
本発明の導電性フィルムの製造方法の基本工程は、前記請求項2に記載した通りであり、更に、細部を補足する形で説明する。
(1)の工程は、剥離性基材シート上に、▲1▼導電性フィラーを含有するヒートシール性樹脂層(1層構成)、または、▲2▼導電性フィラーを含有するヒートシール性樹脂層と、導電性フィラーを含有しないヒートシール性樹脂のみの層とを順に積層(2層構成)して、剥離可能な導電性ヒートシール層(1層または2層)が積層された積層シートAを作製する工程である。
【0014】
上記▲1▼の場合は、前記剥離性基材シート上に、導電性フィラーを所定量分散させたヒートシール性樹脂の溶液を塗布液として、これをロールコート、バーコート、ダイコート、グラビアコート、グラビアリバースコートなど公知のコーティング手段により、塗布、乾燥して導電性ヒートシール層を形成し、剥離性基材シート上に導電性ヒートシール層が剥離可能に積層された積層シートAを作製できる。
この時、導電性フィラーを分散させたヒートシール性樹脂溶液の塗布量は、乾燥時塗布量で2.0 〜20g/m2 が好ましい。
【0015】
また、▲2▼の場合は、剥離性基材シート上に、先ず上記と同様に、導電性フィラーを分散させたヒートシール性樹脂の溶液を所定量塗布、乾燥し、更にその上にヒートシール性樹脂のみの溶液を塗布、乾燥して、導電性ヒートシール層を形成し、積層シートAを作製するものである。
この時、導電性フィラーを分散させたヒートシール性樹脂溶液の塗布量は、乾燥時塗布量で0.5 〜10g/m2 が好ましく、ヒートシール性樹脂のみの溶液の塗布量は、乾燥時塗布量で2.0〜10g/m2 が好ましい。
この場合、導電性ヒートシール層は、導電性フィラーを含有するヒートシール性樹脂層とヒートシール性樹脂のみの層との2層で形成され、且つ基材フィルムと積層して導電性フィルムとした場合、その層構成は表面(外側)から、基材フィルム、接着層、ヒートシール性樹脂のみの層、導電性フィラーを含有するヒートシール性樹脂層の順となる。従って、▲1▼の場合と比較して導電性ヒートシール層におけるヒートシール性樹脂の量が多くなり、ヒートシール性を向上できると同時に、最内面層(袋にした場合の最内面層)は、所定の比率で導電性フィラーを含有するヒートシール性樹脂層であるため、導電性においても良好な性能が得られる。
更に、導電性ヒートシール層を上記のような2層で構成することにより、導電性フィラーの使用量を増やす必要がなく、少ない導電性フィラーを有効に活用することができるため、経済性の面でもメリットがある。
【0016】
次に、(2)の工程は、前記積層シートAの導電性ヒートシール層面に、接着層を介して基材フィルムを積層し、積層シートBを作製する工程である。
上記基材フィルムは、先にも説明したように、本発明の導電性フィルムを包装袋などに用いる場合、袋基体となるフィルムであり、単体フィルム或いは積層フィルムなど、使用したいフィルムを自由に選択することができる。
そして、前記積層シートAの導電性ヒートシール層面に、接着層を介してこの基材フィルムを積層して、積層シートBを作製する。
この積層を行う方法は、両者の材質により適する方法を選択すればよく、特に限定するするものではないが、一般的には接着剤を用いて貼り合わせる公知のドライラミネート法や、両者と接着性のよい熱可塑性樹脂を、Tダイなどで両者の間に膜状に溶融押し出しして貼り合わせる押し出しラミネート法などが利用できる。
【0017】
そして、(3)の工程は、前記(2)の工程で作製した積層シートBから、剥離性基材シートを剥がすことにより、基材フィルムに接着層を介して導電性ヒートシール層が積層された導電性フィルムを得る工程である。
以上のような本発明の製造方法で製造された本発明の導電性フィルムは、基材フィルムに接着層を介して導電性ヒートシール層が積層された構成であり、袋として使用する場合には、そのまま公知の製袋機を用いて所望の形状に製袋することができる。
【0018】
また、前記導電性ヒートシール層は、一旦剥離性基材シート上に導電性フィラーを含有するヒートシール性樹脂の溶液を塗布、乾燥して形成し、これを基材フィルム面に転写する方式で積層されるため、導電性ヒートシール層の表面は、剥離性基材シートの表面を写し取った形状に形成され、導電性フィラーが表面に突出するようなことがなく、その表面の一部は露出するが、残りの部分はヒートシール性樹脂中に埋没した形状に形成される。
【0019】
従って、導電性ヒートシール層の表面が摩擦された場合でも、導電性フィラーが簡単に脱落するようなことはない。
また、導電性ヒートシール層に付与される導電性が、金属微粒子など導電性フィラーによるものであるため、その帯電防止性能が、環境湿度などに影響されることもなく、安定した帯電防止性能を有する導電性フィルムが得られる。
更に、剥離性基材シートを剥がした後の、導電性フィルムの導電性ヒートシール層の表面は、仮に剥離性基材シートの塗布面に塵埃が付着していても、導電性ヒートシール層の塗布液を塗布した際、塵埃が塗布液中に取り込まれるため、塵埃などの付着のない、クリーンな表面が得られ、導電性フィルムを包装袋に加工した場合も、内面がクリーンな包装袋が得られる。
【0020】
【実施例】
以下に、図面、および、実施例、比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。
図1、図2は、それぞれ本発明の一実施例の導電性フィルムの製造工程別の層構成を示す模式断面図である。
尚、本発明はこれらの図面および実施例に限定するものではない。
【0021】
図1において、工程(1)では、表面に微細な凹凸を設けた剥離性基材シート1の上に、コーティング方式で導電性フィラーを含有するヒートシール性樹脂層2aを、導電性ヒートシール層2として設けて、積層シートAを作製した状態を示している。
このように導電性ヒートシール層2を形成することにより、層中に含有される導電性フィラーは、図の下側面では剥離性基材シート1で受け止められるため、これに接するように固定されることはあっても、突出した形状に固定されることはない。従って、この面が導電性フィルム10の一方の外側面となる本発明の導電性フィルムの製造方法によれば、摩擦などによる導電性フィラーの脱落がなく、且つ、安定した導電性と良好なヒートシール性を有する導電性フィルムが得られるものである。
逆に、図の上側面においては、バインダーのヒートシール性樹脂が塗布後、乾燥過程で下方に沈むことにより、導電性フィラーが、上に突出した形状に固定されることはある。
【0022】
次に、工程(2)では、前記積層シートAの導電性ヒートシール層2面、即ち、導電性フィラーを含有するヒートシール性樹脂層2a面に、接着層3を介して基材フィルム4を貼り合わせることにより、積層シートBを作製した状態を示している。
【0023】
そして、工程(3)は、前記積層シートBから、図において最下層の剥離性基材シート1を剥がす工程であり、これにより、上側から順に、基材フィルム4、接着層3、導電性フィラーを含有するヒートシール性樹脂層2aが積層された構成の導電性フィルム10を作製した状態を示している。
【0024】
図2は、前記図1に示した導電性フィルム10とは、構成の異なる一実施例の導電性フィルムの製造工程別の層構成を示すものである。
図2に示した導電性フィルム10が、図1に示した導電性フィルム10と異なる点は、工程(1)で剥離性基材シート1上に、導電性ヒートシール層2を設ける際、先ず最初に導電性フィラーを含有するヒートシール性樹脂層2aをコーティングにより積層し、次に、ヒートシール性樹脂のみによる層2bを積層して、導電性ヒートシール層2を2層で構成して積層シートAを作製した点である。
従って、工程(2)では、積層シートAのヒートシール性樹脂層2bの面に、接着層3を介して基材フィルム4を積層して積層シートBを作製し、工程(3)では、前記積層シートBから剥離性基材シート1を剥がすことにより、上側から順に、基材フィルム4、接着層3、ヒートシール性樹脂層2b、導電性フィラーを含有するヒートシール性樹脂層2aが積層された構成の導電性フィルム10を作製したものである。
このような構成を採ることにより、ヒートシール性樹脂層2bが追加されるため、更に、導電性フィルム10のヒートシール性が向上し、製袋加工、或いは、熱封緘などの際、一層優れたヒートシール強度が得られるようになる。
【0025】
〔実施例1〕
剥離性基材シートとして、一方の面に艶消し加工を施した厚さ20μmの未処理の2軸延伸ポリプロピレンフィルムを用い、その艶消し加工面に、下記の組成の導電性ヒートシール層用塗布液(イ)および(ロ)を、順次グラビアコート法でそれぞれ乾燥時の塗布量が2.0g/m2 および2.5g/m2 となるように塗布、乾燥して導電性ヒートシール層を形成し、積層シートAを作製した。
【0026】
【0027】
【0028】
次に、基材フィルムとして、片側の面に帯電防止処理を施した厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、その帯電防止処理の施されていない側の面と、前記積層シートAの導電性ヒートシール層面とを、2液硬化型ウレタン系接着剤を用いて、ドライラミネート法で貼り合わせて積層シートBを作製した。尚、接着剤の塗布量は2.0g/m2 (固形分)とした。
次いで、上記接着剤が硬化した後、積層シートBから剥離性基材シート、即ち、2軸延伸ポリプロピレンフィルムを剥離して、実施例1のヒートシール性を有する導電性フィルムを得た。
【0029】
〔実施例2〕
実施例1の導電性フィルムの構成において、剥離性基材シート(艶消し加工した2軸延伸ポリプロピレンフィルム)に塗布した導電性ヒートシール層用塗布液(イ)、(ロ)を、(イ)のみとし、導電性ヒートシール層を導電性フィラーを含有するヒートシール性樹脂層、1層で構成した他は、総て実施例1と同様に加工して実施例2のヒートシール性を有する導電性フィルムを作製した。
【0030】
〔比較例1〕
基材フィルムとして、片側の面に帯電防止処理を施した厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、その帯電防止処理の施されていない側の面に、前記実施例1で用いたものと同じ導電性ヒートシール層用塗布液(イ)および(ロ)を用いて、実施例1とは塗布の順序を変え、先に(ロ)、次に(イ)の順で、直接、グラビアコート法により、乾燥時の塗布量がそれぞれ2.5g/m2 、および2.0g/m2 となるように塗布、乾燥して、比較例1のヒートシール可能な導電性フィルムを作製した。
【0031】
〔評価および結果〕
以上のように作製した実施例1、2および比較例1の導電性フィルムを試料として、その導電性ヒートシール層の耐摩擦性および導電性(帯電防止性)を下記の方法で測定、評価し、その結果を表1に示した。
☆耐摩擦性(フィラーの固着性)
サザーランド式摩擦試験機を使用して、各試料の導電性ヒートシール層面同士が対向するようにセットし、荷重2lbs で20往復の摩擦試験を行った後、各試料の摩擦面を電子顕微鏡で拡大して観察し、導電性フィラーの脱落の有無を調べた。
評価は、導電性フィラーの脱落の有無により、脱落のないものは良好:○とし、脱落の観察されたものは不良:×として、その結果を表1に記号で示した。
【0032】
☆導電性(帯電防止性)
米国MIL規格DOD−STD−1686により、各試料の導電性ヒートシール層面の表面比抵抗を測定し、表面抵抗値が109 Ω/□以下のものは導電性(帯電防止性)良好:○とし、表面抵抗値が109 Ω/□を超えるものは導電性(帯電防止性)不良:×として、結果を表1に記号で示した。
以上の項目の他、ヒートシール強度に関しても、各試料について測定したところ、いずれもシール部の剥離強度は150g/15mm幅以上あり、実用上十分な強度を有していた。
また、導電性フィルムを製袋して袋にした場合の口開き性についても調べたが、実施例1および実施例2の導電性フィルムは、両者とも剥離性基材シートに艶消し加工を施した未処理(表面処理なし)の2軸延伸ポリプロピレンフィルムを使用し、その艶消し加工面に導電性フィラーを含有するヒートシール性樹脂の溶液を塗布して袋の最内層を形成しているため、剥離性基材シートを剥がした後の導電性フィラーを含有するヒートシール性樹脂層面、即ち、袋の最内層面は、微細な凹凸による艶消し状態に形成されており、内面同士の密着もなく、袋の口開き性はいずれも良好であった。
【0033】
【表1】
評価結果
表1に示した結果から明らかなように、実施例1および2の試料は、導電性、耐摩擦性とも問題なく良好であったのに対して、比較例1の試料は、導電性に関しては良好であったが、耐摩擦性において、摩擦試験で、導電性フィラーの脱落が認められ好ましくなかった。
【0034】
【発明の効果】
以上詳しく説明したように、本発明によれば、良好なヒートシール性と、環境湿度に影響されない安定した帯電防止性を有し、しかも、導電性フィラーの脱落や塵埃の付着がなく、品質および性能に優れた導電性フィルムと、その製造方法を提供できる効果を奏する。
従って、本発明の導電性フィルムは、包装用の袋や容器の蓋材などに好適に使用でき、例えば、袋に加工した場合には、帯電防止性およびシール強度に優れると共に、内部がクリーンで、内面同士の密着がなく口開き性のよい包装袋を提供できる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一実施例の導電性フィルムの製造工程別の層構成を示す模式断面図である。
【図2】図2は、本発明の別の一実施例の導電性フィルムの製造工程別の層構成を示す模式断面図である。
【符号の説明】
1 剥離性基材シート
2a 導電性フィラーを含有するヒートシール性樹脂層
2b ヒートシール性樹脂層
2 導電性ヒートシール層
3 接着層
4 基材フィルム
10 導電性フィルム
Claims (2)
- 下記の(1)から(3)の工程を含むことを特徴とする包装用の導電性フィルムの製造方法。
(1)表面が微細な凹凸により粗面化されて成る剥離性基材シートの該粗面上に、導電性ヒートシール層として、導電性フィラーを含有するヒートシール性樹脂層、または、導電性フィラーを含有するヒートシール性樹脂層と導電性フィラーを含有しないヒートシール性樹脂層、とを順に積層して、剥離可能な導電性ヒートシール層が積層された積層シートAを作製する工程。
(2)前記積層シートAの導電性ヒートシール層面に接着層を介して基材フィルムを積層し、積層シートBを作製する工程。
(3)前記積層シートBから剥離性基材シートを剥がして、基材フィルムに接着層を介して表面が微細な凹凸により粗面化されて成る導電性ヒートシール層が積層された包装用の導電性フィルムを作製する工程。 - 表面が微細な凹凸により粗面化されて成る剥離性基材シートの該粗面上に、導電性ヒートシール層として、導電性フィラーを含有するヒートシール性樹脂層、または、導電性フィラーを含有するヒートシール性樹脂層と導電性フィラーを含有しないヒートシール性樹脂層、とを順に積層して、剥離可能な導電性ヒートシール層が積層された積層シートAを作製し、当該積層シートAの導電性ヒートシール層面に接着層を介して基材フィルムを積層し、積層シートBを作製し、当該積層シートBから剥離性基材シートを剥がして、基材フィルムに接着層を介して表面が微細な凹凸により粗面化されて成る導電性ヒートシール層が積層されたことを特徴とする包装用の導電性フィルム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20639296A JP4121574B2 (ja) | 1996-07-18 | 1996-07-18 | 導電性フィルムおよびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20639296A JP4121574B2 (ja) | 1996-07-18 | 1996-07-18 | 導電性フィルムおよびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1034799A JPH1034799A (ja) | 1998-02-10 |
JP4121574B2 true JP4121574B2 (ja) | 2008-07-23 |
Family
ID=16522597
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP20639296A Expired - Fee Related JP4121574B2 (ja) | 1996-07-18 | 1996-07-18 | 導電性フィルムおよびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4121574B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4826018B2 (ja) * | 2000-04-03 | 2011-11-30 | 大日本印刷株式会社 | キャリアテープ蓋体 |
JP4061136B2 (ja) * | 2002-06-25 | 2008-03-12 | 大日本印刷株式会社 | 帯電防止積層体及びその製造方法、並びにテーピング包装用カバーテープ |
JP5167623B2 (ja) * | 2006-10-27 | 2013-03-21 | 凸版印刷株式会社 | 導電性転写箔 |
-
1996
- 1996-07-18 JP JP20639296A patent/JP4121574B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH1034799A (ja) | 1998-02-10 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US5208103A (en) | Cover tape for packaging chip type electronic parts | |
US4906494A (en) | Antistatic sheet material, package and method of making | |
JPH0458786B2 (ja) | ||
EP0466937B2 (en) | Plastic carrier tape and cover tape for electronic component chip | |
AU588397B2 (en) | Antistatic sheet material | |
JPH08295001A (ja) | 蓋材とキャリアテープおよびこれらを用いたテーピング | |
JP4055918B2 (ja) | 透明導電性カバーテープ | |
JP2018090326A (ja) | 透明導電性カバーテープ | |
JP4544563B2 (ja) | ヒートシール積層体およびキャリアテープ包装体 | |
JP3745068B2 (ja) | カバーテープ | |
JP4121574B2 (ja) | 導電性フィルムおよびその製造方法 | |
JP2900080B2 (ja) | 積層シート | |
JP3503754B2 (ja) | チップ型電子部品包装用カバーテープ | |
JPH0767774B2 (ja) | チップ型電子部品包装用カバーテープ | |
JP4408306B2 (ja) | 積層体 | |
JPH0282696A (ja) | 電磁波シールド用金属薄膜積層体 | |
JP3122976B2 (ja) | 透明・導電・防湿性積層シート | |
JPH0796585A (ja) | 蓋 材 | |
JPS63303726A (ja) | 積層フィルム | |
JP2511761Y2 (ja) | チップ型電子部品包装用カバ―テ―プ | |
JP3582859B2 (ja) | 蓋材 | |
JP2002274594A (ja) | 半導体防湿包装用袋 | |
JPH0639972Y2 (ja) | 導電性緩衝シート及びこれを用いた電子部品包装用袋 | |
JPH09314717A (ja) | 蓋 材 | |
JPS6045586B2 (ja) | 包装用フイルム |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20050121 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20050216 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20050411 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20050628 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20080201 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20080303 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20080430 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110509 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |