JP4121428B2 - 有摺接面部材及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鋼材からなる母材の摺接面に金属層が形成された有摺接面部材及びその製造方法に関する。
鍛造用金型は、ワークを押圧することによって該ワークを塑性変形させるための部材であり、従って、ワークに対して鍛造加工を施す際、該鍛造用金型の表面にはワークが摺接する。換言すれば、鍛造用金型は、摺接面を有する有摺接面部材である。
ところで、鍛造用金型の表面にワークが摺接した際には、ワークと鍛造用金型とが摩擦することやワークが変形することに伴って熱が発生する。このため、鍛造用金型に熱疲労が加わる。この熱疲労は、鍛造用金型の耐久性を低下させ、結局、鍛造用金型にヒートチェック等を生じさせる一因となる。また、鍛造用金型が摩耗したり、一部が欠損する、いわゆるかじりが発生することもある。
上記したような事態が生じると、鍛造加工品を所定の寸法精度で得ることが困難となる。従って、ヒートチェックや摩耗、かじりが生じた鍛造用金型を新品に交換する必要があるが、鍛造用金型は概して高価であるため、交換頻度が多くなると鍛造加工品の製造コストが高騰してしまう。
そこで、ヒートチェック、摩耗、かじり等が生じることを回避するために、鍛造用金型において、靱性及び強度に優れたSKH51材を使用し、該SKH51材の摺接面に窒化層を設けることが広く行われている。窒化層を設ける手法としては、塩浴法、ガス法又はイオン法等が例示される。
しかしながら、窒化層には、母材であるSKH51材との硬度差が大きいことに起因して、熱衝撃が繰り返し加わると、軟化して急激に摩耗が進行したりすることがある。また、そもそも、窒化層は窒化鉄からなり、母材である鋼材と異種の素材であるため、窒化層と母材との密着性も良好ではなく、窒化層の母材からの剥離が生じ易いという不具合がある。
窒化処理以外の他の表面処理方法としては、物理的気相成長(PVD)法又は化学的気相成長(CVD)法によってTiCやTiN等のセラミックス材をコーティングする被覆処理、硫化鉄と窒化鉄との混合物層を設ける浸硫窒化処理、酸化鉄を設ける酸化処理等が例示される。しかしながら、被覆処理では、ビッカース硬度で1000〜3000を示す硬質のセラミックス皮膜を形成することができるものの、このセラミックス皮膜は概して靱性が低く、鍛造用金型が応力によって変形する際や、鍛造用金型に機械的衝撃が加えられた際に容易に剥離するという問題がある。しかも、セラミックス皮膜と鍛造用金型との熱膨張率が異なるため、鍛造成形時の膨張体積が相違することに起因してもセラミックス皮膜の剥離が生じることがある。
また、浸硫窒化処理によって母材の表面に形成された硫化鉄からなる硫化物層は硬度が低く、しかも、多孔質であるため、鍛造成形を繰り返すことによって剥離してしまうという不具合が顕在化している。さらに、この硫化物層には窒化鉄が含有されているため、耐ヒートチェック性が低いという問題がある。
さらに、酸化処理には、母材層である鋼材が熱応力によって変形した際、形成された酸化物層が剥離し易くなるという不具合がある。
このような観点から、耐ヒートチェック性、耐摩耗性及び耐かじり性をともに向上させるべく、様々な処理法が提案されている。例えば、特許文献1には、イオン法による窒化処理後に950℃に昇温し、高周波加熱処理を施すことによって窒化鉄を分解して窒化鉄の濃度を減少させる処理方法が開示されている。この分解によって遊離した窒素元素は、鋼材の内部に拡散・固溶し、窒素拡散層を形成する。しかしながら、この場合、窒化鉄の幾分かは分解されることなく残留するので、耐ヒートチェック性を飛躍的に向上させることはできない。
また、特許文献2には、熱間鍛造用金型に対して350〜450℃の比較的低温でイオン法によって窒化処理を行うことが提案されている。しかしながら、このような処理が施された鍛造用金型の寿命は、一般的な窒化処理が施された鍛造用金型の2〜3割程度長期化するに留まる。この程度の長寿命化では、鍛造用金型の交換頻度を低減し、ひいては製造コストを低廉化することができるとはいい難い。
そして、特許文献3には、鋼材の表面に、硫化鉄と酸化鉄を主体として窒素を含む混合物層を形成することが提案されている。しかしながら、この場合においても、窒素は窒化鉄として存在する。上記したように、窒化鉄は、耐ヒートチェック性を低下させる。
結局、これらの先行技術においては、窒化鉄を含有する層が鋼材に設けられているため、耐熱疲労性を向上させることが困難であるという不具合がある。
さらに、特許文献4には、鋼材の表面にFeS2からなる第1層と、Fe4Nからなる第2層とをこの順序で形成する処理法が提案されているが、これら2層が形成された鋼材を鍛造用金型として使用すると、容易に剥離してしまうという不具合がある。このため、鍛造用金型として使用することは困難である。
特開平7−138733号公報 特開昭57−54551号公報 特開平10−204610号公報 特開昭60−39155号公報
このように、耐熱疲労性、耐溶損性及び耐かじり性をともに向上させる技術は未だに確立されていない。
本発明は上記した問題を解決するためになされたもので、摺接面が耐ヒートチェック性、耐摩耗性及び耐かじり性のいずれにも優れ、このために鍛造用金型として使用された際には該鍛造用金型の寿命を長期化させ、これにより鍛造加工品の製造コストを低廉化することが可能な有摺接面部材及びその製造方法を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明は、所定の部材に摺接する摺接面を有し、且つ前記摺接面に金属層が形成された鋼製の有摺接面部材であって、
前記金属層は、鋼材である母材側から、第1層、第2層及び第3層が積層された3層からなり、
前記第1層は自溶合金からなり、
前記第2層の相対密度は、前記第3層の相対密度よりも小さいことを特徴とする。
本発明においては、鋼材と良好に密着する自溶合金からなる第1層によって、鋼材である母材と金属層との接合強度が確保される。このため、金属層が剥離し難いので、摺接面の耐かじり性が向上する。
さらに、本発明においては、熱疲労が蓄積され難い金属層を設けるようにしているので、有摺接面部材の耐ヒートチェック性も確保される。
本発明においては、第2層の気孔に摩擦抵抗を減少させる物質、例えば、潤滑材等を充填するようにしてもよい。この場合、この潤滑材等の作用によって、有摺接面部材と、該有摺接面部材に摺接する部材との間の摩擦抵抗が小さくなる。従って、摩擦熱が小さくなるので、有摺接面部材に加わる熱衝撃が小さくなる。しかも、摩擦抵抗が小さくなることに伴って有摺接面部材が摩耗することが抑制されるので、有摺接面部材の耐摩耗性が確保される。なお、潤滑材等は、摺接面に部材を摺接させるに先立ち、第1層側から第2層まで浸透され、摺接面に部材が摺接する際に押圧されて第3層の表面に滲出する。
以上のように、本発明によれば、耐ヒートチェック性、耐摩耗性及び耐かじり性を兼ね備え、このために長寿命である有摺接面部材を構成することができる。
なお、前記第1層を構成する自溶金属の好適な例としては、鋼材に対する密着性が良好なNi基合金を挙げることができる。
第2層及び第3層は、互いに同一の金属からなることが好ましい。この場合、互いの硬度や熱膨張係数が同等となる。このため、鍛造加工が繰り返され、その結果、熱衝撃が繰り返し加わっても、第3層が第2層から剥離し難くなる。従って、耐ヒートチェック性、耐摩耗性及び耐かじり性が一層長期間にわたって確保され、有摺接面部材の寿命を一層長期化することができる。
また、本発明は、所定の部材に摺接する摺接面を有する鋼製の母材に対し、前記摺接面に金属層を形成して有摺接面部材とする製造方法であって、
前記母材の表面に自溶合金の粉末からなる第1金属粉末を積層した後、前記第1金属粉末を焼結させて第1層を形成する工程と、
前記第1層の表面に第2金属粉末を積層した後、前記第2金属粉末を焼結させて第2層を形成する工程と、
前記第2層の表面に第3金属粉末を積層した後、前記第3金属粉末を焼結させて第3層を形成する工程と、
を有し、
焼結の進行度合いを制御することにより、前記第2層の相対密度を前記第3層の相対密度よりも小さくすることを特徴とする。
このような手順で金属層を設けることにより、耐ヒートチェック性及び耐かじり性に優れる有摺接面部材を得ることができる。
潤滑材等の摩擦抵抗を減少させる物質を第2層の気孔に充填する場合には、例えば、第2層を形成した後に該第2層の気孔に該物質の粉末を充填し、前記第3金属粉末を積層して第3層を設けるようにすればよい。
又は、第2金属粉末に摩擦抵抗を減少させる物質が添加された混合粉末を第1層に積層し、その後、第2金属粉末の焼結を行うことによって該物質を第2層の気孔に充填するようにしてもよい。
いずれの場合においても、第2金属粉末及び第3金属粉末として、互いに同一の金属粉末を使用することが好ましい。同一金属からなる第2層及び第3層が形成されるので、第2層と第3層の各硬度や熱膨張係数が同等となる。これにより、第3層が第2層から剥離し難くなるので、耐ヒートチェック性、耐摩耗性及び耐かじり性が一層長期間にわたって確保される。
そして、第2金属粉末及び第3金属粉末として、平均粒径が20〜30μmである粉末を使用することが好ましい。このような粉末は、焼結の際に緻密化が容易に進行する。従って、焼結時間や温度等を適宜変更することによって焼結の進行度合い、ひいては各層の相対密度を容易に制御することができるからである。
粉末の焼結は、レーザ焼結にて行うことが好ましい。この場合、レーザ光の照射時間を調整することによって、相対密度が互いに異なる第1層、第2層及び第3層を容易且つ簡便に設けることができる。
さらに、第3層を形成した後に熱処理を行うことが好ましい。これにより、第1層を構成する自溶合金の最上部と、第2層を構成する金属の最下部とが互いに固溶し合い、その結果、第1層と第2層とが強固に結合して金属層が一層剥離し難くなる。なお、熱処理は、例えば、焼き入れ又は焼き戻しによって実施すればよい。
本発明によれば、相対密度が互いに異なる3層からなる金属層を設け、その中の第1層を、鋼材との密着性に優れる自溶合金で構成するようにしている。このため、金属層が鋼材からなる母材に良好に密着して剥離し難くなるので、他の表面処理を施すことなく、特に、耐かじり性に優れる有摺接面部材を構成することができるという効果が達成される。
以下、本発明に係る有摺接面部材及びその製造方法につき、該有摺接面部材からなる鍛造用金型との関係で好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
本実施の形態に係る鍛造用金型におけるキャビティ側表層部の縦断面拡大図を図1に示す。この鍛造用金型10は、例えば、SKH51材やSKD61材等の鋼材からなる母材12と、該母材12のキャビティ側端面上に設けられた3層構造の金属層14とを有する。すなわち、鍛造用金型10は、母材12のキャビティ側端面が金属層14で被覆されてなる。
金属層14は、第1層16、第2層18及び第3層20が母材12側からこの順序で積層されてなる。そして、この場合、第1層16は、例えば、Ni−Cr−Al系合金等の自溶合金からなる。
第2層18及び第3層20は、互いに同一の金属から形成されている。特に、母材12と同一の鋼材であると、母材12と金属層14との熱膨張係数差が小さくなり、熱膨張係数の不整合に起因して金属層14が剥離することを回避することができるので好適である。また、第2層18と第3層20とが互いに良好に密着するので、第3層20が第2層18から剥離し難くなる。すなわち、例えば、母材12がSKH51材からなる場合、第2層18及び第3層20もSKH51材で構成することが好ましい。また、母材12がSKD61材からなる場合、第2層18及び第3層20をSKD61材で構成することが好ましい。
第1層16は、母材12が熱応力によって変形することを抑制するための層である。このため、第1層16に高強度を発現させるべく、該第1層16の相対密度は高く設定される。第1層16の好ましい相対密度は、99〜99.5%程度である。
また、第1層16が自溶合金からなるので、鋼材からなる母材12に良好に密着する。このため、金属層14が母材12から剥離し難くなる。
第2層18は、気孔内に潤滑材としての黒鉛を保持する層である。後述するように、この黒鉛は、鍛造用金型10を使用して鍛造加工を実施する最中に第3層20の表面に導出される。
第2層18の相対密度は、該第2層18に黒鉛を保持するに十分な量の気孔が設けられ、且つ該第2層18が十分な強度を有するように設定される。具体的には、95〜97%程度であることが好ましい。なお、第2層18の相対密度は、金属層14の中で最も低い。
ここで、第1層16の最上部と第2層18の最下部とは互いに固溶し合っており、このため、第1層16と第2層18とは強固に結合している。従って、第1層16と第2層18との界面から金属層14が剥離することが回避される。
第3層20は、金属層14の最表面に位置する層であり、従って、高強度に設定される。その一方で、第3層20には、前記黒鉛が該第3層20を通過することが可能な程度の気孔が設けられる。このような理由から、第3層20の相対密度は、第2層18に比して高く、且つ第1層16の相対密度以下に設定される。第3層20の好ましい相対密度は、97〜99%である。
このように、第2層18と第3層20は同一の鋼材からなるものの、相対密度が互いに相違する。なお、各層16、18、20の厚みは、特に限定されるものではないが、50〜100μmであると好適である。また、金属層14全体の厚みとしては、250μm程度であることが好ましい。
上記したように構成された鍛造用金型10を使用しての鍛造加工は、次のようにして実行される。
先ず、鍛造用金型10のキャビティに図示しないワークが収容される。
次に、鍛造用金型10に支持されたワークを図示しないパンチで押圧し、該ワークを塑性変形させる。この際、鍛造用金型10のキャビティ側端面(摺接面)が塑性変形するワークの肉で押圧されることによって金属層14が圧縮され、これに伴って第2層18の気孔内に充填された黒鉛が押し出される。
押し出された黒鉛は、第3層20の気孔を経由して該第3層20の表面まで導出される。これにより、図2に示すように、第3層20の表面に黒鉛潤滑層22が形成されるに至る。
このように、本実施の形態によれば、3層構造の金属層14の中央層である第2層18に潤滑材を保持させ、鍛造加工を実施する際にこの潤滑材を第3層20の表面に導出するようにしている。このため、窒化処理やその他の表面処理を施すことなく、鍛造用金型10の潤滑性を良好なものとすることができる。
鍛造加工が進行するに伴い、塑性変形するワークの肉が鍛造用金型10の摺接面に順次摺接する。この場合、上記したように第3層20の表面に黒鉛潤滑層22が形成されているので、鍛造用金型10とワークとの摩擦が低減される。このため、高温の摩擦熱が発生することを回避することができる。
また、第1層16が自溶合金であるために鋼材からなる母材12及び第2層18と良好に密着しており、しかも、第1層16の最上部と第2層18の最下部とが互いに固溶し合っているので、母材12における摺接面と金属層14との接合強度、及び第1層16と第2層18との接合強度が確保される。このため、金属層14が母材12から剥離することがなく、また、第2層18が第1層16から剥離することもない。
しかも、この場合、第2層18と第3層20とが同一の鋼材からなるため、これら第2層18と第3層20同士の接合強度も高い。従って、第3層20が第2層18から剥離することもない。
以上から諒解されるように、本実施の形態においては、金属層14が各層16、18、20の界面から分離することがない。このため、鍛造用金型10の耐かじり性を確保することもできる。しかも、母材12と金属層14との硬度が略同等となるので、鍛造加工に伴って熱衝撃が繰り返し加わっても、該金属層14が母材12から剥離したり、軟化して急激に摩耗が進行したりすることもない。
その上、金属層14の最表層である第3層20が鋼材からなるので、該金属層14は、耐ヒートチェック性に優れる。すなわち、耐ヒートチェック性に優れた鍛造用金型10を構成することができる。
以上のようにして鍛造加工を繰り返した後、第2層18の気孔からすべての黒鉛が導出された場合には、一般に使用される離型材等を金属層14の表面に塗布すればよい。塗布された離型材は、第3層20の気孔を経由して第2層18に到達し、該第2層18の気孔に含浸される。次なる鍛造加工時にこの離型材が第3層20の表面に滲出することにより、金属層14、ひいては鍛造用金型10の潤滑性が確保される。
鍛造用金型10は、以下のようにして製造することができる。
先ず、図3に(a)として示すように、鋼材からなる母材12のキャビティ側端面(摺接面)に、Ni−Cr−Al系合金の粉末30を積層した後、レーザガンLGを介してレーザ光を照射することによってこの粉末30を焼結させ、第1層16を設ける。この際、粉末30に対するレーザ光の照射時間は、第1層16の相対密度が99〜99.5%となる程度に設定することが好ましい。すなわち、本実施の形態においては、第1層16の相対密度は、粉末30の焼結の進行度合いを制御することによって設定される。後述する第2層18及び第3層20においても同様である。
次に、(b)に示すように、第1層16上に母材12と同一の鋼材の粉末32を積層し、上記と同様にして該粉末32を焼結させることによって、(c)に示すように第2層18を設ける。レーザ光の照射時間は、第2層18の相対密度が95〜97%となる程度に設定することが好ましい。
そして、(d)に示すように、第2層18の気孔に黒鉛を充填する。黒鉛は、例えば、溶媒に混合してペーストとし、該ペーストを第2層18に塗布した後に乾燥させて溶媒を除去することによって、気孔内に充填すればよい。
次に、(e)に示すように、気孔内に黒鉛が充填された第2層18の表面に粉末34を積層し、上記と同様に該粉末34を焼結させる。これにより、(f)に示すように第3層20が形成され、母材12の摺接面に、第1層16、第2層18及び第3層20を有する金属層14が設けられるに至る。この場合、レーザ光の照射時間は、第3層20の相対密度が97〜99%となる程度に設定することが好ましい。
このように、粉末30、32、34を焼結する手法としてレーザ焼結を採用し、且つ焼結の際のレーザ光の照射時間を適宜調整することによって、相対密度が互いに異なる第1層16、第2層18及び第3層20を容易且つ簡便に設けることができる。又は、レーザ光の出力を適宜調整することによって、第1層16、第2層18及び第3層20の相対密度を互いに相違させるようにしてもよい。
ここで、少なくとも粉末32、34は、電子顕微鏡で観察される2次元平面における長径と短径との和の1/2として定義される平均粒径が20〜30μmであることが好ましい。このような粉末を使用した場合、焼結の際に緻密化が容易に進行する。従って、レーザ光の照射時間又は出力を変更することによって焼結の進行度合い、ひいては相対密度を容易に制御することができる。
粉末32、34としては、アトマイズ法によって得られた、いわゆるアトマイズ粉を使用すればよい。アトマイズ粉は球形状に近いため、焼結が進行し易いという利点がある。特に、遠心アトマイズ法等によって得られたアトマイズ粉は真球形状であり、焼結が一層進行し易くなる。粉末30についても同様である。
最後に、金属層14が設けられた母材12に対し、焼き入れ処理及び焼き戻し処理(熱処理)を行う。これにより、第1層16の最上部と第2層18の最下部とが互いに固溶し合い、第1層16と第2層18とが強固に結合される。
なお、上記した実施の形態においては、第2層18にペースト状黒鉛を塗布するようにしているが、粉末32と黒鉛粉末とで混合粉末を調合し、該混合粉末を第1層16上に積層するようにしてもよい。黒鉛の焼結温度は、鋼材である粉末32に比して著しく高いので、この場合、温度を制御することにより、粉末32のみを焼結させることができる。従って、この場合においても、気孔内に黒鉛粉末が充填された第2層18を得ることができる。
また、黒鉛等の潤滑材を第2層18の気孔に充填させることは必須ではなく、図3に示される(d)を省略し、気孔への充填がなされていない第2層18を有する鍛造用金型10(有摺接面部材)を設けるようにしてもよい。
さらに、この実施の形態では、第1層16をNi−Cr−Al系合金で形成するようにしているが、特にこれに限定されるものではなく、第1層16はCo基合金等の他の自溶合金から形成するようにしてもよい。同様に、第2層18及び第3層20の各々の構成素材は、母材12と同一の鋼材に限定されるものではなく、例えば、母材12と硬度及び熱膨張係数が略同等の異種金属から第2層18及び第3層20を形成するようにしてもよい。
さらにまた、第1層16を溶射によって設けるようにしてもよい。
本実施の形態に係る鍛造用金型におけるキャビティ側表層部の縦断面拡大図である。 図1の鍛造用金型の第2層から黒鉛が導出され、第3層上に黒鉛潤滑層が形成された状態を示す縦断面拡大図である。 本実施の形態に係る鍛造用金型の製造過程を示すフロー説明図である。
符号の説明
10…鍛造用金型(有摺接面部材) 12…母材
14…金属層 16…第1層
18…第2層 20…第3層
22…黒鉛潤滑層 30、32、34…粉末
LG…レーザガン

Claims (11)

  1. 所定の部材に摺接する摺接面を有し、且つ前記摺接面に金属層が形成された鋼製の有摺接面部材であって、
    前記金属層は、鋼材である母材側から、第1層、第2層及び第3層が積層された3層からなり、
    前記第1層は自溶合金からなり、
    前記第2層の相対密度は、前記第3層の相対密度よりも小さいことを特徴とする有摺接面部材。
  2. 請求項1記載の有摺接面部材において、前記第2層の気孔に摩擦抵抗を減少させる物質が充填されていることを特徴とする有摺接面部材。
  3. 請求項1又は2記載の有摺接面部材において、前記第1層は、Ni基合金からなることを特徴とする有摺接面部材。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の有摺接面部材において、前記第2層及び前記第3層は、同一の金属からなることを特徴とする有摺接面部材。
  5. 所定の部材に摺接する摺接面を有する鋼製の母材に対し、前記摺接面に金属層を形成して有摺接面部材とする製造方法であって、
    前記母材の表面に自溶合金の粉末からなる第1金属粉末を積層した後、前記第1金属粉末を焼結させて第1層を形成する工程と、
    前記第1層の表面に第2金属粉末を積層した後、前記第2金属粉末を焼結させて第2層を形成する工程と、
    前記第2層の表面に第3金属粉末を積層した後、前記第3金属粉末を焼結させて第3層を形成する工程と、
    を有し、
    焼結の進行度合いを制御することにより、前記第2層の相対密度を前記第3層の相対密度よりも小さくすることを特徴とする有摺接面部材の製造方法。
  6. 請求項5記載の製造方法において、前記第2層を形成した後に該第2層の気孔に摩擦抵抗を減少させる物質の粉末を充填し、前記第3金属粉末を積層することを特徴とする有摺接面部材の製造方法。
  7. 請求項5記載の製造方法において、前記第2金属粉末に摩擦抵抗を減少させる物質が添加された混合粉末を前記第1層に積層した後、第2金属粉末の焼結を行うことを特徴とする有摺接面部材の製造方法。
  8. 請求項5〜7のいずれか1項に記載の製造方法において、前記第2金属粉末及び前記第3金属粉末として、互いに同一の金属粉末を使用することを特徴とする有摺接面部材の製造方法。
  9. 請求項5〜8のいずれか1項に記載の製造方法において、前記第2金属粉末及び前記第3金属粉末として、平均粒径が20〜30μmである粉末を使用することを特徴とする有摺接面部材の製造方法。
  10. 請求項5〜9のいずれか1項に記載の製造方法において、前記焼結をレーザ焼結にて行うことを特徴とする有摺接面部材の製造方法。
  11. 請求項5〜10のいずれか1項に記載の製造方法において、前記第3層を形成した後に熱処理を行うことを特徴とする有摺接面部材の製造方法。

JP2003279770A 2003-07-25 2003-07-25 有摺接面部材及びその製造方法 Expired - Fee Related JP4121428B2 (ja)

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