JP4121074B2 - フロントバンパー芯材 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等の車両に使用されるフロントバンパーの芯材に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車のフロントバンパーは、車が外部の物体と接触した際に乗員への衝撃を緩和したり、車本体の損傷を防ぐ等の役割を有する。該フロントバンパーの芯材としては、軽量であるにもかかわらず強い剛性を有し、優れた衝撃吸収特性を有することから、ポリプロピレン系樹脂発泡体が広く用いられてきた。その代表的なものとしては、[特許文献1]や[特許文献2]に開示されているフロントバンパーが挙げられる。
【0003】
しかしながら、従来のフロントバンパーは、速度4又は8km/時での衝突を想定して製造されており、該速度で衝突した場合に車体自体が大きく破壊されないことを衝撃吸収性の基準としているものであった。そこで、近年歩行者保護に重点を置いたバンパーの設計が求められるようになり、歩行者へ与えるダメージを極力抑えることがバンパー芯材に要求されるようになった。具体的には、比較的速い速度で歩行者と衝突した場合であっても、歩行者の脚を回復不能な状態まで破壊してしまうほどの大きな衝撃力を生ずることなく、衝突のエネルギーを吸収できることが、バンパー芯材に要求されるようになった。上記要求に対して従来採用されているバンパー芯材においても、圧縮弾性率を低くして体積を大きくすることにより、該衝突時の衝撃力を小さくしてエネルギー吸収量を大きくすることができていた。しかしながら近年、自動車設計において省エネルギー、自動車内部空間の大容量化も同時に求められており、それらの点からはバンパーには小型化、軽量化が必要となる。
【0004】
従って、前記課題の全てを満足するバンパー芯材は従来存在しなかった。
【0005】
【特許文献1】
特開昭58−221745号公報 [特許請求の範囲]
【特許文献2】
特開平11−334501号公報 [特許請求の範囲]
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、小型化、軽量化が可能で、比較的速い速度で歩行者と衝突した場合であっても、大きな衝撃力を生ずることなく、衝突のエネルギーを吸収できる高性能のバンパー芯材を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を進めた結果、歩行者を保護するという観点から優れたバンパー芯材として、圧縮試験を行った場合に得られる圧縮荷重−圧縮歪曲線(以下、圧縮曲線ともいう。)において、圧縮が始まると圧縮荷重が大きく立ち上がり、被衝突物が著しく破壊せれるような大きな圧縮荷重に達する前にフラットになり、このフラットな状態が長く続くようにすることにより上記課題を解決できることを見出し本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば、以下に示すバンパー芯材が提供される。
[1]密度0.06〜0.20g/cmのポリプロピレン系樹脂発泡体からなるフロントバンパー芯材であって、該芯材が、少なくとも二本の脚部と前面部からなる2つ以上のコの字部分と、連結部分とからなり、該芯材左右方向に亘ってコの字部分の該芯材左右方向に対する垂直断面形状が該芯材前後方向において後方に開口するコの字形状であり、該芯材前後方向においてコの字部分の最前面よりも後方の位置にて、一方のコの字部分の脚部と他方のコの字部分の脚部とが該連結部分で連結されることにより、該コの字部分どうしが略該芯材上下方向に結合されており、該芯材の直径70mmのパイプによる圧縮試験(試験速度:500mm/分)における、20%歪時圧縮荷重(F20)と40%歪時圧縮荷重(F40)との比F20/F40が0.75〜1.30であり、60%歪時圧縮荷重(F60)と40%歪時圧縮荷重(F40)との比F60/F40が0.95〜1.20であることを特徴とするフロントバンパー芯材。
[2]該連結部分が、該芯材前後方向においてコの字部分の最前面から、該芯材前後方向の最大長さの1/3以上後方の位置に形成されていることを特徴とする前記[1]に記載のフロントバンパー芯材。
[3]該連結部分が、該芯材前後方向においてコの字部分の最前面から、最も後方の位置に形成されていることを特徴とする前記[1]に記載のフロントバンパー芯材。
[4]該40%歪時圧縮荷重(F40)が、2〜6kNであることを特徴とする前記[1]、[2]又は[3]に記載のフロントバンパー芯材。
[5]該芯材の真の体積VT(cm)と肉盗み部分の容積VV(cm)との関係が、下記(1)式を満足することを特徴とする前記[1]〜[4]のいずれかに記載のフロントバンパー芯材。
【数2】
0.20≦VT/(VT+VV)≦0.50 (1)
[6]該コの字部分の脚部において、該芯材前後方向に対応する方向の長さH(mm)と該芯材上下方向に対応する方向の厚さT(mm)との比H/Tが2〜10であることを特徴とする前記[1]〜[5]のいずれかに記載のフロントバンパー芯材。
[7]該コの字部分の脚部そのものの曲げ荷重が20〜150Nであることを特徴とする前記[1]〜[6]のいずれかに記載のフロントバンパー芯材。
[8]該ポリプロピレン系樹脂発泡体が、引張弾性率1200MPa以上のポリプロピレン系樹脂からなることを特徴とする前記[1]〜[7]のいずれかに記載のフロントバンパー芯材。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明のフロントバンパー芯材(以下、バンパー芯材ともいう。)は、図3に示すように、二本以上の脚部と前面部からなるコの字部分が2つ以上と、連結部分とからなる。
【0009】
尚、図3(a)はバンパー芯材有効部分の裏面図、同(b)は図3(a)のI−I線に沿う垂直断面図、即ちバンパー芯材有効部分の該バンパー芯材左右方向に対する垂直断面図であり、図3(c)はその斜視図である。図3において、10はバンパー芯材を、11a、11bはコの字部分(コの字部分を総称して、単にコの字部分11ともいう。)を、12a、12bはコの字部分11を構成する脚部(脚部を総称して、単に脚部12ともいう。)を、13はコの字部分11を構成する前面部を、14は連結部分を、15は肉盗み部分をそれぞれ示す。
【0010】
コの字部分11のバンパー芯材左右方向に対する垂直断面形状(図3(b)に示す)は、図3(a)、(c)に示すように該バンパー左右方向に亘ってのコの字形状であり、しかもバンパー芯材前後方向において後方に開口している。更に、連結部分14が該芯材前後方向においてコの字部分の最前面よりも後方の位置にてコの字部分11aの脚部12bと、コの字部分11bの脚部12aとを連結することにより、コの字部分11aとコの字部分11bとをバンパー芯材上下方向に結合している。本発明のバンパー芯材はかかる構成を有するので、体積が小さいものでありながら比較的速い速度で被衝突物と衝突した場合であっても、大きな衝撃力を生ずることなく、衝突のエネルギーを吸収できる。
但し、図3に示す態様のように2つのコの字部分が連結されている態様が最も好ましいが、本発明はこれに限定するものではなく、3つ以上のコの字部分が連結されていてもよい。尚、該コの字部分は2つ乃至3つ連結されている態様が好ましく、該コの字部分の連結は概ね5つのコの字部分の連結が上限である。
【0011】
又、本発明は、一方のコの字部分と他方のコの字部分とが連結部分で連結される態様を、図3に示すものに限定されるものではない。例えば図7(a)〜(j)に示すような態様がある。図7(a)の態様においては、外側の脚部12a、12bに対し、内側の脚部12b、12aが短く構成されている。また、同(b)の態様においては、コの字部分11aの脚部12がコの字部分11bの脚部12より短く構成されると共に、コの字部分11aの脚部12bの先端とコの字部分11bの脚部12aの先端が連結されている。また、同(c)の態様においては、コの字部分11aの脚部12がコの字部分11bの脚部12より短く構成されると共に、コの字部分11aの脚部12bの中間部とコの字部分11bの脚部12aの先端が連結されている。また、同(d)(e)の態様においては、コの字部分11bの脚部12aと脚部12bの間にも前面部13から脚部23が設けられている。また、本発明は、コの字部分の形状を脚部どうしが水平に設けられている形状に限定するものではなく、例えば同(f)に示すように、外側の脚部12a、12bが外側に向かって開いていたり、図示はしないが内側に向かって狭められていてもよい。また連結部分14は、図7(g)(i)に示すように、斜めに設けられていてもよく、同(h)に示すように、複数段設けられていても良い。また、同(i)に示すように、コの字部分の前面部が斜めに設けられていても良い。また本発明において、コの字部分どうしが略該芯材上下方向に結合されているとは、厳密に鉛直方向に結合しているだけの意味ではなく、図7(j)に示すように、上下斜め方向に結合している場合も含む意味である。
本発明においてバンパー芯材の好ましい態様としては、図7(b)(e)(f)(g)(h)(i)に示されるようにコの字部分の全ての脚部の該バンパー芯材前後方向における後方の先端が面一に形成されているものが挙げられる。更に、バンパー芯材を構成する全ての脚部は芯材前後方向に水平に形成されているもの(図7においては(f)以外のもの)が好ましい。また、脚部の数は1つのコの字部分に対して2〜4本、更に2〜3本設けられていることが好ましい。脚部の数の上限は、1つのコの字部分に対して概ね8本である。
尚、図7(a)〜(j)は、コの字部分11のバンパー芯材左右方向に対する垂直断面図である。
【0012】
本発明のバンパー芯材においては、該芯材前後方向における最大厚みが15cm以下であることが好ましく、より好ましくは4〜12cmである。尚、該芯材前後方向における最大厚みの下限は3cmである。該最大厚みが15cmを超えると、バンパーが前に出すぎるので車体が不必要に大きくなる虞がある。尚、本明細書においてバンパー芯材前後方向とは、該芯材を車両の所定位置に取り付けた時の車両の前後方向と一致する方向のことである。また、バンパー芯材左右方向とは、該芯材を車両の所定位置に取り付けた時の車両の幅方向と一致する方向のことである。また、バンパー芯材上下方向とは、該芯材を車両の所定位置に取り付けた時の車両の上下方向と一致する方向のことである。
【0013】
本発明のバンパー芯材においては、直径70mmのパイプによる圧縮試験(速度:500mm/分)を行った場合に、20%歪時圧縮荷重(F20)と40%歪時圧縮荷重(F40)との比F20/F40が0.75〜1.30であり、60%歪時圧縮荷重(F60)と40%歪時圧縮荷重(F40)との比F60/F40が0.95〜1.20である。本発明のバンパー芯材は、このような特性を有するので、圧縮曲線において、圧縮荷重が早期に立ち上がり、おおよそ歪20〜60%の範囲において、図1中の曲線aで示すような圧縮荷重が殆ど一定の値を示すフラット部が存在する。従って、このフラット部において衝突の衝撃エネルギーを吸収することができると共に、フラット部の圧縮荷重が40%歪時圧縮荷重(F40)を大きく超えることも大きく下回ることもない。
【0014】
本発明のバンパー芯材について圧縮試験を行って得られた、圧縮曲線の一例を図1に示す。尚、図1において、曲線aは本発明のバンパー芯材についてのもので、曲線bは従来のバンパー芯材に基づく本発明のバンパー芯材の比較対象物についてのものである。
【0015】
該比F20/F40が0.75未満の場合は、圧縮荷重が早期に立ち上がらないので、図1に示す従来の曲線bに近くなって衝撃エネルギーを充分に吸収できないことから、バンパー芯材の体積を小さく設計することができなくなる虞がある。一方、比F20/F40が1.30を超える場合は、圧縮曲線の圧縮初期においてピークが発生し、該ピーク高さが高くなりすぎて(曲線c)、被衝突物に大きな衝撃力が加わり充分に保護できなくなる虞がある。被衝突物を充分に保護し、圧縮初期の衝撃エネルギーを充分に吸収するという観点からは、比F20/F40は0.80〜1.20が好ましく、0.85〜1.10がより好ましい。
【0016】
また、上記比F60/F40が0.95未満の場合は、圧縮曲線の圧縮荷重が比較的早期に下がることを意味し、衝撃エネルギーを充分に吸収できなくなりバンパー芯材の体積を小さく設計することができなくなる虞がある。一方、比F60/F40が1.20を超える場合は、圧縮曲線が歪40〜60%の間で急激に立ち上がるので、被衝突物に大きな衝撃力が加わり充分に保護できなくなる虞がある。被衝突物を充分に保護し、衝撃エネルギーを充分に吸収するという観点からは、比F60/F40は0.98〜1.15好ましく、1.00〜1.10がより好ましい。
【0017】
本発明においては、前記40%歪時圧縮荷重(F40)が2〜6kN、更に3〜5kNであることが好ましい。40%歪時圧縮荷重(F40)が2kN未満の場合は、衝撃エネルギーを充分に吸収できなくなる虞があり、6kNを超える場合は、バンパーが歩行者の脚などの被衝突物と接触した時点で被衝突物を充分に保護することができない虞がある。また、同様の理由により、F20は2〜5kNであることが好ましく、F60は3〜6kNであることが好ましい。
【0018】
本明細書におけるパイプによる圧縮試験は、温度23℃、相対湿度50%の条件下、圧縮治具として直径70mmの剛体パイプを用い、試験速度500mm/分で圧縮して行うものとする。尚、直径70mmの剛体パイプは人間の脛の大きさを想定したものである。
【0019】
上記圧縮試験方法について、図2に基づいて詳しく説明する。
尚、図2(a)は圧縮試験方法の正面図、同(b)は側面図であり、図2において、1は試験片、2は直径70mmのパイプ、3は剛体の表面に40番の紙やすり5を貼りつけてなる試験片の保持台、4は圧縮装置をそれぞれ示す。
【0020】
図2に示す通り、試験片1の長さ:dは、17cmとし、高さhはバンパー芯材上下方向のレインフォースメントの高さとし、厚みtはバンパー芯材前後方向の厚みとする。試験片1の長さ:dが17cmより短くなると得られる圧縮荷重が試験片の長さの影響を受けて正しい値を示さなくなる虞がある。圧縮試験は、車両に装着されているバンパーが立っている人体と衝突する場合を想定し、バンパー芯材の車両取付時の前面側から、図2に示すように、圧縮試験時に変形することのない鋼材からなるパイプ2の貫通孔の貫通方向が試験片1の長さ方向(バンパー芯材左右方向)に対して直角になるようにしてバンパー芯材前後方向に、試験速度500mm/分で圧縮して行う。
【0021】
試験片をバンパー芯材から採取する場合、該芯材左右方向の全体長さに対して左右両側から15%までの部分と、ウインカーやライトを取り付ける特殊な形状の部分と、レインフォースメント前面からはみ出た部分を除いた任意の部分(本明細書においては、バンパー芯材有効部分とも言う。)から該芯材左右方向の長さ17cm、高さh:バンパー芯材上下方向のレインフォースメント前面と対向する部分の高さ(レインフォースメント前面の高さ)、厚みt:バンパー芯材前後方向の全厚みの試験片をできるだけ多く採取するものとする。尚、この該芯材左右方向の長さ17cmが、前記試験片1の長さ:dに相当する。
【0022】
上記の各試験片について70%以上の圧縮歪が生ずる(パイプにより試験片が圧縮前の試験片上面から0.7t以上圧縮された状態)まで圧縮試験を行い、各試験片についての圧縮曲線から20%歪時圧縮荷重(F20)、40%歪時圧縮荷重(F40)、60%歪時圧縮荷重(F60)を読み取り、それらの平均値を芯材の20%歪時圧縮荷重(F20)、40%歪時圧縮荷重(F40)、60%歪時圧縮荷重(F60)とし、更に平均値として求められたこれらの値から比F20/F40、比F60/F40を算出するものとする。
【0023】
本明細書において、前記肉盗み部分15とは、例えば図3に示すように、バンパー芯材10の内部に形成された空間、即ち空気が存在するだけの部分をいう。かかる肉盗み部分15が形成されていることにより、本発明のバンパー芯材10が前後方向に圧縮されると、脚部12が最初に撓み、座屈し始める。バンパー芯材10が更に圧縮されると、脚部12は更に座屈或いは割れを生じ、上記空間が座屈或いは割れた脚部12で埋まるように変形され続ける。このように、脚部12が座屈或いは割れている間は、圧縮荷重は大きく上昇することがないので、前記圧縮曲線において圧縮歪の変化に対して圧縮荷重が殆ど変化しないフラット部が現れる。
【0024】
従って、脚部12の強度を大きくすれば前記40%歪時圧縮荷重(F40)も大きくなるので、脚部12の強度に応じて、前記40%歪時圧縮荷重(F40)等を調整することができ、前記肉盗み部分15の容積を調整することと、脚部の曲げに対する強さを調整することにより、前記圧縮曲線のフラット部分の圧縮荷重及び歪量を調整することができる。このように構成されているバンパー芯材を用いたバンパーを装着した自動車は、被衝突物と衝突した場合であっても、被衝突物に大きな衝撃力を与えることなく衝突のエネルギーを吸収することができる。
【0025】
更に本発明のバンパー芯材においては、前述したように二本の脚部と前面部からなる2つ以上のコの字部分どうしが、該芯材前後方向においてコの字部分の最前面よりも後方の位置にて連結部分により連結されている。図3に示す態様では、二本の脚部12a、12bと前面部13からなる2つのコの字部分11a、11bが、連結部分14により、該芯材前後方向においてコの字部分の最前面から最も後方の位置にて連結されている。前述の通り前面部に複数の脚部が形成された部材によりバンパー芯材が形成されていると、バンパー芯材前面から、ある強さ以上の衝撃が加わると脚部が座屈或いは割れを生じ、図3にて示す肉盗み部分15に相当する空間を埋めつつ衝撃エネルギーを吸収することにより、歪に対して略一定の圧縮荷重を示し、圧縮曲線が略矩形状の曲線を示すものとなる。しかしながら、まれに、複数の脚部の座屈或いは破壊が一気に起ってしまような場合には該略矩形状の曲線において圧縮曲線に図1中の曲線a′(破線)で示すような凹状の陥没部が現れる場合がある。そこで、本発明のように連結部分14がコの字部分の最前面よりも後方の位置にて設けられていると、脚部の座屈或いは割れが一気に起こりづらくなり、前記空間が座屈或いは割れが生じた脚部12で埋め尽くされるまで歪に対して略一定した圧縮荷重を示し続ける。その結果、前述したように、おおよそ歪20〜60%の範囲において、図1中の曲線aで示すような圧縮荷重が殆ど一定の値を示すフラット部が圧縮曲線に現れ、該フラット部で圧縮荷重が大きく低下し、圧縮曲線上に凹状の陥没部が現れるということがない。例えば、脚部12の曲げ強さを高めた場合にはバンパー芯材の初期の圧縮荷重は増大するが、その後該脚部が座屈或いは割れを起こす歪量が圧縮曲線上にて低い歪量側に移動する傾向にあり、その結果60%歪時圧縮荷重(F60)の低下が起こることがある。従って、バンパー芯材脚部の上記座屈或いは割れを起こす歪量を圧縮曲線上にて高い歪量側に移動する働きをするのが連結部分14の役割である。
【0026】
従って、コの字部分11の脚部12どうしがバンパー芯材の最前面(即ち、複数のコの字部分の内、該芯材前後方向において最も前方に位置するコの字部分の前面部13の前面。)よりも後方の位置にて連結部分14で略該芯材上下方向に連結されていると、圧縮曲線において、図1の曲線a′にて示すような凹状の陥没部の発生が起こり難くなるので、フラット部において確実に衝撃エネルギーを吸収することができる。かかる観点からは、連結部分14は、バンパー芯材10の前後方向において、バンパー芯材10の最前面から、該芯材前後方向の最大長さ(L)(図7参照)の1/3以上後方の位置に形成されていることが好ましく、バンパー芯材10の最前面から、該芯材前後方向の最大長さ(L)の1/2以上後方の位置に形成されていることがより好ましく、バンパー芯材10の最前面から、該芯材前後方向の最大長さ(L)の3/4以上後方の位置に形成されていること、特にバンパー芯材10の最前面から最も後方の位置に形成されていることが更に好ましい。尚、本明細書においてバンパー芯材の最前面から、該芯材前後方向の最大長さ(L)の何々以上後方の位置とは、図7に(l)として示すように該芯材前後方向において最前面から連結部分までの最短長さによって定まる位置である。また、本明細書においてバンパー芯材の最前面から、最も後方の位置に連結部分が設けられているバンパー芯材とは、図7の(b)、(e)、(f)に示されるバンパー芯材のように、バンパー芯材の該芯材前後方向において最後方の位置に連結部分のコの字部分との連結する両端が存在するものを指す(図7(j)のようなバンパー芯材は含まれない)。
【0027】
また、複数のコの字部分の脚部を略該芯材上下方向に接続している連結部分14は、バンパー芯材左右方向の全体に亘って設けられていることが最も好ましいが、バンパー芯材左右方向に不連続的に設けられていてもよい。具体的には、連結部分の左右方向長さ(連結部分がバンパー芯材左右方向に不連続的に設けられている場合は各連結部分の左右方向長さの合計長さ)がバンパー芯材左右方向の全体長さの60〜100%の範囲で設けられていることが好ましい。また、連結部分14の形状は、製造が容易であることから平板状であることが好ましい。平板状の連結部分14のバンパー芯材上下方向の最大長さは、10〜100mmが好ましく、20〜60mmがより好ましく、20〜40mmが更に好ましい。連結部分14のバンパー芯材前後方向の最大厚さは、4〜30mmが好ましく、5〜20mmがより好ましく、5〜15mmが更に好ましい。但し、本発明は連結部分を平板状に限定するものではない。また、該連結部分は図7(h)に示すように該芯材前後方向に複数段設けることもできる。但し、図7(h)のように連結部分を複数段設けた場合には、該連結部分の左右方向の長さは正面視により隙間部分を除いたバンパー芯材左右方向の長さとして求められる。尚、本明細書においてコの字部分どうしが略該芯材上下方向に結合されておりとは、前述の通り図7(a)〜(j)の態様のように、コの字部分どうしが該芯材上下方向に一致して結合されている態様は勿論のこと図7(j)のようにコの字部分どうしが該芯材上下方向から多少ずれて結合されている態様であっても良いことを意味する。
【0028】
本発明においては、バンパー芯材の真の体積VT(cm)と上記肉盗み部分15の容積VV(cm)との関係が、下記(1)式を満足することが好ましい。
【数3】
0.20≦VT/(VT+VV)≦0.50 (1)
【0029】
上記VT/(VT+VV)が0.20未満の場合は、肉盗み部分15の容積VVが大きすぎることを意味し、脚部12の厚さTが薄すぎる態様と、脚部12の長さHが長すぎる態様がある。脚部12の厚さが薄すぎる場合や、脚部12の長さが長すぎる場合は、脚部がバンパー芯材の圧縮時に勢いよく折れて飛び散る虞があり、例えば40〜60%の低歪時の圧縮荷重が極端に低下する虞もある。また、衝撃エネルギーの吸収が不十分となり圧縮曲線において圧縮荷重が十分な歪量(例えば70%歪以降)に到達する前に急激に立ち上がってしまう虞もある。
【0030】
上記VT/(VT+VV)が0.50を超える場合は、肉盗み部分15の容積VVが小さすぎることを意味し、脚部12の厚さTが厚すぎる態様と、脚部12の長さHが短すぎる態様がある。脚部12の厚さが厚すぎる場合や、脚部12の長さが短すぎる場合は、図1の曲線bに示すような圧縮曲線を示すものとなり、全衝撃エネルギーを吸収する前に、圧縮荷重が大きな値を示し被衝突物に大きな衝撃力が加わってしまう虞がある。かかる観点から、VT/(VT+VV)は0.25〜0.45であることが更に好ましい。
【0031】
尚、バンパー芯材10の真の体積VTは寸法から算出してもよければ、浸漬法によって求めてもよい。肉盗み部分15の容積VVは寸法から算出してもよければ、寸法から算出した(VT+VV)の体積に相当する体積から浸漬法によって求めた真の体積VTを引き算することによって求めてもよい。但し、本明細書においてバンパー芯材のVT及びVVを求める対象部分は、バンパー芯材を自動車に装着した場合のレインフォースメントから上下にはみ出した部分やウインカーやライトを取り付ける特殊な形状の部分は除き、正面から見たレインフォースメントの形状と重なっている部分のみ、即ち、前記のバンパー芯材有効部分について求めるものとする。具体的には図5において、バンパー芯材有効部分10a(図5中の二重斜線部分)のみに基づいてバンパー芯材の真の体積VTを求め、レインフォースメント19から上下にはみ出したバンパー芯材のはみ出し部分10bは除くものとする。尚、図5は本発明のバンパー芯材を用いたバンパーが、レインフォースメント19に取り付けられた一例を示す、バンパー芯材左右方向に対する垂直断面図である。尚、図5において、16はバンパーの表皮を、18はバンパー芯材有効部分10aとはみ出し部分10bの境界線(レインフォースメントの前面上下端部より水平方向にのびる境界線)をそれぞれ示す。
【0032】
又、肉盗み部分15の容積VVは、バンパー芯材有効部分が仮想的に被覆材(図5中にて二点鎖線22にて示す。)で覆われているとした場合に、該被覆材の内部に存在する空間の容積に相当する。
【0033】
次に、前記(1)式を満足するようなバンパー芯材の好ましい形態について具体的に説明する。
本発明のバンパー芯材においては、図3に示すように、少なくとも4つの脚部12がバンパー芯材左右方向に亘って形成されている。このように脚部12が形成されていると、バンパーのどの部分であっても加えられた衝撃を均一に吸収することができる。
【0034】
また、本発明においては、脚部12のバンパー芯材前後方向に対応する方向の長さH(mm)と、脚部12のバンパー芯材上下方向に対応する方向の厚さT(mm)との比H/Tが2〜10であることが好ましく、3〜8がより好ましく、3〜6が更に好ましい。該比H/Tが2未満の場合は、脚部12の厚さTが厚すぎるか、又は脚部12の長さHが短すぎることを意味する。脚部12の厚さTが厚すぎる場合や、脚部12の長さHが短すぎる場合は、図1の曲線bに示すような圧縮曲線を示すものとなり、全衝撃エネルギーを吸収する前に、圧縮荷重が大きく立上り被衝突物に大きな衝撃力が加わる虞がある。
【0035】
一方、比H/Tが10を超える場合は、脚部12の厚さTが薄すぎるか、又は脚部12の長さHが長すぎることを意味する。脚部12の厚さTが薄すぎる場合や、脚部12の長さHが長すぎる場合は、脚部がバンパー芯材圧縮時に勢いよく折れて飛び散る虞があり、例えば40〜60%の低歪時の圧縮荷重が極端に低下する虞もある。また、衝撃エネルギーの吸収が不十分となり圧縮曲線において圧縮荷重が十分な歪量(例えば70%歪以降)に到達する前に急激に立ち上がってしまう虞もある。
【0036】
本発明において、更に該脚部は、上記比H/Tの関係を満足し、且つ、脚部の長さHは20〜100mmであることが好ましく、特に25〜70mmであることが好ましい。
【0037】
尚、図4に示す通り、上記脚部12の長さHは、バンパー芯材有効部分における脚部12の根元21から最後部までのバンパー芯材前後方向の最大長さであり、上記脚部12の厚さT(mm)はバンパー芯材有効部分におけるバンパー芯材左右方向に対する垂直断面の脚部の断面積S(mm)(図4中二重斜線部にて示される部分の面積)を前記脚部の長さH(mm)にて割り算することにより求められる値(T=S/H)である。また、脚部の長さH及び/又は厚さTが、バンパー芯材左右方向に対する任意の垂直断面を比較した際に変化している部分が存在する場合は、バンパー芯材有効部分の該芯材左右方向の長さの60%以上において上記H/Tの関係を満足していることが好ましい。
尚、図4は図3(b)の一点鎖線で囲まれた部分の拡大図である。
【0038】
本発明においては、上記H/Tの構成に加えて、バンパー芯材の脚部を構成する発泡体の曲げ荷重が35〜400N、更に35〜200N、特に70〜200Nであることが好ましい。該曲げ荷重が35N未満の場合は、前記圧縮試験において、圧縮荷重が早期に立ち上がらず、各歪量に対する圧縮荷重が低すぎる値を示す虞がある。一方、曲げ荷重が400Nを超える場合は、40%歪時圧縮荷重(F40)が大きくなりすぎる虞がある。
【0039】
尚、脚部12を構成する発泡体の曲げ荷重を測定する場合は、バンパー芯材有効部分の脚部、或いは、該脚部を構成する発泡体と同様の発泡体から長さ120mm、幅25mm、高さ20mmの試験片を採取して、JIS K 7221(1984)の測定方法および測定条件に従って測定した3点曲げ試験の最大曲げ荷重を該曲げ荷重とする。
【0040】
一方、本発明においては、単に、脚部12そのものの曲げ荷重が20〜150N、更に25〜75N、特に30〜70Nであることが好ましい。該曲げ荷重が20N未満の場合は、前記圧縮試験において、圧縮荷重が早期に立ち上がらず、前記比F20/F40が0.75未満になる虞がある。一方、曲げ荷重が150Nを超える場合は、40%歪時圧縮荷重(F40)が大きくなりすぎる虞がある。
【0041】
尚、脚部12そのものについての曲げ荷重を測定する場合は、バンパー芯材有効部分の脚部の根元21から脚部をバンパー芯材左右方向に120mmの長さで切断したもの(尚、連結部分も取り除く。)を試験片として、JIS K 7221(1984)の測定方法および測定条件に従って測定した最大曲げ荷重を該曲げ荷重とする。ただし、試験片は、試験片の長さを上記試験片の該左右方向の120mmの長さとしJIS K 7221(1984)に従って3点曲げ試験を行うこととする。尚、テーパーを有する脚部であっても支持台に載せて同様に測定する。
【0042】
また、上記した脚部のH/L比、脚部を構成する発泡体の曲げ荷重および脚部そのものについての曲げ荷重についての好ましい各々の構成は、本発明のバンパー芯材を構成する複数の脚部の内、少なくとも4本の脚部において該構成を満足していることが好ましく、特に全ての脚部において該構成を満足していることが好ましい。
【0043】
本発明のバンパー芯材は、密度0.06〜0.20g/cmであり、初期の圧縮歪を加えた段階において圧縮荷重の立上りが大きく、より矩形に近い圧縮曲線が得られることから、該バンパー芯材は、密度が0.07〜0.19g/cm、更に0.09〜0.15g/cmのポリプロピレン系樹脂発泡体からなることが好ましい。該密度が小さすぎる場合は、前記圧縮曲線にフラット部分は発現するものの、該フラット部分だけでは目的とするエネルギー吸収量を得ることができない虞があり、該密度が大きすぎる場合は、40%歪時圧縮荷重(F40)が大きくなりすぎる虞がある。
【0044】
本明細書においてバンパー芯材の密度は、試験片の重量を、該試験片を水没させることにより、水位上昇分から求められる体積(浸漬法により求められる体積)にて割り算することにより求めることができる。尚、バンパー芯材の密度が部分的に異なるものの場合には、該バンパー芯材の全体の重量を全体の体積にて割り算することにより求められる密度をバンパー芯材の密度とする。
【0045】
本発明において、前記ポリプロピレン系樹脂発泡体を構成するポリプロピレン系樹脂としては、例えばプロピレン−ブテンランダムコポリマー、プロピレン−ブテンブロックコポリマー、プロピレン−エチレンブロックコポリマー、プロピレン−エチレンランダムコポリマー、プロピレン−エチレン−ブテンランダムターポリマー、ホモポリプロピレンなどのポリプロピレン系樹脂などが挙げられる。
【0046】
本発明においては、前記ポリプロピレン系樹脂の中でも、剛性に優れるという点でプロピレン成分を30重量%以上、更に50重量%以上、特に80重量%以上含むものが好ましい。また、特に剛性に優れると共にそれに伴う軽量化、コンパクト化も可能なバンパー芯材を得ることができるという点で引張弾性率が1200MPa以上、更に1350MPa以上、特に1500MPa以上のポリプロピレン系樹脂が最も好ましい。尚、該引張弾性率の上限は概ね3000MPaである。
【0047】
上記引張弾性率が1200MPa以上の高剛性のポリプロピレン系樹脂としては、プロピレンの単独重合体が概ねそのような高剛性を示し、プロピレンと他のコモノマーとの共重合体であっても、そのコモノマー成分含有割合が極端に少ないものはそのような高剛性を示す傾向にある。
【0048】
尚、上記ポリプロピレン系樹脂の引張弾性率は、JIS K 7161(1994)に従って以下の条件にて測定して求められた値である。
試験片 JIS K 7162(1994)記載の試験片1A形(射出成形で直接成形)
試験速度 1mm/分
【0049】
又、本発明においては、ポリプロピレン系樹脂発泡体を構成する上記ポリプロピレン系樹脂に本発明の目的、効果が達成できる範囲内において、その他の重合体を混合することができる。その他の重合体の混合割合は、好ましくはポリプロピレン系樹脂100重量部に対してその他の重合体を30重量部以下である。尚、該その他の重合体としは、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、オレフィン系ゴム等が挙げられる。
【0050】
又、本発明のバンパー芯材はこれらのポリプロピレン系樹脂を用いて形成されたポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体であることが好ましい。かかるポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体は、本発明の特殊形状のバンパー芯材を金型を用いた型内成形による一体成型物として得ることができる。尚、該ポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体は、従来公知の方法により発泡粒子を製造し、該発泡粒子を用いて従来公知の型内成形方法等により製造することができる。
【0051】
【実施例】
次に、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明する。
【0052】
実施例1
引張弾性率1440MPaのプロピレン単独重合体を使用して、見掛け密度0.16g/cmのポリプロピレン系樹脂発泡粒子を製造し、該発泡粒子を金型に充填してスチーム加熱成形する型内成形により、前面部と二本の脚部とからなる2つのコの字部分と、連結部分とからなり、該芯材左右方向に亘ってコの字部分の該芯材左右方向に対する垂直断面形状が該芯材前後方向において後方に開口するコの字形状であり、該連結部分により該芯材前後方向においてバンパー芯材の最前面から、最も後方の位置に形成されて一方のコの字部分の脚部と他方のコの字部分の脚部とが連結されることにより、該コの字部分どうしが該芯材上下方向に結合されてたポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体製のフロントバンパー芯材を一体成形した(図6(a)参照)。尚、該バンパー芯材は該芯材前後方向の最大厚みが38mmのものであり、コの字部分の脚部は、長さH:32mm、厚さT:9mmでバンパー芯材左右方向に対する垂直断面形状が長方形であった。また、連結部分はバンパー芯材左右方向全体に亘って表1に示す寸法の平板状に形成した。該バンパー芯材の寸法、密度などを表1に示した。尚、発泡粒子の見掛け密度とは、発泡粒子群を水の入ったメスシリンダーに金網を使用して沈めることにより、該発泡粒子の排除体積に相当する水の水位上昇分から求められる該発泡粒子群の体積にて、該発泡粒子群の重量を割り算することにより求められる密度である。
【0053】
該バンパー芯材のバンパー芯材有効部分から、長さd:バンパー芯材左右方向長さ170mm、高さh:バンパー芯材上下方向の長さ100mm、厚みt:バンパー芯材前後方向の厚み38mmの試験片を切り出し、直径70mmのパイプによる圧縮試験を行ない、20%歪時圧縮荷重(F20)、40%歪時圧縮荷重(F40)、60%歪時圧縮荷重(F60)、比F20/F40、比F60/F40を測定した結果を表1に示す。また、VT/(VT+VV)、脚部を構成する発泡体と同様の発泡体の曲げ荷重、脚部そのもの曲げ荷重等を測定した結果も表1に示す。
【0054】
実施例2
連結部分の位置を、バンパー芯材前後方向においてコの字部分の最前面から、該芯材前後方向の最大長さの3/4後方の位置に形成したこと以外は実施例1と同様にしてフロントバンパー芯材を得た(図6(b)参照)。
該バンパー芯材について、実施例1と同様に各種物性を測定した結果を表1に示す。
【0055】
比較例1
引張弾性率1120MPaのプロピレン−エチレンランダム共重合体を使用して、見掛け密度0.16g/cmのポリプロピレン系樹脂発泡粒子を製造し、該発泡粒子を金型に充填してスチーム加熱成形することにより、前面部の後面側に脚部がバンパーの左右方向に亘って平行に略等間隔で4本形成されている、表1に示す密度のポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体からなるバンパー芯材を一体成形した(図6(c)参照)。尚、該バンパー芯材は該芯材前後方向の最大厚みが38mmのものであり、該脚部は、長さH:32mm、厚さT:9mmで、バンパー芯材左右方向に対する垂直断面形状が長方形であった。
該バンパー芯材について、実施例1と同様に各種物性を測定した結果を表1に示す。
【0056】
比較例2
引張弾性率1440MPaのプロピレン単独重合体を使用して、見掛け密度0.13g/cmのポリプロピレン系樹脂発泡粒子を製造し、該発泡粒子を金型に充填してスチーム加熱成形することにより、縦100mm、横170mm、厚み38mmのポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体を得た(図6(d)参照)。該成形体について、実施例1と同様に各種物性を測定した結果を表1に示す。尚、表1に示す圧縮荷重については、該成形体の厚み方向を試験片の上下方向とし、パイプの貫通孔の貫通方向が該成形体の縦方向となるようにして測定を行った。
比較例3
引張弾性率1440MPaのプロピレン単独重合体を使用して、見掛け密度0.14g/cmのポリプロピレン系樹脂発泡粒子を製造し、該発泡粒子を金型に充填してスチーム加熱成形することにより、前面部の後面側上下端部に脚部がバンパー芯材左右方向に亘って平行に2本形成されている表1に示す密度のポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体からなるバンパー芯材を一体成形した(図6(e)参照)。尚、該バンパー芯材は該芯材前後方向の最大厚みが38mmのものであり、該脚部は、長さH:32mm、厚さT:20mmで、バンパー芯材左右方向に対する垂直断面形状が長方形であった。
該バンパー芯材について、実施例1と同様に各種物性を測定した結果を表1に示す。
【0057】
【表1】
Figure 0004121074
【0058】
【発明の効果】
本発明のフロントバンパー芯材は、少なくとも二本の脚部と前面部からなる2つ以上のコの字部分と、連結部分とからなり、該芯材左右方向に亘ってコの字部分の該芯材左右方向に対する垂直断面形状が該芯材前後方向において後方に開口するコの字形状であり、該連結部分が該芯材前後方向においてコの字部分の最前面よりも後方の位置にて一方のコの字部分の脚部と他方のコの字部分の脚部とが連結されることにより、該コの字部分どうしを略該芯材上下方向に結合した形状の密度0.06〜0.20g/cmのポリプロピレン系樹脂発泡体からなり、且つ、特定条件の圧縮試験において、20%歪時圧縮荷重(F20)と40%歪時圧縮荷重(F40)との比F20/F40が0.75〜1.30、60%歪時圧縮荷重(F60)と40%歪時圧縮荷重(F40)との比F60/F40が0.95〜1.20なので、圧縮荷重−圧縮歪曲線が略矩形の曲線となり、該バンパー芯材が小さな体積のものであっても、車両が比較的速い速度で被衝突物と衝突した場合に被衝突物に対して大きな衝撃力を生ずることなく衝突のエネルギーを吸収できるものであり、歩行者保護性能に優れ、小型化、軽量化が可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】バンパー芯材の圧縮荷重―圧縮歪曲線の説明図である。
【図2】本発明のバンパー芯材の圧縮試験の説明図である。
【図3】(a)はバンパー芯材有効部分の裏面図、(b)はバンパー芯材有効部分の芯材左右方向に対する垂直断面図、(c)はバンパー芯材有効部分の斜視図である。
【図4】図3(b)の一点鎖線で囲まれた部分の拡大図である。
【図5】本発明のバンパー芯材を用いたバンパーが、レインフォースメントに取り付けられた一例を示す垂直断面である。
【図6】本発明の実施例および比較例におけるバンパー芯材形状の説明図である。
【図7】本発明のバンパー芯材有効部分のバンパー芯材左右方向に対する垂直断面形状の説明図である。
【符号の説明】
a、b、c 圧縮曲線
1 試験片
2 直径70mmのパイプ
3 試験片の支持台
4 圧縮装置
10 バンパー芯材
11、11a、11b コの字部分の前面部
12、12a、12b コの字部分の脚部
14 連結部分
15 肉盗み部分

Claims (8)

  1. 密度0.06〜0.20g/cmのポリプロピレン系樹脂発泡体からなるフロントバンパー芯材であって、該芯材が、少なくとも二本の脚部と前面部からなる2つ以上のコの字部分と、連結部分とからなり、該芯材左右方向に亘ってコの字部分の該芯材左右方向に対する垂直断面形状が該芯材前後方向において後方に開口するコの字形状であり、該芯材前後方向においてコの字部分の最前面よりも後方の位置にて、一方のコの字部分の脚部と他方のコの字部分の脚部とが該連結部分で連結されることにより、該コの字部分どうしが略該芯材上下方向に結合されており、該芯材の直径70mmのパイプによる圧縮試験(試験速度:500mm/分)における、20%歪時圧縮荷重(F20)と40%歪時圧縮荷重(F40)との比F20/F40が0.75〜1.30であり、60%歪時圧縮荷重(F60)と40%歪時圧縮荷重(F40)との比F60/F40が0.95〜1.20であることを特徴とするフロントバンパー芯材。
  2. 該連結部分が、該芯材前後方向においてコの字部材の最前面から、該芯材前後方向の最大長さの1/3以上後方の位置に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のフロントバンパー芯材。
  3. 該連結部分が、該芯材前後方向においてコの字部分の最前面から、最も後方の位置に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のフロントバンパー芯材。
  4. 該40%歪時圧縮荷重(F40)が、2〜6kNであることを特徴とする請求項1、2又は3に記載のフロントバンパー芯材。
  5. 該芯材の真の体積VT(cm)と肉盗み部分の容積VV(cm)との関係が、下記(1)式を満足することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のフロントバンパー芯材。
    Figure 0004121074
  6. 該コの字部分の脚部において、該芯材前後方向に対応する方向の長さH(mm)と該芯材上下方向に対応する方向の厚さT(mm)との比H/Tが2〜10であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のフロントバンパー芯材。
  7. 該コの字部分の脚部そのものの曲げ荷重が20〜150Nであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のフロントバンパー芯材。
  8. 該ポリプロピレン系樹脂発泡体が、引張弾性率1200MPa以上のポリプロピレン系樹脂からなることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のフロントバンパー芯材。
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