JP4120569B2 - レーザ装置およびそのレーザ装置の駆動方法 - Google Patents

レーザ装置およびそのレーザ装置の駆動方法 Download PDF

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Description

本発明はレーザ装置およびそのレーザ装置の駆動方法に関するもので、特に共振器中にQスイッチ素子を複数配置したレーザ装置およびその駆動方法に関するものである。
従来のQスイッチ方式のレーザ装置は、例えば特許文献1の図1に開示されたような装置構成を備えていた。特許文献1の図1に示す従来のレーザ装置のレーザ発振器では、YAG結晶とその励起源系とを含むキャビティに対して対向する位置に全反射鏡と出力鏡が共振器ミラーとして機能すべく設置されている。全反射鏡と出射鏡が構成する共振器内の光軸上で、第1A/O素子は全反射鏡側に、第2A/O素子は出力鏡側に配置されている。各々のA/O素子には高周波変調信号発生部が別個に接続されており、各々の高周波変調信号発生部はさらに共通の制御信号発生部に接続されている。なお、A/O素子とは音響光学素子を指し、Qスイッチ素子の一種である。
A/O素子は振動子と例えば石英からなり、振動子を用いて石英を高周波で振動させると、石英内に超音波が伝送されるようになっている。この超音波により石英内に屈折率の疎密が形成され、石英が回折格子としての作用を発揮する。従って、外部からの高周波変調信号によって発生した超音波が伝送されている石英内にある入射角度θで入射したレーザ光は、音響光学効果によって生じる回折作用により2θだけ光路が曲げられることとなる。一方、超音波が伝送していない石英内では、レーザ光は直進する性質を有する。かかる回折作用を利用して、全反射鏡と出射鏡間のレーザ光を共振させたり、あるいは共振を抑制することが可能となって、Qスイッチ素子としての役割を果たす。
次に、従来のレーザ装置の駆動方法を特許文献1の図2に基づき説明する。なお、特許文献1の図2中、C1とMrf1は第1A/O素子に対する制御信号と高周波変調信号を示し、C2とMrf2は第2A/O素子に対する制御信号と高周波変調信号を示している。また、n(t)は反転分布の時間変化を示し、P(t)はパルスレーザ波形、n∞は反転分布の限界値、niは反転分布の最大値、nfは反転分布の最小値、ntは反転分布のしきい値、をそれぞれ示している。
第1A/O素子において、制御信号C1が印加されていた状態からオフの状態になると、第1A/O素子は今まで印加されていた高周波変調信号Mrf1から開放される。すなわち、高周波変調信号発生部は第1A/O素子に対する高周波変調信号Mrf1の印加を停止する。かかる印加停止により、第1A/O素子の回折作用がなくなり、キャビティ内の光は第1A/O素子を透過できるようになる。
一方、制御信号発生部における所定の遅延時間Δtの経過後、第2A/O素子に対する制御信号C2をオフすると、第2A/O素子はそれまで印加されていた高周波変調信号Mrf2から開放される。すなわち、高周波変調信号発生部は第2A/O素子に対する高周波変調信号Mrf2の印加を停止する。かかる印加停止により、キャビティ内の光は第2A/O素子をも透過できるようになる。
第2A/O素子が高周波変調信号Mrf2から開放された時点から共振器損失が減少して共振器内の誘導放出が開始し、パルスレーザ光が発生する。すなわち、反転分布n(t)が減少し始めるとパルスレーザ光強度P(t)が増加し始めて反転分布のしきい値ntに達した時点でピーク強度に達して、その後パルスレーザ強度P(t)が低下する。
次に、第1A/O素子に高周波変調信号Mrf1が再び印加されて共振器損失が増大し、この結果、パルスレーザ光が消滅する。すなわち、第1A/O素子で光軸が回折することにより誘導放出が抑制されるため、YAG結晶への連続励起により反転分布n(t)が増加する。
従って、第1A/O素子と第2A/O素子とが同時に高周波変調信号から開放されている時間ΔTに応じてパルスレーザ光のパルス幅tpが決まるので、高周波変調信号Mrf1と高周波変調信号Mrf2間の遅延時間、換言すれば制御信号C1と制御信号C2間の遅延時間であるΔtを任意に変えることにより、パルスレーザ光のパルス幅tpを制御でき、パルス繰返し周波数を増加させてもパルス幅tpを一定の狭い値にすることが可能であった。
特開平11−97783号公報
上記従来のレーザ装置において例えば励起入力を増大させた場合に、パルスレーザ波形が単一のピークではなく複数のピークを有する不具合がしばしば生じた。このような2つ以上のパルスを含むパルスレーザ波形では、ピーク位置が時間的に変動するようになる。特に、パルスピーク出力が低下して時間変動するようになり、これに伴い平均出力が低下し、ひいてはレーザ加工機における加工品質の悪化をもたらす結果となった。
この発明はかかる問題点を解決するためになされたものであり、時間的に安定な単一ピークのパルス波形を保持して、パルスピーク出力の低下、ひいては平均出力の低下を抑制することで高品質なレーザ加工機を提供できるようなレーザ装置およびそのレーザ装置の駆動方法を得ることを目的とする。
本発明に係るレーザ装置の駆動方法は、共振器内に複数のQスイッチ素子が配置され上記各Qスイッチ素子に共通の制御信号発生手段で発生する上記各Qスイッチ素子に対応した制御信号に基づき各高周波変調信号発生手段で生じた各高周波変調信号を入力させて上記各Qスイッチ素子の回折作用を制御してパルス駆動せしめるレーザ装置の駆動方法であって、各Qスイッチ素子の制御信号に対する動作遅延時間を実測するステップと、いずれか一つのQスイッチ素子を基準として他の各Qスイッチ素子の動作遅延時間を解消して各Qスイッチ素子の動作を同相とすべく上記各Qスイッチ素子に対応した制御信号毎に実測された上記動作遅延時間に基づき決定された位置に、上記Qスイッチ素子の少なくとも一つに設けられた位置調整機構によって、上記各Qスイッチ素子を上記共振器の光軸と略直交する方向で、かつ、上記Qスイッチ素子の超音波の進行方向と略平行な方向に移動せしめることにより、調整時間を設定するステップと、を含んでなる。
また、本発明に係るレーザ装置は、一対の出力鏡と全反射鏡からなる共振器と、上記共振器内で光軸上に配置されたレーザ媒質と、上記共振器内の光軸上で上記レーザ媒質と上記出力鏡間および上記レーザ媒質と上記全反射鏡間にそれぞれ一つ以上配置されたQスイッチ素子と、上記Qスイッチ素子毎に設けられた位置調整機構と、上記Qスイッチ素子毎にそれぞれ高周波変調信号を入力せしめる複数の高周波変調信号発生手段と、上記各高周波変調信号発生手段に対して共通に設けられた制御信号発生手段と、を備え、上記位置調整機構による上記Qスイッチ素子の移動方向が、上記共振器の光軸と略直交する方向で、かつ、上記Qスイッチ素子の超音波の進行方向と略平行な方向であることとした。

本発明に係るレーザ装置の駆動方法では、各Qスイッチ素子の制御信号に対する動作遅延時間を予め実測して各制御信号間の時間調整を行ったので、各Qスイッチ素子が相対的に完全に同相で動作するため、時間的に安定な単一ピークのパルス波形を保持して、パルスピーク出力の低下、ひいては平均出力の低下を抑制できるようなレーザ装置の駆動が可能となる。
また、本発明に係るレーザ装置では、各Qスイッチ素子の制御信号に対する動作遅延時間に基づき位置調整機構によってQスイッチ素子の位置の微調整を行う結果、各Qスイッチ素子が相対的に完全に同相で動作するため、時間的に安定な単一ピークのパルス波形を保持して、パルスピーク出力の低下、ひいては平均出力の低下を抑制できるような高性能のレーザ装置が容易に得られる。
実施の形態1.
本発明の発明者は、先ず、上述の不具合の原因を考察した。考察の対象としたレーザ装置の構成図を図1(a)、上記レーザ装置の構成中のキャビティ部分を図1(b)にそれぞれ示す。図1中、1はキャビティ、2は全反射鏡、3は出射鏡、4は第1A/O素子(第1Qスイッチ素子)、5は第2A/O素子(第2Qスイッチ素子)、6、7は高周波変調信号発生部(高周波変調信号発生手段)、8は制御信号発生部(制御信号発生手段)、をそれぞれ表す。各構成要素の機能は従来のレーザ装置とほぼ同じである。
15は固体ロッドで、図1(a)のキャビティ1内のレーザ媒質に相当し、Nd:YAG結晶に代表されるような固体ロッドが一例として挙げられる。16〜19は例えばWalter Koechner著「Solid-State Laser Engineering」466頁に記載されたA/O素子(Qスイッチ素子)で、図1(a)の第1および第2A/O素子4,5に相当する。16は高周波変調信号Mrf1、Mrf2の出力先である超音波トランスデューサ、17は吸収体、18は石英ガラス、19は超音波の進行方向、20は発振を行なうためのガイドレーザ、21はガイドレーザ20から発するレーザ光、22はパワーメータ、23は励起源、をそれぞれ示す。
上述のレーザ装置において、例えば1キャビティ当りのラウンドトリップゲインを2.8以上という高利得下の動作で、1個当りのA/O素子で回折効率が30%以上で回折損失の立ち下がり時間が160nsec以下、1キャビティ当りに配置されるA/O素子数が2個以上、レーザ平均出力が200W以上の高出力動作、パルス繰り返し周波数が6kHz以下等の諸条件で、従来の駆動方法で動作させた場合、2つ以上のピークを有するパルスレーザ光を含むようになった。
図1のレーザ装置において、励起入力を増大させた場合での従来の駆動方法における第1A/O素子4の制御信号C1、高周波変調信号Mrf1、第2A/O素子5の制御信号C2、高周波変調信号Mrf2とレーザ出力の時間変化を図2に示す。励起入力を増大させた結果発生したレーザパルスでは、上述したように例えば2つ以上のパルスを含むパルス波形を形成し、かつ時間的に変動するようになる。特にパルスピーク出力が低下して時間変動する現象が頻発した。
かかる現象は、励起入力が高いために、キャビティ1内のいずれか一方のA/O素子に高周波変調信号が入力して回折作用が生じていても、なお、レーザ発振が生じる状態が維持されているため発生することを本発明の発明者は見出した。
かかる考察結果を鑑み、本発明の発明者は制御信号C1およびC2を同相として複数のA/O素子を完全に同期させて駆動すれば、上記問題が解決し得ることを着想した。しかしながら、実験の結果、制御信号C1およびC2を例え同相に設定したとしても、各A/O素子の回折作用を伴う動作で素子間の動作時間遅延が生じ、いずれか一方のA/O素子が動作している間にレーザ発振が生じる不具合が依然として未解決であることが判明した。
各A/O素子間における動作の時間遅延の要因について、本発明の発明者がさらに実験および考察を進めたところ、以下の知見が得られた。
上述のレーザ装置においてパワーメータ22をモニタしながらレーザ出力が最大になるように全反射鏡2および出射鏡3を調整した場合、例えば複数の励起源23が固体ロッド15に対して側面配置されていると各励起源における波長、出力、及びビーム品質のばらつき等により発振光軸14の方向における固体ロッド15内の励起分布は各励起源のばらつきを反映した非軸対称性を持つようになる。
よって、発振光軸14を励起密度の最も高い所に通す結果となり、単に固体ロッド15の中心軸にガイド光21を一致させても発振光軸14はガイド光21の光軸とは一致しない。従って、発振光軸14がA/O素子のどの場所を通るかについては発振調整を行なわないと判明せず、各A/O素子において発振光軸の通る位置はそれぞれ異なるものとなってしまうことが判った。
よって、図1(a)に示す制御信号発生部8から各A/O素子における発振光軸14までの信号到達時間差(動作遅延時間)について、高周波変調信号発生部6、7の入力制御信号C1、C2に対する出力高周波信号Mrf1、Mrf2の動作タイミングを例えゼロに時間調整したとしても、A/O素子内の超音波トランスデューサ16から実際の発振光軸14までの超音波の信号到達時間差によりレーザ光に対する回折損失の時間変化は各A/O素子間で完全には同相にならない。この様相を図3に示す。
A/O素子として石英ガラス18中において利用される音波の伝送速度は6×10mm/sec程度であり、このような場合、A/O素子4,5において発振光軸位置は例えば0.5mm程度ずれる。このため、A/O素子4,5における回折損失の時間変化は80nesc程度ずれたものとなる。また、上記レーザ装置構成では発振器におけるラウンドトリップゲインが大きいため、反転分布が発振閾値に到達してからレーザ出力がピーク値に到達するまで光の成長に要する時間、すなわち、ビルドアップタイムはA/O素子における回折損失の立ち下がり時間と同程度になり、回折損失が立ち下がり始めたすぐ後に反転分布は立ち下がり始めて、光は成長し始める。
さらに、一共振器中での共振器損失における立下りに関する微分係数は前述による理由により2つの値を持つため、反転分布の立下りには2つの変曲点が現れ、レーザ出力の時間変化は例えば2つのパルスを含むパルス波形を形成するようになる。また、図4に示すように繰り返し動作に伴いレーザ出力のパルス波形は時間的に変動する結果となる。
高周波変調信号発生部6および7における入力制御信号C1、C2に対する出力高周波変調信号Mrf1、Mrf2の動作タイミングは高周波変調信号発生部の個体差等の要因により数100nsec程度ずれることがしばしば生じる。従って、共振器損失、反転分布及びレーザ出力における時間変化は図5に示すものとなる。このように、レーザ出力の時間変化は例えば2つのパルスを含むパルス波形を形成するようになる。また、かかる動作はパルスピーク出力の低下、時間変動、平均出力の低下を招き、ひいてはレーザ加工機における加工品質の悪化をもたらす結果となるのである。
上記考察に基づき数々の実験を行った結果、発明者は本発明のレーザ装置の駆動方法、つまり2つのパルスを含まないような単一のピークを有するパルスレーザ光を維持しながらレーザ装置を安定に駆動させる方法を見出すに至った。以下に本発明のレーザ装置の駆動方法、さらに具体的には各A/O素子の素子動作上の相対的な時間遅延を調整する方法を説明する。
図6は各A/O素子における素子動作の相対的な時間遅延に対する調整方法を説明するためのレーザ装置の構成図である。図1(a)に示したレーザ装置に対して、レーザ光検出素子10と出力モニタ9が付加されている。
本発明の実施の形態1におけるレーザ装置の駆動方法では、第1A/O素子4と第2A/O素子5へのそれぞれの制御信号C1,C2を基本的に同相に設定する。ただし、上述したようにレーザ装置の構成上、例え制御信号C1,C2が同相であっても様々な要因により各A/O素子4、5は相対的には完全に同相で動作する訳ではないので、以下に説明するように個々のレーザ装置で生じる制御信号に対する各A/O素子4、5の動作タイミングのずれ(動作遅延時間)を実測した上で、実際のレーザ装置動作時に各A/O素子間の相対的な時間遅延の調整を図る。
第1ステップとして、制御信号発生部8からテスト信号であるトリガ信号を発して第1A/O素子(第1Qスイッチ素子)4に対しては高周波変調信号T1を印加する一方、第2A/O素子(第2Qスイッチ素子)5に対しては高周波変調信号T1が入力しない状態とする。この結果、出力モニタ9にはレーザ光検出素子10によって受光されたパルスレーザ光のピーク値12が現れる。図7のように、パルスレーザ光のピーク値12と制御信号発生部8から得られたトリガ信号との時間差τ1を出力モニタ9によって測定する。レーザ装置の実動作時においては、かかる時間差τ1は制御信号が発生してから高周波変調信号によって第1A/O素子4で実効的な回折作用による回折損失が生じるまでの時間差を意味し、各A/O素子や個々のレーザ装置間で異なる値となる。
第2ステップとして、制御信号発生部8からテスト信号であるトリガ信号を発して第2A/O素子5に対して高周波変調信号T2を印加する一方、第1A/O素子4に対しては高周波変調信号T2が入力されない状態とする。この結果、出力モニタ9にはレーザ光検出素子10によって受光されたパルスレーザ光のピーク値12が現れる。第1ステップと同様、パルスレーザ光のピーク値12と制御信号発生部8から得られたトリガ信号との時間差τ2を出力モニタ9によって測定する。レーザ装置の実動作時においては、かかる時間差τ2は制御信号が発生してから高周波変調信号によって第2A/O素子5で実効的な回折作用が生じるまでの時間差を意味し、各A/O素子や個々のレーザ装置間で異なる値となる。
第3ステップとして、上記第1および第2ステップで得られた時間差τ1とτ2との大小関係を判定する。
第4ステップとして、上述の時間差τ1、τ2が、τ1>τ2の関係を有する場合には制御信号C2の動作タイミングを制御信号C1に対してτ1―τ2の時間、遅延させるように設定する一方、時間差τ1、τ2が、τ1≦τ2の関係を有する場合には制御信号C1の動作タイミングを制御信号C2に対してτ2―τ1の時間、遅延させて各制御信号を発生させるように、予め実効的な各制御信号C1’,C2’を設定しておく。実効的な各制御信号C1’,C2’により各A/O素子の動作、つまり回折損失の時間変化を相対的に完全に同相とするためである。
すなわち、上記設定前の制御信号C1(t),C2(t)に対して相対的な時間遅延の調整後の実効的な制御信号C1’(t)、C2’(t)は、
(1)τ1>τ2の場合
C1’(t)=C1(t)
C2’(t)=C1(t+(τ1―τ2))
(2)τ1≦τ2の場合
C1’(t)=C2(t+(τ2―τ1))
C2’(t)=C2(t)
の関係が成立する。
上述の方法によって、複数のA/O素子の一つを基準とした場合における他のA/O素子の動作上の相対的な時間遅延を基準となるA/O素子に対する動作タイミングのずれとして、例えば制御信号C1に対して制御信号C2で相対的な時間遅延を解消するように予め設定すれば、各A/O素子における素子動作、つまり回折損失の時間変化を同相で揃えることが可能となる。
上述の方法によって調整されたレーザ装置における各A/O素子4,5の実効的な制御信号C1’,C2’に基づき各A/O素子を動作させた場合の回折損失の時間変化を図8に示す。図から分かるように、各A/O素子の回折損失の時間変化について元々両者間に存在した相対的な時間遅延がゼロになるように調整された結果、ほぼ完全に同相となって動作タイミングのずれが無くなる。
上記制御信号C1’,C2’に基づきレーザ装置を駆動すると、共振器中における共振器損失、反転分布及びレーザ出力の時間変化は図9に示すようになる。つまり、第1A/O素子4と第2A/O素子5の相対的な動作タイミングのずれが無くなるので、一方のA/O素子のみが先行的に動作するような過渡的な状態が無くなるため、単一のピークを有するパルスレーザ光のみが発生する。この結果、時間的に安定なシングルパルスを取り出すことが可能となり、またパルスピーク出力の低下、平均出力の低下を抑制することが可能となり、ひいては高品質なレーザ加工を実現することが可能となる。
実施の形態2.
実施の形態1のレーザ装置の駆動方法では、制御信号C1、C2間の時間調整を図るものであったが、実施の形態2のレーザ装置では、レーザ装置の構成上の工夫により各A/O素子間の相対的な時間遅延を解消することを特徴とする。図10は、実施の形態2のレーザ装置の主要部の構成を示す図である。図中、24はA/O素子を発振光軸14の方向に対してほぼ直交する方向に移動する際の移動量を微調整する位置調整機構であり、25は位置調整機構24によるA/O素子の移動方向をそれぞれ表す。
実施の形態1で述べた時間差τ1、τ2が、τ1>τ2の関係を有する場合には、石英ガラス18中における音波の伝送速度をVpとして、第1A/O素子4を位置調整機構24により、
X=Vp×(τ1−τ2)
の移動量で矢印25の向き(発振光軸側)に移動させる。また、τ2>τ1の関係を有する場合には、第2A/O素子5を位置調整機構24により、
X=Vp×(τ2−τ1)
の移動量で矢印25の向き(発振光軸側)に移動させる。
上述の方法によって、例えば第1A/O素子4に対する第2A/O素子5の相対的な時間遅延を解消するように、位置調整機構24により矢印25の方向に第2A/O素子5を上式によって設定された距離だけ平行移動すれば、各A/O素子間における素子動作タイミング、つまり回折損失の時間変化を同相で揃えることが可能となる。
上述の方法によって調整されたレーザ装置における各A/O素子を動作させた場合の回折損失の時間変化は図8と同様のものになる。実施の形態1と同様、各A/O素子の回折損失の時間変化は元々両者間に存在した相対的な時間遅延がゼロになるように調整された結果、ほぼ完全に同相となって動作タイミングのずれが無くなる。
上述の方法に基づき調整されたレーザ装置を駆動すると、共振器中における共振器損失、反転分布及びレーザ出力の時間変化は図9に示すようになる。実施の形態1と同様、第1A/O素子4と第2A/O素子5間の動作タイミングのずれが解消されるので、一方のA/O素子のみが先行的に動作するような過渡的な状態が無くなるため、単一のピークを有するパルスレーザ光のみが発生する。この結果、時間的に安定なシングルパルスを取り出すことが可能となり、またパルスピーク出力の低下、平均出力の低下を抑制することが可能となって、ひいては高品質なレーザ加工を実現することが可能となる。
上記各実施の形態におけるレーザ装置およびその駆動方法では、レーザ媒質と出力鏡間およびレーザ媒質と全反射鏡間にそれぞれ一つずつのQスイッチ素子を配置する構成を一例として説明したが、これに限るものではなく、二つ以上のQスイッチ素子を配置しても良く、また、レーザ媒質と出力鏡間あるいはレーザ媒質と全反射鏡間のどちらかに二つ以上のQスイッチ素子を配置してもよい。
なお、上述の各実施の形態におけるレーザ装置およびその駆動方法では、上述のA/O素子に限らず電気光学的効果を用いたQスイッチ素子あるいは機械的機構を用いたQスイッチ素子も適用可能であることは言うまでもない。また、レーザ媒質が固体媒質のみならず、液体、気体媒質に対しても適用可能であることは言うまでもない。
(a)はレーザ装置の構成であり、(b)はレーザ装置中でキャビティ部分の構成を示した図である。 実施の形態1における動作説明図である。 実施の形態1における動作説明図である。 実施の形態1における動作説明図である。 実施の形態1における動作説明図である。 実施の形態1におけるレーザ装置の構成図である。 実施の形態1における動作説明図である。 実施の形態1における動作説明図である。 実施の形態1における動作説明図である。 実施の形態2におけるレーザ装置の構成図である。
符号の説明
1 キャビティ、 2 全反射鏡、 3 出射鏡、 4 第1A/O素子、 5 第2A/O素子、 6 高周波変調信号発生部、 7 高周波変調信号発生部、 8 制御信号発生部、 9 出力モニタ、 10 レーザ光検出素子、 11 トリガ信号、 12 ピーク値、 14 発振光軸、 15 固体ロッド、 16 超音波トランスデューサ、 17 吸収体、 18 石英ガラス、 19 超音波の進行方向、 20 ガイドレーザ、 21 ガイド光、 22 パワーメータ、 23 励起源、 24 位置調整機構、 25 A/O素子の移動方向。

Claims (9)

  1. 共振器内に複数のQスイッチ素子が配置され前記各Qスイッチ素子に共通の制御信号発生手段で発生する前記各Qスイッチ素子に対応した制御信号に基づき各高周波変調信号発生手段で生じた各高周波変調信号を入力させて前記各Qスイッチ素子の回折作用を制御してパルス駆動せしめるレーザ装置の駆動方法であって、
    前記各Qスイッチ素子の前記制御信号に対する動作遅延時間を実測するステップと、
    いずれか一つのQスイッチ素子を基準として他の各Qスイッチ素子の動作遅延時間を解消して各Qスイッチ素子の動作を同相とすべく前記各Qスイッチ素子に対応した制御信号毎に実測された前記動作遅延時間に基づき決定された位置に、前記Qスイッチ素子の少なくとも一つに設けられた位置調整機構によって、前記各Qスイッチ素子を前記共振器の光軸と略直交する方向で、かつ、前記Qスイッチ素子の超音波の進行方向と略平行な方向に移動せしめることにより、調整時間を設定するステップと、
    を含んでなるレーザ装置の駆動方法。
  2. 共振器内に複数のQスイッチ素子が配置され前記各Qスイッチ素子に共通の制御信号発生手段で発生する前記各Qスイッチ素子に対応した制御信号に基づき各高周波変調信号発生手段で生じた各高周波変調信号を入力させて前記各Qスイッチ素子の回折作用を制御してパルス駆動せしめるレーザ装置の駆動方法であって、
    前記制御信号発生手段からのトリガ信号によって前記高周波変調信号発生手段で発生した高周波変調信号T1を第1Qスイッチ素子に印加して回折作用を生ぜしめる一方、第2Qスイッチ素子には前記高周波変調信号T1を入力しない状態として前記レーザ装置から出射されたパルスレーザ光をレーザ光検出素子によって受光して、トリガ信号発生時とパルスレーザ光受光時間の時間差τ1を測定するステップと、
    前記制御信号発生手段からのトリガ信号によって前記高周波変調信号発生手段で発生した高周波変調信号T2を前記第2Qスイッチ素子に印加して回折作用を生ぜしめる一方、前記第1Qスイッチ素子には前記高周波変調信号T2を入力しない状態として前記レーザ装置から出射されたパルスレーザ光を前記レーザ光検出素子によって受光して、トリガ信号発生時とパルスレーザ光受光時間の時間差τ2を測定するステップと、
    前記時間差τ1とτ2との大小を判定するステップと、
    前記時間差τ1、τ2がτ1>τ2の関係を有する場合には第2Qスイッチ素子に入力される制御信号C2の動作タイミングを第1Qスイッチ素子に入力される制御信号C1に対してτ1―τ2の時間、遅延させる一方、前記時間差τ1、τ2がτ1≦τ2の関係を有する場合には前記制御信号C1の動作タイミングを前記制御信号C2に対してτ2―τ1の時間、遅延させるように各制御信号C1,C2を、前記Qスイッチ素子の少なくとも一つに設けられた位置調整機構によって、前記各Qスイッチ素子を前記共振器の光軸と略直交する方向で、かつ、前記Qスイッチ素子の超音波の進行方向と略平行な方向に移動せしめることにより、時間調整するステップと、
    を含んでなるレーザ装置の駆動方法。
  3. 前記Qスイッチ素子が、音響光学素子で構成されていることを特徴とする請求項1または2記載のレーザ装置の駆動方法。
  4. 前記Qスイッチ素子が、電気光学素子あるいは機械的機構による素子で構成されていることを特徴とする請求項1または2記載のレーザ装置の駆動方法。
  5. 前記レーザ装置のレーザ発振器におけるレーザ媒質が、固体媒質であることを特徴する請求項1または2記載のレーザ装置の駆動方法。
  6. 一対の出力鏡と全反射鏡からなる共振器と、
    前記共振器内で光軸上に配置されたレーザ媒質と、
    前記共振器内の光軸上に配置された複数のQスイッチ素子と、
    前記Qスイッチ素子の少なくとも一つに設けられた位置調整機構と、
    前記Qスイッチ素子毎にそれぞれ高周波変調信号を入力せしめる複数の高周波変調信号発生手段と、
    前記各高周波変調信号発生手段に対して共通に設けられた制御信号発生手段と、
    を備え、
    前記位置調整機構による前記Qスイッチ素子の移動方向が、前記共振器の光軸と略直交する方向で、かつ、前記Qスイッチ素子の超音波の進行方向と略平行な方向であることを特徴とするレーザ装置。
  7. 前記位置調整機構によって、前記各Qスイッチ素子の動作遅延時間に基づいて決定された位置に前記各Qスイッチ素子が設置されたことを特徴とする請求項6記載のレーザ装置。
  8. 前記制御信号発生手段からのトリガ信号によって前記高周波変調信号発生手段で発生した高周波変調信号を一つのQスイッチ素子に印加して回折作用を生ぜしめる一方、他のQスイッチ素子には前記高周波変調信号を入力しない状態として前記レーザ装置から出射されたパルスレーザ光をレーザ光検出素子により受光して、トリガ信号発生時とパルスレーザ光受光時間との時間差を測定する方法を各Qスイッチ素子毎に適用して得られた動作遅延時間に基づいて決定された位置に、前記位置調整機構によって前記各Qスイッチ素子が設置されたことを特徴とする請求項6記載のレーザ装置。
  9. 前記各Qスイッチ素子が前記全反射鏡と前記レーザ媒質間に設置された第1A/O素子および前記出力鏡と前記レーザ媒質間に設置された第2A/O素子からなり、
    前記制御信号発生手段からのトリガ信号によって前記高周波変調信号発生手段で発生した高周波変調信号T1を第1Qスイッチ素子に印加して回折作用を生ぜしめる一方、第2Qスイッチ素子には前記高周波変調信号T1を入力しない状態として前記レーザ装置から出射されたパルスレーザ光をレーザ光検出素子によって受光することにより測定されたトリガ信号発生時とパルスレーザ光受光時間の時間差τ1と、
    前記制御信号発生手段からのトリガ信号によって前記高周波変調信号発生手段で発生した高周波変調信号T2を前記第2Qスイッチ素子に印加して回折作用を生ぜしめる一方、前記第1Qスイッチ素子には前記高周波変調信号T2を入力しない状態として前記レーザ装置から出射されたパルスレーザ光を前記レーザ光検出素子によって受光することにより測定されたトリガ信号発生時とパルスレーザ光受光時間の時間差τ2、として得られた動作遅延時間に基づいて決定された位置に、前記位置調整機構によって前記各Qスイッチ素子が設置されたことを特徴とする請求項6記載のレーザ装置。
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