JP4120362B2 - 有機太陽電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機電子供与体と化合物半導体結晶とを含有する活性層を電極間に設けた有機太陽電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在実用化されている太陽電池の大部分は、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコンを用いた無機太陽電池である。しかし、これらの無機シリコン系太陽電池はその製造プロセスが複雑でコストが高いといった欠点を有しているため一般家庭に広く普及するには至っていない。
【0003】
このような無機太陽電池の欠点を解消するために、簡単なプロセスで低コスト・大面積化が可能な有機材料を用いた有機太陽電池の研究が盛んになってきている。
【0004】
しかしこれらの有機太陽電池では、有機材料を用いていることから、シリコン等の無機材料とは異なり、光励起により生成した正孔−電子対の解離度や電極までキャリアを運ぶ際の移動度が低いという問題があった。
【0005】
そこで近年、電子供与体である導電性高分子と、電子受容体である化合物半導体の球状ナノ結晶を混合した活性層を含む有機太陽電池が注目されている。これは導電性高分子に、より電子移動度の高い化合物半導体を混合させることで、キャリア移動度を改善した有機太陽電池である。またこの有機太陽電池では、生成した電子と正孔の分離が導電性高分子−化合物半導体間で起こるため、キャリアの再結合による失活を抑制できる。その上、化合物半導体のナノ結晶を用いることにより、導電性高分子との界面の面積が増加して、電子−正孔解離確率が増加するものである。
【0006】
このタイプの太陽電池として、ロッド状ナノ結晶を用いたものが作製されている。例えば、ITO電極上に正孔輸送剤であるPEDOT−PSSをスピンキャスト法により成膜し、その上に同じくスピンキャスト法により、ピリジン−クロロホルム混合溶媒に分散させたP3HTとCdSeナノロッド(7nm×60nm)を成膜し、さらにAlを真空蒸着により積層して太陽電池セルを作製している。これにより、AM1.5光照射で、短絡電流5.7mA/cm2、開放電圧0.7V、変換効率1.7%が得られている(非特許文献1参照)。
【0007】
このように導電性高分子と化合物半導体ナノ粒子(ナノ結晶)を混合した活性層を含む有機太陽電池は、一般家庭に普及しうる太陽電池として非常に有望なものである。
【0008】
【非特許文献1】
Wendy U.Huynh,Janke J.Dittmer,A.paul Alivisatos、「Hybrid Nanorod-Polymer Solar Cells」、SCIENCE、AMERICAN ASSOCIATION FOR THE ADVANCEMENT OF SCIENCE、2002年3月29日、第295巻、第5564号、p2425−2427
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のような有機電子供与体と化合物半導体結晶とを含有する活性層を含む太陽電池であっても、その変換効率はシリコン系太陽電池に比べてかなり低く、未だ有用な有機太陽電池の開発には至っていない。
【0010】
本発明は上記の点に鑑みて為されたものであり、有機電子供与体と化合物半導体結晶とを含有する活性層を含む有機太陽電池において、その光電変換特性を向上した有機太陽電池を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記変換効率の向上という目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、有機電子供与体に比べて光吸収スペクトルが幅広く、より効率よくキャリアを発生させることができ、且つキャリアの移動度が大きい化合物半導体結晶を最大限混合し、すなわち有機電子供与体と化合物半導体結晶とを含む活性層中における化合物半導体結晶の充填率を最大限に高めることにより、変換効率の高い有機太陽電池が得られることを見出し、本発明の完成に至ったものである。
【0013】
請求項1の発明は、有機電子供与体4と化合物半導体結晶5とを含有する活性層6を二つの電極の間に設けた有機太陽電池において、前記活性層は有機電子供与体と化合物半導体結晶とを混合して分散してなり、且つ、化合物半導体結晶5が平均粒径が異なる二種類のロッド状の結晶を含み、この二種類のロッド状結晶の一方の平均粒径が他方の平均粒径の1/5以下であると共に、平均粒径がより大きい化合物半導体結晶に対する、平均粒径がより小さい化合物半導体結晶の含有比率が、占有体積比で5〜15%であることを特徴とするものである。
【0014】
また請求項2の発明は、有機電子供与体4と化合物半導体結晶5とを含有する活性層6を二つの電極の間に設けた有機太陽電池において、前記活性層は有機電子供与体と化合物半導体結晶とを混合して分散してなり、且つ、化合物半導体結晶5が平均粒径が異なる二種類の球状の結晶を含み、この二種類の球状の結晶の一方の平均粒径が他方の平均粒径の1/4以下であると共に、平均粒径がより大きい化合物半導体結晶に対する、平均粒径がより小さい化合物半導体結晶の含有比率が、占有体積比で25〜45%であることを特徴とするものである。
【0017】
また請求項3の発明は、請求項1又は2において、化合物半導体結晶5が、III族元素とV族元素とが化合した化合物を含むことを特徴とするものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0019】
図1は有機太陽電池の一例を示すものであり、基板1の表面に透明導電膜からなる陽極2を設け、陽極2の表面にホール輸送層3と、有機電子供与体4と化合物半導体結晶とを含有する活性層6とをこの順番に積層し、更に活性層6の上に陰極7を設けて構成されている。上記ホール輸送層3は必要に応じて形成される。
【0020】
尚、基板1の表面に陰極7を設け、その上に活性層6、ホール輸送層3、陽極2を順番に設けても良い。
【0021】
上記の有機太陽電池には、陽極2と陰極7とにそれぞれリード線8,9を接続するなどして、有機太陽電池にて発生した電力を取り出すことができる。
【0022】
基板1は、光透過性を有するものであり、例えばソーダライムガラスや無アルカリガラス等の透明ガラス板や、各種透明プラスチック板などを用いることができる。
【0023】
陽極2は仕事関数の大きい金属、合金、電気伝導性化合物、あるいはこれらの混合物からなる電極材料を用いて形成することが好ましく、特に仕事関数が4eV以上のものを用いることが好ましい。このような電極材料としては、例えば金などの金属、CuI、ITO(インジウムチンオキサイド)、SnO2、AZO、IZO、GZO等の導電性透明材料が挙げられる。陽極2は、例えばこれらの電極材料を基板1の表面に真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法等の方法で薄膜に成膜することによって形成することができる。
【0024】
また陰極7は、仕事関数の小さい金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物からなる電極材料で形成することが好ましく、特に仕事関数が5eV以下のものを用いることが望ましい。このような陰極7の電極材料としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、リチウム、マグネシウム、アルミニウム、マグネシウム−銀混合物、マグネシウム−インジウム混合物、アルミニウム−リチウム合金、Al/Al2O3混合物、Al/LiF混合物などが挙げられる。例えばこれらの電極材料を、真空蒸着法やスパッタリング法等の方法により、薄膜に形成することにより陰極7を作製することができる。
【0025】
またホール輸送層3を形成する正孔輸送材料としては、正孔を輸送する能力を有し、更に電子のホール輸送層3への移動を防止し、且つ薄膜形成能力に優れた化合物を用いることができる。具体的にはフタロシアニン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(TPD)や4,4’−ビス[N−(ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル(α−NPD)等の芳香族ジアミン化合物、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、イミダゾール、イミダゾロン、スチルベン誘導体、ピラゾリン誘導体、テトラヒドロイミダゾール、ポリアリールアルカン、ブタジエン、4,4’,4”−トリス(N−(3−メチルフェニル)N−フェニルアミノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA)、及びポリビニルカルバゾール、ポリシラン、ポリエチレンジオキサイドチオフェン:ポリスチレンスルフォネート(PEDOT:PSS)等の導電性高分子などの高分子材料を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0026】
また活性層6に用いる有機電子供与体4としては、フタロシアニン系顔料、インジゴ、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、メロシアニン化合物、シアニン化合物、スクアリウム化合物や、また有機電子写真感光体に用いられる電荷移動剤、電気伝導性有機電荷移動錯体などを挙げることができ、更には導電性高分子を挙げることができる。
【0027】
上記のフタロシアニン系顔料としては、中心金属がCu,Zn,Co,Ni,Pb,Pt,Fe,Mg等の2価のもの、無金属フタロシアニン、アルミニウムクロロフタロシアニン、インジウムクロロフタロシアニン、ガリウムクロロフタロシアニン等のハロゲン原子が配位した3価金属のフタロシアニン、その他バナジルフタロシアニン、チタニルフタロシアニン等の酸素が配位したフタロシアニン等があるが、特にこれに限定されるものではない。
【0028】
上記の電荷移動剤としては、ヒドラゾン化合物、ピラゾリン化合物、トリフェニルメタン化合物、トリフェニルアミン化合物等があるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0029】
上記電気伝導性有機電荷移動錯体としては、テトラチオフルバレン、テトラフェニルテトラチオフラバレン等があるが特にこれに限定されるものではない。
【0030】
上記導電性高分子としては、ポリ(3−アルキルチオフェン)、ポリパラフェニレンビニレン誘導体等のトルエン等の有機溶媒に可溶なものが挙げられるが、特にこれに限定されるものではない。
【0031】
また活性層6に用いる化合物半導体結晶5としては、化合物半導体ナノ結晶が用いられる。ここでナノ結晶とは、粒径が1〜100nmであるものである。またナノ結晶の形状にはロッド状、球状が含まれる。具体的な材料としてはInP、InAs、GaP、GaAs等のIII族(13族)元素とV族(15族)元素とが化合した化合物半導体結晶、CdSe、CdS、CdTe、ZnS等のII族(12族)元素とVI族(16族)元素との化合物半導体結晶、ZnO、SiO2、TiO2、Al2O3等の酸化物半導体結晶等が挙げられるが、特にこれに限定されるものではない。
【0032】
またこのような化合物半導体結晶5としては、特にInP、InAs、GaP、GaAs等のIII族(13族)元素とV族(15族)元素とが化合した化合物半導体結晶5を用いることが好ましいものであり、この場合これらの化合物半導体結晶5は、太陽電池材料として好適な禁制帯幅を持ち、太陽光を効率よく吸収できる。
【0033】
本発明においては、有機電子供与体4と化合物半導体結晶5とを含む活性層6の形態が重要となる。以下、これについての詳細な説明を、図2〜5を示して行う。
【0034】
本発明では、有機電子供与体4と化合物半導体結晶5とを含む活性層6において、この活性層に含まれる化合物半導体結晶5として、平均粒径と結晶形状とのうちの少なくとも一方が異なる複数種のものを用いるものである。すなわち粒径が揃った一種類の化合物半導体結晶5のみが含まれている場合には、活性層6中において化合物半導体結晶5を密充填したとしても、化合物半導体結晶5の間の隙間が大きくなってその充填率が充分に得られないが、平均粒径の異なる複数種の化合物半導体結晶5を用いれば、粒径が大きい化合物半導体結晶5の間の隙間に、粒径が小さい化合物半導体結晶5が入り込んで、化合物半導体結晶5の間の隙間が小さくなり、活性層6中における化合物半導体結晶5の充填率が増大するものである。
【0036】
そしてこのように活性層6中の化合物半導体結晶5の充填率が増大すると、この活性層6を有する有機太陽電池の変換効率を向上することが可能となるものである。
【0037】
図2〜5は、上記のような活性層6の構造の例を模式的に示したものである。
【0038】
図2に示すものでは、活性層6中には化合物半導体結晶5としてロッド状の化合物半導体結晶5aが含まれると共にこの化合物半導体結晶5aの間の隙間に有機電子供与体4が存在している。またこの化合物半導体結晶5aとしては、平均粒径が異なる二種類のものが存在している。このときのロッド状の結晶の粒径は、結晶の長手方向と直交する断面径で規定される。
【0039】
このように共にロッド状であるが平均粒径が異なる二種の化合物半導体結晶5aを活性層6中に含有させると、粒径が大きい結晶の間の空隙に粒径が小さい結晶が入り込むことで、化合物半導体結晶5aの充填率を向上することができる。図2は理想的な密充填状態を示すものであり、密充填配置された粒径の大きい化合物半導体結晶5aの間に空隙に、粒径の小さい化合物半導体結晶5aが収まっている。化合物半導体結晶5aの充填率を向上するためには、このような密充填配置を構成可能にすることが好ましいものであり、そのためには、粒径が小さい方のロッド状の化合物半導体結晶5aの平均粒径が、粒径が大きい方のロッド状の化合物半導体結晶5aの平均粒径の1/5以下となるようにする。
【0040】
またこのとき化合物半導体結晶5aの充填率を向上するためには、平均粒径がより大きい化合物半導体結晶5aに対する、平均粒径がより小さい化合物半導体結晶5aの含有比率が、占有体積比で5〜15%となるようにする。
【0041】
図3に示すものでは、活性層6中には化合物半導体結晶5として球状の化合物半導体結晶5bが含まれると共にこの化合物半導体結晶5bの間の隙間に有機電子供与体4が存在している。またこの化合物半導体結晶5bとしては、平均粒径が異なる二種類のものが存在している。このときの球状の結晶の粒径は、結晶の直径で規定される。
【0042】
このように共に球状であるが平均粒径が異なる二種の化合物半導体結晶5bを活性層6中に含有させると、粒径が大きい結晶の間の空隙に粒径が小さい結晶が入り込むことで、化合物半導体結晶5bの充填率を向上することができる。図3は理想的な密充填状態を示すものであり、密充填配置された粒径の大きい化合物半導体結晶5bの三つの結晶に囲まれた空隙に、粒径の小さい化合物半導体結晶5bが収まっている。化合物半導体結晶5bの充填率を向上するためには、このような密充填配置を構成可能にすることが好ましいものであり、そのためには、粒径が小さい方の球状の化合物半導体結晶5bの平均粒径が、粒径が大きい方の球状の化合物半導体結晶5bの平均粒径の1/4以下となるようにする。
【0043】
またこのとき化合物半導体結晶5bの充填率を向上するためには、平均粒径がより大きい化合物半導体結晶5bに対する、平均粒径がより小さい化合物半導体結晶5bの含有比率が、占有体積比で25〜45%となるようにする。
【0050】
上記のように本発明では活性層6中での化合物半導体結晶5の密充填を可能として、有機太陽電池の変換効率を向上することができるものであるが、好ましくは活性層6中での化合物半導体結晶5の含有量を50〜99重量%、より好ましくは90〜99重量%の範囲となるようにするものであり、これにより優れた変換効率を有する有機太陽電池を得ることができる。
【0051】
活性層6を形成するにあたっては、例えば上記の有機電子供与体4と化合物半導体結晶5とを所定の比率でトルエン、ピリジン−クロロフォルム溶液等の適宜の溶媒中に分散・混合した混合液をスピンコート法等により、活性層6が形成される面上に塗布した後、溶媒を揮散させることにより成膜することで形成することができるが、特にこのような手法に限られない。
【0052】
【実施例】
以下に本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0053】
(実施例1)
ガラス基板上に陽極2として厚み240nmのITO膜を形成したものを、アセトン、メタノール、イソプロピルアルコールを順に用いて各10分間超音波洗浄した後、乾燥させた。
【0054】
このITO膜の表面上にホール輸送層3としてポリエチレンジオキサイドチオフェン:ポリスチレンスルフォネート(PEDOT:PSS)をスピンコート法により100nmの厚みに成膜した。
【0055】
次に、活性層6として、8重量部のポリ(3−アルキルチオフェン)と、92重量部のInPナノ結晶との混合物を、ピリジン−クロロフォルム溶液中に分散・溶解させた後、スピンコート法により200nmの厚みに成膜した。
【0056】
ここで、InPナノ結晶としては、長手方向寸法の平均値60nm、長手方向と直交する断面径の平均値7nmのロッド状のものと、長手方向寸法の平均値60nm、長手方向と直交する断面径の平均値1nmのロッド状のものとを、1:0.16の配合質量比で併用した。
【0057】
更にこの活性層6の表面上に陰極7として、真空蒸着により厚み100nmのアルミニウム膜を形成し、有機太陽電池を得た。
【0058】
(比較例1)
活性層6を形成するにあたり、InPナノ結晶として長手方向寸法の平均値60nm、長手方向と直交する断面径の平均値7nmのロッド状のもののみを用いた。それ以外は実施例1と同様にして有機太陽電池を得た。
【0059】
(実施例2)
活性層6を形成するにあたり、InPナノ結晶として平均粒径60nmの球状のものと平均粒径15nmの球状のものとを、1:0.02の配合質量比で併用した。それ以外は実施例1と同様にして有機太陽電池を得た。
【0060】
(比較例2)
活性層6を形成するにあたり、InPナノ結晶として長手方向寸法の平均値60nmの球状のもののみを用いた。それ以外は実施例1と同様にして有機太陽電池を得た。
【0064】
(評価)
上記の各実施例及び比較例で得られた各有機太陽電池の電極間に、電源(KEYTHLEY社製、236モデル)を接続し、100mW/cm2の強度のソーラーシミュレータ(山下電装社製)を用いて、有機太陽電池の変換効率を測定し、比較例1の変換効率を1.00として規格化した。
【0065】
その結果、実施例1では変換効率は1.12であったのに対して比較例1は1.00であり、平均粒径の異なる二種のロッド状の化合物半導体結晶5aを用いることで変換効率が向上することが確認された。
【0066】
また実施例2では変換効率は0.75であったのに対して比較例2は0.63であり、平均粒径の異なる二種の球状の化合物半導体結晶5bを用いることで変換効率が向上することが確認された。
【0069】
【発明の効果】
上記のように請求項1の発明は、有機電子供与体と化合物半導体結晶とを含有する活性層を二つの電極の間に設けた有機太陽電池において、前記活性層は有機電子供与体と化合物半導体結晶とを混合して分散してなり、且つ、化合物半導体結晶が平均粒径が異なる二種類のロッド状の結晶を含み、この二種類のロッド状結晶の一方の平均粒径が他方の平均粒径の1/5以下であると共に、平均粒径がより大きい化合物半導体結晶に対する、平均粒径がより小さい化合物半導体結晶の含有比率が、占有体積比で5〜15%であるため、一方の結晶が他方の結晶の間の隙間に収まることにより活性層中の化合物半導体結晶の間の隙間を小さくして活性層中における化合物半導体結晶の充填率を増大することができ、これにより変換効率の高い太陽電池を得ることができるものである。
【0070】
また請求項2の発明は、有機電子供与体と化合物半導体結晶とを含有する活性層を二つの電極の間に設けた有機太陽電池において、前記活性層は有機電子供与体と化合物半導体結晶とを混合して分散してなり、且つ、化合物半導体結晶が平均粒径が異なる二種類の球状の結晶を含み、この二種類の球状の結晶の一方の平均粒径が他方の平均粒径の1/4以下であると共に、平均粒径がより大きい化合物半導体結晶に対する、平均粒径がより小さい化合物半導体結晶の含有比率が、占有体積比で25〜45%であるため、一方の結晶が他方の結晶の間の隙間に収まることにより活性層中の化合物半導体結晶の間の隙間を小さくして活性層中における化合物半導体結晶の充填率を増大することができ、これにより変換効率の高い太陽電池を得ることができるものである。
【0073】
また請求項3の発明は、請求項1又は2において、化合物半導体結晶が、III族元素とV族元素とが化合した化合物を含むため、太陽光を効率よく吸収し、光電変換効率が向上するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示す断面図である。
【図2】同上の活性層の微細構造の一例を示す模式図である。
【図3】同上の活性層の微細構造の他例を示す模式図である。
【符号の説明】
4 有機電子供与体
5 化合物半導体結晶
6 活性層
Claims (3)
- 有機電子供与体と化合物半導体結晶とを含有する活性層を二つの電極の間に設けた有機太陽電池において、前記活性層は有機電子供与体と化合物半導体結晶とを混合して分散してなり、且つ、化合物半導体結晶が平均粒径が異なる二種類のロッド状の結晶を含み、この二種類のロッド状結晶の一方の平均粒径が他方の平均粒径の1/5以下であると共に、平均粒径がより大きい化合物半導体結晶に対する、平均粒径がより小さい化合物半導体結晶の含有比率が、占有体積比で5〜15%であることを特徴とする有機太陽電池。
- 有機電子供与体と化合物半導体結晶とを含有する活性層を二つの電極の間に設けた有機太陽電池において、前記活性層は有機電子供与体と化合物半導体結晶とを混合して分散してなり、且つ、化合物半導体結晶が平均粒径が異なる二種類の球状の結晶を含み、この二種類の球状の結晶の一方の平均粒径が他方の平均粒径の1/4以下であると共に、平均粒径がより大きい化合物半導体結晶に対する、平均粒径がより小さい化合物半導体結晶の含有比率が、占有体積比で25〜45%であることを特徴とする有機太陽電池。
- 化合物半導体結晶が、III族元素とV族元素とが化合した化合物を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の有機太陽電池。
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