JP4120195B2 - 単一の変位素子により複数方向の駆動力を作用するアクチュエータ - Google Patents

単一の変位素子により複数方向の駆動力を作用するアクチュエータ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般に、圧電素子などの変位素子を用いたアクチュエータに関する。本発明は特に、単一の変位素子を用いて複数の固有振動モードを励起し、被駆動体に対し異なる方向に駆動力を作用するアクチュエータに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、圧電素子などの変位素子を用いたアクチュエータは多数知られている。
【0003】
例えば、特開平10−225151号公報にて提案されたアクチュエータは、図14に示すように、圧電素子(図示せず)をそれぞれ有する一対の振動部材502、504と、これら振動部材それぞれの振動方向一端部に設けた振動片を互いに所定角度を有するように接続してなるチップ部506とを備え、2つの振動部材502、504の共振周波数を異ならせる。チップ部506には被駆動体508が押圧されており、振動部材502を共振させることで、被駆動体508は矢印510の向きに移動し、他方、振動部材504を共振させることで、被駆動体508を矢印512の向きに移動する。
【0004】
また、特開2000−188887号にて提案されたアクチュエータは、図15に示すように、圧電素子(図示せず)を有する振動部材520の一次の固有振動モード[図(a)]と二次の固有振動モード[図(b)]を利用する。振動部材520に押圧された被駆動体であるロータ522は、一次の固有振動モードでは、Fの力を受け時計周り方向524に回転し、他方、二次の固有振動モードでは、Fの力を受け反時計周り方向526に回転する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
図14に示すアクチュエータでは、各振動部材502、504に対し、圧電素子及び該素子を駆動する駆動回路が必要となるので、アクチュエータが比較的高価である。
【0006】
図15に示すアクチュエータでは、振動部材520に対し圧電素子が一つだけであるが、振動部材520の異なる次数の固有振動モードを利用しているため、各モード間で振動部材520の振動数や振幅の差が大きく、したがって駆動方向524と526では出力差が生じる。また、このアクチュエータは、被駆動体を一つの軸周りの回転方向の切換えのみに利用でき、二つ以上の軸周りに回転させることは実質的に困難である。
【0007】
そこで、本発明は、単一の変位素子及び駆動回路を用いて被駆動体を複数の方向に駆動させる比較的安価なアクチュエータを提供することである。
【0008】
本発明はまた、複数の駆動方向で駆動力の差が小さいアクチュエータを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係るアクチュエータは、印加される電圧の周波数に応じた振動数で振動する変位素子と、
互いに異なる固有振動数を有し、前記変位素子から互いに異なる方向へ延びるように前記変位素子に直接または間接的に連結された複数の振動部材と、
被駆動体との接触面を有し、前記複数の振動部材に連結され、前記振動部材の振動に伴い振動することで被駆動体を押圧し、振動する振動部材によって異なる方向に被駆動体を駆動する押圧部材と、を備えたことを特徴とするアクチュエータ
【0010】
前記変位素子は所定方向に伸縮可能とされ、前記変位素子の伸縮方向一端に前記押圧部材が連結され、前記押圧部材に、前記振動部材の長さ方向一端が連結されるようにしてもよい。また、前記振動部材の長さ方向他端が自由端とされるようにしてもよい。さらに、前記変位素子は、伸縮振動の固有振動数と曲げ振動の固有振動数がほぼ一致するようにしてもよい。
【0011】
前記変位素子は所定方向に伸縮可能とされ、前記変位素子の伸縮方向一端に前記振動部材の長さ方向一端が連結され、前記振動部材の長さ方向他端が自由端とされ、各振動部材の自由端に前記押圧部材が連結されるようにしてもよい。
【0012】
前記振動部材の固有振動数が、前記変位素子の共振周波数又はその近傍に設定されるようにしてもよい。また、前記変位素子が圧電素子であることが好ましい
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明に係る実施の形態を説明する。
【0014】
図1は、本発明に係るアクチュエータの一実施形態を示す概略的な斜視図である。全体を符号2で表わすアクチュエータは、その外形が略四角錐状に形成されている。中心軸(四角錐の頂点から底面の中心との間)には、変位素子である圧電素子4が配置されている。
【0015】
圧電素子4は、図2に示すように、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)など圧電効果を有するセラミックス材料を薄く伸ばしてなる板6と、電極8、10とを交互に積層して形成された積層型圧電素子である。セラミックス板6と電極8、10は接着剤などで接合されている。1つおきに配置された電極群8、10は、それぞれ配線12、14を介して駆動回路16に接続されており、その結果、駆動回路16により所定の電圧が電極8、10に印加されると、電極8、10に挟まれたセラミックス板6の分極の方向が、積層方向に沿って上向き下向きを交互に繰り返すようになっている。この構成によれば、駆動回路16により所定の周波数の交流電圧が電極8、10間に印加されると、圧電素子4全体が積層方向に伸縮を繰り返す。なお、圧電素子4の長手方向に関する両端部に設けた部材18、20は、保護層であり、一方はチップ部(後述)、他方はベース部(後述)と接続するためのものである。
【0016】
図1に戻って、四角錐の頂点から底面に向かう4つの斜辺上には、振動部材として四角柱形状の金属製ロッド22(22A,22B,22C,22D)が配置されている。これらロッド22A,22B,22C,22Dは、頂点側から見て十字形をなしている。ロッド22の長手方向一端部と圧電素子4の長手方向一端部は、接着剤により、四角錐の頂点に位置する金属製のチップ部24に接合されている。チップ部24は、後述するように圧電素子4に所定の周波数の電圧を印加すると実質的に所定の方向に往復運動し、これによりチップ部24に押圧された被駆動体(図示せず)が所定の方向に駆動されるようにしてある。チップ部24は、被駆動体との接触面を有する。アクチュエータ2のチップ部24の反対側には、ばね25などの加圧部材が設けてあり、上記接触面が被駆動体に押圧されるようにしてある。ロッド22の長手方向他端部と圧電素子4の長手方向他端部は、接着剤により、四角錐の底面に位置する金属製のベース部26に接合されている。
【0017】
ロッド22の材料としては、強度が高く減衰率の低い点で、鉄系などが好ましい。チップ部24の材料としては、安定して高い摩擦係数が得られ、且つ耐摩耗性に優れたタングステンカーバイドなどが好ましい。ベース部26の材料としては、製造が容易で、且つ強度に優れたステンレス鋼などが好ましい。また、接着剤としては、接着力及び強度に優れたエポキシ系樹脂などが好ましい。なお、ロッド22とチップ部24とは同一材料から一体的に形成されていてもよい。
【0018】
ロッド22A,22B,22C,22Dは、同一の四角錐斜辺方向(ロッド長手方向)の長さを有するが、後述する理由により(上記長手方向に垂直な四角柱断面の各辺の長さである)厚みあるいは幅が少しずつ異なるように設計されており、この結果、後で詳述するように、駆動回路16から圧電素子4に所定の周波数の電圧を印加すると、その周波数に応じて4つのロッド22のいずれか一つのみが共振するようになっている。このとき、チップ部24は、共振するロッド22の長手方向に沿って振動し、チップ部24に接触する被駆動体は、共振ロッド22の伸長方向に駆動力を受ける。
【0019】
例えば、図3(a)に示すように被駆動体が球体28の場合、対向するロッド22A、22Cの斜辺を含む面により球体28を切断した円断面に関し、ロッド22Aの共振により、被駆動体28は、ロッド22B側から見て反時計周り方向30Aに回転する。同様に、上記円断面に関し、ロッド22Cの共振により、被駆動体28は、ロッド22B側から見て時計周り方向30Cに回転する。
【0020】
他方、対向するロッド22B、22Dの斜辺を含む面により球体28を切断した円断面に関し、ロッド22Bの共振により、被駆動体28は、ロッド22A側から見て時計周り方向30Bに回転する。同様に、上記円断面に関し、ロッド22Dの共振により、被駆動体28は、ロッド22A側から見て反時計周り方向30Dに回転する。
【0021】
図3(b)に示すように、被駆動体が平面部材(スライダ)32の場合、ロッド22Aの共振により、スライダ32はロッド22A側からロッド22C側に向かう方向34Aにスライドし、ロッド22Cの共振により、スライダ32はロッド22C側からロッド22A側に向かう方向34Cにスライドする。他方、ロッド22Bの共振により、スライダ32はロッド22B側からロッド22D(図3(b)では不図示)側に向かう方向34Bにスライドし、ロッド22Dの共振により、スライダ32はロッド22D側からロッド22B側に向かう方向34Dにスライドする。
【0022】
ロッド22による駆動力と被駆動体の運動との関係を、被駆動体が球体28の場合で説明する。アクチュエータ2のロッド、例えばロッド22Aを共振させた場合、図4(a)に示すように、ロッド22Aが球体28に近づく方向(伸長方向)に運動する際には、チップ部24によって球体28に加わる接線方向の力、すなわち球体28に伝達する駆動力が増加する。他方、図4(b)に示すように、ロッド22Aが球体28から離反する方向(縮小方向)に運動する際には、球体28に伝達する駆動力が減少、ないしは駆動力が伝達しない。したがって、前者の場合では被駆動体28に駆動力が多く伝達されるが、後者の場合では、伝達される駆動力が少ないか、あるいは駆動力が伝達されない。このようなロッド22Aの往復運動時の駆動力の差異により、球体28は、反時計周り方向36に回転する。
【0023】
次に、図1に示すように構成されたアクチュエータ2において、圧電素子4に所定の周波数の電圧を印加したときに、4つのロッド22のいずれか一つのみを共振させるための条件について、図5、6を参照して説明する。
【0024】
図5は、4つのロッド22A,22B,22C,22Dを備えたアクチュエータ2の固有振動の様子を示す図である(なお、ベース部26は図示が省略されている。)。固有振動には、4つのロッド22が同じ位相で振動するモード1[図(a)]、隣接する2つのロッドが同じ位相で振動し残り2つのロッドが上記位相とは逆の位相で振動するモード2、3[図(b)、(c)]、対向するロッドが同じ位相で振動し、残り2つのロッドが上記位相とは逆の位相で振動するモード4[図(d)]の4種類が存在する。モード2では、ロッド22A、22Dの対とロッド22B、22Cの対とがそれぞれ同位相で振動し、モード3では、ロッド22A、22Bの対とロッド22C、22Dの対とがそれぞれ同位相で振動する。
【0025】
これらロッド22が同一のものである場合、チップ部24が変形せず、ロッド22を両端固定の曲がり梁と仮定すると、4つの固有振動モードの振動数は原理的に一致する。しかしながら、実際には、チップ部24やベース部26が変位・変形するなどの影響により、固有振動モードの振動数は、モード2と3が一致することを除き異なる値をとる。
【0026】
そこで、4つの固有振動モードの振動数を一致させるように、アクチュエータ2の構成を工夫する。一般に、固有振動モードは、ばね要素とおもり要素を備えた1つの振動系で表わすことができる。振動系のばね要素の剛性を高くすると振動数は上昇し、剛性を低くすると低下する。また、おもり要素の質量を増やすと振動数は低下し、減らすと上昇する。そこで、モード1、2(3)、4では、振動系のばね要素とおもり要素に違いがあることに着目する。
【0027】
例えば、モード2(3)では、チップ部24がおもり要素となっている(チップ部24はほぼ往復移動する)ので、この質量を増やすと振動数は低下するが、モード1、4では、チップ部24はおもり要素ではない(チップ部24はあまり移動しない)ので、質量を増やしても振動数は変化しない。
【0028】
反対に、モード1、4では、チップ部24はばね要素となっている(チップ部24は、モード1では同じ位相で、モード4では逆位相でロッド22から変形力を受ける)ので、剛性を高くすると振動数が上昇するが、モード2(3)では、チップ部24はばね要素でない(チップ部24は、ロッド22からあまり変形力を受けない)ので、剛性を高くしても振動数は変化しない。剛性を変化させる場合、モード1でチップ部24が受ける変形力は、ロッド22との固定部が同時に圧縮・伸長されるものである。一方、モード4でチップ部24が受ける変形力は、隣接するロッド22で交互に圧縮・伸長されるものであり、モード1よりチップ部24の変形量が大きくなる。したがって、剛性を高くするとモード1よりモード4の振動数の方がより上昇する。
【0029】
このようにチップ部24の質量、剛性を、その形状、材料の密度、弾性率などを調整して変化させることにより、4つの固有振動モードの振動数をほぼ一致させることができる。この場合、4つの固有振動モードが縮退しているので、アクチュエータ2の振動系には4つの自由度が存在している。そこで、各ロッド22の厚みや幅などを互いに僅かに異ならせて4つのロッド22の固有振動数に微小な違いを持たせることにより、圧電素子4を所定の駆動周波数で振動させることで、この駆動周波数に対応して、4つのロッド22の一つが実質的に独立して共振する4種類の固有振動モードのいずれかを励起させることができる。なお、上記のように振動部材である4つのロッド22をその特性の差を小さくするのが、圧電素子4の駆動周波数の制御範囲を小さくするとともに、駆動方向による駆動力の差をできるだけ小さくする点で好ましい。
【0030】
図6に各ロッド22が実質的に独立して共振する各固有振動モードの振動の様子を示す。図(a),(b),(c),(d)はそれぞれ、ロッド22A,22B,22C,22Dが独立して共振する場合を示している。これらの固有振動モードは、その振動数は互いに異なるが、4つのロッド22の減衰特性が互いに等しいため、チップ部24の振幅がほぼ同一の振動である。これらの固有振動により、チップ部24は、共振するロッド22の長手方向に沿って実質的に往復運動を行う。
【0031】
各ロッド22の固有振動数の差は、ロッド22の減衰特性(これは主にロッド22の材料により決まる。)に応じて設定される。すなわち、ロッド22の減衰が大きい場合には、共振曲線は、ピーク値が小さく裾の広がった形状となるため、固有振動数の差を比較的大きくしないと(縮退した振動数が例えば100kHz程度に対し10kHz程度の差)、特定のロッド22を共振させる際に他のロッド22に余分な振動が生じ、チップ部24は往復運動でなく楕円運動を行う。ロッド22の減衰が小さい場合には、共振曲線は急峻なカーブを描くため、モード間の固有振動数が比較的近くても(縮退した振動数が例えば100kHz程度に対し1kHz程度の差)、特定のロッド22を共振させる際に他のロッド22に余分な振動が生じにくく、したがって、チップ部24は往復運動を行う。但し、後者の場合、アクチュエータ2の組立て誤差やアクチュエータ2の使用環境(例えば温度)の変化などにより、ロッドの振動特性(例えば共振曲線)が変化すると、チップ部24の振幅が変動するため、チップ部24の変位の大きさなどを検出し、環境変化などで変化する固有振動数に圧電素子4の駆動周波数を合わせる回路を設けるのが望ましい。チップ部24の変位を検出する方法としては、1)距離センサなどを用いる、2)圧電素子4に流れる電流を検出する、3)被駆動体が球体の場合、球体の回転数を検出する、などが例示できる。
【0032】
本アクチュエータ2において、駆動方向により駆動力に差が生じる場合は、共振させるロッド22に対応して圧電素子4の駆動電圧値を調整することにより、駆動力の差を無くすことができる。
【0033】
図7は、圧電素子4の駆動回路16の一例を示すブロック図である。駆動回路16は、正弦波信号を出力する発振器40と、圧電素子4を駆動できるように出力信号を増幅するパワーアンプ42と、発振器40により出力する信号の周波数及びパワーアンプ42による増幅率を制御するための制御部44とを有する。この構成によれば、制御部44は、発振器40を制御して上記4つの固有振動モードのいずれかに対応する周波数の駆動信号を発生させることにより、圧電素子4を駆動して所望の固有振動モードを励起させる。制御部44はまた、各方向の駆動力を厳密に一致させるために、固有振動モードの切替えに合わせて増幅率を制御して、圧電素子4の駆動電圧値を調整する。
【0034】
以上の説明は、本発明の一実施形態に関するものであって、本発明は種々改変可能である。例えば、本発明に係るアクチュエータは、単一の変位素子の振動を利用して複数方向の駆動力を作用するものであれば、図1に示す構成に限らない。
【0035】
例えば、図8に示すアクチュエータ102は、ロッド122(122A,122B,122C,122D)の一端は、ベース部126に固定されずに自由端となっている。各ロッド122の(長手方向の)長さは少しずつ異ならせてあり、これにより各ロッド122は異なる振動数で共振する。各ロッド122の固有振動数は、圧電素子104の共振周波数又はその近傍に設定されており、ロッド122のいずれか一つと圧電素子104を同時に共振させることが可能である。圧電素子104の共振現象を利用することで、アクチュエータ102は、図1に示すアクチュエータ2に比べてチップ部124の変位をより大きくし、駆動効率を向上させることができる。なお、圧電素子の共振を利用する態様については、後述する実施形態において詳しく説明する。
【0036】
図9は、本発明に係る別のアクチュエータの概略斜視図を示す。このアクチュエータ202は、振動部材として薄板状の4つの金属製アーム250A,250B,250C,250Dが十字状に一体的に形成され、その中心が、圧電素子204のベース部226との接合部とは反対側に位置するようになっている。各ロッド250A,250B,250C,250Dの自由端にはそれぞれ、被駆動体である球体228(図10)と接触するためのチップ部224A,224B,224C,224Dが設けてある。各アーム250の長さは少しずつ異ならせてあり、これにより各アーム250は異なる振動数で共振する。各アーム250の固有振動数は、圧電素子204の共振周波数又はその近傍に設定されており、アーム250のいずれか一つを共振させることが可能である。
【0037】
図10を参照して、球体228に対しアクチュエータ202を押圧した状態で、例えば図(a)に示すようにアーム250Aをその固有振動数で共振させると、球体228には力Fが作用し、球体228は図面上時計周り方向に回転する。一方、例えば図(b)に示すようにアーム250Cをその固有振動数で共振させると、球体228には力Fが作用し、球体228は図面上反時計周り方向に回転する。
【0038】
図11は、本発明に係るさらに別のアクチュエータを示す概略斜視図である。このアクチュエータ302の圧電素子304は、XY平面上に配置されたベース部326に接合された、Z方向に伸びた四角柱形状を有する積層型圧電素子である。ベース部326との接合部と反対側には、同じXY断面形状を有するチップ部324が取付けられている。チップ部324の対向する2つの面上から、振動部材として薄板状のアーム350A、350CがY方向に伸びている。2つのアーム350A、350Cの長さには微小な差が設けてあり、各アームが異なる固有振動数で共振するようになっている。チップ部324の先端には、被駆動体として例えばロータ352が押圧されている。
【0039】
本実施形態では、圧電素子304は、伸縮振動と曲げ振動の固有振動数がほぼ一致するように設計されており、これにより、チップ部324は、圧電素子304の伸縮振動によりZ方向に関し、曲げ振動によりY方向に関して振動することができる。アーム350A、350Cの曲げ振動の固有振動数は、圧電素子304の縮退した振動数の近傍に設定されており、また、チップ部324にY方向に伸びたアーム350A、350Cが取付けてあるため、圧電素子304を縮退した固有振動数又はその近傍で共振させる際に、圧電素子304の振動はYZ平面内に、すなわちチップ部324の振動はY方向に規制される。
【0040】
このような構成において、圧電素子304の駆動周波数をアーム350Aの固有振動数に一致させると、アーム350Aの振動に合わせて、圧電素子304が伸縮振動と曲げ振動を同時に行う。より詳しくは、圧電素子304が縮むと左に曲がり[図12(a)の状態]、伸びると右に曲がる。アクチュエータ302は、この固有振動モードにおいてチップ部324が図12略右上45度の第1の方向に振動するように設計されている。一方、圧電素子304の駆動周波数をアーム350Cの固有振動数に一致させると、アーム350Cの振動に合わせて、圧電素子304が伸縮振動と曲げ振動を同時に行う。より詳しくは、圧電素子304が縮むと右に曲がり[図12(b)の状態]、伸びると左に曲がる。アクチュエータ302は、この固有振動モードにおいてチップ部324が図12略左上45度の第2の方向に振動するように設計されている。本実施形態では、2つの固有振動モード(1つの伸縮振動と1つの曲げ振動)が縮退しているので、アクチュエータ304の振動系には2つの自由度が存在しており、チップ部424は、上記第1及び第2の方向に独立して変位することができる。したがって、チップ部324の先端に押圧されたロータ352は、圧電素子304の駆動周波数を切換えてアーム350A、350Cを選択的に振動させることにより正逆回転することができる。アーム350A、350Cの形状差は微小であるので、2つの固有振動モードでの出力を略等しくすることが可能である。
【0041】
圧電素子304が縮むと右に曲がり、伸びると左に曲がる固有振動モードは、圧電素子304が縮むと左に曲がり、伸びると右に曲がる固有振動モードにおいて、圧電素子304のZ方向の振動に対しY方向の振動の位相が反転したものである。アーム350A、350Bの一方が振動したとき、固有振動モードのいずれが励起されるかは、アームと圧電素子からなる振動系の運動量の総和が0になる条件から決定される。
【0042】
図13は、本発明に係るさらにまた別のアクチュエータを示す概略斜視図である。このアクチュエータ402の圧電素子404とチップ部424は、Z方向に中心軸を有する円柱状に形成されている。また、チップ部424からは、振動部材として薄板状の3つのアーム450A,450B,450Cが互いに120度の間隔をあけてXY平面上に伸びている。3つのアーム450A,450B,450Cの長さには微小な差が設けてあり、各アームが異なる固有振動数で共振するようになっている。チップ部424の先端には、被駆動体として球体428が押圧されている。なお、図13ではベース部は図示が省略されている。
【0043】
本実施形態では、圧電素子404は、伸縮振動と曲げ振動の固有振動数がほぼ一致するように設計されている。また、アーム450A,450B,450Cの曲げ振動の固有振動数は、圧電素子404の縮退した振動数の近傍に設定されている。圧電素子404及びチップ部424は断面形状が円形となっているため、アーム450A,450B,450Cが取付けてない状態で、圧電素子404を曲げ振動モードで共振させたとき、チップ部424はXY平面の任意の方向に振動することができる。実際には、チップ部424にはXY平面の所定の方向に伸びたアーム450A,450B,450Cが取付けてあるため、圧電素子404を縮退した固有振動数又はその近傍で共振させる際に、チップ部424の振動は上記所定の方向に規制される。
【0044】
このような構成において、圧電素子404の駆動周波数をアーム450A,450B,450Cのいずれかの固有振動数に一致させると、選択されたアームの共振に合わせて、圧電素子404が伸縮振動と曲げ振動を同時に行う。図13には、アーム450Aを共振させた場合のチップ部424の変位方向のみが示されている。本実施形態では、3つの固有振動モード(1つの伸縮振動と2つの曲げ振動)が縮退しているので、アクチュエータ404の振動系には3つの自由度が存在しており、チップ部424は、アーム450A,450B,450Cのいずれかの振動に合わせて3つの方向に独立して変位することができる。したがって、本アクチュエータ402は、被駆動体である球体428を三軸周りに回転することができる。
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、単一の変位素子及び駆動回路を用いて被駆動体を複数方向に駆動できる比較的安価なアクチュエータを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るアクチュエータの一実施形態を示す概略斜視図。
【図2】 図1のアクチュエータに用いる積層型圧電素子の断面図。
【図3】 (a)被駆動体として球体を駆動する場合の駆動方向を示す図。
(b)被駆動体としてスライダを駆動する場合の駆動方向を示す図。
【図4】 図1のアクチュエータにより球体を回転させる原理を示す図。
【図5】 図1のアクチュエータにおいて、4つのロッドの特性を同一に設計した場合の固有振動モードを示す図。
【図6】 図1のアクチュエータにおいて、4つのロッドの特性を僅かに異ならせて設計した場合の固有振動モードを示す図。
【図7】 図2の圧電素子の駆動回路の一例を示すブロック図。
【図8】 本発明に係るアクチュエータの他の実施形態を示す概略斜視図。
【図9】 本発明に係るアクチュエータの別の実施形態を示す概略斜視図。
【図10】 図9のアクチュエータにより球体を回転させる原理を示す図。
【図11】 本発明に係るアクチュエータのさらに別の実施形態を示す概略斜視図。
【図12】 図11のアクチュエータにおける固有振動モードを示す図。
【図13】 本発明に係るアクチュエータのさらにまた別の実施形態を示す概略斜視図。
【図14】 従来のアクチュエータの一例を示す概略斜視図。
【図15】 従来のアクチュエータの別の例を示す概略斜視図。
【符号の説明】
2:アクチュエータ、4:圧電素子(変位素子)、22:ロッド(振動部材)、24:チップ部、25:押圧部材、26:ベース部、28:球体(被駆動体)。

Claims (7)

  1. 印加される電圧の周波数に応じた振動数で振動する変位素子と、
    互いに異なる固有振動数を有し、前記変位素子から互いに異なる方向へ延びるように前記変位素子に直接または間接的に連結された複数の振動部材と、
    被駆動体との接触面を有し、前記複数の振動部材に連結され、前記振動部材の振動に伴い振動することで被駆動体を押圧し、振動する振動部材によって異なる方向に被駆動体を駆動する押圧部材と、を備えたことを特徴とするアクチュエータ
  2. 前記変位素子は所定方向に伸縮可能とされ、
    前記変位素子の伸縮方向一端に前記押圧部材が連結され、
    前記押圧部材に、前記振動部材の長さ方向一端が連結されていることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ
  3. 前記振動部材の長さ方向他端が自由端とされていることを特徴とする請求項2に記載のアクチュエータ
  4. 前記変位素子は、伸縮振動の固有振動数と曲げ振動の固有振動数がほぼ一致していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のアクチュエータ
  5. 前記変位素子は所定方向に伸縮可能とされ、
    前記変位素子の伸縮方向一端に前記振動部材の長さ方向一端が連結され、
    前記振動部材の長さ方向他端が自由端とされ、
    各振動部材の自由端に前記押圧部材が連結されていることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ
  6. 前記振動部材の固有振動数が、前記変位素子の共振周波数又はその近傍に設定されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のアクチュエータ
  7. 前記変位素子が圧電素子である請求項1〜6のいずれかに記載のアクチュエータ
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