JP4119781B2 - プラント、給水ポンプの制御装置、プラントの制御方法、給水ポンプ制御装置の設置方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、蒸気サイクルを用いたプラント、給水ポンプの制御装置、プラントの制御方法等に関する。
【0002】
【従来の技術】
火力プラントには、ボイラで加熱することで蒸気を発生させるための水から、溶存酸素を除去するための脱気器が備えられている。
このような脱気器では、水を沸騰させることで溶存酸素を除去した後、水(飽和水)を給水ポンプでボイラに給水するようになっている。
【0003】
しかし、脱気器から配管を通して給水ポンプに送り出される水は、上記したように飽和水であるため、何らかの原因で配管中で減圧が生じると、配管中で容易に沸騰して蒸気化してしまう。すると、給水ポンプでキャビテーションが発生し、給水ポンプの破損等のトラブルを招く原因となる。
従来より、このような現象を回避するための保護機能が様々に提案されている。一例を挙げれば、配管中の温度を検出し、その温度に応じ、配管内の沸騰水を復水器に排出し、給水ポンプに送り込まないようにする保護機能がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−351509号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記したような保護機能は、追加の配管等が必要であるため、プラントの設置コストの上昇を招くことになるという問題があった。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、より低コストで確実にポンプ等の保護機能を発揮することのできる技術を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる目的のもと、本発明のプラントは、蒸気サイクルで蒸気を発生させるボイラ、ボイラに水を供給する給水ポンプ、給水ポンプに溶存酸素を除去した水を供給する脱気器を備え、さらに、給水ポンプの入口側でキャビテーションが生じそうなときに給水ポンプの起動を停止させる制御装置を備え、制御部は、脱気器内に貯まっている水の温度の検出値と給水ポンプの入口側における水の温度の検出値との差が、予めプラントの負荷に応じて複数段階に設定されたしきい値より小さいときに、給水ポンプの起動を停止させることを特徴とする。
より具体的には、制御装置は、給水ポンプ入口側の温度の検出値と、給水ポンプ入口側においてキャビテーションが生じない温度領域に設定した許容温度とに基づいて、給水ポンプの起動を停止させる。許容温度は、給水ポンプの入口側における水の圧力、脱気器内に貯まっている水の圧力、脱気器内に貯まっている水の温度等から、給水ポンプ入口側における水の飽和温度に基づいて設定できる。
【0007】
ところで、プラントの稼動停止時等において、脱気器の圧力が低下すると、これにともなって、脱気器から給水ポンプに水を送り出す給水ライン内において、水の圧力が低下する。すると、圧力の低下にともなって飽和温度が低下するが、給水ライン内で水自体の温度が低下しないために、飽和温度を上回り、給水ラインで沸騰が生じることがある。さらに、給水ライン内に発生した蒸気により、給水ポンプの入口で脱気器からかかっていた圧力(水頭)が急激に減少し、圧力が減少した分、給水ポンプ入口の温度が急激に下がる。このような現象が生じると、実際には給水ポンプの入口で沸騰が生じていて危険な状態であるにもかかわらず、給水ポンプ入口の温度が飽和温度(許容温度)よりも低くなり、給水ポンプの起動条件を満たしてしまうことがある。
このため、制御装置は、脱気器内に貯水された水の圧力または温度が低下するときに給水ポンプの起動が停止した場合、所定時間が経過するまで給水ポンプの起動の停止を継続するのが好ましい。つまり、沸騰がおさまって危険な状態を脱するまで、ポンプの起動を停止した状態を維持するのである。
【0008】
本発明は、プラントの脱気器からボイラに水を給水する給水ポンプの制御装置として捉えることもできる。この制御装置は、第一のセンサで給水ポンプの入口側における水の温度を検出し、第二のセンサで、給水ポンプの入口側における水の圧力、脱気器内に貯まっている水の圧力、脱気器内に貯まっている水の温度、のうちの少なくとも一つを検出する。そして、第一のセンサおよび第二のセンサの検出値に基づき、制御部にて給水ポンプの起動を制御するのである。
このとき、制御部では、第二のセンサの検出値に基づいて給水ポンプの入口側で水が沸騰しない許容温度を求め、第一のセンサで検出した水の温度が許容温度を超えたときに、給水ポンプの起動を停止させるようにすることができる。
また、第二のセンサで脱気器内に貯まっている水の温度を検出するようにすれば、制御部では、第二のセンサの検出値と第一のセンサの検出値との差が、予め設定したしきい値より小さいときに、給水ポンプの起動を停止させるようにすることができる。このしきい値は、プラントの負荷に応じ、複数段階に設定する。このようにしきい値を予め設定しておくことで、リアルタイムに種々の計算等を行う場合に比べ、処理を簡易に行える。
【0009】
本発明は、脱気器からボイラに水を給水する給水ポンプを備えたプラントの制御方法であって、給水ポンプの入口側において水の温度を検出するステップと、検出された水の温度と給水ポンプの入口側で水が沸騰しない許容温度との差が、予めプラントの負荷に応じて複数段階に設定されたしきい値より小さいか否かに基づいて、給水ポンプの起動の可否を判定するステップと、給水ポンプの起動が否であると判定されたときに給水ポンプの起動を停止させるステップと、を備えることを特徴とするプラントの制御方法として捉えることもできる。
そして、給水ポンプの起動が否であると判定されたときに、給水ポンプの起動が否であることを示す情報を出力してもよい。この情報の出力は、モニタやインジケータ、スピーカやブザー等の出力手段で行うことができる。
【0010】
ところで、上記したようなプラントや給水ポンプの制御装置等の構成は、蒸気を発生させるボイラに水を供給する給水ポンプの入口側に、水の温度を検出する第一のセンサを取り付けるとともに、給水ポンプの入口側における水の圧力、給水ポンプの上流側に設けられた脱気器内に貯まっている水の圧力、脱気器内に貯まっている水の温度、のうちの少なくとも一つを検出する第二のセンサを取り付け、第一のセンサおよび第二のセンサの検出値に基づいて、給水ポンプの入口側でキャビテーションが生じそうなときに給水ポンプの起動を停止させる処理を実行するプログラムを導入することで実現できる。この場合、プラントは既設のものであっても良いし、新設のものであっても良い。このように、第一のセンサ、第二のセンサを取り付け、さらにプログラムをプラントの制御装置等にインストールすれば良いため、配管等を追加する場合に比較すれば容易な工事で上記構成を実現できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
図1は、本実施の形態における火力プラントの概略構成を説明するための図である。
この図1に示すように、火力プラント(プラント)10は、発電機11を駆動させるための蒸気タービン12、蒸気タービン12に送り込む蒸気を発生させるボイラ13、ボイラ13に送り込む水から溶存酸素を除去する脱気器14、蒸気タービン12の駆動源とされた蒸気を復水する復水器15、からなる蒸気サイクルを用いた概略構成となっている。
このうち、ボイラ13では、図1に示したように燃料を焚くことでこれを蒸気を発生するための熱源としても良いし、あるいはガスタービン等から送り込まれる高温の排ガスを熱源としてもよい。そしてこのボイラ13中に、プレヒータ16、ヒータ17、スーパヒータ18を備え、これら、プレヒータ16、ヒータ17、スーパヒータ18において水や蒸気を熱源と熱交換させるようになっている。
【0012】
また、脱気器14には、例えば3系統の給水ライン20A、20B、20Cが接続されている。これら給水ライン20A、20B、20Cには、ブースタポンプ21A、21B、21C、給水ポンプ22A、22B、22Cが設けられている。
なお、これら3系統の給水ライン20A、20B、20Cは、一部のみを稼動させ、残りを非稼動として予備系統として用いることができる。以下の説明では、例えば、給水ライン20A、20Bの給水ポンプ22A、22Bのみを稼動させ、給水ライン20Cの給水ポンプ22Cを非稼動とさせるものとする。
もちろんここで、給水ライン20A、20B、20Cは3系統に限るものではなく、他の系統数であっても良い。また、低圧、中圧、高圧等、圧力系統を分けることも可能である。その場合、各圧力系統毎に、上記と同様の構成を採用するのが好ましい。
【0013】
このような構成の火力プラント10において、復水器15から送り出された復水は、ボイラ13中に設けられたプレヒータ16で熱源との熱交換を行うことで予熱された後、脱気器14にて溶存酸素が除去される。そして、脱気器14から送り出された溶存酸素除去後の飽和水は、3系統の給水ライン20A、20B、20Cに分岐し、稼動中のブースタポンプ21A、21Bおよび給水ポンプ22A、22Bにて加圧される。なお、非稼動の給水ライン20Cには、脱気器14とブースタポンプ21Cの間、およびブースタポンプ21Cと給水ポンプ22Cとの間で、水が滞留することになる。
【0014】
給水ポンプ22A、22Bで加圧されて送り出された飽和水は、ボイラ13内のヒータ17で加熱され、蒸気を発生する。発生した蒸気は、気液分離ドラム19にて気化しなかった飽和水と分離し、スーパヒータ18にて過熱され、過熱蒸気として蒸気タービン12に送り込まれる。
この過熱蒸気は、蒸気タービン12を駆動することで仕事をし、仕事後の蒸気は復水器15にて復水される。
このようにして蒸気タービン12が駆動され、発電機11が駆動されるのである。
【0015】
なお、上記は火力プラントの構成のあくまでも一例を概略的に示したに過ぎず、例えば節炭器等、一部の機器類を省略している。したがって、上記に示した以外の機器類を追加した構成や、例えば低圧、中圧、高圧等、圧力系統毎にヒータ17、スーパヒータ18、気液分離ドラム19を備えること等が可能である。
【0016】
さて、本実施の形態では、上記のような構成の火力プラント10に、給水ライン20A、20B、20Cの、給水ポンプ22A、22B、22Cの上流側に、給水ポンプ22A、22B、22Cの入口における流体の温度を検出するポンプ入口温度センサ(第一のセンサ)30A、30B、30Cを備えた。また、脱気器14には、脱気器14内に貯まった水(以下、これを貯水と適宜称する)の温度を検出する脱気器温度センサ(第二のセンサ)31を備えた。なお、ポンプ入口温度センサ30A、30B、30Cおよび脱気器温度センサ31には、熱電対等を用いることができる。
【0017】
さらに、火力プラント10は、これらポンプ入口温度センサ30A、30B、30Cおよび脱気器温度センサ31での検出値に基づいて、給水ポンプ22A、22B、22Cの起動を制御する起動制御装置(図示無し:制御装置、制御部)を備える。
起動制御装置では、ポンプ入口温度センサ30A、30B、30Cおよび脱気器温度センサ31での検出値に基づき、給水ポンプ22A、22B、22Cの入口で、水が減圧沸騰した(しそうな)状態で給水ポンプ22A、22B、22Cを起動させないような制御を、予め設定されたプログラムに基づいて実行する。なお、起動制御装置では、ポンプ入口温度センサ30A、30B、30Cのそれぞれの検出値により、給水ポンプ22A、22B、22Cの起動を、それぞれ独立して制御する。
【0018】
図2は、起動制御装置における制御の流れの一例を示すものである。
起動制御装置では、予め決められた所定時間毎に、ポンプ入口温度センサ30A、30B、30Cでの検出値T1と脱気器温度センサ31での検出値T2を受け取る(ステップS101)。
【0019】
続いて、ポンプ入口温度センサ30A、30B、30Cのそれぞれについて、ポンプ入口温度センサ30A、30B、30Cでの検出値T1と脱気器温度センサ31での検出値T2に基づき、
T1−T2<α ………(1)
という、給水ポンプ22A、22B、22Cの起動条件である条件式(1)をクリアするか否かを確認する(ステップS102)。
ここで、αは、予め設定され、起動制御装置のメモリに記憶されたしきい値である。図3に示すように、このしきい値αは、火力プラント10の負荷に応じて設定され、一例を挙げれば、
75%<負荷≦100%のとき、α=5℃、
60%<負荷≦75%のとき、α=6℃、
32%<負荷≦60%のとき、α=7℃、
負荷≦32%のとき、α=12℃
等と設定することができる。
もちろんこのしきい値αは、より多段階に設定し、よりきめ細やかな制御を行うこともできるし、より少ない設定値、例えば負荷に関わらず一段階とすること等としても良い。
【0020】
ちなみに、上記したようなしきい値αは、脱気器温度センサ31で検出される脱気器14の貯水温度(検出値T1)と給水ポンプ22A、22B、22Cの入口における許容温度TLの差により設定される。なお、図3において、符号(A)は、脱気器温度センサ31で検出される脱気器14の貯水温度(検出値T1)、符号(B)は給水ポンプ22A、22B、22Cの入口における許容温度TLである。ここで、給水ポンプ22A、22B、22Cの入口における許容温度TLは、給水ポンプ22A、22B、22Cの入口における許容圧力PLの飽和温度として算出される。そして、給水ポンプ22A、22B、22Cの入口における許容圧力PLは、脱気器14内に貯水される水の液面圧力Pwと、静水頭Psと、脱気器14から給水ポンプ22A、22B、22Cに至る区間の給水ライン20A、20B、20Cにおける配管圧損Pfと、給水ポンプ22A、22B、22Cのインペラで昇圧する前に一時的に圧力降下分に相当する必要NPSHとに基づいて、下記の式(2)により予め算出できる。
許容圧力PL=(Pl+Pw−Pf)−必要NPSH ………(2)
【0021】
なお、脱気器14内に貯水される水の液面にかかる圧力Pwは、火力プラント10の変化させて事前に実測する必要があるが、静水頭Ps、配管圧損Pf、必要NPSHについては、脱気器14や給水ライン20A、20B、20C、給水ポンプ22A、22B、22Cの仕様等に基づいて算出できる。
【0022】
さて、上記のステップS102にて、条件式(1)にしきい値αを用いたのは、条件式(1)をクリアしない場合、給水ポンプ22A、22B、22Cの入口での温度と脱気器14の貯水温度の差がしきい値αよりも大きい場合には、減圧による沸騰が生じる可能性が高い状態であると判定できるからである。
このような状況の例としては、以下のようなものがある。すなわち、脱気器14内の圧力(圧力Pw)が下がると、低下した圧力に応じて飽和温度が低下し、これによって脱気器14内の貯水の温度 (検出値T2)が低下する。このような現象が生じた状態で、条件式(1)をクリアしないような状況が実現する。このとき、給水ライン20A、20B、20C内の水は、脱気器14側の圧力低下にともなって圧力が低下する。すると、給水ライン20A、20B、20C内の水、特に給水ポンプ22Cが非稼動の給水ライン20Cに滞留している水は、圧力が低下したにもかかわらず温度は低下しないため、圧力低下にともなって低下する飽和温度を上回り、給水ライン20C内で沸騰が生じてしまうのである。
【0023】
上記のようにして設定されるしきい値αを用い、起動制御装置では、上記のステップS102にて、条件式(1)をクリアし、給水ポンプ22A、22B、22Cの入口での温度(検出値T1)と脱気器14の貯水温度(検出値T2)との差が、しきい値αより小さい場合、つまり給水ポンプ22A、22B、22Cの入口での温度と脱気器14の貯水温度の差が小さく、減圧による沸騰が生じないと判定できる状態である場合、給水ポンプ22A、22B、22Cの起動を許可する(起動OK:ステップS103)。
【0024】
一方、上記のステップS102にて条件式(1)をクリアしない場合、つまり給水ポンプ22A、22B、22Cの入口での温度と脱気器14の貯水温度の差が大きく、減圧による沸騰が生じる可能性が高い状態である場合、起動制御装置では、給水ポンプ22A、22B、22Cの起動を許可しない(起動NG)。さらに減圧による沸騰が生じやすい状態であることを火力プラント10のオペレータ等に報知するためのアラームを、モニタやインジケータ、スピーカやブザー等の出力手段で発報する(ステップS104)。
【0025】
さらに、起動制御装置では、ステップS102にて条件式(1)をクリアしない場合、ステップS104に続き、内蔵したタイマーにて予め設定した時間が経過したか否かを判定する(ステップS105)。そして、予め設定した時間が経過した後、ステップS101に戻り、その時点で条件式(1)の起動条件をクリアしていれば、給水ポンプ22A、22B、22Cの起動を許可するようになっている(ステップS102〜S103)。
これは、前記したように、例えば脱気器14内の圧力が下がるにともなって、給水ライン20A、20B、22C内で水の圧力が低下したにもかかわらず、温度が低下しないために飽和温度を上回って給水ライン20A、20B、20C内で沸騰が生じた場合、給水ライン20A、20B、20C内に発生した蒸気により、給水ポンプ22A、22B、22Cの入口で、脱気器14からかかっていた圧力(水頭)が急激に減少する。すると、図4の符号(i)、(ii)で示した区間のように、圧力が減少した分、給水ポンプ22A、22B、22Cの入口の温度(検出値T1)が急激に下がる。
この瞬間、給水ポンプ22A、22B、22Cの入口の温度(検出値T1)と、脱気器14内の圧力低下にともなって低下した貯水温度(検出値T2)との差が小さくなり、実際には給水ポンプ22A、22B、22Cの入口で沸騰が生じていて危険な状態であるにもかかわらず、条件式(1)をクリアしてしまう。したがって、ステップS105の判定を実行せずにそのままステップS101に戻っていた場合には、給水ポンプ22A、22B、22Cの起動を許可してしまうことになる。
このような状態を回避するため、給水ポンプ22A、22B、22Cの入口で発生した蒸気が、温度低下して水に戻るのに要する十分な時間を予め設定することで、タイマーでこの設定時間が経過するまでステップS101に戻さないようにしたのである。
なお、この設定時間は、予め試運転時等に確認を行い、適宜設定すればよいが、初期値としては、例えば15分程度を設定すればよい。
【0026】
上述したように、火力プラント10において、脱気器14から送り出される水をボイラ13に送り込む給水ポンプ22A、22B、22Cの上流側にポンプ入口温度センサ30A、30B、30Cを設けるとともに、脱気器14に脱気器温度センサ31を設け、給水ポンプ22A、22B、22Cの入口温度と脱気器14の貯水温度に基づいて、起動制御装置で給水ポンプ22A、22B、22Cの起動を制御する構成とした。
これにより、沸騰した水が給水ポンプ22A、22B、22Cに流れ込むのを防止することができ、キャビテーションの発生による給水ポンプ22A、22B、22Cの破損等を確実に防止することができる。
しかも、上記のような構成は、ポンプ入口温度センサ30A、30B、30C、脱気器温度センサ31を追加し、さらに火力プラント10の制御プログラムに起動制御装置(図示無し)を実現するための処理を実行するプログラムを追加(導入)すればよいため、追加の配管等が不要であり、非常に低コストでの実現が可能である。また、実際の工事も、配管等を追加する場合に比較すれば遥かに短期間で済むため、特に既設の火力プラントへの適用も適している。
【0027】
さらに上記構成では、起動制御装置にて、給水ポンプ22A、22B、22Cの入口温度と脱気器14の貯水温度の差と、予め設定したしきい値αとの関係に基づき、給水ポンプ22A、22B、22Cの起動を制御するようにした。
もちろん、火力プラント10の稼動状況に応じて給水ポンプ22A、22B、22Cの入口における飽和温度をリアルタイムに求め、給水ポンプ22A、22B、22Cの入口温度が飽和温度に達しているか否かを判定することも可能であるが、飽和温度をリアルタイムで求めるには、多くの項目を計測しなければならず、センサ数が増えたり処理が複雑になってしまう。
これに対し、上記のように予め設定したしきい値αを用いることで、プログラムや処理を簡易なものとすることができるのである。
【0028】
さらに、起動制御装置では、一度、給水ポンプ22A、22B、22Cの起動を許可しない状態となった後、予め設定した時間が経過するまでは、給水ポンプ22A、22B、22Cの起動を許可しないようにした。これにより、特に火力プラント10の可動停止時等、脱気器14内の圧力が低下し、給水ポンプ22A、22B、22Cの入口で沸騰が生じるような状況で、起動を許可してしまうのを防ぐことができる。
【0029】
なお、上記実施の形態では、給水ポンプ22A、22B、22Cの入口温度と脱気器14の貯水温度を検出する構成としたが、給水ポンプ22A、22B、22Cの入口における沸騰が生じそうな状態を検出できるのであれば、他の項目を検出し、その検出値に基づいた制御を行うことも可能である。
例えば、上記実施の形態において脱気器14に設けた脱気器温度センサ31に代えて、図5に示すように、脱気器14において貯水にかかる圧力を検出する脱気器圧力センサ(第二のセンサ)40を設けるようにしても良い。
この場合、脱気器圧力センサ40で検出した圧力(検出値P1)と、上記実施の形態と同様に給水ポンプ22A、22B、22Cの上流側に設けたポンプ入口温度センサ30A、30B、30Cでの検出値T1に基づき、起動制御装置で給水ポンプ22A、22B、22Cの起動を制御する。
より詳しくは、脱気器圧力センサ40で検出した圧力(検出値P1)に基づき、給水ポンプ22A、22B、22Cでキャビテーションが発生する可能性のある圧力(これを許容圧力PLと称する)を求める。
これには、上記実施の形態で示した式(2)と同様の式(3)、
許容圧力PL=(P1+Pw−Pf)−必要NPSH ………(3)
を用いることができる。
そして、この許容圧力PLにおける飽和温度は、給水ポンプ22A、22B、22Cでキャビテーションが発生する可能性のある温度であるため、この飽和温度をボイラ入口における許容温度TLとし、ポンプ入口温度センサ30A、30B、30Cでの検出値T1が、
検出値T1<許容温度TL ………(4)
という条件式(4)を満たすかどうかを、起動制御装置が判定する。
その結果、条件式(4)を満たすのであれば、起動制御装置は給水ポンプ22A、22B、22Cの起動を許可し、条件式(4)を満たさない場合には、給水ポンプ22A、22B、22Cの起動を許可しないようにする。
このような判定処理は、図2に示した一連の処理のステップS102に代えて実行すれば良く、他の処理については上記実施の形態と同様とすることができる。
【0030】
他にも、上記実施の形態において脱気器14に設けた脱気器温度センサ31に代えて、図6に示すように、給水ポンプ22A、22B、22Cの上流側において圧力を検出するポンプ入口圧力センサ(第二のセンサ)50A、50B、50Cを設けるようにしても良い。
この場合、ポンプ入口圧力センサ50A、50B、50Cで検出した圧力と、上記実施の形態と同様に給水ポンプ22A、22B、22Cの上流側に設けたポンプ入口温度センサ30A、30B、30Cでの検出値T1に基づき、給水ポンプ22A、22B、22Cでキャビテーションが発生する可能性があるかどうかを判定し、起動制御装置で給水ポンプ22A、22B、22Cの起動を制御する。
【0031】
この他、上記実施の形態において、図1、図5、図6に示したように、給水ライン20A、20B、20Cに、給水ポンプ22A、22B、22Cの上流側から復水器15に接続されるブロー系統33A、33B、33Cを設ける構成とすることも、設置コストが上昇してしまうものの、可能ではある。この場合、上記のステップS104で給水ポンプ22A、22B、22Cの起動を許可しない場合に、ブロー系統33A、33B、33Cの制御バルブ34A、34B、34Cを開き、給水ライン20A、20B、20C内の沸騰水(あるいはそれに近い状態の水)を復水器15に戻すようにする。
なお、制御バルブ34A、34B、34Cを開く場合、火力プラント10が通常可動状態にあれば、給水ポンプ22A、22B、22Cの起動を許可しない状態が所定時間以上継続した場合に、制御バルブ34A、34B、34Cを開くようにするのが好ましい。また、火力プラント10の負荷が降下しているときには、起動許可条件の成立が厳しくなるため、制御バルブ34A、34B、34Cを強制的に開くようにしても良い。
【0032】
これ以外にも、火力プラント10の各部の構成や、起動制御装置における処理内容等、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、給水ポンプでキャビテーションが発生するような状況で給水ポンプを起動させないよう、制御するようにしたので、キャビテーションの発生による給水ポンプの破損等を確実に防止することができる。しかも、センサおよびプログラムによってこのような構成を実現できるので、追加の配管等が不要であり、非常に低コストでの実現が可能である。また、実際の工事も、配管等を追加する場合に比較すれば遥かに短期間で済むため、特に既設のプラントへの適用も適している。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施の形態における火力プラントの構成を示す図である。
【図2】 給水ポンプの起動を制御する処理の流れを示す図である。
【図3】 火力プラントの負荷と制御に用いるしきい値との関係、脱気器貯水温度と給水ポンプ入口許容温度の関係を示す図である。
【図4】 脱気器の圧力低下時における給水ポンプの入口温度の変化を示す図である。
【図5】 火力プラントの他の一例を示す図である。
【図6】 火力プラントのさらに他の一例を示す図である。
【符号の説明】
10…火力プラント(プラント)、13…ボイラ、14…脱気器、15…復水器、17…ヒータ、20A、20B、20C…給水ライン、22A、22B、22C…給水ポンプ、30A、30B、30C…ポンプ入口温度センサ(第一のセンサ)、31…脱気器温度センサ(第二のセンサ)、40…脱気器圧力センサ(第二のセンサ)、50A、50B、50C…ポンプ入口圧力センサ(第二のセンサ)、α…しきい値
Claims (8)
- 蒸気を用いるプラントであって、
蒸気サイクルで蒸気を発生させるボイラと、
前記ボイラに水を供給する給水ポンプと、
前記給水ポンプに溶存酸素を除去した水を供給する脱気器と、
前記給水ポンプの入口側でキャビテーションが生じそうなときに前記給水ポンプの起動を停止させる制御装置と、を備え、
前記制御部は、前記脱気器内に貯まっている水の温度の検出値と前記給水ポンプの入口側における前記水の温度の検出値との差が、予め前記プラントの負荷に応じて複数段階に設定されたしきい値より小さいときに、前記給水ポンプの起動を停止させることを特徴とするプラント。 - 前記制御装置は、前記給水ポンプの入口側の温度の検出値と、当該給水ポンプの入口側においてキャビテーションが生じない温度領域に設定した許容温度とに基づいて、前記給水ポンプの起動を停止させることを特徴とする請求項1に記載のプラント。
- 前記制御装置は、前記脱気器内に貯水された水の圧力または温度が低下し、かつ前記給水ポンプの起動が停止した場合、所定時間が経過するまで当該給水ポンプの起動の停止を継続することを特徴とする請求項1または2に記載のプラント。
- プラントの脱気器からボイラに水を給水する給水ポンプの制御装置であって、
前記給水ポンプの入口側における前記水の温度を検出する第一のセンサと、
前記給水ポンプの入口側における前記水の圧力、前記脱気器内に貯まっている水の圧力、前記脱気器内に貯まっている水の温度、のうちの少なくとも一つを検出する第二のセンサと、
前記第一のセンサおよび前記第二のセンサの検出値に基づき、前記給水ポンプの起動を制御する制御部と、を備え、
前記第二のセンサは、少なくとも前記脱気器内に貯まっている水の温度を検出し、
前記制御部は、前記第二のセンサの検出値と前記第一のセンサの検出値との差が、予め前記プラントの負荷に応じて複数段階に設定されたしきい値より小さいときに、前記給水ポンプの起動を停止させることを特徴とする給水ポンプの制御装置。 - 前記制御部は、前記第二のセンサの検出値に基づいて前記給水ポンプの入口側で前記水が沸騰しない許容温度を求め、前記第一のセンサで検出した前記水の温度が前記許容温度を超えたときに、前記給水ポンプの起動を停止させることを特徴とする請求項4に記載の給水ポンプの制御装置。
- 脱気器からボイラに水を給水する給水ポンプを備えたプラントの制御方法であって、
前記給水ポンプの入口側において前記水の温度を検出するステップと、
検出された前記水の温度と前記給水ポンプの入口側で前記水が沸騰しない許容温度との差が、予め前記プラントの負荷に応じて複数段階に設定されたしきい値より小さいか否かに基づいて、前記給水ポンプの起動の可否を判定するステップと、
前記給水ポンプの起動が否であると判定されたときに、当該給水ポンプの起動を停止させるステップと、
を備えることを特徴とするプラントの制御方法。 - 前記給水ポンプの起動が否であると判定されたときに、当該給水ポンプの起動が否であることを示す情報を出力させるステップ、
をさらに備えることを特徴とする請求項6に記載のプラントの制御方法。 - 前記給水ポンプの起動が否であると判定された場合、所定時間が経過するまで前記給水ポンプの起動を停止させる状態を維持させることを特徴とする請求項6または7に記載のプラントの制御方法。
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