JP4119140B2 - 基板モデル作成装置及び方法、並びに基板ノイズ解析装置及び方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板モデル作成装置及び方法、並びに基板ノイズ解析装置及び方法に関し、更に詳しくは、半導体集積回路の基板領域の寄生素子の影響を含めた回路シミュレーションを可能とする基板モデル作成装置及び方法、並びに基板ノイズ解析装置及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体集積回路は、1つの半導体基板上に、複数の回路素子や配線が作りこまれ、所定の機能を有するブロックの集合として構成される。半導体集積回路では、半導体基板の回路パターンが形成されていない部分が寄生素子として働き、あるブロックで発生したノイズが、他のブロックに伝播し、このブロックの動作に影響を与えることが知られている。特に、アナログ回路とディジタル回路とが混載される半導体集積回路では、ディジタル回路ブロックで発生したノイズが、アナログ回路ブロックに伝わって影響を与え、動作の不具合を引き起こすことがある。このため、アナログ・ディジタル混載の半導体集積回路を設計する際には、半導体基板を伝達するノイズの影響を計算し、ノイズの影響で不具合が生じないように設計する必要がある。
【0003】
半導体基板を伝播する基板ノイズの影響を計算するものとして、文献(Balshaz R. Stanisic, Nishath K. Verghese, RobA. Rutenbar, L.Richard Carleyand, David J. Allistot, "Addressing Substrate Coupling Mixed-Mode IC's: Simulation and Power Distribution Synthesis, "IEEE Journal of Solid-State Circuit, Vol.9, No.3, pp.226-238, March 1994)には、半導体集積回路の半導体基板を複数のメッシュに分割し、メッシュ分割された各セルを抵抗成分と静電容量成分とで模擬して得られた基板モデルを、”SPICE”に代表される回路シミュレータで分析する技術が記載されている。
【0004】
図21は、上記した従来のシミュレーションに用いる半導体基板の基板部分をメッシュ状に分割した基板モデルを模式的に示している。また、図22は、図21のように分割された基板モデルの単位セルモデル201の詳細を示している。図21に示す例では、基板モデルは、x方向に5分割、y方向に4分割、z方向に3分割と、等分に分割され、合計60個の単位セルモデル201の集合として表現される。それぞれの単位セルモデル201は、図22に示すように、7つのノードN0〜N6と、6つの抵抗要素203とからなる。
【0005】
7つのノードは、単位セルモデルの中心のノードN0と、立方体形状の6つの表面のそれぞれの中心点のノードN1〜N6から構成される。6つの抵抗要素203は、ノードN0と、ノードN1〜N6のそれぞれとの間の等価的な抵抗成分及び容量成分が並列に接続された構造からなる。ここで、抵抗要素203は、基板の抵抗率と誘電率との関係から定まる誘電緩和時間が、回路の扱う信号の速度に比べて十分に短い場合には、その容量成分を省略して抵抗成分のみで近似することが可能である。
【0006】
抵抗要素203は、その抵抗成分のみを考えると、半導体基板の抵抗率をρとし、単位セルモデル201の各辺の長さをdx、dy、dzとすると、次式より算出される。
Rx=ρ・dx/(2・dy・dz)
Ry=ρ・dy/(2・dx・dz) 式(1)
Rz=ρ・dz/(2・dx・dy)
ただし、式(1)のRx,Ry,Rzは、それぞれ図21のx、y、z軸方向の抵抗成分を表し、RxはノードN0とノードN2、N4との間のそれぞれの抵抗要素203の抵抗値を、RyはノードN0とノードN3、N5との間の抵抗要素203の抵抗値を、RzはノードN0とノードN1、N6との間の抵抗要素203の抵抗値を表している。半導体基板は、ウェル、拡散層、又は、エピタキシャル層などによって構成されるため、場所によってその抵抗値が異なる。従って、単位セルモデル201は、その場所の抵抗値に応じて、抵抗要素203の抵抗値が計算される。
【0007】
図23は、図21の半導体基板の等価回路を示している。半導体基板を抵抗成分からなる単位セルモデル201の集合として表現することで、図23に示すような抵抗成分がメッシュ接続された等価回路が得られる。この等価回路が、ディジタル回路ブロックと、アナログ回路ブロックとから構成される半導体装置の等価回路である場合には、ディジタル回路ブロック内のあるノードで発生したノイズが、アナログ回路ブロック内のノードへどのように伝播するかを、回路シミュレータを用いて計算するで、ディジタル回路のノイズが、アナログ回路に及ぼす影響を計算によって予測することが可能となる。
【0008】
上記した基板ノイズの解析モデルは、精度の高い計算ができるが、ノード数が多いほど、シミュレーションにかかる時間が長くなるという欠点がある。この欠点を克服するものとして、特願2001−010359(インピーダンス網モデルの作成方法)では、基板モデル作成時の単位セルの大きさを局所的に変化させることにより、ノード数を削減する方法が提案されている。
【0009】
図24は、シミュレーションの対象の半導体集積回路の断面を示している。半導体集積回路は、基板113上に、ウェル111、拡散層112が形成されている。例えば、上記先願の方法を使用して、同図に示す半導体集積回路の基板をモデル化する場合について考える。図25は、図24の半導体集積回路をモデル化した例であり、(a)はセル分割の様子を、(b)は等価回路を示している。同図(a)に示すように、上記先願では、ウェル111及び拡散層112を含む部分は、基板領域のセルよりも小さなセルでモデル化し、基板領域113の領域では、ウェル及び拡散層の領域よりも大きなセルでモデル化する。
【0010】
図25(b)は、同図(a)のようにメッシュ分割したセルのノード間を抵抗素子で表した等価回路を示している。この等価回路を、回路シミュレータ等で解析することで、あるノードが他のノードに対して与える影響を、計算によって求めることができる。この例では、細かな解析を要する箇所は小さなセルでモデル化し、細かな解析を要しない箇所は大きいセルでモデル化する。このため、解析するノード数を減少して、回路シミュレータの計算を簡易にしながらも、所望の箇所では細かな解析が可能になる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記先願では、半導体集積回路の箇所によって、モデル化するセルのサイズが異なるため、サイズの異なるセルが相互に接する部分においては、例えば図25(b)に示すノードAからノードBに至るルートを考えると、ノードAから拡散層内のノードを通過してBに至るルートと、ノードAからノードPを経由してBに至るルートができる。これは、サイズの大きなセルの1つに対して、そのセルに接するサイズの小さなセルが複数あるために、それらのセル間のノードが、同図(b)のノードPからノードA及びBなどに向かって斜め方向に接続されるためである。
【0012】
メッシュ分割によっては、ノードAからノードPを経由してノードBに至るルートが、低インピーダンスな電流経路(以降このような電流経路をショートカットパスと呼ぶ)となり、ショートカットパスの影響が無視できなくなる。ショートカットパスは、主にウェル構造のシート抵抗に影響を与え、回路解析の精度を低下させる。従来のモデル化方法においては、このショートカットパスの影響を予測する手段は知られていなかった。
【0013】
本発明は、半導体集積回路を複数のサイズを有するセルにメッシュ分割して得られた基板モデルを解析する際に、ショートカットパスが解析精度に与える影響を予測して、解析精度の低下が発生するか否かを判定し、解析の精度を高める基板モデル作成装置及び方法、並びに基板ノイズ解析装置及び方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の基板モデル作成装置は、半導体集積回路における基板部分を、複数種類のサイズを持つセルにメッシュ分割し、各セルを1個以上の抵抗素子から成る、又は、抵抗素子及び容量素子から成るインピーダンス要素に模擬することで、前記基板部分を等価回路でモデル化する基板モデル作成装置であって、前記メッシュ分割に際して分割の妥当性を判定する判定手段を備え、該判定手段は、第1のサイズを有する複数の第1セル領域と、該第1セル領域に隣接し前記第1のサイズよりも大きな第2のサイズを有する1つの第2セル領域との間の境界と平行なインピーダンスを、前記第1のセル領域を表現する第1のインピーダンスとして算出し、前記第1のセル領域と前記第2のセル領域との間の接続を表現する第2のインピーダンスを算出し、前記第1のインピーダンスと前記第2のインピーダンスとの比率と、モデル精度に関連づけられた所定値とを比較することにより、基板モデルが所望の解析精度を満足するか否かの判定を行うことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の基板モデル作成方法は、半導体集積回路における基板部分を、複数種類のサイズを持つセルにメッシュ分割し、各セルを1個以上の抵抗素子から成る、又は、抵抗素子及び容量素子から成るインピーダンス要素に模擬することで、前記基板部分を等価回路でモデル化する基板モデル作成方法であって、第1のサイズを有する複数の第1セル領域と、該第1セル領域に隣接し前記第1のサイズよりも大きな第2のサイズを有する1つの第2セル領域との間の境界と平行なインピーダンスを、前記第1のセル領域を表現する第1のインピーダンスとして算出し、前記第1のセル領域と前記第2のセル領域との間の接続を表現する第2のインピーダンスを算出し、前記第1のインピーダンスと前記第2のインピーダンスとの比率(以下抵抗比と呼ぶ)と、モデル精度と関連づけられた所定値とを比較することにより、基板モデルが所望の解析精度を満足するか否かの判定を行うことを特徴とする。
【0016】
本発明の基板モデル作成装置及び基板モデル作成方法では、異なるセルサイズにメッシュ分割したことによって問題となる、サイズが異なるセル間を接続する低インピーダンスな電流経路であるショートカットパスの影響の大きさを、複数の小さなサイズのセル間の基板抵抗が、その複数の小さなサイズのセルに接する、1つの大きなサイズのセルを通る電流経路の存在によって減少する割合によって求める。基板抵抗の減少率は、小さなサイズのセルの中心と大きなサイズのセルとの中心間の抵抗値を算出し、これと小さなサイズのセルの合計の抵抗値との比率である抵抗比によって求めることができる。基板抵抗減少率が、所望の値以下となる抵抗比の値をあらかじめ求めておき、メッシュ分割によって得られた抵抗比と、予め求めておいた抵抗比とを比べることで、ショートカットパスの影響を判断する。このため、得られた基板モデルの解析精度が所望の精度を満たすか否かを、簡易に判定することができる。
【0017】
本発明の基板モデル作成装置は、半導体集積回路における基板部分を、複数種類のサイズを持つセルにメッシュ分割し、各セルを1個以上の抵抗素子から成る、又は、抵抗素子及び容量素子から成るインピーダンス要素に模擬することで、前記基板部分を等価回路でモデル化する基板モデル作成装置であって、第1のサイズを有する複数の第1セル領域と、該第1セル領域に隣接し前記第1のサイズよりも大きな第2のサイズを有する1つの第2セル領域との間の境界がpn接合を形成する際には、前記第1のセル領域の夫々と前記第2のセル領域との間の接続を、前記第1のセルのインピーダンス要素で定まるインピーダンスと、pn接合で定まる容量素子と、前記第2のセル領域のインピーダンス要素で定まるインピーダンスとの直列接続で表現することを特徴とする。
【0018】
本発明の基板モデル作成方法は、半導体集積回路における基板部分を、複数種類のサイズを持つセルにメッシュ分割し、各セルを1個以上の抵抗素子から成る、又は、抵抗素子及び容量素子から成るインピーダンス要素に模擬することで、前記基板部分を等価回路でモデル化する基板モデル作成方法であって、第1のサイズを有する複数の第1セル領域と、該第1セル領域に隣接し前記第1のサイズよりも大きな第2のサイズを有する1つの第2セル領域との間の境界がpn接合を形成する際には、前記第1のセル領域の夫々と前記第2のセル領域との間の接続を、前記第1のセルのインピーダンス要素で定まるインピーダンスと、pn接合で定まる容量素子と、前記第2のセル領域のインピーダンス要素で定まるインピーダンスとの直列接続で表現することを特徴とする。
【0019】
本発明の基板モデル作成装置及び基板モデル作成方法では、異なるセルサイズにメッシュ分割したときに、複数の小さなサイズのセルと、その複数の小さなサイズのセルに接する、1つの大きなサイズのセルとがpn接合を形成する際には、小さなサイズのセルのインピーダンス要素と、大きなサイズのインピーダンス要素を小さなサイズのセルの数で並列に分割したインピーダンス要素とを、静電容量素子を介して、小さなサイズのセルと大きなサイズのセルとをそれぞれ接続したモデルを作成する。この場合、複数の小さなサイズのセルのインピーダンス要素を並列接続したものと、大きなサイズのセルの1つのインピーダンス要素とを、1つの静電容量素子を介して接続するのに比べて、ショートカットパスの影響が小さくなる。
【0020】
本発明の基板モデル作成装置は、半導体集積回路における基板部分を、複数種類のサイズを持つセルにメッシュ分割し、各セルを1個以上の抵抗素子から成る、又は、抵抗素子及び容量素子から成るインピーダンス要素に模擬することで、前記基板部分を等価回路でモデル化する基板モデル作成装置であって、サイズが異なるセル相互の接続部分を模擬するインピーダンス要素のインピーダンスを重み付けする補正を行うことを特徴とする。
【0021】
本発明の基板モデル作成方法は、半導体集積回路における基板部分を、複数種類のサイズを持つセルにメッシュ分割し、各セルを1個以上の抵抗素子から成る、又は、抵抗素子及び容量素子から成るインピーダンス要素に模擬することで、前記基板部分を等価回路でモデル化する基板モデル作成方法であって、サイズが異なるセル相互の接続部分を模擬するインピーダンス要素のインピーダンスを重み付けする補正を行うことを特徴とする。
【0022】
本発明の基板モデル作成装置及び基板モデル作成方法では、異なるセルサイズにメッシュ分割したことによって問題となるショートカットパスに対して、ショートカットパスを構成するインピーダンスに重み付けをする。この場合、重み付けを適切に行うことで、ショートカットパスの影響の大きさを小さくすることができる。
【0023】
本発明の基板ノイズ解析装置は、基板モデル作成装置が作成した基板モデルに対し、基板上に作りこまれた機能回路のネットリストを結合して回路シミュレーションを行うことを特徴とする。
【0024】
本発明の基板ノイズ解析方法は、基板モデル作成装置が作成した基板モデルに対し、基板上に作りこまれた機能回路のネットリストを結合して回路シミュレーションを行うことを特徴とする。
【0025】
本発明の基板ノイズ解析装置及び基板ノイズ解析方法では、本発明のいずれかの基板モデル作成装置又は基板モデル解析方法により作成された基板モデルを使用して、回路シミュレーションを行う。このため、精度の良い回路シミュレーションを簡易に実現する。
【0026】
本発明の基板モデル作成装置では、前記判定手段が、所望の解析精度サイズを満足しないと判定すると、メッシュサイズを変更して再度メッシュ分割を行うことが好ましい。この場合、メッシュ分割の修正を再度行うことで、ショートカットパスの影響を小さくすることができる。
【0027】
また、本発明の基板モデル作成装置は、前記抵抗比と前記所定値との違いに依存してメッシュ分割サイズを修正することが好ましい。この場合、抵抗比はセルのサイズに依存して定まるため、メッシュ分割サイズを、所望の基板抵抗減少率となる抵抗比にあわせて設定する。このため、ショートカットパスの影響が小さい基板モデルを簡易に作成することができる。
【0028】
本発明の基板モデル作成装置では、前記メッシュ分割に際して分割の妥当性を判定する判定手段を備え、該判定手段は、前記第1セル領域と前記第2セル領域との間の境界と平行なインピーダンスを、前記第1のセル領域を表現する第1のインピーダンスとして算出し、前記第1のセル領域と前記第2のセル領域との間の接続を表現する第2のインピーダンス要素を算出し、前記第1のインピーダンス要素と前記第2のインピーダンス要素との比率と、モデル精度と関連づけられた所定値とを比較することにより、基板モデルが所望の解析精度を満足するか否かの判定を行うことが好ましい。この場合、基板抵抗減少率が所望の値以下となる抵抗比の値をあらかじめ求めておき、メッシュ分割によって得られた抵抗比と、予め求めておいた抵抗比とを比べることで、ショートカットパスの影響を判断する。このため、得られた基板モデルの解析精度が所望の精度を満たすか否かを、簡易に判定することができる。
【0029】
本発明の基板モデル作成装置では、前記重み付けは、隣接するセルの中心間の距離に比例することが好ましい。この場合、経路長が長いショートカットパスは、経路長が短いショートカットパスよりも、重み付けによりインピーダンスが高くなるため、ショートカットパスの影響が小さくなる。
【0030】
本発明の基板モデル作成装置は、前記抵抗比と前記所定値との違いに依存して、サイズが異なるセル相互の接続部分を模擬するインピーダンス要素のインピーダンスを重み付けする補正を行うことが好ましい。
ショートカットパスの影響が大きいと判断されたときには、ショートカットパスを構成するインピーダンス要素に重み付けをすることもできる。この場合、重み付け後の基板モデルでは、同じメッシュ分割であっても、重み付け前と比較して、基板抵抗減少率は低い値となる。このため、メッシュ分割を再度行わなくても、ショートカットパスの影響を低くすることができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態例に基づいて、本発明を更に詳細に説明する。
【0032】
(第1の実施形態例)
本発明の第1の実施形態例の基板モデル作成方法及び基板ノイズ解析方法の説明に先立って、本実施形態例の基板モデル作成方法及び基板ノイズ解析方法がどのような手法により、ショートカットパスの影響を判断するのかについて説明する。図1は、半導体集積回路の基板モデルであり、(a)は基板モデルのセル分割の様子を、(b)、(c)、(d)はそれぞれセル分割における等価回路を示している。便宜上、l方向を横方向、w方向を奥行き方向、h方向を高さ方向と呼ぶ。また、直方体の端面のh方向の面を上面及び下面と呼ぶ。
【0033】
半導体基板のモデルは、例えば、抵抗率がρ1のウェル領域と、抵抗率がρ2の基板領域を模しているものとする。基板モデルのセル分割においては、同図(a)に示すように、比較的微細な構造を含むウェル領域は、それぞれが(w×h1×l/5)のサイズを有する、5つの小さなセル101に分割され、基板領域は、(w×h2×l)のサイズを有する大きなセル102に分割される。セル101は、紙面横方向に直列に接続され、セル102の上面は、5つのセル101の下面とそれぞれ接している。
【0034】
図1(a)のようにセル分割された半導体集積回路の基板モデルを、等価回路に変換すると、同図(b)のような等価回路が得られる。セル101及び102は、それぞれが図21に示す単位セルモデル201と同様の構成を持つ。各セル101の中心のノード間を接続する横方向の抵抗値R1は、次式によって計算される。
【数1】
【0035】
縦方向の、セル102の中心のノードPとそれぞれのセル101の中心のノードを接続する斜め方向の抵抗R2は、セル102の領域の成分と、それぞれのセル101の領域の成分とに分けて考えるとよい。このとき、図1(c)に示すように、セル101の抵抗成分R2aを並列に接続し、これとセル102の抵抗成分R2bとを直列に接続するモデルを考えると、端子Aから端子Bに至る電流経路に、ノードPを経由しない経路ができる。この経路は、2つの抵抗R2aを介して端子Aと端子Bを接続するため、端子AB間を低インピーダンスな電流経路で接続するショートカットパスとなる。このような等価回路を用いると、ショートカットパスの影響が大きくなり、解析精度が低下する。そこで、同図(d)に示すように、セル102の抵抗成分R2bを複数にわけ、それらを、それぞれの抵抗成分R2aに直列に接続するモデルを考える。このモデルでは、端子Aから端子Bに至る経路に、ノードPを経由しない経路が存在しないため、同図(c)示すモデルよりも、ショートカットパスの影響が小さくなる。
【0036】
図1(b)の抵抗R2は、セル102の領域の成分R2bと、セル101の抵抗成分R2aの和となり、次式により計算される。
【数2】
ただし、nは、セル101の個数であり、図1の例では、n=5である。このとき、ノードPに対して、図1(b)に示す等価回路以外に外部からの電流の出入りが無ければ、ショートカットパスが存在する場合の端子A−B間の合成抵抗RSは次式によって計算される。
【数3】
ここで、γは、
【数4】
である。なお、式(1.3)の算出については、後で説明する。
【0037】
一方、ショートカットパスが無い場合には、端子Aから端子Bに至る経路にはノードPを経由する経路がないため、端子AB間の合成抵抗RABは、
【数5】
となる。ここで、ショートカットパスがある場合とない場合との、端子AB間の合成抵抗の比をとり、ショートカットパスによる基板抵抗の減少率をEとすると、基板抵抗減少率Eは次式により計算される。
【数6】
式(1.6)からショートカットパスがある場合の抵抗値RSと、ない場合の抵抗値RABとの比が1に近ければ、基板抵抗減少率Eが十分に小さいとなり、ショートカットパスの影響が小さいと言える。
【0038】
図2は、図1(b)の等価回路のうち、ノードPに接続された抵抗R2のみを示している。ショートカットパスの影響が大きくなるのは、端子AB間の抵抗値に比べて、ショートカットパスを構成する領域である、図2に点線で示される面Cと面Dとの間の領域の抵抗値が低い場合であると予想される。面CD間の抵抗値は、
【数7】
で計算される。また、ショートカットパスが無い場合の端子A−B間の抵抗RABは前述のように式(1.5)で求められる。式(1.5)をR1について書き直し、また、式(1.2)と式(1.7)の関係から次式が得られる。
R1=RAB/n (1.8)
R2=n・RCD (1.9)
つまり、RCDが小さくなるとR2も小さくなるために、ショートカットパスの影響が大きくなる。
【0039】
ここで、式(1.3)と(1.8)とを式(1.6)に代入して、ショートカットパスによる基板抵抗減少率Eを求めると、
【数8】
となる。また、このとき抵抗RCDとRABとの比を抵抗比xとおくと、式(1.5)と式(1.7)から
【数9】
となり、抵抗比xはセルのサイズ及び抵抗率ρ1、ρ2に依存することがわかる。γは、抵抗比xを用いて、
【数10】
と表せる。式(1.10)及び式(1.12)から、基板抵抗減少率Eは、抵抗比xとセル数nのみに依存することがわかる。このため、ショートカットパスの影響は、抵抗比xとセル数nのみで算出できると考えてよい。
【0040】
図3は、基板抵抗減少率Eと抵抗比x、セル数nとの関係を求めた結果をグラフとして示している。同図に示すように、基板抵抗減少率Eは、セル数nが変化してもほとんど影響を受けない。このため、基板抵抗減少率Eは、ほぼ抵抗比xのみによって算出できると言える。セル分割に当たって、抵抗比xは、前述のように、セルのサイズ及び抵抗率ρ1、ρ2に依存するが、抵抗率ρ1、ρ2は解析対象の領域に固有なものであるため、セルのサイズのみに依存すると言える。図4は、図3のグラフから、基板抵抗の減少率が、それぞれ5%,10%,20%,30%以下になる抵抗比xの最小値xminを求め、これを表として示している。例えば、ショートカットパスによる基板抵抗減少率Eを10%以下にしたい場合には、図4を参照するとこのときのxminは0.74であるため、
x>xmin (1.13)
となる抵抗比xを有するセルに分割すればよい。
【0041】
なお、式(1.5)及び式(1.7)では、RAB及びRCDは、容量成分を省略し、その抵抗成分のみで近似しているが、図21に示す単位セルモデル201で説明したように、本来抵抗要素は、抵抗素子と容量素子とが並列に接続された構造である。回路が扱う信号が、半導体基板の誘電緩和時間よりも高速な場合には、上記容量素子の影響が顕著になる。このため、RABとRCDのそれぞれに上記容量素子を並列接続させた構造のインピーダンスZABとZCDとを求め、ZABとZCDとのインピーダンス比xからショートカットパスの影響を求めることで、より高精度に基板抵抗減少率、つまり、解析誤差を求めることが可能になる。
【0042】
図5は、本発明の第1の実施形態例の基板ノイズ解析装置を、その動作手順を示すフローチャートを兼用して示している。以下、同図を参照して、本発明の第1の実施形態例の基板モデル作成方法、基板モデル作成装置、基板ノイズ解析方法、及び、基板ノイズ解析装置について説明する。本実施形態例の基板モデル作成装置及び基板ノイズ解析装置は、少なくとも、キーボード等の入力装置11と、プログラム制御により動作するデータ処理装置12と、情報を記憶する記憶装置13と、ディスプレイ装置や印刷装置等の出力装置13とを備えるコンピュータシステムにより構成される。
【0043】
記憶装置13は、レイアウトデータ記憶部15と、デバイスパラメータ記憶部16と、基板モデルネットリスト記憶部17とを備え、データ処理装置12にデータを入出力する。データ処理装置12は、メッシュ分割手段18と、メッシュ分割の妥当性判定手段19と、メッシュ分割修正手段20と、ネットリスト変換手段21と、回路シミュレーション手段22とを備え、図示しないソフトウェアプログラムに基づいて動作する。入力装置11は、データ処理装置12に解析者等が与えるべきコマンド等を入力する。出力装置は、シミュレーションによって得られた結果などを出力する。
【0044】
メッシュ分割手段18は、レイアウトデータ記憶部15に記憶されている、解析対象の半導体集積回路のレイアウトデータと、デバイスパラメータ記憶部16に記憶されている、半導体基板各部の抵抗率や容量パラメータなどのデバイスパラメータとを入力し、それらをもとに基板をメッシュ分割する。メッシュ分割の妥当性判定手段19は、上述の手法に基づいて、ショートカットパスが解析精度低下の原因となるか否かを判定し、メッシュ分割パターンが妥当なものか否かの判定を行う。
【0045】
メッシュ分割修正手段20は、メッシュ分割パターンが妥当でないと判定された場合には、メッシュ分割パターンを修正する。ネットリスト変換手段21は、メッシュ分割された基板を、基板上に構成される回路のネットリストへと変換し、メッシュ分割パターンとネットリストとを、基板モデルネットリスト記憶部17に出力する。シミュレーション手段22は、生成された基板モデルを用いて回路シミュレーションを行い、基板ノイズを解析する。
【0046】
次に、本実施形態例の基板モデル作成方法及び基板ノイズ解析方法について説明する。メッシュ分割手段18は、レイアウトデータとデバイスパラメータとを入力し、基板のメッシュ分割パターンを得る(ステップS1)。ステップS1は、コンピュータシステムが自動的に行ってもよいし、解析者が手動で行ってもよい。メッシュ分割の妥当性判定手段19は、ステップS1で得られたメッシュ分割パターンの抵抗比xと、要求される解析精度によって、例えば図4の関係で、定まるxminとを比較して、式(1.13)の条件を満たすか否かを判断する(ステップS2)。
【0047】
条件を満たさないと判断した場合、つまり抵抗比xがxmin未満のため、ショートカットパスによる基板抵抗の減少が無視できなくなり、解析精度が低下すると判断した場合には、メッシュ分割修正手段20は、メッシュ分割パターンの修正を行い(ステップS3)、ステップS2に戻って、修正したメッシュ分割パターンで判断をやり直す。ステップS2で、条件を満たすと判断されると、ネットリスト変換手段21は、メッシュ分割パターンを、ネットリストに変換し、メッシュ分割パターンとネットリストとを、基板モデルとして基板モデルネットリスト記憶部17に出力する(ステップS4)。
【0048】
ステップS1からステップS4までの処理によって、基板モデルが作成され、作成された基板モデルを用いて基板ノイズの解析が可能になる。シミュレーション手段22は、任意のときに、基板モデルネットリスト記憶部17からメッシュパターン及びネットリストを読み込んで、メッシュパターンに、基板上に構成される回路のネットリストを結合して回路シミュレーションを行い、基板ノイズが回路の動作に与える影響を求める(ステップS5)。
【0049】
ステップS3でのメッシュ分割の修正は、図1のメッシュ分割で考えると、前述の式(1.11)で示したように抵抗比xはセルのサイズに依存するため、l又はh2を調節することで、抵抗比xをxmin未満の値となるようにする。例えばh2を調節する場合で考えると、h2は、式(1.11)のxをxminに置き換えてh2について解くと、
【数11】
となる。また、lを調節する場合を考えると、同様にして、lについて解くと、
【数12】
となる。l又はh2をこのように調節することで、基板抵抗減少率を所望の値以下にするメッシュ分割が得られる。
【0050】
ステップS4では、多端子F行列(村坂 住隆,永田 真,森江 隆,岩田 穆,“F行列を用いたチップレベルの基板雑音解析法” 信学技報ICD99-147,1999年9月)や、AWE法(Balshaz R. Stanisic, Nishath K. Verghese,Rob A. Rutenbar, L.Richard Carleyand, David J. Allistot, "AddressingSubstrate Coupling Mixed-Mode IC's: Simulation and Power DistributionSynthesis," IEEE Journal of Solid-State Circuit, Vol.9, No.3, pp.226-238,March 1994)等のアルゴリズムを用いて、ネットリストの縮退を行うことができる。ステップS3では、メッシュ分割の修正を行って、そのメッシュサイズが変化するが、メッシュ構造自体が変わるものではないので、ステップS4でネットリストを縮退するアルゴリズムを適用することができる。
【0051】
本実施形態例では、半導体集積回路の基板部分を、メッシュ状の、サイズが異なるセルを組み合わせて分割することでモデル化する基板モデルにおいて、大きい方のセル側と小さい方のセル側の抵抗比を用いて、ショートカットパスが解析精度に与える影響を予測する。ショートカットパスの影響が大きいと予想されるときには、基板モデルのメッシュ分割が適当でないと判断して、抵抗比が所定の値未満になるように、セルの大きさを修正する。このため、サイズが異なるセルに分割することにより問題となるショートカットパスの影響を低く抑えた基板モデルを、簡易に作成することができる。このような基板モデルを、回路シミュレータなどで解析すると、計算規模を縮小しても、解析の精度に大きな問題が生じない。
【0052】
(第2の実施形態例)
図6は、半導体集積回路の基板モデルを示しており、(a)は基板モデルのセル分割を、(b)セル分割の等価回路を示している。図6に示す基板モデルは、セル101を高さ方向に3分割している点で、図1の基板モデルと相違する。本発明の第2の実施形態例の基板モデル作成方法及び基板ノイズ解析方法は、基板モデルのメッシュ分割の仕方を除いて、第1の実施形態例の基板モデル作成方法及び基板ノイズ解析方法と同様である。
【0053】
セル101の横方向のセル数をn、高さ方向のセル数をnvとすると、本実施形態例では、半導体集積回路は、lの方向にn分割、h1の方向にnv分割された小さなセル101の群と、それらと垂直方向に接続された1つの大きなセル102とでモデル化される。図6(a)に示す基板モデルは、n=5、nv=3の例である。この基板モデルから、同図(b)に示す等価回路が得られる。ここで、端子AB間の抵抗値と、図2に示したCD面の抵抗値の比である抵抗比xについて考えると、第1の実施形態例と同様に、式(1.11)が得られる。ここで、式(1.11)中のh1、h2、l,wは、セルの分割数にかかわらず一定である。従って、抵抗比xもセル数にかかわらず一定であり、ここではx=1.0であったとする。
【0054】
図7は、図6(b)に示す等価回路を用いて回路のネットリストを作成し、SPICEシミュレーションを行って、基板抵抗減少率Eを求めた結果をグラフとして示している。図7に示すように、高さ方向のセル数nvを、nv=1から9までの間で変化させても、グラフのプロット点はほぼ重なり、基板抵抗減少率Eにはほとんど影響を与えない。つまり、図6(a)に示すように、ウェルの高さ方向を複数のセルでモデル化した場合であっても、ショートカットパスの影響は、ウェルの高さ方向を1つのセルでモデル化した第1の実施形態例と同様に判断できる。
【0055】
本実施形態例では、図5に示すステップS1において、メッシュ分割手段18は、第1の実施形態例で小さなセルとして構成される領域を、その高さ方向を更に複数のセルに分割する。この場合、第1の実施形態例と同様の効果に加えて、小さなセルとして構成される領域を更に細かく解析できる。
【0056】
(第3の実施形態例)
図8は、半導体集積回路の基板モデルを示しており、(a)は基板モデルのセル分割を、(b)、(c)、(d)はそれぞれ基板モデルの面を示している。図8に示す基板モデルは、ウェルを模した領域が、抵抗率が異なる2つの領域として構成される点で、図1の基板モデルと相違する。本発明の第3の実施形態例の基板モデル作成方法及び基板ノイズ解析方法は、基板モデルのメッシュ分割、及び、2つのショートカットパスによる影響を判断する点を除いて、図5に示す基板モデル作成方法及び基板ノイズ解析方法と同様である。
【0057】
半導体基板のモデルは、例えば、抵抗率がρ1及びρ3のウェル領域と、抵抗率がρ2の基板領域を模しているものとする。半導体集積回路は、基板モデルのセル分割において、図8(a)に示すように、抵抗率がρ1のウェル領域はそれぞれが(w1×h1×l/5)のサイズを有する、5つのセル101に、抵抗率がρ1のウェル領域は(w3×h1×l)のサイズを有するセル103に、基板領域は、(w1×h2×l)及び(w3×h2×l)のサイズを有する、2つのセル102にそれぞれメッシュ分割される。セル101は、それぞれ、その下面で前面側のセル102と、その背面側の側面でセル103と接している。
【0058】
図8(a)に示す基板モデルでは、複数のセル101に対して、1つのセル102及び103が接している。ショートカットパスの影響の計算に際しては、図中Zで示すセル101の下面側のショートカットパスのみでなく、図中Yで示すショートカットパスの影響も考慮する必要がある。このため、本実施形態例では、基板モデルの作成に際して、図5に示すステップS2で、ショートカットパスZに加えて、ショートカットパスYが及ぼす影響を、基板抵抗減少率として算出し、メッシュ分割が妥当であるかを判断する。
【0059】
図8(a)の例では、基板抵抗減少率は、ショートカットパスY及びZによる基板抵抗減少率の和として求められる。具体的には、ショートカットパスYによる基板抵抗減少率E2と、ショートカットパスZによる基板抵抗減少率E1とを個別に求め、それらを合計し、ウェル領域全体の基板抵抗減少率Eとする。
【0060】
ショートカットパスZによる基板抵抗減少率をE1は、第1の実施形態例と同様に計算され、
【数13】
【数14】
【数15】
となる。ここで、RABは図8(b)に示す面AB間の抵抗、RCDは同図(c)に示す面CD間の抵抗であり、それぞれ、
【数16】
【数17】
として求められる。
【0061】
一方、ショートカットパスYによる基板抵抗減少率E2については、面の方向は異なるが、上記と同様に、
【数18】
【数19】
【数20】
と計算される。ここで、REFは、図8(d)に示す面EF間の抵抗であり、
【数21】
として求められる。ウェル領域全体の基板抵抗減少率Eは、式(1.18)と式(1.23)との和をとり、
E=E1+E2 (1.25)
となる。
【0062】
本実施形態例では、基板モデルの作成及び基板ノイズの解析に際して、2つのショートカットパスの合計の基板抵抗減少率を求め、その基板抵抗減少率が所望の値以下になるようにセルのサイズを調整して、メッシュ分割をやり直す。このため、ショートカットパスが2つある場合でも、簡易にショートカットパスの影響を回避した基板モデルを得ることができる。
【0063】
(第4の実施形態例)
図9は、半導体集積回路の基板モデルを示しており、(a)は基板モデルのセル分割を、(b)は基板モデルのセルの面を示している。図9に示す基板モデルは、セル101を格子状に分割している点で、図1の基板モデルと相違する。本発明の第4の実施形態例の基板モデル作成方法及び基板ノイズ解析方法は、基板モデルのメッシュ分割、及び、2つのショートカットパスによる影響を判断する点を除いて、図5に示す基板モデル作成方法及び基板ノイズ解析方法と同様である。
【0064】
本実施形態例では、本導体集積回路は、セル101を、2次元的に格子状に並べたセルとしてモデル化する。図9(a)の例では、ウェル領域を5×3にメッシュ分割している。この場合には、図中に示すショートカットパスZの他に、ショートカットパスXができる。横方向のショートカットパスZは、端子AB間のショートカットパスとなり、奥行き方向のショートカットパスXは、同図(b)に示す端子GH間のショートカットパスになる。
【0065】
ここで、直交する電流経路は互いに干渉しあわないので、ショートカットパスXは、端子AB間の抵抗値に影響を与えない。また、ショートカットパスZは、端子GH間の抵抗値に影響を与えない。つまり、ショートカットパスXとショートカットパスZとによる基板抵抗減少率は、互いに独立となり、図5のステップS2では、それぞれの端子間の基板抵抗減少率が、所望の精度を満足しているかを確認する。
【0066】
ショートカットパスZによる、端子AB間の基板抵抗減少率E1は、第1の実施形態例と同様に、式(1.10)で計算される。また、ショートカットパスXによる、端子GH間の基板抵抗減少率E3は、
【数22】
【数23】
【数24】
となる。ここで、RGHは、図9(b)に示す面G−H間の抵抗値である。何れの方向でも、基板抵抗減少率は、セルのサイズに依存する。
【0067】
本実施形態例では、2つの方向にショートカットパスができる場合に、それぞれの方向の基板抵抗減少率を求める。求められた基板抵抗減少率が、それぞれの端子間において所望の値以下であるか否かを判断し、セル分割をやり直してセルのサイズを調節することで、ショートカットパスによる基板ノイズ解析の精度の低下を防ぐことができる。
【0068】
(第5の実施形態例)
図10は、半導体集積回路の基板モデルを示し、(a)〜(d)は、それぞれ基板モデルの等価回路を示している。図10に示す基板モデルは、サイズの異なるセルの接合部が、pn接合である点で、図1の基板モデルと相違する。本発明の第5の実施形態例の基板モデル作成方法及び基板ノイズ解析方法は、等価回路に静電容量の成分が含まれる点を除いて、図5に示す基板モデル作成方法及び基板ノイズ解析方法と同様である。
【0069】
例えば図24に示す半導体集積回路の基板で、ウェル領域111と基板領域113とのpn極性が異なる場合には、ウェル領域−基板領域間の接続は、接合容量を介したものになる。このような半導体集積回路をメッシュ分割して基板モデルを作成すると、図10(a)に示すようなセル分割と、等価回路とが得られる。等価回路では、セル101の高さ方向の抵抗R2a、及び、セル102の中心のノードとセル101とをそれぞれ接続する抵抗R2bが、静電容量Cpを介して接続されている。
【0070】
多端子F行列を用いた基板モデル作成方法では、抵抗素子のみで構成されたネットリストであれば、行列演算により電流の出入りが無いノードを削除してネットリストを縮退することが可能である。しかし、容量素子は、F行列演算で縮退が不可能であり、基板モデルに多数の容量素子を含むと、基板モデルのネットリスト規模が増大し、回路解析に時間がかかる。このため、可能であれば、F行列によるネットリスト縮退の前に、容量素子の数を減らしておくのが望ましい。
【0071】
セル102の抵抗素子R2bと容量素子Cpとを、図10(b)に示すように、単純に1つの素子で置き換えて、容量素子数を減らそうとすると、図1(c)と同様に、セル101同士が低インピーダンスで接続されるために、ショートカットパスの影響が大きい。図10(b)に示す等価回路では、ショートカットパスの影響で解析精度が目標に到達しない場合には、同図(a)示す等価回路のR2bを、容量素子Cpよりもセル101側に移動して、同図(c)に示す等価回路に変換する。同図(c)に示す等価回路の容量素子Cpを1つにまとめて、同図(d)に示す等価回路が得られる。同図(d)に示す等価回路は、同図(b)に示す等価回路よりも、ショートカットパスの影響が小さくなる。
【0072】
本実施形態例では、サイズの異なるセル同士の接合面が、pn接合の接合面である場合には、半導体集積回路の基板部分を、図10(c)又は図(d)のようにモデル化する。同図(d)に示すような基板モデルの等価回路を用いる場合には、容量素子Cpはショートカットパスの経路にはならないので、Cpの存在は無視して、抵抗素子に起因するショートカットパスのみを考慮することで、モデル全体のショートカットパスの影響を判断できる。このため、第1の実施形態例と同様に、ショートカットパスを構成する抵抗比xを算出することで、ショートカットパスの影響を判断することができる。
【0073】
(第6の実施形態例)
上記第1〜第5の実施形態例では、例えば図1(b)に示すように、ノードPとそれぞれのセル101とを接続する抵抗R2は、セル101の位置にかかわらず、同じ抵抗値を持っている。しかし、実際には、ノードPから各セル101の中心のノードまでの距離は一様ではなく、従って、抵抗値は、ノードPとセル101の距離に応じて大きくなる。
【0074】
図11は、半導体集積回路の基板モデルを示し、(a)及び(b)はそれぞれ基板モデルの等価回路を示している。本発明の第6の実施形態例の基板モデル作成方法及び基板ノイズ解析方法は、ノードPからセル101までの距離に応じて抵抗R2に重み付けを行う点で、第1〜第5の実施形態例と相違する。
【0075】
図11(a)に示す等価回路は、抵抗R2がR2i(i=1からnまでの整数)に置き換わる点で、図1(b)に示す等価回路と相違する。図11(a)のR2iを、セル101の成分とセル102の成分とに分けると、同図(b)に示す等価回路が得られる。抵抗R2iと抵抗R2a、R2biとの関係は、
R2i=R2a+R2bi (1.29)
である。抵抗R2aは、セル101の垂直方向の抵抗成分のため、セルの位置によって変化せず、その抵抗値は、
【数25】
となる。一方、セル102の抵抗R2biは、接続するセル102によってノード間の距離が異なるので、次式に示すような重みαi/βを持つものとする。
【数26】
【0076】
αiの重み付けは、例えば、i=1を端子A側からみて1つ目のセル101としたとき、
【数27】
のように定義する。このように定義することで、重みαiは、ノードPと対象セルの下面のノードとの距離に応じたものとなり、対象セルがn個のセル101の中央のセルのときに、つまり、i=(n+1)/2のときに、重みαiが最小となり、端子A又はBに近いほど、重みαiが大きくなる。
【0077】
式(1.31)中のβは、R2b1〜R2bnの合成抵抗値が、式1.2中のR2bの項で示される値になるように、設定された定数であり、以下のようにして求める。R2biのアドミタンスYiは、
【数28】
となる。図11(b)に示す等価回路ではR2b1〜R2bnは並列接続されるため、その合成アドミタンスは、
【数29】
である。一方、式1.2中のR2bから、アドミタンスYは、
【数30】
で表される。その合成アドミタンスは、
【数31】
である。式(1.34)=式(1.36)とおいて、βを算出すると、
【数32】
となる。式(1.37)を、式(1.31)に代入すると、
【数33】
が得られる。ただし、αiは式(1.33)で与えられる。
【0078】
図12は、図11の等価回路の具体的数値例を示している。図11(a)に示す各値を、l=5、w=5、h1=1、h2=5、ρ1=1、及び、ρ2=10にし、抵抗R2iを式(1.38)に設定したときには、図12に示すように、R2a=0.02、R2b1=R2b5=5.66、R2b2=R2b4=4.76、R2b3=4.42になった。5つのセル101の中心である3番目のセルの抵抗R2b3が一番小さく、端子A又はBを有するセルの抵抗が大きいことがわかる。
【0079】
図13は、抵抗R2bに重み付けをした場合と、重み付けをしない場合との、抵抗比Xに対する基板抵抗減少率の変化をグラフとして示している。抵抗比xが同じときで比較すると、重みづけ無しの場合よりも、重みづけを行った場合のほうが、基板抵抗減少率Eは小さな値となる。また、ショートカットパスによる基板抵抗の減少率を10%以下にしたい場合には、重みづけ無しの場合はx>0.74とする必要があったが、重みづけを行った場合にはx>0.6となる。このため、メッシュ分割の柔軟性を高くすることができる。
【0080】
図14は、半導体集積回路の基板モデルを示している。サイズの異なるセル間を接続する抵抗に重み付けを行った場合には、接合面に垂直な方向の抵抗成分への影響が懸念される。そこで、同図に示す基板モデルで、重み付け有りの場合と無しの場合とについて、面C-D間の合成抵抗値を求めた。図15は、面C−D間の合成抵抗と抵抗比xとの関係をグラフとして示している。同図に示すように、抵抗比xが0.1以上であれば、重み付けの有無による抵抗成分の差は発生しないといえる。一方、ショートカットパスの影響を小さくするためには、図13を参照すると、基板抵抗減少率を10%以下にする場合には、抵抗比xは0.6〜0.7よりも大きな値とする必要がある。つまり、ショートカットパスの影響を小さくするようなメッシュ分割をおこなっていれば、サイズの異なるセル間を接続する抵抗に重みづけを行った場合でも、接合面に垂直な方向の抵抗成分へは大きな影響は与えない。
【0081】
図16は、本発明の第6の実施形態例の基板ノイズ解析装置を、その動作手順を示すフローチャートを兼用して示している。図16に示す基板ノイズ解析装置は、接続モデル適用手段51を備える点で、図5に示す第1の実施形態例の基板ノイズ解析装置とは相違する。以下、図16を参照して、本実施形態例の基板モデル作成方法、基板モデル作成装置、基板ノイズ解析方法、及び、基板ノイズ解析装置について説明する。
【0082】
接続モデル適用手段51は、サイズが異なるセル間を接続する抵抗に対して、式1.38に示すような重み付けを行う。本実施形態例では、ステップS2で、ショートカットパスが解析精度を低下させると判定されたときに、ステップS3に進んでメッシュ分割をやり直す代わりに、ステップS6に進んでサイズの異なるセル間を接続する抵抗に重み付けを行う。このため、メッシュ分割をやり直すことなく、ショートカットパスの影響を小さくすることができる。
【0083】
本実施形態例では、サイズが異なるセル間を接続する抵抗に重みづけを行って、半導体集積回路の基板部分をモデル化する。これにより、メッシュ分割構造及びメッシュサイズを変化させること無く、ショートカットパスの影響を小さくすることができる。また、サイズが異なるセル間を接続する抵抗に重み付けをしただけでは、ショートカットパスの影響を十分に小さくすることが出来ない場合には、メッシュ分割を修正することもできる。
【0084】
ここで、式(1.3)の導出について説明する。図17は、図1と同様の基板モデルであり、(a)、(b)はそれぞれ等価回路を示している。図17を参照して、セル101の数nが奇数の場合について抵抗RABの導入について説明する。セル101の数が奇数の場合には、セル102の中心ノードであるノードPに対して外部からの電流の供給が無いと仮定すると、図中に示す中央のセル101のノードQと、ノードPとは、等電位になる。従って、ノードPとQとを接続する抵抗R2は除去しても、端子AB間のインピーダンスRABには影響を与えない。
【0085】
ノードQとノードPとを接地して、ノードP、Qよりも端子B側の抵抗を全て削除すると、図17(b)に示す等価回路が得られる。回路の対称性を考慮すると、この等価回路の端子A−グランド間のインピーダンスを求めて、これを2倍することで、同図(a)に示す回路の端子A−B間のインピーダンスRABを求めることができる。なお、説明の簡略化のために、以後、R1=1、R2=Rとして説明する。
【0086】
図18は、セルの数nを変化させたときの、図17(b)に示す等価回路を示し、(a)はn=1、(b)はn=3、(c)はn=5、(d)はn=7のときの回路をそれぞれ示している。図17(b)に示す等価回路の、端子A−グランド間のインピーダンスを求める方法について説明する。まず、図18(b)に示す回路の端子A−グランド間のインピーダンスを求めると、
【数34】
となる。次に、図18(c)に示す回路の端子A−グランド間のインピーダンスを求めると、式(2.1)のZ2を利用することで、
【数35】
のように書くことができる。そして、図18に示す回路のような繰り返し構造の回路のインピーダンスは、漸化式で表現することができ、図18(a)に示す初期状態をZ1とすると、次式が得られる。
【数36】
【0087】
式(2.3)を整理すると、
【数37】
となり、更に式(2.5)から特性方程式を求めてxについて解くと、
【数38】
【数39】
が得られる。このとき、α,βを次式のように定める。
【数40】
ここでbiを
【数41】
のように定義し、これをZiについて解くと次式が得られる。
【数42】
【0088】
式(2.11)を式(2.3)に代入すると、
【数43】
が得られるが、これをbi+1について解くと次式となる。
【数44】
一方、式(2.9)をRについて解くと、
R=α2+α、R=β2+β (2.14)
が得られる。
【0089】
式(2.14)を式(2.13)に代入すると
【数45】
となる。一方、式(2.4)よりZ1=0だから、
【数46】
であり、biは次式のように一般化される。
【数47】
式(2.17)を式(2.11)に代入すると、次式のようにZiが定式化される。
【数48】
【0090】
回路の対称性を考慮して、ZiからRABを求めると、
【数49】
が得られる。このとき、
【数50】
とすれば、
【数51】
となるが、ここではnは奇数なので、(−1)n=−1であり、式(2.20)は、
【数52】
となる。
【0091】
図19は、図1と同様の基板モデルであり、(a)、(b)はそれぞれ等価回路を示している。図19を参照して、セル101の数nが偶数の場合の抵抗RABの導入について説明する。セル101の数nが、偶数の場合には、等価回路は図19(a)に示すような回路となる。回路の対称性を考慮すると、抵抗RABは、図19(b)に示す回路の端子A-グランド間のインピーダンスを算出し、これを2倍することで、求めることができる。
【0092】
Z1を、
【数53】
のように定義すれば、上記したnが奇数の場合と同じ方法でRABを定式化できる。式(2.22)を、式(2.10)に代入すると、
【数54】
が得られるが、更に式(2.14)を代入すると
【数55】
が得られる。式(2.24)と式(2.15)より、biは次式のように一般化される。
【数56】
式(2.25)を、式(2.11)に代入すると、次式のようにZiが定式化される。
【数57】
【0093】
回路の対称性を考慮してZiからRABを求めると、
【数58】
が得られる。このとき、
【数59】
とすれば、式(2.27)は、
【数60】
となるが、ここではnは偶数なので、(−1)n=1であり、式(2.28)は、
【数61】
となる。式(2.29)は、式(2.21)と同じ式であり、図17に示す回路の端子A−B間のインピーダンスRABは、セルの数nが偶数か奇数かにかかわらず、式(2.29)で計算できる。なお、式(2.29)は、説明の簡略化のためにR1=1、R2=Rとした場合の式であり、RABの抵抗値は、
【数62】
と表すことができる。
【0094】
なお、図8では、図面の簡略化のために、図中のウェル領域の奥行き方向の奥側のショートカットパスの影響のみを考慮したが、ウェル領域の奥行き方向の手前側にもセル103と同様なショートカットパスがある場合には、これを考慮すると良い。
【0095】
また、第2から第6の実施形態例で示した基板モデルのセル分割は、組み合わせても良い。例えば、図20に示すように、第4の実施形態例で説明した格子状に配列されたセルを、第2の実施形態例で説明したセルの高さ方向を複数のセルに分割してモデル化することもできる。その際には、図5に示すメッシュ分割手段18及びメッシュ分割修正手段20は、図20に示すメッシュ分割に対応する手段として構成される。第2の実施形態例で説明したように、セル101の高さ方向を複数のセルでモデル化しても、ショートカットパスの影響は変化しない。従って、図20に示す基板モデルと、図9に示す基板モデルとは、同じアルゴリズムでショートカットパスの影響の算出が可能である。
【0096】
メッシュ分割の修正については、計算機が自動で修正する方法と、解析者が前述のアルゴリズムに従って手動で修正する方法とが考えられる。第6の実施形態例では、ステップS2で、ショートカットパスが解析精度を低下させると判定されたときは、ステップS3又はステップS6の何れに進むかは、解析者が選択して決定することもできる。また、αiの重み付けは、前述のものに限られず、様々な重みの付け方の中から選ぶことができる。
【0097】
以上、本発明をその好適な実施形態例に基づいて説明したが、本発明の基板モデル作成装置及び方法、並びに基板ノイズ解析装置及び方法は、上記実施形態例にのみ限定されるものでなく、上記実施形態例の構成から種々の修正及び変更を施した基板モデル作成装置及び方法、並びに基板ノイズ解析装置及び方法も、本発明の範囲に含まれる。
【0098】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の基板モデル作成装置及び方法、並びに基板ノイズ解析装置及び方法は、異なるセルサイズに半導体集積回路の基板部分をメッシュ分割して基板モデルを作成する場合でも、抵抗比を計算し、基板抵抗減少率を求めることで、簡易にショートカットパスの影響が大きいか否かを判断できる。ショートカットパスの影響が大きいと判断されたときには、メッシュサイズの変更や、重み付け計算を行うことで、ショートカットパスの影響が所望の値以下となる基板モデルを作成する。このため、基板ノイズの解析を精度よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】半導体集積回路の基板モデルを示す模式立体図であり、(a)はメッシュ分割を、(b)、(c)、(d)は基板モデルの等価回路を共に示している。
【図2】半導体集積回路の基板モデルを示す模式立体図。
【図3】抵抗比xと基板抵抗減少率Eとの関係を示すグラフ。
【図4】基板抵抗減少率Eを所望の値にする抵抗比xminを示す表。
【図5】本発明の第1の実施形態例の基板ノイズ解析装置を、その動作手順を示すフローチャートと共に示すブロック図。
【図6】半導体集積回路の基板モデルを示す模式立体図であり、(a)はメッシュ分割を、(b)は等価回路を共に示している。
【図7】基板抵抗減少率と、メッシュ分割数との関係を示すグラフ。
【図8】半導体集積回路の基板モデルを示す模式立体図であり、(a)、(b)、(c)、(d)はそれぞれメッシュ分割を示している。
【図9】半導体集積回路の基板モデルを示す模式立体図であり、(a)、(b)はそれぞれメッシュ分割を示している。
【図10】半導体集積回路の基板モデルを示す模式立体図であり、(a)、(b)、(c)、(d)はそれぞれメッシュ分割を等価回路と共に示している。
【図11】半導体集積回路の基板モデルを示す模式立体図であり、(a)、(b)はそれぞれメッシュ分割を等価回路と共に示している。
【図12】半導体集積回路の基板モデルを等価回路と共に示す模式立体図。
【図13】基板抵抗減少率Eと抵抗比xとの関係を、重み付けがある場合及びない場合に付いて示すグラフ。
【図14】半導体集積回路の基板モデルを等価回路と共に示す模式立体図。
【図15】接続面に垂直な方向の基板抵抗と抵抗比xとの関係を示すグラフ。
【図16】本発明の第6の実施形態例の基板ノイズ解析装置を、その動作手順を示すフローチャートと共に示すブロック図。
【図17】半導体集積回路の基板モデルを示し、(a)は基板モデルのセル分割を等価回路と共に示す模式ブロック図、(b)は簡略化した等価回路を示す回路図。
【図18】図17のセル分割数を変化させたときの図17(b)に示す回路を示す回路図であり、(a)はn=1、(b)はn=3、(c)はn=5、(d)はn=7のときの回路を示す。
【図19】半導体集積回路の基板モデルを示し、(a)は基板モデルのセル分割を等価回路と共に示す模式ブロック図、(b)は簡略化した等価回路を示す回路図。
【図20】半導体集積回路の基板モデルを示す模式立体図。
【図21】図22の単位セルモデル201を示す模式立体図。
【図22】半導体集積回路の基板モデルのメッシュ分割を示す模式立体図。
【図23】図22の基板モデルの等価回路を示す回路図。
【図24】半導体集積回路の一例を示す断面図。
【図25】異なるセルサイズを有するセルに分割する基板モデルを示す模式断面図であり、(a)はセル分割を、(b)は等価回路と共に示している。
【符号の説明】
11 入力装置
12 データ処理装置
13 記憶装置
14 出力装置
15 レイアウトデータ記憶部
16 デバイスパラメータ記憶部
17 基板モデルネットリスト記憶部
18 メッシュ分割手段
19 メッシュ分割の妥当性判定手段
20 メッシュ分割修正手段
21 ネットリスト変換手段
22 シミュレーション手段
62 抵抗素子
101、102、103:基板モデルのセル
111 ウェル領域
112 拡散層
113 基板領域
117 セル分割線
201 単位セルモデル
203 抵抗要素
Claims (7)
- 半導体集積回路における基板部分を、複数種類のサイズを持つセルにメッシュ分割し、各セルを1個以上の抵抗素子から成る、又は、抵抗素子及び容量素子から成るインピーダンス要素に模擬することで、前記基板部分を等価回路でモデル化する基板モデル作成装置であって、
前記メッシュ分割に際して分割の妥当性を判定する判定手段を備え、該判定手段は、
第1のサイズを有する複数の第1セル領域と、該第1セル領域に隣接し前記第1のサイズよりも大きな第2のサイズを有する1つの第2セル領域との間の境界と平行なインピーダンスを、前記第1のセル領域を表現する第1のインピーダンスとして算出し、
前記第1のセル領域と前記第2のセル領域との間の接続を表現する第2のインピーダンスを、各領域のメッシュサイズと各領域の抵抗率とに基づいて算出し、
前記第1のインピーダンスと前記第2のインピーダンスとの比率と、モデル精度に関連づけられた所定値とを比較することにより、基板モデルが所望の解析精度を満足するか否かの判定を行うことを特徴とする基板モデル作成装置。 - 前記判定手段が、所望の解析精度サイズを満足しないと判定すると、メッシュサイズを変更して再度メッシュ分割を行う、請求項1に記載の基板モデル作成装置。
- 前記インピーダンスの比率と前記所定値との違いに依存してメッシュ分割サイズを修正する、請求項2に記載の基板モデル作成装置。
- 前記インピーダンスの比率と前記所定値との違いに依存して、サイズが異なるセル相互の接続部分を模擬するインピーダンス要素のインピーダンスを重み付けする補正を行う、請求項1〜3の何れかに記載の基板モデル作成装置。
- 請求項1〜4の何れかに記載の基板モデル作成装置が作成した基板モデルに対し、基板上に作りこまれた機能回路のネットリストを結合して回路シミュレーションを行うことを特徴とする基板ノイズ解析装置。
- データ処理装置を用いて、半導体集積回路における基板部分を、複数種類のサイズを持つセルにメッシュ分割し、各セルを1個以上の抵抗素子から成る、又は、抵抗素子及び容量素子から成るインピーダンス要素に模擬することで、前記基板部分を等価回路でモデル化する基板モデル作成方法であって、
前記データ処理装置が、第1のサイズを有する複数の第1セル領域と、該第1セル領域に隣接し前記第1のサイズよりも大きな第2のサイズを有する1つの第2セル領域との間の境界と平行なインピーダンスを、前記第1のセル領域を表現する第1のインピーダンスとして算出し、
前記データ処理装置が、前記第1のセル領域と前記第2のセル領域との間の接続を表現する第2のインピーダンスを、各領域のメッシュサイズと各領域の抵抗率とに基づいて算出し、
前記データ処理装置が、前記第1のインピーダンスと前記第2のインピーダンスとの比率と、モデル精度に関連づけられた所定値とを比較することにより、基板モデルが所望の解析精度を満足するか否かの判定を行うことを特徴とする基板モデル作成方法。 - データ処理装置を用いて回路シミュレーションを行い、基板ノイズ解析を行う方法であって、
前記データ処理装置が、請求項6に記載の基板モデル作成方法で作成した基板モデルに対し、基板上に作りこまれた機能回路のネットリストを結合して回路シミュレーションを行うことを特徴とする基板ノイズ解析方法。
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