JP4118448B2 - リニアモータ駆動放電加工装置の軸送り推力補助方法 - Google Patents

リニアモータ駆動放電加工装置の軸送り推力補助方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、加工ヘッドがリニアモータにより軸送りされる放電加工装置の駆動力補助方法に関する。特に、クイルを含む加工ヘッドの軸送り装置に適切な補助推力を付与して、高応答性を維持しつつリニアモータの負荷を軽減することができるリニアモータ駆動方式の放電加工装置の推力補助方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
被加工物に対向する位置に工具としての電極を設けて、被加工物と電極との間に形成された加工間隙に所定の加工電圧を印加して断続的な放電を発生させて、被加工物を所望の穴形状に加工する放電加工装置が知られている。放電加工では、一般的に被加工物の加工面が上側に位置するように水平な加工テーブル上に被加工物が設置され、少なくとも電極を加工穴の方向、すなわち加工面に対し鉛直方向(以下、Z軸方向)に移動する軸送り装置に電極を取り付け電極の位置制御を行いながら加工を行う。
【0003】
放電加工は、一般的な工作機械における切削加工などとは異なり、加工間隙を所定の距離に維持するように電極もしくは被加工物を他方に対して相対的に接近後退移動させる、いわゆるサーボ制御を行う必要がある。このサーボの動作は、より高速で応答よく行われることが望ましい。また、形彫り放電加工の際に、加工穴から加工屑の排出を促進させる目的で電極を被加工物に対し接近後退させる、いわゆるジャンプ動作を行いながら加工を行う。この制御もより高速で応答よく行われることが望ましい。
【0004】
これまで、放電加工装置のZ軸方向の軸送り装置は、回転型のモータによりボールネジを介してクイルまたはスライダをZ軸方向に直線移動させる方式の軸送り装置を設けた放電加工装置が一般的であったが、近年、軸送りの駆動源の回転モータに代えてリニアモータを軸送りの駆動源とした駆動方式の軸送り装置を搭載した放電加工装置が特開平5−104332号公報で提案されている。この方式では回転運動を直線運動に伝達するための機構が不要であるから、バックラッシュや部材のばね要素がなく、より高速で高応答の軸送りが可能になるという利点がある。しかし、このようなリニアモータ方式による軸送り装置を搭載した放電加工装置は、リニアモータの構造上Z軸送り機構をリニアモータの推力で保持しなければならず、従来の回転モータ方式以上に大きな保持力を発生させる必要がある。
【0005】
そこで、特開平8−309620号公報では、従来行われていたように、加工ヘッドにワイヤロープを接続し、滑車を介してそのワイヤロープを加工ヘッドの反対側に案内し、ワイヤロープの他端に電極の重量を考慮した加工ヘッドの重量に釣り合う重さの重錘を吊り下げることでカウンターバランスを付与して加工ヘッドのバランスを取る構成を用いてリニアモータの負荷を軽減することが開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、リニアモータを軸送り装置を採用した放電加工装置においては、そのバランス力の発生源は、リニアモータの高応答性を損ねるものであってはならず、また加工速度を飛躍的に向上させる高速度のジャンプ動作を行うときに必要とされる高加速度移動動作に追従できなくてはならない。
【0007】
このため、加工ヘッドにワイヤロープを接続し、滑車を介してワイヤロープの他端に電極の重量を考慮した加工ヘッドの重量に釣り合う重さの重錘を吊り下げる構成では、高加速度の移動動作に追従できず採用が困難である。
【0008】
そこで、上述のようにバランス力を付与することなくリニアモータの推力で加工ヘッドを保持させるように構成することも可能であるが、加工ヘッドの重量分を加味した高出力のリニアモータが必要になるばかりではなく、静止中も含めて推力を発生させ続けると励磁コイルの発熱による機械部の熱変位の問題も生じ、大容量の冷却手段が必要となり、加工ヘッドが大型化して応答性が低下するという問題を生じる。
【0009】
また、放電加工では加工用電極の形状もさまざまで、電極径が0.01mm程度の微細な電極による加工、プラスティック金型のリブ加工、加工面積の比較的大きな加工等々同じ放電加工装置上で種々の加工が行われる。このため放電加工装置に使用する推力補助装置は、ただ単に加工ヘッドの重量バランスをとるだけでは不十分である。それは、上述のような種々の加工を行う場合において、加工ヘッドの送り装置に要求される性能、特性は夫々異なるためである。例えば、微細な加工電極による加工や加工電流が1から5Aぐらいの小物加工を行う時は特に軸送りに高い応答性が必要とされ、また深いリブ加工の際には高加速度ジャンプ動作が必要とされ、また加工面積の大きい加工では、ジャンプ動作の電極引き上げ時に電極に作用する負圧に対抗できる大きな引き上げ力が要求される。そして、さらに加工の時以外の静止時には極力リニアモータの負荷を軽くすると共に万一の停電や非常停止のときに加工ヘッドが降下しないように常に補助推力を発生させておく必要もある。
【0010】
本発明は、上述した点に鑑みて、リニアモータ駆動する軸送り装置の利点を生かしつつ、この軸送り装置が有する加工性能を低下させずに放電加工装置の運転状態や加工形態に適した補助推力を軸送り装置の被移動体に付与することができるリニアモータ駆動方式の放電加工装置における軸送り推力補助方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するため手段】
上記目的を達成するための本発明の推力補助方法は、電極と被加工物の相対移動動作をリニアモータで行う数値制御装置を備えた放電加工装置の軸送り推力補助方法において、リニアモータの可動子として構成された被移動体を加工テーブルに対し鉛直方向に移動可能に設け、前記被移動体に働く軸方向の駆動推力の略中心軸線上にエアシリンダ推力が直接作用するよう配置し、前記放電加工装置の電源投入時、電極の交換時、NCプログラム運転時または放電加工時などの運転状態の少なくとも一つの段階において、前記エアシリンダに所要の圧力の空気を供給して前記被移動体に運転状態に応じた所要の補助推力を付与するリニアモータ駆動放電加工装置の推力補助方法である。
【0012】
前記の本発明のリニアモータ駆動放電加工装置の推力補助方法によれば、加工ヘッドのクイルをリニアモータの可動子として構成し、このクイルに働くリニアモータの駆動推力の略中心軸線上にエアシリンダを設けてエアシリンダの引上げ力を前記軸線と略同軸上に直接作用させ、軸送り機構に偶力が働くのを防止して、前記放電加工装置の電源投入後あるいは電極の交換後の加工準備作業中及びNCプログラム運転中または放電加工時などの放電加工装置の運転状態に応じてエアシリンダに供給する空気圧を適切な空気圧として、前記エアシリンダが発生する引上げ力をクイルに常に作用させて運転状態に応じた補助推力がリニアモータの負荷を軽減し、リニアモータの出力が有効に軸送り装置の駆動力として利用される。
【0013】
上記目的を達成するための本発明の推力補助方法は、電極と被加工物の相対移動動作をリニアモータで行う数値制御装置を備えた放電加工装置の軸送り推力補助方法において、被加工物を載置する加工テーブルに対し鉛直方向に移動可能に設けられたリニアモータの可動子として構成された被移動体に働く軸方向の駆動推力の略中心軸線上にエアシリンダの推力が直接作用するよう配置し、前記放電加工装置の電源投入時、電極の交換時、NCプログラム運転時または放電加工時などの運転状態の少なくとも一つの段階において、リニアモータ駆動装置の電流指令値を読込んで予め記憶されている電流基準値に前記電流指令値が略一致するようエアシリンダの供給圧力設定装置に圧力設定信号を出力し、前記エアシリンダに所要圧力の空気を供給して前記被移動体に運転状態に応じた所要の補助推力を付与するリニアモータ駆動放電加工装置の推力補助方法である。
【0014】
前記の本発明のリニアモータ駆動放電加工装置の推力補助方法によれば、加工ヘッドのクイルをリニアモータの可動子として構成し、このクイルに働くリニアモータの駆動推力の略中心軸線上にエアシリンダを設けてエアシリンダの引上げ力を前記軸線と略同軸上に直接作用させ、軸送り機構に偶力が働くのを防止して、前記放電加工装置の電源投入後あるいは電極の交換後の加工準備作業中及びNCプログラム運転中または放電加工時などの放電加工装置の運転状態に応じて、リニアモータ駆動装置の電流指令値を読込んで予め記憶されている電流基準値に前記電流指令値が略一致するようエアシリンダに供給する空気圧を適切な空気圧に自動調整して、前記エアシリンダが発生する引上げ力をクイルに常に作用させて運転状態に応じた補助推力がリニアモータの負荷を軽減し、リニアモータの出力が有効に軸送り装置の駆動力として利用される。
【0015】
上記目的を達成するための本発明の推力補助方法は、電極と被加工物の相対移動動作をリニアモータで行う数値制御装置を備えた放電加工装置の軸送り推力補助方法において、被加工物を載置する加工テーブルに対し鉛直方向に移動可能に設けられたリニアモータの可動子として構成された被移動体に働く軸方向の駆動推力の略中心軸線上にエアシリンダの推力が直接作用するよう配置して、前記放電加工装置の電源投入信号、電極交換信号、NCプログラム運転開始信号または加工開始信号の少なくとも一つに応答して所要の基準推力値を記憶装置から呼出すステップと、リニアモータ駆動制御装置から電流の指令値を読込むステップと、前記基準推力値と電流指令値の偏差を求めるステップと、前記偏差値に応じて供給圧力設定手段に圧力設定信号を出力するステップとを前記基準推力値と電流指令値が一致するまで行い、前記呼び出しステップ、読込みステップと偏差を求めるステップを繰返して得られた偏差値の積分値を供給圧力設定手段に出力しエアシリンダのシリンダ圧力を設定して前記被移動体に所要の補助推力を付与するリニアモータ駆動放電加工装置の推力補助方法である。
【0016】
前記の本発明のリニアモータ駆動放電加工装置の推力補助方法によれば、加工ヘッドのクイルをリニアモータの可動子として構成し、このクイルに働くリニアモータの駆動推力の略中心軸線上にエアシリンダを設けてエアシリンダの引上げ力を前記軸線と略同軸上に直接作用させ、軸送り機構に偶力が働くのを防止して、前記放電加工装置の電源投入後あるいは電極の交換後の加工準備作業中及びNCプログラム運転中または放電加工時などの放電加工装置の運転状態に応じて、リニアモータ駆動装置の電流指令値を読込んで予め記憶されている電流基準値に前記電流指令値が略一致するようにエアシリンダに供給する空気圧を適切な空気圧に自動調整して、前記エアシリンダが発生する引上げ力をクイルに常に作用させて運転状態に応じた補助推力がリニアモータの負荷を軽減し、リニアモータの出力が有効に軸送り装置の駆動力として利用される。
【0017】
上記目的を達成するための本発明の推力補助方法は、電極と被加工物の相対移動動作をリニアモータで行う数値制御装置を備えた放電加工装置の軸送り推力補助方法において、被加工物を載置する加工テーブルに対し鉛直方向に移動可能に設けられたリニアモータの可動子として構成された被移動体に働く軸方向の駆動推力の略中心軸線上にエアシリンダの推力が直接働くよう配置し、NCプログラム運転時または放電加工時に前記被移動体の移動時の位置偏差値をリニアモータ駆動制御装置から読込むステップと、読込まれた前記位置偏差値を所定の位置偏差値と比較するステップと、前記位置偏差値が所定値以上のときエアシリンダへの供給圧力を高める信号を供給圧力設定手段に出力するステップと、エアシリンダのシリンダ圧力を変更して前記被移動体に所要の補助推力を付与するステップからなるリニアモータ駆動放電加工装置の推力補助方法である。
【0018】
前記本発明のリニアモータ駆動放電加工装置の推力補助方法によれば、加工ヘッドのクイルをリニアモータの可動子として構成し、このクイルに働くリニアモータの駆動推力の略中心軸線上にエアシリンダを設けてエアシリンダの引上げ力を前記軸線と略同軸上に直接作用させ、軸送り機構に偶力が働くのを防止ししながら、放電加工時に、被移動体の移動時の位置偏差値をリニアモータ駆動制御装置から読込み、読込まれた位置偏差値を所定の位置偏差値と比較して、位置偏差値が所定値以上のときエアシリンダへの供給圧力を増加させる。供給圧力の増加により前記エアシリンダが発生する引上げ力が増大して被移動体に働く負圧に対抗する補助推力が与えられる。この補助推力によりリニアモータの推力不足を補い、リニアモータの出力が有効に軸送り装置の駆動力として利用されるとともにクイルの高速ジャンプ動作が行われる。
【0019】
上記目的を達成するための本発明の推力補助方法は、加工用電極を取り付ける加工ヘッドを直接エアシリンダを用いて軸送り自在に吊持しつつ電極と被加工物の相対移動動作をリニアモータで行う数値制御装置を備えた放電加工装置の軸送り推力補助方法において、前記放電加工装置の加工形態または運転状態に応じた所要の補助推力を設定入力するステップと、前記入力値に対応する記憶装置に格納された補助推力値を呼出すステップと、前記呼出された補助推力値に基づき供給圧力設定手段に圧力設定信号を出力するステップと、エアシリンダの供給圧力を前記推力値に略一致するよう供給圧を変更するステップと、前記ステップで変更された空気圧をエアシリンダに供給し所要の補助推力を発生させるステップとを実行し、前記軸送り装置の被移動体に所要の補助推力を付与するリニアモータ駆動放電加工装置の推力補助方法である。
【0020】
前記本発明のリニアモータ駆動放電加工装置の推力補助方法によれば、加工ヘッドのクイルをリニアモータの可動子として構成し、このクイルに働くリニアモータの駆動推力の略中心軸線上にエアシリンダを設けてエアシリンダの引上げ力を前記軸線と略同軸上に直接作用させ、軸送り機構に偶力が働くのを防止する。放電加工装置の加工形態または運転状態に応じた所要の補助推力を設定入力して、予め記憶されている前記入力値に対応する補助推力値を呼び出し、補助推力値に基づき供給圧力設定手段に圧力設定信号を出力する。エアシリンダの供給圧力を前記推力値に基づいて適切な空気圧に調整して、前記エアシリンダが発生する引上げ力をクイルに常に作用させて運転状態に応じた補助推力がリニアモータの負荷を軽減し、リニアモータの出力が有効に軸送り装置の駆動力として利用される。
【0021】
上記目的を達成するための本発明のリニアモータ駆動の放電加工装置は、電極と被加工物の相対移動動作をリニアモータで行う数値制御装置を備えた放電加工装置において、被加工物を載置する加工テーブルに対し鉛直方向に移動可能に設けられたリニアモータの可動子として構成されたクイルを含む被移動体に直接引上げ力が作用するよう設けられたエアシリンダと、前記エアシリンダへ供給する圧力を設定する供給圧力設定手段と、放電加工装置の電源投入信号、電極交換信号またはNCプログラム運転開始信号または加工開始信号の少なくとも一つに応答して前記放電加工装置の運転状態応じたエアシリンダの供給圧力を設定する制御プログラムが格納された記憶装置と、前記制御プログラムを実行し前記供給圧力設定手段に供給圧力設定に関する信号を出力する演算処理装置(CPU)とを有することを特徴とするリニアモータ駆動の放電加工装置である。
【0022】
前記本発明のリニアモータ駆動放電加工装置によれば、加工ヘッドのクイルをリニアモータの可動子として構成し、このクイルに働くリニアモータの駆動推力の略中心軸線上にエアシリンダを設けてエアシリンダの引上げ力を前記軸線と略同軸上に直接作用させる。このように構成して、追随性を確保し、エアシリンダの推力のため軸送り機構に偶力が働かず軸送りの直線性も維持され、高速ジャンプ動作時に振動を起こすことがない。そして、前記エアシリンダへ供給する圧力を放電加工装置の電源投入信号、電極交換信号またはNCプログラム運転開始信号もしくは加工開始信号の少なくとも一つに応答して、起動する推力を変更制御するプログラムを演算処理装置が実行して前記放電加工装置の運転状態応じたエアシリンダへ供給圧力の設定値を決定する。この決定された供給圧力になるように前記エアシリンダへ供給する供給圧力設定手段に設定値を出力する。供給圧力設定手段は、設定圧力の空気をエアシリンダに供給して、リニアモータの負荷を軽減させて、リニアモータの出力が有効に軸送り装置の駆動力として利用されるのでリニアモータの高応答性が維持できる。
【0023】
上記目的を達成するための本発明のリニアモータ駆動の放電加工装置は、電極と被加工物の相対移動動作をリニアモータで行う数値制御装置を備えた放電加工装置において、被加工物を載置する加工テーブルに対し鉛直方向に移動可能に設けられたリニアモータの可動子として構成されたクイルを含む被移動体に直接引上げ力が作用するよう取り付けられたエアシリンダと、前記エアシリンダへ供給する圧力を設定する供給圧力設定手段と、放電加工装置の運転状態に適した圧力設定値に相当する電流指令の基準値を記憶している記憶装置と、放電加工装置の電源投入信号、電極交換信号、NCプログラム運転開始信号または加工開始信号の少なくとも一つに応答してリニアモータ駆動制御装置から電流指令値を読込み、前記電流指令値が前記基準値なるようエアシリンダの供給圧力を設定する制御プログラムが格納された記憶装置と、前記制御プログラムを実行し前記供給圧力設定手段に所要の圧力設定信号を出力する演算処理装置(CPU)とを有することを特徴とするリニアモータ駆動の放電加工装置である。
【0024】
前記本発明のリニアモータ駆動放電加工装置によれば、加工ヘッドのクイルをリニアモータの可動子として構成し、このクイルに働くリニアモータの駆動推力の略中心軸線上にエアシリンダを設けてエアシリンダの引上げ力を前記軸線と略同軸上に直接作用させる。 そして、前記エアシリンダへ供給する圧力を放電加工装置の電源投入信号、電極交換信号またはNCプログラム運転開始信号もしくは加工開始信号の少なくとも一つに応答して、放電加工装置の運転状態に適した圧力設定値に相当する電流指令の基準値を記憶している記憶装置から前記基準値を呼び出し、また、リニアモータ駆動制御装置から電流指令値を読込んで、前記電流指令値が前記基準値なるようエアシリンダの供給圧力を設定するプログラムを演算処理装置が実行して、前記放電加工装置の運転状態応じたエアシリンダへ供給圧力の設定値を決定する。この決定された供給圧力になるように前記エアシリンダへ供給する供給圧力設定手段に設定値を出力する。供給圧力設定手段は、設定圧力の空気をエアシリンダに供給して、エアシリンダが軸送り機構に偶力が働かせることなく所要の補助推力を直接クイルに与える。
【0025】
上記目的を達成するための本発明のリニアモータ駆動の放電加工装置は、電極と被加工物の相対移動動作をリニアモータで行う数値制御装置を備えた放電加工装置において、被加工物を載置する加工テーブルに対し鉛直方向に移動可能に設けられたリニアモータの可動子として構成されたクイルを含む被移動体に直接補助推力が作用するよう取り付けられたエアシリンダと、前記エアシリンダへ供給する圧力を設定する供給圧力設定手段と、加工開始信号に応答してリニアモータ駆動制御装置から被移動体の移動時の位置偏差値をモニタリングして前記位置偏差値が所定値を越えた時エアシリンダの供給圧力を変更制御する制御プログラムが格納された記憶装置と、前記制御プログラムを実行し前記供給圧力設定手段に所要の圧力設定信号を出力する演算処理装置(CPU)とを有することを特徴とするリニアモータ駆動の放電加工装置である。
【0026】
前記本発明のリニアモータ駆動放電加工装置によれば、加工ヘッドのクイルをリニアモータの可動子として構成し、このクイルに働くリニアモータの駆動推力の略中心軸線上にエアシリンダを設けてエアシリンダの引上げ力を前記軸線と略同軸上に直接作用させる。放電加工時に、被移動体の移動時の位置偏差値をリニアモータ駆動制御装置から読込み、読込まれた位置偏差値を所定の位置偏差値と比較して、位置偏差値が所定値以上のときエアシリンダへの供給圧力を増加させるプログラムを演算処理装置が実行して、前記エアシリンダへ供給圧力増大させる設定信号を供給圧力設定手段に出力する。供給圧力の増加により前記エアシリンダが発生する引上げ力が増大して被移動体に働く負圧に対抗する補助推力が与えられる。この補助推力により軸送り機構に偶力が働かせることなくリニアモータの推力不足を補い、リニアモータの出力が有効に軸送り装置の駆動力として利用されるとともにクイルの高速ジャンプ動作が行われる。
【0027】
上記目的を達成するための本発明のリニアモータ駆動の放電加工装置は、電極と被加工物の相対移動動作をリニアモータで行う数値制御装置を備えた放電加工装置において、被加工物を載置する加工テーブルに対し鉛直方向に移動可能に設けられたリニアモータの可動子として構成されたクイルを含む被移動体に直接補助推力が作用するよう取り付けられたエアシリンダと、加工形状、加工電極形状、加工電極重量などにより決定される加工形態または放電加工装置の運転状態に関するデータを入力する入力手段と、前記エアシリンダへ供給する圧力を設定する供給圧力設定手段と、前記入力値に対応するエアシリンダの供給圧力を設定するための設定値を記憶している記憶装置と、前記記憶装置から加工形態または運転状態に対応する所要の設定値を取り出し前記供給圧力設定手段に出力する制御プログラムを実行する演算処理装置(CPU)とを有することを特徴とするリニアモータ駆動の放電加工装置である。
【0028】
前記本発明のリニアモータ駆動放電加工装置によれば、加工ヘッドのクイルをリニアモータの可動子として構成し、このクイルに働くリニアモータの駆動推力の略中心軸線上にエアシリンダを設けてエアシリンダの引上げ力を前記軸線と略同軸上に直接作用させよう構成する。そして入力手段から加工形状、加工電極形状、加工電極重量などにより決定される加工形態または放電加工装置の運転状態に関するデータを入力されると、演算処理装置は記憶装置から前記入力値に対応するエアシリンダの供給圧力を設定するための設定値を呼び出して前記設定値を供給圧力設定手段に出力する。供給圧力設定手段は設定圧力の空気をエアシリンダに供給して、エアシリンダが軸送り機構に偶力が働かせることなく所要の補助推力を直接クイルに与える。
【0029】
上記目的を達成するための本発明のリニアモータ駆動の放電加工装置は、上記段落番号の〔0021〕、〔0023〕、〔0025〕、及び〔0027〕に記載の放電加工装置において、エアシリンダへ供給する圧力を設定する供給圧力設定手段に電空レギュレータを設けたことを特徴とするリニアモータ駆動の放電加工装置である。
【0030】
前記本発明のリニアモータ駆動放電加工装置によれば、エアシリンダへ供給する圧力を設定する供給圧力設定手段を電空レギュレータとし、数値制御装置から電圧値として出力することで正確な補助推力をクイルに与えることが可能になる。
【0031】
上記目的を達成するための本発明のリニアモータ駆動の放電加工装置は、上記段落番号〔0021〕、〔0023〕、〔0025〕、及び〔0027〕に記載の放電加工装置において、エアシリンダへ供給する圧力を設定する供給圧力設定手段がハイリリーフエアーレギュレータと電磁弁で構成されることを特徴とするリニアモータ駆動の放電加工装置である。
【0032】
前記本発明のリニアモータ駆動放電加工装置によれば、エアシリンダへ供給する圧力を設定する供給圧力設定手段をハイリリーフエアーレギュレータと電磁弁で構成して、供給圧力設定値を電磁弁の切換信号により行い所望の供給圧力が設定されたハイリリーフエアーレギュレータに切換えるため急激なリニアモータの負荷変化に対しても所要の補助推力を直接クイルに与えることが可能になる。
【0033】
【発明の実施の形態】
図1は、リニアモータをZ軸送り装置の駆動源として搭載した本発明の形彫り放電加工装置の機械部の全体構成を示す斜視図である。図1において、1はベッド、2はベッド1の後側部または上面に立設されたコラム、3はコラム2前面のベッド1上に水平1軸(Y軸)方向に移動可能に設けたサドル、4はサドル3上に他の水平1軸(X軸)方向に移動可能に設けたラム、5はラム4のコラム2前面側に設けた加工槽で、図示しない被加工体を取り付け、加工液中浸漬状態で加工電極Eと相対向配置させる加工テーブルを備えている。
【0034】
7は、コラム2上部の加工槽5側に延出したコラム前面2Aに取り付けられた加工ヘッドで、全体として中空柱状体で、下方先端に加工電極Eの取付手段8Aを有するほぼ四角柱状のセラミック等の軽量材で製作されたクイル81を内包している。そして、クイル81は、クイル81の後面とコラム2前面または加工ヘッド7内面間等に設けた図示されていない直線案内装置により、鉛直方向の直線移動自在に設けられている。10は、前記クイル81の鉛直方向と直角な方向の対向側面夫々に移動方向に沿って所定個数列設される図示しない永久磁石と微小間隙を介して相対向するよう加工ヘッド7の両側面に設けられるヨークと巻回励磁コイルとから成る一対の電磁石装置、即ち、所謂リニアモータの励磁固定子で、永久磁石を取り付けたクイル81を可動子として移動させるものである。61は、後述するクイル81に取り付けられ図の上方向に推力を発生させる推力補助装置の一部を構成するエアシリンダである。
【0035】
図2は、図1に示した加工ヘッド7の略中心部分の構造を示す破断図である。図2において、コラム2の前面2Aには、ベース部材7Aが取り付けられていて、このベース部材7Aのコラム2に垂直な2つの側壁の内面にそれぞれ固定子10が取り付けられる。ベース部材7Aの上下部分は開口部を有しており、この開口部を貫通して鉛直(Z軸)方向に移動可能な可動子8を構成するクイル81が設けられている。このクイル81の下側には、電極取付手段8Aが取り付けられている。
【0036】
固定子10は、コイルヨークを含み、そのコイルヨークに電線が所定の巻数で巻き回されて形成されたコイルが所定の間隔で配設されている。一方、可動子8は、クイル81と、コイルヨークに対向する位置にクイル81に固定された磁石板42とで構成される。磁石板42には、所定の間隔で複数の永久磁石43が配設されている。そして、図示しない後述するモータ駆動制御装置より所望の指令値に合うように調整された所定の電流がコイルを流れて励磁され、磁石板42の永久磁石43との間で予定された磁力が発生して、その磁力により鉛直方向にクイル81が移動する。クイル81の位置は、クイル81とベース部材7Aに取り付けられた位置検出装置LSで検出され、位置情報がモータ駆動制御装置に送られて数値制御装置が指令する位置にクイル81が位置決め制御される。以上のように、複数の永久磁石43が固定された磁石板42を一対の側面に取り付けたクイル81に電極取付手段8Aを設け全体としてZ軸送り装置の被移動体を構成する。
【0037】
コラム2の前面2Aに前記被移動体をZ軸方向に案内する2本のリニアモーションボールベアリングガイド52が設けられる。そして、それに対向するクイル81の側面にそれぞれ係り合うように2つのベアリングブロック52Aが設けられている。リニアモーションボールベアリングガイド52とクイル81に設けられたベアリングブロック52Aとの係り合いにより、クイル81が鉛直方向に摺動可能に案内されている。
【0038】
ベース部材7Aの上部より推力補助装置の一部を構成するエアシリンダ61がクイル81とともに吊持されている。このエアシリンダ筒61a内の空気圧力を後述する供給圧力設定装置によって所望の空気圧に保って給排気することにより、空気圧力を調整しクイル81に所定の推力を与える。エアシリンダ61は、主にシリンダ筒61aと、シリンダ筒61a内に往復移動可能に収納されたピストン61b、ピストンとシリンダ内壁間のシール部材61c、ピストンに連結するピストンロッド61dとで構成される。
【0039】
この実施例では、クイル81の上端部でエアシリンダ61のフランジを数本のボルトでクイル81に強固に固定している。クイル81の上部には連結部材47が設けられておりピストンロッド61dが吊持又は保持されている。図2に示す構成では、エアシリンダ61内のピストン61bを挟んで上側のシリンダ筒61a内に所望の圧力の空気を供給口61eから供給することで、エアシリンダ61に固定されたクイル81が所望の推力で支えられる。そして、クイル81が鉛直方向に大きく移動するときは、その位置の変化に合わせてシリンダ筒61a内の上側の空気が供給または排気されて、シリンダ筒61a内の上側の空気圧力が上記所望の圧力に維持されるようになっている。
【0040】
以上のように構成して、クイル81がリニアモータの可動子8として高応答性を有し、また、エアシリンダ61の推力が直接クイル81に働くようにすると共にリニアモータ推力の中心位置と略一致するようにして、追随性の優れた、かつ軸移動の真直性が良好な放電加工装置に適した形で推力補助が可能な加工ヘッドを実現する。このようにエアシリンダ61を補助推力源として利用して、準備作業中に加工ヘッドの電極を含む被移動体部分の自重によりクイル81が移動しないようにエアシリンダ61の空気の圧力を設定しておくと、クイル81の位置に関わらず、固定子10と可動子8との間に位置保持の磁力発生させなくても、クイル81は、下方向に落下せず機械装置に損傷を与えることもない。この推力は移動中でも常に保たれているから、クイル81の移動に際して、加工ヘッド7の被移動体の重量が負荷として余計にかかることがない。したがって、固定子10と可動子8との間の磁力は略可動子8の慣性質量を移動する推力だけでよく、この軸送り装置では、可動子8を重力に対抗させる推力を必要としないから、リニアモータを小型化でき加工ヘッドが重量化しない。また、従来のバランス装置にようにワイヤロープでカウンターウェイトを連結する構成ではなく直接可動子8にカウンター推力を付与する構成であるので、追随性もよく高速ジャンプ動作を行っても振動を起こすことがない。
【0041】
また、本発明の構成では、エアシリンダの推力が可動子8の略中心に働くように設けられているので曲げモーメントの心配もなく、軸送り装置の直線性も保たれる。さらに、後述するように放電加工装置の運転状態や加工の形態、即ち加工電極形状、重量または加工形状などあるいは微少電極よる加工や加工面積が広い加工などにあわせた圧力値になるよう設定しておけば、クイル81を直接駆動することにより得られるリニアモータの性能を損ねることがない。
【0042】
次に、本発明の推力補助装置を含む放電加工装置の全体構成について図3及び図4を参照しながら説明する。
【0043】
図3及び図4は、推力補助装置を含む本発明の全体構成を示すブロック図で、前述のエアシリンダ61の圧力を設定するために電空レギュレータを用いた供給圧力設定装置を備えた本発明の第1の実施例、及び電空レギュレータ64に代えて圧力を設定するために複数の圧力設定を行う供給圧力切換回路を用いた供給圧力設定装置を備えた第2の実施例を示している。 なお、図2の実施例で説明した構成では、エアシリンダ61をクイル81の上端部でクイル81に固定し、クイル81の上部から連結部材47にピストンロッド61dを吊持する構造を例示したが、図3と図4の実施例の場合、エアシリンダ61を機械本体の静止部(コラム2)に直接固定し、ピストンロッド61dが連結部材47を介してクイル81に連結される構成を示している。エアシリンダ61が移動側であるか固定側であるかによって、エアーが供給される供給口61eが上下逆になるが、何れにおいても供給口61e側のシリンダ室にエアーが供給されることには変わりがない。
【0044】
図3において、推力補助装置は、エアシリンダ61に供給するエアー源からの空気を乾燥させるエアードライヤ62a、塵埃を除去するフィルター62b、オイルミストを除去するオイルミストフィルター62cと供給圧力を安定させるエアーレギュレータ63とを備え、また、推力補助装置の空気圧設定制御を行う供給圧力設定装置を構成する部分として、供給するエアー圧力を設定する電空レギュレータ64、電空レギュレータ64に対し数値制御装置100の指令値をアナログ変換して出力するD/A変換部65、そして、電空レギュレータ64の設定電圧の制御を行う、数値制御装置100の記憶装置102に格納された推力制御プログラムからなる。数値制御装置100は、従来の制御装置と同様、CPU101、数値制御装置が有するNCプログラム解読処理機能、表示機能などNCプログラム運転に必要とされる制御プログラムが記憶されているハードディスクなどの記憶装置102、一時記憶用メモリのRAM103、NCプログラムやプログラム運転に必要な諸設定の入力を行う入力装置104、機械運転状況や各種設定を行うための入力画面などを表示する表示装置105、モータ駆動制御装置110や本発明の推力補助制御を行うハードウェア部分との入出力を行うI/O部106で構成されている。数値制御装置100はI/O106を介してモータ駆動制御装置110へ位置指令を出力し、またモータ駆動制御装置110から必要位置情報とリニアモータの固定子10の励磁コイルの電流指令値、軸送り時の位置偏差値などを受取っている。
【0045】
従来の装置は、常に、バランス力が被移動体の重量に等くなるようにバランスを取ることを目的としてカウンターウエイトを用いていたのに対し、本発明の装置では、機械の運転状態(準備作業あるいは放電加工を含むNCプログラム運転時)によって、また加工電極、加工電極の重量変化に応じて、もしくは、加工形状や加工種類などに応じて推力補助の設定を可能にしようとするものである。したがって、加工を行う前の準備作業では、重量バランスを取った状態か若干バランス力が上回る程度として、リニアモータの励磁コイルに流す電流を減らして省エネを図ると共に発熱を抑える。この目的を達成させるため補助推力の調整を装置電源の投入時、電極交換時、加工時あるいはNCプログラム運転時に必要に応じて行うことが望ましい。また、より好ましくは、放電加工に際して加工面積が広く電極のジャンプ動作中に大きな負圧が働く場合には、リニアモータにかかる負荷を軽減するために推力補助を高く設定して、空気室の圧力を1段階以上大きめに設定する。また、距離の長い高速ジャンプが要求される加工の場合には、空気室の圧力変動を補うために同様に高めに設定して、ジャンプ動作に伴うエアシリンダ61への供給空気量を多くする。
【0046】
次に、以上のように構成された本発明の装置の動作について図5、6、7、8及び9を用いて説明する。
【0047】
図5は、本発明の装置で行われる推力補助制御動作を数値制御装置100の電源投入後(以下、ソースパワーONという)、さらに図示していない放電加工電源部など数値制御装置100以外の部分に電源を投入(以下、パワーONという)する時点から遮断(以下、パワーOFFという)されるまでの間に行われる制御動作の全体の流れを示すものである。数値制御装置100のソースパワーがONされると、CPU101は各設定を初期化しパワーONが可能な状態にする(S1)。そしてS2では、パワーONされるまでCPU101は待機状態を続け、パワーがONされると、電源投入時に空気圧を設定する処理S3が実行される。
【0048】
ここで、S3の処理について図6を参照しながら説明する。
【0049】
図6において、S51で推力補助制御実行フラグが「1」に設定され、推力補助制御プログラムが記憶装置102から呼出されてCUP101により処理が開始される。パワーON時の処理では、クイル81、電極取付手段8Aを含む加工ヘッド7の被移動体の重量を推力補助装置の推力でバランスを取って、極力リニアモータの固定子10の励磁コイルへ流す電流値を0又はそれに近い値から例えば重量にして10Kg程度高い値にして不要な電流による発熱を抑えることがのぞましい。ここで、高めの圧力設定とするのは電極Eを作業者が手で取りつけた場合や準備作業中の停電などを考慮して被移動体に通常Z軸上方向の引上げ力が働くようにしておくためである。以下、本実施例では基準値が0の場合について説明する。S52ではモータ駆動制御装置110から電磁石装置のコイルへの電流指令値を0とするため、比較する推力補助基準値として電流指令値を用い、電流基準値0が設定される。なお前記電流指令値の代わりにコイルに流ている電流値を検出器を用いて検出しても良い。つぎにモータ駆動制御装置110の電流指令値をI/O106を介して取込める状態にする(S53)。パワーOFF時に移動体の落下を防ぐためのロック装置が解除され(S54)、推力補助制御が行われる(S55)。
【0050】
ここで推力補助制御処理について図9を参照しながら説明する。図9の推力補助制御プログラム処理は、記憶装置102に記憶されている推力補助基準値としての電流基準値とモータ駆動制御装置110が制御するリニアモータの出力に比例するリニアモータ駆動制御装置110内部の電流の指令値とを比較し、両者が一致する推力になるまでフィードバック制御しながら電空レギュレータ64への出力を変化させて、エアシリンダ61に供給する空気圧を設定する処理である。
【0051】
推力補助制御プログラムがスタートすると、まず第一回目の処理としてn=1が設定され(S81)、図6のS52で設定された推力補助基準値Sを取込み(S82)、また、モータ駆動制御装置110内部の電流指令値DAを取込む(S83)。S84では基準値Sと電流指令値DAの第一回目の偏差Δe1が求められてS85に進む。S85での判断がYes即ち偏差Δe1が0ならば既に基準値と一致しているものとして、n=0に設定を戻して制御を終了し(S90)、図6のS56に進む。S85の判断がNOの場合、S86に進んで今回の偏差Δenと前回の偏差Δen−1(第1回目の処理では0)が加算された値、すなわち偏差値の積分値Δeinが求めらる(S86)。次にS87では、Δeinに積分ゲインKiを乗じた値と今回の偏差Δenに比例ゲインKpを乗じた値とが積分制御処理と比例制御処理で算出されて加算器でこれらが加算され、制御量Cnが求められる(S88)。求められた制御量CnがI/O106を介してD/A変換部65に送られ、D/A変換部65で電圧値に変換されて電圧値が電空レギュレータ64に出力される(S88)。そしてnに1加算してS83に戻り第二回目の処理が行われる。第二回目の処理では、再びS83とS84を実行して、S85で第二回目の判断を行う。もし一致していなければ、上述の処理を偏差Δenが0になるまで繰返す。このS83からS89の処理が繰返されると徐々に偏差は少なくなり、最終的にはΔeinに積分ゲインを乗じた値が出力値として保持された状態で処理が終了する。ここでKiとKpの値は制御系に遅れがなく、また振動現象を起こさない適宜な値が設定される。こうして、電空レギュレータ64が給排気するエアシリンダ61内の圧力は、推力補助基準値によって指定された圧力に、すなわち、被移動体の重量に略バランスするような圧力に収束する。従って、推力補助基準値を多少大きめに設定すれば、エアシリンダ61内の圧力は、被移動体の重量に略バランスする圧力より大きめな圧力に収束する。
【0052】
図6に戻って、推力補助制御処理が終了するとS56に進み、、電流指令値の取込を停止し推力補助制御実行フラグを0にして図5のS3の処理を終了し、作業者による運転指令待ち状態となる。もちろん、このとき推力補助制御が終了した旨のコメントを表示しても良い。
【0053】
図5に戻って、S3の処理が終わるとS4の電極交換の指令が作業者により行われたかどうかが判断される。ここでは作業者が電極交換装置にセットされている他の電極に交換した場合に、作業者の電極交換入力に基づき推力補助制御を実行するものである。S4では、作業者により電極交換が指令されると、放電加工装置に設けられた電極自動交換装置が作動して電極が交換され、電極交換終了後S4aへ進む。S4aでは、CPU101が、記憶装置102に格納されている図7に示す電極交換時処理を呼び出して実行する。
【0054】
図7の処理は、電極交換が行われたときの推力補助制御示すフロー図である。作業者により電極交換の指令入力が行われるかNCプログラム中に電極交換指令があったときに実行される処理であり、特に電極重量が大きく変わる場合などに実行させる。電極重量がさほど変化しない場合には制御を実行させる必要はない。なお、電極重量の変化は電流指令値の変化から知ることができ、従って、数値制御装置では、電極重量も求めることができる。
【0055】
図7で、作業者により電極の交換指令(電極自動交換装置に対する操作)、あるいはNCプログラム運転中に電極交換指令があり電極交換が行われると、電極交換動作後、推力補助制御実行フラグが1に設定され推力補助プログラムが実行される(S60)。次に、S61で作業者により予め補助推力が設定されたかどうか判断され、設定されている場合には、S611に進む。
【0056】
S611では、加工形態、例えば加工投影面積、電極重量、深穴加工、微細加工あるいは直接入力された推力補助基準値、もしくは設定圧力値などの情報入力を作業者に対し要求する画面を表示し、それに対し入力装置104で入力された情報を記憶装置102から呼出す。入力画面としては、例えば、上述の加工形態に関する項目を選択番号と共にリスト表示させ、その一つの番号を選択する入力画面としたり、直接電極重量や設定圧力値の入力画面とすることができる。S612では、呼出された選択番号あるいは入力値に基づき、CPU101が、電空レギュレータへの電圧値に換算する処理を行なう。そして、換算された電圧値をD/A変換部65へI/O106介して送り、D/A変換部65から設定電圧を電空レギュレータに出力し、S69に進んで推力補助制御実行フラグを0として処理を終わり図5のS5に戻る。
【0057】
この記憶装置102に記憶させておく推力補助基準値は予め実験などにより求めて対応関係を決定するか、理論上の基準値として決定して記憶装置102に格納するようにすれば良い。
【0058】
図7のS61に戻って、補助推力が入力がなされていなかった場合には、リニアモータ駆動制御装置110の電流指令値読込み可能状態とし(S62)、電流指令値DAが読込まれる(S63)。そして次のステップ電流指令値DAが所定値以上変化したか判断される(S64)。前述の図6の処理で既に被移動体は交換前の電極に対して重量バランスの取られた状態となっているので、交換後の電極の重量が変化していると電流指令値も変化している。ここで、重量変化に対して常に補助推力の調整行うことが望ましいが、本実施例では処理を速やかに行うため、リニアモータの定格推力値にもよるが、例えば重量にして5kg程度以上の変化であれば補助推力の調整を行い、それ以下であれば再度調整を行わずその時点で処理を終了する場合の実施例を例示してある。
【0059】
電極の重量変化が所定値以上である場合、判断がYESとなり電流指令値を記憶する(S65)。このとき工具番号を関連付けて記憶し、後に同じ電極が指定された場合に利用してもよい。
【0060】
S66では推力補助基準値としての電流指令値が0に設定される。S67では図9に示した処理が行われ、電流指令値読込み状態を終了して(S68)、推力補助制御フラグを0にして処理を終わる(S69)。図7の一連の処理が終了すると図5のS5に進む。
【0061】
なお、推力補助基準値は、図6の場合では電流指令値を用いて図9の推力補助制御処理を行ったが、図7の場合では、上述のように、図9の推力補助制御処理の他に、電流指令値を用いずに、加工形態に対応する推力補助値を電空レギュレータ64への電圧値として直接出力するようにしている。また後述する図4の実施例に用いる場合には開放する電磁弁選択信号を推力補助値として出力する。
【0062】
S5では、数値制御装置100のCPU101は、NCプログラムによる装置運転の待機状態にあり、NCプログラムの実行指令があるまでS4とS5の処理を繰返す。S5で、NCプログラムの実行指令があるとNCプログラムを解読し運転を開始する。そして、S6に進み電極交換に関する交換動作(ATC動作)に関するプログラムコードがNCプログラム中にあるか否かが確認され、ある場合には、S6aのツール交換動作を実行し、S6bの電極交換時処理に進む。このS6bの処理は上述のS4aの処理と同様であるので説明は省略する。
【0063】
電極交換の指令がなければ、次にS7で、NCプログラムにより放電加工を実行するかどうかが判断され、放電加工のNCプログラムでなければ1ブロック分のプログラムを実行しS9に進む。ここでNCプログラムが終了であればS10に進み、パワーがOFFされたならば全ての推力補助制御動作を終了する。S9で、NCプログラムが終了でなければ、S6に戻り処理を繰返す。またS10でパワーOFFでなければS4に戻って、S4とS5の処理を待って待機状態となる。
【0064】
S7に戻って、放電加工の実行であった場合、判断がYesとなり、図8に示す放電加工時の処理S7aに入る。
【0065】
S7aの処理は、放電加工時に起動させる補助推力を増大する制御処理である。通常形彫り放電加工の際のジャンプ動作においては、電極の後退時にできる限り高加速度で電極を移動させ、加工間隙に急激な加工液流を発生させることにより加工間隙に滞留する加工屑の排出効果が著しく高められる。しかしながら、短時間(0.1から0.5秒)で電極を後退させると、加工面積が広い場合には極間に吸引される加工液が多いために電極に大きな負圧が働き、また電極重量の大きい場合には、電極自身の慣性質量によってかなりの推力を必要とする。このような場合、リニアモータで被移動体を送り移動している際のリニアモータの位置指令に対する位置偏差(いわゆる溜まりパルス)が大きくなり過負荷がかかったものと判断し、過負荷保護装置が働き運転を停止してしまう。しかし実際には、電極と被加工物の衝突などによる過負荷ではなく、予定された移動量が負圧のために行われず、所定量以上の位置偏差が発生したためによるものであるので、機械剛性を充分考慮しておけば電極後退時に補助推力を与えることで過負荷状態を回避することができる。図8に示す処理フローは、リニアモータ駆動制御装置110の位置偏差をモニタリングして位置偏差が所定値を越えた時補助推力を高め所要の高速ジャンプ動作が行えるようにする制御である。
【0066】
図8において、S70では、所要の放電加工条件が設定され放電加工が開始される。そして、所定の周期で、例えばジャンプ動作にあわせてリニアモータ駆動制御装置の位置偏差値を取り込み(S71)、S72でその偏差値が所定値以上になっているかどうかを判断する。但し、基準となる偏差値は前記保護回路が働く設定値より低い値に設定しておく。判断結果がNOであればS80に進み加工終了でなければS71に戻る。S72の判断がYESであれば、さらに加工が進行するのに伴って負圧が増加する可能性があるので、前述の処理と同じく推力補助実行フラグを1にして電流指令値を読込む(S73、S74、S75)。ここでS76では先の推力補助制御時の値では推力不足であるので、予め記憶装置に記憶されている所定の基準値を1ステップ高める設定値を呼び出し、被移動体に後退方向の推力が働くよう前述の図9に示した推力補助制御を行う(S77)。補助推力を1段階上げた後電流指令値の取り込みを止め、推力補助制御フラグを0(S79)にしてS80に進む。そして、加工が終了であれば加工時処理を終わりS8に進み、終了でなければS72に戻り、上述の処理を加工終了まで繰返す。
【0067】
ここで他の実施例として、S72の判断で位置偏差が所定値以上であったとき、S73からS79一連の推力補助制御を実行する代わりに、記憶装置102に電空レギュレータ64の給排空気圧を1段階高める出力電圧値を予め記憶させておき、位置偏差が所定値以上になったとき、この位置偏差の大きさに応じて段階的に高い出力電圧値を呼び出し、D/A変換部65を介して直接電空レギュレータ64へ出力する処理も可能である。また予め負圧に対抗する電圧値を記憶しておき、その設定値に切り換えて出力するようにすることも可能である。この場合の処理では、補助推力を徐々に上げて行き、位置偏差が所定値以下になるまで推力補助制御を繰り返す必要がない。また、他の実施例として、上述した制御量Cnに乗算される積分ゲインKiを上昇ジャンプ中のみ1段階大きくしたり、制御量Cnに位置偏差の大きさに応じた所定量を付加することも有効である。このように推力補助基準値に合わせて制御された空気圧をさらに増加して、リニアモータの推力不足を補う。高速、かつ大ストロークジャンプが必要な加工においても、同様な推力補助制御を採用することもできる。
【0068】
S80の判断がYESとなると、図5のS8に戻り上述した処理が放電加工装置のパワーがOFFされるまで続けられる。
【0069】
次に、本発明の第2の実施例について図4を参照しながら説明する。図4は、供給圧力設定装置として、比較的高価な電空レギュレータ64に代えて空気圧切換回路を設けて段階的ではあるが推力補助制御を行う実施例である。図4中図3と同じ符号は同じ構成であるので説明は省略する。図3に示した実施例と異なる点は空気圧調整のため設けられた複数のリリーフ弁付きエアーレギュレータ(以下、ハイリリーフエアーレギュレータと呼ぶ)66a〜66dとエアシリンダ61への空気供給管路を切換える複数の電磁弁67a〜67d及び数値制御装置100内の記憶装置102に記憶されている処理プログラムである。なお、図ではハイリリーフエアーレギュレータを4個使用するものを例示したが、より正確に空気圧を設定したい場合には更に多くのハイリリーフエアーレギュレータ設けても良く必要に応じてその数を決定すれば良い。なお、エアドライヤ62aは、この回路では用いなくても良い。
【0070】
エアシリンダ61に空気を供給する各ハイリリーフエアーレギュレータ66a〜66dの空気圧設定は、図示しない調節つまみによりハイリリーフエアーレギュレータのリリーフバルブを調整することで設定される。
【0071】
そしてその設定圧力は、例えば、電極取付手段8Aを含む可動子8の重量が大凡50kg程度のとき、断面積25cm2のエアシリンダ用をいると一つのハイリリーフエアーレギュレータ66aに設定される空気の圧力は、2kg/cm2から2.4kg/cm2で被移動体の重量バランスを取る際に用い、それ以外のハイリリーフエアーレギュレータ66b、66c等には、順次電極重量や加工形態を想定して適宜段階的に供給圧力の高い圧力を設定しておく。また、加工面積が100〜150cm2の電極で加工する場合に働く負圧に対抗する設定として、エアー圧4〜6kg/cm2も用意しておく。放電加工装置で用いられる電極重量と電極の大きさは機械装置の大きさで略決まるので、大型の機械装置の時は断面積のより大きいエアシリンダを採用すればよい。以上のように複数段階に供給圧力が調整されたハイリリーフエアーレギュレータを電磁弁67a〜67dで必要に応じて切換制御し所要の推力補助を行う。
【0072】
なお、推力補助を行わない場合はすべての電磁弁を閉じ、図示していないリリーフバルブを開放してエアシリンダ61の空気を排気することにより行われる。
【0073】
次に図4の実施例装置の動作について説明する。電源投入時は、図6に示した制御フローに対して本実施例の場合では、前述のハイリリーフエアーレギュレータのうち可動子8の重量バランスを取る圧力設定がなされたハイリリーフエアーレギュレータに接続されている電磁弁を開にして、エアシリンダに空気圧を供給するのみの処理で終えることができる。また、図7の電極交換時の動作に対し、本実施例の場合では、作業者が補助推力を指定入力したときはその指定圧力を供給するハイリリーフエアーレギュレータに接続された電磁弁を開にすることに行われ、また作業者による指定がない場合は、図7に示したS61からS63がまず実行され、電極の交換により電流指令値DAが所定値以上になったかどうかが判断され、もし、所定値以上であった場合には、S65とS67の推力補助制御に代えて圧力設定が1ステップ高い設定となっているハイリリーフエアーレギュレータの電磁弁を開にし(現在開となっている電磁弁は閉じる)、再びS62とS63の処理を実行する。そして次の判断でも所定値以上であれば、この処理を電流指令値が所定値以下になるまで繰返し適切な圧力設定を行う。
【0074】
次に加工時の処理動作について説明する。この場合、図8の処理フローのS70、S71、S72がまず同様に実行される。S71で、例えばジャンプ動作の周期にあわせて所定の時間ごとに被移動体の移動に伴う位置偏差値がモニタリングされる。そしてS72の判断で位置偏差値が所定値以上であった場合には、S74〜S78の処理に代え、圧力設定が1ステップ高い設定となっているハイリリーフエアーレギュレータの電磁弁を開にし(現在開となっている電磁弁は閉じる)、再びS71とS72の処理を実行する。そして次の判断でも所定値以上であれば、この処理を位置偏差値が所定値以下になるまで繰返し電極に働く負圧に対抗する適切な圧力の設定されたハイリリーフエアーレギュレータの電磁弁を開にする。なお、負圧を考慮した設定となっているハイリリーフエアーレギュレータを備えている時には直接切換えるようにしても良く、その場合予め予想される負圧に対抗する推力を計算してハイリリーフエアーレギュレータに圧力を設定しておく。
【0075】
以上のように、図4の実施例では複数の圧力設定の異なるハイリリーフエアーレギュレータを用意してモータ駆動制御装置110の電流指令値や位置偏差値を数値制御装置100で読み取って、エアシリンダへの供給圧力が適切な圧力値になるよう電磁弁を切換えて制御を行う構成とし、比較的安価に推力補助を行える。また、図4の実施例では、電流指令値や位置偏差値が予定された値以上の場合に、表示装置105警告又はメッセージを表示し、作業者がハイリリーフエアーレギュレータのリリーフ弁を調整して空気圧設定の変更が行えるよう構成することも可能であり、この場合CPUが電流指令値や偏差値から必要とされる圧力値を演算して、好ましい設定圧力値を表示装置にメッセージと共に表示するようにすれば容易に所要の圧力値を設定することができる。
【0076】
以上のように、本発明では形彫り放電加工装置の運転状態により推力の補助が適切に行える構成としているので、加工形態が同様なものを加工する限りにおいては少なくとも何れかのタイミングで補助推力を設定すればよく、また、加工形態の変更がなく同種の加工を継続的に行うような場合では、一度設定した供給圧力を記憶装置に記憶させておき、電源投入後その設定値を呼び出して供給圧力設定することもできる。
【0077】
【発明の効果】
本発明方法によれば、上述のように、加工ヘッドのクイルをリニアモータの可動子として構成し、このクイルに働くリニアモータの駆動推力の略中心軸線上にエアシリンダを設けてエアシリンダの引上げ力を前記軸線と略同軸上に直接作用させて、軸送り機構に偶力が働くのを防止する。そして、放電加工装置の運転状態に応じてエアシリンダに供給する空気圧を適切な空気圧として、前記エアシリンダが発生する引上げ力をクイルに常に作用させてリニアモータの負荷を軽減し、リニアモータの出力が有効に軸送り装置の駆動力として利用されるので、リニアモータの有する性能を損ねることなく利点を生かすことができる。
【0078】
また、放電加工時に、軸送り機構に偶力が働くのを防止しながら、エアシリンダへの供給圧力を増加させエアシリンダが発生する引上げ力が増大させる。これにより、被移動体に働く負圧に対抗するのでリニアモータの推力不足を補い、リニアモータの出力が有効に軸送り装置の駆動力として利用されるとともにクイルの高速ジャンプ動作が支障なく行われる。
【0079】
本発明方法を実施する装置によれば、上述のように、加工ヘッドのクイルをリニアモータの可動子として構成し、このクイルに働くリニアモータの駆動推力の略中心軸線上にエアシリンダを設けてエアシリンダの引上げ力を前記軸線と略同軸上に直接作用させるように構成したので、追随性が確保され、エアシリンダの推力のため軸送り機構に偶力が働くことがなく軸送りの直線性も維持され、高速ジャンプ動作時に振動を起こすことがない。また、放電加工装置の運転状態に適した圧力設定値に設定できるので、リニアモータの負荷を軽減させて、リニアモータの出力が有効に軸送り装置の駆動力として利用されリニアモータをコンパクトにでき、かつ高応答性が維持できる。
【0080】
さらに、放電加工時に、位置偏差値が所定値以上のときエアシリンダへの供給圧力を増加させるプログラムを演算処理装置が実行して、前記エアシリンダへ供給圧力増大させエアシリンダが発生する引上げ力が増大するので、軸送り機構に偶力が働かせることなく被移動体に働く負圧に対抗する補助推力が与えられ、リニアモータの推力不足を補い、リニアモータの出力が有効に軸送り装置の駆動力として利用されるとともにクイルの高速ジャンプ動作が支障なく行われる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の形彫り放電加工装置の機械部の全体構成を示す斜視図
【図2】図1に示した加工ヘッド7の略中心部分の構造を示す破断図
【図3】電空レギュレータを用いた供給圧力設定装置を備えた第1の実施例図
【図4】複数の圧力設定を行う供給圧力切換回路を用いた第2の実施例図
【図5】本発明の装置で行われる推力補助制御動作の全体の流れを示す図
【図6】電源投入時に空気圧を設定する処理の流れを示す図
【図7】電極交換時に空気圧を設定する処理の流れを示す図
【図8】放電加工時に空気圧を増大する制御処理の流れを示す図
【図9】推力補助制御処理の流れを示す図
【符号の説明】
2 コラム
7 加工ヘッド
7A ベース部材
8 可動子
8A 電極取付手段
10 固定子
42 磁石板
43 永久磁石
52 リニアモーションボールベアリングガイド
52A ベアリングブロックリニアモーションボールベアリングガイド
61 エアシリンダ
67a、67b、67c、67d 電磁弁
81 クイル
100 数値制御装置
LS 位置検出装置

Claims (3)

  1. クイルを内包する加工ヘッドを加工テーブルと鉛直方向に相対向するようにコラムに取り付け、前記クイルが加工ヘッドまたはコラムに対し前記鉛直方向に直線に移動するように保持されると共に前記クイル側面とコラムまたは加工ヘッド間に対向して形成させたリニアモータによって前記鉛直方向に駆動するように構成し、数値制御装置を備えた放電加工装置の軸送り推力補助方法であって、
    前記クイルに働くリニアモータの駆動推力の略中心軸線上に位置するようにコラムまたは加工ヘッドに保持されたエアシリンダであって、引き上げ力が前記軸線と略同軸上に作用するようにシリンダとピストンロッドの一方がクイルに結合され、他方が連結杆を介してコラムまたは加工ヘッドに連結固定されたエアシリンダと、
    前記エアシリンダにエアー源から供給する空気圧力を制御設定する供給圧力設定手段と、
    前記リニアモータの位置指令に応ずる移動と位置決め制御を含むモータ駆動制御装置と、
    前記放電加工装置の電源投入時、電極の交換時、NCプログラム運転時、または、放電加工時などの異なる運転状態時の各推力補助制御の各プログラムと各推力補助基準値を格納する前記数値制御装置を含む制御装置の記憶装置とを有し、
    前記放電加工装置の軸送り稼動開始に際し、前記各運転状態の開始時に、前記各推力補助制御プログラムにより前記モータ駆動制御装置からリニアモータへ出力する電流指令を検出して、前記エアシリンダの供給圧力設定手段に圧力設定信号を出力し、前記エアシリンダに所要圧力の空気を供給して前記クイルに運転状態に応じた補助推力を付与する制御作動を、前記検出電流指令値が予め記憶装置に記憶されている前記推力補助基準値の電流基準値と一致するまで繰り返すことを特徴とするリニアモータ駆動放電加工装置の軸送り推力補助方法。
  2. 前記供給圧力設定手段が、電空レギュレータであることを特徴とする請求項1に記載のリニアモータ駆動放電加工装置の軸送り推力補助方法。
  3. 前記供給圧力設定手段が、異なる空気圧力に設定されたリリーフ弁付きレギュレータの複数個が、制御装置の出力信号により切換えられる電磁弁を介して接続されているものであることを特徴とする請求項1に記載のリニアモータ駆動放電加工装置の軸送り推力補助方法。
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