JP4118354B2 - 臓器吊り上げ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、腹腔鏡による観察下で、胃、腸等の臓器を外科的に手術する際、その臓器の部位を吊り上げる臓器吊り上げ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、開腹手術を行うことなく、トラカール等を利用して、胃、腸等の臓器を内視鏡下で、外科手術が行われるようになった。この内視鏡下での外科手術により、例えば胃壁の一部に発生した癌細胞等の患部を切除する際には腹壁を貫通して腹腔内に挿入した吊り上げ具によって胃壁の患部周辺の部位をつまみ上げ、患部を含む胃の部分をファスナ付カッターで縫合した状態で切除するようにする。
【0003】
この手技の手順は特開平8−150149号公報に記載されるところである。吊り上げ具を用いて胃壁の一部を吊り上げる場合には、まず、穿刺針を腹壁に穿刺し、この穿刺針に位置決め用ガイドロッドを通し、このガイドロッドの先端を腹腔内に突き出す。そして、胃壁に発生した患部の近傍位置に穿刺針を刺通したいが、一般に患部は胃の外側からは全く見えない。胃壁に発生した患部の位置は胃内に挿入されている胃用内視鏡によってのみ確認できるので、穿刺位置を特定するためには、胃の外壁にガイドロッドの先端を軽く押し当て、胃内から内視鏡によって、位置決め用ロッドで押当て変形した位置を確認しながら、その突出部分が患部の近傍位置になるようにガイドロッドの押し当て位置を変え、患部近傍の穿刺位置を探し出す。そして、探し出したガイドロッドの押当て位置の胃壁部位に穿刺針の先端を刺通する。次に、ガイドロッドを抜去し、この後、穿刺針から牽引部材の先端を胃内に突き出し、穿刺針を抜去する。ついで、牽引部材の操作棒に固定用筒部材を被嵌して腹腔内に挿入する。そして、胃内に位置する牽引部材のバーと胃の外に位置する固定用筒部材の先端とで胃壁を挟み込んで保持し、胃壁の一部を引き上げる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の吊り上げ具を用いた方法には以下のような問題点があった。
癌組織に穿刺針を直接に穿刺することは病変組織をまき散らすために避けなければならない。一方、切除による臓器の侵襲を少なくするためには患部のできるだけ近くに穿刺針を刺通する必要がある。従って、穿刺針を穿刺する腹壁の場所は患部を避け得る患部に極力近傍の部位でなければならない。
【0005】
しかし、穿刺針を刺す腹腔側からは癌患部は見えないため、腹腔側から胃の外壁にロッドの先端を押し当て、胃内に押し込まれた変形突出部を内視鏡によって確認しながら患部の近傍位置に対応した穿刺予定位置を探し出し、穿刺位置を決めるが、実際に穿刺する場合、胃内から内視鏡によって探し出した胃の外壁の部位に穿刺針を穿刺したとしても胃内の所望位置に必ず穿刺できるとは限ず、穿刺針が予定位置から大きくずれた位置に刺通されてしまうことが多い。
これは以下に挙げるような種々の原因が複合的に関係して起るものであり、前述した手技にあっては避けがたいものであった。
【0006】
まず、原因の1つは、気腹した腹腔内で胃が膨らんでおり、胃内及び腹腔内の僅かな圧力変化や胃に加わる僅かな外力によって胃の形状が常に変化しているために、位置決め用ガイドロッドで位置決めした時から穿刺する時までの時間経過によりずれが起る。
【0007】
また、他の原因は胃壁の5層構造に起因するものである。つまり、胃壁は粘膜、筋肉層、しょう膜等の複数の膜からなる多層構造であり、その各膜は互いに密着固定されたものではなく、相互にスライドしてずれ易い多層構造のものである。このため、胃の外壁から位置決め用ガイドロッドの先端を比較的軽く押し当てたときの各層のずれ方と、実際に穿刺針を強く突き刺したときとの各層のずれ方が全く違う。特に斜めに穿刺するような場合には各層が大きくずれ易い。従って、位置決め用ガイドロッドで胃の外層に対して位置決めしても患部のある内層が大きくずれてしまい、穿刺予定位置が狂ってしまうのである。
そして、各原因が加わり合って穿刺予定位置の狂いが大きくなってしまうというものであった。癌患部を穿刺することは癌組織を散らす虞があるので、上述した穿刺予定位置の狂いを予想し、穿刺予定位置を癌患部の位置から十分に離れた個所に決めるようにしている。臓器を吊り上げる個所が患部から大きくずれるため、切除が必要な部分を局所的に切除することができない。従って、胃を必要以上に大きく切除しなければならず、胃の侵襲が大きくなる。また、治癒が遅れるだけでなく、胃の形も変わり治癒後の機能にも支障が生じる虞がある。
【0008】
さらに、従来の臓器吊り上げ装置による手技は多くの器具を何度も体腔内に出し入れしなければならず、繁雑な作業が求められる。また、ガイドロッドを用いて胃の外側から胃の壁面に何度も突き当てる作業と胃の内側からの観察との両方を同時に行わなければならず、その穿刺予定位置の決定作業が繁雑で高度の熟練が必要である。さらに、穿刺予定位置の決定から穿刺針の穿刺までの手技時間が長いという患者及び術者にとって負担の大きい手技であった。
【0009】
本発明は前述した課題に着目してなされたもので、簡単な作業で、切除病変部を含む必要最低限の臓器領域を正確に切除することができるように臓器を吊り上げることができる臓器吊り上げ装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段及び作用】
本発明の臓器吊り上げ装置は、シースと、前記シース内に配置されるとともに、このシースより出て体腔内に留置されるロッドと、前記ロッドと係着し、該ロッドを引くものであって、前記ロッドより先に前記シースから押し出される糸と、を有する吊り上げ具とを備えて構成した。
【0011】
【発明の実施の形態】
[第1実施形態]
図1乃至図12を参照して、本発明の第1実施形態を説明する。
(構成)
図1は胃壁を吊り上げる吊り上げ装置1を示す。吊り上げ装置1はシース2によって挿入部3を構成してなり、シース2の基端には後述する操作部4が設けられている。
【0012】
シース2は電気的絶縁性の可撓性チューブにより形成され、先端の口部5は他の部分よりも内外径が小さく形成されている。シース2内には臓器吊り上げ具6と臓器穿孔具7が収納されている。
臓器吊り上げ具6はロッド8と糸9とを備えて成る。ロッド8は細い棒状体によって形成されている。ロッド8の長手方向中間部には糸9を通す2つの孔が形成されている。2つの孔はロッド8の長手方向にずれて配置されている。ここでの糸9はループ状に形成されており、ロッド8の2つの孔を通り、ロッド8に係着されている。糸9の材料は絹糸や生体適合性のある合成樹脂製の糸、または合成生体吸収性の糸で作られている。ロッド8に糸9を取り付ける場合には1本の直状の糸9の一端を2つの孔に順次、通して、糸端同士を例えば縛り、あるいは超音波溶着により固定してループ状に形成する。
【0013】
臓器穿孔具7は導電性の操作ワイヤ11と、これの先端に取着された棒状の電極12とから成る。操作ワイヤ11は先端側部分を細径の操作ワイヤ11aとし、基端側部分を太径の操作ワイヤ11bとして成り、細径の操作ワイヤ11aは太径の操作ワイヤ11bの先端に接続管13により接続されている。この接続部分はその段差端によって臓器吊り上げ具6をシース2の口部5から押し出すプッシャ14を構成している。この実施形態では臓器穿孔具7を利用して臓器吊り上げ具6をシース2から押し出すプッシャ手段を構成している。
【0014】
臓器穿孔具7の先端側の操作ワイヤ11aは基端側の操作ワイヤ11bに対して偏心して接続されている。また、棒状の電極12の径はシース2の口部5の内径に近い径で、その口部5から出し入れできるようになっている。さらに、先端側の操作ワイヤ11aは棒状の電極12の径より細く、操作ワイヤ11aが口部5を通るとき、その横を臓器吊り上げ具6のロッド8や糸9が通れるように形成されている。
【0015】
そして、シース2内において臓器吊り上げ具6はロッド8が糸9の後方に位置して臓器穿孔具7の横に配置されている。従って、プッシャ14により臓器吊り上げ具6を押し出すときには糸9が先にシース2の口部5から押し出される。
【0016】
一方、操作部4は電気的絶縁性のガイド杆21を操作部本体としてなり、ガイド杆21の先端にはシース2の基端を固定する固定環22が設けられている。ガイド杆21の中間部には電気的絶縁性のスライダ23がスライド自在に装着されている。スライダ23には前述した臓器穿孔具7の基端側の操作ワイヤ11bの基端が接続されている。スライダ23には操作ワイヤ11に電気的に接続された接続ピン(口金)24が設けられ、この接続ピン24には図示しない高周波電源装置に通じる電源コード(図示せず)が接続されるようになっている。
【0017】
さらに、ガイド杆21の中間部にはスライダ23よりも先端側に位置して、ストッパ25が装着されている。ストッパ25はガイド杆21に沿って前後に移動できると共にその任意の位置で固定できるように設けられている。そして、ストッパ25はスライダ23を前進させたときの終端位置を規制するストッパ手段を構成する。図1で示す位置にストッパ25があるときにはスライダ23を押し出した状態で、シース2の口部5から電極12のみが突き出し、臓器吊り上げ具6のロッド8や糸9は突き出さない。また、図2で示す位置にストッパ25があるときにはスライダ23を押し出した状態で、シース2の口部5から電極12のみならず、臓器吊り上げ具6の糸9も一緒に突き出すようになっている。
【0018】
また、細径の操作ワイヤ11aには図2で示すごとく、曲がり癖を付けてあるので、シース2の口部5から突き出した状態にて、糸9から細径操作ワイヤ11aが離れる。尚、糸9にも操作ワイヤ11a側から離れる曲がり癖を付けても良い。
ガイド杆21の後端部とスライダ23の両端部には指掛けリング26,27a,27bがそれぞれ形成されている。
【0019】
図3は臓器操作具30を示す。この臓器操作具30はスネア31、注射針状の穿刺針32、及び外套管33を備えてなるものである。スネア31は操作パイプ35と、これの先端に取着されたループ状のスネアワイヤ36とからなり、スネアワイヤ36は図3で示す形状にそれ自身の弾性力により弾性的に広がるように形成されており、ループ先端には狭い引掛け部37を形成している。尚、操作パイプ35は中空部材ではない棒状のものでもよい。
【0020】
穿刺針32はパイプ材41からなり、このパイプ材41の中空部にスネア31を挿通させるようになっている。パイプ材41の先端には穿刺刃先部42が形成され、穿刺針32の基端には針基43が設けられている。針基43にはパイプ材41の中空部に通じるテーパ状の開口部44が形成されている。針基43は外套管33のテーパ状の基端開口部に嵌着して固定され、また、取り外せるようになっている。針基43にはその開口部44を閉塞するためのゴム製のキャップ45が取り付けられている。キャップ45は針基43に対して着脱自在である。尚、前記スネア31の操作パイプ35はこのキャップ45を気密的に貫通するようになっている。
【0021】
外套管33は穿刺針32のパイプ材41に被嵌するパイプ材47からなっており、その基端には把持部材48が設けられている。そして、この把持部材48と外套管33の基端部によって操作部49を構成している。操作部49の把持部材48には臓器吊り上げ具6の糸9を挟み込んで係止する複数のスリット部50が裏表に形成されている。臓器吊り上げ具6の糸9を係止する臓器吊り上げ具固定手段としては糸9を巻付けて縛る方法やクリップ等で糸9を締結する方法等の方式であってもよい。
【0022】
また、穿刺針32と外套管33の間は穿刺針32の先端が外套管33の先端より後退した位置にても両者は固定できる構成となっている。この固定手段としては例えばクリック機構等が考えられる。
尚、操作部49には必要に応じて外套管33の基端(手元端)開口部を閉塞するためのキャップ46が支持片46aを介して取り付けられている。
【0023】
(作用)
次に、図4〜図12を参照して、吊り上げ装置1の使用例を説明する。まず、図4で示すように、気腹した腹壁51に留置したトラカール52の中に硬性鏡53を挿通する一方、胃54内に胃用内視鏡55を経口的に挿入する。この内視鏡55を通じて胃内に送気によって胃を膨らませる。
胃用内視鏡55の処置具用チャンネルを通じて、電極12を後退させた状態にて、吊り上げ装置1の挿入部3を胃54内に挿入する。このとき、臓器吊り上げ具6と臓器穿孔具7はシース2内に収納されており、挿入部3はシース2のみが露出している。
【0024】
そして、内視鏡55を操作して挿入部3の先端の向きと位置を変え、胃54の内壁に発生した病変部56の近傍に、シース2の先端を誘導した後、胃用内視鏡55の手元側でシース2を押し込み、シース2の先端を突き出して、胃壁に押し当る。これによって胃54の外壁面にはシース2の先端が当った位置に対応する部位が腹腔57側へ膨出する。この腹腔57へ突出する膨出部58の状態を硬性鏡53にて観察し、胃54の血管の存在、他の臓器との癒着などがないか、または周辺臓器を損傷する虞がない位置であるかを確認する。
【0025】
胃用内視鏡55と硬性鏡53の双方にて、再度、穿刺予定位置が適当か否かを確認した後、図5で示すように、挿入部3を後退させ、胃54の内壁面から向きを変えることなくシース2の先端を僅かに離すと共に、吊り上げ装置1の操作部4においてスライダ23を前進させて、シース2の口部5から電極12を突出させる。このとき、ストッパ25の位置は図1で示す後退した位置にあり、シース2の口部5から電極12の先端部分が直線的に突き出した状態にある。そして、フットスイッチ等による操作により電極12に高周波を通電しつつ、電極12を胃壁に押し当てると、図6で示すように、電極12の当った胃壁の部分のみが高周波の切開作用で切開され、挿入部3が胃壁を貫通する。
【0026】
ついで、操作部4におけるストッパ9の位置を図2の状態に変更し、スライダ23を押し出すと、図7で示すように、電極12はシース2の口部5から完全に突き出し、細径の操作ワイヤ11aの先端部分も突き出す。操作ワイヤ11のプッシャ14もさらに前進させて臓器吊り上げ具6のロッド8を押し、シース2の口部5から糸9を突出させる。このとき、電極12から糸9が離れる向きに湾曲する。
【0027】
一方、図8で示すように、穿刺針32内にスネア31を引き込み、外套管33の先端から穿刺針32を突き出した臓器操作具30を腹壁51に穿剌する。
この穿刺後、図9で示すように、外套管33内に穿剌針32を引き込む。また、外套管33の先端からスネアワイヤ36を突き出す。硬性鏡53で観察しながらスネアワイヤ36により臓器吊り上げ具6の糸9を捕捉する。
【0028】
次に、図10で示すように、ネアワイヤ36で吊り上げ装置1の糸9を保持しながら吊り上げ装置1のシース2を胃用内視鏡55の処置具用チャンネル内に引き戻すと、臓器吊り上げ具6のロッド8は胃54内に出て残り留置され、臓器吊り上げ具6の糸9は腹壁51を貫通した状態になる。
【0029】
臓器操作具30の外套管33内に糸9を更に引き込み、外套管33の手元端からスネア36を引き抜き、糸9を引いた状態にする。スネア36を抜去後に糸9の手元端部が残った状態の外套管33の手元端開口はキャップ46で覆い、閉鎖する。そして、図12で示すように、外套管33の先端を胃壁に近付けまたは当てる状態とし、その糸9を外套管33の手元端にある把持部材48のスリット部50に掛けながら複数のスリット部50に巻き付けて係止固定する。これにより臓器操作具30に臓器吊り上げ具6の糸9が連結され、ロッド8は胃54の内壁に係止する状態になる(図12)。
【0030】
そこで、術者は臓器操作具30の外套管33を手に持って、胃壁54をマニピュレートし、トラカールを介して胃内に挿入したカッタ付自動縫合器へ局所切除予定部を誘導し、位置決めする。そして、自動縫合器の一連の動作により切除ラインの両側を縫合し、その直後に切除ラインに沿って自動縫合器にあるカッタで胃壁を切り、病変部56を含む胃の部分を切除する。臓器吊り上げ具6のロッド8はその切除した胃の部分の内部に閉じ込められ、糸9はそれから引き出して付いている。糸9を挟み鉗子等で切断し、切除した胃の部分は回収バックに収納した上で回収用トラカールを通じて体外に取り出す。
【0031】
(効果)
この実施形態によれば、胃用内視鏡55により病変部56を直接に見て観察しながらその近傍の位置に吊り上げ装置1の挿入部3を位置決めし、病変部56の近傍位置に吊り上げ具6を通す穿孔を設けることが出来る。穿孔位置を正確に位置決め可能であり、病変部から必要最低限離れた位置に吊り上げ具6を装着して胃壁を吊り上げることができる。自動縫合器による切除片を最小にすることができる。従って、術後の、胃の狭窄、迷走神経の損傷、変形等を原因とする合併症の虞が低くなる。勿論、誤穿刺による病変組織のまき散らしの虞がない。しかも、従来の方式ではアプローチしにくい部位、例えば胃底部や胃後壁に対しても容易かつ確実な吊り上げ操作が可能となる。
【0032】
[第2実施形態]
(構成)
第1実施形態において、吊り上げ装置1のシース2をダブルルーメンチューブとしたものである。1つのルーメンに臓器穿孔具7の電極12と操作ワイヤ114等を収納し、他のルーメンには吊り上げ具6のロッド8と糸9を収納するようにした。吊り上げ具6と臓器穿孔具7を進退操作する機構についてはそれぞれに対応して設けるようにする。
【0033】
(作用、効果)
吊り上げ装置1のシース2内に吊り上げ具6と臓器穿孔具7を区分けて収納する構造であるため、例えば電極12をシース2から突没させる作業を行う際、糸9と細径の操作ワイヤ11aが絡み合って、糸9をシース2の先端から突出させたときに、糸9と操作ワイヤ11が離れない等の虞がない。従って、臓器操作具30のスネア31で糸9のみの捕捉を容易に行うことができる。
【0034】
[第3実施形態]
図13を参照して、本発明の第3の実施形態を説明する。この実施形態は第1実施形態においての臓器吊り上げ具6の変形例を示すものである。臓器吊り上げ具6はロッド8の孔に通した糸9の一端をロッド8の近傍にて、パイプ61にて超音波溶着またはカシメ固定したものである。
【0035】
[第4実施形態]
図14を参照して、本発明の第4の実施形態を説明する。この実施形態は第1実施形態においての臓器吊り上げ具6の他の変形例を示すものである。臓器吊り上げ具6はロッド8の部分と、これに接続される糸9に相当するワイヤ71が樹脂の一体成型物としたものである。材質としては例えばナイロン、またはポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリジオキサノン等の生体吸収性の材料が考えられる。
【0036】
作用効果は第1の実施形態と同様であるが、一体成型物であるから安価に作ることができる効果もある。また、ワイヤ71が樹脂製であるので絹糸等に比べて比較的弾発製があり、他の操作ワイヤ11や電極12に絡み難い利点がある。
尚、ワイヤ71の部分に溝や爪または鉤(カエシ)等の、スネアワイヤ36に係止し易い係合部を形成してもよい。
【0037】
[第5実施例]
図15乃至図17を参照して、本発明の第5の実施形態を説明する。
(構成)
臓器吊り上げ具6は前述した第3の実施形態におけるものと同様に構成に加えて、糸9の延長側先端部分を屈曲した引掛け部81を形成したものである。
また、第1の実施形態においての臓器穿孔具7の電極12の後端側部に、糸固定用スリット部82を設け、これに臓器吊り上げ具6の糸9における引掛け部81を圧入して差し込み、引き離すことができるように比較的軽く係止固定したものである。
臓器吊り上げ具6の糸9に屈曲した引掛け部81を設けなくても糸固定用スリット部82に糸9を引掛けることができるので、屈曲した引掛け部81は必ずしも設けなくてもよい。また、糸9を第1の実施形態と同様のループ状に形成してもよい。その他の構成は前述した第1の実施形態と同様のものでよい。
【0038】
(作用)
第1の実施形態と同様、電極12にてシース2の先端部を胃内から胃壁に穿刺後、図17で示すように、操作ワイヤ11を押してシース2の口部5から腹腔内に、電極12を突き出すことにより臓器吊り上げ具6の糸9も腹腔57内に引き出せる。
【0039】
(効果)
臓器吊り上げ具6の糸9を腹腔内に引き出す操作が確実であり、また、シース2の先端から臓器吊り上げ具6の糸9を引き出せないというリスクがなくなる。
【0040】
尚、前記各実施形態においては胃を例にとって説明したが、胃に限定されるものではなく、例えば小腸や大腸等の全ての臓器に対して適応可能なものである。
臓器操作具30のスネア31のスネアワイヤ36の代わりに3本つめ鉗子としたものでもよい。また、吊り上げ装置1のシース2を形成するチューブの材質はポリテトラフルオロエチレンであってもよい。さらに、臓器吊り上げ具6の糸9の色は青であってもよい。
【0041】
<付記>
1.シースと、このシースに、臓器吊り上げ具と、臓器の壁部を穿孔して臓器の壁部に前記シースを挿通させる臓器穿孔具とを備え、臓器の内側からアプローチすることを特徴とする臓器吊り上げ装置。
2.スネアを内装した穿刺針と、この穿刺針に被嵌して設けた外套管と、この外套管の手元側に設けられた臓器吊り上げ具用固定部とを具備し、臓器の外側からアプローチすることを特徴とする臓器操作具。
3.付記第1項に記載の臓器吊り上げ装置と付記第2項に記載の臓器操作具の組合せにより成り、臓器の吊り上げ操作を行う外科手術装置。
【0042】
4.臓器吊り上げ具用固定部は、スネアの操作ワイヤを係止するスリットを有する付記第2項に記載の臓器操作具。
5.臓器吊り上げ具固定部は、スリット幅を僅かに変えたものを複数組設けた付記第4項に記載の臓器操作具。
【0043】
6.臓器穿孔具は注射針である付記第1項に記載の臓器吊り上げ装置。
7.臓器吊り上げ具は注射針に内装される付記第1項に記載の臓器吊り上げ装置。
8.臓器穿孔具と臓器吊り上げ具は係合されている付記第2項に記載の臓器吊り上げ装置。
9.臓器穿孔具と臓器吊り上げ具は一部で切り離し可能に固定されている。
10.上記9項の固定は臓器吊り上げ具捕捉具にて臓器吊り上げ具を牽引することにより解除できる。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の吊り上げ装置によれば、臓器の内側からアプローチすることができる。従って、臓器の内壁面に発生した病変部の位置の近傍に臓器穿刺具を正確に穿刺して吊り上げ操作を行うことができる。このため、簡単な作業で切除病変部を含む必要最低限の臓器領域部位を正確に切除することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係る臓器の吊り上げ装置の電極のみをシースの先端から突き出した状態の説明図。
【図2】第1実施形態に係る臓器の吊り上げ装置の電極と臓器吊り上げ具をシースの先端から突き出した状態の説明図。
【図3】第1実施形態に係る臓器操作具の説明図。
【図4】第1実施形態に係る臓器の吊り上げ装置の使用手順の説明図。
【図5】第1実施形態に係る臓器の吊り上げ装置の使用手順の説明図。
【図6】第1実施形態に係る臓器の吊り上げ装置の使用手順の説明図。
【図7】第1実施形態に係る臓器の吊り上げ装置の使用手順の説明図。
【図8】第1実施形態に係る臓器の吊り上げ装置の使用手順の説明図。
【図9】第1実施形態に係る臓器の吊り上げ装置の使用手順の説明図。
【図10】第1実施形態に係る臓器吊り上げ装置の使用手順の説明図。
【図11】第1実施形態に係る臓器の吊り上げ装置の使用手順の説明図。
【図12】第1実施形態に係る臓器の吊り上げ装置の使用手順の説明図。
【図13】第3実施形態に係る臓器吊り上げ具の説明図。
【図14】第4実施形態に係る臓器吊り上げ具の説明図。
【図15】第5実施形態に係る臓器吊り上げ具の説明図。
【図16】第5実施形態に係る臓器の吊り上げ装置の電極のみをシースの先端から突き出した状態の説明図。
【図17】第1実施形態に係る臓器の吊り上げ装置の電極と臓器吊り上げ具をシースの先端から突き出した状態の説明図。
【符号の説明】
1…吊り上げ装置、2…シース、3…挿入部、4…操作部、6…臓器吊り上げ具、7…臓器穿孔具、8…ロッド、9…糸、11…操作ワイヤ、12…電極、 14…プッシャ、30…臓器操作具、31…スネア、32…穿刺針、33…外套管、35…操作パイプ、36…スネアワイヤ、37…引掛け部、51…腹壁、 52…トラカール、53…硬性鏡、54…胃、55…胃用内視鏡、56…病変部、57…腹腔、58…膨出部。

Claims (4)

  1. シースと、
    前記シースに設けられ、目的部位を穿孔する穿孔具と、
    前記シース内に配置されるとともに、このシースより出て体腔内に留置されるロッドと、前記ロッドと係着し、該ロッドを引くものであって、前記ロッドより先に前記シースから押し出される糸と、を有する吊り上げ具と、
    を具備することを特徴とする臓器吊り上げ装置。
  2. 前記吊り上げ具のロッドは、前記シース内にて前記糸より後方に位置されることを特徴とする請求項1記載の臓器吊り上げ装置。
  3. 前記吊り上げ具の糸は、柔軟性を有することを特徴とする請求項1又は2記載の臓器吊り上げ装置。
  4. 前記シースは、内視鏡の処置具用チャンネルに挿通されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の臓器吊り上げ装置。
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