JP4117750B2 - 地下構造物用下桝および地下構造物用蓋 - Google Patents
地下構造物用下桝および地下構造物用蓋 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、嵩調整を容易に行うことができる地下構造物用下桝および地下構造物用蓋に関する。
なお、本願明細書でいう「地下構造物」とは、地中に埋設される下水道管路施設、上水道やガス配管における路面下の配管施設、電力・通信における地下施設等の地下構造物と地上とを通じるために設けられる立孔状の構造物を総称する。
【0002】
【従来の技術】
地下構造物用下桝を埋設するにあたっては、桝本体の上部に設置される蓋本体と路面とを同一高さに調整する必要がある。このため地下構造物用下桝の桝本体を外筒体と内筒体との二重構造にして、外筒体または内筒体を上下位置調整可能に構成することによって、埋設施工時に桝本体の上部に位置させる蓋本体と路面とを同一高さに調整することが従来から行われている。
【0003】
このような例として、例えば、特公昭63−19654号公報に記載されたものがある。この公報に記載のマンホールは、内周面周方向に沿って高さ調節ブロック案内溝を形成した基礎リングに、前記案内溝に着脱自在に嵌入する嵌め込み突部を備えた高さ調節ブロックを嵌め込み、基礎リング内に嵌入する蓋受けリングを高さ調節ブロック上に載置するものである。この構成により蓋受けリングの上部に載せる蓋の上面と路面との高さを調整する際には、マンホールの設置環境に適した高さ調節ブロックを選択し、基礎リングの案内溝に嵌め込むことにより嵩調整を行うようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記構成のマンホールにおいては、高さ調節ブロックを用いて嵩調整を行うため、嵩調整の際には設置環境に適した高さ調節ブロックを必要とする。そのため、設置環境が異なってくると高さの異なる高さ調節ブロックが必要となり、非常に不便である。また、高さの微調整を行うためには、多種類の高さ調節ブロックを必要とし、在庫部品点数の増大を来たすという問題もある。
【0005】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたもので、容易に嵩調整を行うことができる地下構造物用下桝および地下構造物用蓋を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の地下構造物用下桝は、内筒体と、前記内筒体の上側に上下動可能に外挿される外筒体とからなり、前記外筒体の内周面に上下方向に所定の間隔を存して形成された複数段の環状溝と、これら環状溝の1つに一部が嵌合された可撓性を有する位置決め部材とを備え、前記位置決め部材の残部の下端面が前記内筒体の上端面に当接して前記外筒体を前記内筒体に位置決め支持する構成としている。
【0007】
また、本発明の地下構造物用蓋は、蓋本体と、内筒体と、前記内筒体の上側に上下動可能に外挿され、上端部に前記蓋本体を支持する受枠部を有する外筒体とからなり、前記外筒体の内周面に上下方向に所定の間隔を存して形成された複数段の環状溝と、これら環状溝の1つに一部が嵌合された可撓性を有する位置決め部材とを備え、前記位置決め部材の残部の下端面が前記内筒体の上端面に当接して前記外筒体を前記内筒体に位置決め支持する構成としている。
【0008】
以上の構成において、外筒体の高さを調整する場合、複数段の環状溝中の最適な環状溝に位置決め部材の一部を嵌合装着し、その後外筒体を内筒体に嵌入するのみで簡単に外筒体の高さ調整を行うことができる。即ち、一部が環状溝に嵌合された位置決め部材の残部がその下端面にて内筒体の上端面に当接するため、確実かつ強固に外筒体を内筒体に位置決め支持することができる。
【0009】
位置決め部材は、外筒体の内周面に装着されており、地下構造物用下桝の外周面に露出しないようになっているため、地下構造物用下桝を埋設する際に、その外周面に埋め戻しの土砂等による圧力がかかっても、位置決め部材が外れることがなく、位置決め支持が確実なものとなる。
さらに、本発明の地下構造物用下桝は、外筒体と、前記外筒体の上側に上下動可能に内挿される内筒体とからなり、前記外筒体の内周面に上下方向に所定の間隔を存して形成された複数段の環状溝と、これら環状溝の1つに一部が嵌合された可撓性を有する位置決め部材とを備え、前記位置決め部材の残部の上端面が前記内筒体の下端面に当接して前記内筒体を前記外筒体に位置決め支持する構成としている。
【0010】
また、本願発明の地下構造物用蓋は、蓋本体と、外筒体と、前記外筒体の上側に上下動可能に内挿され、上端部に前記蓋本体を支持する受枠部を有する内筒体とからなり、前記外筒体の内周面に上下方向に所定の間隔を存して形成された複数段の環状溝と、これら環状溝の1つに一部が嵌合された可撓性を有する位置決め部材とを備え、前記位置決め部材の残部の上端面が前記内筒体の下端面に当接して前記内筒体を前記外筒体に位置決め支持する構成としている。
【0011】
以上の構成において、内筒体の高さを調整する場合、複数段の環状溝の中の最適な環状溝に位置決め部材の一部を嵌合装着し、その後内筒体を外筒体に嵌入するのみで簡単に内筒体の位置決めを行うことができる。即ち、その一部が環状溝に嵌合された位置決め部材の残部がその上端面にて内筒体の下端面に当接するため、確実かつ強固に内筒体を外筒体に位置決め支持することができる。
【0012】
位置決め部材は、外筒体の内周面に装着されており、地下構造物用下桝の外周面に露出しないようになっているため、地下構造物用下桝を埋設する際に、その外周面に埋め戻しの土砂等による圧力がかかっても、位置決め部材が外れることがなく、位置決め支持が確実なものとなる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明において、位置決め部材はリング状に形成され、その前記一部が環状溝の全周に亘って嵌合されるとともに、その残部が内筒体にその全周に亘って当接されているのが好ましい。
このような構成とすることで、位置決め部材とそれに当接する内筒体の上または下端面との当接面積を大きくすることができ、上側に位置する内筒体または外筒体の位置決め支持をより確実なものとすることができる。
【0014】
また、環状溝に対する位置決め部材の装着を確実かつ強固に行うことができる。
【0015】
【実施例】
(実施例1)
図1は、本発明に係る地下構造物用蓋の概要を示す一部切欠斜視図、図2は、図1の要部拡大図である。
図1において、地下構造物用蓋1は、蓋本体7と、内筒体3、内筒体3の上側に上下動可能に外挿され上端部に蓋本体7を支持する受枠部6が一体に形成されている外筒体2とからなり、外筒体2の内周面には上下方向に複数の位置決め部としての環状溝4が形成され、環状溝4には外筒体2を内筒体3に位置決め支持する位置決め部材5が嵌合装着されている。
【0016】
環状溝4は、周方向に沿って全周に亘り形成されており、上下方向に所定の間隔(実施例では等間隔)をおいて複数段形成されている。なお、環状溝4は、図1および図2に示すように内周面と外周面とが交互に屈曲する方形波形状に形成しても良く、或いは図3に示すように、内周面に単に環状溝を形成しても良い。内筒体3は、例えば、地下に設置した底部台座(図示せず)上に載置され、その上端が路面(地面)から適宜の深さ位置に位置している。外筒体2の長さは、内筒体3の上端面3aから路面までの距離よりも長く、外筒体2(蓋本体7)の路面に対する高さ位置を十分に調整可能とされている。これらの外筒体2および内筒体3は、耐食性を有し、軽量、かつ安価な例えば、塩化ビニル等の合成樹脂部材により形成されている。
【0017】
位置決め部材5は、突出する凸部5aが全周に亘って形成され、環状溝4に嵌合装着可能なリング状をなし、この凸部5aが環状溝4に嵌合装着された状態において、上端面5bが当該環状溝4の一段上の環状溝4の下端に、下端面5cが当該環状溝4の一段下の環状溝4の上端に位置するように設定されている。これにより、位置決め部材5は、凸部5aが何れかの環状溝4に嵌合装着された状態において、下端面5cが内筒体3の上端面3aに全周に亘り当接可能とされる。この位置決め部材5は、可撓性、耐食性を有し、かつ環状溝4への着脱を容易にするために適宜の弾性および硬さを有する例えば、硬質ゴム、或いはポリウレタンゴム等により形成されている。
【0018】
なお、位置決め部材としては、図3に示すように単なる平リング5’としてもよい。この場合平リング5’は、板厚が環状溝4に嵌合装着可能な厚みとされ、かつその幅が環状溝4の深さと内筒体3の肉厚とを加えた幅に設定する。しかしながら、位置決め部材としては、外筒体2を確実に支持する上で図1および図2に示すように断面形状を凸形とする方が強度的に強く好ましい。
【0019】
受枠部6は、外筒体2の上部に一体に形成されており、内周面6aが上方の開口端に臨んで僅かにテーパ状に拡開するテーパ面とされ、開口端外周にはフランジ6bが形成されている。
蓋本体7は、外周面7aが受枠部6の内周面6aに沿うテーパ面とされ、上面外周に受枠部6のフランジ6bと同径のフランジ7bが形成されている。また、外周面7aの上端には、防水用のパッキン8が外嵌されている。この蓋本体7は、例えば、前述した塩化ビニル等の合成樹脂部材により皿状に形成され、レジングコンクリート等(図示せず)が充填されて形成されている。
【0020】
上記構成において、蓋本体7の高さ位置を路面と同一高さに設置する場合、内筒体3に対して外筒体2を上下方向に摺動させて最適な高さ位置に設定する。次いで、外筒体2の環状溝4に位置決め部材5の凸部5aを全周に亘り嵌合装着する。このとき、外筒体2を僅かに上方に持ち上げて、或いは外筒体2を取り外した状態で、位置決め部材5を装着すると作業性がよい。勿論、外筒体2の大きさ等により最適な方法を選択すればよい。
【0021】
外筒体2の環状溝4に位置決め部材5を嵌合装着した後、当該外筒体2を下動させ、位置決め部材5の下端面5cを内筒体3の上端面3aに当接させて載置する。これにより、内筒体3に対して外筒体2を簡単に、かつ正確に位置決めすることができ、蓋本体7を路面と同一高さに設定することができる。勿論、位置決め部としての環状溝4の間隔を短く設定する程、高さの微調整を行うことができる。
【0022】
そして、位置決め部としての環状溝4を外筒体2の内周面の周方向に沿って全長に形成し、位置決め部材5をリング状に形成したことで、環状溝4と位置決め部材5とは全長に亘って嵌合装着するため環状溝4に対する位置決め部材5の嵌合装着がより強固になり、かつ位置決め部材5が環状溝4から外れることが無い。さらに、位置決め部材5の下端面5cは、内筒体3の上端面3aに全長に亘って当接載置されるため外筒体2と内筒体3の上下方向の位置決めが更に確実に行われる。
【0023】
また、設置後地下構造物用蓋1の周辺の路面の高さが変わり蓋本体7の高さを再調整する必要がある際には、位置決め部材5を取り外し、最適な環状溝4に前記位置決め部材5を嵌合装着する。このように位置決め部材5が取り外し可能とされていることで、位置決め部材5を取り外して最適な環状溝4に嵌合装着し直す作業のみで嵩調整を行うことができ、設置後の嵩調整が極めて容易である。
【0024】
(実施例2)
図4は、本発明の第2の実施例を示し、上部に受枠部6が設けられている内筒体3の外周面を円筒面として下側に位置する外筒体2に上下方向に摺動可能に内挿するとともに外筒体2の内周面に位置決め部としての環状溝4を上下方向に複数形成したものである。位置決め部材5は、凸部5aが外筒体2の環状溝4に嵌合装着され、上端面5bが内筒体3の下端面3bに当接して支持する。
【0025】
上記した実施例1および実施例2においては、位置決め部材5をリング状に形成し、位置決め部を周方向に沿う環状溝4として形成したことにより、位置決め部材5と環状溝4とは全長に亘って嵌合装着するため、環状溝4に対する位置決め部材5の嵌合装着は強固になる。また、外筒体2または内筒体3と位置決め部材5とは、全長に亘って当接載置されるため外筒体2と内筒体3の上下方向の位置決めが確実に行われる。
なお、実施例1においては、上側に外筒体2が位置することで、外筒体2の外周面を伝わって下降する雨水が内筒体3に流れ込むことが防止され、好ましい。
【0026】
(参考例)
図5は、参考例を示し、上部に受枠部6が設けられている外筒体2の内周面に位置決め部としての位置決め孔2dを周方向に等間隔で複数例えば、4箇所、かつ上下方向に複数形成して、この外筒体2の下側に位置する内筒体3に上下方向に摺動可能に外挿されている。そして、位置決め部材としてビス9を使用し、外筒体2の高さ位置を調整し、外筒体2の位置決め孔2dにビス9を装着した後、当該外筒体2を下動させ、ビス9の下端面9cを内筒体3の上端面3aに当接させることにより載置する。
【0027】
本参考例に示すように、位置決め部として位置決め孔2dを形成し、位置決め部材としてビス9を使用することによっても、容易に嵩調整を行うことができる地下構造物用蓋を構成することができ、本参考例においては、実施例1および実施例2に示したような環状溝を設け、また、位置決め部材をリング状とすることには限定されないが、外筒体2と内筒体3との位置決めを確実に行うという点からは、実施例1および実施例2に示した構成が好ましい。
【0028】
なお、本参考例と反対に上部に受枠部6が設けられている内筒体3の外周面を円筒面として上側に位置させ、下側に位置する外筒体2に上下方向に摺動可能に内挿するとともに外筒体2の内周面に位置決め孔2dを形成し、この位置決め孔2dに装着したビス9の上端面に内筒体3の下端面を当接させるようにしてもよい。
【0029】
さらに、以上の各実施例においては、本発明に係る地下構造物用蓋について説明したが、これらの構成が、蓋本体および受枠部を有せずに単に内筒体と外筒体とからなる地下構造物用下桝に適用可能であることは明らかである。
【0030】
【発明の効果】
本発明の地下構造物用下桝および地下構造物用蓋によれば、嵩調整の際には、複数段の環状溝の中の最適な環状溝に位置決め部材の一部を嵌合装着し、上側に位置する外筒体または内筒体を下側に位置する内筒体または外筒体に嵌入するのみで簡単に嵩調整を行うことができる。設置後の嵩調整の際には、位置決め部材は取り外し可能であるため、位置決め部材を取り外すのみで嵩調整が行え、設置後の嵩調整も容易である。
【0031】
位置決め部材は、外筒体の内周面に装着されており、地下構造物用下桝の外周面に露出しないようになっているため、地下構造物用下桝を埋設する際に、その外周面に埋め戻しの土砂等による圧力がかかっても、位置決め部材が外れることがなく、位置決め支持が確実なものとなる。
また、位置決め部材をリング状に形成したことにより、位置決め部材とそれに当接する内筒体の上下端面との当接面積を大きくすることができ、上側に位置する内筒体または外筒体の位置決め支持をより確実なものとすることができる。
【0032】
また、環状溝に対する位置決め部材の装着を確実かつ強固に行うことができ上側に位置する内筒体または外筒体の位置決め支持をより確実なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る地下構造物用蓋の第1の実施例を示す一部切欠斜視図である。
【図2】 図1の位置決め部および位置決め部材の拡大図である。
【図3】 図1の位置決め部および位置決め部材の他の実施例を示す要部拡大図である。
【図4】 本発明に係る地下構造物用蓋の第2の実施例を示す断面図である。
【図5】 地下構造物用蓋の参考例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 地下構造物用蓋
2 外筒体
3 内筒体
4 環状溝(位置決め部)
5 位置決め部材
6 受枠部
7 蓋本体
8 パッキン
2d 位置決め孔(位置決め部)
9 ビス(位置決め部材)
Claims (6)
- 内筒体と、前記内筒体の上側に上下動可能に外挿される外筒体とからなり、前記外筒体の内周面に上下方向に所定の間隔を存して形成された複数段の環状溝と、これら環状溝の1つに一部が嵌合された可撓性を有する位置決め部材とを備え、前記位置決め部材の残部の下端面が前記内筒体の上端面に当接して前記外筒体を前記内筒体に位置決め支持することを特徴とする地下構造物用下桝。
- 外筒体と、前記外筒体の上側に上下動可能に内挿される内筒体とからなり、前記外筒体の内周面に上下方向に所定の間隔を存して形成された複数段の環状溝と、これら環状溝の1つに一部が嵌合された可撓性を有する位置決め部材とを備え、前記位置決め部材の残部の上端面が前記内筒体の下端面に当接して前記内筒体を前記外筒体に位置決め支持することを特徴とする地下構造物用下桝。
- 前記位置決め部材はリング形状に形成され、前記一部が前記環状溝の全周に亘って嵌合されるとともに、前記残部が前記内筒体にその全周に亘って当接されている請求項1または2に記載の地下構造物用下桝。
- 蓋本体と、内筒体と、前記内筒体の上側に上下動可能に外挿され、上端部に前記蓋本体を支持する受枠部を有する外筒体とからなり、前記外筒体の内周面に上下方向に所定の間隔を存して形成された複数段の環状溝と、これら環状溝の1つに一部が嵌合された可撓性を有する位置決め部材とを備え、前記位置決め部材の残部の下端面が前記内筒体の上端面に当接して前記外筒体を前記内筒体に位置決め支持することを特徴とする地下構造物用蓋。
- 蓋本体と、外筒体と、前記外筒体の上側に上下動可能に内挿され、上端部に前記蓋本体を支持する受枠部を有する内筒体とからなり、前記外筒体の内周面に上下方向に所定の間隔を存して形成された複数段の環状溝と、これら環状溝の1つに一部が嵌合された可撓性を有する位置決め部材とを備え、前記位置決め部材の残部の上端面が前記内筒体の下端面に当接して前記内筒体を前記外筒体に位置決め支持することを特徴とする地下構造物用蓋。
- 前記位置決め部材はリング状に形成され、前記一部が前記環状溝の全周に亘って嵌合されるとともに、前記残部が前記内筒体にその全周に亘って当接されている請求項4または5に記載の地下構造物用蓋。
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