JP4116412B2 - インクセット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はインクセットに関する。更に詳しくは、インクジェット記録用プリンター等に好適に使用しうるインクセットに関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式は、非常に微細なノズルからインク液滴を記録部材に直接吐出し、付着させて文字や画像を得る記録方式である。この方式によれば、使用する装置が低騒音で操作性がよいという利点を有するのみならず、カラー化が容易であり、かつ記録部材として普通紙が使用できるという利点も有するため、近年広く用いられている。
【0003】
インクジェット記録方式には、近年、ブラックインク、イエローインク、シアンインク、マゼンタインク等の複数色のインクを組合わせたインクセットが用いられている。しかし、異なる色のインクが記録部材上で乾燥前に接触した際に、その接触部分でインクのにじみ、即ち、いわゆるブリードが発生することがある。
【0004】
ブリードが抑制されたインクセットとして、酸性カーボンブラック、塩基性界面活性剤及び水溶性有機溶剤を含有する酸性のブラックインクと、塩基性のカラーインクとからなるインクセット(例えば、特許文献1参照)、及びカーボンブラックの表面に親水性基が直接又は他の原子団を介して結合された自己分散型カーボンブラックを含有するブラックインクと、このブラックインク中の色材に対して逆極性の色材を有するカラーインクとを含むインクセット(例えば、特許文献2参照)が知られている。
【0005】
【特許文献1】
特開平9 −183224号公報(段落番号[0009]〜[0011])
【特許文献2】
特開平10−140064号公報(段落番号[0006]〜[0008])
【0006】
しかし、これらのインクセットを用いた場合には、その印字物の耐ブリード性(ブリードのし難さ、以下同じ)が良好となる反面、インクの吐出時やヘッドのクリーニング時に、プリンターのフェイス面やインクの吐出口でこれらのインクが接触し、インクが凝集することによってノズル詰まりを引き起こし、インクの吐出不良が生じたり、インクの直進性が阻害され、ヨレが発生するという欠点がある。
【0007】
そこで、これらの欠点を解消するために、イオン性が異なるインクを別々のヘッドで吐出させることが検討されているが、この手段を採用した場合には、装置が必然的に大型化したり、複雑化するため、その製造費が高くなるという欠点がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、耐ブリード性、耐水性及び耐擦過性に優れたインクセットを提供することを課題とする。本発明は、更に、インクの種類に応じてプリンターのヘッドを変更しなくても、優れた吐出性を示し、インクジェット記録用プリンター等に好適に使用しうるインクセットを提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、同じイオン性の水不溶性色材を含有する複数の異なる色のインクの組合わせからなり、その複数の異なる色のインクのうちの2種類のインクのpHの差が0.7 〜4の範囲内にあるその2種類のインクの組合わせが1組以上含まれてなるインクセットに関する。
【0010】
本明細書にいう「異なる色」とは、日本電色工業(株)製、商品名:NIPPON DENSHOKU Spectro Color Meter SE2000を用い、D65/2 の光の波長で印字物に対する反射光を測定し、CIELABで表示したとき、a* とb* とが異なるものをいう。また、本明細書にいう「明度」とは、L * で表される値をいう。
【0011】
また、本明細書にいう「水不溶性色材」とは、水に不溶の着色剤、例えば、顔料又は疎水性染料を含有する色材を意味する。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明においては、同じイオン性の水不溶性色材(以下、単に「色材」という)を含有する複数の異なるインクの組合わせからなり、その複数の異なるインクのうちの2種類のインクのpHの差が0.7 〜4の範囲内にある点に、1つの大きな特徴がある。
【0013】
本発明のインクセットは、かかる特徴を有するので、耐ブリード性に優れている。このように優れた耐ブリード性が発現するのは、以下の理由に基づくものと考えられる。
【0014】
すなわち、特定のpHを有するインク中で安定に分散している色材が、pHの異なるインクと接触すると、pHの変動に伴い、色材粒子の分散安定性に寄与している対イオンの移動等が発生し、色材粒子の静電反発力の低下により粒子の凝集が生じる。そして、凝集した大きな粒子は、その運動性(ブラウン運動)が低下し、記録部材上に沈降しやすくなるため、インク間での液拡散が減少し、ブリードの発生が抑制されるものと考えられる。
【0015】
なお、pHの異なる複数のインクを用いた場合でも、プリンターのヘッドからインクを吐出させたたり、ヘッドをクリーニングした際に、これらのインクが互いに接触したときには、ヘッド上やノズルに凝集物が生成することが考えられる。
【0016】
しかしながら、各インクのpHの差が4以下、好ましくは3.5 以下、より好ましくは3以下、更に好ましくは2.5 以下であれば、従来のイオン性の異なる色材と比べて、それらの色材の凝集力が弱いので、ノズル詰まりによる吐出不良や、ヨレの発生を抑制することができる。なお、各インクのpHの差は、耐ブリード性の観点から、0.7 以上、好ましくは0.8 以上、より好ましくは0.9 以上、更に好ましくは1以上である。
【0017】
インクのpHの差は、大きいほど耐ブリード性が良好となるが、pHの差が大きすぎる場合には、ノズル詰まりが発生しやすくなるので、pHの差は、0.7 〜4、好ましくは0.8 〜3.5 、より好ましくは0.9 〜3、更に好ましくは1〜2.5 である。
【0018】
なお、インクのpHは、実施例に記載の方法により求める。
【0019】
インクセットにおける各インクのpHの差が前記範囲内にあるインクの組合わせ数(以下、「インクの組合わせ数」という)は、ブリードするインクの組合わせを減らす観点から、1組以上、好ましくは2組以上、より好ましくは3組以上である。なお、かかるインクの組合わせ数の上限値は、インクセットにおけるインクの色の数によって異なる。
【0020】
ブリードする色の組合わせをなくする観点から、インクの組み合わせ数は、通常、上限値であることがもっとも好ましい。かかる上限値は、インクセットにおけるインクの色の数をn個とすると、n個から2個を選択した組合せの場合、その組合わせの数は、 nC2 となる。例えば、インクセットにおけるインクの色の数が2、3又は4のとき、その上限値は、それぞれ1、3又は6である。
【0021】
色の組合わせによっては、ブリードしてもにじみが目立ちにくく、気づかれにくい場合がある。例えば、明度の高いインク(例えば、イエローインク)に、明度の低いインク(例えば、シアンインク)が拡散すると、イエローの部分が少しイエローがかったシアンに変化するため、にじみが目立つが、逆にシアンインクにイエローインクが拡散してもシアンの部分の色はそのままであるか、あるいはこれらの色が混合してシアンの印字濃度が若干低下する程度である。
【0022】
また、pHの高いインクとpHの低いインクとを接触させた場合、アニオン性の色材を含むインクにおいては、高いpHのインク中に分散している色材は、低いpHのインク中に分散している色材よりも概して凝集しやすい傾向がある。また、カチオン性の色材を含むインクにおいては、逆に低いpHのインク中に分散している色材は、高いpHのインク中に分散している色材よりも概して凝集しやすい傾向がある。
【0023】
したがって、アニオン性の色材を含むインクセットの場合、明度が低いインクのpHを、明度がより高いインクのpHよりも高くしたほうが、ブリードが目立ちにくくなる。また、カチオン性の色材を含むインクセットの場合、明度が低いインクのpHを、明度がより高いインクのpHよりも低くしたほうが、ブリードが目立ちにくくなる。
【0024】
すなわち、にじみの気づきやすさの観点から、明度が高いインクと、その明度が高いインクのpHよりも中性 (pH=7)から離れているpHを有する明度が低いインクとの組み合わせ数(以下、「明度の組み合わせ数」という)が1以上であることが好ましい。アニオン性のインクであれば、pHが高いほど中性から離れており、カチオン性のインクであれば、pHが低いほど中性から離れている。例えば、アニオン性のブラック色材を含むインクは明度が低いため、ブラックインクのpHがインクセットに含まれている他の全てのインクのpHの中で最も高いことが好ましい。
【0025】
なお、アニオン性色材を用いる場合、色材の分散安定性の観点から、インクのpHは、好ましくは7.2 〜11.2、より好ましくは7.3 〜10.0、更に好ましくは7.4 〜9.5 、特に好ましくは7.4 〜9.3 である。また、カチオン性色材を用いる場合、色材の分散安定性の観点から、インクのpHは、好ましくは2.8 〜6.8 、より好ましくは3.5 〜6.7 、更に好ましくは3.8 〜6.6 、特に好ましくは4.0 〜6.5 である。
【0026】
色材としては、
(A)顔料を界面活性剤、顔料誘導体又は水溶性ポリマーで水中に分散させたもの(以下、「顔料分散体」という)、
(B)親水性基が直接又は他の原子団を介して顔料に結合している自己分散型顔料、及び
(C)顔料又は疎水性染料を含有する水不溶性ポリマー粒子の水分散体
等が挙げられる。
【0027】
色材の中では、耐水性、耐擦過性及び耐マーカー性の観点から、前記(C)の水分散体が好ましい。
【0028】
前記(A)の顔料分散体に用いられる顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれであってもよい。必要により、それらの顔料と体質顔料とを併用してもよい。
【0029】
無機顔料としては、カーボンブラック、金属酸化物、金属硫化物等が挙げられる。
【0030】
水不溶性のブラックインク用色材としては、カーボンブラック等の黒色顔料が好ましい。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、サーマルランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。
【0031】
水不溶性のカラーインク用色材においては、有機顔料、体質顔料等の着色顔料が好ましい。有機顔料としては、アゾ顔料、ジアゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインジゴ顔料、アンソラキノン顔料、キノフタロン顔料等が挙げられる。
体質顔料としては、シリカ、炭酸カルシウム、タルク等が挙げられる。
【0032】
前記(A)顔料分散体においては、顔料は、界面活性剤、顔料誘導体又は水溶性ポリマーで水中に分散されていることが好ましく、水溶性ポリマーで水中に分散されていることがより好ましい。
【0033】
界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤が挙げられる。これらの中では、分散安定性及び吐出性の観点から、β−ナフタレンスルフォン酸−ホルムアルデヒド縮合物のナトリウム塩〔例えば、花王(株)製のデモールN、デモールRN、デモールMS等〕、カルボン酸型高分子活性剤〔例えば、花王(株)製のポイズ520 、ポイズ521 、ポイズ530 等〕が好ましい。
【0034】
界面活性剤の量は、インクにおける色材の分散安定性及びインクの吐出性の観点から、顔料100 重量部に対して、界面活性剤1〜120 重量部、好ましくは3〜70重量部、更に好ましくは5〜30重量部であることが望ましい。
【0035】
顔料誘導体としては、例えば、イオン性官能基又はイオン性官能基の塩を有する、アゾ誘導体、ジアゾ誘導体、フタロシアニン誘導体、キナクリドン誘導体、イソインドリノン誘導体、ジオキサジン誘導体、ペリレン誘導体、ペリノン誘導体、チオインジゴ誘導体、アントラキノン誘導体、キノフタロン誘導体等が挙げられる。
【0036】
顔料を水中に分散させる際に用いられる水溶性ポリマーとしては、例えば、水溶性ビニルポリマー、水溶性エステルポリマー、水溶性ウレタンポリマー等が挙げられる。これらのポリマーの中では、水溶性ビニルポリマーが好ましい。
【0037】
なお、本明細書にいう「水溶性ポリマー」とは、中和後に25℃の水100 gに対する溶解度が1g以上であるポリマーをいう。また、本明細書にいう「水不溶性ポリマー」とは、前記水溶性ポリマー以外のポリマーをいう。
【0038】
水溶性ビニルポリマーとしては、塩生成基含有モノマー(a)及び疎水性モノマー(b)を含有するモノマー組成物を重合させてなる共重合体が挙げられる。なお、このモノマー組成には、必要に応じてノニオン性の親水性モノマー(c)が含有されていてもよい。
【0039】
塩生成基含有モノマー(a)としては、アニオン性モノマー及びカチオン性モノマーが挙げられる。
【0040】
アニオン性モノマーとしては、例えば、不飽和カルボン酸モノマー、不飽和スルホン酸モノマー、不飽和リン酸モノマー等が挙げられる。これらの中では、不飽和カルボン酸モノマーが好ましく、アクリル酸及びメタクリル酸がより好ましい。
【0041】
カチオン性モノマーとしては、例えば、不飽和3級アミン含有モノマー、不飽和アンモニウム塩含有モノマー等が挙げられる。
【0042】
カチオン性モノマーの具体例としては、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−(N’,N’ジメチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミド、ビニルピロリドン、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムメチルサルフェート、メタクリロイルオキシエチルジメチルエチルアンモニウムエチルサルフェート等が挙げられる。これらの中では、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0043】
疎水性モノマー(b)としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(イソ又はターシャリー)ブチル(メタ)アクリレート、(イソ)アミル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(イソ)オクチル(メタ)アクリレート、(イソ)デシル(メタ)アクリレート、(イソ)ドデシル(メタ)アクリレート、(イソ)ステアリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;スチレン、ビニルトルエン、2−メチルスチレン、クロロスチレン等のスチレン系モノマー等が挙げられ、これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0044】
なお、前記(イソ又はターシャリー)及び(イソ)は、これらの基が存在している場合とそうでない場合の双方を意味し、これらの基が存在していない場合には、ノルマルを示す。
【0045】
ノニオン性の親水性モノマー(c)としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(n=2〜30)(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール(n=1〜15 )・プロピレングリコール(n=1〜15))(メタ)アクリレート、炭素数1〜12のモノアルコキシポリエチレングリコール(n=2〜30)(メタ)アクリレート等が挙げられる。それらの中では、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び炭素数1〜12のモノアルコキシポリエチレングリコール(n=2〜30)(メタ)アクリレートが好ましい。なお、括弧内のnは、オキシアルキレン基の数を示す。
【0046】
塩生成基含有モノマー(a)、疎水性モノマー(b)及びノニオン性の親水性モノマー(c)の割合は、ポリマーがその中和後に水に可溶であり、インクにおける色材の分散安定性及びインクの吐出性に優れているのであれば特に限定がない。通常、塩生成基含有モノマー(a)/疎水性モノマー(b)/ノニオン性の親水性モノマー(c)(重量比)が5〜80/20〜85/0 〜75であり、かつモノマー組成物中における塩生成基含有モノマー(a)とノニオン性の親水性モノマー(c)との合計含有量が15〜80重量%であることが好ましく、塩生成基含有モノマー(a)/疎水性モノマー(b)/ノニオン性の親水性モノマー(c)(重量比)が9〜70/30〜75/1〜60であり、かつモノマー組成物中における塩生成基含有モノマー(a)とノニオン性の親水性モノマー(c)との合計含有量が25〜40重量%であることがより好ましい。
【0047】
水溶性ポリマーの重量平均分子量は、インクにおける色材の分散安定性及びインク粘度を考慮して、500 〜30000 、好ましくは800 〜20000 、更に好ましくは1000〜10000 であることが望ましい。なお、水溶性ポリマーの重量平均分子量は、中和前において、以下に示す実施例に記載のゲルクロマトグラフィーによって測定したときの値である。
【0048】
水溶性ポリマーは、中和されていることが望ましい。中和度は、顔料分散体の分散安定性を良好に保持するのであれば特に限定がない。通常、水溶性ポリマーを構成している塩生成基含有モノマー中の塩生成基1モルあたり中和剤0.3 〜2モルを添加することが好ましい。
【0049】
中和の際に用いられる中和剤としては、水溶性ポリマーの塩生成基の種類に応じて適宜選択すればよい。例えば、水溶性ポリマーにカチオン性モノマーを用いた場合には、中和剤として、酢酸、メトキシ酢酸、プロピオン酸、乳酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、グリセリン酸等を用いることができる。また、水溶性ポリマーにアニオン性モノマーが用いられている場合には、中和剤として、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の3級アミン類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニア等を用いることができる。
【0050】
顔料誘導体又は水溶性ポリマーの量は、インクにおける色材の分散安定性及びインクの吐出性の観点から、顔料100 重量部に対して、5〜100 重量部、好ましくは7〜80重量部、更に好ましくは10〜60重量部であることが望ましい。
【0051】
前記(B)自己分散型顔料としては、特開平10−140064号公報、特開平10−110127号公報等に記載されている自己分散型顔料が挙げられ、具体的には、キャボット社製のCAB-O-JET (登録商標)300 が例示される。
【0052】
前記(C)水不溶性ポリマー粒子の水分散体に用いられる顔料は、前記顔料分散体に用いられる顔料と同様であればよい。
【0053】
疎水性染料の例として、油溶性染料、分散染料等が挙げられる。これらの中では、油溶性染料及び分散染料がポリマー粒子中に良好に含有させることができることから好ましい。
【0054】
油溶性染料としては、特に限定されるものではないが、例えば、C.I.ソルベント・ブラック3、7、27、29、34;C.I.ソルベント・イエロー14、16、29、56、82;C.I.ソルベント・レッド1、3、8、18、24、27、43、51、72、73;C.I.ソルベント・バイオレット 3;C.I.ソルベント・ブルー2、11、70;C.I.ソルベント・グリーン3、7;C.I.ソルベント・オレンジ2等が挙げられる。
【0055】
分散染料としては、特に限定されるものではないが、好ましい例としては、C.I.ディスパーズ・イエロー5、42、54、64、79、82、83、93、99、100 、119 、122 、124 、126 、160 、184:1 、186 、198 、199 、204 、224 、237 ;C.I.ディスパーズ・オレンジ13、29、31:1、33、49、54、55、66、73、118 、119 、163 ;C.I.ディスパーズ・レッド54、60、72、73、86、88、91、93、111 、126 、127 、134 、135 、143 、145 、152 、153 、154 、159 、164 、167:1 、177 、181 、204 、206 、207 、221 、239 、240 、258 、277 、278 、283 、311 、323 、343 、348 、356 、362 ;C.I.ディスパーズ・バイオレット33;C.I.ディスパーズ・ブルー56、60、73、87、113 、128 、143 、148 、154 、158 、165 、165:1 、165:2 、176 、183 、185 、197 、198 、201 、214 、224 、225 、257 、266 、267 、287 、354 、358 、365 、368 ;C.I.ディスパーズ・グリーン6:1 、9等が挙げられる。
【0056】
疎水性染料は、水不溶性ポリマー粒子中に効率的に含有させる観点から、25℃において、水不溶性ポリマーの溶解に使用される有機溶媒に2g/L以上、好ましくは20〜500 g/L溶解するものが望ましい。
【0057】
顔料又は染料を水不溶性ポリマー粒子中に含有させるために、水不溶性ポリマーが用いられる。
【0058】
水不溶性ポリマーとしては、水不溶性ビニルポリマー、水不溶性エステル系ポリマー、水不溶性ウレタン系ポリマー等が挙げられる。これらのポリマーの中では、水不溶性ビニルポリマーが好ましい。
【0059】
水不溶性ビニルポリマーとしては、塩生成基含有モノマー(a)及び疎水性モノマー(b)を含有するモノマー組成物を重合させてなる共重合体が挙げられる。なお、モノマー組成物には、必要により、ノニオン性の親水性モノマー(c)及び/又はマクロマー(d)が含まれていてもよい。インクにおける色材の分散安定性及びインクの吐出安定性の観点から、モノマー組成物には、マクロマー(d)が含まれていることが好ましい。
【0060】
塩生成基含有モノマー(a)、疎水性モノマー(b)及びノニオン性の親水性モノマー(c)は、前記水溶性ポリマーに用いられるものと同様のものが例示される。
【0061】
マクロマー(d)としては、数平均分子量500 〜100000、好ましくは1000〜10000 の重合可能な不飽和基を有するマクロマーが挙げられる。マクロマー(d)の数平均分子量は、溶媒として1mmol/L のドデシルメチルアミン含有クロロホルムを用いたゲルクロマトグラフィーにより、標準物質としてポリスチレンを用いて測定される。
【0062】
マクロマー(d)の代表例としては、シリコーンマクロマー、スチレン系マクロマー及びアクリル系マクロマーが挙げられ、 これらは単独で用いてもよく、併用してもよい。
【0063】
シリコーンマクロマーの中では、式(I) :
X1(Y1)q Si(R1)3-r (Z1)r (I)
(式中、X1 は重合可能な不飽和基、Y1 は2価の結合基、R1 はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜5の低級アルキル基、炭素数6〜10のアリール基又は炭素数2〜12のアルコキシ基、Z1 は500 以上の数平均分子量を有する1価のシロキサンポリマーの残基、qは0又は1、rは1〜3の整数を示す)
で表されるシリコーンマクロマーは、インクジェットプリンターのヘッドの焦げ付きを防止する観点から好適に使用しうるものである。
【0064】
式(I) で表されるシリコーンマクロマーにおいて、X1 としては、CH2 =CH−基、CH2 =C(CH3 )−基等の炭素数2〜6の1価の不飽和炭化水素基が挙げられる。Y1 としては、−COO−基、−COOCa1H2a1 −基(a1 は1〜5の整数を示す)、フェニレン基等の2価の結合基が挙げられ、−COOC3 H6 −が好ましい。R1 としては、水素原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜5の低級アルキル基;フェニル基等の炭素数6〜20のアリール基、メトキシ基等の炭素数1〜20のアルコキシ基等が挙げられ、これらの中ではメチル基が好ましい。Z1 は、好ましくは数平均分子量500 〜5000のジメチルシロキサンポリマーの1価の残基である。qは0又は1であるが、好ましくは1である。rは1〜3の整数であるが、好ましくは1である。
【0065】
シリコーンマクロマーの代表例としては、式(I-1):
CH2=CR5-COOC3H6-[Si(R6)2-O]b -Si(R6)3 (I-1)
(式中、R5 は水素原子又はメチル基、R6 はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜5の低級アルキル基、bは5〜60の数を示す)で表されるシリコーンマクロマー、式(I-2):
CH2=CR5-COO-[Si(R6)2-O]b -Si(R6)3 (I-2)
(式中、R5 、R6 及びbは前記と同じ)で表されるシリコーンマクロマー、式(I-3):
CH2=CR5-Ph-[Si(R6)2-O]b -Si(R6)3 (I-3)
(式中、Phはフェニレン基、R5 、R6 及びbは前記と同じ)で表されるシリコーンマクロマー、式(I-4):
CH2=CR5-COOC3H6-Si(OE)3 (I-4)
〔式中、R5 は前記と同じ。Eは式: -[Si(R5)2O]c -Si(R5)3基(R5 は前記と同じ。cは5〜65の数を示す)を示す〕
で表されるシリコーンマクロマー等が挙げられる。
【0066】
これらの中では、式(I-1) で表されるシリコーンマクロマーが好ましく、特に、式(I-1a):
CH2=C(CH3)-COOC3H6-[Si(CH3)2-O]d -Si(CH3)3 (I-a)
(式中、dは8〜40の数を示す)
で表されるシリコーンマクロマーが好ましい。その例として、FM-0711 〔チッソ(株)製、商品名〕等が挙げられる。
【0067】
スチレン系マクロマーは、ビニルポリマーに顔料を十分に含有させる観点から、好適に使用しうるものである。
【0068】
スチレン系マクロマーの代表例としては、片末端に重合性官能基を有するスチレン単独重合体又はスチレンと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。これらの中では、片末端に重合性官能基としてアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を有するものが好ましい。
【0069】
スチレンと他のモノマーとの共重合体におけるスチレン含量は、顔料が十分にビニルポリマーに含有されるようにする観点から、60重量%以上、好ましくは70重量%以上であることが望ましい。他のモノマーとしては、アクリロニトリル等が挙げられる。
【0070】
水不溶性のビニルポリマーにおける塩生成基含有モノマー(a)の含量は、得られる分散体の分散安定性の観点から、1〜50重量%、好ましくは2〜40重量%が望ましい。
【0071】
水不溶性ビニルポリマーにおける疎水性モノマー(b)の含量は、印字濃度及び分散安定性の観点から、好ましくは5〜93重量%、より好ましくは10〜80重量%である。
【0072】
水不溶性ビニルポリマーにおけるノニオン性の親水性モノマー(c)の含量は、吐出安定性及び印字濃度の観点から、0 〜40重量%、好ましくは5〜30重量%が望ましい。
【0073】
水不溶性ビニルポリマーにおけるマクロマー(d)の含量は、サーマル式のインクジェットプリンターにおいて、ヒーター面の焦げ付きを抑制する観点及び分散安定性の観点から、0 〜30重量%、1 〜25重量%、好ましくは5〜20重量%が望ましい。
【0074】
水不溶性ポリマーの重量平均分子量は、色材の分散安定性及びインク粘度への影響から、1000〜100000、好ましくは1500〜100000、更に好ましくは2000〜70000 である。水不溶性ポリマーの重量平均分子量は、前述の水溶性ポリマーと同様の方法を用いて測定したときの値である。
【0075】
水不溶性ポリマーは、中和されていることが好ましい。中和度は、分散安定性が良好であれば特に限定がない。通常、水不溶性ポリマーを構成している塩生成基含有モノマー(a)1モルあたり中和剤を0.3 〜2モル添加することが望ましい。
【0076】
中和の際に用いられる中和剤は、水不溶性ポリマーの塩生成基の種類に応じて適宜選択することができる。中和剤の例としては、水溶性ポリマーの場合と同じものが挙げられる。
【0077】
水不溶性ポリマーの量は、インクにおける色材の分散安定性、並びに吐出性、耐擦過性及び耐マーカー性との兼ね合いから、顔料又は疎水性染料100 重量部に対して、5 〜250 重量部、好ましくは10〜180 重量部、更に好ましくは15〜130 重量部であることが望ましい。
【0078】
以下に、色材が前記(C)顔料又は疎水性染料を含有する水不溶性ポリマー粒子の水分散体である場合のインクの製造法について説明する。
【0079】
水不溶性ポリマーは、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の重合法により、塩生成基含有モノマー(a)及び疎水性モノマー(b)、必要により、ノニオン性の親水性モノマー(c)及び/又はマクロマー(d)を含有するモノマー組成物を重合させることによって製造される。これらの重合法の中では、溶液重合法が好ましい。
【0080】
溶液重合法に用いられる溶媒は、極性有機溶媒であることが好ましい。極性有機溶媒が水混和性有機溶媒である場合には、水と混合して用いることもできる。
【0081】
有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、(イソ)プロパノール等の炭素数1〜3の脂肪族アルコール;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類等が挙げられる。これらの中では、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン又はこれらと水との混合液が好ましい。
【0082】
なお、重合の際には、ラジカル重合開始剤を用いることができる。ラジカル重合開始剤としては、例えば、2, 2' −アゾビスイソブチロニトリル、2, 2' −アゾビス(2, 4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2, 2' −アゾビスブチレート、2, 2' −アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1, 1' −アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)等のアゾ化合物、t−ブチルペルオキシオクトエート、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジベンゾイルオキシド等の有機過酸化物が挙げられる。
【0083】
重合開始剤の量は、モノマー組成物100 重量部あたり、0.001 〜5重量部、好ましくは0.01〜2重量部であることが望ましい。
【0084】
なお、重合の際には、さらに重合連鎖移動剤を添加してもよい。重合連鎖移動剤の具体例としては、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、メルカプトエタノール等のメルカプタン類;ジメチルキサントゲンジスルフィド、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィド等のキサントゲンジスルフィド類;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド等のチウラムジスルフィド類;四塩化炭素、臭化エチレン等のハロゲン化炭化水素類;ペンタフェニルエタン等の炭化水素類;及びアクロレイン、メタクロレイン、アリルアルコール、2−エチルヘキシルチオグリコレート、ターピノーレン、α−テルピネン、γ−テルピネン、ジテルペン、α−メチルスチレンダイマー、さらに9, 10−ジヒドロアントラセン、1, 4−ジヒドロナフタレン、インデン、1, 4−シクロヘキサジエン等の不飽和環状炭化水素化合物;2, 5−ジヒドロフラン等の不飽和ヘテロ環状化合物等が挙げられ、これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0085】
モノマー組成物の重合条件は、使用するラジカル重合開始剤、モノマー及び溶媒の種類等によって異なるので一概には決定することができない。通常、重合温度は30〜100 ℃、好ましくは50〜80℃であり、重合時間は1〜20時間である。重合雰囲気は、窒素ガス等の不活性ガスであることが好ましい。
【0086】
重合反応の終了後、反応溶液から再沈澱、溶媒留去等の公知の方法によってポリマーを単離することができる。また、得られたポリマーは、再沈澱を繰り返したり、膜分離、クロマトグラフ法、抽出法等により、未反応のモノマー等を除去することにより、精製することができる。
【0087】
疎水性染料を含有させたポリマー粒子の水分散体は、公知の乳化法によって製造することができる。該水分散体は、例えば、水不溶性ポリマー及び疎水性染料を有機溶媒に溶解させ、得られた溶液に必要に応じて中和剤を加えて水不溶性ポリマーの塩生成基をイオン化し、これに水を添加した後、必要に応じて分散機又は超音波乳化機を用いて分散を行い、その有機溶媒を留去して水系に転相することによって得ることができる。
【0088】
また、顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子の水分散体は、例えば、水不溶性ポリマーを有機溶媒に溶解させ、得られた溶液に顔料、水、中和剤及び必要に応じ界面活性剤を加えて混練し、ペーストとした後、該ペーストを必要に応じて水で希釈し、有機溶媒を留去して水系にすることによって得ることができる。
【0089】
インク中における色材の含有量は、十分な印字濃度を得る観点及び吐出性の観点から、0.5 〜30重量%、好ましくは1〜20重量%、更に好ましくは2〜15重量%であることが望ましい。なお、色材が分散体である場合には、色材の量は、分散体の固形分である。
【0090】
なお、インク中には、各種添加剤、例えば多価アルコール類等の湿潤剤、分散剤、消泡剤、防黴剤及び/又はキレート剤、pH調整剤等を適量で用いることができる。
【0091】
【実施例】
製造例1〜4(ビニルポリマーの調製)
反応容器内に、メチルエチルケトン20重量部、表1の「初期仕込みモノマー」の欄に示す種類及び量のモノマー、並びに重合連鎖移動剤を仕込み、窒素ガス置換を十分に行なった。
【0092】
一方、滴下ロートに、表1の「滴下モノマー」の欄に示す種類及び量のモノマー及び重合連鎖移動剤、メチルエチルケトン55重量部、並びに2,2'- アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)0.1 重量部をメチルエチルケトン5 重量部に溶解した溶液を加え、70℃で5時間、75℃で10時間熟成させ、ビニルポリマーのポリマー溶液を得た。
【0093】
得られたポリマー溶液の一部を、標準物質としてポリスチレン、溶媒として1mmol/Lのドデシルジメチルアミン含有クロロホルムを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより重量平均分子量を測定したところ、得られたポリマーは、表1に示す重量平均分子量を有していた。
【0094】
なお、表1に記載の各名称は、以下のことを意味する。
シリコーンマクロマー:チッソ(株)製、商品名:FM-0711 (数平均分子量:1000)〔式 (I-1a)で表される構造を有する〕
スチレンマクロマー:東亜合成(株)製、商品名:AS-6(スチレン単独重合マクロマー、片末端重合性官能基:メタクリロイルオキシ基、数平均分子量:6000)
【0095】
【表1】
【0096】
製造例5〜16(顔料を含有する色材の調製)
製造例1〜4で得られたポリマー溶液28重量部(ポリマー固形分:50重量%)に、表2に記載の顔料、メチルエチルケトン、イオン交換水及び中和剤を加えて十分に攪拌した後、3 本ロールミル〔(株)ノリタケカンパニー製、商品名:NR-84A〕を用いて20回混練した。
【0097】
得られたペーストをイオン交換水250 重量部に投入し、十分に攪拌した後、エパポレーターを用いてメチルエチルケトン及び一部の水を留去し、固形分量が20重量%の色材を得た。
【0098】
なお、製造例7と製造例11で得られた色材は、含有されているポリマーが水溶性を呈するため、水溶性ポリマーにより分散された顔料分散体である。
【0099】
また、製造例7と製造例11を除く製造例5〜16で得られた色材は、含有されているポリマーが水不溶性を呈するため、顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子の水分散体である。
【0100】
製造例17〜18(疎水性染料を含有する色材の調製)
製造例1又は2で得られたポリマー溶液28重量部(ポリマー固形分量:50重量%)に、トルエン140 gに溶解させた表2に示す疎水性染料を加え、疎水性染料を均一に溶解させた後、表2に示す中和剤を加えてポリマーの塩生成基を中和した。更に、イオン交換水200 重量部を加え、攪拌した後、マイクロフルイダイザー(マイクロフルイダイザー社製)を用いて、30分間分散させた。
【0101】
得られた分散体を、エパポレーターを用いてメチルエチルケトン及び一部の水を留去し、固形分量が20重量%の色材を得た。
【0102】
製造例17と製造例18で得られた色材は、含有されているポリマーが水不溶性を呈するため、疎水性染料を含有する水不溶性ポリマー粒子の水分散体である。
【0103】
なお、表2に記載の各名称は、以下のことを意味する。
CB :カーボンブラック〔キャボット社製、商品名:MONARCH880〕
M−1:マゼンタ顔料〔大日本インキ工業(株)製、商品名:Fastogen Super Magenta RG 〕
Y−1:イエロー顔料〔山陽色素(株)製、品番:7410〕
C−1:シアン顔料〔大日本インキ工業(株)製、商品名:Fastogen Blue TGR-SD〕
M−2:マゼンタ染料〔オリエント化学(株)製、商品名:オイルピンク312 〕
Y−2:イエロー染料〔オリエント化学(株)製、商品名:VALIFAST Y 1101 〕
【0104】
【表2】
【0105】
実施例1
表3において、製造例番号で示す色材を用いて下記組成を有するインクを調製し、それらを組合わせてインクセットを調製した。各インクは、各成分を混合した後、マイクロフィルター(孔径:5μm)を用いて加圧濾過することにより調製した。
【0106】
【0107】
実施例2〜8及び比較例1(実施例3は参考例である)
実施例1において、色材を表3に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、インクセットを作製した。
【0108】
次に、実施例1〜8及び比較例1で得られたインクセットの性能を以下の方法に従って調べた。その結果を表3に示す。なお、各性能における合格基準は、いずれも、△以上である。
【0109】
<評価方法>
(1)インクの吐出性
市販のバブルジェットプリンター〔キャノン(株)製:型番BJC-430J〕を用いて、PPC用再生紙〔日本加工製紙(株)製〕に、罫線を印刷したときのヨレの度合いを目視で観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。
【0110】
(評価基準)
◎:ヨレなし
○:殆どヨレなし
△:少しヨレあり
×:ヨレ大
【0111】
(2)耐ブリード性
前記(1)に記載のバブルジェットプリンターを用い、PPC用再生紙に各々のインクが隣接するように印字し、得られたベタ印字の境界部分を目視にて観察し、耐ブリード性を以下の評価基準に基づいて評価した。
【0112】
◎:境界部でブリードが認められない
○:僅かにブリードが見られるが、気にならない
△:少しブリードが見られるが、あまり気にならない(実使用可能レベル)
×:境界部でのブリードがひどい
【0113】
(3)インクの耐水性
前記(1)に記載のバブルジェットプリンターを用い、PPC用再生紙にベタ印字し、25℃で1時間乾燥させた後、この印字物を静水中に垂直に10秒間浸漬し、そのまま垂直に引き上げた。25℃にて自然乾燥させた後、初期の印字濃度に対する浸漬後の印字濃度の残存率を式:
〔残存率〕=〔浸漬後の印字濃度〕÷〔初期の印字濃度〕×100
に従って求め、以下の評価基準に基づいて耐水性を評価した。
【0114】
(評価基準)
◎:残存率85%以上
○:残存率90%以上95%未満
△:残存率70%以上90%未満
×:残存率70%未満
【0115】
(4)インクの耐擦過性
前記(1)に記載のバブルジェットプリンターを用い、PPC用再生紙にベタ印字し、25℃で1日間乾燥させた後、指で強く印字面を擦った。その印字のとれ具合を調べ、以下の評価基準に基づいて評価した。
【0116】
(評価基準)
◎:ほとんど印字はとれず、周りに色がつかない
○:少し印字が擦りとられ、周りに若干色がつく
×:かなり印字が擦りとられ、周りがひどく黒くなり、指も相当汚れる。
【0117】
(5)インクのpH
(株)堀場製作所製、カスタニーLAB pHメーターF-23を用い、標準緩衝液(pH4.01 、6.86又は9.18) でpHメーターを校正した後、25℃の温度で求めた。
【0118】
【表3】
【0119】
表3に示された結果から、各実施例で得られたインクセットは、いずれも吐出性及び耐ブリード性に優れ、かつ色材の種類によっては耐水性及び耐擦過性に優れていることがわかる。
【0120】
【発明の効果】
本発明のインクセットは、耐ブリード性、耐水性及び耐擦過性に優れたものである。本発明のインクセットは、インクの種類に応じてプリンターのヘッドを変更しなくても、優れた吐出性を示すので、インクジェット記録用プリンター等に好適に使用しうるものである。
Claims (3)
- 同じイオン性の水不溶性色材を含有する複数の異なる色のインクの組合わせからなり、その複数の異なる色のインクのうちの2種類のインクのpHの差が0.7 〜4の範囲内にあるインクの組合わせが1組以上含まれてなるインクセットであって、前記水不溶性色材が、水不溶性ポリマーのポリマー粒子に顔料又は疎水性染料を含有させた水不溶性ポリマー粒子の水分散体である、インクセット。
- ブラックインク、マゼンタインク、シアンインク及びイエローインクを含む請求項1記載のインクセット。
- 水不溶性ポリマーが、塩生成基含有モノマー、疎水性モノマー及びマクロマーを含有するモノマー組成物を共重合させてなる水不溶性ビニルポリマーである請求項1又は2記載のインクセット。
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