JP4116376B2 - 導電層接合材および導電層接合材を用いた部品 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、導電性に優れた導電板と、非合金導電層または非合金導電層と導電層と、基材となる高分子板を複数層積層してなる導電層接合材、および導電層接合材を用いてなる部品に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器の小型化・薄型化・軽量化に伴い実装基板の高密度化が進み、実装部品点数の削減が進んでいるなかで、従来ELD(エレクトロルミネッセンスディスプレイ)のような表示装置においては、表示部分に関わる発光層を搭載する部分と、これを制御するための駆動用ICなどの実装部分とが別基板上に回路形成された後、2つの基板間の信号ラインを種々の方法で接続して機能させてきた。しかしながら、従来の接続方法では十分な機械的な接合強度が得られなかったり、電気的な接続ロスが発生して信号伝搬などに問題があった。フィルム上に金属薄膜を形成した積層フィルムと金属箔を積層する方法が開示されている(例えば特許文献1参照。)。また、過剰な熱や圧力を加えることなく金属板同士を接合する方法が開示されている(例えば特許文献2参照。)。
【0003】
この出願の発明に関連する先行技術文献情報として次のものがある。
【特許文献1】
特開2002−113811号公報
【特許文献2】
特開平1−224184号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、導電性に優れた導電板と、非合金導電層または非合金導電層と導電層と、基材となる高分子板を複数層積層してなる導電層接合材、およびディスプレイ用途などに適用できる導電層接合材を用いてなる部品を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記課題に対する第1の解決手段として本発明の導電層接合材は、高分子板と非合金導電層と導電層と導電板を複数層積層してなる導電層接合材であって、導電層接合材の少なくとも1つの接合面が、接合されるそれぞれの面を活性化処理した後、活性化処理面同士が対向するように当接して重ね合わせて積層接合してなる構成とした。または高分子板と非合金導電層と導電層と導電板を複数層積層してなる導電層接合材であって、導電層接合材を構成する少なくとも一対の対向層が、それぞれの面を活性化処理した後、前記対向層の少なくともいずれか一方の面に導電層を積層した後、当接して重ね合わせて積層接合してなる構成とした。好ましくは、前記活性化処理が、不活性ガス雰囲気中でグロー放電を行わせて、接合されるそれぞれの面をスパッタエッチング処理してなる構成とした。
【0006】
前記課題に対する第2の解決手段として本発明の導電層接合材は、前記高分子板がポリエチレンテレフタレートからなる構成とした。また好ましくは、前記導電板が銅板からなる構成とした。より好ましくは、前記非合金導電層が、錫をドープした酸化インジウムからなる構成とした。さらに好ましくは前記導電層が銅層からなる構成とした。
【0007】
前記課題に対する第3の解決手段として本発明の部品は、高分子板と非合金導電層と導電層と導電板とを複数層積層してなる導電層接合材を用いてなる構成とした。好ましくは、前記部品の少なくとも一個所を除去してなる構成とした。さらに好ましくは、前記部品が、ディスプレイ用途に適用される構成とした。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明に用いる積層材の一実施形態を示す概略断面図であり、蒸着などの方法により高分子板24に非合金導電層25を積層した2層構造の例を示している。図2は、本発明に用いる積層材の他の一実施形態を示す概略断面図であり、蒸着などの方法により高分子板24に非合金導電層25と導電層27を積層した3層構造の例を示している。図3は、本発明の導電層接合材の一実施形態を示す概略断面図であり、積層材20にさらに導電板26を積層接合した高分子板24−非合金導電層25−導電板26の3層構造の例を示している。図4は、本発明の導電層接合材の他の一実施形態を示す概略断面図であり、積層材21にさらに導電板26を積層接合した高分子板24−非合金導電層25−導電層27−導電板26の4層構造の例を示している。
【0009】
高分子板24の材質としては、導電層接合材を製造可能な素材であれば特にその種類は限定されず、導電層接合材の用途により適宜選択して用いることができる。例えば、プラスチックなどの有機高分子物質やプラスチックに粉末や繊維などを混ぜた混合体を適用することができる。導電層接合材をFPD(フラットパネルディスプレイ)などに適用する場合には、ポリエチレンテレフタレート(PET)などを用いることができる。
【0010】
プラスチックとしては、例えば、アクリル樹脂、アミノ樹脂(メラミン樹脂、ユリア樹脂、ベンゾグアナミン樹脂など)、アリル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、液晶ポリマー、EEA樹脂(Ethylene Ethylacrylate 樹脂)、AAS樹脂(Acrylonitrile Acrylate Styrene 樹脂)、ABS樹脂(Acrylonitrile Butadiene Styrene樹脂)、ACS樹脂(Acrylnitrile Chlorinated polyethylene Styrene 樹脂)、AS樹脂(Acrylonitrile Styrene 樹脂)、アイオノマー樹脂、エチレンポリテトラフルオロエチレン共重合体、エポキシ樹脂、珪素樹脂、スチレンブタジエン樹脂、フェノール樹脂、弗化エチレンプロピレン、弗素樹脂、ポリアセタール、ポリアリレート、ポリアミド(6ナイロン、11ナイロン、12ナイロン、66ナイロン、610ナイロン、612ナイロンなど)、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルホン、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリシクロヘキンジメルテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリトリメチレンナフタレートなど)、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリカーボネート、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリサルホン、ポリスチレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリブタジエン、ポリブテン、ポリメチルペンテンなどを用いてもよい。
【0011】
高分子板24の厚みは、導電層接合材の用途により適宜選定される。例えば、1〜1000μmである。1μm未満の場合には高分子板としての製造が難しくなり、1000μmを超えると導電層接合材としての製造が難しくなる。例えば導電層接合材の用途がFPDなどであれば、10〜300μmの範囲のものが好ましい。10μm未満の場合には機械的強度が乏しく、300μmを超えると可撓性が乏しくなる。好ましくは、30〜200μmである。より好ましくは、50〜150μmである。
【0012】
非合金導電層25の材質としては、導電層接合材を製造可能な素材で所要の導電性を有するものあれば特にその種類は限定されず、導電層接合材の用途により適宜選択して用いることができる。例えば、常温で固体であり所要のシート抵抗を有する非合金導電材料、例えば、導電性の酸化物、窒化物や炭化物などである。酸化物としては、SnO2、In2O3、In2O3−SnO2(ITO:Indium Tin Oxideの略字、錫をドープした酸化インジウム)、In4Sn3O12、InGaZnO4、ZnO、In2O3−ZnO、CuAlO2、SrCu2O2、Cd2SnO4などである。導電層接合材の用途がFPDなどであれば、配線パターンに透明電極を形成可能な所要のシート抵抗を有する導電材料であるITO(Indium Tin Oxideの略字、錫をドープした酸化インジウム)などを適用することができる。シート抵抗としては、5〜1000Ω/□が好ましい。5Ω/□未満では非合金導電材料で実現することが難しく、1000Ω/□を超えると導電性が悪くなる。好ましくは、10〜300Ω/□である。
【0013】
非合金導電層25の厚みは、導電層接合材を製造可能であれば特に限定はされず、導電層接合材の用途により適宜選定して用いることができる。例えば、0.01〜10μmであることが好ましい。0.01μm未満では非合金導電層としての形成が難しくなり、安定した導電性を実現することが困難となる。また10μmを超えると製造時間がかかりすぎる。より好ましくは、0.05〜5μmである。なお非合金導電層は、導電層接合材の用途により、CVD(Chemical Vapor Deposition)、スパッタリング、真空蒸着、イオンプレーティングなどの乾式製膜手段から適宜選択して用いて、基材となる高分子板上に形成することができる。また非合金導電層は、単相のみならず複数の相からなる積層膜であってもよい。
【0014】
導電板26の材質としては、導電層接合材を製造可能な素材で導電性の優れたものであれば特にその種類は限定されず、導電層接合材の用途により適宜選択して用いることができる。導電板の比抵抗として、20℃で、1〜20μΩ・cmの範囲であることが好ましく、更に、1〜10μΩ・cmの範囲であることがより好ましい。例えば、常温で固体である導電性の優れた金属(例えば、Al、Cu、Ag、Pt、Auなど)や、これらの金属のうち少なくとも1種類を含む導電性の優れた合金(例えば、JISに規定の合金など)などが適用できる。導電層接合材の用途がFPDなどであれば、導電板としては、導電性に優れた金属であるCu、Alなどや、これらの金属のうち少なくとも1種類を含む導電性の優れた合金などを適用することができる。すなわち銅板、アルミニウム板などを導電板として適用することが可能である。銅板としては、Cuの他、JISに規定の無酸素銅、タフピッチ銅、リン青銅、黄銅や、銅ベリリウム系合金(例えば、ベリリウム2%、残部が銅の合金など)、銅銀系合金(例えば、銀3〜5%、残部が銅の合金など)など、アルミニウム板としては、Alの他、JISに規定の1000系、3000系などのアルミニウム合金板を適用することができる。
【0015】
導電板26の厚みは、導電層接合材を製造可能であれば特に限定はされず、導電層接合材の用途により適宜選定して用いることができる。例えば、1〜500μmであることが好ましい。1μm未満では導電板としての製造が難しくなり、500μmを超えると導電層接合材としての製造が難しくなる。より好ましくは、10〜50μmである。なお導電板は、電解箔や圧延箔などの板材であってもよいし、クラッド材などの積層体でもよい。例えば、銅−アルミニウム構造のクラッド材などである。
【0016】
導電層27の材質としては、導電層接合材を製造可能な素材で導電性の優れたものであれば特にその種類は限定されず、導電層接合材の用途により適宜選択して用いることができる。導電層の比抵抗として、20℃で、1〜20μΩ・cmの範囲であることが好ましく、更に、1〜10μΩ・cmの範囲であることがより好ましい。例えば、Cuや銅合金などからなる銅層や、導電板26に適用できる材質などである。導電層27は、導電板26と同種の材質でもよいし異なっていてもよい。また非合金導電層25と導電板26との間の悪影響を抑制する目的などであれば、Ta、Mo、Wなどの高融点材料や、PdまたはPdを含む合金などを用いてもよい。
【0017】
また導電層27の厚みは、導電層接合材を製造可能であれば特に限定はされず、導電層接合材の用途により適宜選定して用いることができる。導電層27は、例えば0.01〜5μmであることが好ましい。0.01μm未満では導電層としての形成が難しくなり、5μmを超えると製造時間が長くなりすぎる。より好ましくは、0.02〜1μmである。なお導電層は、導電層接合材の用途により、CVD(Chemical Vapor Deposition)、スパッタリング、真空蒸着、イオンプレーティングなどの乾式製膜手段から適宜選択して用いて、基材となる高分子板上に形成することができる。また導電層は、単相のみならず複数の相からなる積層膜であってもよい。
【0018】
導電層接合材は、高分子板と非合金導電層と導電板、または高分子板と非合金導電層と導電層と導電板を複数層積層してなるものであって、接合表面に活性化処理を施して積層接合する方法などがあり、以下にその活性化接合法を用いた製造方法について説明する。図3に示す3層の導電層接合材22は、高分子板24の片面に非合金導電層25をスパッタリングなどにより積層した積層材20に導電板26を積層接合してなるものである。図6に示すように、真空槽52内において、巻き戻しリール62に設置された積層材20の非合金導電層25の導電板26との接合予定面側が、活性化処理装置70で活性化処理される。同様にして巻き戻しリール64に設置された導電板26の非合金導電層25との接合予定面側が、活性化処理装置80で活性化処理される。これらの活性化処理の際に、活性化対象材料の表面がエッチングされて、酸化膜などの不要な物質を除去することが可能である。
【0019】
活性化処理は、以下のようにして実施する。すなわち、真空槽52内に装填された導電板26、積層材20の高分子24側をそれぞれアース接地された一方の電極Aと接触させ、絶縁支持された他の電極Bとの間に、10〜1×10−3Paの極低圧不活性ガス雰囲気中で、1〜50MHzの交流を印加してグロー放電を行わせ、グロー放電によって生じたプラズマ中に露出される導電板26、積層材20の非合金導電層25側のそれぞれの面積が、実効的に電極Bの面積の1/3以下となるようにスパッタエッチング処理する。不活性ガスとしては、アルゴン、ネオン、キセノン、クリプトンなどや、これらを少なくとも1種類含む混合体を用いることができる。好ましくは、アルゴンガスである。なお不活性ガス圧力が1×10−3Pa未満では安定したグロー放電が行いにくく高速エッチングが困難であり、10Paを超えると活性化処理効率が低下する。印加する交流は、1MHz未満では安定したグロー放電を維持するのが難しく連続エッチングが困難であり、50MHzを超えると発振し易く電力の供給系が複雑となり好ましくない。また、効率よくエッチングするためには導電板26、積層材20の非合金導電層25側のそれぞれの面積を電極Bの面積より小さくする必要があり、実効的に1/3以下とすることにより充分な効率でエッチング可能となる。
【0020】
次にこれら活性化処理された導電板26と積層材20の非合金導電層25側を積層接合する。積層接合は、導電板26、非合金導電層25のそれぞれ活性化処理された面が対向するようにして両者を当接して重ね合わせ圧接ユニット60で冷間圧接を施すことによって達成される。この際の積層接合は低温度で可能であり、導電板26、積層材20ならびに接合部に組織変化や合金層の形成などといった悪影響を軽減または排除することが可能である。Tを導電板、積層材の温度(℃)とするとき、0℃<T≦300℃で良好な圧接状態が得られる。0℃以下では特別な冷却装置が必要となり、300℃を超えると組織変化などの悪影響が生じてくるため好ましくない。また圧延率R(%)は、0.01%≦R≦30%であることが好ましい。0.01%未満では充分な接合強度が得られず、30%を超えると変形が大きくなり加工精度上好ましくない。より好ましくは、0.1%≦R≦3%である。
【0021】
このように積層接合することにより、導電板−非合金導電層−高分子板の3層構造の導電層接合材22を形成することができ、巻き取りロール66に巻き取られる。さらに必要により所定の大きさに切り出して、図3に示す導電層接合材22を製造することができる。またこのようにして製造された導電層接合材22に、必要により残留応力の除去または低減などのために熱処理を施してもよい。
【0022】
導電層接合材は、より多層の構造とすることも可能である。例えば上記説明において2層構造の積層材20の代わりに3層構造の積層材21を用いることで、すなわち高分子板24に非合金導電層25を積層しさらに導電層27を積層した積層材21に導電板26を積層接合することによって、図4に示すような導電板−導電層−非合金導電層−高分子板の4層構造の導電層接合材23を製造することができる。または2層構造の積層材20に活性化処理を施した後、非合金導電層25上に導電層27を積層して積層材21を形成した後、導電板26を積層接合することによっても導電層接合材23を製造することができる。さらに2層構造の積層材20の代わりに3層構造の積層材21を用いて、積層材21に活性化処理を施した後、導電層27上にさらに別の同種または異種の導電層を積層した後、導電板26を積層接合することによって導電層接合材を製造してもよい。
【0023】
例えば、積層材20に導電層27を積層した後導電板26と積層接合する場合には、図7に示すように、活性化処理装置70の後に膜形成ユニット90を設けて、積層材20の非合金導電層25の面側を活性化処理した後に膜形成ユニット90で導電層27を形成する。膜形成方法として、スパッタリングを用いた場合について説明する。膜形成ユニット90では、上記説明した活性化処理装置とは逆に積層材20の非合金導電層25側の面積を電極Cよりも実効的に大きくすることによりスパッタリング処理を行うことができる。すなわち、真空槽52内に装填された積層材20の高分子板24側をアース接地された一方の電極Aと接触させ、絶縁支持された他の電極Cとの間に、10〜1×10−3Paの極低圧不活性ガス雰囲気中で、1〜50MHzの交流を印加してグロー放電を行わせ、グロー放電によって生じたプラズマ中に露出される電極Aと接触した積層材20の非合金導電層25側の面積が、実効的に電極Cの面積の3倍以上となるようにしてスパッタリング処理する。不活性ガスとしては、アルゴン、ネオン、キセノン、クリプトンなどやこれらを含む混合体を適用することができる。好ましくはアルゴンである。なお不活性ガス圧力が1×10−3Pa未満では安定したグロー放電が行いにくく、10Paを超えるとスパッタリング効率が低下する。印加する交流は、1MHz未満では安定したグロー放電を維持するのが難しく連続スパッタリングが困難であり、50MHzを超えると発振し易く電力の供給系が複雑となり好ましくない。また、効率よくスパッタリングするためには電極Aと接触した積層材20の非合金導電層25の面積を実効的に電極Cの面積より大きくする必要があり、3倍以上とすることにより充分な効率で膜形成が可能となる。
【0024】
スパッタリングを用いる膜形成ユニット90は、例えば図8に示すように、電気的にフローティング状態にされたターゲット電極94と、アース接地された水冷の電極ロール72との組み合わせで構成される。ターゲット電極94には非合金導電層25を形成するターゲット92が設置され、またマグネット98を設置して磁場によりスパッタリングの効率を向上させている。さらにターゲット92の異常加熱を防止するために、ターゲット電極94を水冷できるようにしてある。ターゲット電極94−電極ロール72間に高周波電源96を印加することで、プラズマを発生させてターゲット92にイオン衝撃を与え、これにより放出されたターゲット物質を積層材20の非合金導電層25上に積層させて導電層27を形成させ、膜積層材28を得ることができる。その後、活性化処理された導電板26と、積層材20の非合金導電層25に導電層27を形成させた膜積層材28を積層接合することにより、導電層接合材23を製造することができる。
【0025】
また膜形成ユニットは、活性化処理装置70または80のいずれか一方または双方の後に1つまたは複数配置することも可能である。なお膜形成ユニットは活性化処理装置の近傍であることが好ましく、膜形成ユニットを活性化処理装置の近傍に配置することで、製造装置のコンパクト化などを図ることが可能である。例えば、図7に示すように活性化処理装置の電極ロールと膜形成ユニットの電極ロールを共用化する形態などや、さらに活性化処理装置と膜形成ユニットをそれぞれ共用の電極ロールの外周上に配置する形態などである。このような形態を採ることで一体化した処理が可能となる。なお近傍とは、活性化処理された導電板面などが吸着や反応などにより再び不活性化されて膜形成に悪影響を与えない範囲あるいは状態のことである。
【0026】
なお導電層接合材の製造にはバッチ処理を用いることができる。すなわち真空槽内に予め所定の大きさに切り出された導電板や積層材の板材を複数枚装填して活性化処理装置に搬送して垂直または水平など適切な位置に処理すべき面を対向または並置した状態などで設置または把持して固定して活性化処理や必要により膜形成処理を行い、さらに導電板や積層材の板材を保持する装置が圧接装置を兼ねる場合には活性化処理や膜形成処理後に設置または把持したまま圧接し、導電板や積層材の板材を保持する装置が圧接装置を兼ねない場合にはプレス装置などの圧接装置に搬送して圧接を行うことにより達成される。なお活性化処理は、導電板や積層材の板材を絶縁支持された一方の電極Aとし、アース接地された他の電極Bとの間で行うことが好ましい。
【0027】
本発明の部品は、高分子板と非合金導電層と導電板、または高分子板と非合金導電層と導電層と導電板を複数層積層してなる導電層接合材を用いてなるものであり、導電層接合材にエッチング加工などの加工を施したもの、さらにはこれに樹脂などで被覆あるいは固定したものや、導電層接合材を接着剤などを用いて高分子や金属、合金などからなる基材に積層したもの、さらにこれらにエッチング加工などの加工を施したものなどである。例えば、図5に示すようなディスプレイ用配線板などの部品などである。
【0028】
図5に示すようなディスプレイ用途に用いる配線板では、高分子板や非合金導電層に透光性の材質を用いた図3または図4に示す導電層接合材に、エッチング加工を施すことにより製造することができる。すなわち表示領域となる部分では、導電板と非合金導電層または導電板と導電層と非合金導電層とをパターンエッチングし、さらに導電板または導電板と導電層をエッチングして取り除き透光性の非合金導電層のみの配線パターンを形成して非合金導電層配線部34とすることができる。あるいは先に導電板または導電板と導電層をエッチングにより取り除いて非合金導電層のみとした後、パターンエッチングして配線パターンを形成して非合金導電層配線部34としてもよい。また駆動用ICなどの電子部品実装領域では、導電板と非合金導電層または導電板と導電層と非合金導電層とパターンエッチングして回路配線パターンを形成して導電層配線部32とすることができる。このよにして非合金導電層配線部34と導電層配線部32の2種の配線部を有する部品30を製造することができる。
【0029】
本発明の導電層接合材や部品では、非合金導電層と導電板間または非合金導電層に積層された導電層と導電板間の接合が十分な密着性を持つため、電気的なロスが少なくすることができ、信号の伝搬などに優れた効果を発揮することが可能である。また導電板や導電層を放熱性の高い材質例えば銅などにすれば駆動用ICなどの電子部品の放熱効率を高めるなどの効果を持たせることも可能である。さらに表示部分と駆動用部品実装部を一体化することで、表示部分に存在する数多くのマトリックス配線と駆動用部品との接続が確実となり、表示不良の要因を低減させることが可能となり、歩留まり向上に効果がある。本発明の導電層接合材や部品は、LCD(液晶ディスプレイ)、ELDなどのFPDを含むディスプレイ用途に有用である。
【0030】
【実施例】
以下に、実施例を図面に基づいて説明する。高分子板24として厚み125μmのPETフィルムを用い、これに非合金導電層25として0.1μmのITO層を積層して積層材20とする。次に積層材20と、導電板26として厚み20μmの圧延銅箔を導電層接合材製造装置50にセットし、真空槽52内の活性化処理ユニット70および80でスパッタエッチング法によりそれぞれ活性化処理した。活性化処理された積層材20の非合金導電層25上に、膜形成ユニット90で導電層27として0.05μmの銅層を形成して膜積層材28とし、圧延銅箔と膜積層材28を圧延ユニット60で圧接して積層接合して導電層接合材23を製造した。さらにパターンエッチングを行い部品を製造した。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の導電層接合材は高分子板と非合金導電層と導電板、または高分子板と非合金導電層と導電層と導電板を複数層積層してなるものであり、本発明の部品は導電層接合材を用いてなるものである。このためディスプレイ用配線板などに好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の導電層接合材に用いる積層材の一実施形態を示す概略断面図である。
【図2】本発明の導電層接合材に用いる積層材の他の一実施形態を示す概略断面図である。
【図3】本発明の導電層接合材の一実施形態を示す概略断面図である。
【図4】本発明の導電層接合材の他の一実施形態を示す概略断面図である。
【図5】本発明の部品の一実施形態を示す概略断面図である。
【図6】本発明の導電層接合材の製造に用いる装置の一実施形態を示す概略断面図である。
【図7】本発明の導電層接合材の製造に用いる装置の他の一実施形態を示す概略断面図である。
【図8】本発明の導電層接合材の製造に用いる膜形成ユニットの一実施形態を示す概略断面図である。
【符号の説明】
20 積層材
21 積層材
22 導電層接合材
23 導電層接合材
24 高分子板
25 非合金導電層
26 導電板
27 導電層
28 膜積層材
32 導電配線部
34 非合金導電層配線部
50 導電層接合材製造装置
52 真空槽
54 真空ポンプ
60 圧接ユニット
62 巻き戻しリール
64 巻き戻しリール
66 巻き取りロール
70 活性化処理装置
72 電極ロール
74 電極
76 電極
80 活性化処理装置
82 電極ロール
84 電極
90 膜形成ユニット
92 ターゲット
94 ターゲット電極
96 高周波電源
98 マグネット
A 電極A
B 電極B
C 電極C
Claims (10)
- 高分子板と非合金導電層と導電層と導電板を複数層積層してなる導電層接合材であって、導電層接合材の少なくとも1つの接合面が、接合されるそれぞれの面を活性化処理した後、活性化処理面同士が対向するように当接して重ね合わせて積層接合してなることを特徴とする導電層接合材。
- 高分子板と非合金導電層と導電層と導電板を複数層積層してなる導電層接合材であって、導電層接合材を構成する少なくとも一対の対向層が、それぞれの面を活性化処理した後、前記対向層の少なくともいずれか一方の面に導電層を積層した後、当接して重ね合わせて積層接合してなることを特徴とする導電層接合材。
- 前記活性化処理が、不活性ガス雰囲気中でグロー放電を行わせて、接合されるそれぞれの面をスパッタエッチング処理してなることを特徴とする請求項1または2に記載の導電層接合材。
- 前記高分子板が、ポリエチレンテレフタレートからなることを特徴とする請求項1または2に記載の導電層接合材。
- 前記導電板が銅板からなることを特徴とする請求項1または2に記載の導電層接合材。
- 前記非合金導電層が、錫をドープした酸化インジウムからなることを特徴とする請求項1または2に記載の導電層接合材。
- 前記導電層が銅層からなることを特徴とする請求項1または2に記載の導電層接合材。
- 高分子板と非合金導電層と導電層と導電板とを複数層積層してなる導電層接合材を用いてなることを特徴とする部品。
- 前記部品の少なくとも一個所を除去してなることを特徴とする請求項8に記載の部品。
- 前記部品が、ディスプレイ用途に適用されることを特徴とする請求項8または9に記載の部品。
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