JP4116219B2 - 平版印刷版用現像液のモニタ方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動現像処理装置を用いて現像開始液に現像補充液を補充しながら平版印刷版を現像処理する場合の現像液のモニタ方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、平版印刷版を多数枚現像することによる現像液の劣化を、同じ主成分からなる補充液を補充することにより回復させることは公知の技術である。例えば、特開昭58−95349号公報には、感光性プレートの非画像部の感光層の溶出度合いを電気的に測定するセンサーを設け、溶出度合いが所定のレベルに低下した時に現像補充液が補充される技術が記載されている。
【0003】
特開昭61−61164号公報には、現像液の電導度を測定し、電導度の設定レベルが現像処理量により上昇し設定値以下になったときに現像補充液が補充される技術が記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の技術では、水の蒸発あるいは水洗部からの水の逆流等により起こりうる現像液の成分濃度変化(濃縮率の変化)によって、補充を指示する設定値が正確に得られず安定した補充ができないという問題があった。また、現像槽内の現像液が補充液へ置換されていくに従って制御値を変更する必要があるが、ポンプの稼働時間、吐出量の積算による置換率の検出法を用いており、検出精度が劣り、補充を指示する設定値が正確に得られないという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、前述した従来技術の欠点を改良することであり、詳しくは、現像液から補充液への置換率を正確に検知し、更に、現像液の濃縮率を正確に検知することから、補充を指示する設定値を正確に得ることができるように現像液をモニタする方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、以下の▲1▼〜▲5▼による平版印刷版用現像液のモニタ方法によって達成される。
▲1▼ 自動現像処理装置を用いて、現像開始液に現像補充液を補充しながら平版印刷版を現像処理する場合に、アルカリ性下で安定で且つ現像に寄与しないトレース物質を現像開始液及び現像補充液の一方又は双方に且つ双方の場合は濃度を異ならせて含有しておき、現像している液中の前記トレース物質の量を測定することで、現像開始液に対する現像補充液の置換率を求めることを特徴とする平版印刷版用現像液のモニタ方法。
▲2▼ 自動現像処理装置を用いて、現像開始液に現像補充液を補充しながら平版印刷版を現像処理する場合に、アルカリ性下で安定で且つ現像に寄与しないトレース物質を現像開始液及び現像補充液の一方又は双方に且つ双方の場合は濃度を異ならせて含有しておき、現像している液中の前記トレース物質の量を測定することで、現像開始液に対する現像補充液の置換率を求め、更に、当該置換率を自動現像処理装置のポンプの積算吐出量から求めた置換率と比較することで、現像液の濃縮率を求めることを特徴とする平版印刷版用現像液のモニタ方法。
▲3▼ 自動現像処理装置を用いて、現像開始液に現像補充液を補充しながら平版印刷版を現像処理する場合に、アルカリ性下で安定で且つ現像に寄与しない異なるトレース物質を現像開始液と現像補充液とにそれぞれ加えておき、現像している液中の前記トレース物質の量を測定することで、現像開始液に対する現像補充液の置換率と、現像液の濃縮率とを求めることを特徴とする平版印刷版用現像液のモニタ方法。
▲4▼ 自動現像処理装置を用いて、現像開始液に現像補充液を補充しながら平版印刷版を現像処理する場合に、アルカリ性下で安定で且つ現像に寄与しないトレース物質を現像開始液又は現像補充液のどちらか一方に含有しておき、現像している液中の前記トレース物質の量と現像液の主成分の濃度とを測定することで、現像開始液に対する現像補充液の置換率と、現像液の濃縮率とを求めることを特徴とする平版印刷版用現像液のモニタ方法。
▲5▼ 自動現像処理装置を用いて、現像開始液に現像補充液を補充しながら平版印刷版を現像処理する場合に、現像開始液の現像主成分と現像補充液の現像主成分とを異なる物質とし、現像開始液及び現像補充液の主成分の濃度を測定することで、現像開始液に対する現像補充液の置換率と現像液の濃縮率とを求めることを求めることを特徴とする平版印刷版用現像液のモニタ方法。
【0007】
前記構成▲1▼のモニタ方法によれば、現像開始液及び現像補充液のアルカリ剤に対して安定で且つ現像処理には関与しない物質(これを本願明細書においてはトレース物質と呼ぶ)を、当該現像開始液及び当該現像補充液の少なくとも一方に添加する。このとき双方の液に含有する場合は、現像開始液中のトレース物質の濃度と現像補充液中のトレース物質の濃度とを異ならせる。そして、現像の際、現像液中のトレース物質の濃度を検知し、この検知値から現像開始液に対する現像補充液の置換率を算出し、更に、この置換率より現像液の成分濃度変化率を算出する。添加されるトレース物質の初期濃度は、好ましくは0.1〜10000mg/Lであり、より好ましくは1〜500mg/Lである。そして、現像液の成分濃度率から補充液量の最適値を、あらかじめプログラムした指示に従って計算し、自動的に補充液を補充することにより、現像液の活性度を良好な状態に保つことができる。
【0008】
前記構成▲2▼のモニタ方法によれば、トレース物質を現像開始液及び現像補充液の少なくとも一方に添加する。このとき、トレース物質を双方の液に添加する場合は、現像開始液中のトレース物質の濃度と現像補充液中のトレース物質の濃度とを異ならせる。そして、現像の際、現像液中のトレース物質の濃度を検知し、この検知値から現像開始液に対する現像補充液の置換率を算出する。更に、この置換率と、自動現像処理装置のポンプの積算吐出量から求めた置換率とを比較することで、現像液の濃縮率を求める。更に、これら置換率及び濃縮率より現像液の成分濃度変化率を算出する。そして、添加されるトレース物質の初期濃度は、好ましくは0.1〜10000mg/Lであり、より好ましくは1〜500mg/Lである。そして、現像液の成分濃度から補充液量の最適値を、あらかじめプログラムした指示に従って計算し、自動的に補充液を補充することにより、現像液の活性度を良好な状態に保つことができる。
【0009】
前記構成▲3▼のモニタ方法によれば、現像開始液及び現像補充液のそれぞれに異なったトレース物質を添加する。そして、現像の際に、これらのトレース物質をそれぞれ検知し、この検知値から現像液中の現像開始液に対する現像補充液の置換率及び現像液の濃縮率を算出し、更に、この置換率及び濃縮率より現像液の成分濃度変化率を算出する。添加されるトレース物質の初期濃度は、好ましくは0.1〜10000mg/Lであり、より好ましくは1〜500mg/Lである。そして、現像液の成分濃度変化率及び濃縮率から補充液量の最適値を、あらかじめプログラムした指示に従って計算し、自動的に補充液を補充することにより、現像液の活性度を良好な状態に保つことができる。
【0010】
前記構成▲4▼のモニタ方法によれば、トレース物質を現像開始液又は現像補充液に添加する。そして、現像の際、現像液中のトレース物質の濃度及び現像主成分の濃度を検知し、この検知値より現像開始液に対する現像補充液の置換率及び現像液の濃縮率を算出し、更に、この置換率及び濃縮率より現像液の成分濃度変化率を算出する。添加されるトレース物質の初期濃度は、好ましくは0.1〜10000mg/Lであり、より好ましくは1〜500mg/Lである。そして、現像液の成分濃度から補充液量の最適値を、あらかじめプログラムした指示に従って計算し、自動的に補充液を補充することにより、現像液の活性度を良好な状態に保つことができる。
【0011】
前記構成▲5▼のモニタ方法によれば、現像開始液に添加される現像主成分と現像補充液に添加される現像主成分とを異ならせる。そして、現像の際、現像液中のそれぞれの現像主成分の濃度を検知し、この検知値より現像開始液に対する現像補充液の置換率及び現像液の濃縮率を算出し、更に、この置換率及び濃縮率より現像液の成分濃度変化率を算出する。そして、現像液の成分濃度から補充液量の最適値を、あらかじめプログラムした指示に従って計算し、自動的に補充液を補充することにより、現像液の活性度を良好な状態に保つことができる。
【0012】
以下に本発明が適用される現像液及び現像液補充方法について詳しく述べる。
[現像液]
(トレース物質)
前述した通り、本発明が適用される現像液及び現像補充液は、トレース物質として微量元素及びそれらの化合物を含有することを特徴とする。かかるトレース物質を構成する元素は、現像液の主成分に含まれない元素であればいずれも本発明に使用可能である。例えば、珪酸カリウムを主成分とする現像液においては、リチウム、ベリリウム、ホウ素、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、リン、硫黄、カルシウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、砒素、セレン、ルビジウム、ストロンチウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、インジウム、錫、アンチモン、テルル、セシウム、バリウム、ランタン、セリウム、プラセオジウム、ネオジム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、水銀、タリウム、鉛、ビスマス等が挙げられる。また、主成分を珪酸ナトリウムとすればカリウムが、主成分を糖/アルカリとすれば珪素も好適に用いられる。これらの中でも、希釈水、水洗水、空気中からの混入が少なく、環境汚染等に問題を起こさない元素が好ましく、リチウム、ホウ素、リン、硫黄、チタン、ストロンチウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、タングステン、ビスマスは安価であり汎用性がよく好ましい。また、希釈水、水洗水、空気中からの混入があると予想される、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、珪素等も添加濃度を選択することで使用可能である。
【0013】
添加する化合物の形態としては、現像液の性能に影響を与えなければよく、特に限定しないがアルカリ性下で安定である化合物であればいずれも好適に用いることができる。例えば、酸化物、水酸化物、ハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、炭酸塩等の無機塩、また、蟻酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、マレイン酸塩、乳酸塩、レブリン酸塩、マロン酸塩、アジピン酸塩、フマル酸塩等の有機酸塩が挙げられる。上記化合物の溶解性を高めるために、溶液中の元素とキレート化合物を形成する錯形成剤を加えることもできる。錯形成剤としては、例えば、ヒドロキシ基又はカルボキシル基を含有する窒素化合物及びフェノールが挙げられる。また、アルカリ可溶性の錯体の形で添加することができる。錯体を形成する配位子としては、例えば、NH3、OH2、NO-、NO2 -、NO3 -、CN-、SCN-、Br-、Cl-、F-、I-、CO2、COなどの一座配位子、例えば、エチレンジアミン、C2O4 2-、HONC(CH3)=C(CH3)NO、OC(NH2)2、NH2CH2COO-、エチレンジアミンテトラ酢酸、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ビピリジン、1,10−フエナントロリン、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、ニトリロトリ酢酸、1,2−ジアミノシクロヘキサンテトラ酢酸、1,3−ジアミノシクロヘキサンテトラ酢酸、1,3−ジアミノ−2−プロパノールテトラ酢酸や、2−ホスホノブタン−1、2,4−トリカルボン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、3,3−ジホスホノピメリン酸、(PO3H2)NCH2CH2N−(CH2PO3H2)2、N(CH2PO3H2)3、のような有機ホスホン酸などのような多座配位子を挙げることができる。これらのトレース物質が、現像液、現像補充液中に占める濃度は、0.1〜10000mg/Lが好ましく、更に好ましくは1〜500mg/Lである。この範囲以下では、トレース物質の濃度測定時の誤差が大きく正確な成分濃度が得られず、またこれ以上の濃度では、高濃縮化し難く、また原価アップの問題が出てくる。
【0014】
(アルカリ剤)
本発明が適用される現像液及び現像補充液は、pH10.0〜13.5、より好ましくは12.0〜13.3のアルカリ水溶液である。かかる現像液及び現像補充液としては従来より知られているアルカリ水溶液が使用できる。例えば、珪酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、同リチウム、第三リン酸ナトリウム、同カリウム、第二リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、重炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、ホウ酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、水酸化ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、同リチウム等の無機アルカリ剤が挙げられる。
【0015】
また、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジン等の有機アルカリも挙げられる。
【0016】
これらのアルカリ剤の中で好ましいのは珪酸ナトリウム,珪酸カリウム等の珪酸塩水溶液である。その理由は珪酸塩の主成分である酸化珪素SiO2とアルカリ金属酸化物M2Oの比率(一般に[SiO2]/[M2O]のモル比で表す)と濃度によってpHや現像性の調整が可能とされるためである。珪酸アルカリのSiO2/M2Oモル比(Mはアルカリ金属又はアンモニウムを表す。)は0.5〜3.0で、好ましくは1.0〜2.0である。珪酸アルカリのモル比が3.0よりも大きくなるにつれて現像性が低下するようになる。また、モル比が0.5より小さくなるにつれてアルカリ強度が高く、感光板の支持体であるアルミニウム板等の金属をエッチングする弊害が出てくるようになる。現像液中の珪酸アルカリの含有量は1〜10質量%で、好ましくは1.5〜7質量%である。10質量%より高くなると沈殿や結晶が生成し易くなり、また廃液時の中和に際してゲル化する傾向が出てくる。
【0017】
更に他の好ましいアルカリ剤としては弱酸と強塩基からなる緩衝液が挙げられる。かかる緩衝液として用いられる弱酸としては、酸解離定数(pKa)10.0〜13.3を有するものが好ましく、特にpKaが11.0〜13.1のものが好ましい。また、例えばスルホサリチル酸の場合、酸解離定数は11.7であり、本発明がよく適用される。即ち、多塩基酸の場合、少なくとも1つの酸解離定数が上記範囲内にあれば本発明に使用できる。
【0018】
このような弱酸としては、Pergamon Press社発行のIONISATION CONSTANTS OF ORGANIC ACIDS IN AQUEOUS SOLUTIONなどに記載されているものから選ばれ、例えば2,2,3,3,−テトラフルオロプロパノール−1(pKa12.74)、トリフルオロエタノール(同12.37)、トリクロロエタノール(同12.24)などのアルコール類、ピリジン−2−アルデヒド(同12.68)、ピリジン−4−アルデヒド(同12.05)などのアルデヒド類、ソルビトール(同13.0)、サッカロース(同12.7)、2−デオキシリボース(同12.61)、2−デオキシグルコース(同12.51)、グルコース(同12.46)、ガラクトース(同12.35)、アラビノース(同12.34)、キシロース(同12.29)、フラクトース(同12.27)、リポース(同12.22)、マンノース(同12.08)、L−アスコルビン酸(同11.34)などの糖類、サリチル酸(同13.0)、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(同12.84)、カテコール(同12.6)、没食子酸(同12.4)、スルホサリチル酸(同11.7)、3,4−ジヒドロキシ安息香酸(同11.94)、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン(同11.82)、ハイドロキノン(同11.56)、ピロガロール(同11.34)及びレゾルシノール(同11.27)などのフェノール性水酸基を有する化合物、2−ブタノンオキシム(同12.45)、アセトキシム(同12.42)、1,2−シクロヘプタンジオンジオキシム(同12.3)、2−ヒドロキシベンズアルデヒドオキシム(同12.10)、ジメチルグリオキシム(同11.9)、エタンジアミドジオキシム(同11.37)、アセトフェノンオキシム(同11.35)などのオキシム類、2−キノロン(同11.76)、2−ピリドン(同11.65)、4−キノロン(同11.28)、4−ピリドン(同11.12)、5−アミノ吉草酸(同10.77)、2−メルカプトキノリン(同10.25)、3−アミノプロピオン酸(同10.24)などのアミノ酸類、フルオロウラシル(同13.0)、グアノシン(同12.6)、ウリジン(同12.6)、アデノシン(同12.56)、イノシン(同12.5)、グアニン(同12.3)、シティジン(同12.2)、シトシン(同12.2)、トポキサンチン(同12.1)、キサンチン(同11.9)などの核酸関連物質、他にジエチルアミノメチルホスホン酸(同12.32)、1−アミノ−3,3,3−トリフルオロ安息香酸(同12.29)、イソプロピリデンジホスホン酸(同12.10)、1,1−エチリデンジホスホン酸(同11.54)、1,1−エチリデンジホスホン酸1−ヒドロキシ(同11.52)、ベンズイミダゾール(同12.86)、チオベンズアミド(同12.8)、ピコリンチオアミド(同12.55)、バルビルツ酸(同12.5)などの弱酸が挙げられる。これらの弱酸に組み合わせる強塩基としては、水酸化ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、及び同リチウムが用いられる。
【0019】
これらのアルカリ剤は単独もしくは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのアルカリ緩衝剤の中で好ましいのは、スルホサリチル酸、サリチル酸、サッカロース及びソルビトールと水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムを組み合わせたものである。中でも好ましい組み合わせはソルビトールと水酸化カリウム又は水酸化ナトリウムとある。
【0020】
上記の各種アルカリ剤は濃度及び組み合わせによりpHを好ましい範囲内に調整して使用される。
【0021】
[界面活性剤]
本発明が適用される現像液及び補充液には、現像性の促進や現像カスの分散及び印刷版画像部の親インキ性を高める目的で必要に応じて種々界面活性剤や有機溶剤を添加できる。好ましい界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系及び両性界面活性剤が挙げられる。
【0022】
界面活性剤の好ましい例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、グリセリン脂肪酸部分エステル類、ソルビタン脂肪酸部分エステル類、ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル類、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル類、しょ糖脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレン化ひまし油類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸部分エステル類、脂肪酸ジエタノールアミド類、N、N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン類、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸エステル、トリアルキルアミンオキシドなどの非イオン性界面活性剤、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホ琥珀酸エステル塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩類、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム塩、N−アルキルスルホ琥珀酸モノアミド二ナトリウム塩、石油スルホン酸塩類、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、アルキルリン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステル塩類、スチレン/無水マレイン酸共重合物の部分鹸化物類、オレフィン/無水マレイン酸共重合物の部分鹸化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類などのアニオン界面活性剤、アルキルアミン塩類、テトラブチルアンモニウムブロミド等の第四級アンモニウム塩類、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩類、ポリエチレンポリアミン誘導体などのカチオン性界面活性剤、カルボキシベタイン類、アミノカルボン酸類、スルホベタイン類、アミノ硫酸エステル類、イミダゾリン類などの両性界面活性剤が挙げられる。以上挙げた界面活性剤の中でポリオキシエチレンとあるものは、ポリオキシメチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレンなどのポリオキシアルキレンに読み替えることもでき、それらの界面活性剤もまた包含される。
【0023】
更に好ましい界面活性剤は分子内にパーフルオロアルキル基を含有するフッ素系の界面活性剤である。かかるフッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステルなどのアニオン型、パーフルオロアルキルベタインなどの両性型、パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩などのカチオン型及びパーフルオロアルキルアミンオキサイド、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パーフルオロアルキル基及び親水性基含有オリゴマー、パーフルオロアルキル基及び親油性基含有オリゴマー、パーフルオロアルキル基、親水性基及び親油性基含有オリゴマー、パーフルオロアルキル基及び親油性基含有ウレタンなどの非イオン型が挙げられる。
【0024】
上記の界面活性剤は、単独もしくは2種以上を組み合わせて使用することができ、現像液中に0.001〜10質量%、より好ましくは0.01〜5質量%の範囲で添加される。
【0025】
[現像安定化剤]
本発明が適用される現像液及び補充液には、種々の現像安定化剤が用いられる。それらの好ましい例として、特開平6−282079号公報記載の糖アルコールのポリエチレングリコール付加物、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドなどのテトラアルキルアンモニウム塩、テトラブチルホスホニウムブロマイドなどのホスホニウム塩及びジフェニルヨードニウムクロライドなどのヨードニウム塩が好ましい例として挙げられる。
【0026】
更には、特開昭50−51324号公報記載のアニオン界面活性剤又は両性界面活性剤、また特開昭55−95946号公報記載の水溶性カチオニックポリマー、特開昭56−142528号公報に記載されている水溶性の両性高分子電解質がある。
【0027】
更に、特開昭59−84241号公報のアルキレングリコールが付加された有機ホウ素化合物、特開昭60−111246号公報記載のポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロック重合型の水溶性界面活性剤、特開昭60−129750号公報のポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンを置換したアルキレンジアミン化合物、特開昭61−215554号公報記載の質量平均分子量300以上のポリエチレングリコール、特開昭63−175858号公報のカチオン性基を有する含フッ素界面活性剤、特開平2−39157号公報の酸又はアルコールに4モル以上のエチレンオキシドを付加して得られる水溶性エチレンオキシド付加化合物と、水溶性ポリアルキレン化合物などが挙げられる。
【0028】
[有機溶剤]
現像液及び現像補充液には更に必要により有機溶剤が加えられる。かかる有機溶剤としては、水に対する溶解度が約10質量%以下のものが適しており、好ましくは5質量%以下のものから選ばれる。例えば、1−フェニルエタノール、2−フェニルエタノール、3−フェニル−1−プロパノール、4−フェニル−1−ブタノール、4−フェニル−2−ブタノール、2−フェニル−1−ブタノール、2−フェノキシエタノール、2−ベンジルオキシエタノール、o−メトキシベンジルアルコール、m−メトキシベンジルアルコール、p−メトキシベンジルアルコール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール、3−メチルシクロヘキサノール及び4−メチルシクロヘキサノール、N−フェニルエタノールアミン及びN−フェニルジエタノールアミンなどを挙げることができる。有機溶剤の含有量は使用液の総質量に対して0.1〜5質量%である。その使用量は界面活性剤の使用量と密接な関係があり、有機溶剤の量が増すにつれ、界面活性剤の量は増加させることが好ましい。これは界面活性剤の量が少なく、有機溶剤の量を多く用いると有機溶剤が完全に溶解せず、したがって、良好な現像性の確保が期待できなくなるからである。
【0029】
[還元剤]
本発明が適用される現像液及び補充液には更に還元剤が加えられる。これは印刷版の汚れを防止するものであり、特に感光性ジアゾニウム塩化合物を含むネガ型感光性平版印刷版を現像する際に有効である。好ましい有機還元剤としては、チオサリチル酸、ハイドロキノン、メトール、メトキシキノン、レゾルシン、2−メチルレゾルシンなどのフェノール化合物、フェニレンジアミン、フェニルヒドラジンなどのアミン化合物が挙げられる。更に好ましい無機の還元剤としては、亜硫酸、亜硫酸水素酸、亜リン酸、亜リン酸水素酸、亜リン酸二水素酸、チオ硫酸及び亜ジチオン酸などの無機酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩などを挙げることができる。これらの還元剤のうち汚れ防止効果が特に優れているのは亜硫酸塩である。これらの還元剤は使用時の現像液に対して好ましくは、0.05〜5質量%の範囲で含有される。
【0030】
[有機カルボン酸]
本発明が適用される現像液及び補充液には更に、有機カルボン酸を加えることもできる。好ましい有機カルボン酸は炭素原子数6〜20の脂肪族カルボン酸及び芳香族カルボン酸である。脂肪族カルボン酸の具体的な例としては、カプロン酸、エナンチル酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸及びステアリン酸などがあり、特に好ましいのは炭素数8〜12のアルカン酸である。また炭素鎖中に二重結合を有する不飽和脂肪酸でも、枝分かれした炭素鎖のものでもよい。
【0031】
芳香族カルボン酸としてはベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環などにカルボキシル基が置換された化合物で、具体的には、o−クロロ安息香酸、p−クロロ安息香酸、o−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、o−アミノ安息香酸、p−アミノ安息香酸、2、4−ジヒドロキシ安息香酸、2、5−ジヒドロキシ安息香酸、2、6−ジヒドロキシ安息香酸、2、3−ジヒドロキシ安息香酸、3、5−ジヒドロキシ安息香酸、没食子酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、2−ヒドロキシ−1−ナフトエ酸、1−ナフトエ酸、2−ナフトエ酸などがあるがヒドロキシナフトエ酸は特に有効である。
【0032】
上記脂肪族及び芳香族カルボン酸は水溶性を高めるためにナトリウム塩やカリウム塩又はアンモニウム塩として用いるのが好ましい。本発明で用いる現像液の有機カルボン酸の含有量は格別な制限はないが、0.1質量%より低いと効果が十分でなく、また10質量%以上ではそれ以上の効果の改善が計れないばかりか、別の添加剤を併用する時に溶解を妨げることがある。したがって、好ましい添加量は使用時の現像液に対して0.1〜10質量%であり、より好ましくは0.5〜4質量%である。
【0033】
[その他]
本発明が適用される現像液及び補充液には、更に必要に応じて、防腐剤、着色剤、増粘剤、消泡剤及び硬水軟化剤などを含有させることもできる。硬水軟化剤としては例えば、ポリ燐酸及びそのナトリウム塩、カリウム塩及びアンモニウム塩、エチレンジアミンテトラ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、ニトリロトリ酢酸、1、2−ジアミノシクロヘキサンテトラ酢酸及び1、3−ジアミノ−2−プロパノールテトラ酢酸などのアミノポリカルボン酸及びそれらのナトリウム塩、カリウム塩及びアンモニウム塩、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、トリエチレンテトラミンヘキサ(メチレンホスホン酸)、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ(メチレンホスホン酸)及び1−ヒドロキシエタン−1、1−ジホスホン酸やそれらのナトリウム塩、カリウム塩及びアンモニウム塩を挙げることができる。
【0034】
このような硬水軟化剤はそのキレート化力と使用される硬水の硬度及び硬水の量によって最適値が変化するが、一般的な使用量を示せば、使用時の現像液に0.01〜5質量%、より好ましくは0.01〜0.5質量%の範囲である。この範囲より少ない添加量では所期の目的が十分に達成されず、添加量がこの範囲より多い場合は、色抜けなど、画像部への悪影響がでてくる。
【0035】
かかる現像液及び補充液の残余の成分は水であるが、更に必要に応じて当業界で知られた種々の添加剤を含有させることができる。
【0036】
本発明が適用される現像液及び補充液は使用時よりも水の含有量を少なくした濃縮液としておき、使用時に水で希釈するようにしておくことが運搬上有利である。この場合の濃縮度は各成分が分離や析出を起こさない程度が適当である。
【0037】
[感光性組成物]
本発明が適用される現像液及び現像補充液を用いて現像される平版印刷版はPS版が好ましい。かかるPS版としては、o−キノンジアジド感光層を用いたポジ型PS版、o−キノンジアジド感光層を用いた反転型ネガ型PS版、アルカリ可溶性ジアゾニウム塩を感光層に用いたネガ型PS版、ジメチルマレイミド基を側鎖に含む樹脂を光架橋剤とする感光層を用いたネガ型PS版、光で活性化する光重合開始系と架橋性基を側鎖に有する重合体を有する光重合性感光層とオーバーコート層(保護層)を用いた光重合性PS版、及びクレゾール樹脂のような結着剤と光を吸収して熱を発生する物質とキノンジアジドのような熱分解性であり且つ分解しない状態では前記結着剤の溶解性を低下させる物質を含む感光層からなるポジ型赤外線感光性PS版、光又は熱により分解して酸を発生する化合物と酸により架橋する架橋剤とアルカリ可溶性樹脂の少なくとも一種と赤外吸収剤を含有する感光層からなるネガ型赤外線感光性PS版などが挙げられる。
【0038】
このうち、ポジ型PS版の感光性組成物の主成分は高分子バインダーとo−キノンジアジド化合物からなる。
【0039】
以下、本発明の現像システムが好ましく適応できるPS版について詳しく説明する。
[バインダー]
バインダーとしてはアルカリ性現像液に可溶な高分子化合物が好適であり、特に好ましいアルカリ水に可溶高分子化合物としては、例えばフェノールホルムアルデヒド樹脂、o−、m−及びp−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、m/p−混合クレゾールホルムアルデヒド樹脂、フェノール/クレゾール(o−、m−、p−、m/p−及びo/m−混合のいずれでもよい)混合ホルムアルデヒド樹脂などが挙げられる。更にピロガロール・アセトン樹脂、ヒドロキシスチレン樹脂及びハロゲン化ヒドロキシスチレン樹脂なども好ましい。
【0040】
本発明が適用されるPS版の感光層中に占める該高分子バインダーの量は30〜90質量%であり、より好ましくは40〜70質量%である。
【0041】
本発明が適用されるPS版の感光性組成物には場合により、他のアルカリ可溶性樹脂を併用することができる。かかるアルカリ可溶性樹脂としては、以下に示す(1)〜(4)のアルカリ可溶性基含有モノマーから選ばれる少なくとも1つ以上を重合成分として有する皮膜形成性樹脂が好ましい。更に、これらのアルカリ可溶性基含有モノマーの他に以下に記す(5)〜(14)のモノマーを共重合した皮膜形成性樹脂が好適に用いられる。
【0042】
(1)例えばN−(4−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド又はN−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、o−、m−又はp−ヒドロキシスチレン、o−又はm−ブロモ−p−ヒドロキシスチレン、o−又はm−クロル−p−ヒドロキシスチレン、o−、m−又はp−ヒドロキシフェニルアクリレート又はメタクリレート等の芳香族水酸基を有するアクリルアミド類、メタクリルアミド類、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類及びヒドロキシスチレン類、
(2)アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸及びそのハーフエステル、イタコン酸、無水イタコン酸及びそのハーフエステルなどの不飽和カルボン酸、
(3)N−(o−アミノスルホニルフェニル)アクリルアミド、N−(m−アミノスルホニルフェニル)アクリルアミド、N−(p−アミノスルホニルフェニル)アクリルアミド、N−〔1−(3−アミノスルホニル)ナフチル〕アクリルアミド、N−(2−アミノスルホニルエチル)アクリルアミドなどのアクリルアミド類、N−(o−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド、N−(m−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド、N−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド、N−〔1−(3−アミノスルホニル)ナフチル〕メタクリルアミド、N−(2−アミノスルホニルエチル)メタクリルアミドなどのメタクリルアミド類、また、o−アミノスルホニルフェニルアクリレート、m−アミノスルホニルフェニルアクリレート、p−アミノスルホニルフェニルアクリレート、1−(3−アミノスルホニルフェニルナフチル)アクリレートなどのアクリル酸エステル類などの不飽和スルホンアミド、o−アミノスルホニルフェニルメタクリレート、m−アミノスルホニルフェニルメタクリレート、p−アミノスルホニルフェニルメタクリレート、1−(3−アミノスルホニルフェニルナフチル)メタクリレートなどのメタクリル酸エステル類などの不飽和スルホンアミド、
(4)トシルアクリルイミドのように置換基があってもよいフェニルスルホニルアクリルイミド、及びトシルメタクリルイミドのような置換基があってもよいフェニルスルホニルメタクリルイミド。
(5)脂肪族水酸基を有するアクリル酸エステル類及びメタクリル酸エステル類、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート又は2−ヒドロキシエチルメタクリレート、
(6)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、グリシジルアクリレート、N−ジメチルアミノエチルアクリレートなどの(置換)アクリル酸エステル、
(7)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−クロロエチル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル、グリシジルメタクリレート、N−ジメチルアミノエチルメタクリレートなどの(置換)メタクリル酸エステル、
(8)アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−ヘキシルアクリルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−シクロヘキシルメタクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−フェニルメタクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド、N−ベンジルメタクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルメタクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド及びN−エチル−N−フェニルメタクリルアミドなどのアクリルアミドもしくはメタクリルアミド、
(9)エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテルなどのビニルエーテル類、
(10)ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニルなどのビニルエステル類、
(11)スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレンなどのスチレン類、
(12)メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトンなどのビニルケトン類、
(13)エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレンなどのオレフィン類、
(14)N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、4−ビニルピリジン、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなど。
【0043】
このようなアルカリ可溶性の皮膜形成性樹脂は1種類あるいは2種類以上組み合わせて用いることができ、全感光性組成物の50質量%以下の添加量で用いられる。
【0044】
上記共重合体の好ましい分子量は1万〜10万である。また、上記共重合体には必要に応じて、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂及びエポキシ樹脂を添加してもよい。
【0045】
このようなアルカリ可溶性の高分子化合物は1種類あるいは2種類以上組み合わせることができ、全感光性組成物の40質量%以下の添加量で用いられる。
【0046】
[o−キノンジアジド化合物]
本発明が適用されるPS版の感光層の一方の主成分であるo−ナフトキノンジアジド化合物としてはポリヒドロキシ化合物のo−キノンジアジドスルホン酸エステルが好ましい。かかるポリヒドロキシ化合物としてはピロガロール・アセトン樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、クレゾールホルムアルデヒド樹脂、ヒドロキシスチレン樹脂及びハロゲン化ヒドロキシスチレン樹脂などが挙げられる。これらのポリヒドロキシ化合物からo−ナフトキノンジアジド化合物を合成する際は、ポリヒドロキシ化合物のヒドロキシル基に対して1、2−ジアゾナフトキノンスルホン酸クロリドを0.2〜1.2当量反応させることが好ましく、0.3〜1.0当量反応させることが更に好ましい。1、2−ジアゾナフトキノンスルホン酸クロリドとしては、1、2−ジアゾナフトキノン−5−スルホン酸クロリド又は、1、2−ジアゾナフトキノン−4−スルホン酸クロリドを用いることができる。
【0047】
また、得られるo−ナフトキノンジアジド化合物は、1、2−ジアゾナフトキノンスルホン酸エステル基の位置及び導入量の種々異なるものの混合物となるが、ヒドロキシル基の全てが1、2−ジアゾナフトキノンスルホン酸エステル化された化合物が、この混合物中に占める割合(完全にエステル化された化合物の含有率)は5モル%以上であることが好ましく、更に好ましくは20〜99モル%である。o−キノンジアジド化合物の具体例は、特開昭51−139402号、同58−150948号、同58−203434号、同59−165053号、同60−121445号、同60−134235号、同60−163043号、同61−118744号、同62−10645号、同62−10646号、同62−153950号、同62−178562号、同64−76047号、米国特許第3、102、809号、同第3、126、281号、同第3、130、047号、同第3、148、983号、同第3、184、310号、同第3、188、210号、同第4、639、406号などの各公報又は明細書に記載されているものを挙げることができる。
【0048】
本発明が適用されるPS版の感光性組成物全量中に占めるo−キノンジアジド化合物の量は10〜50質量%が適当であり、より好ましくは15〜40質量%である。
【0049】
[感脂化剤]
更に、米国特許第4、123、279号明細書に記載されているように、t−ブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂、オクチルフェノールホルムアルデヒド樹脂のような炭素数3〜8のアルキル基を置換基として有するフェノールとホルムアルデヒドとの縮合物を併用することは画像の感脂性を向上させる上で好ましい。
【0050】
[現像促進剤]
本発明が適用されるPS版の感光性組成物中には、感度を高めるために環状酸無水物類、フェノール類、有機酸類を添加することが好ましい。
【0051】
環状酸無水物としては米国特許4、115、128号明細書に記載されている無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、3、6−エンドオキシ−Δ4−テトラヒドロ無水フタル酸、テトラクロル無水フタル酸、無水マレイン酸、クロル無水マレイン酸、α−フェニル無水マレイン酸、無水コハク酸、無水ピロメリット酸などが使用できる。
【0052】
フェノール類としては、ビスフェノールA、p−ニトロフェノール、p−エトキシフェノール、2、4、4’−トリヒドロキシベンゾフェノン、2、3、4−トリヒドロキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4、4’、4”−トリヒドロキシ−トリフェニルメタン、4、4’、3”、4”−テトラヒドロキシ−3、5、3’、5’−テトラメチルトリフェニルメタンなどが挙げられる。
【0053】
有機酸類としては、特開昭60−88942号、特開平2−96755号公報などに記載されている、スルホン酸類、スルフィン酸類、アルキル硫酸類、ホスホン酸類、リン酸エステル類及びカルボン酸類などがあり、具体的には、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルフィン酸、エチル硫酸、フェニルホスホン酸、フェニルホスフィン酸、リン酸フェニル、リン酸ジフェニル、安息香酸、イソフタル酸、アジピン酸、p−トルイル酸、3、4−ジメトキシ安息香酸、フタル酸、テレフタル酸、1、4−シクロヘキセン−2、2−ジカルボン酸、エルカ酸、ラウリン酸、n−ウンデカン酸、アスコルビン酸などが挙げられる。
【0054】
上記の環状酸無水物類、フェノール類及び有機酸類の感光性組成物中に占める割合は、0.05〜15質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5質量%である。
【0055】
[現像安定剤]
また、本発明が適用されるPS版感光性組成物中には、現像条件に対する処理の安定性(いわゆる現像ラチチュード)を広げるため、特開昭62−251740号公報や特開平4−68335号公報に記載されているような非イオン界面活性剤、特開昭59−121044号公報、特開平4−13149号公報に記載されているような両性界面活性剤を添加することができる。
【0056】
非イオン界面活性剤の具体例としては、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリオレート、ステアリン酸モノグリセリド、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどが挙げられる。
【0057】
両性界面活性剤の具体例としては、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、アルキルポリアミノエチルグリシン塩酸塩、2−アルキル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインやN−テトラデシル−N、N−ベタイン型(例えば、商品名アモーゲンK、第一工業(株)製)及びアルキルイミダゾリン系(例えば、商品名レボン15、三洋化成(株)製)などが挙げられる。
【0058】
上記非イオン界面活性剤及び両性界面活性剤の感光性組成物中に占める割合は、0.05〜15質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5質量%である。
【0059】
[焼き出し剤と染料]
本発明が適用されるPS版感光性組成物中には、露光後直ちに可視像を得るための焼き出し剤や、画像着色剤としての染料や顔料を加えることができる。焼き出し剤としては、露光によって酸を放出する化合物(光酸放出剤)と塩を形成し得る有機染料の組み合わせを代表として挙げることができる。具体的には、特開昭50−36209号、同53−8128号の各公報に記載されているo−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸ハロゲニドと塩形成性有機染料の組み合わせや、特開昭53−36223号、同54−74728号、同60−3626号、同61−143748号、同61−151644号及び同63−58440号の各公報に記載されているトリハロメチル化合物と塩形成性有機染料の組み合わせを挙げることができる。かかるトリハロメチル化合物としては、オキサゾール系化合物とトリアジン系化合物とがあり、どちらも経時安定性に優れ、明瞭な焼き出し画像を与える。
【0060】
画像の着色剤としては、前述の塩形成性有機染料以外に他の染料も用いることができる。塩形成性有機染料も含めて、好適な染料として油溶性染料と塩基性染料を挙げることができる。具体的には、オイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上、オリエント化学工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI145170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)などを挙げることができる。また、特開昭62−293247号公報に記載されている染料は特に好ましい。
【0061】
[塗布溶剤]
本発明が適用されるPS版感光層は、上記各成分を溶解する溶媒に溶かして支持体のアルミニウム板上に塗布される。ここで使用される溶媒としては、特願昭61−95463号公報に記載されているような有機溶剤が単独あるいは混合して用いられる。
【0062】
本発明が適用される感光性組成物は、2〜50質量%の固形分濃度で溶解、分散され、支持体上に塗布・乾燥される。
【0063】
[塗布量]
支持体上に塗設される感光性組成物の層(感光層)の塗布量は用途により異なるが、一般的には、乾燥後の質量にして0.3〜4.0g/m2が好ましい。塗布量が小さくなるにつれて画像を得るための露光量は小さくて済むが、膜強度は低下する。塗布量が大きくなるにつれ、露光量を必要とするが感光膜は強くなり、例えば、印刷版として用いた場合、印刷可能枚数の高い(高耐刷の)印刷版が得られる。
【0064】
[塗布面質の向上]
本発明が適用されるPS版の感光層には、塗布面質を向上するための界面活性剤、例えば、特開昭62−170950号公報に記載されているようなフッ素系界面活性剤を添加することができる。好ましい添加量は、全感光性組成物の0.001〜1.0質量%であり、更に好ましくは0.005〜0.5質量%である。
【0065】
[マット層]
上記のようにして設けられた感光層の表面には、真空焼き枠を用いた密着露光の際の真空引きの時間を短縮し、且つ焼きボケを防ぐため、マット層を設けることが好ましい。具体的には、特開昭50−125805号、特公昭57−6582号、同61−28986号の各公報に記載されているようなマット層を設ける方法、特公昭62−62337号公報に記載されているような固体粉末を熱融着させる方法などが挙げられる。
【0066】
[支持体]
本発明が適用されるPS版に使用される支持体は、寸度的に安定な板状物である。かかる支持体としては、紙、プラスチックス(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなど)がラミネートされた紙、例えば、アルミニウム(アルミニウム合金も含む)、亜鉛、鉄、銅などの金属板などが用いられるが、特にアルミニウム板などの金属板において本発明の効果が著しく発揮される。好適なアルミニウム板は、純アルミニウム板及びアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板であり、更にアルミニウムがラミネートもしくは蒸着されたプラスチックフィルムでもよい。アルミニウム合金に含まれる異元素には、珪素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがある。合金中の異元素の含有量は高々10質量%以下である。本発明に好適なアルミニウムは、純アルミニウムであるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。このように本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素材のものを適宜利用することができる。本発明が適用されるアルミニウム板の厚みは、およそ0.1mm〜0.6mm程度である。
【0067】
アルミニウム板を粗面化するに先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するための例えば界面活性剤、有機溶剤又はアルカリ性水溶液などによる脱脂処理が行われる。まず、アルミニウム板の表面は粗面化処理されるが、その方法としては、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法及び化学的に表面を選択溶解させる方法がある。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法などと称せられる公知の方法を用いることができる。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸又は硝酸電解液中で交流又は直流により行なう方法がある。また、特開昭54−63902号公報に開示されているように両者を組み合わせた方法も利用することができる。
【0068】
このように粗面化されたアルミニウム板は、必要に応じてアルカリエッチング処理及び中和処理された後、所望により表面の保水性や耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては多孔質酸化皮膜を形成するものならばいかなるものでも使用することができ、一般には硫酸、リン酸、蓚酸、クロム酸あるいはそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。
【0069】
陽極酸化の処理条件は用いる電解質により種々変わるので一概に特定し得ないが、一般的には電解質の濃度が1〜80質量%溶液、液温は5〜70℃、電流密度5〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分の範囲にあれば適当である。陽極酸化皮膜の量は1.0g/m2以上が好適であるが、より好ましくは2.0〜6.0g/m2の範囲である。陽極酸化皮膜が1.0g/m2より少ないと耐刷性が不十分であったり、平版印刷版の非画像部に傷が付き易くなって、印刷時に傷の部分にインキが付着するいわゆる「傷汚れ」が生じ易くなる。
【0070】
支持体の表面処理の条件により、現像時のアルミニウムの溶解挙動が異なる。上記の条件の範囲より処理の程度が大きいと支持体のアルミニウムの溶解量が大きくなり、アルミニウム素材の添加物である、珪素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタン等の溶出量が多くなり、トレース物質測定時の誤差要因となる。
【0071】
陽極酸化処理を施された後、アルミニウム表面は必要により親水化処理が施される。本発明に使用される親水化処理としては、米国特許第2,714,066号、第3,181,461号、第3,280,734号及び第3,902,734号に開示されているようなアルカリ金属シリケート(例えばケイ酸ナトリウム水溶液)法がある。この方法においては、支持体がケイ酸ナトリウム水溶液中で浸漬処理されるか又は電解処理される。
【0072】
他に、特公昭36−22063号公報に開示されている弗化ジルコン酸カリウム及び米国特許第3,276,868号、第4,153,461号及び第4,689,272号に開示されているようなポリビニルホスホン酸で処理する方法などが用いられる。
【0073】
上記の親水化処理は、現像時の支持体アルミニウムの溶解抑制効果を有しており、トレース物質の濃度測定時の誤差を抑制する効果もある。
【0074】
[有機下塗層]
支持体には感光層を塗布する前に必要に応じて、特開平5−45885号公報記載の有機下塗層を設けることができる。上記の下塗層は、現像時の支持体アルミニウムの溶解抑制効果を有しており、トレース物質の濃度測定時の誤差を抑制する効果もある。
【0075】
[バックコート]
支持体の裏面には、必要に応じてバックコートが設けられる。かかるバックコートとしては特開平5−45885号公報記載の有機高分子化合物及び特願平4−189448号記載の有機又は無機金属化合物を加水分解及び重縮合させて得られる金属酸化物からなる被覆層が好ましく用いられる。
【0076】
これらの被覆層のうち、Si(OCH3)4、Si(OC2H5)4、Si(OC3H7)4、Si(OC4H9)4、などの珪素のアルコキシ化合物が安価で入手し易く、それから得られる金属酸化物の被覆層が耐現像液に優れており特に好ましい。
【0077】
上記のバックコートは、現像時の支持体アルミニウムの溶解抑制効果を有しており、トレース物質の濃度測定時の誤差を抑制する効果もある。
【0078】
[ネガ型PS版]
本発明における現像液及び現像補充液が好ましく適用されるネガ型PS版としては、感光性ジアゾ化合物を含む感光層、光重合性感光層、光架橋性感光層などを有するものが挙げられるが、特に好ましい例としては特開平6−282079号公報に詳しく記載されているネガ型感光層を有するPS版が挙げることができる。
【0079】
[光重合性PS版]
本発明における現像液及び現像補充液が好ましく適用される光重合性PS版としては、光重合性感光層と該感光層を保護するオーバーコート層(保護層)を含むものが挙げられるが、特に好ましい例としては特開平10−282682号公報に詳しく記載されている光重合型感光層を有するPS版が挙げることができる。
【0080】
[赤外線感光性PS版]
本発明における現像液及び現像補充液が好ましく適用されるポジ型赤外線感光性PS版としては、クレゾール樹脂のような結着剤と光を吸収して熱を発生する物質とキノンジアジドのような熱分解性であり且つ分解しない状態では前記結着剤の溶解性を低下させる物質を含む感光層からなるものが挙げられるが、特に好ましい例としては特開平7−285275公報に詳しく記載されている赤外線感光層を有するPS版が挙げることができる。
【0081】
また、ネガ型赤外線感光性PS版としては、光又は熱により分解して酸を発生する化合物と酸により架橋する架橋剤とアルカリ可溶性樹脂の少なくとも一種と赤外吸収剤を含有する感光層からなるものが挙げられるが、特に好ましくは、特開平7−20625号公報及び特願平10−22404号明細書に詳しく記載されている赤外線感光層を有するPS版が挙げることができる。
【0082】
[現像及び後処理]
本発明本発明が適用されるPS版は透明原画を通してカーボンアーク灯、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、タングステンランプなどを光源とする活性光線により露光された後、又は、コンピュータ等のディジタルデータを固体及び半導体レーザを用いて露光され必要に応じて加熱処理された後、本発明における現像液により現像処理される。
【0083】
かかる現像処理されたPS版は水洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体等を主成分とするフィニッシャーや保護ガム液で後処理を施される。本発明のPS版の後処理にはこれらの処理を種々組み合わせて用いることができる。
【0084】
近年、製版・印刷業界では製版作業の合理化及び標準化のため、PS版用の自動現像装置が広く用いられている。この自動現像装置は、一般に現像部と後処理部からなり、PS版を搬送する装置と、各処理液槽及びスプレ−装置からなり、露光済みのPS版を水平に搬送しながら、ポンプで汲み上げた各処理液をスプレ−ノズルから吹き付けて現像及び後処理するものである。また、最近は処理液が満たされた処理液槽中に液中ガイドロ−ルなどによってPS版を浸漬搬送させて現像処理する方法や、現像後一定量の少量の水洗水を版面に供給して水洗し、その廃水を現像液原液の希釈水として再利用する方法も知られている。
【0085】
このような自動処理においては、各処理液に処理量や稼動時間等に応じてそれぞれの補充液を補充しながら処理することができる。特開平9−274324号公報記載の現像補充方法などが本発明に好ましく適用できる。このような処理によって得られた平版印刷版はオフセット印刷機にかけられ、多数枚の印刷に用いられる。
【0086】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施形態を詳細に述べる。
【0087】
本発明から導き出される実施形態は、トレース物質測定を用いて、その置換率及び濃縮率を測定することからなる。以下に、置換率及び濃縮率を測定する手法を示す。
【0088】
(イ) 前記構成▲1▼の実施形態
トレース物質(T)を現像開始液に濃度Aとなるように、現像補充液に濃度Bとなるように添加した場合、[1]式により置換率yを求めることができる。
トレース物質の濃度測定値:t
t=A(1−y)+By…[1]
ここでA又はBが0でもよい。
(一方の液にのみ添加した場合は、A又はBが0となる。)
【0089】
(ロ) 前記構成▲2▼の実施形態
トレース物質(T)を現像開始液に濃度Aとなるように、現像補充液に濃度Bとなるように添加した場合、[1]式により置換率yを求めることができる。
トレース物質の濃度測定値:t
t=A(1−y)+By…[1]
ここでA又はBが0でもよい。
(一方の液にのみ添加した場合は、A又はBが0となる。)
また、自動現像装置においてポンプの稼働時間、吐出量を積算することで、補充量は別途計測する。補充量の計測値から得られた置換率(y’)と比較して差が生じている場合は、濃縮あるいは希釈が起こっていることを認識し、補正を行なう。例えば、ポンプから算出した置換率y’を[1]式に代入してトレース物質濃度の理論値(t’)を求め、この理論値(t’)と測定値(t)とを比較してt>t’の場合には濃縮が、t<t’の場合には希釈が起こっていることを確認する。また、t/t’の比率から濃縮率を求める。
【0090】
(ハ) 前記構成▲3▼の実施形態
トレース物質(Ts)を現像開始液に濃度Aとなるように、トレース物質(Tr)を現像補充液に濃度Bとなるように添加した場合、ポンプ稼働時間、吐出量による補充液を検知することなく正確な置換率及び濃縮率を求めることができ、より好ましい。置換率y、濃縮率xは[3]式及び[4]式から求めることができる。
現像液に添加したトレース物質の濃度測定値:a
a={A(1−y)}x…[3]
補充液に添加したトレース物質の濃度測定値:b
b=(By)x…[4]
また、濃縮率の変動がない場合には、[5]式が成立する。
a/A+b/B=1…[5]
[5]式の左辺が1以上の時は濃縮が、1以下の場合には希釈が起こっていることが確認できる。
【0091】
(ニ) 前記構成▲4▼の実施形態
現像開始液にトレース物質(T)を濃度Aとなるように添加し、現像開始液の現像主成分濃度S、現像補充液の現像主成分濃度Rである場合、置換率y、濃縮率xは[3]式及び[6]式から求めることができる。
トレース物質の濃度測定値:t
t={A(1−y)}x…[3]
主成分濃度:D
D={S(1−y)+Ry}x…[6]
また、トレース物質(T)を現像補充液に濃度Bとなるように添加し、現像開始液の現像成分濃度S、現像補充液の現像主成分濃度Rである場合、置換率y、濃縮率xは[4]式及び[6]式から求めることができる。
トレース物質の濃度測定値:t
t=(By)x…[4]
主成分濃度:D
D={S(1−y)+Ry}x…[6]
【0092】
(ホ) 前記構成▲5▼の実施形態
現像開始液の現像主成分DSの濃度S、及び現像補充液の現像主成分DRの濃度Rである場合、置換率y、濃縮率xは[7]式及び[8]式から求めることができる。
現像主成分DSの濃度測定値:s
s={S(1−y)}x…[7]
現像主成分DRの濃度測定値:r
r=(Ry)x…[8]
【0093】
[トレース物質の濃度検出器]
本発明に使用する自動現像装置は、特開平9−274324号公報等に記載されている自動現像装置に、現像タンク内の現像液をサンプリングする装置とトレース物質の濃度検出器を装備して、現像液中のトレース物質の濃度を測定し、補充制御値の補正を行なう。
【0094】
現像液サンプリング装置としては、タンク内の現像液をトレース物質検出器に導くパイプと循環ポンプ等が使用できる。
【0095】
トレース物質の濃度検出器としては、0.1ppm〜10000ppm程度の濃度を精度よく測定できる手法を用いる。例えば、ボルタメトリ法、ポーラログラフ法、イオン電極などの電気化学分析装置、紫外・可視分光光度計、原子発光分析装置、炎光光度計、原子吸光分析装置、蛍光光度計などの光分析装置、ガスクロマト、液体クロマト、イオンクロマト、電気永動、超臨界クロマトなどのクロマトグラフ分析装置、プラズマ質量分析装置が使用できる。
【0096】
上記の検出器の中でもアルカリ性現像液を長期にわたり安定して測定でき、トレース物質の化合物形態によらず測定が可能であり、また短期間に多元素を同時に測定可能である原子発光分析装置がより好ましい。
【0097】
原子発光分析装置としては、アルゴンプラズマ発光部及び発光強度分光分析部からなる装置を使用することが望ましい。例えば特開平10−132746号公報、特開平10−19783号公報などに開示される装置が使用できる。
【0098】
【実施例】
以下に本発明の実施例を説明する。
【0099】
<実施例1>
厚さ0.24mmのアルミニウム板をナイロンブラシと400メッシュのパミストーン水懸濁液を用い、その表面を砂目立てした後、よく水で洗浄した。10%水酸化ナトリウムに70℃で20秒間浸漬してエッチングした後、流水で水洗いし、次いで20%HNO3で中和洗浄、水洗した。これをVA=12.7Vの条件下で正弦波の交番波形電流を用いて0.7%硝酸水溶液中で400クーロン/dm2の電気量で電解粗面化処理を行なった。この基板を10%水酸化ナトリウム水溶液中で、表面のアルミニウムの溶解度が0.9g/m2になるように陽極酸化した。
【0100】
次いで、J3号珪酸ナトリウム2%水溶液に30℃で15秒間浸漬し、親水化処理を行った。かくして製作した支持体上に下記組成の下塗液イを乾燥後の質量にして10mg/m2となるように塗布して90℃で1分間乾燥し、下塗層を設けた。
(下塗液イ)
フェニルホスホン酸 0.06質量部
硫酸 0.12質量部
メタノール 100質量部
【0101】
続いて、下記組成の感光液イを調製し、上記基板上に乾燥後の質量にして1.8g/m2となるように感光層を設けた。
(感光層イ)
m−クレゾールホルムアルデヒド樹脂
(3核以上の成分の含有量86.5%、分子量4800) 1.9質量部
1,2−ジアゾナフトキノン−5−スルホニルクロリドと
ピロガロール−アセトン樹脂とのエステル化物(分子量2500)
0.76質量部
テトラヒドロ無水フタル酸 0.2質量部
4−[p−N−(p−ヒドロキシベンゾイル)アミノフェニル]
−2,6ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン 0.02質量部
ビクトリアピュアブルーBOH
(保土谷化学工業(株)製) 0.03質量部
メガファック F−177
(大日本インキ化学工業(株)製フッ素系界面活性剤)
0.006質量部
メチルエチルケトン 15質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 15質量部
【0102】
この感光層の表面に下記のようにしてマット層形成陽樹脂液を吹き付けてマット層を設け、PS版Aを得た。マット層形成用樹脂液としてメチルメタクリエート/エチルアクリレート/アクリル酸(仕込質量比 65:20:15)共重合体の一部をナトリウム塩とした12%水溶液を準備し、回転霧化静電塗装機で霧化頭回転25000rpm、樹脂液の送液量は40ml/分、霧化頭への印電圧は−90kV、塗布時の周囲温度は25℃、相対湿度は50%とし、塗布後2.5秒でと塗布面に蒸気を吹き付けて湿潤させ、次いで湿潤した3秒後に温度60℃、湿度10%の温風を5秒間吹き付けて乾燥させた。マットの高さは約6μm、大きさは約30μm、個数は150個/mm2であった。
【0103】
このようにして得られたPS版Aを1003mm×800mmの大きさの裁断したものを多数枚用意し、これらに原稿フイルムを通して1mの距離から3kWのメタルハライドランプを用いて、60秒間露光した。次に浸漬型現像槽を有する自動現像装置の現像槽に、下記の現像液原液a1を水道水で9倍に希釈したpH約13.0の現像液を18リットル仕込み、30℃に加熱した。第2浴目である水洗槽には、水道水が自動的に供給され、PS版を洗浄できるようになっている。第3浴目であるフィニッシング液槽にはFP−2W(富士写真フイルム(株)製)を水道水で2倍に希釈したフィニッシング液を4リットル仕込んだ。別に、現像補充液原液タンクには、下記の現像補充液原液a2を5リットル仕込んだ。
【0104】
また、自動現像装置により、現像補充液原液a1を6.5倍の水で希釈した現像補充液を、版1m2処理毎に35ml、自動現像装置稼働1時間あたり130ml、停止1時間あたり20ml現像槽に補充した。更に、自動現像装置に内蔵されている交流インピーダンス計によって、PS版の処理及び空気中の炭酸ガスによる現象の液活性度の低下を検出し、検出値に基づくコンピュータのフィードバック制御により水を現像槽に補充した。これにより、現像槽に貯留された現像液の活性度がほぼ一定に保たれる。なおトレース物質測定が可能であるように自動現像装置の現像タンク内の現像液サンプリング装置及びトレース物質検出器として原子発光分析装置を設置し、補充量を補正できるようにプログラムを改良した。また、後処理部においても、PS版Aを1m2処理する毎に、水洗水30ml、フィニッシング液FP−2W(水道水で2倍に希釈した液)を20mlの割合で補充した。
(現像液原液a1)
[SiO2]/[K2O]のモル比1.2、
SiO2 12.2質量%の珪酸カリウム水溶液 99.8質量%
ポリオキシエチレン(付加モル数n=12)
ソルビットエーテル 0.2質量%
オキシ塩化ジルコニウム(トレース物質) 0.02質量%
(現像補充液原液a2)
[SiO2]/[K2O]モル比1.0、
SiO2 19.9質量%の珪酸カリウム水溶液 99.6質量%
ポリオキシエチレン(付加モル数n=12)
ソルビットエーテル 0.4質量%
水酸化リチウム(トレース物質) 0.02質量%
【0105】
このような条件下で、前述した露光済みのPS版を、1日あたり50版ずつ、土曜、日曜、祭日を除く毎日、二ヶ月間にわたって処理した。そして、トレース物質であるジルコニウム及びリチウムの濃度を原子発光分析装置によって測定し、置換率及び濃縮率を算出し、補充制御値を補正して処理を行った。
【0106】
活性度のチェックは、ステップタブレット(1段の光学濃度差が0.15で15段のもの)を用いて、段階的に光量を変化させて前記PS版に焼き付けたものを現像し、その版上の光量に対応して残った画像の段数を読み取り、処理開始時の段数と比較することによって行なった。二ヶ月間のテスト期間中、ステップタブレットのクリア部(画像完全除去)は5.5段、ベタ部(画像完全残存部)の段数は11.5段に保たれ、安定した処理が維持された。
【0107】
<比較例1>
実施例1で下記のトレース物質を除いた現像液原液b1及び現像補充液原液b2を用い、トレース物質の濃度の測定をしない以外は全て実施例1と同様にしてPS版Aを処理し、また評価した。この場合、補充は設定通りに行われていたにもかかわらず、1週間目くらいからステップタブレットの段数が徐々に上がり始めた。そこで現像液を抜き取り、詳細に主成分の濃度解析したところ、水の蒸発による現像液の濃縮が起こっていた。
(現像液原液b1)
[SiO2]/[K2O]のモル比1.2、
SiO2 12.2%の珪酸カリウム水溶液 99.8質量%
ポリオキシエチレン(付加モル数n=12)
ソルビットエーテル 0.2質量%
(現像補充液原液b2)
[SiO2]/[K2O]モル比1.0、
SiO2 19.9質量%の珪酸カリウム水溶液 99.6質量%
ポリオキシエチレン(付加モル数n=12)
ソルビットエーテル 0.4質量%
【0108】
<実施例2>
実施例1で下記の現像液原液c1及び現像補充液原液c2を用い、トレース物質であるカリウム、リチウム濃度を測定すること以外は全て実施例1と同様にしてPS版Aを処理し、また評価した結果、実施例1と同様に、極めて安定した処理ができた。
(現像液原液c1)
D−ソルビット 21.2質量%
水酸化ナトリウム 7.5質量%
トリエタノールアミンの
エチレンオキシド30モル付加物 0.16質量%
DEQUEST2066
(米国、モンサント社製キレート液) 0.34質量%
水 70.75質量%
珪酸カリウム(トレース物質) 0.05質量%
(現像補充液原液c2)
D−ソルビット 26.5質量%
水酸化ナトリウム 10.7質量%
トリエタノールアミンの
エチレンオキシド30モル付加物 0.24質量%
DEQUEST2066
(米国、モンサント社製キレート液) 1.2質量%
水 61.34質量%
水酸化リチウム(トレース物質) 0.02質量%
【0109】
<実施例3>
厚さ0.30mmのアルミニウム板表面を洗浄し脱脂した後に、ナイロンブラシと400メッシュのパミストーン水懸濁液を用い、その表面を砂目立てした後、よく水で洗浄した。25%水酸化ナトリウムに45℃で9秒間浸漬してエッチングした後、流水で水洗いし、次いで20%HNO3で中和洗浄し、続いて水洗した。これを7%硫酸を電解液として15A/dm2で3g/m2の直流陽極酸化皮膜を設けた後、水洗し、乾燥し、更に、珪酸ナトリウム2.5質量%水溶液で30℃で10秒処理し、下記の下塗液ロを塗布し、塗膜を80℃で15秒乾燥し基板を得た。乾燥後の塗膜の被覆量は15mg/m2であった。
(下塗液ロ)
下記の化1の化合物1 0.3質量部
水 1質量部
メタノール 100質量部
【0110】
【化1】
【0111】
続いて、下記の組成の感光液ロを調整し、上記の基板上に乾燥後の質量にして1.1g/m2となるように感光層を設け、ポジ型赤外線感光性PS版Bを得た。
(感光液ロ)
特定の共重合体1 0.75g
m,p−クレゾールノボラック
(m,p比=6/4質量平均分子量3500、
未反応クレゾール0.5質量%含有) 0.25g
テトラヒドロ無水フタル酸 0.03g
シアニン染料A(下記の化2の構造) 0.017g
ビクトリアピュアブルーBOHの対イオンを
1−ナフタレンスルホン酸アニオンにした
染料メガファック F−177
(大日本インキ化学工業(株)製フッ素系界面活性剤) 0.05g
γ―ブチルラクトン 10g
メチルエチルケトン 10g
1−メトキシー2−プロパノール 1g
【0112】
【化2】
【0113】
なお、感光液ロ中の特定の共重合体1は、下記の(手順1)によって得た。
(手順1)
攪拌機、冷却管及び滴下ロートを備えた500ml三つ口フラスコにメタクリル酸31.0g(0.36モル)、クロロギ酸エチル39.1g(0.36モル)及びアセトニトリル200mlを入れ、氷水浴で冷却しながら混合物を攪拌した。この混合物にトリエチルアミン36.4g(0.36モル)を約1時間かけて滴下ロートにより滴下しした。滴下後、氷水浴をとり去り、室温下で30分間混合物を攪拌した。この反応混合物に、p−アミノベンゼンスルホアミド51.7g(0.30モル)を加え、油浴にて70℃に温めながら混合物を1時間攪拌した。反応終了後、この混合物を水1リットルに、当該水を攪拌しながら投入し、得られた混合物を30分間攪拌した。この混合物をろ過して析出物を取出し、これを水500mlでスラリーにした後、このスラリーをろ過し、得られた固体を乾燥することによりN−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミドの白色固体が得られた(収量46.9g)。次に、攪拌機、冷却管及び滴下ロートを備えた20ml三つ口フラスコにN−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド4.61g(0.0192モル)、メタクリル酸エチル2.94g(0.0258モル)、アクリロニトリル0.80g(0.015モル)及びN,N−ジメチルアセトアミド20gを入れ、湯水浴により65℃に加熱しながら混合物を攪拌した。この混合物に「V−65」(和光純薬(株)製)0.15gを加え65℃に保ちながら窒素気流下で混合物を2時間攪拌した。この反応混合物に更にN−(p−アミノスルホフェニル)メタクリルアミド4.61g、メタクリル酸エチル2.94g、アクリロニトリル0.80g、N,N−ジメチルアセトアミド及び「V−65」0.15gの混合物を2時間かけて滴下ロートにより滴下した。滴下終了後更に65℃で2時間得られた混合物を攪拌した。反応終了後メタノール40gを混合物に加え、冷却し、得られた混合物を水2リットルに、当該水を攪拌しながら投入し、30分混合物を攪拌した後、ゲルパーミッションクロマトグラフィーによりこの特定の共重合体1の質量平均分子量(ポリスチレン標準)を測定したところ53000であった。このようにして得られたPS版Bを、出力500mW、波長830nm、ビーム径17μm(1/e2)の半導体レーザを用いて走査速度5m/sにて露光した。
【0114】
下記の現像液原液d1及び現像補充液原液d2を用いること意外は全て実施例1と同様にしてPS版Bを処理した。評価した結果、実施例1と同様に、極めて安定した処理ができた。
(現像液原液d1)
D−ソルビット 2.5質量%
水酸化カリウム 1.3質量%
ジエチレントリアミンペンタ
(メチレンホスホン酸)5Na塩 0.1質量%
水 96.1質量%
オキシ塩化ジルコニウム(トレース物質) 0.02質量%
(現像補充液原液d2)
D−ソルビット 5.6質量%
水酸化カリウム 2.5質量%
ジエチレントリアミンペンタ
(メチレンホスホン酸)5Na塩 0.2質量%
水 91.7質量%
水酸化リチウム(トレース物質) 0.02質量%
【0115】
<実施例4>
実施例1で下記の現像液e1及び現像補充液e2を用い、トレース物質であるリチウムと主成分であるナトリウム濃度とを測定すること以外は全て実施例1と同様にしてPS版Aを処理し、また評価した結果、実施例1と同様に極めて安定した処理ができた。
(現像処理液e1)
D−ソルビット 21.2質量%
水酸化ナトリウム 7.5質量%
トリエタノールアミンのエチレン
オキシド30モル付加物 0.16質量%
DEQUEST 2066
(米国、モンサント社製キレート剤) 0.34質量%
水 70.75質量%
(現像補充液原液e2)
D−ソルビット 26.5質量%
水酸化ナトリウム 10.7質量%
トリエタノールアミンのエチレン
オキシド30モル付加物 0.24質量%
DEQUEST 2066
(米国、モンサント社製キレート剤) 1.2質量%
水 61.34質量%
水酸化リチウム(トレース物質) 0.02質量%
【0116】
<実施例5>
実施例1で下記の現像液f1及び現像補充液f2を用い、主成分であるカリウム及びナトリウム濃度を測定すること以外は全て実施例1と同様にしてPS版Aを処理し、また評価した結果、実施例1と同様に極めて安定した処理ができた。
(現像処理液f1)
D−ソルビット 21.2質量%
水酸化カリウム 7.5質量%
トリエタノールアミンのエチレン
オキシド30モル付加物 0.16質量%
DEQUEST 2066
(米国、モンサント社製キレート剤) 0.34質量%
水 70.75質量%
(現像補充液原液f2)
D−ソルビット 26.5質量%
水酸化ナトリウム 10.7質量%
トリエタノールアミンのエチレン
オキシド30モル付加物 0.24質量%
DEQUEST 2066
(米国、モンサント社製キレート剤) 1.2質量%
水 61.34質量%
【0117】
【発明の効果】
本発明の請求項1にかかる平版印刷版用現像液のモニタ方法は、自動現像処理装置を用いて、現像開始液に現像補充液を補充しながら平版印刷版を現像処理する場合に、アルカリ性下で安定で且つ現像に寄与しないトレース物質を現像開始液及び現像補充液の一方又は双方に且つ双方の場合は濃度を異ならせて含有しておき、現像している液中の前記トレース物質の量を測定することで、現像開始液に対する現像補充液の置換率を求めることを特徴とするので、現像液の状態を正確に確認することができ、これを利用して、自動現像装置を用いて感光性平版印刷版を多数枚処理するとき、現像液の活性度を常に新液の状態に保つことができる。
【0118】
本発明の請求項2にかかる平版印刷版用現像液のモニタ方法は、自動現像処理装置を用いて、現像開始液に現像補充液を補充しながら平版印刷版を現像処理する場合に、アルカリ性下で安定で且つ現像に寄与しないトレース物質を現像開始液及び現像補充液の一方又は双方に且つ双方の場合は濃度を異ならせて含有しておき、現像している液中の前記トレース物質の量を測定することで、現像開始液に対する現像補充液の置換率を求め、更に、当該置換率を自動現像処理装置のポンプの積算吐出量から求めた置換率と比較することで、現像液の濃縮率を求めることを特徴とするので、現像液の状態を正確に確認することができ、これを利用して、自動現像装置を用いて感光性平版印刷版を多数枚処理するとき、現像液の活性度を常に新液の状態に保つことができる。
【0119】
本発明の請求項3にかかる平版印刷版用現像液のモニタ方法は、自動現像処理装置を用いて、現像開始液に現像補充液を補充しながら平版印刷版を現像処理する場合に、アルカリ性下で安定で且つ現像に寄与しない異なるトレース物質を現像開始液と現像補充液とにそれぞれ加えておき、現像している液中の前記トレース物質の量を測定することで、現像開始液に対する現像補充液の置換率と、現像液の濃縮率とを求めることを特徴とするので、現像液の状態を正確に確認することができ、これを利用して、自動現像装置を用いて感光性平版印刷版を多数枚処理するとき、現像液の活性度を常に新液の状態に保つことができる。
【0120】
本発明の請求項4にかかる平版印刷版用現像液のモニタ方法は、自動現像処理装置を用いて、現像開始液に現像補充液を補充しながら平版印刷版を現像処理する場合に、アルカリ性下で安定で且つ現像に寄与しないトレース物質を現像開始液又は現像補充液のどちらか一方に含有しておき、現像している液中の前記トレース物質の量と現像液の主成分の濃度とを測定することで、現像開始液に対する現像補充液の置換率と、現像液の濃縮率とを求めることを特徴とするので、現像液の状態を正確に確認することができ、これを利用して、自動現像装置を用いて感光性平版印刷版を多数枚処理するとき、現像液の活性度を常に新液の状態に保つことができる。
【0121】
本発明の請求項5にかかる平版印刷版用現像液のモニタ方法は、自動現像処理装置を用いて、現像開始液に現像補充液を補充しながら平版印刷版を現像処理する場合に、現像開始液の現像主成分と現像補充液の現像主成分とを異なる物質とし、現像開始液及び現像補充液の主成分の濃度を測定することで、現像開始液に対する現像補充液の置換率と現像液の濃縮率とを求めることを求めることを特徴とするので、現像液の状態を正確に確認することができ、これを利用して、自動現像装置を用いて感光性平版印刷版を多数枚処理するとき、現像液の活性度を常に新液の状態に保つことができる。
Claims (5)
- 自動現像処理装置を用いて、現像開始液に現像補充液を補充しながら平版印刷版を現像処理する場合に、アルカリ性下で安定で且つ現像に寄与しないトレース物質を現像開始液及び現像補充液の一方又は双方に且つ双方の場合は濃度を異ならせて含有しておき、現像している液中の前記トレース物質の量を測定することで、現像開始液に対する現像補充液の置換率を求めることを特徴とする平版印刷版用現像液のモニタ方法。
- 自動現像処理装置を用いて、現像開始液に現像補充液を補充しながら平版印刷版を現像処理する場合に、アルカリ性下で安定で且つ現像に寄与しないトレース物質を現像開始液及び現像補充液の一方又は双方に且つ双方の場合は濃度を異ならせて含有しておき、現像している液中の前記トレース物質の量を測定することで、現像開始液に対する現像補充液の置換率を求め、更に、当該置換率を自動現像処理装置のポンプの積算吐出量から求めた置換率と比較することで、現像液の濃縮率を求めることを特徴とする平版印刷版用現像液のモニタ方法。
- 自動現像処理装置を用いて、現像開始液に現像補充液を補充しながら平版印刷版を現像処理する場合に、アルカリ性下で安定で且つ現像に寄与しない異なるトレース物質を現像開始液と現像補充液とにそれぞれ加えておき、現像している液中の前記トレース物質の量を測定することで、現像開始液に対する現像補充液の置換率と、現像液の濃縮率とを求めることを特徴とする平版印刷版用現像液のモニタ方法。
- 自動現像処理装置を用いて、現像開始液に現像補充液を補充しながら平版印刷版を現像処理する場合に、アルカリ性下で安定で且つ現像に寄与しないトレース物質を現像開始液又は現像補充液のどちらか一方に含有しておき、現像している液中の前記トレース物質の量と現像液の主成分の濃度とを測定することで、現像開始液に対する現像補充液の置換率と、現像液の濃縮率とを求めることを特徴とする平版印刷版用現像液のモニタ方法。
- 自動現像処理装置を用いて、現像開始液に現像補充液を補充しながら平版印刷版を現像処理する場合に、現像開始液の現像主成分と現像補充液の現像主成分とを異なる物質とし、現像開始液及び現像補充液の主成分の濃度を測定することで、現像開始液に対する現像補充液の置換率と現像液の濃縮率とを求めることを求めることを特徴とする平版印刷版用現像液のモニタ方法。
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