JP4115572B2 - 耐食性に優れた溶融めっき用Zn−Al−Mg系合金 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶融めっき用Zn−Al−Mg系合金、特に、鉄鋼材料の表面を溶融めっきした場合に優れた耐食性を示すZn−Al−Mg系合金に関する。
【0002】
【従来の技術】
Znは大気中で良好な耐食性を示すとともに、鉄鋼材料に対して犠牲防食作用を示すため、以前よりAlをごく微量添加したZn合金が溶融めっきの被覆材料として用いられてきたが、近年の大気環境の悪化に伴い、Al含有量を高めて耐食性を向上したZn−Al系合金も使用されるようになっており、特にAlを共晶点付近の組成で含むZn−4〜5%Al系溶融めっき鋼板が市販されている。
【0003】
Zn−Al系合金にMgを添加すると、その耐食性がさらに向上することが知られており、例えば特開平2−73954号公報にはMg:0.01〜1.0wt%を含有するZn−Al−Mg系溶融めっき鋼板が開示されている。めっき鋼材の耐食性はMgの添加量とともに増大するが、Mgが極めて活性な金属であるため、溶融めっき浴として使用すると酸化が激しく、いわゆるドロスの生成量が増大するため、操業上のその上限は従来より1質量%程度であり、耐食性の向上効果は限定されたものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
低濃度のMg添加の場合、例えば、酸性雨環境下や海岸近傍等の過酷な環境下ではその耐食性が十分とは言えないため、操業中のドロス発生が少なく、かつ耐食性がさらに優れたZn−Al系溶融めっき合金の開発が必要である。
【0005】
本発明者らは、Zn−Al−Mg系溶融金属浴の大気酸化挙動を鋭意検討し、Zn浴にAlを6.0質量%以上添加することにより同時に添加したMgの酸化を抑制すること及び Pb 、 Sn 、 Cd 、および Bi の合計量を規制することにより溶融めっき鋼板の表面外観が向上すること、さらに Ti および B を添加することが表面外観を更に美麗にする作用を有することを見出して本発明を完成するに至った。
【0006】
この場合、Alは溶融めっきの耐食性を向上させる作用を示すとともに、易酸化性元素のため、それ自身が浴表面において緻密な酸化皮膜を形成することにより、結果としてMgの酸化を抑制することが判明した。すなわち、従来検討されてきたZn−Al−Mg系浴は、Zn−Mg系浴にAlを少量添加したものが主体であり、Alの酸化抑制効果が不十分であることが分かった。
【0007】
本発明の目的は、上記の操業中のドロス発生の問題を解決し、耐食性に優れた溶融めっき鋼材を安定的に製造するためのZn−Al−Mg系合金を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、Al:6.0〜10.0質量%、Mg:1.0〜4.0質量%、かつPb、Sn、Cd、およびBiの1種または2種以上の合計が0.02質量%以下であり、さらに Ti :0.002〜0.2質量%、 B: 0.001〜0.1質量%を含有し、残部がZnおよび不可避的不純物からなる組成を有することを特徴とする耐食性に優れた溶融めっき用Zn−Al−Mg系合金を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の合金組成を有する溶融めっき浴をZn、AlおよびMg等の単独金属のインゴットから建浴することは可能である。また、Zn−Al合金浴に他の金属を溶解することも可能であるが、以下の問題があるため、溶融めっき浴の建浴には本発明の合金を使用する。
【0011】
ZnまたはZn−Al浴にMgを投入すると、密度の低いMgが浴表面に浮上するため溶解に時間を要するのみならず、溶解中に発火する危険がある。また、溶解時にMgが酸化してドロスになり易く、浴中Mgの歩留まりが低下する。TiおよびBも低密度のため浴表面に浮上し、ドロス中に巻き込まれるため、それらの浴中歩留まりが低下するとともに、溶解後に浴中偏析が起こり易い。
【0012】
本発明の溶融めっき用Zn−Al−Mg系合金は、Al:6.0〜10.0質量%、Mg:1.0〜4.0質量%、かつPb、Sn、Cd、およびBiの1種または2種以上の合計が0.02質量%以下であり、さらに Ti :0.002〜0.2質量%、 B: 0.001〜0.1質量%を含有し、残部がZnおよび不可避的不純物からなる組成を有するものであり、それぞれの成分の限定理由を以下に説明する。
(以下余白)
【0013】
Alは耐食性の向上および浴中Mgの酸化抑制を目的として添加するが、4質量%未満ではそれらの効果が不十分である。Alを10質量%を超えて添加すると、溶融めっきの耐食性は向上するが、めっき浴温が上昇するためにめっき機材の損傷が激しくなるとともに、溶融めっき層と鋼材の界面に加工性の悪いFe−Al系の合金層が生成し易くなるため、溶融めっき浴としては不適である。
【0014】
Mgは耐食性の向上を目的として添加するが、1.0質量%未満ではその効果が不十分である。Mgを4.0質量%を超えて添加しても、耐食性向上の効果が飽和するのみならず、Alの添加にもかかわらず酸化抑制が不十分となり、ドロスが発生し易くなる。
【0015】
Pb、Sn、CdおよびBiは最終凝固部に濃縮し、いわゆる凝固ひけを起こして溶融めっきの表面外観を損ねること、および、粒界偏析を起こして粒界腐食の原因となるため、これらの元素の1種または2種以上の合計を0.02質量%以下にする必要がある。
【0016】
TiおよびBを添加すると結晶粒が微細化され、溶融めっきの表面外観が美麗なものとなるとともに、上述の粒界腐食に対するPb、Sn、CdおよびBiの影響が緩和される。また、これらの元素の添加は、耐食性に優れたZn2Mg金属間化合物相のめっき層中での成長を助長する。
【0017】
Tiの添加が0.002質量%未満ではこれらの効果が十分ではない。めっき層中のTi量としては、0.1質量%程度あればその効果が飽和するが、建浴時および操業時に多少のロスが発生するため、本発明の合金組成においてはその上限を0.2質量%とする。Bの添加が0.001質量%未満では添加の効果が十分ではない。めっき層中のB量としては、0.045質量%程度あればその効果が飽和するが、やはり建浴時および操業時に多少のロスが発生するため、本発明の合金組成においてはその上限を0.1質量%とする。
【0018】
【実施例1】
ゼンジマー型の連続溶融めっきシミュレータを用い、中炭素鋼の熱延鋼板(板厚3.2mm)に、表1に示す各種組成の合金を溶解しためっき浴により溶融めっきを行い、得られためっき鋼板の品質を評価するとともに、めっき中のドロスの発生状況を調査した。ここで、到達板温は600℃、めっき浴温は430℃、浸漬時間は3秒、めっき後の空冷速度は5℃/秒とした。なお、表1および表2において、組成が0質量%とは無添加を意味しており、不可避的不純物として混入した量は測定していない。また表1においてPb等とはPb、Sn、CdおよびBiの1種または2種以上の合計を言う。
【0019】
【表1】
【0020】
裸耐食性の評価はJIS−Z−2371に規定する塩水噴霧試験により行い、試験時間800時間後の腐食減量が25g/m2以下のものを○、25g/m2を超え80g/m2以下のものを△、80g/m2を超えるものを×と記した。めっき外観の評価は目視により行ない、凝固ひけによる粒界が全く観察されないものを◎、ごく僅かに観察されるものを○、明瞭に観察されるものを×と記した。ドロスの発生状況は目視観察により行ない、通常の溶融Znめっき浴と同程度またはそれ以下の場合に○、それより多い場合には×と記してある。
【0021】
表1の結果より、Mgの濃度が低いと耐食性が不十分であり、Mg濃度が増大するとドロス発生量が増加することが分かる。また、Pb等の不純物濃度が本発明の範囲を超えると、溶融めっきの表面外観が悪化する。なお、表1には示さないが、Pb等の不純物濃度の増加により、湿潤環境下での粒界腐食感受性が増加した。
【0022】
【実施例2】
実施例1と同一のめっき条件で、板厚1.6mmの中炭素鋼熱延鋼板を用いて、表2に示す組成の合金を溶解しためっき浴により溶融めっき鋼板を作成し、その品質を評価した結果を表2に示す。めっきの密着性は、試験片を密着曲げした後、曲げ部のセロテープ剥離テストを行ない、剥離なしを○、剥離量5%未満を△、剥離量5%以上を×と記した。
【0023】
【表2】
【0024】
表2の結果より、Al濃度が低いと耐食性が不十分となり、Al濃度が本発明の範囲を超えると、めっき層/鋼板界面における合金層の成長によりめっき密着性が低下することが分かる。また、TiおよびBを添加すると結晶の微細化が起こり、めっき外観が極めて良好になった。
【発明の効果】
以上説明した様に、本発明の合金を用いることにより、高耐食性の溶融めっき鋼板を、良好な操業条件で安定して製造することが可能になった。
Claims (1)
- Al:6.0〜10.0質量%、Mg:1.0〜4.0質量%、かつPb、Sn、Cd、およびBiの1種または2種以上の合計が0.02質量%以下であり、さらに Ti :0.002〜0.2質量%、 B: 0.001〜0.1質量%を含有し、残部がZnおよび不可避的不純物からなる組成を有することを特徴とする耐食性に優れた溶融めっき用Zn−Al−Mg系合金。
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