JP4115162B2 - 内燃機関の排気ガス浄化制御装置 - Google Patents

内燃機関の排気ガス浄化制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の排気ガス浄化制御装置に関し、特に冷態始動時に二次空気の導入と燃料供給量の増量補正によって内燃機関の排気通路途中に設けられた触媒を早期に活性化して排気エミッションを低減する内燃機関の排気ガス浄化制御装置に関する。
【0002】
【従来技術】
従来より、内燃機関の排気通路途中に触媒を設け、その触媒によって排気ガスの浄化を図っている。しかし、冷態始動時は、触媒が冷えたいわゆる不活性状態にあり、触媒が暖まって活性化するまでは、浄化率が低いという問題がある。このような問題に対して、触媒を積極的に暖めて早期に活性化させ、冷態始動時における排気エミッションの低減を図ることを目的とした種々の装置及び方法が提案されている。
【0003】
(第1従来例)本願の出願時における一般的な従来技術として、例えば、エンジンの始動後、点火時期を遅角させて排気温を上昇させた上で、排気弁近傍に二次空気を導入して、排気ガス中のCO及びHCを排気通路内で再燃焼させて低減すると共に、同時に触媒の暖機を促進させている。
【0004】
(第2従来例)特開昭60−88870号公報には、エンジンの始動後、アイドル回転数を上昇させると共に、点火時期を遅角させることによってエンジンから排出される排気ガスの温度を積極的に上昇させ、触媒の暖機を促進させて、早期活性化を図ることが開示されている。
【0005】
(第3従来例)特開平9−119310号公報には、エンジンの始動後、触媒の入口ガス温度が触媒活性開始温度に到達してから、燃料供給量を増量すると共に二次空気を触媒の上流側に導入して触媒内の酸化反応を促進し、触媒を急速に暖機して、早期活性化を図ることが開示されている。
【0006】
(第4従来例)特開平9−103647号公報には、エンジンの始動後、二次空気を触媒の上流側に導入し、触媒の入口ガス温度が触媒活性化開始温度に到達したところで、触媒劣化度合に基づいて算出した増量補正値を用いて燃料供給量の増量補正を行い、触媒内の酸化反応を促進し、触媒の早期活性化を図ることが開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、第1従来例や第2従来例に記載されている点火時期を遅角させる場合、点火時期の遅角は、燃焼室内における燃焼の不安定化を招くため、長い間継続して行うことは困難である。また、第1従来例に記載されているように、排気弁近傍に二次空気を導入して再燃焼させる場合、排気エミッションを100%低減することはできないので、始動時から始動後へ移行する際の燃料増量を始動後に即座に減量する必要があるが、減量すれば再燃焼による触媒昇温効果も減退する。従って、第1従来例及び第2従来例に記載されている技術では、始動直後の一時的な効果しか得ることができないという問題を有している。
【0008】
また、第3従来例の場合、触媒が活性開始温度まで上昇してから二次空気と燃料増量を開始するので、活性開始温度に到達するまでは、排気エミッションを浄化することはできない。特に、例えば自動車エンジンのようにエンジンと触媒との距離が離れている場合には、触媒の温度が活性開始温度に到達するまでの時間が長くなり、排気エミッションの浄化率が低くなるという問題がある。
【0009】
第4従来例の場合、触媒の劣化度合に応じて触媒が活性化する温度が上昇することに基づいて、燃料供給量を増量補正する燃料増量補正値を触媒の劣化度合に応じて設定し、触媒活性開始温度を常に一定の温度となるように調整している。従って、劣化していない新品の触媒に対しては、燃料増量は行わず、二次空気の導入のみを行い、その新品の触媒が有している触媒性能を意図的に低下させて、劣化した触媒に合わせて使用している。このため、新品触媒の触媒性能を充分に活用することができず、効率が悪いという問題がある。
【0010】
更に、第3従来例と第4従来例の場合、触媒温度が活性開始温度に到達すると同時に燃料の増量を開始する制御を行っているが、触媒の温度が触媒活性開始温度に到達した直後は、触媒が活性を開始してから間もないため、まだ触媒の酸化機能が低い状態にある。このような酸化機能が低い状態で一気に燃料供給量を増量させると一時的に多量のCO、HCが排出されるおそれがある。一方、燃料の増量分に比例して触媒の温度が上昇する速度が増すので、燃料増量は少しずつ反映する必要があるが、その燃料増量の変化量は、排気エミッションと昇温速度を見比べて設定する必要がある。
【0011】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、冷態始動時に触媒を積極的に活性化させて、排気エミッションを低減する内燃機関の排気ガス浄化制御装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する請求項1に記載の発明による内燃機関の排気ガス浄化制御装置は、内燃機関の運転状態が冷態始動状態であるか否かを判断する冷態始動状態判断手段と、内燃機関の運転状態が冷態始動状態であるとの判断に基づき内燃機関の排気通路途中に設けられている触媒の上流側に二次空気の導入を開始する二次空気導入開始手段と、触媒の温度が活性化を開始する触媒活性開始温度まで上昇することにより燃料供給量の増量補正を開始する燃料増量補正手段と、触媒の温度が完全に活性化する触媒完全活性温度まで上昇することにより排気通路内への二次空気の導入と燃料供給量の増量補正を停止する早期活性化停止手段とを備え、燃料増量補正手段は、燃料供給量を触媒の温度の上昇に合わせて漸次増量させる漸次増量補正を行うことを特徴とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する請求項1に記載の発明による内燃機関の排気ガス浄化制御装置は、内燃機関の運転状態が冷態始動状態であるか否かを判断する冷態始動状態判断手段と、内燃機関の運転状態が冷態始動状態であるとの判断に基づき内燃機関の排気通路途中に設けられている触媒の上流側に二次空気の導入を開始する二次空気導入開始手段と、該二次空気導入開始手段が二次空気の導入を開始してから触媒の温度が上昇して触媒の活性化を開始する触媒活性開始温度に到達するまでは燃料供給量の増量補正を行わず、触媒の温度が触媒活性開始温度に到達したところで燃料供給量の増量補正を開始する燃料増量補正手段と、触媒の温度が完全に活性化を開始する触媒完全活性温度まで上昇することにより排気通路内への二次空気の導入と燃料供給量の増量補正を停止する早期活性化停止手段とを備え、燃料増量補正手段は、燃料供給量を触媒の温度の上昇に合わせて漸次増量させる漸次増量補正を行うことを特徴とする。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1に記載の内燃機関の排気ガス浄化制御装置において、燃料増量補正手段は、触媒温度が触媒活性開始温度よりも低下した場合に、燃料供給量の増量補正を中止し、触媒温度が再び触媒活性開始温度以上の温度となった場合に、燃料供給量を漸次増量する漸次増量補正を再開させることを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、漸次増量補正を行っている途中で、例えば、二次空気の導入により触媒が過度に冷却されるなどして、触媒温度が触媒活性開始温度よりも低い温度状態となった場合には、燃料供給量の増量補正を中止する。これにより、触媒温度が触媒活性開始温度よりも低下して触媒の酸化機能が停止した場合に、燃料供給量が過多となって排気エミッションが悪化するのを防止することができる。また、触媒温度が再び触媒活性開始温度以上の温度となることにより、燃料供給量の漸次増量補正を再開するので、触媒の昇温速度に応じた漸次増量補正を行うことができる。
【0016】
請求項3の発明は、請求項1或いは請求項2に記載の内燃機関の排気ガス浄化制御装置において、早期活性化停止手段は、自動車が走行状態にあるか否かを判断する走行状態検出手段が走行状態を検出した場合に、排気通路内への二次空気の導入と燃料供給量の増量補正を停止する制御を行うことを特徴とする。
【0017】
この発明によると、走行状態検出手段が自動車の走行状態を検出することにより、排気通路内への二次空気の導入と燃料供給量の増量補正を停止するので、走行による内燃機関の運転状態の変化によって空燃比バランスが崩れて排気エミッションの浄化率が低下するのを防止することができる。請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の内燃機関の排気ガス浄化制御装置において、所定タイミングで触媒の上流側と下流側のO 2 濃度に基づいて触媒の触媒劣化率を算出する触媒劣化率算出手段と、触媒劣化率算出手段により算出した触媒劣化率に基づいて触媒活性開始温度を算出する触媒活性開始温度算出手段と、触媒劣化率算出手段により算出した触媒劣化率に基づいて触媒完全活性温度を算出する触媒完全活性温度算出手段とを有することを特徴とする。請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の内燃機関の排気ガス浄化制御装置において、触媒活性開始温度と触媒完全活性温度は、触媒劣化率が大きくなるに従ってより高い温度となるように設定されていることを特徴とする。請求項6に記載の発明は、請求項4又は5に記載の内燃機関の排気ガス浄化制御装置において、触媒を触媒活性開始温度から触媒完全活性温度まで昇温するのに必要な燃料増量補正値である燃料増量補正要求値を触媒劣化率に基づいて算出する燃料増量補正要求値算出手段を有し、燃料増量補正手段は、燃料供給量を増量補正する燃料増量補正値を、燃料増量補正要求値算出手段により算出した燃料増量補正要求値に達するまで漸次増大させて、漸次増量補正を行うことを特徴とする。請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の内燃機関の排気ガス浄化制御装置において、燃料増量補正要求値は、触媒劣化率が大きくなるに従ってより多くの増量補正を行うように設定されていることを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態について、図に基づいて説明する。図5は、本発明が適用される内燃機関の全体構成説明図である。本実施の形態における内燃機関は、自動車用エンジン、例えば水平対向型エンジンである。
【0019】
このエンジン1のシリンダヘッド2には、シリンダヘッド2に形成された各吸気ポート2aに連通するように吸気マニホールド3が接続されている。この吸気マニホールド3には、エアチャンバ4を介してスロットルチャンバ5が連通されており、その上流側には吸気管6を介してエアクリーナ7が取り付けられている。このエアクリーナ7の直下流には、エンジン1への吸入空気量を検出する吸入空気量センサ8が取り付けられている。スロットルチャンバ5には、図示していないアクセルペダルに連動するスロットルバルブ5aが設けられている。スロットルバルブ5aには、スロットル開度に応じた電圧を出力するスロットル開度センサ9が連接されている。また、このスロットルバルブ5aをバイパスするISC通路10には、アイドリング時の吸入空気量を調整するためのISCバルブ10aが取り付けられている。吸気マニホールド3の各気筒の各吸気ポート2a直上流側には、インジェクタ11が吸気ポート2aに指向して取り付けられている。
【0020】
また、シリンダヘッド2には、各気筒ごとに点火プラグ12が取り付けられている。これらの点火プラグ12は、点火コイルを介してイグナイタ36(図6参照)に接続されている。インジェクタ11は、燃料パイプ15を介して燃料タンク16に連通されている。燃料タンク16には、燃料ポンプ17が取り付けられており、この燃料ポンプ17によってインジェクタ11に燃料が圧送される。
【0021】
また、シリンダヘッド2には、シリンダヘッド2に形成された各排気ポート2bに連通するように排気マニホールド21が接続されている。この排気マニホールド21の集合部には、排気ガス中の酸素濃度を検出する第1の空燃比センサとしてのフロントOセンサ(FOセンサ)22が取り付けられており、その下流側に触媒23が介装されている。この触媒23の下流側には同様に排気ガス中の酸素濃度を検出する第2の空燃比センサとしてのリヤOセンサ(ROセンサ)24が取り付けられている。また、触媒23の上流側の入り口付近には触媒に流入する排気ガスの温度を検出する排気温センサ25が取り付けられている。
【0022】
シリンダヘッド2の排気ポート2bにおける排気弁近傍に、吸気管6のエアクリーナ7との間を連通する二次空気導入通路26の一端が連通接続されており、この二次空気導入通路26の通路途中には、二次空気制御弁26aが介装されている。二次空気導入通路26の二次空気制御弁26aと排気ポート2bとの間にはリードバルブ26bが取り付けられている。この二次空気制御弁26aが開弁されると、排気ポート2b内の負圧によってリードバルブ26bが開弁し、エアクリーナ7を経て大気(二次空気)が排気ポート2b内に導入される。二次空気制御弁26aが閉弁されると、二次空気導入通路26内の連通が遮断され、二次空気の導入が停止される。
【0023】
また、このエンジン1のシリンダブロック1aには、ノックセンサ28が取り付けられると共に、シリンダブロック1aの冷却水通路内の冷却水温を検出するための冷却水温センサ29が取り付けられている。また、クランクシャフト1bの回転角度位置とエンジン回転数Neを検出するためのクランク角センサ30が取り付けられている。尚、符号31は、シリンダヘッド2に設けられるカムシャフト2cの回転角度位置を検出するカム角センサを示している。また、符号33は、スロットル弁下流の吸気管圧力を検出する吸気管圧力センサである。その他、本図に示された部材のうち本願発明の機能と直接関連を有しないものについてはその説明を省略する。
【0024】
上記構成を有するエンジン1は、図6に示す電子制御装置(ECU)32によって制御される。ECU32は、周知の中央処理装置としてCPU、制御プログラムを格納したROM、各種データを格納するRAM、各種学習データを格納するバックアップRAM、入出力回路及びそれらを相互に接続するバスライン等からなるマイクロコンピュータシステムを中心として構成されている。また、図6に示すように、入出力回路の入力側には、スロットル開度センサ9、吸入空気量センサ8、吸気管圧力センサ33、冷却水温センサ29、排気温センサ25、FOセンサ22、ROセンサ24が接続され、更にカム角センサ31、クランク角センサ30、ノックセンサ28が接続されている。また、車輌走行速度を検出する車速センサ34と、A/T(自動変速機)のセレクトレバーのセレクト位置を検出するセレクトレバーポジションセンサ35が接続されている。一方、入出力回路の出力側には、イグナイタ36が接続されると共に、ISCバルブ10a、インジェクタ11、二次空気制御弁26aが接続されている。
【0025】
ECU32は、各センサからの検出信号に基づいて各種の演算処理を行い、その演算結果に基づいてインジェクタ11やISCバルブ10a等の各種アクチュエータに制御信号を出力し、エンジン1の運転状態を制御する。例えば、エンジン制御の一つである空燃比フィードバック制御は、吸入空気量センサ8によって検出したエンジンの吸入空気量Qと、クランク角センサ30によって検出したエンジン回転数Neから基本燃料供給量を定める基本燃料噴射パルス幅Tp(=K×Q/Ne;Kは定数)を算出し、基本燃料噴射パルス幅Tpを、FOセンサ22の出力に基づいて設定した空燃比フィードバック補正係数LAMBDAと、冷却水温センサ29、スロットル開度センサ9等からの検出信号に基づいて設定した各種増量補正係数COEFを用いて空燃比補正することによって行われる。そして、更に、周知のように基本燃料噴射パルス幅Tpを学習補正し、更に、電圧補正することによって最終的な燃料供給量を定める燃料噴射パルス幅Tiを得る。ここで得られた燃料噴射パルス幅Tiに相当する信号がインジェクタ11に出力され、インジェクタ11から相当量の燃料が噴射される。
【0026】
また、ECU32は、エンジン運転制御の一つとして、冷態始動時における排気ガスの浄化率を向上する排気ガスの浄化制御を行う。ここでは、エンジン1の冷態始動時に、二次空気の導入と燃料供給量の増量補正が行われ、触媒23が早期に活性化され、排気エミッションが低減される。
【0027】
上記ECU32によるエンジン1の排気ガス浄化制御について、図1のフローチャートに従って説明する。図1は、エンジン1の排気ガス浄化制御処理を説明するフローチャート、図2は、排気ガスの浄化制御時における制御状態を説明するタイムチャートである。
【0028】
まず、ステップS101では、各センサによってエンジン回転数Ne、冷却水温Tw、吸入空気量Q等が検出され、これらに基づいてエンジン運転状態が検出される。また同時に、ECU32のバックアップRAMに格納されている学習データの一つである触媒劣化率Xが読み出され、この触媒劣化率Xに基づいて触媒23が活性化を開始する温度である触媒活性開始温度Tsと、触媒23が完全に活性化する温度である触媒完全活性温度Tpと、燃料供給量を増量補正するための燃料増量補正値であって触媒23を触媒活性開始温度Tsから触媒完全活性温度Tpまで昇温するために必要な燃料増量補正値である燃料増量補正要求値Fc0が算出され、それぞれECU32のRAMに一時的に記憶される。
【0029】
触媒劣化率Xは、通常の走行時においてエンジン1の定常運転中に、FOセンサ22とROセンサ24によって検出した触媒23の上流側と下流側のO濃度を比較することによって算出され、学習データとしてバックアップRAMに格納され、所定タイミングで更新がなされている。
【0030】
図3は、触媒活性温度及び燃料増量補正要求値と、触媒劣化率Xとの関係を示したグラフである。触媒活性開始温度Tsと触媒完全活性温度Tpは、触媒劣化率Xが大きくなる、すなわち触媒23の劣化度合が大きくなるに従ってより高い温度となるように設定されており、また、燃料増量補正要求値Fc0も触媒劣化率Xが大きくなるに従って、より多くの増量補正を行うように設定されている。
【0031】
実際の触媒活性開始温度Tsと触媒完全活性温度Tpは、触媒23の劣化が進行するに従って上昇変化することから、触媒23の劣化状況に応じて触媒活性開始温度Tsと触媒完全活性温度Tpを推定し、その推定した触媒活性開始温度Tsと触媒完全活性温度Tpに基づいて二次空気の導入と燃料供給量の増量補正を行う。
【0032】
次に、ステップS102では、エンジン1の運転状態が冷態始動状態であるか否かが判断される。ここでは、エンジン回転数Neが500rpm以下(Ne≦500rpm)であって、始動時の冷却水温がTwが0゜以上(Tw≧0゜)である場合(YES)には、冷態始動状態であると判断してステップS103に移行する。また、少なくとも一方の条件を満たさない場合(NO)には、冷態始動状態ではないとして、本フローを抜ける(リターン)。このステップS102での判断処理が、請求項1の冷態始動状態判断手段に相当する。
【0033】
ステップS103では、始動時の冷却水温Twに基づいて、二次空気の導入を開始可能な二次空気導入開始エンジン回転数Nairが算出される。そして、エンジン回転数Neが二次空気の導入を開始できる回転数を超えたか否かを判断すべくステップS104に移行する。図4は、二次空気導入開始エンジン回転数Nairと冷却水温Twの関係を示すグラフである。二次空気導入開始エンジン回転数Nairは、図4に示すように、冷却水温Twが上昇するに応じて二次空気を導入する二次空気導入開始エンジン回転数Nairが低くなるように設定されている。
【0034】
ステップS104では、現在のエンジン回転数NeがS103で算出された二次空気導入開始エンジン回転数Nairに達した(Ne≧Nair)か否かが判断され、二次空気導入開始エンジン回転数Nair以下の低い回転数であると判断された(NO)場合は、再びステップS103の処理に戻り、エンジン回転数Neが二次空気導入開始エンジン回転数Nairよりも高い回転数となるまで二次空気の導入は行われない。一方、ステップS104で、エンジン回転数Neが二次空気導入開始エンジン回転数Nairに到達したと判断された(YES)場合には、ステップS105に移行し、二次空気制御弁26aの開弁制御により二次空気の導入が開始される。このステップS104での判断処理は、請求項1の二次空気導入開始手段に相当する。
【0035】
ステップS105で二次空気の導入が開始されると、ステップS106に移行し、先ず、燃料供給量を増量補正するための燃料増量補正値Fcを、燃料増量補正無しに対応するゼロに初期設定し(Fc=0)、この燃料増量補正値Fc(=0)を燃料供給量に反映する。従って、二次空気導入開始後、燃料増量補正値Fcによる燃料増量補正無しの状態から、後述する処理により漸次的に燃料増量補正値Fcが増加され、該燃料増量補正値Fcにより燃料供給量を補正することで、燃料供給量が漸次増量補正される。
【0036】
次いでステップS107に進み、排気温センサ25の検出信号に基づいて現在の排気ガス温度(触媒温度を表す)TeがステップS101で触媒劣化率Xに基づいて求めた触媒活性開始温度Ts以上の温度であるか否かが判断される。ここで、排気ガス温度Teが触媒活性開始温度Tsよりも低い温度である(NO)場合は、ステップS106へ戻り、触媒活性開始温度Ts以上の温度となるまで二次空気の導入のみを行い、燃料供給量の増量補正は行わずに待機する。そして、排気ガス温度Teが触媒活性開始温度Ts以上の温度であるとの判断がなされた(YES)場合は、燃料供給量の増量補正を行うべく、ステップS108以降に移行する。
【0037】
ステップS108〜ステップS110では、燃料供給量を漸次的に増量させる漸次増量補正を行うための処理が行われる。まず、ステップS108では、燃料供給量を増量補正するための燃料増量補正値Fcを漸次増加更新する処理が行われる。燃料増量補正値Fcは、以下の▲1▼式によって求められる。
【0038】
Fc=Fc(n−1)+Fd ………▲1▼
この▲1▼式によれば、燃料増量補正値Fcは、前回求めた燃料増量補正値Fc(n−1)に、予め設定されている一定の燃料補正値増加量Fdを加算することによって求められる。燃料補正値増加量Fdは、本実施の形態では、前回求めた燃料増量補正値Fc(n−1)を2%増加させる値に設定されている。
【0039】
ステップS108で燃料増量補正値Fcが求められると、ステップS109に移行し、その燃料増量補正値Fcを燃料供給量に反映する処理が行われる。従って、所定タイミングでインジェクタ11から燃料が噴射される際に、燃料増量補正値Fc分だけ増量された燃料が噴射される。
【0040】
次いでステップS110に移行し、ステップS108で求めた燃料増量補正値FcがステップS101で触媒劣化率Xに基づいて求めた燃料増量補正要求値Fc0に達したか(Fc≧Fc0)否かが判断される。
【0041】
ここで、燃料増量補正値Fcが燃料増量補正要求値Fc0に満たないと判断された(ステップS110でNO)場合は、ステップS107の判断に戻り、現在の排気ガス温度Teが触媒活性開始温度Tsよりも高い温度であるか否かを再び判断する。そして、触媒活性開始温度Tsよりも高い温度である(ステップS107でYES)と判断された場合は、ステップS108で燃料増量補正値Fcを更に燃料補正値増加量Fdにより増加更新し、ステップS109でその燃料増量補正値Fcを燃料供給量に反映させる処理が行われる。従って、燃料増量補正値Fcは、燃料増量補正要求値Fc0となるまで漸次増大され、結果として、燃料供給量を漸次増量させる漸次増量補正が行われる。
【0042】
一方、ステップS110で燃料増量補正値Fcが燃料増量補正要求値Fc0に満たない(NO)と判断されると、再びステップS107の判断に戻る。そして、ステップS107で、排気ガス温度(触媒温度)Teが触媒活性開始温度Tsよりも低下した(NO)と判断された場合は、ステップS106へ戻り、燃料供給量の増加補正を中止する。かかる状態では、燃料増量補正値Fcがゼロに初期設定され、この燃料増量補正値Fcが燃料供給量に反映されることで、実質的に燃料増量補正値Fcによる燃料供給量の増量補正が中止される。
【0043】
そして、再び、排気ガス温度(触媒温度)Teが触媒活性開始温度Ts以上の温度となった場合に(ステップS107でYES)、ステップS108以降に移行して、燃料供給量を漸次増量させる漸次増量補正が再開される。従って、触媒23の昇温速度に応じた漸次増量補正を行うことができる。
【0044】
これにより、例えば、二次空気の導入により触媒23が過度に冷却されて触媒温度が触媒活性開始温度Tsよりも低くなった場合に、燃料供給量の漸次増量補正を一時的に中止することができる。従って、触媒の酸化機能が停止しているにもかかわらず、燃料の増量補正が継続されて燃料増量が過多となり、排気エミッションが悪化するのを防止することができる。
【0045】
図2のグラフに示すように、従来の場合は、排気ガス温度Teが触媒活性開始温度Tsに到達すると同時に、燃料増量補正要求値Fc0を燃料供給量に反映して燃料供給量を一気に増量補正していたので(図(g)中で破線)、HCの排出量が一時的に急激に増大(図(e)中で破線)するおそれがあった。しかし、本発明に係る処理によれば、燃料供給量を触媒温度の上昇に合わせて漸次的に増大させる漸次増量補正を行うので、触媒温度の上昇に応じて向上する触媒23の酸化機能の能力に応じて、適切に燃料を増量させることができる。従って、例えば、増量補正の開始直後に触媒23の温度状態とは無関係に一気に燃料が増量されるのを防止して、一時的に多量のCO、HCが排出されるのを防ぐことができる。
【0046】
そして、燃料増量補正値Fcが燃料増量補正要求値Fc0以上の値(Fc≧Fc0)になったと判断された(ステップS110でYES)場合は、ステップS107〜ステップS110のループ処理を抜け出し、ステップS111に移行する。このステップS107〜ステップS110での処理が、請求項1の燃料増量補正手段に相当する。
【0047】
ステップS111〜ステップS114では、触媒温度が触媒完全活性温度Tpまで上昇したか否かが判断される。まず、ステップS111では、排気温センサ25の検出信号に基づいて排気ガス温度(触媒温度)TeがステップS101で触媒劣化率Xに基づいて求めた触媒完全活性温度Tp以上の温度であるか否かが判断される。そして、排気ガス温度Teが触媒完全活性温度Tp以上の温度である(ステップS111でYES)場合は、その温度状態が所定時間以上維持されたか否かを判断すべくステップS113、S114によるダウンタイマ処理に移行する。
【0048】
ステップS113では、累積時間判定値TMp(n−1)から1をデクリメントした値を新たな累積時間判定値TMpとして設定する処理が行われる(TMp=TMp(n−1)−1)。そして、ステップS114では、ステップS113で求めた累積時間判定値TMpが減算されて0になった(TMp=0)か否かが判断され、排気ガス温度(触媒温度)Teが触媒完全活性温度Tp以上に所定時間維持されたか否かが判断される。
【0049】
そして、累積時間判定値TMpが0であると判断された(ステップS114でYES)場合には、触媒温度が触媒完全活性温度Tpまで暖められたと判断して、二次空気の導入と燃料供給量の増量補正を停止すべくステップS115以降に移行する。本実施の形態では、累積時間判定値TMpの初期値が50に設定され、制御ルーチンが100msに設定されている。従って、排気ガス温度Teが触媒完全活性温度Tp以上の温度状態に5秒以上維持されると触媒温度が触媒完全活性温度Tpまで暖められたと判断される。
【0050】
ステップS115では、燃料増量補正値Fcが0に設定(Fc=0)され、ステップS116において、その燃料増量補正値Fcが燃料供給量に反映されると共に、二次空気制御弁26aを閉弁し二次空気の導入を停止する制御が行われる。これにより、二次空気の導入と燃料供給量の増量補正が停止され、本フローを終了する(リターン)。このステップS115とステップS116の処理が、請求項1の早期活性化停止手段に相当する。
【0051】
一方、ステップS111の判断において排気ガス温度(触媒温度)Teが触媒完全活性温度Tpまで上昇していないと判断された(NO)場合、または、ステップS114の判断において累積時間判定値TMpが0でないと判断された(NO)場合には、ステップS112に移行する。
【0052】
ステップS112では、このエンジン1を有する自動車が走行状態にあるか否かの判断がなされる。ここで、車速センサ34が所定速度以上の車速を検出している場合、或いはセレクトレバーポジションセンサ35がセレクトレバーのポジション位置としてD(走行)レンジを出力している場合には、走行状態にあると判断される。
【0053】
このステップS112で走行状態である(YES)と判断された場合には、ステップS115以降に移行して、燃料供給量の増量補正と二次空気の導入を即座に停止する制御が行われる。これにより、走行による内燃機関の運転状態の変化によって空燃比バランスが崩れて排気エミッションが悪化するのを防止することができる。
【0054】
また、ステップS112で走行状態ではない(NO)と判断された場合には、再びステップS111に移行して、現在の排気ガス温度Teが触媒完全活性温度Tp以上の温度であるか否かの判断が行われる。そして、排気ガス温度Teが触媒完全活性温度Tp以上の温度である(YES)と判断されることにより、ステップS113に移行して累積時間判定値TMpのデクリメントが行われ、ステップS114でその累積時間判定値TMpが0になったか否かが再び判断される。このように累積時間判定値TMpが0になるまでは、ステップS111〜ステップS114の処理が繰り返し行われることで、排気ガス温度Teが触媒完全活性温度Tp以上に所定時間維持されたか否かを判断することができる。
【0055】
そして、ステップS114で累積時間判定値TMpが0になった(YES)と判断された場合には、上述のステップS115以降に移行して二次空気の導入と燃料供給量の増量補正を停止する処理が行われ、本フローを抜けて排気ガス浄化制御を終了する(リターン)。
【0056】
このように、本発明の実施の形態によれば、排気ガス温度Teが所定時間継続して触媒完全活性温度Tp以上の温度に維持されることによって、触媒温度が触媒完全活性化温度Tpまで暖められたと判断するので、触媒23を確実に活性化させることができる。
【0057】
また、触媒23が完全に活性した後は、燃料供給量の増量補正と二次空気の導入を停止することによって、不要な二次空気によって触媒23が異常加熱されたり、燃料供給量が不要に増量されて、排気エミッションが悪化したり、燃費が悪化するのを防止することができる。
【0058】
尚、本発明は、上述の実施の形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、本実施の形態では、燃料増量補正値を増加させる燃料補正値増加量Fdを一定値としたが、例えば触媒23の温度状態に応じて変化する変数値としても良い。
【0059】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によると、冷態始動時において、最初に二次空気の導入を開始し、触媒温度が上昇して触媒活性開始温度に到達したところで燃料供給量を触媒温度の上昇に合わせて漸次増量させる漸次増量補正を開始するので、触媒温度の上昇に応じて向上する触媒の酸化機能の能力に応じて、適切に燃料を増量させることができる。従って、増量補正の開始後に触媒の温度状態とは無関係に一気に燃料が増量されて一時的に多量のCO、HCが排出されるのを防止することができる。
【0060】
請求項2の発明によれば、漸次増量補正を行っている途中で、触媒温度が触媒活性開始温度よりも低い温度状態となった場合には、燃料供給量の増量補正を中止するので、触媒温度が触媒活性開始温度よりも低下して触媒の酸化機能が停止した場合に、燃料供給量が過多となって排気エミッションが悪化するのを防止することができる。また、触媒温度が再び触媒活性開始温度以上の温度となることにより、燃料供給量の漸次増量補正を再開するので、触媒の昇温速度に応じて燃料供給量を漸次的に増量させる漸次増量補正を行うことができる。
【0061】
請求項3の発明によると、走行状態検出手段が自動車の走行状態を検出することにより、排気通路内への二次空気の導入と燃料供給量の増量補正を停止するので、走行による内燃機関の運転状態の変化によって空燃比バランスが崩れて排気エミッションが悪化するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】エンジンの排気ガス浄化制御処理を説明するフローチャートである。
【図2】排気ガスの浄化制御時における制御状態を説明するタイムチャートである。
【図3】触媒活性温度及び燃料増量補正要求値と、触媒劣化率との関係を示したグラフである。
【図4】二次空気導入開始エンジン回転数と冷却水温の関係を示すグラフである。
【図5】本発明にかかる内燃機関の全体構成説明図である。
【図6】制御回路構成図である。
【符号の説明】
1 エンジン(内燃機関)
22 FOセンサ
23 触媒
24 ROセンサ
25 排気温センサ
26a 二次空気制御弁
29 冷却水温センサ
Nair 二次空気導入開始エンジン回転数
Ts 触媒活性開始温度
Tp 触媒完全活性温度
Fc0 燃料増量補正要求値
Fc 燃料増量補正値
Fd 燃料補正値増加量
TMp 累積時間判定値

Claims (7)

  1. 内燃機関の運転状態が冷態始動状態であるか否かを判断する冷態始動状態判断手段と、
    前記内燃機関の運転状態が冷態始動状態であるとの判断に基づき内燃機関の排気通路途中に設けられている触媒の上流側に二次空気の導入を開始する二次空気導入開始手段と、
    該二次空気導入開始手段が二次空気の導入を開始してから前記触媒の温度が上昇して前記触媒の活性化を開始する触媒活性開始温度に到達するまでは燃料供給量の増量補正を行わず、前記触媒の温度が前記触媒活性開始温度に到達したところで燃料供給量の増量補正を開始する燃料増量補正手段と、
    前記触媒の温度が完全に活性化を開始する触媒完全活性温度まで上昇することにより前記排気通路内への二次空気の導入と前記燃料供給量の増量補正を停止する早期活性化停止手段とを備え、
    前記燃料増量補正手段は、前記燃料供給量を前記触媒の温度の上昇に合わせて漸次増量させる漸次増量補正を行うことを特徴とする内燃機関の排気ガス浄化制御装置。
  2. 前記燃料増量補正手段は、
    前記触媒温度が前記触媒活性開始温度よりも低下した場合に、前記燃料供給量の増量補正を中止し、
    前記触媒温度が再び前記触媒活性開始温度以上の温度となった場合に、前記燃料供給量を漸次増量する漸次増量補正を再開させることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気ガス浄化制御装置。
  3. 前記早期活性化停止手段は、
    自動車が走行状態にあるか否かを判断する走行状態検出手段が走行状態を検出した場合に、前記排気通路内への二次空気の導入と前記燃料供給量の増量補正を停止する制御を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の排気ガス浄化制御装置。
  4. 所定タイミングで前記触媒の上流側と下流側のO 2 濃度に基づいて前記触媒の触媒劣化率を算出する触媒劣化率算出手段と、
    該触媒劣化率算出手段により算出した触媒劣化率に基づいて前記触媒活性開始温度を算出する触媒活性開始温度算出手段と、
    該触媒劣化率算出手段により算出した触媒劣化率に基づいて前記触媒完全活性温度を算出する触媒完全活性温度算出手段と、
    を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の内燃機関の排気ガス浄化制御装置。
  5. 前記触媒活性開始温度と前記触媒完全活性温度は、前記触媒劣化率が大きくなるに従ってより高い温度となるように設定されていることを特徴とする請求項4に記載の内燃機関の排気ガス浄化制御装置。
  6. 前記触媒を前記触媒活性開始温度から前記触媒完全活性温度まで昇温するのに必要な燃料増量補正値である燃料増量補正要求値を前記触媒劣化率に基づいて算出する燃料増量補正要求値算出手段を有し、
    前記燃料増量補正手段は、前記燃料供給量を増量補正する燃料増量補正値を、該燃料増量補正要求値算出手段により算出した燃料増量補正要求値に達するまで漸次増大させて、前記漸次増量補正を行うことを特徴とする請求項4又は5に記載の内燃機関の排気ガス浄化制御装置。
  7. 前記燃料増量補正要求値は、前記触媒劣化率が大きくなるに従ってより多くの増量補正を行うように設定されていることを特徴とする請求項6に記載の内燃機関の排気ガス浄化制御装置。
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