JP4114398B2 - Ito膜付き基体の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ITO膜付き基体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子に関する研究が盛んに行われている。この有機EL素子は、通常、ガラスなどの基板上に透明導電膜を形成した陽極と、正孔輸送層と、発光層と、陰極とから構成されており、10V前後の電圧で数100〜数10000cd/mと極めて高い輝度が得られるという理由により、次世代のディスプレィ素子として注目されている。
【0003】
前記陽極は、ガラスなどの基板に導電膜を形成することにより作成され、前記導電膜として、ITO(錫ドープ酸化インジウム)膜、IZO(亜鉛ドープ酸化インジウム)膜などが知られている。特にITO膜は、導電性に優れ、可視光透過率が高く、耐薬品性が優れる一方で、ある種の酸には溶けるので、パターニングしやすいという優れた特徴がある。
【0004】
導電性および耐薬品性の観点から、ITO膜は結晶質であることが好ましい。しかし、結晶質の膜は表面に凹凸が生じやすい。ITO膜を有機EL素子の導電膜などに用いる場合、ITO膜表面の凹凸が大きいと、リーク電流やダークスポットなどの不具合の原因となる。
【0005】
特開平11−87068号公報には、10〜150℃の比較的低温でITO膜を成膜した後、100〜450℃で加熱処理して、ITO膜の結晶配向を(111)配向とし、有機EL素子のリーク電流やダークスポットを抑制する発明が開示されている。しかし、成膜後に熱処理することは製造工程が複雑になり、生産性の点で好ましくない。
また、ITO膜表面の研磨、酸処理などによりITO膜の表面の凹凸を減らす試みも行われているが、いずれも製造工程が複雑になり、やはり生産性に劣る。
【0006】
特開平11−126689号公報には、基板にあらかじめ逆スパッタ処理を行った後、基板上にITO膜を形成する有機EL素子の製造方法の発明が開示されている。この逆スパッタ処理では、ITO膜の成膜時にITO膜の結晶の異常成長が発生し、発生した生成物がITO膜上に凹凸を生じるため、ダークスポットなどの不具合が発生しやすくなる。加えて、ITO膜への飛来物がITO膜上に凹凸を生じるため、ダークスポットなどの不具合が発生しやすくなる。
【0007】
特開平10−10557号公報には、水素ガスを主成分とする雰囲気中で透明導電膜に逆スパッタ処理を行うことが開示されている。この方法では、爆発性のある水素を使用しているため、安全性の観点から好ましくない。
【0008】
また、有機EL素子の駆動電圧は、寿命やドライバの負荷低減の観点から低い方が好ましく、駆動電圧の低い有機EL素子が望まれていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、膜表面の凹凸が小さく平坦性に優れ、成膜後の加熱処理や透明導電膜の表面の研磨といった複雑な製造工程が不要なITO膜を有する導電膜付き基体の製造方法の提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、基体上に酸化ジルコニウムを主成分とする厚さが1〜15nmである下地膜を形成し、次いで前記下地膜に接して錫ドープ酸化インジウム膜を形成し、次いで酸素ガスを含むスパッタガスの雰囲気中において前記錫ドープ酸化インジウム膜を逆スパッタ処理することを特徴とする錫ドープ酸化インジウム膜付き基体の製造方法を提供する。
【0011
【0012】
【0013】
本発明において、ITO膜表面の平均表面粗さとは、ITO膜付き基体の表面(ITO膜表面)の平均表面粗さの意味である。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明における基体としては、透明基体が挙げられ、例えば、ガラス基板などの無機質の基体や、プラスチック基板などの有機質の基体が挙げられる。ガラス基板としては、ソーダライムシリケートガラス基板などのアルカリ含有ガラス基板や、ホウケイ酸ガラス基板などの無アルカリガラス基板などが挙げられる。無アルカリガラス基板の平均表面粗さRは0.1〜5nm程度である。アルカリ含有ガラス基板の平均表面粗さRは0.1〜10nm程度である。なお、本発明において、平均表面粗さRは、JIS B0601(1994年度)によって測定され、カットオフ値は0.8μm、評価長さは2.4μmとする。
【0015】
前記基体としてアルカリ含有ガラス基板を用いる場合には、ガラス基板に含まれるアルカリイオンがITO膜へ拡散してITO膜の抵抗値に影響を及ぼすことを防ぐため、アルカリバリア層として酸化ケイ素(SiO)膜などを前記基体上に形成することが好ましい。
【0016】
前記アルカリバリア層が形成されたアルカリ含有ガラス基板の平均表面粗さRは0.1〜10nm程度であることが好ましい。
また、前記アルカリバリア層の膜厚は、10〜500nm(幾何学的膜厚を意味する。以下、同じ。)であることが好ましい。膜厚が10nm未満ではアルカリバリア性能が不十分であり、500nm超では表面粗さやコストの面で不利となる。膜厚が10〜50nmであることが特に好ましい。
【0017】
アルカリバリア層のガラス基板への形成方法は、特に限定されず、熱分解法(原料溶液を塗布後加熱して膜を形成する方法)、CVD法、スパッタリング法、蒸着法、イオンプレーティング法などが挙げられる。たとえば、SiO膜の場合、SiOターゲットを用いたRF(高周波)スパッタリング法、または、Siターゲットを用いたRFもしくはDC(直流)スパッタリング法などの成膜法が挙げられる。Siターゲットを用いる場合、スパッタガスとしてAr−O混合ガスを用い、SiO膜が吸収のない透明な膜になるようにArとOのガス比を定めることが好ましい。
【0018】
本発明により形成されるITO膜付き基体は、ITO膜の下に接して酸化ジルコニウムを主成分とする下地膜を有する。前記下地膜は、ITO膜の結晶成長に影響を及ぼし、その結果ITO膜の結晶配向性を変えることができ、ITO膜表面の平均表面粗さの改善に寄与する。前記下地膜には、主成分となる酸化ジルコニウムにHf、Fe、Cr、Y、Ca、Siなどの不純物が含まれていてもよいが、不純物はその合量が、Zrと不純物元素との総量に対して10原子%以下、特に、1原子%以下であることが好ましい。
【0019】
前記下地膜の膜厚は1〜15nmである。前記下地膜の膜厚を前記範囲とし、後述するようなITO膜に逆スパッタ処理を行うことにより、ITO膜付き基体の表面の平均表面粗さRを1.2nm以下に容易に制御できる。下地膜の膜厚が1nm未満では、ITO膜表面の平均表面粗さを小さくするという下地膜としての効果が得られない。また、下地膜の膜厚が15nm超では、下地膜としての効果が下がり、ITO膜表面の平均表面粗さRを1.2nm以下とすることが難しくなる。なお、以上に述べた下地膜の膜厚は平均膜厚のことであり、連続膜になっていない場合も同様とする。
【0020】
前記下地膜の形成方法は、特に限定されず、熱分解法、CVD法、スパッタリング法、蒸着法、イオンプレーティング法などが挙げられ、たとえば、金属Zrターゲットを用いたRFもしくはDCスパッタリング法、または安定化ジルコニアターゲットを用いたRFスパッタリング法、などが挙げられる。前記安定化ジルコニアターゲットは、YやCaなどの不純物が多いので、前記金属Zrターゲットを用いる方がより好ましい。また、スパッタリング法としては、成膜速度の観点からDCスパッタリング法であることが好ましい。スパッタガスとしてAr−O混合ガスを用い、下地膜が吸収のない透明な膜になるようにArとOとのガス比を定めることが好ましい。
【0021】
本発明におけるITO膜は、InとSnOとからなる膜であり、その組成としては、(In+SnO)の総量に対してSnOが1〜20質量%含まれていることが好ましい。ITO膜の膜厚は、抵抗値、透過率などの観点から50〜350nmであることが好ましく、特に好ましくは100〜200nmである。膜の導電性の観点から、比抵抗値は4×10−4Ω・cm以下であることが好ましく、シート抵抗値としては20Ω/□以下であることが好ましい。
【0022】
前記ITO膜の形成方法は、特に限定されず、熱分解法、CVD法、スパッタリング法、蒸着法、イオンプレーティング法などが挙げられ、例えば、ITOターゲットを用いたRFまたはDCスパッタリング法などが挙げられる。スパッタガスとしてAr−O混合ガスを用い、ITO膜の比抵抗が最小になるようにArとOのガス比を定めるのが好ましい。
【0023】
スパッタリング法を用いて成膜する場合、スパッタリング時の基体温度は100〜500℃であることが好ましい。100℃より低いと、ITO膜が非晶質になりやすく膜の耐薬品性が低下する。500℃より高いと、結晶性が促進され膜表面の凹凸が大きくなる。
【0024】
本発明における逆スパッタ処理とは、通常のスパッタ処理とは異なり、基板側に電界を引加することによりプラズマを発生させ、ITO膜表面をイオンによりスパッタエッチングを行う処理をいう。スパッタガス中に酸素ガスを含ませる理由は以下のとおりである。プラズマ中に形成された酸素負イオンは反応性が高く、膜中の原子をはじき出す(スパッタリング)能力は小さいため、酸素負イオン粒子のエネルギーは主として熱に変わると考えられる。ITO膜表面にはIn−OまたはSn−O結合が凹凸となって存在しており、凸部分のIn−OまたはSn−O結合強度は凹部分のIn−OまたはSn−O結合強度と比較して弱いと考えられる。よって、酸素負イオンによりITO膜表面が加熱された場合、凸部のIn−OまたはSn−O結合を選択的に蒸発させることができ、結果的にITO膜表面の表面粗さを改善できる。
【0025】
さらに、本発明においては、前記下地膜の膜厚を1〜15nmとし、酸素ガスを含むスパッタガスの雰囲気中において前記ITO膜を逆スパッタ処理することにより、ITO膜表面の平均表面粗さを1.2nm以下に容易に制御できる。この理由は、ITO膜の主配向面が(400)となり、(400)面の回折強度と(222)面の回折強度との比、(400)/(222)回折強度比が1.0以上となるため、逆スパッタ処理により発生する酸素負イオンが、ITO膜の表面の凸部に選択的にエッチングしやすくなるためであると考えられる。
【0026】
また、逆スパッタ処理後のITO膜の膜厚は、50〜350nmであることが好ましく、逆スパッタ処理前のITO膜の膜厚と同等である。
【0027】
平均表面粗さRを小さくできる点で、逆スパッタ処理におけるスパッタガス中の酸素ガスの濃度は、10〜100体積%であることが好ましく、さらに好ましくは50〜100体積%であり、特に好ましくは80〜100体積%である。
【0028】
本発明のITO膜付き基体は、透明性、導電性の点から、有機EL素子、LCD、無機EL素子などの表示デバイスの電極や、太陽電池の電極として好適に用いられる。
【0029】
前記有機EL素子は、陽極、正孔輸送層、発光層および陰極を有し、必要により、発光層と陰極との間に電子輸送層、電子注入層を設けることもできる。本発明のITO膜付き基体は、特に前記有機EL素子の陽極として好適に用いられる。また、本発明のITO膜付き基体は、前記有機EL素子の陰極としても好適に用いられる。
【0030】
前記ITO膜付き基体を前記有機EL素子の陽極に用いることにより、発生するダークスポットの数を減少させ、歩留まりを向上させることができる。ダークスポットとは、有機EL素子の一部に電流が流れなくなることにより電極表面に発生する黒い斑点を意味し、製品の歩留まりを下げる大きな原因となる。ダークスポット発生の主たる原因は、陽極の表面に存在する凸部により陰極にピンホールが形成され、前記ピンホールから外気中に含まれる水分が浸入し、陰極界面や発光層がピンホールを中心に劣化するためと考えられる。本発明においては、逆スパッタ処理により前記ITO膜の凸部を消失させることができるため、発生するダークスポットの数を減少させることができる。なお、通常、水分の浸入を抑えるために、有機EL素子の周囲を保護用ガラス基板で覆い、封止接着材などで封止することが行われている。しかし、本発明においては、効果の有無を明確に判断するために、封止をしない条件、つまり水分が外部から浸入しやすく、ダークスポットが発生しやすい条件でダークスポット数を測定した。
【0031】
また、本発明のITO膜付き基体を有機EL素子の陽極に用いることにより、駆動電圧を下げ、歩留まりを向上させることができる。前記駆動電圧とは、有機EL素子からの発光が一定の明るさとなる時の電圧を意味し、逆方向への電流(リーク電流)が生じると、発光効率が低下し駆動電圧が上昇するため、歩留まりを向上させるためには、駆動電圧をできるだけ下げることが重要となる。このリーク電流の発生はITO膜の凹凸と密接に関連しており、この凹凸を消失させることにより駆動電圧を下げ歩留まりを向上させることができる。
【0032】
前記正孔輸送層の材料としては、正孔の注入または電子の障壁性を有する材料であれば特に限定されず、例えば、N,N’−ジフェニル−(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’ジアミン、4,4’−ビス(N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ)ビフェニル(α−NPD)、トリフェニルジアミンなどからなる群から選ばれる1種以上が挙げられる。前記正孔輸送層の形成方法として、真空蒸着法、スピンコート法など公知の方法が使用でき、前記正孔輸送層の膜厚は5〜200nmであることが素子の電気的光学的特性の点より好ましく、さらに20〜100nmであることが好ましい。
【0033】
前記発光層の材料としては、発光能を示す材料であれば特に限定されず。例えば、トリス(8−キリノール)アルミニウム(Alq)などが挙げられる。前記発光層の形成方法は、真空蒸着法、スピンコート法など公知の方法が使用でき、前記発光層の膜厚が5〜200nmであることが素子の電気的光学的特性の点より好ましく、さらに20〜100nmであることが特に好ましい。
【0034】
前記陰極の材料としては、仕事関数の小さい金属や合金が好ましく用いられ、Al、LiF、LiO、NaOなどが例示され、真空蒸着法などで成膜される。
【0035】
また、リーク電流の防止、正孔注入障壁の低減、密着性向上を目的として、前記陽極と正孔輸送層との間に界面層を設けてもよい。前記界面層の材料として、4,4’,4’’−トリス(N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ)トリフェニルアミン、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミンや銅フタロシアニンなどが使用できる。前記界面層の形成方法は、真空蒸着法、スピンコート法など公知の方法が使用でき、前記界面層の膜厚が5〜100nmであることが素子の電気的光学的特性の点より好ましい。
【0036】
【実施例】
以下に本発明の実施例を挙げてさらに説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0037】
[ITO膜付き基体]
(例1)
洗浄したソーダライムシリケートガラス基板(平均表面粗さRは0.5nm)をスパッタリング装置にセットし、基板を250℃に加熱し、スパッタリング成膜の際も基板温度を250℃に保持した。この基板の上にアルカリバリア層として、SiO膜をRFスパッタリング法で成膜した。このとき、ターゲットには、直径150mmの円盤状のSiOターゲットを用いた。スパッタガスには、Ar−O2混合ガスを用いた。ArとOのガス比は、Ar:O=90:10(体積比)とし、全圧を0.6Paとした。0.5kWで放電し、成膜を行った。膜厚は20nmとした。形成されたSiO膜付き基板のSiO膜表面の平均表面粗さRは0.5nmであった。
【0038】
次に、SiO膜上に、下地膜としてZrO膜をRFスパッタリング法で成膜した。このときターゲットとして、直径150mmの円盤状の金属Zrターゲットを用いた。スパッタガスには、Ar−O混合ガスを用いた。ArとOのガス比は、Ar:O=90:10(体積比)とし、全圧を0.6Paとした。0.3kWで放電し、成膜を行った。膜厚は8nmとした。
【0039】
ついで、下地膜の上にITO膜をRFスパッタリング法で成膜した。ターゲットは、直径150mmの円盤状のITOターゲットを用いた。ITOターゲットの組成は、(In+SnO)の総量に対してSnOが10質量%のものを用いた。スパッタガスには、Ar−O混合ガスを用いた。ArとOのガス比は、Ar:O=99.5:0.5(体積比)とし、全圧を0.6Paとした。0.3kWで放電し、成膜を行った。膜厚は150nmとした。得られたITO膜の組成はターゲットの組成と同じであった。
【0040】
ついで、RF電源を用いて、フローティングバイアスにおいて、成膜したITO膜に逆スパッタ処理を施し、ITO膜付き基体を得た。このとき、酸素ガスをスパッタガスとして用い、酸素ガスの全圧を2Paとし、単位面積あたりの電力密度を0.4W/cmとした。
【0041】
(例2)(比較例)
逆スパッタ処理を行わない以外は、例1と同様に処理し、ITO膜付き基体を得た。
【0042】
(例3)(比較例)
ZrO膜を形成しなかった以外は、例1と同様に処理し、ITO膜付き基体を得た。
【0043】
[ITO膜付き基体の特性評価]
得られたITO膜付き基体を以下の方法で評価した。
1)平均表面粗さR:JIS B0601(1994年度)によって、表面の凹凸状態をAFM(原子間力顕微鏡)により測定した。なお、カットオフ値は0.8μm、評価長さは2.4μmとした。
2)比抵抗値:四端針法により測定した。
3)シート抵抗値:膜厚を触針式膜厚計で測定し、比抵抗値を膜厚で割ることにより求めた。
4)結晶配向:表面の結晶状態をθ/2θ法によるX線回折測定を用いて測定した。測定条件は、Cuターゲットの線源を用い、管電圧40kV、管電流20mA、サンプリング幅0.02度、走査速度4度/分、発散スリット1.0度、散乱スリット1.0度、受光スリット0.15mmとした。バックグラウンドを差し引いた後のピーク高さより求めた回折強度において、得られた(400)面の回折強度と(222)面との回折強度の比である(400)/(222)回折強度比を計算により求めた。
【0044】
得られたITO膜付き基体の特性評価結果を表1に示す。
【0045】
【表1】
Figure 0004114398
【0046】
また、触針式の膜厚測定装置を用いて、例1〜例3により得られたITO膜付き基体のITO膜の膜厚を測定したところ、ITO膜の膜厚は例1〜3それぞれ150nmであり、逆スパッタ処理を行ってもITO膜の膜厚は変化しないことが確認された。
【0047】
[有機EL素子]
(例4)
例1において形成されたITO膜付き基体のITO膜をパターニング加工し、発光部分(2mm角)と配線部分を作成した。パターニング加工を施したITO膜の上に、ITO膜の発光部分とは重なるが、配線部分とは重ならないようなパターニングを行うマスクをセットした。次いで、真空蒸着法により、銅フタロシアニンを材料として界面層を形成し、4,4’−ビス(N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ)ビフェニル(α−NPD)を材料として正孔輸送層を形成し、トリス(8−キリノール)アルミニウム(Alq)を材料として発光層を形成し、アルミニウムを材料として陰極を形成し、有機EL素子を得た。界面層、正孔輸送層、発光層、陰極の膜厚は各々、10nm、80nm、60nm、80nmであった。
【0048】
(例5)
例1において形成されたITO膜付き基体の替わりに、例2において形成されたITO膜付き基体を用いた以外は、例4と同様に処理し、有機EL素子を得た。
【0049】
[有機EL素子の発光特性評価]
例4および例5により形成された有機EL素子を、以下の方法により評価した。
1)駆動電圧:窒素雰囲気下で、有機EL素子の陽極−陰極間に電圧をかけ、有機EL素子からの発光輝度が1000cd/mに達する時の電圧値を測定した。なお、輝度は輝度計(BM−7トプコン社製)により測定した。
2)ダークスポット数:封止をしない条件で、大気中で陽極−陰極間に電圧をかけ、400cd/mの輝度で発光する時に発生する、発光面2mm角の範囲内における50倍〜100倍程度の倍率の光学顕微鏡観察により測定した数をダークスポット数として測定した。
【0050】
得られた有機EL素子の発光特性評価結果を表2に示す。
【0051】
【表2】
Figure 0004114398
【0052】
【発明の効果】
本発明によれば、酸化ジルコニウムを主成分とする膜厚を限定した下地膜を有するITO膜に、酸素ガスを含むスパッタガスの雰囲気中において逆スパッタ処理を行うことにより、ITO膜形成後の加熱処理やITO膜表面の研磨、酸処理などの複雑な製造工程を経ることなく、表面の凹凸が少なく優れた平坦性を持ち、高い導電性を有するITO膜付き基体を得ることができる。
【0053】
さらに、本発明のITO膜付き基体は、前述したような優れた特性を有するため、有機EL素子の陽極として好適に用いられ、リーク電流やダークスポットの発生を抑制でき、歩留まりを向上させることができる。

Claims (2)

  1. 基体上に酸化ジルコニウムを主成分とする厚さが1〜15nmである下地膜を形成し、次いで前記下地膜に接して錫ドープ酸化インジウム膜を形成し、次いで酸素ガスを含むスパッタガスの雰囲気中において前記錫ドープ酸化インジウム膜を逆スパッタ処理することを特徴とする錫ドープ酸化インジウム膜付き基体の製造方法。
  2. スパッタガス中の前記酸素ガスの濃度が10〜100体積%である請求項1に記載の錫ドープ酸化インジウム膜付き基体の製造方法
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