JP4114243B2 - 電動パワーステアリング制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、運転者の操舵力を軽減すると共に、操舵フィーリングを向上させる車両の電動パワーステアリングの制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
電動式のパワーステアリングにおいては、操舵トルクの信号に応じて電動機の電流を制御することで、運転者の操舵負荷を軽減している。電動機の制御は、一般的に、操舵トルク信号に比例した電流指令だけでなく、操舵トルク信号を微分した信号や操舵トルク信号より位相が進んだ信号を電流指令値に加算することで電動機の応答性を向上したり、電動機のハンチングを防止している(特開昭62−34856号公報や特開昭61−115770号公報参照)。
【0003】
また、マイクロコンピュータ(マイコン)によって制御の演算を行うことで、さらなる操舵フィーリング向上を果たすことができる。そのためには、まずA/D変換器で操舵トルク信号をデジタル値として取り込む。取り込んだ操舵トルク信号を微分若しくは伝達関数を使い位相の進んだ信号を作り、操舵トルク信号に比例する信号と加算するなどして電動機の電流指令値を求める。この電流指令値に応じて電流制御を行うことで操舵のアシストを実現している。このマイコンを含む制御装置の簡素化、低コスト化を果たすには、より低機能なマイコンを用いて数百μs〜数msオーダーの演算周期で処理を実行すると共に、各種フェールセーフの演算もマイコンで行うことになる。そして、演算周期は長いほど多種多様な演算が可能となる。
【0004】
しかしながら、演算周期が長くなった場合、A/D変換の際の量子化ノイズの影響が顕著になる。つまり、取り込んだ操舵トルク信号は、電気系のノイズだけでなくA/D変換の分解能相当のバルスノイズ及びステップ的な変化を伴う。このようなノイズを含む信号に対して微分処理若しくは位相進み処理を施すと、その処理は高周波ゲインが高いためノイズが増幅されてしまう。このような高周波ノイズを落とすためにローパスフィルタ(LPF)の処理を行うと、信号の位相を遅らせる作用が生じる。これは、電動機の電流を操舵トルクの信号より位相の進んだ信号に応じて制御するために設けた微分や位相進み処理の効果を失う作用となり、結果的に電動機のハンチング現象を引き起こすという不具合が生じる。
【0005】
また、A/D変換器の分解能を上げたり、制御の大部分をアナログ回路で実現する手法は、回路の複雑化を招きコストアップとなる。特に、慣性モーメントの大きい電動機を用いたり、バックラツシュの大きな動力伝達機構を用いていると、電動機が駆動されてから操舵トルク信号に現われるまでの時間的な遅れが大きいため、検出した操舵トルク信号の位相をより進めないと、電動機のハンチングが現われやすくなる。反面、位相を進める量を大きくしたり、電流指令値に微分量を多く加算すると、電流指令値に大きな振幅の高周波ノイズを含むことになる。特に数十Hzから数百Hzの周波数で電動機を駆動すると、ハンドルを通して小刻みな振動が運転者の手に伝わるという不都合が生じる。
【0006】
そこで本発明は、このような問題を解決し、簡素且つ低コストな回路構成で、低周波から高周波までの信号を低減する制御を実現する電動パワーステアリング制御装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
上記目的を達成するためになされた請求項1記載の電動パワーステアリング制御装置は、車両の前輪または後輪に設けられた操舵機構の入力軸を電動機が回転駆動することによって前輪または後輪を補助操舵するのであるが、操舵トルク検出手段が操舵機構における操舵トルクを検出し、その出力される操舵トルク信号を操舵トルク信号処理手段が処理する。そして、その操舵トルク信号処理手段での処理結果に基づいて制御手段が電動機を駆動制御する。
【0008】
操舵トルク信号処理手段は、操舵トルク検出手段から出力されるアナログの操舵トルク信号に対して少なくともA/D変換を施すのであるが、さらに、操舵トルク検出手段の出力より位相の進んだ信号を生成するアナログ進み回路、あるいは操舵トルク検出手段の出力の微分信号を生成するアナログ微分回路の少なくともいずれか一方を備えており、操舵トルク検出手段の出力に応じた信号と、アナログ進み回路からの進み信号と、アナログ微分回路からの微分信号との内の少なくとも2つを、それぞれに対応するA/D変換経路で変換して制御手段に出力する。
【0011】
また、本発明の電動パワーステアリングの制御装置は、車速を検出する車速センサを備え、制御手段が次のような制御を行う。すなわち、操舵トルク信号処理手段から出力された少なくとも2つの信号、すなわち、操舵トルク検出手段の出力に応じた信号、アナログ進み回路からの進み信号、アナログ微分回路からの微分信号の3つの信号の内の少なくとも2つであって、それぞれに対応するA/D変換経路にて変換された信号を、車速センサからの車速に応じて変化すると共に少なくとも2つの信号毎に設定されたゲインマップを用いて電流指令値を算出する。そして、用いた信号種類に応じて、算出された少なくとも2つの電流指令値のそれぞれに所定のゲインを掛けて調整した後、両値を加算して電動機の駆動制御用の電流指令値とするのである。
【0012】
マイコンの処理負荷等の関係で多数のA/D変換経路を設けることができないとか、1処理周期内に何度も読み込むことが難しいような場合には、デジタルでステップ的に変わる信号になる前の段階、すなわちアナログ段で微分若しくは位相進み信号を生成した後にA/D変換を施してマイコンに取り込むことが好ましい。
【0013】
本発明の電動パワーステアリングの制御装置においては、このようにアナログ段にて微分若しくは位相進み信号を生成した後にA/D変換を施してマイコンに取り込めば、デジタル段では微分若しくは位相進み処理が不要となるため、無駄なパルスを生むことなく進み補償に必要な位相の進んだ操舵トルク信号を得ることができる。
【0014】
このように、簡素且つ低コストな回路構成で、低周波から高周波までの信号を低減する制御を実現することができるのである
【0017】
また、請求項2に示すように、操舵トルク信号処理手段について、1処理周期内に操舵トルク検出手段から操舵トルク信号を2回以上取り込むようにしてもよい。このようにすれば、時間的にも異なる2以上の操舵トルク信号を得られるので、1処理周期内で処理する操舵トルク信号数が増え、より真値に近い操舵トルクの推定や不規則なパルスの低減の点で有効である。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明が適用された実施例について図面を用いて説明する。なお、本発明の実施の形態は、下記の実施例に何ら限定されることなく、本発明の技術的範囲に属する限り、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0020】
[第1実施例]
図1は、上述した発明が適用された実施例の電動パワーステアリング制御装置を中心に示す車両構成図である。
車両運転者によって操舵されるハンドル(ステアリングホイール)11には、「操舵機構の入力軸」に相当するシャフト(ステアリングシャフト)12が連結されており、シャフト12には、「操舵機構」に相当するラック13及びピニオンギヤ14が連結されている。ハンドル11の操舵に応じてシャフト12が回転すると、そのシャフト12の回転角度がラック13の移動量となる。ラック13の両端にはタイロッド15が設けられており、そのタイロッド15によって夕イヤ16を左右に操舵する。
【0021】
シャフト12には、「操舵トルク検出手段」としての操舵トルクセンサ21が設けられており、車両運転者がハンドルを操舵する際に生じるトルクに応じた信号(操舵トルク信号)を出力する。
操舵トルクセンサ21とラック13及びピニオンギヤ14の間には、減速機22を介して電動機23が取り付けられている。なお、減速機22はウォーム及びウォームホイールから構成される周知のものである。電動機23に通電して駆動させれば、ハンドル11を回転させる際の力が軽減されることとなる。
【0022】
そして、この電動機23への通電制御を実行するECU30は、上述した操舵トルクセンサ21からの操舵トルク信号と、車両の速度を検出する車速センサ50からの車速信号に基づいて、電動機23に通電する電流を制御する。
続いて、ECU30の内部構成について、図2の処理ブロック図を参照して説明する。
【0023】
操舵トルクセンサ21から出力された信号に基づいて電動機制御の演算をデジタルで行うため、ECU30内部では、まずアナログ回路によるLPF31にその検出信号を通した後に、マイクロコンピュータ32内に設けられた2つのA/D変換器33,34によってA/D変換した後で、CPU35へ取り込む。ここで、LPF31はA/D変換時のエリアシングノイズを除去するために、ナイキスト周波数(サンプリング周波数の1/2)以下の遮断周波数をもつフィル夕として構成されている。
【0024】
CPU35は、1回の演算サイクル(1処理周期)において、前記2つのA/D変換器33,34から操舵トルクに対応する信号を例えば2回ずつ取り込む。つまり、そのような演算サイクルに設定されている。こうして取り込まれた4つの操舵トルク信号は、1回の演算サイクルの間の異なる時刻における操舵トルク信号である。
【0025】
図3はCPU35の制御ブロック図であるが、この図3に示すように、2つのA/D変換器33,34から取り込んだ4つの操舵トルク信号(操舵トルク1,2,3,4)は、CPU35において平均(加算して1/4倍する)されることで操舵トルク制御用の電流指令値とされる。
【0026】
一方、図2に示すように、車速センサ50の信号は、一般に車速に応じてパルスの周波数が変化する信号である。この信号はECU30内部の波形整形部38にて波形整形されて、CPU35のポートに入力される。CPU35が、車速パルスの周期を計測することで車速に応じた信号を得る。
【0027】
図3に示すように、CPU35は、操舵トルク(操舵トルク1,2,3,4の平均値)に、次式で示す伝達関数G(s)で処理することで操舵トルクに対して位相の進んだトルク進み信号を得る。
G(s)=(Ts+1)/(ATs+1)
(ここでT,Aは定数(但しA<1)、sはラプラス演算子を表す。)
そして、このトルク進み信号に、車速に応じて変化するゲインマップを作用させて電流指令値とする。
【0028】
さらに、操舵トルク信号を例えば次式のような差分式を用いてトルク微分信号を得る。
Yi=(1/6ts)×(Xi+3Xi-1−3Xi-2−Xi-3)
(ここでtsは演算周期、i-nはn回前の値を表す。)
このトルク微分信号にゲインをかけて前記電流指令値に加算して、電動機23の電流指令値とする。
【0029】
図2に戻り、CPU35からの電流指令値が入力された駆動回路36では、実際の電動機23の電流が追従するようパワートランジスタ37のスイッチングを行う。
なお、本実施例においては、ECU30内のLPF31,2つのA/D変換器33,34に加えて、4つの操舵トルクの平均値を取る主体であるCPU35が「操舵トルク信号処理手段」に相当する。また、CPU35は「制御手段」にも相当する。
【0030】
上述した構成及び動作する本実施例の電動パワーステアリング制御装置によれば、次のような効果を発揮する。従来技術における課題は次の通りであった。つまり、A/D変換器33,34の分解能を上げたり、制御の大部分をアナログ回路で実現する手法は、回路の複雑化を招きコストアップとなるため、簡素なハードウエア構成で操舵時や保舵時の振動を取り除くには、A/D変換後の操舵トルク信号の量子化ノイズを低減する必要があるということである。
【0031】
本実施例の電動パワーステアリング制御装置のように、1回の処理周期内に複数の操舵トルク信号を処理すれば、より真値に近い操舵トルクを推定でき、信号経路やA/D変換で重畳する不規則なパルスを低減することができる。高周波においても位相遅れを招くことなくノイズが低減することから、微分若しくは位相進み処理を通過しても、高周波ノイズのレベルは低く、位相進み処理等の効果を維持できる。従ってハンドルを小刻みに振動させることなく充分な進み補償の効果を得ることができる。
【0032】
また、複数のA/D変換値を重み付け加算すると、等価的に分解能が細かくなるため、マイクロコンピュータ32内で処理されるデジタル特有のステップ的な変化の幅も小さくなる。そして微分若しくは位相進み処理を通過してパルス状に変化した成分の振幅も小さい。従って必要十分な進み補償をかけることが可能となる。
【0033】
このように、簡素且つ低コストな回路構成で、低周波から高周波までの信号を低減する制御を実現することができる。
なお、本実施例では、操舵トルクセンサ21からの出力されLPF31を通った1つの操舵トルク信号を2個のA/D変換器33,34にてそれぞれ変換すると共に、1演算サイクル内に2つのA/D変換器33,34から操舵トルクに対応する信号を2回ずつ取り込むことによって、4つの操舵トルク信号を得た。例えば同じように4つの操舵トルク信号を得る場合には、A/D変換器を4つ準備してもよいし、1演算サイクル内に操舵トルク信号を4回取り込んでもよい。しかし、A/D変換器の数が多くなると構成の複雑化やサイズアップにつながり、一方、1演算サイクル内に取り込む信号の回数が多くなると、処理負荷が大きくなる。したがって、それらを比較考量して適切な構成を採用すればよい。
【0034】
また、本実施例においては、4つの操舵トルク信号を単に平均しただけであったが、これは「重み付け加算」の一態様である。つまり、本実施例の場合には図3に示すように重み係数が1/4であり、「1/取り込んだ信号数」として加算しているため単なる平均を取ったこととなる。この重み係数の設定の仕方を変えれば重み付け平均なども実現できる。
【0035】
[第2実施例]
上述した第1実施例は、トルクセンサ信号を2系統のA/D変換器33,34に接続し、2度読みした結果の4つを平均して制御に用いたが、この第2実施例では、トルクセンサ信号を1系統のA/D変換器33に接続し、アナログ進み回路を通した信号を別のA/D変換器34に接続し、それぞれ2度読み平均したものを制御に用いるものである。
【0036】
前提となる電動パワーステアリング機構については図1で示したものと同様である。但しECUの内部構成が異なるので、第2実施例のECU130の内部構成について、図4の処理ブロック図を参照して説明する。なお、図2に示した第1実施例の構成と同様の部分には同じ符号を付して詳しい説明は省略する。
【0037】
ECU130内では、まずアナログ回路によるLPF31に通した信号を1つのA/D変換器33によってCPU35に取り込む。また、LPF31に通した信号を分岐して、アナログ回路による進み回路60を通した信号を別のA/D変換器34によってCPU35に取り込む。
【0038】
アナログ進み回路60は、例えば図5に示すように、バックファアンプとCRによる位相進みフイルタ、増幅アンプを直列接続することで実現できる。この場合の伝達関数G(s)については、図5中に示した。
CPU35は、1回の演算サイクルにおいて、前記2つのA/D変換器33,34から操舵トルクに対応する信号を例えば2回ずつ取り込む。こうして取り込まれた4つの操舵トルクに対応する信号の2つは操舵トルクに比例した信号(操舵トルク1,操舵トルク2として図6中に示した。)であり、残る2つはトルク進み信号(トルク進み1,トルク進み2として図6中に示した。)である。そして、これらは、1回の演算サイクルの間の異なる時刻における操舵トルク信号である。
【0039】
図6の制御ブロック図に示すように、取り込んだ操舵トルクに比例した2つの信号(操舵トルク1,操舵トルク2)は平均して制御用の操舵トルクとする。また、2つのトルク進み信号(トルク進み1,トルク進み2)も平均して制御用のトルク進み信号とする。車速は第1実施例と同様に車速センサ50の信号から車速に応じた信号を得る。
【0040】
そして、CPU35は、操舵トルクに、車速に応じて変化するゲインマツプを作用させて第1の電流指令値とする。さらに、トルク進み信号に、車速に応じて変化する第2のゲインマップを作用させて第2の電流指令値とする。そして、前記第1の電流指令値及び第2の電流指令値のそれぞれに所定のゲインを掛けて調整した後、両値を加算して電動機23の駆動制御用の電流指令値とする。なお、第1の電流指令値及び第2の電流指令値のそれぞれに掛ける所定のゲインについては、用いた信号種類に応じて適宜設定することで最適に調整する。
【0041】
本第2実施例の電動パワーステアリング制御装置によれば、上述した第1実施例の場合と同様に、1回の処理周期内に複数の操舵トルク信号を処理すれば、より真値に近い操舵トルクを推定でき、信号経路やA/D変換で重畳する不規則なパルスを低減することができ、簡素且つ低コストな回路構成で、低周波から高周波までの信号を低減する制御を実現することができるという効果を得られる。
【0042】
このように、第1実施例及び第2実施例を説明したが、1回の処理周期内に複数の操舵トルク信号を処理することによる効果などについて、さらに検証する。
電気的ノイズやA/D分解能相当のパルスノイズは概ね白色ノイズである。例えばトルクの信号を4つのA/D変換経路を用いてサンプリングしたとして、そのノイズ成分Nのみに着目すると、次の▲1▼〜▲4▼の仮定があてはまる。
【0043】
▲1▼定常エルゴード過程である(時間平均=集合平均)
▲2▼平均値E(Ni)=0 (i=1,2,3,4)
▲3▼分散σi2=σj2 (i,j=1,2,3,4)
▲4▼NiとNjは独立(i,j=1,2,3,4)、すなわちE(NiNj)=E(Ni)E(Nj)
そして、このときの4つのA/D変換値の平均のノイズNの分散σ2 は、次のようになる。
【0044】
σ2 =E[{1/4×ΣNi−E(1/4×ΣNi)}2
=E[{1/4×ΣNi}2
=E(1/16×ΣNi2 +1/8×ΣNiNj) (i≠j)
=1/16×ΣE(Ni2 )+1/8×ΣE(NiNj) (i≠j)
=1/4σ2 +1/8×ΣE(Ni)E(Nj) (i≠j)
=1/4σ2
このように、ノイズの分散が1/4になる。これはノイズの振幅が1/2になることも意味している。つまりn点サンプリングすることでノイズは1/√nに低減できる。このことは、同一チャンネルのA/D変換値を複数回読んで平均しても、A/D変換値のサンプリングに要する時間が有限であることを考慮すれば同様のことが言える。
【0045】
また、平均された値は元のA/D変換の分解能の値より小さな値になるため、等価的に分解能を上げたことに匹敵する。図7は、第1実施例にて示した4つのトルク信号(操舵トルク1,2,3,4)そのものと、それらを平均したものの比較例を示したものである。各操舵トルク(1〜4)におけるノイズの重畳の仕方には相関関係がないため、それらを平均すると全体的にノイズが低減されていることが判る。
【0046】
また、等価的に分解能が細かくなるため、A/D変換の際に特有のステップ変化があっても、ステップ高さが小さくなるため、進み補償演算を通したときに生成されるパルスの高さは低下する。図8は、第1実施例にて示した進み補償(図3に示す伝達関数G(s)=(Ts+1)/(ATs+1)を用いたもの)を通したときの、操舵トルク1だけの場合と4つの操舵トルク(1〜4)の平均値の場合との比較例を示してある。平均値を通した場合の方が不要なパルスが低減されているのが判る。
【0047】
こうして不要なパルスのない電流指令値をもって電動機23を駆動すれば、電動機23に与える電流の高周波成分(10数Hz〜数百Hz)が小さいため、電動機23が発生する高周波のトルク振動も少ない。そのため電動機23からハンドル11まで振動が伝わる過程で減衰してしまうので、運転者に不快な振動を感じさせることがない。
【0048】
また、慣性モーメントの大きい電動機23を用いたり、バックラツシュの大きな動力伝達機構を用いた装置においても、さらに位相進みをかけることができるので、操舵時の振動の低減と高周波の振動低減の両立を果たすことができる。
一方、第2実施例で示した構成では、第1実施例ではデジタルで行っていた微分若しくは位相進み処理をアナログ段で行うようにしたものであるが、この場合には、次の2点が特徴的な動作して挙げられる。
【0049】
1点目は、微分若しくは進み処理が行われた後にA/D変換処理がされてデジタル化されるため、ステップ的な変化こそあるが、デジタル処理にて微分若しくは進み処理を行う場合のように、ステップ変化がパルス的なノイズを生成することがなくなる点である。図9は、アナログ段にて進み処理を行う場合とデジタル段で進み処理を行う場合の比較例を示したものである。操舵トルクセンサ信号をサンプリングした後でデジタル段にて進み処理を行うと、図9中のAで示す部分のように、ステップ変化がパルス的なノイズを生成してしまう。それに対して、操舵トルクセンサ信号をアナログ進み回路にて進み処理を施した後にサンプリングした場合には、ステップ変化部分においてもパルス的なノイズが発生しない。
【0050】
もう1つは、電気系で混入したパルスノイズの微分若しくは進み処理でパルスが強調されても、デジタル処理のように長い時間継続することがない点である。図9中のBで示す部分のように、操舵トルクセンサ信号をサンプリングした後でデジタル段にて進み処理を行った場合には、パルスノイズの微分若しくは進み処理でパルスが強調され長い時間継続してしまうが、アナログ進み回路にて進み処理を施した後にサンプリングした場合には、そのような長い時間継続してしまうことはない。
【0051】
図10には、デジタル段にて進み処理を施した場合とアナログ段にて進み処理を施した場合の比較例を示した。20Hz程度の操舵トルク信号をデジタルで進み演算を行ったものに比べてアナログで進み演算を行った後にサンプリングしたものは、図10ようにノイズを低減しつつ位相進みが実現できていることがわかる。このように不要なパルスノイズを生成することがないため、高周波振動は抑制でき、第1実施例の場合と同様に、操舵時の振動の低減と高周波の振動低減の両立を果たすことができる。
【0052】
[その他]
(1)上述した各実施例では、2つのA/D変換器33,34を備え、操舵トルクセンサ21からの信号を1演算サイクルに2回取り込むことで4つのトルク信号を得たが、それ以上のトルク信号を取得するようにしてもよい。その際、取得したい数だけA/D変換器を備えてもよいし、取得したい数だけ1演算サイクルにトルク信号を取り込んでもよいが、両者を併用することが好ましい。したがって、操舵トルクセンサ21から出力された1つの操舵トルク信号をn(n≧2)のA/D変換器にて変換すると共に、1演算サイクルにトルク信号をm回取り込むことで、1演算サイクル内にn×mの操舵トルク信号を取得できる。
【0053】
(2)また、上述した第2実施例においては、アナログ進み回路60(図5参照)にて進み処理を施した(図12(a)参照)が、その代わりに図11に示すようなアナログ微分回路を用いて微分処理を施した信号を扱うようにしてもよい(図12(b)参照)。また、図12(c)に示すように、アナログ微分回路にて微分処理を施した信号及びアナログ進み回路にて進み処理を施した信号の両方を用いてもよい。さらには、図12(d)に示すように、アナログ微分回路にて微分処理を施した信号及びアナログ進み回路にて進み処理を施した信号に、それらの処理を施さない信号を加えた3つの信号を用いてもよい。
【0054】
なお、図5に示したアナログ進み回路や図11に示したアナログ微分回路はアナログ回路にて構成した一例であり、当然ながら他の構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明が適用された実施例の電動パワーステアリング制御装置を中心に示す車両構成図である。
【図2】 第1実施例のECUの内部構成を示す処理ブロック図である。
【図3】 第1実施例のECU内のCPUの制御ブロック図である。
【図4】 第2実施例のECUの内部構成を示す処理ブロック図である。
【図5】 第2実施例のECU内のアナログ進み回路の構成を示す回路図である。
【図6】 第2実施例のECU内のCPUの制御ブロック図である。
【図7】 第1実施例にて示した4つのトルク信号(操舵トルク1,2,3,4)そのものと、それらを平均したものの比較例を示す説明図である。
【図8】 第1実施例にて示した進み補償を通したときの、操舵トルク1だけの場合と4つの操舵トルク(1〜4)の平均値の場合と信号比較例を示す説明図である。
【図9】 アナログ段にて進み処理を行う場合とデジタル段で進み処理を行う場合の比較例を示す説明図である。
【図10】 デジタル段にて進み処理を施した場合とアナログ段にて進み処理を施した場合の比較例を示す説明図である。
【図11】 アナログ微分回路の構成を示す回路図である。
【図12】 アナログ進み回路を通す経路、アナログ微分回路を通す経路、それらを通さない経路の内の少なくとも2つによる組み合わせの説明図である。
【符号の説明】
11…ハンドル 12…シャフト
13…ラック 14…ピニオンギヤ
15…タイロッド 16…夕イヤ
21…操舵トルクセンサ 22…減速機
23…電動機 30,130…CPU
31…LPF 33,34…A/D変換器
36…駆動回路 37…パワートランジスタ
38…波形整形部 50…車速センサ
60…アナログ進み回路

Claims (2)

  1. 車両の前輪または後輪に設けられた操舵機構の入力軸に接続され、その入力軸を回転駆動することによって前輪または後輪を補助操舵する電動機と、
    前記操舵機構における操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、
    その操舵トルク検出手段から出力されるアナログの操舵トルク信号に対して少なくともA/D変換を施す操舵トルク信号処理手段と、
    その操舵トルク信号処理手段での処理結果に基づいて前記電動機を駆動制御する制御手段と、
    を備えた電動パワーステアリングの制御装置であって、
    前記操舵トルク信号処理手段は、
    前記操舵トルク検出手段の出力より位相の進んだ信号を生成するアナログ進み回路、あるいは前記操舵トルク検出手段の出力の微分信号を生成するアナログ微分回路の少なくともいずれか一方を備えており、
    前記操舵トルク検出手段の出力に応じた信号と、前記アナログ進み回路からの進み信号と、前記アナログ微分回路からの微分信号の3つの信号の内の少なくとも2つを、それぞれに対応するA/D変換経路で変換して前記制御手段に出力し、
    さらに、車速を検出する車速センサを備え、
    前記制御手段は、
    前記操舵トルク信号処理手段から出力された2つの信号、すなわち、前記操舵トルク検出手段の出力に応じた信号、前記アナログ進み回路からの進み信号、前記アナログ微分回路からの微分信号の3つの信号の内の少なくとも2つであって、それぞれに対応するA/D変換経路にて変換された信号を、前記車速センサからの車速に応じて変化すると共に前記少なくとも2つの信号毎に設定されたゲインマップを用いて電流指令値を算出し、用いた信号種類に応じて、前記算出された少なくとも2つの電流指令値のそれぞれに所定のゲインを掛けて調整した後、両値を加算して前記電動機の駆動制御用の電流指令値とすること、
    を特徴とする電動パワーステアリング制御装置。
  2. 請求項1記載の電動パワーステアリング制御装置において、
    前記操舵トルク信号処理手段は、
    1処理周期内に前記操舵トルク検出手段から操舵トルク信号を2回以上取り込むこと、を特徴とする電動パワーステアリング制御装置。
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