JP4113516B2 - 積層不織布とその製造方法、および研磨用不織布 - Google Patents

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本発明は、独特の表面タッチを有し、生産性に優れた積層不織布に関する。詳しくは、金属、陶磁器、プラスチックス、ガラス、皮革等の汚れ、油分、さび等を研磨および拭き取りなどに使用することができる研磨用不織布に関する。
従来、金属、陶磁器、プラスチックス、ガラス、皮革等の汚れ、油分、さび等を研磨および拭き取りなどには、一般に酸化アルミニウム、酸化鉄、ゼオライト、炭酸カルシウム等の粉末を研磨剤として用い、これを不織布などの布帛に接着させて使用する研磨布が知られている。上記以外にも例えば、特開平5−56901号公報(特許文献1)では、研磨剤を使用することなく、不織布を構成する繊維表面に瘤状固体を形成させて、その凹凸により研磨することができる研磨シートが提案されている。
特開平5−56901号公報
しかしながら、従来の研磨布および研磨シートには、以下の問題が挙げられる。研磨剤を接着剤で固着させた研磨布は、研磨剤による研磨性は優れるが、研磨剤と接着剤を必要とするだけでなく、研磨剤を不織布などの布帛製造工程とは別の工程で作製する必要があり、コスト高となる。
また、特開平5−56901号公報に記載の研磨シートは、シートを構成する繊維は融点の低い第1の繊維と融点の高い第2の繊維を混綿した繊維ウェブを熱処理して、第1の繊維のみを溶融して、融点の高い第2の繊維が骨格繊維となるように残存させて瘤状固体を形成している。特開平5−56901号公報に記載の別の研磨シートは、低融点成分と高融点成分とからなる複合繊維のウェブを熱処理して、低融点成分の融点より高く、高融点成分の融点より低い温度で熱処理して、高融点成分が骨格繊維となるように高融点成分上に低融点成分が融解した瘤状固体を形成している。しかしながら、前記研磨シートでは、いずれも瘤状固体の全体に占める割合が十分でなく研磨力が弱いものであった。さらに、瘤状固体の大きさも骨格繊維を多く有しているため、瘤状の小さい固形物しか得られず、研磨力が弱いものであった。
また、上記研磨シートのうち、融点の低い第1の繊維と融点の高い第2の繊維を混綿した場合、不織布生産時に第1の繊維を高温で熱処理する必要があるため、不織布の収縮が大きく、生産性が悪いという問題があった。
本発明は、様々な用途にも適合し得る独特の表面タッチを有し、ハンドリング性など取り扱い性に優れるとともに、生産性に優れた積層不織布、および安価であり、研磨性および拭き取り性などに優れた、金属、陶磁器、プラスチックス、ガラス、皮革等に使用することができる研磨用不織布を提供することを目的とする。
本発明の積層不織布は、熱融着性繊維が完全に溶融されて互いに集合した多孔状の溶融固形物を含む表層と、前記溶融固形物の融点よりも高い融点または分解点を有する成分を含む耐熱性繊維を含み、繊維形状を維持した耐熱性繊維層が結合されてなることを特徴とする。
本発明の積層不織布の製造方法は、熱融着性繊維を含む繊維層と、前記熱融着性繊維の融点よりも高い融点または分解点を有する成分を含む耐熱性繊維を含む耐熱性繊維層が、熱融着性繊維を含む繊維層が表層に配置するように積層され、三次元的交絡処理により構成する繊維同士を交絡させて一体化した後、熱融着性繊維が完全に溶融する温度以上、耐熱性繊維の少なくとも1つの成分が溶融または分解する温度未満の範囲で熱処理を施して、熱融着性繊維が完全に溶融された互いに集合した多孔状の溶融固形物を含む表層と、繊維形状を維持している耐熱性繊維層を結合させることを特徴とする。
本発明の研磨用不織布は、前記積層不織布の表層を研磨面として使用し得る研磨用不織布である。
本発明の積層不織布は、熱融着性繊維が完全に溶融されて互いに集合した多孔状の溶融固形物を形成する表層を有しているので、ガサガサして硬い独特の表面タッチを有しており、例えば、表層を汚れ等の付着面に押し当てて払拭したとき、研磨性および拭き取り性に優れた研磨用不織布を得ることができる。さらに、前記表層と、前記溶融固形物の融点よりも高い融点または分解点を有する成分を含む耐熱性繊維を含む耐熱性繊維層とから構成される不織布なので、熱処理時に急激な収縮が生じることがなく、生産性に優れる。
本発明の研磨用不織布は、熱融着性繊維が完全に溶融されて互いに集合した多孔状の溶融固形物を形成する表層を有しているので、汚れ等を落とす面がガサガサして硬く、研磨性および拭き取り性に優れている。さらに、ポリブテン−1樹脂が繊維表面の少なくとも一部を占めてなる熱融着性繊維を用いると、より高い研磨性および拭き取り性を得ることができる。
本発明の研磨用不織布は、従来の研磨布のように研磨剤を併用しなくとも、金属、陶磁器、プラスチックス、ガラス、皮革等を研磨することが可能である。また、調理器等についた油汚れや醤油、ソースなどの固化物、鍋の煮こぼれ痕等、固化した強固な汚れでも容易に落とすことが可能である。さらに、対物以外にも、人体の手足等の皮膚でもグリース、潤滑油等の機械油、塵埃の汚れ、塗料による汚れ等を単独でまたは研磨剤、溶剤使用により容易に拭き取ることが可能である。
本発明者は、不織布の表層に熱融着性繊維を完全に溶融させて互いに集合した多孔状の溶融固形物を形成させると、特に研磨性および拭き取り性に効果があることを見い出し、本発明に至った。すなわち、本発明の積層不織布は、熱融着性繊維が完全に溶融されて互いに集合した多孔状の溶融固形物を形成する表層と、前記溶融固形物の融点よりも高い融点または分解点を有する成分を含む耐熱性繊維を含み、繊維形状を維持した耐熱性繊維層が結合されてなる積層不織布である。本発明でいう「熱融着性繊維が完全に溶融」とは、熱により溶融する樹脂が融点以上の温度で処理されたことを指し、熱融着性繊維の中に熱により溶融しない成分(例えば、無機物など)を含有する場合であっても、本発明の不織布の表面タッチを阻害しない範囲でそれらを含む概念である。
前記表層は、熱融着性繊維が完全に溶融されて互いに集合した多孔状の溶融固形物によって形成される。ここでいう「互いに集合した多孔状の溶融固形物」とは、熱融着性繊維が完全に溶融したとき、隣接する熱融着性繊維同士が溶融による収縮作用で繊維が密に集合している部分に収縮集合した部分を形成しながら連なっており、見かけ上多孔状となって固化された集合物のことを指す。具体的には、図2に示す表面構造のようなものを指す。また溶融固形物は、凹凸状に盛り上がった多孔状に拡がる溶融固形物を形成することが好ましい。このような形態は、熱融着性繊維が完全に溶融して隣接する耐熱性繊維に接着し収縮するので、耐熱性繊維に接着していない部分、あるいは接着の弱い部分は、溶融樹脂が引っ張られて細くなり凹部となるか、あるいはちぎられてその部分が孔部になる。さらに、耐熱性繊維に強く接着した部分には、周囲の溶融した樹脂が集合して凸部になるものと推定される。また、表層を構成する熱融着性繊維を含む繊維ウェブにおいて、熱融着性繊維が密に集合している箇所は、熱処理したときの収縮の作用によって、より密に集合して凸部を形成するとも推定される。この結果、本発明の研磨用不織布の表層は、ガサガサした硬いものとなり、研磨性および拭き取り性に優れたものとなる。
前記耐熱性繊維層は、前記溶融固形物の融点よりも高い融点または分解点を有する成分を含む耐熱性繊維を含有する。耐熱性繊維を含有させることにより、不織布加工時の熱収縮を抑えることができる。前記耐熱性繊維層が存在することにより、熱融着性繊維を完全に溶融させても不織布の大きな収縮、ねじれ等の変形を抑えることができ、表層に十分な硬さを持つ溶融固形物を得ることができる。特に、表層を構成する熱融着性繊維と耐熱性繊維層を構成する耐熱性繊維とが三次元的に交絡していると、耐熱性繊維の周囲にも溶融固形物が集合して多孔状の形態となり易く、好ましい。三次元的な交絡としては、水流交絡および/またはニードルパンチ交絡であることが好ましい。なお、耐熱性繊維層は不織布の表層の反対面に露出していてもよいし、表層の間に介在する構造をとってもよい。また、必要に応じて、本発明の研磨性を阻害しない範囲で、他の層を介在させてもよい。さらに、耐熱性繊維層として親水性繊維を含むと、積層不織布の親水性を向上させることができ、熱融着性繊維を完全に溶融したときに鞘成分を構成する樹脂のみが溶融する鞘芯型複合繊維を含むと、ハンドリング性など取り扱い性を向上させることができる。
そして、前記表層と前記耐熱性繊維層は、結合されて本発明の積層不織布となす。積層不織布は、表層に含まれる前記熱融着性繊維が完全に溶融した時に、当接する耐熱性繊維層を構成する繊維と接着して結合されている。
前記熱融着性繊維としては、単一成分からなる繊維、または複数成分からなる複合繊維のいずれであってもよい。なかでも、融点の異なる複数成分からなる熱融着性複合繊維は、熱処理した際に各成分の間で収縮率差を有するので、一方の成分を融点よりもかなり高い温度で熱処理して硬い溶融固形物を形成しても、別の成分が融点よりも高いが比較的近い温度で熱処理されるため、不織布全体の収縮を抑えることができ、好ましい。融点の異なる複数成分からなる熱融着性複合繊維が低融点成分と高融点成分から構成される場合、高融点成分の融点は、耐熱性繊維を構成する少なくとも1つの成分の融点または分解点より低い温度であることを要する。
前記熱融着性繊維としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、またはそれらの共重合樹脂等の芳香族ポリエステル樹脂、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリ乳酸、またはその共重合樹脂等の脂肪族ポリエステル樹脂、ナイロン6、ナイロン66、またはその共重合樹脂等のポリアミド樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、またはその共重合樹脂等のポリオレフィン樹脂などを主成分とする繊維が挙げられる。汎用の熱処理機の加工温度を考慮すると、融点が200℃以下の共重合ポリエステル樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂を主成分とする繊維が好ましい。
前記熱融着性繊維が融点の異なる複数成分からなる複合繊維とする場合、複合形態としては、(偏心)鞘芯型、並列型、分割型、海島型などが挙げられる。なかでも、同心円鞘芯型の複合繊維は、不織布の収縮を抑えつつ、高度な研磨性および拭き取り性を有する不織布が得られ、好ましい。特に、鞘成分を低融点成分とし、芯成分を低融点成分よりも融点が10℃以上高い高融点成分とする鞘芯型熱融着性複合繊維は、その効果が顕著である。前記熱融着性複合繊維の具体的な構成としては、融点の異なる脂肪族ポリエステル樹脂同士の組み合わせ、脂肪族ポリエステル樹脂と共重合芳香族ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂とポリプロピレン樹脂、ポリブテン−1樹脂とポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂とポリプロピレン樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合樹脂とポリプロピレン樹脂などが挙げられる。
前記熱融着性繊維を構成する樹脂として、ポリブテン−1樹脂が研磨性および拭き取り性に優れ、好ましい。ポリブテン−1樹脂は、単独、または他の樹脂との複合のいずれであってもよいが、ポリブテン−1樹脂を単独で溶融紡糸すると、紡糸性があまりよくないが、他のポリオレフィン樹脂と複合することによって紡糸性を向上させることができる。よって、前記複合繊維として、ポリブテン−1樹脂とポリブテン−1樹脂より融点の高い他のポリオレフィン樹脂を構成成分とする熱融着性複合繊維を不織布の表面で溶融固化させると、優れた研磨性および拭き取り性が得られる。
前記ポリブテン−1樹脂と組み合わせて熱融着性複合繊維を構成する他のポリオレフィン樹脂としては、ポリブテン−1樹脂より融点の高いポリプロピレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂及びこれらの共重合樹脂等が挙げられる。なかでも、ポリブテン−1樹脂とポリプロピレン樹脂またはその共重合樹脂を構成成分とするものは、繊維および不織布の加工性の点で好ましい。
前記熱融着性複合繊維に占める低融点成分と高融点成分との断面積比(低融点成分:高融点成分)は、15:85〜80:20であることが好ましい。前記断面積比とすることにより、紡糸の工程安定性、および不織布加工時に熱融着性繊維を溶融固化させたときに十分な不織布表層の硬さを得ることができる。より好ましい断面積比(低融点成分:高融点成分)は、40:60〜60:40である。さらに好ましい断面積比は、45:55〜55:45である。
前記熱融着性繊維の繊度は、1dtex以上10dtex以下の範囲内であることが好ましい。より好ましい繊度の下限は、3dtexである。より好ましい繊度の上限は、6dtexである。熱融着性繊維の繊度が1dtex未満であると、溶融固形物の厚みが小さくなる傾向にあり、研磨性が低下する場合がある。繊度が10dtexを超えると、溶融固形物が不均一な塊となる傾向にあり、対象面を必要以上に傷つける場合がある。
前記熱融着性繊維が表層を構成する繊維に占める割合は、70mass%以上であることが好ましい。より好ましい割合は、80mass%以上である。さらに好ましい割合は、90mass%以上である。ガサガサした独特の表面タッチを最大限にするには、表層を全て熱融着性繊維で占めることが好ましい。熱融着性繊維の含有量が70mass%未満であると、研磨性および拭き取り性が低下する傾向にあるからである。なお、熱融着性繊維の割合は、前述したように表層と耐熱性繊維層とを三次元的に交絡した場合、耐熱性繊維層を構成する繊維の一部が表層内に入り込むことがあるが、これら繊維は除いた割合である。
前記表層には、前記熱融着性繊維以外に、不織布の表面タッチを阻害しない範囲で他の繊維を混合してもよい。混合される他の繊維としては、特に限定されるものではないが、なかでも、熱融着性繊維を完全に溶融したときに鞘成分を構成する樹脂のみが溶融する鞘芯型複合繊維を含むことが好ましい。当該鞘芯型複合繊維であると、鞘成分のみが溶融して、溶融固形物を形成するが、芯成分は残存して繊維形状を維持している。その結果、繊維形状を維持した鞘芯型複合繊維は、熱融着性繊維が完全に溶融して形成される大きい溶融固形物の橋渡しをするとともに、小さい溶融固形物が点在するので、研磨性等を調整することができる。
前記鞘芯型複合繊維の具体例としては、ポリエチレン樹脂/ポリエステル樹脂、ポリブテン−1樹脂/ポリエステル樹脂等が挙げられる。なかでもポリブテン−1樹脂/ポリエステル樹脂の組み合わせからなる鞘芯型複合繊維が、高い研磨性等を有する点で好ましい。
前記耐熱性繊維層は、前記溶融固形物の融点よりも高い融点または分解点を有する成分を含む耐熱性繊維を含有する繊維層から構成される。前記耐熱性繊維は、熱融着性繊維が完全に溶融したときでもなお構成する成分のうち少なくとも1つの成分が繊維形状を維持することが可能である繊維のことを指す。例えば、鞘芯型、並列型などの複合繊維であれば、熱融着性繊維が完全に溶融したとき1成分が溶融してもなお他の成分が繊維形状を維持している場合がそれに該当する。好ましい耐熱性繊維の少なくとも1成分の融点または分解点は、熱融着性繊維の融点よりも30℃以上高い繊維である。耐熱性繊維の少なくとも1成分の融点または分解点が熱融着性繊維の融点よりも低いと、溶融固形物を形成させた時に繊維形状を維持することが困難となり、不織布加工時に収縮を伴う可能性があるだけでなく、所望の不織布表層の形態が得られない場合がある。なお、ここでいう分解点は、実質的に融点を持たない繊維、例えば非熱可塑性繊維などを規定するときに用いられる。
前記耐熱性繊維としては、融点の高いポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル繊維、ナイロン等のポリアミド繊維、アクリル繊維、ポリメチルペンテン繊維、またはこれらの共重合の繊維などが挙げられる。また、非熱可塑性繊維でもよく、例えば、ビスコースレーヨン、溶剤紡糸レーヨン等の再生繊維、コットン、パルプ、麻等の天然繊維などが挙げられる。特に、上記再生繊維や天然繊維、あるいは親水性を付与した合成繊維などの親水性繊維を使用すると、不織布自体に吸水性が得られるので、研磨用不織布に洗浄剤、研磨剤などを液体に溶解または分散させて使用するときに有効である。
また、前記耐熱性繊維としては、熱融着性繊維を完全に溶融したときに鞘成分を構成する樹脂のみが溶融する鞘芯型複合繊維を含んでもよい。当該鞘芯型複合繊維であると、鞘成分のみが溶融して、溶融固形物を形成するが、芯成分は残存して繊維形状を維持するので、不織布加工時に収縮を伴うことなく、小さい溶融固形物で研磨性等を調整することができる。前記鞘芯型複合繊維の具体例としては、ポリエチレン樹脂/ポリエステル樹脂、ポリブテン−1樹脂/ポリエステル樹脂等が挙げられる。なかでもポリブテン−1樹脂/ポリエステル樹脂の組み合わせからなる鞘芯型複合繊維は、表層にポリブテン−1樹脂を含む場合に層間の結合性が高く、好ましい。
前記耐熱性繊維層の具体例としては、前記鞘芯型複合繊維を含む繊維層と、親水性繊維を含む繊維層の2層以上で構成しており、前記表層と、前記鞘芯型複合繊維を含む繊維層とが当接してなることが好ましい。かかる構成によれば、表層を構成する熱融着性繊維を完全に溶融させた時に、不規則な凹凸と孔部を形成しながら溶融固形物を形成するとともに、表層に当接された鞘芯型複合繊維も繊維形状を維持しながら鞘成分が溶融して構成する繊維同士を接着するので、表面タッチを維持しつつ、ハンドリング性、寸法安定性が高い不織布を得ることができる。
本発明の積層不織布の表層には、凹凸状に盛り上がった多孔状に拡がった溶融固形物を形成しており、厚みが0.1mm以上である溶融固形物を含むことが好ましい。より好ましい溶融固形物の厚みは、0.15mm以上である。より好ましい溶融固形物の厚みは、1mm以下である。さらにより好ましい溶融固形物の厚みは、0.5mm以下である。厚みが0.1mm以上の溶融固形物は、表層において50%以上を占めることが好ましい。溶融固形物の厚みは、多孔状の溶融固形物の断面から見たときに溶融固形物の隆起した部分(凸部)と孔部との高低差が大きい、つまり大きな凸部が形成されていることを示している。溶融固形物の厚みが大きいほど、研磨性および拭き取り性は向上する傾向にある。なお、溶融固形物の厚み、および0.1mm以上の厚みを有する溶融固形物が表層を占める割合を算出する方法は、下記のとおり行った。まず、不織布の縦方向(機械方向)の断面を電子顕微鏡等で50倍程度に拡大して、任意に10箇所撮影する。溶融固形物の厚みは、撮影した10箇所から溶融固形物と繊維層とが当接する位置(底部)と溶融固形物が隆起して最も高い位置(頂部)との間の長さを求めた。0.1mm以上の厚みを有する溶融固形物の割合は、撮影した10箇所のうち溶融固形物の切断面が出現しているものを1カウントとしたとき、全溶融固形物のカウント数に対する0.1mm以上の厚みを有する溶融固形物のカウント数の割合を求めた。例えば、図3のように底部(8)と頂部(9)間の長さを溶融固形物の厚み(10)とした。
前記表層は、熱融着性繊維が完全に溶融されて互いに集合した多孔状の溶融固形物を形成しており、一方向において長さ1mm以上に延びる溶融固形物を含むことが好ましい。より好ましい溶融固形物の一方向における長さは、2mm以上である。また、一方向における長さが1mm以上の溶融固形物は、不織布表面の80%以上を占めることが好ましい。溶融固形物の長さが大きいほど、あるいは溶融固形物の不織布表面に占める割合が大きいほど、研磨性および拭き取り性は向上する。なお、溶融固形物の長さ、および溶融固形物が不織布表面を占める割合を算出する方法は、下記のとおり行った。まず、不織布表面を電子顕微鏡等で50倍程度に拡大して、任意に10箇所撮影する。溶融固形物の長さは、撮影した10箇所から溶融固形物の長さを求めた。溶融固形物の割合は、撮影した10箇所のうち溶融固形物が多孔状に1mm以上にわたって連なっているものがあれば1カウントとし、10箇所中に何箇所1mm以上の溶融固形物があるかの割合を求めた。例えば、図2の場合、電子顕微鏡で拡大してみた時に溶融固形物は独立したものがなく、連続して多孔状に形成している。この場合、溶融固形物は、拡大して視認できる範囲の最大長さ以上に一方向に延びていると判断した。
さらに、本発明の積層不織布における溶融固形物は、前述した一方向において長さ1mm以上に延び、かつ0.15mm以上の厚みを有することが好ましい。上記範囲を満たす溶融固形物を含有することにより、研磨性に優れるとともに、拭き取り性に優れた不織布が得られる。
次に、本発明の研磨用不織布の好ましい形態を具体的に説明する。本発明の研磨用不織布は、前記積層不織布の表層を研磨面として使用し得るものである。本発明の研磨用不織布の最も好ましい形態は、ポリブテン−1樹脂が繊維表面の少なくとも一部を占めてなる熱融着性繊維90mass%以上含有する繊維層と、前記熱融着性繊維の融点よりも高い融点または分解点を有する耐熱性繊維を含有する繊維層とが三次元的交絡により一体化してなり、不織布の表層に存在する前記熱融着性繊維が完全に溶融されて互いに集合した多孔状の溶融固形物を形成しているものである。本発明者は、ポリブテン−1樹脂が他の樹脂に比べて、研磨性および拭き取り性に優れることを見い出した。そして、ポリブテン−1樹脂が繊維表面の少なくとも1部を占めてなる熱融着性繊維を不織布の表層に90mass%の含有量となるようにして、完全に溶融させて互いに集合した多孔状の溶融固形物を形成させることにより、研磨性および拭き取り性が大幅に向上するという知見を得た。前記溶融固形物は、一方向の長さが1mm以上のもの含むことが好ましい。さらに、一方向の長さが1mm以上の溶融固形物は、不織布表面の80%以上を占めることが好ましい。また表層は、厚みが0.1mm以上である溶融固形物を含むことが好ましい。さらに、厚みが0.1mm以上の溶融固形物は、表層において50%以上を占めることが好ましい。
次に、本発明の研磨用不織布の製造方法について説明する。前記表層および耐熱性繊維層を形成させるために、各層それぞれの繊維層を準備する。繊維層は、繊維ウェブまたは不織布であることが好ましい。前記繊維ウェブの形態としては、カードウェブ、エアレイウェブ、スパンボンドウェブ、メルトブローウェブなどが挙げられる。なかでもカードウェブが三次元的に交絡し易く、好ましい。
前記表層に配置される繊維層の目付は、10g/m2以上80g/m2以下の範囲内であることが好ましい。より好ましい目付は、20g/m2以上である。より好ましい目付は、50g/m2以下である。表層に配置される繊維層の目付が10g/m2未満であると、溶融固形物が少なくなり、研磨性等が低下する場合がある。さらに、繊維層の地合いが悪くなり、溶融固形物が不均一な塊となることがある。表層に配置される繊維層の目付が80g/m2を超えると、溶融固形物が不均一な塊となることがある。
前記耐熱性繊維層の目付は、使用する対象面等の用途に応じて適宜設定するとよいが、10g/m2以上100g/m2以下の範囲内であることが好ましい。より好ましい目付は、20g/m2以上である。より好ましい目付は、60g/m2以下である。耐熱性繊維層の目付が10g/m2未満であると、繊維層の地合いが悪くなる場合がある、あるいは研磨用不織布として水分や薬液等を含浸して使用する場合に含浸性が悪くなることがある。耐熱性繊維層の目付が100g/m2を超えると、水流交絡処理をした場合の各層間の交絡性が低下する傾向にある。
前記したそれぞれの繊維層は、前記熱融着性繊維を含む繊維層が表層に配置されるように積層される。積層された繊維層は、そのまま熱処理を施してもよいが、少なくとも一層が繊維ウェブの場合、水流交絡処理および/またはニードルパンチ処理することが好ましい。水流交絡処理および/またはニードルパンチ処理することにより、繊維ウェブを構成する繊維は、三次元的に交絡すると同時に積層した他の繊維層に当接している各層の繊維同士も三次元的に交絡して、繊維層は一体化されて交絡不織布となす。特に、得ようとする積層不織布の目付が200g/m2以下である場合、水流交絡処理を施すことが好ましい。
そして、前記交絡不織布は必要に応じて乾燥した後、熱融着性繊維を構成する成分の融点以上の温度で、かつ耐熱性繊維の少なくとも1つの成分が溶融または分解点する温度未満で熱処理して、熱融着性繊維を完全に溶融させる。好ましい熱処理温度は、熱融着性繊維を構成する成分の融点+20(℃)以下である。熱処理温度が熱融着性繊維を構成する成分の融点未満であると、熱融着性繊維を完全に溶融させることができない。一方、熱処理温度が耐熱性繊維の融点または分解点以上であると、耐熱性繊維自体が融解または分解すると不織布に急激な収縮を伴う場合がある。また、形成される溶融固形物の長さが小さくなり、研磨性および拭き取り性等が低下する場合がある。熱処理の方法としては、例えば、エアースルー法、遠赤外線加熱法などが挙げられる。熱処理後、強制的に、または自然に冷却して本発明の積層不織布が得られる。
また、前記熱融着性繊維が鞘芯型熱融着性複合繊維の場合、熱処理温度は、芯成分の融点以上、芯成分の融点+15℃以下の範囲であることが好ましい。かかる温度範囲に設定することにより、溶融固形物の大きさ、形状を調整することができる。
本発明の研磨用不織布は、従来の研磨布のように酸化鉄、タルク、酸化アルミニウム等の研磨剤を使わずとも十分な研磨力をもつことができるが、汚れの種類によってこれら研磨剤を使用することは差し支えない。
また、本発明の研磨用不織布に予め洗浄剤や研磨剤などを含有する液体を含浸した湿潤不織布として用いる場合は、耐熱性繊維層を構成する繊維として、セルロース系繊維および親水化処理を施した合成繊維などの親水性繊維を含有させるとよい。
以下、図面により本発明の積層不織布を説明する。図1は、本発明に用いることができる熱融着性繊維の繊維断面構造の一例を示す図である。具体的には、低融点成分(1)を鞘成分とし、高融点成分(2)を芯成分とする同心円鞘芯型複合繊維の断面構造を示している。
図2は、本発明の積層不織布における表面構造の一例を示す図である。熱融着性繊維が完全に溶融されて互いに集合した溶融固形物(3)が不織布の表面に拡がって表層を形成している。また、溶融固形物(3)は、多孔状に拡がり孔部(4)を形成している。
図3は、本発明の積層不織布における断面構造の一例を示す図である。不織布は、耐熱性繊維を含む耐熱繊維層(6)の上に、熱融着性繊維が完全に溶融されて互いに集合した溶融固形物(3)が不織布の表面に拡がって表層(7)を形成している。また、溶融固形物(3)は、多孔状に拡がり、不規則な厚みを持って凹凸状に盛り上がっており、凸部(5)および孔部(4)を形成している。
図4は、本発明の積層不織布における断面構造の別の一例を示す図である。不織布は、耐熱性繊維を含有する耐熱性繊維層(6)の両側に、熱融着性繊維が完全に溶融されて互いに集合した溶融固形物(3)が不織布の表面に拡がって表層(7)を形成している。また、溶融固形物(3)は、多孔状に拡がり、不規則な厚みを持って凹凸状に盛り上がっており、凸部(5)および孔部(4)を形成している。
以下、実施例により本発明を詳しく説明する。
[繊維の準備]
以下の繊維を準備した。
(1)熱融着性繊維:鞘成分を融点123℃のポリブテン−1樹脂(三井化学(株)製、商品名タフマーBL7000)とし、芯成分を融点163℃のポリプロピレン樹脂(日本ポリケム(株)製)とし、繊維断面積比(鞘:芯)が5:5とした、繊度が4.2dtex、繊維長が51mmの同心円鞘芯型複合繊維。
(2)耐熱性繊維:分解点200℃以上の繊度が1.7dtex、繊維長が40mmのレーヨン繊維(ダイワボウレーヨン(株)製、商品名コロナ)。
(3)鞘芯型複合繊維:鞘成分を融点123℃のポリブテン−1樹脂(三井化学(株)製、商品名タフマーBL7000)とし、芯成分を融点256℃のポリエチレンテレフタレート樹脂(東レ(株)製、商品名T−200E)とし、繊維断面積比(鞘:芯)が5:5とした、繊度が2.2dtex、繊維長が51mmの同心円鞘芯型複合繊維。
[実施例1]
熱融着性繊維100mass%からなる目付30g/m2の表層用のカードウェブを準備した。一方、耐熱性繊維100mass%からなる目付30g/m2の耐熱性繊維層用のカードウェブを準備した。上記2層のカードウェブを積層して、ウェブ搬送用支持体に載置した後、孔径0.12mmのオリフィスが0.6mm間隔で配列したノズルから水圧3MPa、5MPaの柱状水流を表層面に噴射し、裏返して繊維層面に同じノズルから水圧5MPaの柱状水流を噴射して水流交絡処理を施した。次いで、サクションボックスにより脱水し、100℃で乾燥して交絡不織布を得た。
前記交絡不織布に、エアースルー熱処理機を用いて、温度170℃の熱風で10秒間熱処理を施し、自然冷却して本発明の研磨用不織布を得た。得られた不織布は、表層を構成する熱融着性繊維が完全に溶融して互いに集合した凹凸状に盛り上がった多孔状に拡がる溶融固形物を形成しており、全体にガサガサした硬さを備えていた。得られた不織布の不織布表面を電子顕微鏡で50倍に拡大して、任意に10箇所撮影したところ、溶融固形物の一方向の長さは、電子顕微鏡で拡大して視認できる範囲以上の長さ、すなわち2mm以上であった。さらに、上記溶融固形物は、10箇所全てに存在しており、不織布表面の100%を占めていた。また、溶融固形物の厚みにおいて、0.1mm以上の厚みを有する溶融固形物は、表層に100%であり、0.15mm以上の厚みを有する溶融固形物は、表層に約85%であった。
[実施例2]
熱融着性繊維100mass%からなる目付30g/m2の表層用のカードウェブを2枚準備した。一方、耐熱性繊維100mass%からなる目付30g/m2の耐熱性繊維層用のカードウェブを準備した。繊維層用のカードウェブの両側に表層用のカードウェブが配置されるように積層して、実施例1と同様のノズルを用いて積層ウェブの表層面を水圧3MPa、6MPaで、裏返して水圧6MPaで柱状水流交絡処理した。次いで、サクションボックスにより脱水し、100℃で乾燥して交絡不織布を得た。
前記交絡不織布に、エアースルー熱処理機を用いて、温度170℃の熱風で10秒間熱処理を施し、自然冷却して本発明の研磨用不織布を得た。得られた不織布は、表層を構成する熱融着性繊維が完全に溶融して互いに集合した凹凸状に盛り上がった多孔状に拡がる溶融固形物を形成しており、全体にガサガサした硬さを備えていた。得られた不織布の不織布表面を電子顕微鏡等で50倍に拡大して、任意に10箇所撮影したところ、溶融固形物の一方向の長さは、電子顕微鏡で拡大して視認できる範囲以上の長さ、すなわち2mm以上であった。さらに、上記溶融固形物は、10箇所全てに存在しており、不織布表面の100%を占めていた。また、溶融固形物の厚みにおいて、0.1mm以上の厚みを有する溶融固形物は、表層に100%であり、0.15mm以上の厚みを有する溶融固形物は、表層に約85%であった。
[実施例3]
熱融着性繊維90mass%と耐熱性繊維10mass%を混綿した目付30g/m2の表層用のカードウェブを2枚準備した以外は、実施例2と同様の方法で、本発明の研磨用不織布を得た。得られた不織布は、表層を構成する熱融着性繊維が完全に溶融して互いに集合した凹凸状に盛り上がった多孔状に拡がる溶融固形物を形成しており、全体にガサガサした硬さを備えていた。得られた不織布の不織布表面を電子顕微鏡等で50倍に拡大して、任意に10箇所撮影したところ、溶融固形物の一方向の長さは、電子顕微鏡で拡大して視認できる範囲以上の長さ、すなわち2mm以上であった。さらに、上記溶融固形物は、10箇所全てに存在しており、不織布表面の100%を占めていた。また、溶融固形物の厚みにおいて、0.1mm以上の厚みを有する溶融固形物は、表層に約90%であり、0.15mm以上の厚みを有する溶融固形物は、表層に約60%であった。
[実施例4]
熱融着性繊維80mass%と耐熱性繊維20mass%を混綿した目付30g/m2の表層用のカードウェブを2枚準備した以外は、実施例2と同様の方法で、本発明の研磨用不織布を得た。得られた不織布は、表層を構成する熱融着性繊維が完全に溶融して互いに集合した凹凸状に盛り上がった多孔状に拡がる溶融固形物を形成しており、全体にガサガサした硬さを備えていた。得られた不織布の不織布表面を電子顕微鏡等で50倍に拡大して、任意に10箇所撮影したところ、溶融固形物の一方向の長さは、電子顕微鏡で拡大して視認できる範囲以上の長さ、すなわち2mm以上であった。さらに、上記溶融固形物は、10箇所全てに存在しており、不織布表面の100%を占めていた。また、溶融固形物の厚みにおいて、0.1mm以上の厚みを有する溶融固形物は、表層に約70%であり、0.15mm以上の厚みを有する溶融固形物は、表層に約30%であった。
[実施例5]
実施例2の交絡不織布に、エアースルー熱処理機を用いて、温度175℃の熱風で10秒間熱処理を施し、自然冷却して本発明の研磨用不織布を得た。得られた不織布は、表層を構成する熱融着性繊維が完全に溶融して互いに集合した凹凸状に盛り上がった多孔状に拡がる溶融固形物を形成しており、全体にガサガサした硬さを備えていた。得られた不織布の不織布表面を電子顕微鏡等で50倍に拡大して、任意に10箇所撮影したところ、溶融固形物の少なくとも一方向の長さは、電子顕微鏡で拡大して視認できる範囲以上の長さ、すなわち2mm以上であった。さらに、上記溶融固形物は、10箇所全てに存在しており、不織布表面の100%を占めていた。また、溶融固形物の厚みにおいて、0.1mm以上の厚みを有する溶融固形物は、表層に約90%であり、0.15mm以上の厚みを有する溶融固形物は、表層に約60%であった。
[実施例6]
熱融着性繊維80mass%と鞘芯型複合繊維20mass%を混綿した目付30g/m2の表層用のカードウェブを2枚準備した以外は、実施例2と同様の方法で、本発明の研磨用不織布を得た。得られた不織布は、表層を構成する熱融着性繊維が完全に溶融して互いに集合した凹凸状に盛り上がった多孔状に拡がる溶融固形物を形成しており、全体にガサガサした硬さを備えていた。さらに、鞘芯型複合繊維は、熱融着性繊維が完全に溶融して形成される大きい溶融固形物同士を橋渡しするように繊維形状を維持しながら部分的に小さい溶融固形物を形成していた。得られた不織布の不織布表面を電子顕微鏡等で50倍に拡大して、任意に10箇所撮影したところ、溶融固形物の一方向の長さは、電子顕微鏡で拡大して視認できる範囲以上の長さ、すなわち2mm以上であった。さらに、上記溶融固形物は、10箇所全てに存在しており、不織布表面の100%を占めていた。また、溶融固形物の厚みにおいて、0.1mm以上の厚みを有する溶融固形物は、表層に約75%であり、0.15mm以上の厚みを有する溶融固形物は、表層に約30%であった。
[実施例7]
熱融着性繊維100mass%からなる目付30g/m2の表層用のカードウェブを準備した。一方、耐熱性繊維層用のカードウェブとして、鞘芯型複合繊維100mass%からなる目付30g/m2のカードウェブと、耐熱性繊維100mass%からなる目付30g/m2のカードウェブの積層ウェブを準備した。鞘芯型複合繊維からなるカードウェブが表層用カードウェブと当接するように積層して、ウェブ搬送用支持体に載置した後、孔径0.12mmのオリフィスが0.6mm間隔で配列したノズルから水圧3MPa、5MPaの柱状水流を表層面に噴射し、裏返して繊維層面に同じノズルから水圧5MPaの柱状水流を噴射して水流交絡処理を施した。次いで、サクションボックスにより脱水し、100℃で乾燥して交絡不織布を得た。
前記交絡不織布に、エアースルー熱処理機を用いて、温度170℃の熱風で10秒間熱処理を施し、自然冷却して本発明の研磨用不織布を得た。得られた不織布は、表層を構成する熱融着性繊維が完全に溶融して互いに集合した凹凸状に盛り上がった多孔状に拡がる溶融固形物を形成しており、全体にガサガサした硬さを備えていた。得られた不織布の不織布表面を電子顕微鏡等で50倍に拡大して、任意に10箇所撮影したところ、溶融固形物の少なくとも一方向の長さは、電子顕微鏡で拡大して視認できる範囲以上の長さ、すなわち2mm以上であった。さらに、上記溶融固形物は、10箇所全てに存在しており、不織布表面の100%を占めていた。また、溶融固形物の厚みにおいて、0.1mm以上の厚みを有する溶融固形物は、表層に100%であり、0.15mm以上の厚みを有する溶融固形物は、表層に約80%であった。
[比較例1]
熱融着性繊維100mass%からなる目付30g/m2のカードウェブを作製し、これを実施例1と同様の方法で交絡不織布とした。実施例1と同じ条件で熱処理したところ不織布は全体が収縮し研磨布として使用できなかった。
[比較例2]
実施例2の交絡不織布に、エアースルー熱処理機を用いて、温度140℃の熱風で10秒間熱処理を施し、自然冷却して不織布を得た。得られた不織布は、表層を構成する熱融着性繊維において、鞘成分のポリブテン−1樹脂しか溶融しておらず、熱融着性繊維が完全に溶融していなかったため、十分な表層の硬さが得られなかった。
[比較例3]
実施例2の交絡不織布に、エアースルー熱処理機を用いて、温度160℃の熱風で10秒間熱処理を施し、自然冷却して不織布を得た。得られた不織布は、表層を構成する熱融着性繊維において、鞘成分のポリブテン−1樹脂しか溶融しておらず、熱融着性繊維が完全に溶融していなかったため、十分な表層の硬さが得られなかった。
上記各実施例、および比較例の不織布を使って、以下に示す方法で汚れ落としテストを行った。得られた結果を表1に示す。
[汚れ落としテスト]
(1)汚れの作製:厚さ1mmのステンレス製板に黒色の油性インキ(ゼブラ(株)製、商品名ハイ・マッキー)、食用の醤油(コープ製、商品名本醸造特級こいくち)で直径約1cmの丸い印をつけて汚れとした。なお、醤油は印をつけてから熱風乾燥機に入れ100℃で1時間乾燥固化させた。
(2)試験方法:平面上においた上記の汚れをつけたステンレス製板上に、たて、よこ2cm角に裁断した不織布を上記油性インキ、醤油でつけた汚れ印の上ほぼ中心に置いた。不織布に人差し指で約3kgの押圧がかかるようにして、1方向に20mmのこすり巾で不織布を往復させた。往復回数ごとの汚れの落ち具合を視認し、以下の評価基準で判定した。
◎:完全に汚れがなくなっている。
○:部分的にわずかに汚れが残っている。
△:汚れが半分程度残っている。
×:汚れがほとんど落ちていない。
Figure 0004113516
実施例1〜3、6、及び7の研磨用不織布は、研磨性および拭き取り性に優れており、油性インキおよび醤油の汚れを落とすことができた。実施例4の研磨用不織布は、表層における耐熱性繊維の含有量が多かったためか、汚れの落ち方が若干低下したものの、比較例2の不織布に比べて格段に研磨性および拭き取り性が向上したものであった。実施例5の研磨用不織布は、表層を構成する熱融着性繊維の融解がさらに進んだため、溶融樹脂の集合状態がさらに顕著となって溶融固形物の大きさは小さくなる傾向であったが、研磨性および拭き取り性は十分であった。
比較例1は、熱融着性繊維のみで構成された不織布であり、繊維層を有していないため、熱処理時に急激な収縮を伴い、不織布として取り扱いできるものではなかった。比較例2の不織布は、熱融着性繊維同士の交点が融着されただけであり、溶融固形物は形成されておらず、汚れを落とすことができなかった。比較例3の不織布は、熱融着性繊維同士の交点が融着されて水掻き状に拡がっていたが、溶融固形物は形成されておらず、汚れを落とすことができなかった。
本発明の積層不織布は、独特の表面タッチを有し、ハンドリング性など取り扱い性に優れるので、対人ワイパー、対物ワイパー、研磨用不織布、面ファスナー材、ヘッドレスト、枕カバー、繊維製品の滑り止め材等の用途に用いることができる。
本発明に用いることができる熱融着性繊維の繊維断面構造の一例を示す図である。 本発明の積層不織布における表面構造の一例を示す図である。 本発明の積層不織布における断面構造の一例を示す図である。 本発明の積層不織布における断面構造の別の一例を示す図である。
符号の説明
1 低融点成分
2 高融点成分
3 溶融固形物
4 孔部
5 凸部
6 耐熱性繊維層
7 表層
8 底部
9 頂部
10 溶融固形物の厚み

Claims (12)

  1. 熱融着性繊維が完全に溶融されて互いに集合した多孔状の溶融固形物を含む表層と、
    前記溶融固形物の融点よりも高い融点または分解点を有する成分を含む耐熱性繊維を含み、繊維形状を維持した耐熱性繊維層が結合されてなる積層不織布であって、
    前記熱接着性繊維が低融点成分と高融点成分から構成される熱融着性複合繊維であり、
    前記高融点成分の融点が前記耐熱性繊維を構成する少なくとも1つの成分の融点または分解点よりも低い温度であり、
    前記表層が、厚みを0.1mm以上である溶融固形物の隆起した部分を有することを特徴とする積層不織布。
  2. 前記表層が、一方向において長さ1mm以上に延びる溶融固形物を含む請求項に記載の積層不織布。
  3. 前記表層が、前記熱融着性繊維以外に、熱融着性繊維を完全に溶融したときに鞘成分を構成する樹脂のみが溶融する鞘芯型複合繊維を含む請求項1または2に記載の積層不織布。
  4. 前記表層が、熱融着性繊維を90mass%以上含む請求項1〜のいずれかに記載の積層不織布。
  5. 前記熱融着性繊維が、ポリブテン−1樹脂を含む請求項1記載の積層不織布。
  6. 前記熱融着性複合繊維が、低融点成分を鞘成分とし、高融点成分を芯成分とする鞘芯型熱融着性複合繊維であって、鞘成分がポリブテン−1樹脂であり、芯成分が前記ポリブテン−1樹脂の融点よりも高い融点を有する他のポリオレフィン樹脂である請求項1〜5記載の積層不織布。
  7. 前記耐熱性繊維層が、親水性繊維を含む請求項1記載の積層不織布。
  8. 前記耐熱性繊維層が、熱融着性繊維を完全に溶融したときに鞘成分を構成する樹脂のみが溶融する鞘芯型複合繊維を含む請求項1またはに記載の積層不織布。
  9. 前記耐熱性繊維層が、前記鞘芯型複合繊維を含む繊維層と、親水性繊維を含む繊維層の2層以上で構成しており、
    前記表層と、前記鞘芯型複合繊維を含む繊維層とが当接してなる請求項1、7、8のいずれかに記載の積層不織布。
  10. 前記鞘芯型複合繊維が、鞘成分をポリブテン−1樹脂とし、芯成分をポリエステル樹脂とする複合繊維である請求項3、8、9のいずれかに記載の積層不織布。
  11. 低融点成分と高融点成分から構成される熱融着性複合繊維を含む繊維層と、
    前記熱融着性繊維の高融点成分の融点が耐熱性繊維を構成する少なくとも1つの成分の融点または分解点よりも低い温度であって、
    前記熱融着性複合繊維の融点よりも高い融点または分解点を有する成分を含む前記耐熱性繊維を含む耐熱性繊維層が、
    熱融着性複合繊維を含む繊維層が表層に配置するように積層され、
    三次元的交絡処理により構成する繊維同士を交絡させて一体化した後、
    熱融着性複合繊維が完全に溶融する温度以上、耐熱性繊維の少なくとも1つの成分が溶融または分解する温度未満の範囲で熱処理を施して、
    熱融着性複合繊維が完全に溶融された互いに集合した多孔状の厚みが0.1mm以上である溶融固形物の隆起した部分を含む表層と、繊維形状を維持している耐熱性繊維層を結合させる積層不織布の製造方法。
  12. 請求項1〜10のいずれかに記載の積層不織布の表層を研磨面として使用し得る研磨用不織布。
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