JP4113383B2 - インクジェットヘッドの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットヘッドの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、いわゆるピエゾ方式やバブル方式によって、ノズルからインクを吐出させて記録媒体上に画像を形成するインクジェットヘッド及び記録装置が知られている。
【0003】
こうしたインクジェットヘッドは、所定の均一なピッチで並んで設けられた複数のインク流路と、該各インク流路に対応して設けられかつ、該インク流路内のインクに圧力を印加する複数の圧力印加手段(ピエゾ方式では圧電素子であり、バブル方式ではヒータである)と、上記各インク流路に連通して設けられかつ、上記圧力印加手段によって圧力が印加されたインクを吐出する複数のノズルとを備えている。従って、インクジェットヘッドでは、インク流路、圧力印加手段、及びノズルはそれぞれ、互いに同じ均一なピッチで並んで設けられることとなる。
【0004】
そして、例えば特開平11−78009号公報には、ピエゾ方式のインクジェットヘッドの製造方法として次のような方法が開示されている。
【0005】
すなわち、ノズル板に所定ピッチとなるようにノズルを貫通形成する一方で、インク流路部品に、例えばエッチング等によってインク流路を所定ピッチとなるように形成する。そして、このインク流路部品に対して成膜した圧電膜等のパターニングを行うことによって、上記所定ピッチとなるように圧電素子を形成する。
【0006】
こうして、ノズルが形成されたノズル板と、インク流路及び圧電素子が形成されたインク流路部品とを、上記ノズル及びインク流路のアライメント調整を行った上で、互いに接合することによりインクジェットヘッドが完成する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記ノズル板にノズルを貫通形成する方法として、エッチング、パンチング、及びレーザ加工等が知られている。
【0008】
また、レーザ加工法の一つとして、レーザ光を回析光学素子によって分岐して、その複数の回析レーザ光を被加工物に照射することにより、被加工物の複数箇所を一度に加工するいわゆるレーザ分岐加工法が知られており、このレーザ分岐加工法を、ノズルの形成に適用することが考えられる。つまり、回析光学素子によって分岐した複数の回析レーザ光をノズル板に照射することにより、このノズル板に複数のノズルを一度に形成することが考えられる。
【0009】
ところが、レーザ分岐加工法によってノズルを形成した場合には、各ノズルの中心軸と、インク流路及び/又は圧電素子の中心軸とがずれてしまい、その結果、インクジェットヘッドのインクの吐出不良を招く場合がある。つまり、ずれが小さいときには、ノズル間でインクの吐出速度及び吐出量のばらつきが生じ、ずれが大きいときには、インクが不吐出となる。
【0010】
これは、レーザ分岐加工法では、上述したように、回析光学素子によってレーザ光を分岐させているが、その加工に用いる回析光学素子の特性(例えば回析光学素子の製造誤差等に起因するもので、その回析光学素子に特有の性質)によって、ノズル板に対する回析レーザ光の照射位置にずれが生じ、これにより、ノズル板に貫通形成したノズルのピッチが均一にならない場合があるためである。
【0011】
つまり、例えば図9に示すように、レーザ分岐加工法によりノズル板83に形成した各ノズル14の位置の誤差は許容範囲内であったとしても、ノズルピッチP2が均一でなければその誤差が累積するため、アライメント調整を行ったとしても、均一な所定ピッチP1で形成したインク流路12の中心軸と、ノズル14の中心軸とのずれが生じてしまうのである(特に、同図に示すノズル板83の両端部を参照)。
【0012】
また、ノズルとインク流路との相互位置だけに限らず、インク流路の中心軸と圧力印加手段の中心軸とがずれた場合には、インクへの圧力の印加が所期通りに行われず、この場合も、インクジェットヘッドのインクの吐出不良を招く場合がある。
【0013】
このように、インクジェットヘッドの製造において、レーザ分岐加工法を採用した場合には、ノズル、インク流路及び圧力印加手段の相互位置の精度が低下してしまうという問題がある。
【0014】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、いわゆるレーザ分岐加工法を採用したインクジェットヘッドの製造方法において、ノズル、インク流路及び圧力印加手段の相互位置の精度を向上させることにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、レーザ分岐加工法において加工精度を高めることは、極めて困難である上にコストも高くなることから、ノズル、インク流路及び圧力印加手段の内、いずれか1つの要素をレーザ分岐加工法を利用して形成したときには、その形成した要素のピッチ特性と同じピッチ特性となるように、その他の要素を形成することとした。
【0016】
具体的に、第1の発明は、所定ピッチで並んで設けられた複数のインク流路と、該各インク流路に対応して設けられかつ、該インク流路内のインクに圧力を印加する複数の圧力印加手段と、上記各インク流路に連通して設けられかつ、上記圧力印加手段によって圧力が印加されたインクを吐出する複数のノズルとを備えたインクジェットヘッドの製造方法に係る。
【0017】
そして、第1の発明に係る製造方法は、上記各ノズルを、ノズル板に貫通形成するノズル形成工程と、上記各インク流路を、所定のパターンが形成された第1マスクを用いて形成するインク流路形成工程と、上記各圧力印加手段を、所定のパターンが形成された第2マスクを用いて形成する圧力印加手段形成工程とを含み、上記ノズル形成工程は、回析光学素子によって分岐させた複数の回析レーザ光を上記ノズル板に照射することにより、該ノズル板に、上記所定ピッチとなるように複数のノズルを一度に形成する工程とし、上記第1及び第2マスクの内の少なくとも一方のマスクは、上記ノズル形成工程で上記ノズル板に形成したノズルのピッチ特性と同じピッチ特性のパターンを形成したものとする。
【0018】
この構成によると、ノズル形成工程においては、回析光学素子によって分岐させた複数の回析レーザ光を上記ノズル板に照射することで、該ノズル板に、所定ピッチとなるように複数のノズルを同時に形成する。つまり、レーザ分岐加工法によってノズルの形成を行う。これにより、ノズル板に形成された各ノズルの位置の誤差は許容範囲内であったとしても、そのノズルピッチは、加工に用いた回析光学素子の特性により均一でない場合がある。つまり、ノズルピッチは、加工に用いた回析光学素子の特性を反映したピッチ特性を有するようになる。
【0019】
インク流路形成工程では、各インク流路を、所定のパターンが形成された第1マスクを用いて形成する。具体的には、例えばエッチングや電鋳等によってインク流路を形成すればよい。
【0020】
尚、ここでいう「インク流路」には、圧力印加手段によってインクに圧力を印加するための圧力室、及びこの圧力室とノズルとを連通させる吐出用インク流路が含まれる。
【0021】
また、圧力印加手段形成工程では、所定のパターンが形成された第2マスクを用いて各圧力印加手段を形成する。これは、例えばエッチング等によって圧力印加手段を形成すればよい。
【0022】
そして、上記インク流路形成工程及び圧力印加手段形成工程で用いる第1及び第2マスクの内の少なくとも一方のマスクは、上記ノズル形成工程で上記ノズル板に形成したノズルのピッチ特性と同じピッチ特性のパターンを形成したものとする。
【0023】
こうすることで、このマスクパターンのピッチは、均一のピッチとは限らないが、ノズル板に形成したノズルピッチと同じピッチとなる。このため、このマスクを用いて形成したインク流路及び/又は圧力印加手段のピッチ特性は、ノズルのピッチ特性と同じになり、仮にノズルピッチが均一でなくても、ノズルと、インク流路及び/又は圧力印加手段との相互位置の精度は向上する。その結果、インクジェットヘッドのインクの吐出不良を防止することができる。
【0024】
上記第1の発明においては、上記第1及び第2マスクの内の少なくとも一方のマスクは、ノズル形成工程で用いた回析光学素子と同じ回析光学素子によって分岐させた複数の回析レーザ光をマスク材に照射することにより、該マスク材に所定のパターンを形成して作製される。
【0025】
こうすることで、第1及び/又は第2マスクのパターンピッチの特性を、ノズル板に形成したノズルのピッチ特性と同じにすることが容易に可能になる。
【0026】
すなわち、上述したように、レーザ分岐加工法によってノズル板に形成したノズルのピッチには、加工に用いた回析光学素子の特性が反映するため、その回析光学素子の特性によっては、形成したノズルのピッチが均一にならない場合がある。ここで、上記回析光学素子の特性は再現性を有しているため、同じ回析光学素子を用いて加工を行えば、その加工物のピッチ特性は常に同じになる。そこで、ノズルを形成する際に用いた回析光学素子と同じ回析光学素子を用いて、レーザ分岐加工法によりマスクのパターンを形成するようにすれば、形成されたマスクパターンのピッチには、回析光学素子の特性が反映されるため、マスクパターンのピッチ特性は、ノズル板に形成したノズルのピッチ特性と同じになる。
【0027】
こうして作製したマスクを用いて、インク流路及び/又は圧力印加手段を形成することにより、そのインク流路及び/又は圧力印加手段のピッチ特性を、ノズルのピッチ特性と同じにすることができる。
【0028】
尚、「ノズル形成工程において用いた回析光学素子と同じ回析光学素子」とは、ノズル形成工程において用いた回析光学素子と全く同一の回析光学素子のほか、ノズル形成工程において用いた回析光学素子と同じロットの回析光学素子であってもよい。
【0029】
つまり、回析光学素子は、例えば一枚のウエハに、多数のチップがエッチング等によって同時に形成されると共に、その1つのチップサイズの回析光学素子毎に分割されて製造されるが、回析光学素子の特性は、同一の条件下で製造された場合には同じになると考えられる。従って、同じウエハから製造された回析光学素子(同じロットの回析光学素子)は、互いに同じ特性を有すると考えられることから、ノズル形成工程において用いた回析光学素子と同じロットの回析光学素子を用いてマスクのパターンを形成しても、そのパターンのピッチ特性は、ノズルのピッチ特性と同じになる。
【0030】
第2の発明に係るインクジェットヘッドの製造方法は、各ノズルを、ノズル板に貫通形成するノズル形成工程と、各インク流路を、所定のパターンが形成された第1マスクを用いて形成するインク流路形成工程と、各圧力印加手段を、所定のパターンが形成された第2マスクを用いて形成する圧力印加手段形成工程とを含み、上記第1マスクは、回析光学素子によって分岐させた複数の回析レーザ光をマスク材に照射することにより、該マスク材に、上記所定ピッチとなるようにパターンを形成したものとして、上記ノズル形成工程は、上記インク流路形成工程で形成したインク流路のピッチ特性と同じピッチ特性で上記ノズル板にノズルを形成する工程とする。
【0031】
この構成によると、インク流路形成工程においては、第1マスクを用いてインク流路が形成される。この第1マスクは、レーザ分岐加工法により所定のパターンが形成されたものであるため、マスクパターンのピッチは、加工に用いた回析光学素子の特性が反映されたピッチ特性を有する。また、形成されたインク流路のピッチも、マスクと同様に、加工に用いた回析光学素子の特性が反映されたピッチ特性を有する。
【0032】
そして、ノズル形成工程では、上記インク流路形成工程において形成したインク流路のピッチ特性と同じピッチ特性でノズル板にノズルを形成する。
【0033】
これにより、ノズルのピッチは均一とは限らないが、インク流路のピッチ特性と同じピッチ特性となる。このため、ノズルとインク流路との相互位置の精度は向上し、その結果、インクジェットヘッドのインクの吐出不良を防止することができる。
【0034】
上記第2の発明においては、上記ノズル形成工程は、第1マスクを作製する際に用いた回析光学素子と同じ回析光学素子によってレーザ光を分岐させて、ノズル板に複数の回析レーザ光を照射することで、該ノズル板に複数のノズルを一度に形成する工程とする。
【0035】
こうすることで、ノズルは、レーザ分岐加工法によりノズル板に形成されるが、そのときに用いる回析光学素子が、第1マスクのパターンを形成する際に用いた回析光学素子と同じであるため、ノズルピッチに、その回析光学素子の特性が反映され、これにより、形成されたノズルのピッチ特性は、第1マスクのパターンのピッチ特性と同じになり、ひいてはインク流路のピッチ特性と同じになる。
【0036】
上記第2の発明においては、ノズルが形成される前のノズル板に対してインク流路形成工程によるインク流路の形成を行った後に、上記ノズル板にノズルを貫通形成するノズル形成工程を行うようにしてもよい。
【0037】
こうすることで、ノズルの目詰まりが防止される。つまり、インクジェットヘッドの製造の際には、通常、ノズルを形成したノズル板とインク流路を形成したインク流路部品とを積層して接合するが、この接着の際に接着剤のはみ出しによって、ノズル板に形成したノズルの目詰まりが生じることがある。
【0038】
これに対し、ノズルが形成される前のノズル板に対してインク流路形成工程によるインク流路の形成を行った後に、ノズル形成工程を行うことによって、仮に接着剤のはみ出しが生じたとしても、その後に、ノズル板に対してノズルを貫通形成するためノズルの目詰まりは生じない。
【0039】
尚、ここでのインク流路形成工程としては、具体的には、エッチング等によりインク流路が形成されたインク流路部品を、ノズル板に対して積層することにより行ってもよいし、インク流路部品(インク流路を形成していないインク流路部品)をノズル板に積層した後に、このインク流路部品に、エッチング等によりインク流路を形成してもよい。また、ノズル板に対して電鋳によってインク流路を形成するようにしてもよい。
【0040】
上記圧力印加手段は、各インク流路に対し振動層を介して設けられた、少なくとも圧電層と電極層とが積層されてなる圧電素子とすればよい。こうした圧電素子は、インク流路が形成されるインク流路部品上に積層して成膜した圧電膜と電極膜とに対して第2マスクを用いたエッチング等を行うことにより形成すればよい。
【0041】
第3,4の発明は、所定ピッチで並んで設けられた複数のインク流路と、該各インク流路に対応して設けられかつ、圧電効果により該インク流路内のインクに圧力を印加する複数の圧電素子と、上記各インク流路に連通して設けられかつ、上記圧電素子によって圧力が印加されたインクを吐出する複数のノズルとを備えたインクジェットヘッドの製造方法に係る。
【0042】
そして、第3,4の発明に係る製造方法は、上記各ノズルを、ノズル板に貫通形成するノズル形成工程と、上記各インク流路を、所定のパターンが形成されたマスクを用いて形成するインク流路形成工程と、上記インク流路に対して振動層を介して積層された少なくとも圧電膜と電極膜とに対するパターニングを行うことで、上記各圧電素子を形成する圧電素子形成工程とを含み、上記圧電素子形成工程は、回析光学素子によって分岐した複数の回析レーザ光を上記圧電膜及び電極膜に照射することにより、上記所定ピッチとなるように複数の圧電素子を一度に形成する工程として、上記マスクは、上記圧電素子形成工程で形成した圧電素子のピッチ特性と同じピッチ特性のパターンを形成したものとする。
【0043】
この構成により、圧電素子形成工程では、レーザ分岐加工法で圧電膜及び電極膜のパターニングを行うことによって、複数の圧電素子を、所定ピッチとなるように一度に形成する。このように、レーザ分岐加工法により圧電素子を形成するため、形成された圧電素子の位置の誤差は許容範囲内であったとしても、そのピッチは、加工に用いた回析光学素子の特性により均一でない場合があり、圧電素子のピッチは、加工に用いた回析光学素子の特性を反映したピッチ特性を有するようになる。
【0044】
そして、インク流路形成工程では、所定のパターンが形成されたマスクを用いてインク流路を形成する。このとき加工に用いるマスクは、上記圧電素子形成工程で形成した圧電素子のピッチ特性と同じピッチ特性のパターンを形成したものとする。こうすることで、このマスクパターンのピッチは、均一のピッチとは限らないが、圧電素子のピッチと同じピッチとなるため、このマスクを用いて形成したインク流路のピッチ特性は、圧電素子のピッチ特性と同じになり、仮に圧電素子のピッチが均一でなくても、圧電素子とインク流路との相互位置の精度は向上する。その結果、インクジェットヘッドのインクの吐出不良を防止することができる。
【0045】
上記第3の発明においては、上記マスクは、圧電素子形成工程で用いた回析光学素子と同じ回析光学素子によって分岐させた複数の回析レーザ光をマスク材に照射することにより、該マスク材に所定のパターンを形成して作製する。
【0046】
こうすることで、上述したように、形成されたマスクパターンのピッチには、回析光学素子の特性が反映されるため、マスクパターンのピッチ特性は、圧電素子のピッチ特性と同じになる。これにより、そのマスクを用いてインク流路を形成することにより、そのインク流路のピッチ特性を圧電素子のピッチ特性と同じにすることができ、圧電素子とインク流路との相互位置の精度は向上する。
【0047】
また、上記第4の発明においては、ノズル形成工程は、圧電素子形成工程で用いた回析光学素子と同じ回析光学素子によって分岐させた複数の回析レーザ光をノズル板に照射することにより、該ノズル板に複数のノズルを一度に貫通形成する工程とする。
【0048】
こうすることで、ノズル板に形成したノズルのピッチには、圧電素子形成工程で用いた回析光学素子の特性が反映されるため、ノズルのピッチ特性と圧電素子及びインク流路それぞれのピッチ特性とが同じになる。こうして、ノズル、インク流路及び圧電素子の相互位置の精度が向上する。
【0049】
上記第1〜第4の発明においては、レーザ光は、超短パルスレーザ光とするのがよい。
【0050】
つまり、超短パルスレーザ光は、CWレーザとは異なり、フェムト秒からナノ秒程度までの極めて短いパルス幅を有し、1パルス当りのエネルギが極めて大きいレーザ光である。このため、被加工物に熱を与えることなく、被加工物の表層だけを切削するコールドマシーニングが可能になる(アブレーション加工)。また、特にピコ秒レーザ光とした場合には、圧電体(ピエゾ)の加工が可能である上に、レーザ光を分岐した際に、フェムト秒レーザ光よりも光学収差が良く、ノズル、マスク及び/又は圧電素子の加工を精度良く行い得る。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明におけるインクジェットヘッドの製造方法によれば、ノズル、インク流路及び圧力印加手段(圧電素子)の内のいずれか1の要素をレーザ分岐加工法を利用して形成したときには、その形成した要素のピッチ特性と同じピッチ特性となるように他の要素を形成するため、上記ノズル、圧力室及び圧力印加手段の相互位置の精度を向上させることができる。その結果、インクジェットヘッドのインクの吐出不良を防止することができ、ひいてはインクジェット式記録装置の高画質化を図ることができる。
【0052】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基いて説明する。
【0053】
<第1実施形態>
図1は、本発明の実施形態に係るインクジェット式記録装置Aの概略を示し、この記録装置Aは、上面にインクを有するインクカートリッジ45が装着されかつ該インクを後述の如く記録媒体としての記録紙41に吐出するインクジェットヘッド1を備えている。このインクジェットヘッド1はキャリッジ43に支持固定され、このキャリッジ43には、図示を省略するキャリッジモータが設けられ、このキャリッジモータにより上記インクジェットヘッド1及びキャリッジ43が主走査方向(図1及び図2に示すX方向)に延びるキャリッジ軸44にガイドされてその方向に往復動するようになっている。
【0054】
上記記録紙41は、図示を省略する搬送モータによって回転駆動される2つの搬送ローラ42に挟まれていて、この搬送モータ及び各搬送ローラ42により、上記インクジェットヘッド1の下側において上記主走査方向と垂直な副走査方向(図1及び図2に示すY方向)に搬送されるようになっている。
【0055】
このように、上記キャリッジ43、キャリッジ軸44及びキャリッジモータ、並びに各搬送ローラ42及び搬送モータにより、インクジェットヘッド1と記録紙41とを相対移動させる相対移動手段4が構成される。
【0056】
上記インクジェットヘッド1は、図2〜図4に示すように、インクを供給するための供給口3a及びインクを吐出するための吐出口3bを有する複数の圧力室用凹部3が形成されたヘッド本体11を備えている。このヘッド本体11の各凹部3は、該ヘッド本体11の上面に上記主走査方向に延びるように開口されていて、互いに上記副走査方向に所定ピッチで並設されている。上記各凹部3の開口の全長は約1250μmに、幅は約130μmにそれぞれ設定されている。尚、上記各凹部3の開口の両端部は、略半円形状をなしている。
【0057】
上記ヘッド本体11の各凹部3の側壁部は約200μm厚の圧力室部品81で構成され、各凹部3の底壁部はインク流路部品82で構成されている。上記圧力室部品81は、例えば感光性ガラスにより形成すればよい。また、インク流路部品82は、この圧力室部品81の下面に接着固定された複数枚(図例では6枚)の薄板を積層して構成すればよく、例えばステンレス鋼製とすればよい。そして、このインク流路部品82内には、上記各凹部3の供給口3aとそれぞれ接続された複数のオリフィス13aと、この各オリフィス13aと接続されかつ上記副走査方向に延びる1つの供給用インク流路13と、上記吐出口3bと接続された複数の吐出用インク流路12とが形成されている。
【0058】
上記各オリフィス13aは、インク流路部品82において板厚が他よりも小さい上から2番目の薄板に形成されており、その径は約38μmに設定されている。また、上記供給用インク流路13は上記インクカートリッジ45と接続されており、このインクカートリッジ45より供給用インク流路13内にインクが供給されるようになっている。
【0059】
上記インク流路部品82の下面には、インク滴を上記記録紙41に向けて吐出するための複数のノズル14が形成されたノズル板83が接着固定されている。このノズル板83は、例えばステンレス鋼製とすればよい。また、上記各ノズル14は、上記吐出用インク流路12とそれぞれ接続されていて、この吐出用インク流路12を介して上記各凹部3の吐出口3bにそれぞれ連通されており、インクジェットヘッド1の下面において、上記副走査方向に所定のピッチで列状に並ぶように設けられている。尚、上記各ノズル14は、ノズル径がノズル先端側に向かって小さくなるテーパ状に形成されており、ノズル14の開口径は約20μmに設定されている。
【0060】
上記ヘッド本体11の上側には、アクチュエータ部2が設けられている。このアクチュエータ部2は、上記ヘッド本体11の各凹部3に対応して設けられた圧電素子21を有している。この各圧電素子21は、上記ヘッド本体11の上面に接着固定された状態で該ヘッド本体11の各凹部3を塞いで該凹部3と共に圧力室31(インク流路)を構成するCr製振動層22を有している。この振動層22は、全ての圧電素子21に共通の1つのものからなっていて、後述の全圧電層23に共通の共通電極としての役割をも果たしている。
【0061】
また、上記各圧電素子21は、上記振動層22の上記圧力室31と反対側面(上面)において圧力室31に対応する部分(凹部3開口に対向する部分)にCu製の中間層25を介してそれぞれ設けられかつチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)からなる圧電層23と、この各圧電層23の上記振動層22と反対側面(上面)にそれぞれ接合され、該振動層22と共に各圧電層23に電圧(駆動電圧)をそれぞれ印加するためのPt製個別電極層24とを有している。
【0062】
上記振動層22,各圧電層23、各個別電極層24及び各中間層25は、全て薄膜で形成されてなっており、振動層22の厚みは約6μmに、各圧電層23の厚みは8μm以下(例えば約3μm)に、各個別電極層24の厚みは約0.2μmに、各中間層25の厚みは約3μmにそれぞれ設定されている。
【0063】
上記各圧電素子21は、その振動層22と各個別電極層24とを介して各圧電層23に駆動電圧を印加することにより該振動層22の圧力室31に対応する部分(凹部3開口部分)を変形させることで、該圧力室31内のインクを吐出口3bないしノズル14から吐出させるようになっている。すなわち、振動層22と個別電極層24との間にパルス状の電圧を印加すると、そのパルス電圧の立ち上がりにより圧電層23が圧電効果によりその厚み方向と垂直な幅方向に収縮するのに対し、振動層22、個別電極層24及び中間層25は収縮しないので、いわゆるバイメタル効果により振動層22の圧力室31に対応する部分が圧力室31側へ凸状に撓んで変形する。この撓み変形により圧力室31内の圧力が高まり、この圧力で圧力室31内のインクが吐出口3b及び吐出用インク流路12を経由してノズル14から押し出される。そして、上記パルス電圧の立ち下がりにより圧電層23が伸長して振動層22の圧力室31に対応する部分が元の状態に復帰し、このとき、上記ノズル14から押し出されていたインクがインク流路12内のインクから引きちぎられて、インク滴(例えば3pl)として記録紙41へ吐出され、該記録紙41面にドット状に付着することとなる。また、上記振動層22が凸状に撓んで変形した状態から元の状態に復帰する際に、圧力室31内には上記インクカートリッジ45より供給用インク流路13及び供給口3aを介してインクが充填される。尚、各圧電層23に印加するパルス電圧としては、上記のように押し引きタイプのものでなくても、第1の電圧から該第1の電圧よりも低い第2の電圧まで立ち下がった後に上記第1の電圧まで立ち上がる引き押しタイプのものであってもよい。
【0064】
上記各圧電層23への駆動電圧の印加は、インクジェットヘッド1及びキャリッジ43を主走査方向において記録紙41の一端から他端まで略一定速度で移動させているときに所定時間(例えば50μs程度:駆動周波数20kHz)毎に行われ(但し、インクジェットヘッド1が記録紙41におけるインク滴を着弾させない箇所に達したときには電圧が印加されない)、このことで、記録紙41の所定位置にインク滴を着弾させる。そして、1走査分の記録が終了すると、搬送モータ及び各搬送ローラ42により記録紙41を副走査方向に所定量搬送し、再度、インクジェットヘッド1及びキャリッジ43を主走査方向に移動させながらインク滴を吐出させて、新たな1走査分の記録を行う。この動作を繰り返すことによって、記録紙41全体に所望の画像が形成される。
【0065】
次に、第1実施形態に係る上記インクジェットヘッド1の製造方法について、図5を参照しながら説明する。
【0066】
上記インクジェットヘッド1は、ノズル板83と、インク流路部品82と、圧力室部品81と、アクチュエータ部2とを、互いに積層して接合することにより製造される。
【0067】
先ず、第1工程P11では、ノズル板83にノズル14を形成する。このノズル14の形成は、図6に示すレーザ加工装置6を用いたレーザ分岐加工法により行う。
【0068】
上記レーザ加工装置6は、所定の超短パルスレーザ(フェムト秒〜ナノ秒レーザ)を発生させるパルスレーザ発生装置61と、このレーザ発生装置61から出力されたレーザ光を反射してビーム方向を変更させるスキャンミラー62と、スキャンミラー62により反射されたレーザ光を分岐させる回析光学素子63と、この回析光学素子63によって分岐された複数の回析レーザ光をそれぞれ集光させて、被加工物(ここではノズル板83)に照射するテレセントリックレンズ64とから構成されている。
【0069】
上記スキャンミラー62は揺動可能に構成されており、このスキャンミラー62を揺動させることによって、被加工物における各回析レーザ光の照射位置を変更し、これにより、被加工物を厚み方向に層状に削りながら、所定の三次元形状(ここではノズル14のテーパ形状)を形成する。
【0070】
尚、本実施形態では、加工精度の観点から、パルスレーザ発生装置61はピコ秒レーザを出力するものとし、ピコ秒レーザを用いたレーザ分岐加工を行うこととする。また、回析光学素子63としては、DOE(Diffractive Optical Element)が好ましく用いられる。
【0071】
こうして、第1工程P11では、複数の回析レーザ光をノズル板83に照射することによって、このノズル板83に所定ピッチで並んだ複数のノズル14を一度に貫通形成する。但し、レーザ分岐加工法によりノズル14を形成することで、この各ノズル14の位置は、許容される誤差範囲で形成されるものの、加工に用いた回析光学素子63の特性により、そのピッチは均一にならない場合がある。つまり、形成されたノズル14のピッチは、加工に用いた回析光学素子63の特性が反映されたピッチ特性を有する。
【0072】
次に、第2工程P12では、インク流路部品82を構成する各薄板に所定形状の貫通孔(インク流路12等を構成するもの)を形成すると共に、これらの薄板をノズル板83に対して積層して接着する。こうして、ノズル14が形成されたノズル板83と、インク流路12が形成されたインク流路部品82とを一体化する。
【0073】
ここで、上記の各薄板の加工はエッチングにより行い、その際に用いるマスク(図示省略)は、上記レーザ加工装置6を用いたレーザ分岐加工法により作製する。また、加工に用いる回析光学素子63は、上記第1工程P11において、ノズル板83に対するノズルの形成の際に用いた回析光学素子63と同じ回析光学素子63とする。つまり、レーザ加工装置6に、第1工程P11において用いた回析光学素子63をセットすると共に、被加工物としてのマスク材7をセットする(図6参照)。そして、このマスク材7に回析光学素子63によって分岐された複数の回析レーザ光を照射しながら、スキャンミラー62を揺動させることにより、上記マスク材7に所定パターンを形成する。こうすることで、マスクパターンのピッチには、加工に用いた回析光学素子63の特性が反映されるため、そのマスクパターンのピッチ特性を、第1工程P11で形成したノズル14のピッチ特性と同じにすることができる。つまり、ノズルピッチが均一でないときには、マスクパターンのピッチはその均一でないピッチと同じピッチとなる。
【0074】
こうして作製したマスクを用いて、インク流路部品82を構成する各薄板に貫通孔を形成する。このことにより、そのインク流路12のピッチ特性と、ノズル14のピッチ特性とが同じになる。その結果、ノズル14とインク流路12との相互位置の精度が向上するようになる。
【0075】
一方、上記第1及び第2工程P11,P12と並行して、第3工程P13では、基板29上に個別電極膜27、圧電膜26、中間膜28、振動膜(振動層)22を、例えばスパッタ法等にて成膜して積層する。ここで、上記基板29としては、例えば、金属基板、ガラス基板、Si基板、又はセラミックス基板とすればよい。
【0076】
続く第4工程P14では、エッチングによって所定形状の圧力室31を形成した圧力室部品81を、上記成膜後の基板29と接着する。
【0077】
ここで、上記圧力室部品81のエッチングに用いるマスク(図示省略)も、上記レーザ加工装置6を用いたレーザ分岐加工法により作製する。また、加工に用いる回析光学素子63は、上記第1工程P11において、ノズル板83に対するノズルの形成の際に用いた回析光学素子63と同じ回析光学素子63とする。こうすることで、上述したように、作製したマスクパターンのピッチには、加工に用いた回析光学素子63の特性が反映されるため、そのマスクパターンのピッチ特性を、ノズル14のピッチ特性と同じにすることができる。その結果、圧力室部品81に形成した圧力室31のピッチ特性と、ノズル14のピッチ特性とが同じになる。その結果、ノズル14とインク流路12と圧力室31との相互位置の精度が向上するようになる。
【0078】
そして、第5工程P15では、上記基板29をエッチングにより除去すると共に、上記圧力室部品81上に位置する個別電極膜27、圧電膜26、中間膜28を、フォトリソグラフィー技術を用いてエッチングして所定形状に形成し、これにより、各圧電素子21を形成する。
【0079】
このときに用いるマスク(図示省略)も、上記レーザ加工装置6を用いたレーザ分岐加工法により作製すると共に、加工に用いる回析光学素子63は、上記第1工程P11において、ノズル板83に対するノズル14の形成の際に用いた回析光学素子63と同じ回析光学素子63とする。これにより、マスクパターンのピッチ特性がノズル14のピッチ特性と同じになり、圧電素子21のピッチ特性と、ノズル14のピッチ特性とが同じになる。その結果、ノズル14とインク流路12と圧力室31と圧電素子21との相互位置の精度が向上するようになる。
【0080】
第6工程P16では、一体化されたノズル板83及びインク流路部品82を、アクチュエータ部2が形成された圧力室部品81に接着剤によって固定する。このことによって、インクジェットヘッド1が完成する。
【0081】
このように、第1実施形態に係るインクジェットヘッドの製造方法では、ノズル板83に対するノズル14の形成を、レーザ分岐加工法により行う一方で、インク流路12の形成、圧力室31の形成、及び圧電素子21の形成の際に用いるマスクを、それぞれ上記ノズル14の形成に用いた回析光学素子63と同じ回析光学素子63を用いて、レーザ分岐加工法により形成する。
【0082】
このため、加工に用いた回析光学素子63の特性によって、ノズルピッチが均一にならないときでも、インク流路12、圧力室31及び圧電素子21を、ノズル14のピッチ特性と同じピッチ特性で形成することが可能になる。その結果、ノズル14、インク流路12、圧力室31及び圧電素子21の相互位置の精度を向上させることができ、インクジェットヘッド1におけるインクの吐出不良を防止することができる。
【0083】
尚、上記第1実施形態では、インク流路12、圧力室31及び圧電素子21の形成に用いるマスクの全てを、ノズル14の形成に用いた回析光学素子63と同じ回析光学素子63を用いてレーザ分岐加工法により作製することとしたが、インク流路12、圧力室31及び圧電素子21の内の少なくとも1つの要素の形成に用いるマスクのみを、ノズル14の形成に用いた回析光学素子63と同じ回析光学素子63を用いてレーザ分岐加工法により作製してもよい。
【0084】
<第2実施形態>
第2実施形態に係るインクジェットヘッドの製造方法は、上記第1実施形態に係るインクジェットヘッドの製造方法に対して、ノズル14を形成する第1工程P11及びインク流路12を形成する第2工程P12が異なる。
【0085】
第2実施形態に係るインクジェットヘッドの製造方法について、図7を参照しながら説明する。先ず、第1工程P21では、ノズル板83を用意し、このノズル板83にレジスト層5を形成する(第2工程P22)。尚。レジスト層は、ネガタイプ及びポジタイプのいずれであってもよい。
【0086】
第3工程23では、マスク71を用いてレジスト層5にパターン露光をする。ここで用いるマスク71は、レーザ加工装置6を用いたレーザ分岐加工法によりパターンを形成したものとする。これにより、マスクパターンのピッチは、均一なピッチにならない場合があり、マスク71のパターンピッチは、加工に用いた回析光学素子63の特性が反映されたピッチ特性を有するようになる。
【0087】
そして、第4工程P24では現像を行うことで、所定パターンのレジスト膜51を形成する。続く第5工程P25では、上記レジスト膜51が形成されたノズル板に対しNi電着(電鋳)を行う。これにより、レジスト膜51で覆われていない部分にNi層(インク流路部品82に対応するもの)84が形成される。
【0088】
第6工程P26では、レジスト膜51を除去することによって、ノズル板83にインク流路12が積層されて形成された状態にさせる。
【0089】
その後の第7工程P27においては、レーザ加工装置6を用いて、上記各インク流路12の上端開口側から上記ノズル板83に回析レーザ光を照射することにより、このノズル板83に複数のノズル14を一度に形成する。このとき、加工に用いる回析光学素子63は、上記インク流路12の形成に用いたマスク71を作製する際に用いたものと、同じ回析光学素子63とする。こうすることで、形成したノズル14のピッチに上記回析光学素子63の特性が反映されるため、そのノズル14のピッチ特性は、インク流路12のピッチ特性と同じになる。その結果、ノズル14とインク流路12との相互位置の精度を向上させることができる。
【0090】
そして、インク流路12が積層して形成されたノズル板83を、第1実施形態に係る製造方法における第3工程P13〜第5工程P15によって作製した圧力室部品81に対して接着剤により固定することにより、インクジェットヘッド1が完成する。
【0091】
このように、第2実施形態に係るインクジェットヘッドの製造方法では、インク流路12の形成に用いるマスク71をレーザ分岐加工法により作製する一方で、ノズル板83に対するノズル14の形成を、上記マスク71の作製に用いた回析光学素子63と同じ回析光学素子63を用いたレーザ分岐加工法により行う。これにより、インク流路12のピッチ特性と、ノズル14のピッチ特性とが同じになり、インク流路12とノズル14との相互位置の精度が向上する。その結果、インクジェットヘッド1におけるインクの吐出不良を防止することができる。
【0092】
また、第2実施形態に係る製造方法では、上記第1実施形態に係る製造方法のように、予めノズル14を形成したノズル板83に対してインク流路部品82を接着することを行わないため、接着剤のはみ出しによるノズル14の目詰まりが生じないという利点がある。
【0093】
(変形例)
尚、第2実施形態ではインク流路12を電鋳により形成したが、ノズル14の目詰まりは、この製法でなくても防止可能である。
【0094】
例えば、第1実施形態で示したようにインク流路部品82を構成する各薄板に、エッチングによって貫通孔を形成すると共に、この貫通孔を形成した各薄板を、ノズル14が形成されていないノズル板83に積層して接着する。これにより、ノズル板83にインク流路12が積層して形成された状態となる。そしてその後に、レーザ加工装置6により各インク流路12の上端開口側から上記ノズル板83に回析レーザ光を照射することにより、ノズル板83にノズル14を形成するようにしてもよい。
【0095】
また、ノズル14が形成されていないノズル板83に、インク流路部品82を構成する各薄板(貫通孔が形成されていないもの)を積層して接着した後に、先ず、このインク流路部品82に、エッチング等でインク流路12を形成する。これにより、ノズル板83にインク流路12が積層して形成された状態となるため、この状態で、レーザ加工装置6により各インク流路12の上端開口側から上記ノズル板83に対して回析レーザ光を照射することにより、ノズル板83ノズル14を形成するようにしてもよい。
【0096】
つまり、ノズル14が形成される前のノズル板83にインク流路12を積層して形成した後に、上記ノズル板83にノズル14を形成するようにすることで、ノズル14の目詰まりを防止することが可能である。
【0097】
<第3実施形態>
第3実施形態に係るインクジェットヘッドの製造方法は、上記第1実施形態に係るインクジェットヘッドの製造方法に対して、圧電素子21の形成方法が異なる。
【0098】
つまり、上記第1実施形態では、基板29に成膜して積層させた個別電極膜27、圧電膜26、及び中間膜28をエッチングにより所定形状に形成して各圧電素子21を形成したが、第3実施形態に係る製造方法では、上記の各膜26〜28をレーザ分岐加工法よりパターニングして、複数の圧電素子21を一度に形成する。
【0099】
尚、ノズル14、インク流路12、圧力室31の加工は、上記第1又は第2実施形態において示した方法により行えばよく、ここでは、詳細な説明は省略する。
【0100】
すなわち、第3実施形態に係るインクジェットヘッドの製造方法では、レーザ加工装置6により、上記個別電極膜27、圧電膜26、及び中間膜28のそれぞれに回析光学素子63により分岐された複数の回析レーザ光を照射することにより、各圧力室31に対応する部分を、この部分の略全周に亘って周囲から切り離すようにする。こうして、図8に示すように、各圧電素子21を個別化する。
【0101】
この圧電素子21の形成の際に用いる回析光学素子63は、ノズル板83に対するノズル14の形成の際に用いた回析光学素子63と同じ回析光学素子63とする。これにより、圧電素子21のピッチ特性と、ノズル板83におけるノズル14のピッチ特性と同じになる。こうして、ノズル14と圧電素子21との相互位置の精度が向上し、ひいてはインク流路12及び圧力室31と、圧電素子21との相互位置の精度が向上する。その結果、インクジェットヘッド1におけるインクの吐出不良を防止することができる。
【0102】
<他の実施形態>
尚、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の実施形態を包含するものである。すなわち、上記実施形態では、本発明に係る製造方法を、いわゆるピエゾ式のインクジェットヘッド1の製造に適用したが、本発明に係る製造方法は、バブル式のインクジェットヘッドの製造に適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係るインクジェット式記録装置を示す概略斜視図である。
【図2】 インクジェットヘッドの部分底面図である。
【図3】 図2のIII−III線断面図である。
【図4】 図2のIV−IV線断面図である。
【図5】 第1実施形態に係るインクジェットヘッドの製造手順を示す説明図である。
【図6】 レーザ加工装置の構成を示す概略図である。
【図7】 第2実施形態に係るインクジェットヘッドの製造手順を示す説明図である。
【図8】 第3実施形態に係るインクジェットヘッドの製造方法により製造したインクジェットヘッドを示す図3対応図である。
【図9】 レーザ分岐加工法によりノズルを形成した場合の、ノズルとインク流路との相互位置を示す説明図である。
【符号の説明】
1 インクジェットヘッド
12 吐出用インク流路
13 供給用インク流路
14 ノズル
21 圧電素子(圧力印加手段)
22 振動層
23 圧電層
24 個別電極層(電極層)
26 圧電膜
27 個別電極膜(電極膜)
31 圧力室(インク流路)
4 相対移動手段
41 記録紙(記録媒体)
63 回析光学素子
7 マスク材
71 マスク
81 圧力室部品
82 インク流路部品
83 ノズル板
84 Ni層(インク流路部品)
A インクジェット式記録装置

Claims (4)

  1. 所定ピッチで並んで設けられた複数のインク流路と、該各インク流路に対応して設けられかつ、該インク流路内のインクに圧力を印加する複数の圧力印加手段と、上記各インク流路に連通して設けられかつ、上記圧力印加手段によって圧力が印加されたインクを吐出する複数のノズルとを備えたインクジェットヘッドの製造方法であって、
    上記各ノズルを、ノズル板に貫通形成するノズル形成工程と、
    上記各インク流路を、所定のパターンが形成された第1マスクを用いて形成するインク流路形成工程と、
    上記各圧力印加手段を、所定のパターンが形成された第2マスクを用いて形成する圧力印加手段形成工程とを含み、
    上記ノズル形成工程は、回析光学素子によって分岐させた複数の回析レーザ光を上記ノズル板に照射することにより、該ノズル板に、上記所定ピッチとなるように複数のノズルを一度に貫通形成する工程であり、
    上記第1及び第2マスクの内の少なくとも一方のマスクは、上記ノズル形成工程で用いた回析光学素子と同じ回析光学素子によって分岐させた複数の回析レーザ光をマスク材に照射することにより、該マスク材に所定のパターンを形成して作製することで、上記ノズル形成工程で上記ノズル板に形成したノズルのピッチ特性と同じピッチ特性のパターンを形成したものである
    ことを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
  2. 所定ピッチで並んで設けられた複数のインク流路と、該各インク流路に対応して設けられかつ、該インク流路内のインクに圧力を印加する複数の圧力印加手段と、上記各インク流路に連通して設けられかつ、上記圧力印加手段によって圧力が印加されたインクを吐出する複数のノズルとを備えたインクジェットヘッドの製造方法であって、
    上記各ノズルを、ノズル板に貫通形成するノズル形成工程と、
    上記各インク流路を、所定のパターンが形成された第1マスクを用いて形成するインク流路形成工程と、
    上記各圧力印加手段を、所定のパターンが形成された第2マスクを用いて形成する圧力印加手段形成工程とを含み、
    上記第1マスクは、回析光学素子によって分岐させた複数の回析レーザ光をマスク材に照射することにより、該マスク材に、上記所定ピッチとなるようにパターンを形成したものであり、
    上記ノズル形成工程は、上記第1マスクの作製に用いた回析光学素子と同じ回析光学素子によって分岐させた複数の回析レーザ光をノズル板に照射することにより、該ノズル板に複数のノズルを一度に貫通形成することで、上記インク流路形成工程で形成したインク流路のピッチ特性と同じピッチ特性で上記ノズル板にノズルを形成する工程である
    ことを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
  3. 所定ピッチで並んで設けられた複数のインク流路と、該各インク流路に対応して設けられかつ、圧電効果により該インク流路内のインクに圧力を印加する複数の圧電素子と、上記各インク流路に連通して設けられかつ、上記圧電素子によって圧力が印加されたインクを吐出する複数のノズルとを備えたインクジェットヘッドの製造方法であって、
    上記各ノズルを、ノズル板に貫通形成するノズル形成工程と、
    上記各インク流路を、所定のパターンが形成されたマスクを用いて形成するインク流路形成工程と、
    上記インク流路に対して振動層を介して積層された少なくとも圧電膜と電極膜とに対するパターニングを行うことで、上記各圧電素子を形成する圧電素子形成工程とを含み、
    上記圧電素子形成工程は、回析光学素子によって分岐した複数の回析レーザ光を上記圧電膜及び電極膜に照射することにより、上記所定ピッチとなるように複数の圧電素子を一度に形成する工程であり、
    上記マスクは、上記圧電素子形成工程で用いた回析光学素子と同じ回析光学素子によって分岐させた複数の回析レーザ光をマスク材に照射することにより、該マスク材に所定のパターンを形成して作製することで、上記圧電素子形成工程で形成した圧電素子のピッチ特性と同じピッチ特性のパターンを形成したものである
    ことを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
  4. 所定ピッチで並んで設けられた複数のインク流路と、該各インク流路に対応して設けられかつ、圧電効果により該インク流路内のインクに圧力を印加する複数の圧電素子と、上記各インク流路に連通して設けられかつ、上記圧電素子によって圧力が印加されたインクを吐出する複数のノズルとを備えたインクジェットヘッドの製造方法であって、
    上記各ノズルを、ノズル板に貫通形成するノズル形成工程と、
    上記各インク流路を、所定のパターンが形成されたマスクを用いて形成するインク流路形成工程と、
    上記インク流路に対して振動層を介して積層された少なくとも圧電膜と電極膜とに対するパターニングを行うことで、上記各圧電素子を形成する圧電素子形成工程とを含み、
    上記圧電素子形成工程は、回析光学素子によって分岐した複数の回析レーザ光を上記圧電膜及び電極膜に照射することにより、上記所定ピッチとなるように複数の圧電素子を一度に形成する工程であり、
    上記マスクは、上記圧電素子形成工程で形成した圧電素子のピッチ特性と同じピッチ特性のパターンを形成したものであり、
    上記ノズル形成工程は、圧電素子形成工程で用いた回析光学素子と同じ回析光学素子によって分岐させた複数の回析レーザ光をノズル板に照射することにより、該ノズル板に複数のノズルを一度に貫通形成する工程である
    ことを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
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