JP2016196126A - 噴射孔プレートの製造方法、噴射孔プレート、液体噴射ヘッド及び液体噴射装置 - Google Patents

噴射孔プレートの製造方法、噴射孔プレート、液体噴射ヘッド及び液体噴射装置 Download PDF

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【課題】噴射孔を短時間で所望の形状に形成できる噴射孔プレートの製造方法、噴射孔プレート、液体噴射ヘッド、液体噴射装置を提供する。【解決手段】インクを噴射するノズル孔を有するノズルプレートの製造方法であって、母材61の上面61aに、椀状部55を等方性エッチングにより形成する椀状部形成工程と、母材61の下面において、母材61の厚さ方向で椀状部55と重なる部分に凹部51,52を形成する凹部形成工程と、椀状部55内及び凹部51,52内を連通させる連通部56を形成する連通部形成工程と、を有し、椀状部55及び連通部56によりノズル孔を構成することを特徴とする。【選択図】図17

Description

本発明は、噴射孔プレートの製造方法、噴射孔プレート、液体噴射ヘッド及び液体噴射装置に関する。
従来、紙等の被記録媒体に液滴状のインクを吐出して、被記録媒体に画像や文字を記録する装置として、インクジェットヘッドを備えたインクジェットプリンタがある。上述したインクジェットヘッドは、複数のノズル孔が形成されたノズルプレートと、圧電材料からなり、ノズル孔に連通する複数のチャネルを有するアクチュエータプレートと、を有している。
下記特許文献1には、ノズルプレートをシリコン単結晶基板により形成する構成が開示されている。この構成によれば、シリコン単結晶基板のうち、インクの吐出面側からドライエッチングを行って同径部を形成し、導入面側からウェットエッチングを行って同径部に連通するテーパ部を形成することで、ノズル孔を高精度に形成できるとされている。
特願2002−205404号公報
ところで、インクジェットヘッドの製造工程において、ノズルプレートとアクチュエータプレートとを組み付ける際には、ノズルプレート及びアクチュエータプレートを加熱しながら接合や接着するのが一般的である。
しかしながら、上述した特許文献1のようにノズルプレートにシリコン単結晶基板を用いる場合には、ノズルプレートとアクチュエータプレートとの熱膨張率の違いによってノズル孔とチャネルとの位置ずれが生じ易く、歩留まりが低下するという課題がある。
そこで、アクチュエータプレートの材料と熱膨張率が近い材料として、ホウケイ酸ガラス等をノズルプレートの材料として用いることが検討されている。
しかしながら、ホウケイ酸ガラスは加工性が低く、ノズル孔を短時間で所望の形状に形成することが難しい。
具体的に、ノズル孔を等方性エッチングで形成する場合には、サイドエッチングの影響により、ノズル孔の導入面側の内径がノズルプレートの板厚よりも大きくなる。そのため、ノズル孔のピッチが大きくなり、高密度記録化に対応することが難しい。なお、ノズルプレートの板厚を薄くした場合には、ノズルプレートの強度や剛性が低下し、ノズルプレートの取り扱いが難しくなる。その結果、作業効率や歩留まりの低下に繋がる。また、ノズル孔の吐出面側の内径はノズルプレートの板厚に依存するため、同じエッチングレートで等方性エッチングを行った場合、板厚ばらつきに起因してノズル孔の吐出口の内径にばらつきが生じる。
一方、異方性エッチングのうち、ウェットエッチングはホウケイ酸ガラスのようなアモルファス材料には使用できず、ドライエッチングはエッチングレートが遅く、加工時間が長くなるという課題がある。
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、噴射孔を短時間で所望の形状に形成できる噴射孔プレートの製造方法、噴射孔プレート、液体噴射ヘッド及び液体噴射装置を提供することである。
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を提供する。
本発明に係る噴射孔プレートの製造方法は、液体を噴射する噴射孔を有する噴射孔プレートの製造方法であって、母材の一面に、液体の導入口となる一面側凹部を等方性エッチングにより形成する一面側凹部形成工程と、前記母材の他面において、前記母材の厚さ方向で前記一面側凹部と重なる部分に他面側凹部を形成する他面側凹部形成工程と、前記一面側凹部内及び前記他面側凹部内を連通させるとともに、液体の噴射口となる連通部を形成する連通部形成工程と、を有し、前記一面側凹部及び前記連通部により前記噴射孔を構成することを特徴とする。
この構成によれば、母材に他面側凹部を形成することで、母材全体の板厚を確保した上で、噴射孔の形成領域の板厚を薄くできる。そのため、母材の強度や剛性を確保し、作業効率や歩留まりの向上を図ることができる。
また、母材のうち、噴射孔の形成領域の板厚を薄くすることで、等方性エッチングにより一面側凹部を形成する際に、母材全体の板厚に依存せずに、一面側凹部を所望の形状に形成できる。この場合、導入口の内径が母材全体の板厚よりも小径の噴射孔を形成でき、噴射孔の狭ピッチ化が可能になるので、高密度記録化を図ることができる。また、一面側凹部を等方性エッチングにより形成することで、ホウケイ酸ガラス等の加工性の低い材料であっても、短時間で噴射孔を形成することができる。
特に、母材の両面に一面側凹部及び他面側凹部を各別に形成することで、母材のうち一面側凹部と他面側凹部間に位置する部分には、薄肉の残存部が形成される。そして、連通部形成工程では、母材の残存部に対して加工を施すので、例えば等方性エッチングにより噴射孔を一括で形成する場合に比べて、アスペクト比(内径に対する深さの比)の小さい連通部を形成できる。さらに、母材の板厚ばらつきに起因する噴射口の内径ばらつきを抑制できる。そのため、噴射孔を所望の形状に形成することができる。
また、本発明に係る噴射孔プレートの製造方法において、前記連通部形成工程は、ドライエッチングにより行ってもよい。
この場合には、深さ方向において内径が一様とされたストレート形状の連通部を高精度に形成することができる。この場合、母材の残存部のみに対してドライエッチングを行うため、母材全体をドライエッチングにより加工する場合に比べて加工時間の短縮を図ることができる。しかも、ドライエッチングにより連通部を形成することで、エッチングの加工面側のみにマスクパターンを形成すればよいので、作業効率の向上を図ることができる。
また、本発明に係る噴射孔プレートの製造方法において、前記連通部形成工程は、前記母材の両面にマスク材を形成するマスク材形成工程と、前記マスク材のうち、前記母材の一方の面側に位置する前記マスク材をパターニングして前記連通部のマスクパターンを形成するマスクパターン形成工程と、前記マスクパターンをマスクとしてウェットエッチングを行い、前記連通部を形成する連通部エッチング工程と、を有していてもよい。
この場合には、連通部形成工程をウェットエッチングにより行うことで、連通部を短時間で高精度に形成することができる。なお、連通部をウェットエッチングにより行う場合には、残存部の板厚を一定に維持した状態でエッチング量を多くすることで、連通部をストレート形状に近づけることができる。
また、本発明に係る噴射孔プレートの製造方法において、前記連通部形成工程は、レーザ加工により行ってもよい。
この場合には、ストレート形状の連通部を高精度に形成できる。また、母材の残存部のみに対してレーザ光を照射することで、レーザ光の強度や照射時間を抑えることができ、母材のうち、連通部の周囲に与える熱の影響を抑えることができる。
また、レーザ加工により連通部を形成することで、エッチング等で連通部を形成する場合と異なり、母材にマスクパターンを形成する必要がない。そのため、作業効率の向上を図ることができる。また、一面側凹部や他面側凹部の内形寸法(母材の厚さ方向から見た平面視の大きさ)や表面形状の関係でマスクパターンが形成できないような場合であっても、連通部を形成することができる。
また、本発明に係る噴射孔プレートの製造方法において、前記他面側凹部形成工程では、前記母材の厚さ方向から見た平面視の大きさが前記一面側凹部よりも大きくなるように前記他面側凹部を形成してもよい。
この構成によれば、母材の厚さ方向から見た平面視において、他面側凹部の大きさ(内形寸法)を一面側凹部よりも大きく形成することで、噴射孔(一面側凹部及び連通部)から噴射される液体の流通が他面側凹部によって阻害されるのを抑制できる。これにより、液体の噴射性能を向上させることができる。
また、本発明に係る噴射孔プレートの製造方法において、前記連通部形成工程では、前記他面側から前記連通部を形成してもよい。
この場合には、母材のうち、一面側凹部よりも内形寸法が大きい他面側凹部側から連通部を形成することで、一面側凹部側から連通部を形成する場合に比べて、作業効率や歩留まりの向上を図ることができる。
また、本発明に係る噴射孔プレートの製造方法において、複数の前記噴射孔が間隔をあけて一列並設されて噴射孔列を構成し、前記他面側凹部形成工程では、前記母材の厚さ方向から見た平面視で前記噴射孔列全体と重なり合う大きさで前記他面側凹部を形成してもよい。
この場合には、噴射孔列と重なり合う大きさで他面側凹部を形成することで、各噴射孔ごとに他面側凹部を形成する場合に比べて簡素化を図るとともに、作業効率を向上させることができる。
また、本発明に係る噴射孔プレートの製造方法において、前記母材は、ホウケイ酸ガラスを用いてもよい。
この場合には、母材の材料として、アクチュエータプレートを構成する圧電材料と熱膨張率が近いホウケイ酸ガラスを用いることで、アクチュエータプレートとの組付時において、噴射孔とアクチュエータプレートのチャネルとの位置ずれを抑えることができる。そのため、歩留まりを向上させることができる。
本発明に係る噴射孔プレートは、上記本発明の噴射孔プレートの製造方法により製造されていることを特徴とする。
この場合には、上記本発明の噴射孔プレートの製造方法により製造されているため、所望の形状の噴射孔を狭ピッチで形成することができる。
また、噴射孔のうち、連通部のみを小径に形成することができるので、噴射孔全体を小径に形成する場合に比べて流路抵抗を小さくでき、液体が噴射孔を通過する際のエネルギー損失を低減できる。
さらに、連通部を形成することで、等方性エッチングにより噴射孔を一括で形成する場合に比べ、噴射孔の噴射口側の開口縁が先鋭形状になるのを抑制できる。そのため、噴射口側の開口縁の欠け等の損傷を抑制して、長期に亘って安定した噴射性能を維持できる。
本発明に係る液体噴射ヘッドは、上記本発明の噴射孔プレートと、液体が充填されるとともに前記噴射孔の前記一面側凹部内に連通するチャネルを有するアクチュエータプレートと、を備えていることを特徴とする。
この場合には、上記本発明の噴射孔プレートを備えているので、信頼性に優れた液体噴射ヘッドを提供できる。
本発明に係る液体噴射装置は、上記本発明の液体噴射ヘッドと、前記液体噴射ヘッドと被記録媒体とを相対的に移動させる移動機構と、を備えていることを特徴とする。
この場合には、上記本発明の液体噴射ヘッドを備えているので、信頼性に優れた液体噴射ヘッドを提供できる。
本発明によれば、噴射孔を短時間で所望の形状に形成できる。
インクジェットプリンタの概略構成図である。 インクジェットヘッドの斜視図である。 吐出部を下方から見た斜視図である。 吐出部を下方から見た分解斜視図である。 ノズルプレートの断面図である。 ノズルプレートの製造方法を説明するための工程図である。 ノズルプレートの製造方法(椀状部形成工程)を説明するための工程図である。 ノズルプレートの製造方法(椀状部形成工程)を説明するための工程図である。 ノズルプレートの製造方法(椀状部形成工程)を説明するための工程図である。 ノズルプレートの製造方法(椀状部形成工程)を説明するための工程図である。 ノズルプレートの製造方法(椀状部形成工程)を説明するための工程図である。 ノズルプレートの製造方法(凹部形成工程)を説明するための工程図である。 ノズルプレートの製造方法(凹部形成工程)を説明するための工程図である。 ノズルプレートの製造方法(凹部形成工程)を説明するための工程図である。 ノズルプレートの製造方法(凹部形成工程)を説明するための工程図である。 ノズルプレートの製造方法(連通部形成工程)を説明するための工程図である。 ノズルプレートの製造方法(連通部形成工程)を説明するための工程図である。 第1変形例に係るノズルプレートの製造方法を説明するための工程図である。 第1変形例に係るノズルプレートの製造方法を説明するための工程図である。 第2変形例に係るノズルプレートの製造方法を説明するための工程図である。 第2変形例に係るノズルプレートの製造方法を説明するための工程図である。 実施形態の他の構成に係るノズルプレートの平面図である。 実施形態の他の構成に係るノズルプレートの平面図である。
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態では、本発明の液体噴射装置の一例として、インク(液体)を利用して被記録媒体に記録を行うインクジェットプリンタ(以下、単にプリンタという)を例に挙げて説明する。なお、以下の説明に用いる図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
[プリンタ]
図1はプリンタ1の概略構成図である。
図1に示すように、プリンタ1は、紙等の被記録媒体Sを搬送する一対の搬送機構2,3と、被記録媒体Sにインク滴を噴射するインクジェットヘッド(液体噴射ヘッド)4と、インクジェットヘッド4にインクを供給するインク供給手段5と、被記録媒体Sの搬送方向(主走査方向)と直交する方向(副走査方向)にインクジェットヘッド4を走査させる走査手段6と、を備えている。なお、以下の説明においては、上述した主走査方向をX方向、副走査方向をY方向、そしてX方向、及びY方向に直交する方向をZ方向として説明する。
一対の搬送機構2,3は、それぞれY方向に延びるグリッドローラ2a,3aと、グリッドローラ2a,3aとそれぞれに平行に延びるピンチローラ2b,3bと、グリッドローラ2a,3aをその軸回りに回転動作させるモータ等の図示しない駆動機構と、を備えている。
インク供給手段5は、インクが収容されたインクタンク10と、インクタンク10とインクジェットヘッド4とを接続するインク配管11と、を備えている。
インクタンク10は、例えばイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)の4種類のインクが各別に収容されたインクタンク10Y,10M,10C,10Bを備えている。なお、インクは、4種類に限られるものではなく、さらに多色であってもよく、単色であってもよい。
インク配管11は、例えば可撓性を有するフレキシブルホースであり、インクジェットヘッド4を支持するキャリッジ16の動作(移動)に追従可能とされている。
走査手段6は、Y方向に延び、かつX方向に間隔をあけて互いに平行に配置された一対のガイドレール14,15と、一対のガイドレール14,15に沿って移動可能に配置されたキャリッジ16と、キャリッジ16をY方向に移動させる駆動機構17と、を備えている。なお、走査手段6及び上述した搬送機構2,3により、インクジェットヘッド4と被記録媒体Sとを相対的に移動させる移動機構を構成している。
駆動機構17は、一対のガイドレール14,15の間に配置され、Y方向に間隔をあけて配置された一対のプーリ18と、一対のプーリ18間に巻回されてY方向に走行する無端ベルト19と、一方のプーリ18を回転駆動させる駆動モータ20と、を備えている。
キャリッジ16は、無端ベルト19に連結されており、一方のプーリ18の回転駆動による無端ベルト19の移動に伴ってY方向に移動可能とされている。また、キャリッジ16には、複数のインクジェットヘッド4がY方向に並んだ状態で搭載されている。図示の例では、4種類のインク各色をそれぞれ吐出する4つのインクジェットヘッド4(すなわち、インクジェットヘッド4Y,4M,4C,4B)が、キャリッジ16に搭載されている。
<インクジェットヘッド>
次に、上述したインクジェットヘッド4について詳述する。図2はインクジェットヘッド4の斜視図である。なお、上述した各インクジェットヘッド4は、供給されるインクの色以外は何れも同一の構成からなるため、以下の説明では、一のインクジェットヘッド4について説明する。
図2に示すように、インクジェットヘッド4は、キャリッジ16に固定される固定プレート21と、この固定プレート21上に固定された吐出部22と、インク供給手段5から供給されるインクを、吐出部22の後述する共通インク室46にさらに供給するインク供給部23と、吐出部22に駆動電圧を印加するヘッド駆動部24と、を備えている。
固定プレート21には、アルミ等の金属製の支持プレート25がZ方向に沿って起立した状態で固定されているとともに、吐出部22にインクを供給する流路部材26が固定されている。支持プレート25には、インクを貯留する貯留室を内部に有する圧力緩衝器27が支持されている。圧力緩衝器27は、上述したインク配管11を通してインクタンク10に接続される一方、インク連結管28を通して流路部材26に接続されている。この場合、圧力緩衝器27は、インク配管11を通してインクが供給されると、インクを内部の貯留室内に一旦貯留した後、所定量のインクをインク連結管28及び流路部材26を通して吐出部22に供給する。なお、これら流路部材26、圧力緩衝器27及びインク連結管28により、上述したインク供給部23を構成している。
また、支持プレート25には、吐出部22を駆動するための集積回路等の制御回路31が搭載されたIC基板29が取り付けられている。このIC基板29は、フレキシブルプリント基板30(以下、FPC30という)を介して、吐出部22に電気的に接続されている。そして、これら制御回路31が搭載されたIC基板29、及びFPC30により、上述したヘッド駆動部24を構成している。
図3は吐出部22を下方から見た斜視図であり、図4は吐出部22を下方から見た分解斜視図である。
図3、図4に示すように、吐出部22は、複数のノズル孔(第1ノズル孔48a及び第2ノズル孔49a)からなるノズル列48,49が二列に亘って形成された二列タイプの吐出部22である。具体的に、吐出部22は、Y方向に積層された第1ヘッドチップ31A及び第2ヘッドチップ31Bと、各ヘッドチップ31A,31Bをまとめて支持するノズルキャップ32と、各ヘッドチップ31A,31Bに固定されたノズルプレート(噴射孔プレート)33と、を備えている。なお、各ヘッドチップ31A,31Bは、後述する吐出チャネル43aを通してインクを吐出する、いわゆるエッジシュートタイプとされている。したがって、本実施形態の吐出部22は、Z方向が上下方向に一致した状態で設置される。以下、Z方向に沿うノズルプレート33側を下側(下方)、ノズルプレート33側とは反対側を上側(上方)という場合がある。また、以下の説明では、主に第1ヘッドチップ31Aについて説明し、第2ヘッドチップ31Bにおける第1ヘッドチップ31Aと対応する箇所には同一の符号を付して説明を省略する。
第1ヘッドチップ31Aは、Y方向に積層されたアクチュエータプレート41及びカバープレート42を主に備えている。
アクチュエータプレート41は、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等の圧電材料で形成され、その分極方向が厚さ方向(Y方向)に沿って一方向に設定されている。
アクチュエータプレート41の表面41a(Y方向のカバープレート42側に位置する面)には、X方向に間隔をあけて複数のチャネル43が並設されている。これら複数のチャネル43は、表面41a側に開口した状態でZ方向に沿って直線状に延設されるとともに、アクチュエータプレート41の下端面で開口している。アクチュエータプレート41のうち、各チャネル43間に位置する部分は、各チャネル43を画成する駆動壁44を構成している。
各チャネル43は、インクが充填される吐出チャネル43aと、インクが充填されないダミーチャネル43bと、を有している。そして、これら吐出チャネル43a及びダミーチャネル43bは、X方向に交互に並んで配置されている。各チャネル43内面(駆動壁44)には、図示しない駆動電極が形成されている。駆動電極は、アクチュエータプレート41の上端部において、表面41a上に引き出され、上述したFPC30に接続されている。
カバープレート42は、裏面42a(Y方向でアクチュエータプレート41側に位置する面)がアクチュエータプレート41の表面41a上に接合された板状とされ、各チャネル43を閉塞している。カバープレート42は、表面42b(Y方向でアクチュエータプレート41側とは反対側の面)に形成された凹状の共通インク室46と、共通インク室46及び吐出チャネル43aをそれぞれ連通させる複数のスリット47と、を有している。
共通インク室46は、カバープレート42の上端部に位置し、アクチュエータプレート41側に向けて窪む溝であり、X方向に沿って延設されている。
スリット47は、共通インク室46のうち、X方向で吐出チャネル43aに対応する位置に形成され、共通インク室46内と吐出チャネル43a内とを連通している。
第2ヘッドチップ31Bは、上述した第1ヘッドチップ31Aと同様にアクチュエータプレート41及びカバープレート42がY方向に積層されて構成されている。そして、各ヘッドチップ31A,31Bは、アクチュエータプレート41の裏面41b同士が接合されることで、一体的に構成されている。
第2ヘッドチップ31Bの吐出チャネル43a及びダミーチャネル43bは、第1ヘッドチップ31Aの吐出チャネル43a及びダミーチャネル43bの配列ピッチに対して半ピッチずれて配列され、各ヘッドチップ31A,31Bの吐出チャネル43a同士、及びダミーチャネル43b同士が互い違い(千鳥状)に配列されている。
ノズルキャップ32は、Z方向から見た平面視外形が長方形状を呈している。ノズルキャップ32には、Z方向に貫通する嵌合孔32aが形成され、上述した各ヘッドチップ31A,31Bがまとめて嵌合されている。図示の例において、各ヘッドチップ31A,31Bは、その下端面がノズルキャップ32の下端面と面一となるように組み合わされている。
<ノズルプレート>
ノズルプレート33は、例えばホウケイ酸ガラスや石英ガラス等のガラス材料からなる板材であり、ノズルキャップ32及び各ヘッドチップ31A,31Bの下端面に接着等により固定されている。なお、ノズルプレート33の厚さは、例えば70μm程度とされている。
ノズルプレート33の下面には、上方に向けて窪む凹部(他面側凹部)51,52がY方向に間隔をあけて2列形成されている。これら凹部51,52は、Z方向から見た平面視でX方向を長手方向とする長方形状とされ、互いに平行に延設されている。各凹部51,52のうち、第1凹部51は上述した第1ヘッドチップ31Aの全チャネル43にZ方向で対向し、第2凹部52は第2ヘッドチップ31Bの全チャネル43にZ方向で対向している。なお、凹部51,52は、深さが例えば40μm程度とされている。すなわち、凹部51,52は、その頂部がノズルプレート33におけるZ方向の中央部に位置し、ノズルプレート33をZ方向に貫通していない。
ノズルプレート33のうち、上述した第1凹部51とZ方向で重なる部分には、第1ヘッドチップ31Aから液滴を吐出するための第1ノズル孔48aがX方向に間隔をあけて複数並設されている。これら第1ノズル孔48aは、第1ヘッドチップ31Aの吐出チャネル43aにZ方向で対向する位置に各別形成され、吐出チャネル43a内と第1凹部51内とを連通している。なお、各第1ノズル孔48aは、X方向に一列に並んで第1ノズル列48を構成している。本実施形態において、上述した第1凹部51は、Z方向から見た平面視の大きさ(内形寸法)が第1ノズル列48よりも大きく形成され、第1ノズル列48全体とZ方向で重なり合っている。
ノズルプレート33のうち、上述した第2凹部52とZ方向で重なる部分には、第2ヘッドチップ31Bから液滴を吐出するための第2ノズル孔49aがX方向に間隔をあけて複数並設されている。これら第2ノズル孔49aは、第2ヘッドチップ31Bの吐出チャネル43aにZ方向で対向する位置に各別形成され、吐出チャネル43a内と第2凹部52内とを連通している。したがって、各ダミーチャネル43bは、ノズル孔48a,49aには連通しておらず、ノズルプレート33により下方から覆われている。なお、各第2ノズル孔49aは、X方向に一列に並んで第2ノズル列49を構成している。本実施形態において、上述した第2凹部52は、Z方向から見た平面視の内形寸法が第2ノズル列49よりも大きく形成され、第2ノズル列49全体とZ方向で重なり合っている。
次に、各ノズル孔48a,49aについて詳述する。図5は、ノズルプレート33の断面図である。なお、第1ノズル孔48a及び第2ノズル孔49aは、それぞれ同様の構成とされている。そのため、以下の説明では第1ノズル孔48aについて説明し、第2ノズル孔49aにおいて第1ノズル孔48aと同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
図5に示すように、第1ノズル孔48aは、ノズルプレート33の上面(導入面)から下方に向けて窪む椀状部(一面側凹部)55と、椀状部55内と第1凹部51内とを連通させる連通部56と、を有している。
椀状部55は、下方に向けて凸の半球状とされ、下方に向かうに従い内径が漸次縮小している。椀状部55は、その上端開口部(導入口)が対応する吐出チャネル43a内に向けて開口している。なお、椀状部55は、深さが例えば30μm程度とされ、上端開口部の内径が70μm〜75μm程度とされている。
連通部56は、椀状部55の底部から下方に向けて延設されている。連通部56は、その上端開口部が椀状部55の下端開口部に連通し、下端開口部(噴射口)が第1凹部51の頂部上で開口している。なお、連通部56は、上方に向かうに従い内径が漸次縮小するとともに、その内周面が上方に向けて凸の曲面状を呈している。但し、連通部56は、Z方向の全体に亘って内径が一様なストレート形状を呈していても構わない。また、連通部56は、深さが例えば5μm以下とされ、内径が25μm〜30μm程度とされている。
[プリンタの動作方法]
次に、上述したように構成されたプリンタ1を利用して、被記録媒体Sに文字や図形等を記録する場合について以下に説明する。
なお、初期状態として、図1に示す4つのインクタンク10にはそれぞれ異なる色のインクが十分に封入されているものとする。
このような初期状態のもと、プリンタ1を作動させると、搬送機構2,3のグリッドローラ2a,3aが回転することで、これらグリッドローラ2a,3a及びピンチローラ2b,3b間に被記録媒体SをX方向に向けて搬送する。また、これと同時に駆動モータ20がプーリ18を回転させて無端ベルト19を走行させる。これにより、キャリッジ16がガイドレール14,15にガイドされながらY方向に往復移動する。
そしてこの間に、各インクジェットヘッド4より4色のインクを記録紙Sに適宜吐出させることで、文字や画像等の記録を行うことができる。
ここで、各インクジェットヘッド4の動きについて、以下に詳細に説明する。
FPC30を介して各ヘッドチップ31A,31Bの駆動電極間に電圧が印加されると、吐出チャネル43aを画成する2つ駆動壁44に厚み滑り変形が生じる。すると、これら2つの駆動壁44は、Y方向の中間部分を中心にしてダミーチャネル43b側へ突出するようにV字状に屈曲変形する。これにより、吐出チャネル43aがあたかも膨らむように変形する。
このように、2つの駆動壁44の圧電厚み滑り効果による変形によって、吐出チャネル43aの容積が増大する。そして、吐出チャネル43aの容積が増大したことにより、共通インク室46内に貯留されたインクが吐出チャネル43a内に誘導される。そして、吐出チャネル43aの内部に誘導されたインクは、圧力波となって吐出チャネル43aの内部に伝播し、この圧力波がノズル孔48a,49aに到達したタイミングで、駆動電極間に印加した電圧をゼロにする。これにより、駆動壁44が復元し、一旦増大した吐出チャネル43aの容積が元の容積に戻る。この動作によって、吐出チャネル43aの内部の圧力が増加し、インクが加圧される。その結果、液滴状のインクがノズル孔48a,49aを通って外部に吐出されることで、上述したように被記録媒体Sに文字や画像等を記録することができる。
[ノズルプレートの製造方法]
次に、本実施形態のノズルプレート33の製造方法について説明する。図6〜図17は、ノズルプレート33の製造方法を説明するための工程図であり、ノズルプレート33となる母材61の断面図である。
本実施形態のノズルプレート33の製造方法は、ノズルプレート33となる母材61の上面61aから椀状部55を形成する椀状部形成工程(一面側凹部形成工程)と、母材61の下面61bから凹部51,52を形成する凹部形成工程(他面側凹部形成工程)と、凹部51,52内及び椀状部55内を連通させる連通部56を形成する連通部形成工程と、を有している。なお、母材61は、例えばホウケイ酸ガラスからなる板材であって、厚さが70μm程度とされている。
椀状部形成工程では、まず図6に示す母材61の上面61aに、椀状部形成用のエッチングマスク62(図9参照)を形成する(エッチングマスク形成工程)。具体的には、図7に示すように、スパッタリング等により母材61の両面61a,61bに、金属膜63,64を形成する。金属膜63,64のうち、上面61a側の金属膜63は後述する椀状部エッチング工程においてエッチングマスク62として機能する。一方、下面61b側の金属膜64は、椀状部エッチング工程において保護膜として機能し、後述する凹部エッチング工程においてエッチングマスク71として機能する。なお、金属膜63,64は、クロム等からなる下地層上に金等からなる上地層が積層された積層膜とされている。
次に、図8に示すように、金属膜63,64上の全面に亘ってフォトレジスト膜65を形成する。その後、フォトリソ技術を用いてフォトレジスト膜65をパターニングし、上面61a側のフォトレジスト膜65に、椀状部55に対応する開口部65aを形成する。これにより、開口部65aを通して金属膜63が露出する。
続いて、図9に示すように、フォトレジスト膜65を介して金属膜63をエッチングする。このとき、金属膜63のうち、フォトレジスト膜65の開口部65aを通して露出した部分が選択的にエッチングされる。これにより、母材61の上面61a側には、椀状部55に対応する開口部63aを有するとともに、開口部63aを通して母材61を露出させるエッチングマスク62が形成される。
次に、図10に示すように、上述したエッチングマスク62をマスクとして、母材61をエッチングする(椀状部エッチング工程)。椀状部エッチング工程では、HF水溶液等を用いたウェットエッチングにより等方性エッチングを行う。すると、母材61のうち、開口部63aを通して露出した部分が選択的にエッチングされる。これにより、母材61には、下方に向けて凸の半球状を呈する椀状部55が形成される。なお、椀状部エッチング工程でのエッチング量は、母材61の厚さの半分程度(30μm程度)に設定する。
次に、図11に示すように、フォトレジスト膜65及びエッチングマスク62(上面61a側の金属膜63)を除去する(除去工程)。これにより、母材61の下面61b上のみに金属膜64が残存した状態となる。
以上により、椀状部形成工程が終了する。
図12に示すように、凹部形成工程では、まず母材61の上面61aに保護膜となる金属膜66を形成する。なお、金属膜66は、上述した金属膜63,64と同様に、クロム等からなる下地層上に金等からなる上地層が積層された積層膜とされている。
次に、図13に示すように、母材61の下面61bに凹部形成用のエッチングマスク71を形成する。エッチングマスク71は、上述した椀状部形成用のエッチングマスク62と同様の方法により形成することができる。すなわち、金属膜64,66上にフォトレジスト膜72を形成した後、このフォトレジスト膜72をパターニングすることで、凹部51,52に対応する開口部72aを下面61b側のフォトレジスト膜72に形成する。その後、フォトレジスト膜72を介して金属膜64をエッチングする。これにより、母材61の下面61b側に、凹部51,52に対応する開口部64aを有するとともに、開口部64aを通して母材61を露出させるエッチングマスク71が形成される。
次に、図14に示すように、上述したエッチングマスク71をマスクとして、母材61をエッチングする(凹部エッチング工程)。凹部エッチング工程では、上述した椀状部エッチング工程と同様に、HF水溶液等を用いたウェットエッチングにより等方性エッチングを行う。すると、母材61のうち、開口部64aを通して露出した部分が選択的にエッチングされる。これにより、母材61には、上方に向けて窪む凹部51,52が形成される。凹部エッチング工程でのエッチング量は、母材61を貫通させず、母材61のうち、椀状部55の底部及び凹部51,52の頂部間に位置する部分に残存部Rが形成されるように設定する。なお、本実施形態における凹部エッチング工程でのエッチング量は、母材61の厚さの半分程度(40μm程度)とされ、残存部Rが5μm以下程度残るように設定されている。
次に、図15に示すように、フォトレジスト膜72及びエッチングマスク71(下面61b側の金属膜64)を除去する(除去工程)。これにより、母材の上面61a上のみに金属膜66が残存した状態となる。
以上により、凹部形成工程が終了する。
図16に示すように、連通部形成工程では、まず母材の下面61b側に連通部形成用のエッチングマスク(マスクパターン)75を形成する(図17参照)。エッチングマスク75は、上述した椀状部や凹部形成用のエッチングマスク62,71と同様の方法により形成することができる。すなわち、母材61の下面61b上に金属膜76を形成した後、母材61の両面に図示しないフォトレジスト膜を形成する。次いで、母材61の下面61b側に位置するフォトレジスト膜をパターニングすることで、連通部56に対応する開口部をフォトレジスト膜に形成する。その後、図17に示すように、フォトレジスト膜を介して金属膜76をエッチングすることで、母材61の下面61b側に、連通部56に対応する開口部76aを有するとともに、開口部76aを通して母材61を露出させるエッチングマスク75が形成される。なお、エッチングマスク75の形成後、フォトレジスト膜を除去する。
次に、上述したエッチングマスク75をマスクとして、母材61をエッチングする(連通部エッチング工程)。連通部エッチング工程では、上述した椀状部エッチング工程や凹部エッチング工程と同様に、HF水溶液等を用いたウェットエッチングにより等方性エッチングを行う。すると、母材61のうち、開口部76aを通して露出した部分が選択的にエッチングされる。これにより、母材61の残存部Rがエッチングされ、各椀状部55内と凹部51,52内とを連通させる連通部56が形成される。そして、この連通部56と椀状部55とにより、ノズル孔48a,49aが形成される。
その後、フォトレジスト膜、エッチングマスク75及び金属膜66を除去する。
以上により、連通部形成工程が終了し、図5に示す本実施形態のノズルプレート33が完成する。
このように、本実施形態では、母材61の上面61aから椀状部55を形成する椀状部形成工程と、母材61の下面61bから凹部51,52を形成する凹部形成工程と、凹部51,52内及び椀状部55内を連通させる連通部56を形成する連通部形成工程と、を有する構成とした。
この構成によれば、母材61(ノズルプレート33)に凹部51,52を形成することで、母材61全体の板厚を確保した上で、ノズル孔48a,49aの形成領域の板厚を薄くできる。そのため、母材61の強度や剛性を確保し、作業効率や歩留まりの向上を図ることができる。
また、母材61のうち、ノズル孔48a,49aの形成領域の板厚を薄くすることで、等方性エッチングにより椀状部55を形成する際に、母材61全体の板厚に依存せずに、椀状部55を所望の形状に形成できる。この場合、導入口の内径が母材61全体の板厚よりも小径のノズル孔48a,49aを形成でき、ノズル孔48a,49aの狭ピッチ化が可能になるので、高密度記録化を図ることができる。また、椀状部55を等方性エッチングにより形成することで、ホウケイ酸ガラス等の加工性の低い材料であっても、短時間でノズル孔48a,49aを形成することができる。
特に、連通部形成工程において、母材61の残存部Rに対して連通部56を形成するため、等方性エッチングによりノズル孔48a,49aを一括で形成する場合に比べて、アスペクト比の小さい連通部56を形成できる。さらに、母材61の板厚ばらつきに起因するノズル孔48a,49aの吐出口の内径ばらつきを抑制できる。そのため、ノズル孔48a,49aを所望の形状に形成することができる。
また、連通部形成工程(連通部エッチング工程)をウェットエッチングにより行うことで、連通部56を短時間で高精度に形成することができる。なお、連通部56をウェットエッチングにより行う場合であっても、残存部Rの板厚を一定に維持した状態でエッチング量を多くすることで、連通部56をストレート形状(Z方向の全体に亘って内径が一様な形状)に近づけることができる。
また、本実施形態では、Z方向から見た平面視において、凹部51,52の内形寸法をノズル孔48a,49aよりも大きくすることで、ノズル孔48a,49aから吐出されるインクの流通が凹部51,52によって阻害されるのを抑制できる。これにより、インクの吐出性能を向上させることができる。
さらに、母材61の下面61b側から連通部エッチング工程を行うことで、椀状部55よりも内形寸法が大きい凹部51,52の頂部上にエッチングマスク75の開口部76aを形成することができる。この場合、椀状部55の底部上に開口部を形成する場合に比べて、より簡単にエッチングマスク75を形成することができ、作業効率や歩留まりの向上を図ることができる。
さらに、アクチュエータプレート41と熱膨張率が近いホウケイ酸ガラスを用いてノズルプレート33を形成することで、アクチュエータプレート41との組付時において、ノズル孔48a,49aと吐出チャネル43aとの位置ずれを抑えることができる。そのため、歩留まりを向上させることができる。
また、凹部形成工程において、各ノズル列48,49を各別に覆うように凹部51,52を形成することで、各ノズル孔48a,49aを凹部により各別に覆う場合に比べて簡素化を図るとともに、作業効率を向上させることができる。一方、各ノズル列48,49を一括して覆うように凹部を形成する構成に比べて、ノズルプレート33の強度や剛性を確保できる。
そして、本実施形態のノズルプレート33は、上述した製造方法により製造されているため、所望の形状のノズル孔48a,49を狭ピッチで形成することができる。
また、ノズル孔48a,49aのうち、連通部56のみを小径に形成することができるので、ノズル孔48a,49a全体を小径に形成する場合に比べて流路抵抗を小さくでき、インクがノズル孔48a,49aを通過する際のエネルギー損失を低減できる。
さらに、連通部56を形成することで、等方性エッチングによりノズル孔48a,49aを一括で形成する場合に比べ、ノズル孔48a,49aの吐出口側の開口縁が先鋭形状になるのを抑制できる。そのため、ノズル孔48a,49における吐出口側の開口縁の欠け等の損傷を抑制して、長期に亘って安定した吐出性能を維持できる。
また、本実施形態のインクジェットヘッド4及びプリンタ1によれば、上述したノズルプレート33を備えているため、信頼性に優れたインクジェットヘッド4及びプリンタ1を提供できる。
(第1変形例)
次に、上述した実施形態の第1変形例について説明する。図18、図19は、第1変形例に係るノズルプレート33の製造方法を説明するための工程図であって、図5に相当する部分の断面図である。第1変形例では、連通部形成工程において、連通部56をドライエッチングにより形成する点で上述した実施形態と相違している。
図18に示すように、本変形例の連通部形成工程では、まず母材61の下面61b側に、上述した実施形態と同様の方法によりエッチングマスク75を形成する。なお、本変形例では、少なくとも母材61の下面61b側(エッチングの加工面側)のみにエッチングマスク75が形成されていれば構わない。すなわち、本変形例では、図14に示す凹部エッチング工程の後、除去工程においてフォトレジスト膜72及び金属膜64,66を全て除去している。但し、除去工程において、少なくともフォトレジスト膜72及び金属膜64が除去されれば、金属膜66は残存していても構わない。
次に、図19に示すように、連通部エッチング工程において、エッチングマスク75をマスクとして、母材61をエッチングする。具体的には、CCP(Capacitive Coupled Plasma)や、ICP(Inductive Coupled Plasma)、NLD(Neutral Loop Discharge)等を用いたドライエッチングを行う。すると、母材61のうち、開口部76aを通して露出した部分が上方に向けて直線的にエッチングされる。これにより、母材61の残存部Rがエッチングされ、各椀状部55内と凹部51,52内とを連通させる連通部56が形成される。
この構成によれば、上述した実施形態と同様の作用効果を奏するとともに、ストレート形状の連通部56を高精度に形成することができる。この場合、残存部Rのみに対してドライエッチングを行うため、母材61全体をドライエッチングにより加工する場合に比べて加工時間の短縮を図ることができる。しかも、ドライエッチングにより連通部56を形成することで、エッチングの加工面側のみにエッチングマスク75を形成すればよいので、作業効率の向上を図ることができる。
(第2変形例)
次に、上述した実施形態の第2変形例について説明する。図20、図21は、第2変形例に係るノズルプレート33の製造方法を説明するための工程図であって、図5に相当する部分の断面図である。第2変形例では、母材61に対して連通部56をレーザ加工により形成する点で上述した実施形態と相違している。なお、本変形例では、図14に示す凹部エッチング工程の後、フォトレジスト膜72及び金属膜64,66を全て除去している。
図20に示すように、本変形例の連通部形成工程では、母材61の残存部Rのうち、連通部56の形成領域に対して母材61の下面61b側からレーザ光Lを照射する。すると、残存部Rのうち、レーザ光Lの照射部分が溶融し、残存部Rが貫通する。これにより、図21に示すように、凹部51,52内と椀状部55内とを連通させる連通部56が形成される。なお、本変形例で用いるレーザ装置としては、例えば炭酸ガスレーザや紫外線レーザ等が好適に用いられる。
この構成によれば、上述した実施形態と同様の作用効果を奏するとともに、ストレート形状の連通部56を高精度に形成できる。この場合、残存部Rのみに対してレーザ光Lを照射するので、レーザ光Lの強度や照射時間を抑えることができ、母材61のうち、連通部56の周囲に与える熱の影響を抑えることができる。
また、レーザ加工により連通部56を形成することで、エッチング等で連通部56を形成する場合と異なり、母材61にエッチングマスクを形成する必要がない。そのため、作業効率の向上を図ることができる。また、凹部51,52の内形寸法や表面形状の関係でエッチングマスクが形成できないような場合であっても、連通部56を形成することができる。
なお、本発明の技術範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上述した実施形態では、ウェットエッチングによって椀状部55を形成する構成について説明したが、これに限られない。すなわち、等方性エッチングであれば、ドライエッチングにより椀状部55を形成しても構わない。
また、上述した実施形態では、ウェットエッチングによって凹部51,52を形成する構成について説明したが、これに限らず、加工時間等を考慮して適宜変更が可能である。この場合、例えば等方性のドライエッチングや、機械加工により凹部51,52を形成しても構わない。
また、上述した実施形態では、凹部51,52がノズル列48,49全体に各別に重なり合うように構成したが、これに限られない。例えば図22に示すように、全ノズル孔48a,49aとZ方向で重なり合うように凹部80を形成しても構わない。また、図21、図23に示すように、各ノズル孔48a,49aごとに凹部81を形成してもよく、複数のノズル孔48a,49aごとに凹部を形成しても構わない。
さらに、上述した実施形態では、Z方向から見た平面視において、凹部51,52の内形寸法が少なくともノズル孔48a,49aよりも大きい構成について説明したが、これに限られない。凹部51,52の内形寸法は、ノズル孔48a,49a(連通部56)と同等であっても構わない
さらに、上述した実施形態では、凹部51,52側から連通部56を形成する場合について説明したが、これに限らず、椀状部55側から連通部56を形成しても構わない。
また、ノズルプレート33の材料として、ホウケイ酸ガラスや石英ガラス等のガラス材料に限らず、種々の材料を適用することができる。
また、上述した実施形態では、複数のヘッドチップ31A,31Bが積層された構成について説明したが、これに限らず、単層のヘッドチップであっても、本発明を適用することができる。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した各変形例を適宜組み合わせても構わない。
1…プリンタ(液体噴射装置)
2…搬送機構(移動機構)
4…インクジェットヘッド(液体噴射ヘッド)
6…走査手段(移動機構)
33…ノズルプレート(噴射孔プレート)
41…アクチュエータプレート
43a…吐出チャネル
48…第1ノズル列(噴射孔列)
48a…第1ノズル孔(噴射孔)
49…第2ノズル列(噴射孔列)
49a…第2ノズル孔(噴射孔)
51…第1凹部(他面側凹部)
52…第2凹部(他面側凹部)
55…椀状部(一面側凹部)
56…連通部
61…母材
61a…上面(一面)
61b…下面(他面)
75…エッチングマスク(マスクパターン)
76…金属膜(マスク材)
80,81…凹部(他面側凹部)

Claims (11)

  1. 液体を噴射する噴射孔を有する噴射孔プレートの製造方法であって、
    母材の一面に、液体の導入口となる一面側凹部を等方性エッチングにより形成する一面側凹部形成工程と、
    前記母材の他面において、前記母材の厚さ方向で前記一面側凹部と重なる部分に他面側凹部を形成する他面側凹部形成工程と、
    前記一面側凹部内及び前記他面側凹部内を連通させるとともに、液体の噴射口となる連通部を形成する連通部形成工程と、を有し、
    前記一面側凹部及び前記連通部により前記噴射孔を構成することを特徴とする噴射孔プレートの製造方法。
  2. 前記連通部形成工程は、ドライエッチングにより行うことを特徴とする請求項1記載の噴射孔プレートの製造方法。
  3. 前記連通部形成工程は、
    前記母材の両面にマスク材を形成するマスク材形成工程と、
    前記マスク材のうち、前記母材の一方の面側に位置する前記マスク材をパターニングして前記連通部のマスクパターンを形成するマスクパターン形成工程と、
    前記マスクパターンをマスクとしてウェットエッチングを行い、前記連通部を形成する連通部エッチング工程と、を有していることを特徴とする請求項1記載の噴射孔プレートの製造方法。
  4. 前記連通部形成工程は、レーザ加工により行うことを特徴とする請求項1記載の噴射孔プレートの製造方法。
  5. 前記他面側凹部形成工程では、前記母材の厚さ方向から見た平面視の大きさが前記一面側凹部よりも大きくなるように前記他面側凹部を形成することを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の噴射孔プレートの製造方法。
  6. 前記連通部形成工程では、前記他面側から前記連通部を形成することを特徴とする請求項5記載の噴射孔プレートの製造方法。
  7. 複数の前記噴射孔が間隔をあけて一列並設されて噴射孔列を構成し、
    前記他面側凹部形成工程では、前記母材の厚さ方向から見た平面視で前記噴射孔列全体と重なり合う大きさで前記他面側凹部を形成することを特徴とする請求項5又は請求項6記載の噴射孔プレートの製造方法。
  8. 前記母材は、ホウケイ酸ガラスを用いることを特徴とする請求項1から請求項7の何れか1項に記載の噴射孔プレートの製造方法。
  9. 請求項1から請求項8の何れか1項に記載の噴射孔プレートの製造方法により製造されていることを特徴とする噴射孔プレート。
  10. 請求項9記載の噴射孔プレートと、
    液体が充填されるとともに前記噴射孔の前記一面側凹部内に連通するチャネルを有するアクチュエータプレートと、を備えていることを特徴とする液体噴射ヘッド。
  11. 請求項10記載の液体噴射ヘッドと、
    前記液体噴射ヘッドと被記録媒体とを相対的に移動させる移動機構と、を備えていることを特徴とする液体噴射装置。
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