JP4113018B2 - ポリアクリロニトリル系炭素繊維紡績糸織物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、後加工性の良いポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維紡績糸織物に関する。
【0002】
【従来の技術】
PAN系酸化繊維は、一般の有機繊維と同様の引張り伸度を示し、紡績加工が容易である。このPAN系酸化繊維を用い、紡績ヤ−ン(より糸)加工等の紡績加工をして紡績糸を得、次いでこの紡績糸を製織し、更に炭素化することにより、炭素繊維紡績糸織物を作製することができる。
【0003】
炭素繊維紡績糸織物は、強度特性に優れ、耐熱性や断熱性に優れ、良好な導電性を有する。炭素繊維紡績糸織物は、これらの特性が生かされており、断熱シート、耐炎シートや電極材シートとして各用途に有用な素材である。
【0004】
これらの用途に適用するシートは、一般に樹脂スラリー(耐熱樹脂や導電性樹脂等)、セラミックや炭素等の粉体を含む樹脂スラリーをシート片面又は両面に均一に塗布・コートして用いられる。
【0005】
塗布工程においては、塗布量や厚さの均一性、密着性を向上させることが重要な課題である。しかし、これまでのシートにおいては、塗布工程において均一性や塗布膜の密着性の良好なものは得られない。特に薄層のシートでは、塗布工程で受ける摩擦抵抗により、シート表面のケバの発生や、シートの切断や伸び等の工程トラブルを生じ、安定的に連続加工することが難しい。
【0006】
なお、従来の炭素繊維紡績糸織物、及びその製造技術としては特許文献1、2などに記載されたものがある。
【0007】
特許文献1には、炭素繊維からなる縦糸と横糸とを平織りとしたカーボンクロスを電極材に用いること、並びに、電極材となるカーボンクロス(カーボン短繊維をよった糸を織ったもの、厚さ0.4mm)についての記載がある。
【0008】
しかし、この特許文献1に記載されたカーボンクロスは、いずれも、本発明のように酸化繊維を紡績糸加工した紡績糸を用いた炭素織物とは異なる。また、後加工に関する記載がなく、平面平滑性に関する記載もない。
【0009】
特許文献2には、炭素繊維を短繊維化後、炭素繊維紡績糸織物を作製する方法が記載されている。
【0010】
しかし、この特許文献2に記載された炭素繊維紡績糸織物は、本発明とは製造方法が全く異なる。しかも、後加工に関する記載がなく、平面平滑性に関する記載もない。
【0011】
【特許文献1】
特開平7−335234号公報 (段落番号[0004]、[0027])
【特許文献2】
特開平10−280246号公報 (特許請求の範囲)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、後加工性や平面平滑性に優れた炭素繊維紡績糸織物を得るために種々検討しているうちに、
1.炭素繊維よりも結節強度の高いPAN系酸化繊維を原料とすることにより、細く、強度が高い紡績糸の作製が可能となる。
2.織物のヨコ方向には、タテ方向より細い紡績糸を配置し、このヨコ方向の糸を打ち込むことにより、織物の炭素化時における長さ方向の平面平滑性面の向上を図る。
3.得られた紡績糸織物を炭素化する。
などの事項、操作を適用することにより、長さ方向の強度が高く、適度な平面平滑性が付与された炭素繊維紡績糸織物を得ることができることを知得し、本発明を完成するに到った。
【0013】
従って、本発明の目的とするところは、上記問題を解決した炭素繊維紡績糸織物を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明は、以下に記載するものである。
【0015】
〔1〕 厚さが0.15〜0.40mm、長さ方向の引張強度30N/cm以上、長さ方向の静摩擦係数μが3.5以下、炭素含有率が93質量%以上のポリアクリロニトリル系炭素繊維紡績糸織物。
【0016】
〔2〕 タテ方向の炭素繊維紡績糸の太さCA(dtex)とヨコ方向の炭素繊維紡績糸の太さCB(dtex)が、式1
【0017】
【数3】
150 < CA < 400 式1
及び式2
【0018】
【数4】
0.40 < CB/CA < 0.62 式2
を満たす〔1〕に記載のポリアクリロニトリル系炭素繊維紡績糸織物。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0020】
本発明のPAN系炭素繊維紡績糸織物は、厚さが0.15〜0.40mmである。炭素繊維紡績糸織物の厚さが0.15mm未満の場合は、この紡績糸織物の強度が低くなるので好ましくない。炭素繊維紡績糸織物の厚さが0.40mmを超える場合は、この紡績糸織物の表面摩擦係数が増加し、後加工中ケバが発生し易くなるので好ましくない。
【0021】
本発明のPAN系炭素繊維紡績糸織物は、長さ方向の引張強度が30N/cm以上である。炭素繊維紡績糸織物の長さ方向の引張強度が30N/cm未満の場合は、後加工中切断し易くなるので好ましくない。
【0022】
本発明のPAN系炭素繊維紡績糸織物は、長さ方向の静摩擦係数μが3.5以下、好ましくは0.3〜3.0である。炭素繊維紡績糸織物の長さ方向の静摩擦係数μが3.5を超える場合は、後加工時に織物の表面ケバ、切断及び伸びが生じ易くなるので好ましくない。
【0023】
本発明のPAN系炭素繊維紡績糸織物は、炭素含有率が93質量%以上である。炭素繊維紡績糸織物の炭素含有率が93質量%未満の場合は、耐熱性や電気伝導性が低下するので好ましくない。
【0024】
本発明のPAN系炭素繊維紡績糸織物を構成するタテ方向の炭素繊維紡績糸〔紡績糸(タテ)〕の太さCAは150〜400dtexが好ましい。炭素繊維紡績糸(タテ)の太さCAが150dtex未満の場合は、糸強度が低く、炭素繊維微粉末が発生し易くなるので好ましくない。炭素繊維紡績糸(タテ)の太さCAが400dtexを超える場合は、所期の厚さの薄い炭素繊維紡績糸織物が得られない、並びに、静摩擦係数が増加するなどの不具合を生ずるので好ましくない。
【0025】
本発明のPAN系炭素繊維紡績糸織物を構成するヨコ方向の炭素繊維紡績糸(ヨコ糸)の太さCB(dtex)とタテ方向の炭素繊維紡績糸(タテ糸)の太さCA(dtex)との比CB/CAは0.40〜0.62が好ましい。ヨコ糸の太さCBとタテ糸の太さCAとの比CB/CAが0.40未満の場合は、ヨコ糸の強度が低いため、炭素繊維ケバが発生し易くなるので好ましくない。ヨコ糸の太さCBとタテ糸の太さCAとの比CB/CAが0.62を超える場合は、所期の厚さの薄い炭素繊維紡績糸織物が得られないので好ましくない。
【0026】
本発明のPAN系炭素繊維紡績糸織物における厚さ方向の電気抵抗値は10mΩ以下が好ましく、8mΩ以下が更に好ましい。この紡績糸織物を高分子電解質型燃料電池用電極材として用いる場合、電気抵抗値が低い程、電池性能が良い。この電気抵抗値が10mΩを超えると起電力が下がり、電池性能が悪くなるので好ましくない。
【0027】
なお、炭素繊維紡績糸織物における厚さ方向の電気抵抗値は、後述する測定方法により測定する。
【0028】
本発明のPAN系炭素繊維紡績糸織物は、その物性が上記範囲内にあれば、その製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば以下の製造方法により製造することができる。
【0029】
〔酸化繊維(単繊維)〕
炭素繊維紡績糸織物原料の酸化繊維(単繊維)は、PAN系酸化繊維であり、例えば市販のPAN系繊維を空気中、高温で処理することにより環化反応を生じさせ、酸素結合量を増加させて不融化、難燃化させる耐炎化処理によって得られるものを用いることができる。
【0030】
PAN系酸化繊維における乾強度、結節強度は、JIS L 1015により測定した物性値である。
【0031】
酸化繊維の乾強度は、1.5gf/dtex(14.7mN/dtex)以上である。酸化繊維乾強度が1.5gf/dtex(14.7mN/dtex)未満の場合は、この酸化繊維を紡績して得られる酸化繊維紡績糸の強度低下、更にこの酸化繊維紡績糸が炭素化されてなる炭素繊維紡績糸の強度低下による微粉末発生が増加するので好ましくない。
【0032】
酸化繊維の結節強度は、0.3gf/dtex(2.9mN/dtex)以上である。酸化繊維結節強度が0.3gf/dtex(2.9mN/dtex)未満の場合は、目標とする細い酸化繊維紡績糸が得難い。得られた場合も紡績糸強度が低く、織物加工が難しい。
【0033】
酸化繊維の比重は、特に限定されないが、1.35〜1.45が好ましく、1.35〜1.43が更に好ましい。
【0034】
酸化繊維の繊度は、0.9〜4.5dtexの範囲が好ましく、1.0〜2.5dtexの範囲がより好ましい。
【0035】
酸化繊維のクリンプ数は、特に限定されないが、5〜20ヶ/インチ(2.54cm)が好ましい。
【0036】
酸化繊維のクリンプ率は、特に限定されないが、7〜15%が好ましい。
【0037】
酸化繊維のカット長は、特に限定されないが、25〜100mmが好ましい。
【0038】
〔紡績加工〕
上述した酸化繊維は、製織時のタテ方向の酸化繊維紡績糸(タテ糸)と、製織時のヨコ方向の酸化繊維紡績糸(ヨコ糸)とに紡績加工する。
【0039】
ここで、タテ糸の太さOAは420〜660dtexであり、ヨコ糸の太さOBとタテ糸の太さOAとの比OB/OAは0.40〜0.62である。
【0040】
タテ糸の太さOAが420dtex未満の場合は、織物加工時に駆動方向の張力により、伸びを生じ易い、並びに、ヨコ方向の紡績糸の打込み時に紡績糸切れを生じ易いなどの不具合を生ずるので好ましくない。タテ糸の太さOAが660dtexを超える場合は、紡績糸が太すぎるため、織物加工時織物の厚さが厚くなり、目標とする厚さの炭素繊維織物を得ることができない。
【0041】
ヨコ糸の太さOBとタテ糸の太さOAとの比OB/OAが上記範囲外の場合は、所期の炭素繊維織物を得ることができない。
【0042】
タテ糸、ヨコ糸共、そのより数は250〜820回/mが好ましく、350〜820回/mが更に好ましい。より数が250回/m未満の場合は、強度が低下し、ケバが発生し易いので好ましくない。より数が820回/mを超える場合は、紡績加工性低下、単繊維切れが生じ易い、並びに、ケバが発生し易いなどの不具合を生ずるので好ましくない。
【0043】
〔製織〕
上述した酸化繊維紡績糸を製織することにより、酸化繊維紡績糸織物を製造する。
【0044】
この酸化繊維織物の形態は、特に限定されないが、表面の静摩擦係数が低い織物を作製し易いことから平織りが好ましい。
【0045】
酸化繊維織物の厚さは、0.18〜0.45mmが好ましい。
【0046】
酸化繊維紡績糸のタテ糸・ヨコ糸の打込み本数は、紡績糸の太さにより調整されるが、30〜70本/インチ(2.54cm)の範囲が好ましい。
【0047】
〔樹脂処理〕
上述した酸化繊維紡績糸織物には、圧縮処理する前に、静摩擦係数低減効果をより発揮させることを目的として、樹脂処理を行ってもよい。
【0048】
樹脂の種類は熱可塑性、熱硬化性樹脂のいずれでもよいが、後工程で高温(100〜350℃)圧縮処理される際に軟化し、繊維間で融着し、かつ焼成炭素化時(窒素雰囲気下、950〜2300℃、更に好ましくは1200〜2300℃)に僅かでも炭素化し残留する樹脂を用いることが好ましい。例えば、ポリビニルアルーコール、カルボキシメチルセルローズ、エポキシ、フェノールノボラック、アラミド、ポリイミド等の樹脂が好ましい。
【0049】
樹脂の付着量は、樹脂の種類や、炭素化後の織物の目標とする硬さにより最適量は異なるが、通常0.2〜10質量%の範囲が好ましい。樹脂の付着量が10質量%を超える場合、焼成炭素化して得られる炭素繊維紡績糸織物は、柔軟性がなくなり、脆くなるので好ましくない。
【0050】
樹脂処理の方法は浸漬法が好ましい。この方法によれば最も均一に樹脂添着が可能である。樹脂処理時の温度は常温(25℃)〜90℃の範囲が好ましい。
【0051】
〔圧縮処理〕
必要に応じ、上述した酸化繊維紡績糸織物を、樹脂処理後又は処理せずに、100〜350℃の温度下、圧力0.5〜20MPa、好ましくは1〜8MPaにて圧縮処理する。
【0052】
この圧縮処理時の温度及び圧力は、樹脂処理時の樹脂の種類及び目標とする炭素繊維紡績糸織物の厚さにより適宜調整する。
【0053】
〔焼成・炭素化〕
圧縮処理後、酸化繊維紡績糸織物を、窒素雰囲気下などの不活性ガス雰囲気下、1200〜2300℃で、0.5〜20分間焼成し炭素化することが好ましい。
【0054】
焼成時の温度が1200℃未満の場合は、得られる炭素繊維紡績糸織物の電気伝導性が低下するので好ましくない。焼成時の温度が2300℃を超える場合は、炭素繊維紡績糸織物の強度が劣化し、微粉末が発生するので好ましくない。
【0055】
このようにして得られる炭素繊維紡績糸織物の目付は30〜120g/m2が好ましい。
【0056】
【実施例】
本発明を以下の実施例及び比較例により詳述する。
【0057】
以下の実施例及び比較例の条件により炭素繊維紡績糸織物を作製した。原料酸化繊維、樹脂・圧縮処理前の酸化繊維紡績糸織物、樹脂・圧縮処理後の酸化繊維紡績糸織物及び焼成後の炭素繊維紡績糸織物の諸物性値を、以下の方法により測定した。
【0058】
酸化繊維の比重:アルキメデス法(溶媒アセトン)により測定した。
【0059】
繊維性能:乾強度、結節強度、クリンプ数、クリンプ率、酸化繊維の繊度、紡績糸の太さ、より数は、JIS L 1015により測定した。
【0060】
紡績糸織物の厚さ:直径30mmの円形圧板で200gfを負荷したとき(2.8kPa)の厚さを測定した。
【0061】
紡績糸織物の目付:50mm角の紡績糸織物を120℃、2時間乾燥させた質量より、単位面積当たりの質量を算出した。
【0062】
紡績糸織物の嵩密度:上記条件により測定した厚さ及び目付から算出した。
【0063】
紡績糸の打込み本数:50mm角に切り出した織物について、それぞれタテ方向及びヨコ方向の紡績糸の本数/インチ(2.54cm)を測定した。
【0064】
炭素含有率:元素分析機(CHNコーダー:島津製作所製)を用い測定した。
【0065】
電気抵抗値:2枚の50mm角(厚さ10mm)の金メッキした電極に炭素繊維紡績糸織物の全面を接触するように挟み、両電極間の電気抵抗値(mΩ)を測定した。
【0066】
紡績糸織物の静摩擦係数μ:図1の概略側面図に示す測定装置2を用い、以下の手順で炭素繊維紡績糸織物の静摩擦係数μを測定した。
【0067】
図1(a)に示すように、平面板4に試験用織物6aを貼りつけ、一方、金属製の板8(質量80g、幅2.9cm、長さ3.4cm、厚さ0.95cm)に、平面板4に貼りつけた試験用織物6aと同じ試験用織物6bを貼りつけ、この金属製の板8を平面板4上面に置いた。
【0068】
次いで、図1(b)に示すように、平面板4を傾け、滑り初めの底辺X(平面板4の水平方向の長さ)に対する高さH(平面板4の鉛直方向の長さ)の比(H/X)を静摩擦係数μとした。
【0069】
紡績糸織物の引っ張り強度:紡績糸織物を幅25mm、長さ200mmにカットし試験片を作製し、引っ張り速度100mm/min、つかみ間隔100mmにて、引っ張り強度(N/cm)を測定した。
【0070】
実施例1
PAN系酸化繊維〔比重1.39、繊度1.3dtex、クリンプ数10.5ヶ/インチ(2.5cm)、クリンプ率12.4%、カット長51mm、乾強度2.5gf/dtex(24.5mN/dtex)、結節強度0.6gf/dtex(5.9mN/dtex)〕を用い、表1に示すように、織物用のタテ方向の紡績糸〔紡績糸(タテ)〕として、より数350回/m、太さ(OA)560dtexの糸、織物用のヨコ方向の紡績糸〔紡績糸(ヨコ)〕として、より数350回/m、太さ(OB)250dtexの糸を作製した。紡績糸(ヨコ)と紡績糸(タテ)との太さ比(OB/OA)は0.45であった。
【0071】
次いで、上記紡績糸(タテ)を打込本数40本/インチ(2.54cm)、上記紡績糸(ヨコ)を打込本数40本/インチ(2.54cm)の条件で製織し、目付170g/m2、厚さ0.30mmの平織りの酸化繊維紡績糸織物を得た。
【0072】
この酸化繊維紡績糸織物を、1500℃、窒素雰囲気下、2分間焼成し炭素化することによって炭素繊維紡績糸織物を得た。
【0073】
得られた炭素繊維紡績糸織物は、表1に示すように、目付が100g/m2、厚さが0.30mm、嵩密度が0.33g/cm3、タテ方向の炭素繊維紡績糸〔紡績糸(タテ)〕の太さ(CA)が310dtex、ヨコ方向の炭素繊維紡績糸〔紡績糸(ヨコ)〕の太さ(CB)が151dtex、紡績糸(ヨコ)と紡績糸(タテ)との太さ比(CB/CA)が0.49、炭素含有率が96質量%、厚さ方向の電気抵抗値が2.0mΩ、静摩擦係数μが2.4、引張強度45N/cmであり、良好な物性の炭素繊維紡績糸織物であった。
【0074】
この炭素繊維紡績糸織物の後加工性を評価したところ、表1に示すように、織物の伸び、切断及び付着ムラのいずれも無く、後加工性は良好であった。
【0075】
実施例2
実施例1と同じPAN系酸化繊維を用い、表1に示すように、織物用のタテ方向の紡績糸〔紡績糸(タテ)〕として、より数350回/m、太さ(OA)560dtexの糸、織物用のヨコ方向の紡績糸〔紡績糸(ヨコ)〕として、より数350回/m、太さ(OB)300dtexの糸を作製した。紡績糸(ヨコ)と紡績糸(タテ)との太さ比(OB/OA)は0.54であった。
【0076】
次いで、上記紡績糸(タテ)を打込本数40本/インチ(2.54cm)、上記紡績糸(ヨコ)を打込本数33本/インチ(2.54cm)の条件で製織し、目付175g/m2、厚さ0.33mmの平織りの酸化繊維紡績糸織物を得た。
【0077】
この酸化繊維紡績糸織物を、1500℃、窒素雰囲気下、2分間焼成し炭素化することによって炭素繊維紡績糸織物を得た。
【0078】
得られた炭素繊維紡績糸織物は、表1に示すように、目付が103g/m2、厚さが0.31mm、嵩密度が0.33g/cm3、タテ方向の炭素繊維紡績糸〔紡績糸(タテ)〕の太さ(CA)が310dtex、ヨコ方向の炭素繊維紡績糸〔紡績糸(ヨコ)〕の太さ(CB)が182dtex、紡績糸(ヨコ)と紡績糸(タテ)との太さ比(CB/CA)が0.59、炭素含有率が96質量%、厚さ方向の電気抵抗値が2.3mΩ、静摩擦係数μが2.7、引張強度47N/cmであり、良好な物性の炭素繊維紡績糸織物であった。
【0079】
この炭素繊維紡績糸織物の後加工性を評価したところ、表1に示すように、織物の伸び、切断及び付着ムラのいずれも無く、後加工性は良好であった。
【0080】
実施例3
実施例2で得た酸化繊維紡績糸織物をPVA水溶液(0.4質量%)にて浸漬処理(樹脂処理)し、PVAを0.5質量%添着せしめた後、160℃、5MPaにて圧縮処理し、目付173g/m2、厚さ0.26mm、嵩密度0.67g/cm3の樹脂処理・圧縮処理後の酸化繊維紡績糸織物を得た。
【0081】
この樹脂処理・圧縮処理後の酸化繊維紡績糸織物を、1500℃、窒素雰囲気下、2分間焼成し炭素化することによって炭素繊維紡績糸織物を得た。
【0082】
得られた炭素繊維紡績糸織物は、表1に示すように、目付が104g/m2、厚さが0.25mm、嵩密度が0.42g/cm3、タテ方向の炭素繊維紡績糸〔紡績糸(タテ)〕の太さ(CA)が312dtex、ヨコ方向の炭素繊維紡績糸〔紡績糸(ヨコ)〕の太さ(CB)が184dtex、紡績糸(ヨコ)と紡績糸(タテ)との太さ比(CB/CA)が0.59、炭素含有率が96質量%、厚さ方向の電気抵抗値が2.3mΩ、静摩擦係数μが2.7、引張強度47N/cmであり、良好な物性の炭素繊維紡績糸織物であった。
【0083】
この炭素繊維紡績糸織物の後加工性を評価したところ、表1に示すように、織物の伸び、切断及び付着ムラのいずれも無く、後加工性は良好であった。
【0084】
【表1】
Figure 0004113018
【0085】
比較例1
実施例1で得た酸化繊維紡績糸織物を、1000℃、窒素雰囲気下、2分間焼成し炭素化することによって炭素繊維紡績糸織物を得た。
【0086】
得られた炭素繊維紡績糸織物は、表2に示すように、目付が112g/m2、厚さが0.31mm、嵩密度が0.36g/cm3、タテ方向の炭素繊維紡績糸〔紡績糸(タテ)〕の太さ(CA)が340dtex、ヨコ方向の炭素繊維紡績糸〔紡績糸(ヨコ)〕の太さ(CB)が169dtex、紡績糸(ヨコ)と紡績糸(タテ)との太さ比(CB/CA)が0.50、炭素含有率が91質量%、厚さ方向の電気抵抗値が5.5mΩ、静摩擦係数μが2.8、引張強度16N/cmであり、良好な物性の炭素繊維紡績糸織物ではなかった。
【0087】
この炭素繊維紡績糸織物の後加工性を評価したところ、表2に示すように、織物
の伸び及び切断があり、後加工性は良好ではなかった。
【0088】
表2中×で示す箇所が本発明の構成から逸脱している。
【0089】
比較例2
PAN系酸化繊維〔比重1.45、繊度1.2dtex、クリンプ数10.0ヶ/インチ(2.5cm)、クリンプ率13.5%、カット長51mm、乾強度2.0gf/dtex(19.6mN/dtex)、結節強度0.2gf/dtex(2.0mN/dtex)〕を用い、表2に示すように、織物用のタテ方向の紡績糸〔紡績糸(タテ)〕として、より数335回/m、太さ(OA)555dtexの糸、織物用のヨコ方向の紡績糸〔紡績糸(ヨコ)〕として、より数335回/m、太さ(OB)260dtexの糸を作製した。紡績糸(ヨコ)と紡績糸(タテ)との太さ比(OB/OA)は0.47であった。
【0090】
次いで、上記紡績糸(タテ)を打込本数40本/インチ(2.54cm)、上記紡績糸(ヨコ)を打込本数40本/インチ(2.54cm)の条件で製織し、目付173g/m2、厚さ0.34mmの平織りの酸化繊維紡績糸織物を得た。
【0091】
この酸化繊維紡績糸織物を、1500℃、窒素雰囲気下、2分間焼成し炭素化することによって炭素繊維紡績糸織物を得た。
【0092】
得られた炭素繊維紡績糸織物は、表2に示すように、目付が102g/m2、厚さが0.31mm、嵩密度が0.33g/cm3、タテ方向の炭素繊維紡績糸〔紡績糸(タテ)〕の太さ(CA)が333dtex、ヨコ方向の炭素繊維紡績糸〔紡績糸(ヨコ)〕の太さ(CB)が150dtex、紡績糸(ヨコ)と紡績糸(タテ)との太さ比(CB/CA)が0.45、炭素含有率が96質量%、厚さ方向の電気抵抗値が3.0mΩ、静摩擦係数μが3.5、引張強度13N/cmであり、良好な物性の炭素繊維紡績糸織物ではなかった。
【0093】
この炭素繊維紡績糸織物の後加工性を評価したところ、表2に示すように、織物
の伸び、切断及び付着ムラがあり、後加工性は良好ではなかった。
【0094】
表2中×で示す箇所が本発明の構成から逸脱している。
【0095】
比較例3
実施例1と同じPAN系酸化繊維を用い、表2に示すように、織物用のタテ方向の紡績糸〔紡績糸(タテ)〕として、より数335回/m、太さ(OA)560dtexの糸、織物用のヨコ方向の紡績糸〔紡績糸(ヨコ)〕として、より数335回/m、太さ(OB)360dtexの糸を作製した。紡績糸(ヨコ)と紡績糸(タテ)との太さ比(OB/OA)は0.64であった。
【0096】
次いで、上記紡績糸(タテ)を打込本数40本/インチ(2.54cm)、上記紡績糸(ヨコ)を打込本数28本/インチ(2.54cm)の条件で製織し、目付170g/m2、厚さ0.34mmの平織りの酸化繊維紡績糸織物を得た。
【0097】
この酸化繊維紡績糸織物を、1500℃、窒素雰囲気下、2分間焼成し炭素化することによって炭素繊維紡績糸織物を得た。
【0098】
得られた炭素繊維紡績糸織物は、表2に示すように、目付が102g/m2、厚さが0.34mm、嵩密度が0.30g/cm3、タテ方向の炭素繊維紡績糸〔紡績糸(タテ)〕の太さ(CA)が310dtex、ヨコ方向の炭素繊維紡績糸〔紡績糸(ヨコ)〕の太さ(CB)が202dtex、紡績糸(ヨコ)と紡績糸(タテ)との太さ比(CB/CA)が0.65、炭素含有率が96質量%、厚さ方向の電気抵抗値が3.5mΩ、静摩擦係数μが3.7、引張強度47N/cmであり、良好な物性の炭素繊維紡績糸織物ではなかった。
【0099】
この炭素繊維紡績糸織物の後加工性を評価したところ、表2に示すように、織物
の切断及び付着ムラがあり、後加工性は良好ではなかった。
【0100】
表2中×で示す箇所が本発明の構成から逸脱している。
【0101】
【表2】
Figure 0004113018
【0102】
【発明の効果】
本発明のPAN系炭素繊維紡績糸織物は、厚さ、長さ方向の引張強度、長さ方向の静摩擦係数μ、並びに、炭素含有率が所定の範囲になるように構成されているので、後加工性や平面平滑性に優れた炭素繊維紡績糸織物である。
【0103】
また、上記炭素繊維紡績糸織物におけるタテ方向の炭素繊維紡績糸の太さCAとヨコ方向の炭素繊維紡績糸の太さCBとを所定の範囲になるように構成することにより上記炭素繊維紡績糸織物の後加工性や平面平滑性は更に優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】静摩擦係数測定装置の一例を示す概略側面図であり、(a)は平面板を傾ける前の状態を示し、(b)は平面板を傾けて金属製の板が滑り初めたときの状態を示す。
【符号の説明】
2 静摩擦係数測定装置
4 平面板
6a、6b 試験用織物
8 金属製の板
X 滑り初めの底辺
H 滑り初めの高さ

Claims (1)

  1. タテ方向の酸化繊維紡績糸の太さO A ( dtex ) が420〜660dtexであり、ヨコ方向の酸化繊維紡績糸の太さO B ( dtex ) とタテ方向の酸化繊維紡績糸の太さO A ( dtex ) との比O B /O A が0.40〜0.62であり、タテ方向の酸化繊維もヨコ方向の酸化繊維もその比重が1.35〜1.43であるポリアクリロニトリル系酸化繊維紡績糸織物を、不活性ガス雰囲気下、1200〜2300℃で、0.5〜20分間焼成することを特徴とする、厚さが0.15〜0.40mm、長さ方向の引張強度30N/cm以上、長さ方向の静摩擦係数μが0.3〜3.5、炭素含有率が93質量%以上、且つ、タテ方向の炭素繊維紡績糸の太さC A ( dtex ) とヨコ方向の炭素繊維紡績糸の太さC B ( dtex ) が式1
    Figure 0004113018
    及び式2
    Figure 0004113018
    を満たすポリアクリロニトリル系炭素繊維紡績糸織物の製造方法
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