JP4112721B2 - 木材の処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、木材に防腐防蟻処理を施す際に使用される木材の処理装置に関するものである。
【0002】
【背景の技術】
従来より、シロアリ、ヒラタキクイムシ等による木材の生物被害を防止するために、防腐防蟻加工が行われている。この防腐防蟻加工の一例として、予め木材の表面に、例えばのみ刃によって適当な間隔でのみ目を切り込んでおき、該のみ目から薬剤を木材内部に浸透させる方法があり、木材の表面に前記のみ目等の微小孔を切り込む加工がインサイジング加工と称されている。例えば、特開昭56−69103号公報には、木材にインサイジング加工を施すための、インサイジング装置について記載されており、該インサイジング装置では、周方向に所定間隔で多数の刃が形成されてなるインサイジング刃物を回転させつつ、前記刃によって木材の表面を切り込み、これによって、木材の表面に前記微小孔を多数形成するようにしている。
【0003】
上記のようにしてインサイジング加工された木材には、前記微小孔から木材内部に薬剤を浸透させるようにしているが、前記微小孔に薬剤を注入する場合、例えば、インサイジング加工された木材の表面全体に薬剤を塗布することで、前記微小孔に薬剤を注入するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、インサイジング加工された木材の表面全体に薬剤を塗布する場合、該インサイジング加工された木材の表面にスプレーガン等で作業者が薬剤を吹き付けて塗布したり、前記インサイジングされた木材を作業者がインサイジング加工装置から別の薬剤塗布装置まで運び込んで、該薬剤塗布装置で木材の表面に薬剤を塗布するようにしているので、塗布作業に手間がかかるとともに、インサイジング加工された木材を薬剤塗布装置まで運び込むのに苦労していた。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、木材にインサイジング加工を施した後、該インサイジング加工された木材を薬剤塗布装置に自動的に搬送して、該薬剤塗布装置でインサイジング加工された木材に薬剤を容易に塗布することができる木材の処理装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1の木材の処理装置は、例えば図1〜図5に示すように、木材Mに防腐防蟻用の処理を行うための木材の処理装置であって、前記木材Mの表面に多数の微小孔を形成するインサイジング加工装置1と、このインサイジング加工装置1の下流側に設けられて、インサイジング加工された木材Mに薬剤を塗布する薬剤塗布装置2と、前記インサイジング加工装置1と薬剤塗布装置2との間に設けられて、インサイジング加工装置1によってインサイジング加工された木材Mを、薬剤塗布装置2に搬送する搬送手段3とを備え、
前記インサイジング加工装置1は、上下方向および左右方向のうちの少なくともいずれか一方の方向において、互いに対向して設けられた少なくとも一対のインサイジング用の回転刃物6 , 6 ( 7 , 7 ) を有しており、前記少なくとも一対の回転刃物6 , 6 ( 7 , 7 ) はその回転軸Rを平行離間して配置され、
前記回転刃物6 , 6 ( 7 , 7 ) は、円板状の胴体部8aの外周縁部に周方向に一定間隔で押込刃8bが形成されてなる複数のインサイジング刃物8を、前記回転軸Rに軸方向に所定間隔で取り付けることによって構成されており、
前記インサイジング加工装置1と薬剤塗布装置2との間には、インサイジング加工装置1によってインサイジング加工された木材Mから、インサイジング加工の際に生じた切粉を除去する切粉除去部4が前記搬送手段3の途中に設けられているものである。
【0007】
前記インサイジング加工装置1は、例えば図2および図3に示すように、軸回りに回転するインサイジング用の回転刃物6,7を有しているのであり、この回転刃物6,7を回転させつつ、その外周部に設けられた押込刃8b…を木材Mの表面に押し込むことで該木材Mの表面に多数の微小孔18…を形成するようになっている。
また、前記薬剤塗布装置2は、例えば図10に示すように、薬剤をインサイジング加工された木材Mの表面に噴射することで塗布する噴射ノズル24…を備えた構成とし、該噴射ノズル24…は複数本備えて、インサイジング加工された木材表面全体に均一に噴射して塗布するようになっている。
前記搬送手段3は、例えば図1、図2、図9等に示すように、ほぼ水平に設けられたローラコンベア3で構成し、該ローラコンベア3は前記インサイジング加工装置1の出口と、薬剤塗布装置2の入口との間に設置される。また、インサイジング加工装置1の入口とインサイジング加工の前工程との間、薬剤塗布装置2の出口と塗布工程の後工程との間にも、前記搬送手段3と同様の構成の搬送手段20,38を設けるのが望ましい。
【0008】
請求項1の木材の処理装置においては、インサイジング加工装置1と、インサイジング加工された木材Mに薬剤を塗布する薬剤塗布装置2との間に、インサイジング加工された木材Mを、薬剤塗布装置2に搬送する搬送手段3を設けたので、インサイジング加工装置1によってインサイジング加工された木材Mを、搬送手段3によって自動的に薬剤塗布装置2に搬送し、この薬剤塗布装置2で木材Mに薬剤を塗布することができる。したがって、インサイジング加工、搬送、薬剤塗布という一連の工程を自動的に行うことができる。
【0010】
また、回転軸Rに取付けられるインサイジング刃物8の数は、インサイジング加工すべき木材の大きさに応じて適宜調整される。また、前記押込刃8bは、図6に示すように、所定の幅寸法L1を有する側面矩形状のものであり、その先端面は長方形状の平面とされているが、押込刃8bの形状はこれに限ることはない。
また、前記切粉除去部4としては、例えば、インサイジング加工装置1と薬剤塗布装置2との間に設置されたローラコンベア3の途中位置に、搬送される木材Mを上下に挟むようにして上下一対の回転ブラシ56 , 56を設け、該回転ブラシ56 , 56によって木材Mの表面を擦ることで、該木材Mの表面から切粉を掻き取るようにすればよい。また、回転ブラシ56には、フード57を取付けるとともにこのフード57に吸引ダクト58を接続し、回転ブラシ56によって掻き取られた切粉をフード57から吸引ダクト58に吸引して排除するのが望ましい。
【0011】
また、請求項1の木材の処理装置においては、互いに対向して設けられた少なくとも一対の回転刃物6,6(7,7)を回転させつつ、該一対の回転刃物6,6(7,7)の間に木材Mを挿入して移動することで、回転刃物6,6(7,7)の外周部に形成された多数の押込刃8b…によって、木材Mの互いに対向する表面に、多数の微小孔18…を効率的かつ容易に形成することができるという利点がある。
また、木材Mをインサイジング加工装置1から搬送手段3によって薬剤塗布装置2に搬送する途中において、木材からインサイジング加工の際に生じた切粉を切粉除去部4によって除去するので、インサイジング加工によって形成された多数の微小孔18…に切粉が根詰まりしていることがなく、よって、薬剤塗布装置2で木材の表面に塗布された薬剤を、前記微小孔18…から木材内部に確実に浸透させることができる。
【0012】
請求項2の木材の処理装置は、例えば図1、図8、図9等に示すように、請求項1において、前記薬剤塗布装置2を、インサイジング加工された木材の表面に向けて薬剤を塗布する塗布部21と、この塗布部21によって薬剤が塗布された木材の表面から余分の薬剤を除去する除去部22とを備えて構成したものである。
【0013】
前記塗布部21としては、例えば図10に示すように、インサイジング加工された木材Mの表面に、薬剤を噴射ノズル24…によって噴射して塗布するものが好適に使用されるが、これに限ることなく、薬剤を染込ませたローラを木材の表面に当接させながら回転することで、該木材の表面に薬剤を塗布するものであってもよい。
また、前記除去部22としては、例えば図13に示すように、薬剤が塗布された木材Mの表面を回転ブラシ31…によって擦ることで、余分の薬剤を回転ブラシ31…によって拭き取るようにしたものが好適に使用されるが、これに限ることなく、吸引装置で余分の薬剤を木材の表面から吸引除去するものであってもよい。
【0014】
請求項2の木材の処理装置においては、インサイジング加工された木材Mの表面に塗布部21によって薬剤を塗布した後、除去部22によって木材Mの表面から余分の薬剤を除去することができるので、インサイジング加工された木材Mには、適量の薬剤が塗布されて木材内部に浸透するという利点がある。
【0015】
請求項3の木材の処理装置は、例えば図10に示すように、請求項2において、前記塗布部21を、インサイジング加工された木材Mが搬入、搬出される塗布室23と、この塗布室23内に設けられて、木材Mの表面に向けて薬剤を噴射する複数の噴射ノズル24…とを備えて構成したものである。
【0016】
前記塗布室23は例えば図10に示すように、薬剤が塗布室23の周囲に飛散しないような空間とされるが、該塗布室23の搬入口23aと搬出口23bは、木材Mを塗布室23に搬入、搬出するために、開閉可能とするのが望ましい。塗布室23の搬入口23aと搬出口23bとを開閉可能にするには、例えば、可撓性を有する多数の繊維を刷毛状に纏めたもの(扉部25)を、搬入口23aと搬出口23bの両方に設け、木材Mが前記多数の繊維をかき分けるようにして、塗布室23に搬入、搬出するようにしてもよいし、搬入口23aと搬出口23bの両方に、木材Mの表面に弾性的に当接する樹脂で形成された穴を設け、この穴を通して木材Mを塗布室23に搬入、搬出するようにしてもよい。
また、前記塗布室23を形成する壁部の少なくとも一部には、噴射ノズル24…によって木材Mの表面に薬剤が噴射されているかどうかを確認できるような、透明な窓部(透明なアクリル板26:図8および図9参照)を設けるのが望ましい。
【0017】
前記複数の噴射ノズル24…は、図11に示すように、木材Mの表面に均一に薬剤を噴射して塗布できるような位置に配置し、また、複数の噴射ノズル24…のうちの少なくとも一つは、図12に示すように、木材Mの先端面および後端面にも薬剤を噴射して塗布できるような位置に配置するのが望ましい。
【0018】
請求項3の木材の処理装置においては、インサイジング加工された木材Mが塗布室23に搬入されると、複数の噴射ノズル24…から薬剤が木材Mに向けて噴射されるので、該木材Mの表面に容易に均一に薬剤を塗布することができる。また、噴射ノズル24…は塗布室23内に設けられているので、噴射された薬剤が塗布室23の周囲に飛散することがなく、木材処理装置が設置された工場内をクリーンな雰囲気に維持することができる。
【0019】
請求項4の木材の処理装置は、例えば図13に示すように、請求項2または3において、前記除去部22を、薬剤が塗布された木材Mが搬入、搬出される除去室30と、この除去室30内に設けられて、木材Mの表面を擦る回転ブラシ31…とを備えて構成したものである。
【0020】
前記除去室30は薬剤が塗布室30の周囲に飛散しないような空間とされるが、該除去室30の搬入口30aと搬出口30bは、木材Mを除去室30に搬入、搬出するために、開閉可能とするのが望ましい。除去室30の搬入口30aと搬出口30bとを開閉可能にするには、例えば、可撓性を有する多数の繊維を刷毛状に纏めたもの(扉部25,32)を、搬入口30aと搬出口30bの両方に設け、木材Mが前記多数の繊維をかき分けるようにして、除去室30に搬入、搬出するようにしてもよいし、搬入口30aと搬出口30bの両方に、木材Mの表面に弾性的に当接する樹脂で形成された穴を設け、この穴を通して木材Mを除去室30に搬入、搬出するようにしてもよい。
また、前記除去室30を形成する壁部の少なくとも一部には、回転ブラシ31…によって、木材Mの表面が擦られているかどうかを確認できるような、透明な窓部(透明なアクリル板33:図8および図9参照)を設けるのが望ましい。
【0021】
前記回転ブラシ31…は、木材Mの上下に少なくとも一対、左右に少なくとも一対設け、木材Mを搬入口30aから搬出口30bに向けて移動させながら、木材Mの上下面、左右側面を回転しながら擦ることができるような位置に配置する。
【0022】
請求項4の木材の処理装置においては、表面に薬剤が塗布された木材Mが除去室30に搬入されると、回転ブラシ31…が回転して木材Mの表面を擦ることにより、該木材Mの表面から余分の薬剤を拭き取るとともに、木材内部への薬剤の浸透を促すことができる。また、回転ブラシ31…は除去室30内に設けられているので、回転ブラシ31…によって拭き取られた薬剤が除去室30の周囲に飛散することがなく、木材処理装置が設置された工場内をクリーンな雰囲気に維持することができる。
【0023】
請求項5の木材の処理装置は、例えば図14に示すように、請求項4において、前記噴射ノズル24…から噴射されて木材Mの表面に付着した薬剤以外の余分の薬剤と、前記回転ブラシ31…によって木材Mの表面から拭き取られた余分の薬剤とを回収して前記噴射ノズル24…に再び循環供給する回収循環供給装置40を備えたものである。
【0024】
前記回収循環供給装置40は、例えば、前記塗布室23および除去室30の下方に設置されて、前記余分の薬剤が回収されるとともに、前記複数の噴射ノズル24…に供給される薬剤を貯留しておくための薬剤タンク41と、この薬剤タンク41から薬剤を前記複数の噴射ノズル24…に供給するための配管42,44,45とポンプ44等によって構成される。
【0025】
請求項5の木材の処理装置においては、前記噴射ノズル24…から噴射されて木材Mの表面に付着した薬剤以外の余分の薬剤と、前記回転ブラシ31…によって木材Mの表面から拭き取られた余分の薬剤との両方が、回収循環供給装置40によって、噴射ノズル24…に再び供給されるので、薬剤の無駄を殆ど無くすることができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明に係る木材の処理装置の実施の形態について説明する。
図1は、本発明に係る木材の処理装置の一例を示す概略構成図である。この図に示す木材の処理装置は、木材に防腐防蟻用の処理を行うための木材の処理装置であって、木材の表面に多数の微小孔を形成するインサイジング加工装置1と、このインサイジング加工装置1の下流側に設けられて、インサイジング加工された木材に薬剤を塗布する薬剤塗布装置2と、インサイジング加工装置1と薬剤塗布装置2との間に設けられて、インサイジング加工装置1によってインサイジング加工された木材を薬剤塗布装置2に搬送する搬送手段3と、前記インサイジング加工装置1と薬剤塗布装置2との間に設けられて、インサイジング加工装置1によってインサイジング加工された木材から、インサイジング加工の際に生じた切粉を除去する切粉除去部4とを備えて概略構成されている。
【0030】
前記インサイジング加工装置1は以下のように構成されている。すなわち、図2に示すように、インサイジング加工装置1は、その外側を構成するケーシング5を有しており、該ケーシング5内には、上下方向に互いに対向して配置された一対の回転刃物6,6と、左右方向に互いに対向して配置された一対の回転刃物7,7とが設けられている。また、前記ケーシング5には、インサイジング加工を施すべき木材Mをケーシング5内に搬入するための搬入口5aと、インサイジング加工された木材Mをケーシング5から搬出するための搬出口5bとがそれぞれ設けられている。
【0031】
前記回転刃物6は、図3に示すように、複数のインサイジング刃物8…を回転軸Rに、軸方向に所定間隔で取付けることによって構成されたもので、前記回転軸Rは、図示しない駆動機構によって軸回りに回転駆動されるようになっている。そして、回転刃物6,6はそれらの回転軸R,Rを互いに上下に平行離間して配置されている。
【0032】
また、前記上下一対の回転刃物6,6のうち、下側の回転刃物6は、図4に示すように、固定台10に支持部11によって回転自在に支持されており、上側の回転刃物6は、昇降台12に支持部11によって回転自在に支持されている。
前記昇降台12は、上下に延在して設けられたガイドロッド13,13に上下に摺動自在に取付けられており、該昇降台12の上方には、昇降部14が前記ガイドロッド13,13に上下に摺動自在に取付けられている。この昇降部14と前記昇降台12とは連結部材15,15によって連結されている。
また、昇降部14は、その上方に設けられたシリンダ装置のピストンロッド16によって昇降されるようになっており、これによって、昇降台12が昇降するようになっている。そして、昇降台12が昇降することによって、上側の回転刃物6が昇降するようになっており、これによって、上下の回転刃物6,6間に距離を、インサイジング加工を施すべき木材Mの厚さに応じて調整できるようになっている。
【0033】
前記インサイジング刃物8は、図5に示すように、前記回転軸Rに取付けられる円板状の胴体部8aと、この胴体部8aの外周縁部に、周方向に一定間隔で形成された押込刃8b…とを備えて構成されている。
前記押込刃8bは、図6に示すように、所定の幅寸法L1を有する側面矩形状のものであり、その先端面は長方形状の平面とされている。
【0034】
そして、上記構成のインサイジング刃物8を備えた回転刃物6によって、木材Mの表面に微小孔18…を形成するには、回転刃物6,6を回転させつつ、その押込刃8b…を木材Mの表面に順次押込むことで行う。
このように、押込刃8bをその先端面から木材の表面に押し込むことで、木材の表面の一部が押し潰されるように圧縮されて、該木材の表面には、図7(a)、(b)に示すように、微小孔18が形成される。
このようにして形成された微小孔18は、その長辺側の側壁18a,18aが復元しようと互いに近接する方向に傾斜しても、側壁18a,18a間に底壁18bによって隙間18cが形成されているので、側壁18a,18aの復元による微小孔18の閉鎖を防止することができる。したがって、該微小孔18…から木材内部に薬剤を効果的にしかも深く浸透させることができる。
【0035】
また、前記回転刃物7は、前記回転刃物6と同様に、複数のインサイジング刃物8…を回転軸Rに、軸方向に所定間隔で取付けることによって構成されたもので、前記回転軸Rは、図示しない駆動機構によって軸回りに回転駆動されるようになっている。そして、回転刃物7,7はそれらの回転軸R,Rを互いに左右に平行離間して配置されている。
なお、前記回転刃物7は、インサイジング加工を施すべき木材Mが横断面正方形の場合には、回転刃物6と同数のインサイジング刃物8…によって構成するが、インサイジング加工を施すべき木材Mの大きさ、形状によって、回転刃物6および回転刃物7をそれぞれ構成するインサイジング刃物8の枚数は適宜調整するようにする。
【0036】
また、前記回転刃物7,7は、その離間距離を調整できるようになっている。回転刃物7,7の離間距離を調整するには、例えば、一対の回転刃物7,7のうちの一方を固定台に取付けるとともに他方を移動台に取付け、該移動台を適宜の駆動手段によって、左右方向に移動させることで行うことができ、これによって、回転刃物7,7の離間距離をインサイジング加工を施すべき木材Mの厚さに応じて調整できるようになっている。
また、上記構成のインサイジング加工装置1の搬入口5aには、図1および図2示すように、前工程から木材をインサイジング加工装置1に搬送する搬送手段20が接続されている。この搬送手段20はローラコンベアであり、該ローラコンベア20は前記搬入口5aの高さ位置において水平に設置されている。
【0037】
次に、前記薬剤塗布装置2について説明する。すなわち、該薬剤塗布装置2は、図8および図9に示すように、インサイジング加工された木材Mの表面に薬剤を塗布する塗布部21と、この塗布部21によって薬剤が塗布された木材Mの表面から余分の薬剤を除去する除去部22とを備えて構成されている。
前記塗布部21は、図10に示すように、塗布室23と6本の噴射ノズル24…とを備えて構成されている。前記塗布室23は、インサイジング加工された木材Mが搬入、搬出される室であり、薬剤が塗布室23の周囲に飛散しないようにな空間とされている。
【0038】
すなわち、塗布室23の搬入口23aおよび搬出口23bには、それぞれ扉部25,25がそれぞれ設けられており、また、塗布室23の一方の側面には壁部が設けられ、他方の側面には透明なアクリル板26(図8参照)が着脱自在に取付けられ、このアクリル板26を通して塗布室23内を外側から観察できるようになっている。また、前記扉部25は、可撓性を有する多数の繊維を刷毛状に纏めたものであり、木材Mが扉部25,25の多数の繊維をかき分けるようにして、塗布室23に搬入、搬出するようになっている。
【0039】
また、前記塗布室23には、歯車27aが取付けられた搬送ローラ27,27が設けられており、該搬送ローラ27,27とともに歯車27a,27aを回転させることで、該歯車27a,27a上に乗った木材Mが搬入口23aから搬出口23bに向けて搬送されるようになっている。
【0040】
前記6本の噴射ノズル24…は、3本が塗布室23内の上部に設けられ、残りの3本が塗布室23内の下部に設けられている。
上側の3本の噴射ノズル24a,24b,24cは、図11に示すように、下方に向けて薬剤を噴射するもので、中央の噴射ノズル24bによって木材Mの上面中央部に薬剤を噴射して塗布し、両脇の噴射ノズル24a,24cによって木材Mの上面の両側部と木材Mの両側面上部にそれぞれ薬剤を噴射して塗布するようになっている。さらに、上側の3本の噴射ノズル24a,24b,24cは、図12に示すように、木材Mの搬送方向(前方)を向いており、これにより木材Mの後端面にも薬剤を噴射して塗布できるようになっている。
【0041】
また、下側の3本の噴射ノズル24d,24e,24fは、図11に示すように、上方に向けて薬剤を噴射するもので、中央の噴射ノズル24eによって木材Mの下面中央部に形成された溝mに薬剤を噴射して、該溝mの内壁面に薬剤を塗布し、両脇の噴射ノズル24d,24fによって木材Mの下面全体と木材Mの両側面下部にそれぞれ薬剤を噴射して塗布するようになっている。
さらに、前記下側の両脇の2本の噴射ノズル24d,24fは、図12に示すように、木材Mの搬送方向と逆方向(後方)を向いており、これにより木材Mの先端面にも薬剤を噴射して塗布できるようになっている。
そして、上記6本の噴射ノズル24…からは、それぞれ圧縮された空気とともに薬剤が噴射され木材Mの表面に泡状になって塗布されるようになっている。なお、噴射される薬剤の量は、前記圧縮された空気の流量と噴射圧によって調整できるようになっている。
【0042】
前記除去部22は、図8、図9および図13に示すように、除去室30と6個の回転ブラシ31…とを備えて構成されている。前記除去室30は、薬剤が塗布された木材Mが搬入、搬出される室であり、薬剤が除去室30の周囲に飛散しないようにな空間とされている。
すなわち、除去室30の搬入口30aは、図13に示すように、前記塗布室23の搬出口23bと共通のものであり、該搬入口30aは前記搬出口23bに設けられた扉部25によって開閉可能とされている。また、除去室30の搬出口30bには前記扉部25と同様な構成の扉部32が設けられている。さらに、除去室30の一方の側面には壁部が設けられ、他方の側面には透明なアクリル板33(図8参照)が着脱自在に取付けられ、このアクリル板33を通して除去室30内を外側から観察できるようになっている。
【0043】
また、前記除去室30には、搬送ローラ34…が木材Mの搬送方向に所定間隔で設けられており、該搬送ローラ34…を回転させることで、該搬送ローラ34…上に乗った木材Mが搬入口30aから搬出口30bに向けて搬送されるようになっている。
さらに、前記搬送ローラ34…の上方にはそれぞれ押えローラ35…が設けられている。該押えローラ35…は木材Mの上面に上方から当接しながら、木材Mの搬送とともに回転するものであり、搬送中の木材Mの表面が前記回転ブラシ31…によって擦られることによって該木材Mが除去室30内で上下に振動するのを防止するようになっている。
【0044】
前記6個の回転ブラシ31は、上下二対、左右一対にして配置されている。すなわち、前記除去室30の搬入口30a側には、上下一対の回転ブラシ31a,31aが互いにそれらの回転軸を平行にかつ木材Mの搬送方向と直交させて設けられており、該回転ブラシ31a,31aは図示しない駆動機構によって回転するようになっている。
また、除去室30の搬出口30b側には、上下一対の回転ブラシ31b,31bが互いにそれらの回転軸を平行にかつ木材Mの搬送方向と直交させて設けられており、該回転ブラシ31b,31bは図示しない駆動機構によって回転するようになっている。
さらに、除去室30の中央部には、左右一対の回転ブラシ31b,31bが互いにそれらの回転軸を平行にかつ、鉛直方向に対して傾斜させて設けられており、該回転ブラシ31c,31cは図示しない駆動機構によって回転するようになっている。
【0045】
また、前記上下二対の回転ブラシ31a,31a、回転ブラシ31b,31bはそれぞれ、上側の回転ブラシ31a,31bが上下に昇降できるようになっており、これによって木材Mの厚さに応じて回転ブラシ31a,31a間の距離、回転ブラシ31b,31b間の距離を調整できるようになっている。
さらに、前記左右一対の回転ブラシ31c,31cは、それぞれ左右に移動できるようになっており、これによって木材Mの幅に応じて回転ブラシ31c,31cの距離を調整できるようになっている。
【0046】
そして、上記構成の除去部22では、表面に薬剤が塗布された木材Mが除去室23に搬入されると、回転している回転ブラシ31…が木材Mの表面を擦ることにより、該木材Mの表面から余分の薬剤を拭き取るとともに、木材内部への薬剤の浸透を促すようになっている。
なお、上記構成の薬剤塗布装置2の除去室30の搬出口30bには、図8および図9に示すように、除去室30から搬出された木材を次工程の搬送する搬送手段38が接続されている。この搬送手段38はローラコンベアであり、該ローラコンベア38は前記搬出口30bの高さ位置において水平に設置されている。
【0047】
また、前記薬剤塗布装置2には回収循環供給装置40が備えられている。この回収循環供給装置40は、前記噴射ノズル24…から噴射されて木材Mの表面に付着した薬剤以外の余分の薬剤と、前記回転ブラシ31…によって木材Mの表面から拭き取られた余分の薬剤とを回収して前記噴射ノズル24…に再び循環供給するものであり以下のように構成されている。
【0048】
すなわち、まず、前記塗布室23と除去室30の下方には、図1および図8に示すように、前記噴射ノズル24…に供給される薬剤を貯留しておくための薬剤タンク41が設けられている。そして、この薬剤タンク41には、図14に示すように、前記噴射ノズル24…から噴射されて木材Mの表面に付着した薬剤以外の余分の薬剤と、前記回転ブラシ31…によって木材Mの表面から拭き取られた余分の薬剤とが流入するようになっている。なお、回転ブラシ31…によって拭き取られた余分の薬剤は、該回転ブラシ31…の回転による遠心力によって、回転ブラシ31…から除去室30に飛散して、薬剤タンク41に流入するようになっている。
【0049】
前記薬剤タンク41には配管42が接続されており、該配管42は圧力タンク43に接続されており、該圧力タンク43にはポンプ44によって薬剤タンク41中の薬剤が供給されるようになっている。前記圧力タンク43には配管44,45が接続されており、該配管44,45は前記上側の3本の噴射ノズル24…と下側の噴射ノズル24…にそれぞれ接続されている。そして、上側の噴射ノズル24…には、バルブ46を開くことで薬剤が供給され、下側の噴射ノズル24…には、バルブ47を開くことで薬剤が供給されるようになっている。
また、前記圧力タンク43には配管48が接続されており、この配管48はクリーニングガン49に接続されている。さらに、前記圧力タンク43には配管50が接続されており、該配管50は前記薬剤タンク41に接続され、バルブ51の開閉を調整することで、圧力タンク43内の圧力を所定の値に保持できるようになっている。
【0050】
そして、上記構成の回収循環供給装置40では、前記噴射ノズル24…から噴射されて木材Mの表面に付着した薬剤以外の余分の薬剤と、前記回転ブラシ31…によって木材Mの表面から拭き取られた余分の薬剤とが、薬剤タンク41に回収されて、この薬剤タンク41に貯留されている薬剤と混ざり、この混ざった薬剤が配管42,圧力タンク43、配管44,45を介して再び前記噴射ノズル24…に供給され、該噴射ノズル24…から噴射されるので、薬剤の無駄を殆ど無くすることができる。なお、薬剤タンク41内の薬剤の量は、薬剤の塗布に伴って減少してくるので、薬剤タンク41には適宜薬剤を補給する。
【0051】
また、前記インサイジング加工装置1と薬剤塗布装置2との間には、インサイジング加工装置1によってインサイジング加工された木材を薬剤塗布装置2に搬送する搬送手段3が設けられている。この搬送手段3は、図1および図2に示すように、ローラコンベア3であり、該ローラコンベア3は前記インサイジング加工装置1の搬出口5bと薬剤塗布装置1の搬入口23aとの間において、ほぼ水平に設置されている。
【0052】
さらに、前記インサイジング加工装置1と薬剤塗布装置2との間に設けられた前記ローラコンベア3の途中には、図1に示すように、インサイジング加工の際に生じた切粉を木材Mから除去する切粉除去部4が設けられている。
前記切粉除去部4は、図15に示すように、前記ローラコンベア3上を搬送されてくる木材Mを上下に挟むようにして設けられた上下一対の回転ブラシ56,56とを備えて構成されており、該回転ブラシ56,56は図示しないモータによって回転するようになっている。
また、前記回転ブラシ56,56には、フード57,57が回転ブラシ56,56の外側を覆うようにして取付けられており、これらフード57,57には吸引ダクト58が接続されている。なお、図15において符号59,59は、搬送される木材Mの側面をガイドするガイド板であり、該ガイド板59,59によって木材Mはローラコンベア3上を真っ直ぐに搬送されるようになっている。
【0053】
そして、上記構成の切粉除去部3では、前記回転ブラシ56,56が回転して木材Mの表面を擦ることによって、インサイジング加工の際に生じた切粉を木材の表面およびインサイジング加工によって形成された微小孔から掻き取るようにして除去し、この除去された切粉はフード57,57から吸引ダクト58に吸引排除されるようになっている。
【0054】
次に、上記構成の木材の処理装置によって、木材に防腐防蟻用の処理を施す方法について説明する。
まず、断面矩形状に形成された長尺な木材Mが、前工程から前記搬送手段20を構成するローラコンベア20によって搬送されてきて、インサイジング加工装置1にその搬入口5aから搬入されてくる。なお、インサイジング加工装置1におていは、木材Mが搬入される前に、前記上下一対の回転刃物6,6および左右の回転刃物7,7の距離を、木材の厚さおよび幅に応じて適宜調整しておき、これら回転刃物6,6および回転刃物7,7を回転させておく。
【0055】
木材Mがインサイジング加工装置1内に搬入されると、前記回転刃物6,6間および回転刃物7,7間に木材Mが挿入され、これによって、これら回転刃物6,7の外周部に形成されている押込刃8…が木材Mの表面を順次押込み、押込まれた押込刃8は順次引抜かれる。このように、押込刃8bをその先端面から木材の表面に押し込むことで、木材の表面の一部が押し潰されるように圧縮されて、該木材の表面には、図7(a)、(b)に示すように、微小孔18が形成される。
【0056】
そして、表面に微小孔18…が形成された木材M、つまりインサイジング加工された木材Mは、インサイジング加工装置1の搬出口5bから搬出されて、前記搬送手段3を構成するローラコンベア3によって、薬剤塗布装置2に向けて搬送される。
この搬送途中において、前記木材Mは切粉除去部3によって、前記微小孔18…に残留している切粉や木材Mの表面に付着している切粉が除去される。すなわち、木材Mが切粉除去部3に達すると、該切粉除去部3の、回転している回転ブラシ56,56が木材Mの表面を擦ることによって、インサイジング加工の際に生じた切粉を木材Mの表面およびインサイジング加工によって形成された微小孔18…から掻き取るようにして除去し、この除去された切粉はフード57,57から吸引ダクト58に吸引排除される。
【0057】
切粉が除去された木材は、前記ローラコンベア3によってさらに搬送され、前記薬剤塗布装置2の塗布室23に搬入される。すると、塗布室23において木材Mは、搬送ローラ27,27によって搬出口23bに向けて搬送され、この搬送されている間に、前記6本の噴射ノズル24…から木材Mの表面に向けて薬剤が噴射されて該木材Mの表面に塗布される。
【0058】
噴射ノズル24…から薬剤を噴射する場合、図11に示すように、上側中央の噴射ノズル24bによって木材Mの上面中央部に薬剤を噴射して塗布し、両脇の噴射ノズル24a,24cによって木材Mの上面の両側部と木材Mの両側面上部にそれぞれ薬剤を噴射して塗布する。また、図12に示すように、上側の3本の噴射ノズル24a,24b,24cによって、木材Mの後端面にも薬剤を噴射して塗布する。
一方、図11に示すように、下側中央の噴射ノズル24eによって木材Mの下面中央部に形成された溝mに薬剤を噴射して、該溝mの内壁面に薬剤を塗布し、両脇の噴射ノズル24d,24fによって木材Mの下面全体と木材Mの両側面下部にそれぞれ薬剤を噴射して塗布する。
さらに、図12に示すように、下側の両脇の2本の噴射ノズル24d,24fによって、木材Mの先端面にも薬剤を噴射して塗布する。
このようにして、木材Mの表面全体に薬剤を塗布することで、該薬剤は木材Mの表面に形成された多数の微小孔18…から木材内部に浸透していく。
【0059】
上記のようにして表面に薬剤が塗布された木材Mは、図13に示すように、扉部25から除去室30に搬入される。すると、塗布室30において木材Mは、搬送ローラ34…によって搬出口30bに向けて搬送され、この搬送されている間に、回転している回転ブラシ31…が木材Mの表面を擦ることにより、該木材Mの表面から余分の薬剤を拭き取るとともに、木材内部への薬剤の浸透を促す。回転ブラシ31…によって木材Mの表面を擦る場合、搬入口30a側および搬出口30b側にそれぞれ設けられた上下一対ずつの回転ブラシ31a,31a、31b,31bによって木材Mの上下面を擦り、中央部に設けられた左右一対の回転ブラシ31c,31cによって木材Mの両側面を擦る。
【0060】
一方、塗布室23内において、噴射ノズル24…から噴射されて木材Mの表面に付着した薬剤以外の余分の薬剤と、除去室30内において、回転ブラシ31…によって木材Mの表面から拭き取られた余分の薬剤とは、図14に示すように、回収循環供給装置40の薬剤タンク41に流入し、この薬剤タンク41に貯留されている薬剤と混ざり、この混ざった薬剤が配管42,圧力タンク43、配管44,45を介して再び前記噴射ノズル24…に供給され、該噴射ノズル24…から噴射される。このように、塗布室23内における余分の薬剤と、除去室30内における余分の薬剤とを回収循環して再び噴射ノズル24…から噴射することで、薬剤の無駄を殆ど無くすることができる。
なお、薬剤タンク41内の薬剤の量は、薬剤の塗布に伴って減少してくるので、薬剤タンク41には適宜薬剤を補給する。
そして、前記除去室30内で表面に付着している余分の薬剤が拭き取られた木材Mは、搬出口30bから搬出され、前記搬送手段38を構成するローラコンベア38によって次の工程に搬送される。
【0061】
このように、本例の木材の処理装置では、インサイジング加工装置1と、薬剤塗布装置2との間に、インサイジング加工された木材Mを、薬剤塗布装置2に搬送するローラコンベア3を設けたので、インサイジング加工装置1によってインサイジング加工された木材Mを、ローラコンベア3によって自動的に薬剤塗布装置2に搬送し、この薬剤塗布装置2で木材に薬剤を塗布することができる。したがって、インサイジング加工、搬送、薬剤塗布という一連の工程を自動的に行うことができる。
【0062】
また、インサイジング加工装置1においては、互いに対向して設けられた上下一対の回転刃物6,6と左右一対の回転刃物7,7を回転させつつ、これら回転刃物6,6間および回転刃物7,7間に木材を挿入して移動することで、回転刃物6,7の外周部に形成された多数の押込刃8b…を木材の表面に押し込むようにしたので、木材Mの互いに対向する表面に、多数の微小孔18…を効率的かつ容易に形成することができる。
さらに、インサイジング加工された木材Mの表面に薬剤塗布装置2の塗布部21によって薬剤を塗布した後、除去部22によって木材Mの表面から余分の薬剤を除去するようにしたので、インサイジング加工された木材には、適量の薬剤が塗布され、よって、適量の薬剤を木材内部に浸透させることができる。
【0063】
加えて、インサイジング加工された木材の表面には、塗布室23内において、6本の噴射ノズル24…によって薬剤が噴射されるので、該木材Mの表面に容易に均一に薬剤を塗布することができる。また、噴射ノズル24…は塗布室23内に設けられているので、噴射された薬剤が塗布室23の周囲に飛散することがなく、木材処理装置が設置された工場内をクリーンな雰囲気に維持することができる。
また、除去室30内においては、回転ブラシ31…が回転して木材の表面を擦るようにしているので、該木材の表面から余分の薬剤を容易に拭き取ることができるとともに、木材内部への薬剤の浸透を促すことができる。また、回転ブラシ31…は除去室30内に設けられているので、回転ブラシ31…によって拭き取られた薬剤が除去室の周囲に飛散することがなく、木材処理装置が設置された工場内をクリーンな雰囲気に維持することができる。
【0064】
さらに、前記噴射ノズル24…から噴射されて木材Mの表面に付着した薬剤以外の余分の薬剤と、前記回転ブラシ31…によって木材の表面から拭き取られた余分の薬剤との両方が、前記回収循環供給装置40によって、噴射ノズル24…に再び供給されるので、薬剤の無駄を殆ど無くすることができる。
また、インサイジング加工装置1から薬剤塗布装置2に木材Mを搬送するローラコンベア3の途中に、切粉除去部4を設け、この切粉除去部4の回転ブラシ56,56によって、木材Mの表面を擦るようにしているので、該木材Mの表面に付着している切粉および木材Mの表面に形成された微小孔18…に残留している切粉を確実に除去することができる。したがって、インサイジング加工によって形成された多数の微小孔18…に切粉が根詰まりしていることがなく、よって、薬剤塗布装置2で木材Mの表面に塗布された薬剤を、前記微小孔18…から木材内部に確実に浸透させることができる。
【0065】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の請求項1の木材の処理装置によれば、インサイジング加工装置と薬剤塗布装置との間に、インサイジング加工された木材を、薬剤塗布装置に搬送する搬送手段を設けたので、インサイジング加工装置から薬剤塗布装置にインサイジング加工された木材を自動的に搬送することができる。したがって、インサイジング加工、搬送、薬剤塗布という一連の工程を自動的に行うことができる。
【0066】
また、前記インサイジング加工装置を、上下方向および左右方向のうちの少なくともいずれか一方の方向において、互いに対向して設けられた少なくとも一対のインサイジング用の回転刃物を備えて構成し、前記回転刃物の回転軸を平行離間して配置し、該回転刃物の外周部に多数の押込刃を形成したので、該一対の回転刃物を回転させつつ、それらの間に木材を挿入して移動することで、回転刃物の外周部に形成された多数の押込刃によって、木材の互いに対向する表面に、多数の微小孔を効率的かつ容易に形成することができる。
さらに、前記インサイジング加工装置と薬剤塗布装置との間に、インサイジング加工された木材から、インサイジング加工の際に生じた切粉を除去する切粉除去部を設けたので、木材をインサイジング加工装置から搬送手段によって薬剤塗布装置に搬送する途中において、前記切粉を木材から除去することができる。したがって、インサイジング加工によって形成された多数の微小孔に切粉が根詰まりしていることがなく、よって、薬剤塗布装置で木材の表面に塗布された薬剤を、前記微小孔から木材内部に確実に浸透させることができる。
【0067】
請求項2の木材の処理装置によれば、請求項1と同様の効果を得ることができるのは勿論のこと、前記薬剤塗布装置を、インサイジング加工された木材の表面に向けて薬剤を塗布する塗布部と、この塗布部によって薬剤が塗布された木材の表面から余分の薬剤を除去する除去部とを備えて構成したので、塗布部によって木材の表面に薬剤を塗布した後、除去部によって木材の表面から余分の薬剤を除去することができる。したがって、インサイジング加工された木材に、適量の薬剤を塗布して木材内部に浸透させることができる。
【0068】
請求項3の木材の処理装置によれば、請求項2と同様の効果を得ることができるのは勿論のこと、前記塗布部を、インサイジング加工された木材が搬入、搬出される塗布室と、この塗布室内に設けられて、木材の表面に向けて薬剤を噴射する複数の噴射ノズルとを備えて構成したので、複数の噴射ノズルから木材の表面に容易に均一に薬剤を塗布することができる。また、噴射ノズルは塗布室内に設けられているので、噴射された薬剤が塗布室の周囲に飛散することがなく、木材処理装置が設置された工場内をクリーンな雰囲気に維持することができる。
【0069】
請求項4の木材の処理装置によれば、請求項2または3と同様の効果を得ることができるのは勿論のこと、前記除去部を、薬剤が塗布された木材が搬入、搬出される除去室と、この除去室内に設けられて、木材の表面を擦る回転ブラシとを備えて構成したので、回転ブラシが回転して木材の表面を擦ることにより、該木材の表面から余分の薬剤を容易かつ確実に拭き取ることができるとともに、木材内部への薬剤の浸透を促すことができる。また、回転ブラシは除去室内に設けられているので、回転ブラシによって拭き取られた薬剤が除去室の周囲に飛散することがなく、木材処理装置が設置された工場内をクリーンな雰囲気に維持することができる。
【0070】
請求項5の木材の処理装置によれば、請求項4と同様の効果を得ることができるのは勿論のこと、前記噴射ノズルから噴射されて木材の表面に付着した薬剤以外の余分の薬剤と、前記回転ブラシによって木材の表面から拭き取られた余分の薬剤とを回収して前記噴射ノズルに再び循環供給する回収循環供給装置を備えたので、前記余分の薬剤を噴射ノズルに再び供給することができ、よって、薬剤の無駄を殆ど無くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る木材の処理装置の一例を示すもので、該木材の処理装置の概略構成を示す側面図である。
【図2】同、インサイジング装置を示す斜視図である。
【図3】同、インサイジング装置に設けられた回転刃物を示す斜視図である。
【図4】同、回転刃物をインサイジング装置に取り付けた状態を示す要部の側面図である。
【図5】同、回転刃物を構成するインサイジング刃物を示す正面図である。
【図6】同、図5に示すインサイジング刃物の押込刃を示す側面図である。
【図7】同、図6に示す押込刃によって形成された微小孔を示すもので、(a)は微小孔の長手方向に沿う縦断面図、(b)は微小孔の幅方向に沿う縦断面図である。
【図8】同、薬剤塗布装置の概略構成を示す側面図である。
【図9】同、薬剤塗布装置の概略構成を示す平面図である。
【図10】同、薬剤塗布装置の塗布部を示す斜視図である。
【図11】同、塗布部によって木材の上下面および側面に薬剤を塗布する方法を示す図である。
【図12】同、塗布部によって木材の端面に薬剤を塗布する方法を示す図である。
【図13】同、薬剤塗布装置の除去部を示す斜視図である。
【図14】同、薬剤塗布装置の回収循環供給装置を示す概略構成図である。
【図15】同、切粉除去部を示す側面図である。
【符号の説明】
M 木材
1 インサイジング加工装置
2 薬剤塗布装置
3 搬送手段
4 切粉除去部
6,7 回転刃物
8 インサイジング刃物
18 微小孔
21 塗布部
22 除去部
23 塗布室
24 噴射ノズル
30 除去室
31 回転ブラシ
40 回収循環供給装置
Claims (5)
- 木材に防腐防蟻用の処理を行うための木材の処理装置であって、前記木材の表面に多数の微小孔を形成するインサイジング加工装置と、このインサイジング加工装置の下流側に設けられて、インサイジング加工された木材に薬剤を塗布する薬剤塗布装置と、前記インサイジング加工装置と薬剤塗布装置との間に設けられて、インサイジング加工装置によってインサイジング加工された木材を、薬剤塗布装置に搬送する搬送手段とを備え、
前記インサイジング加工装置は、上下方向および左右方向のうちの少なくともいずれか一方の方向において、互いに対向して設けられた少なくとも一対のインサイジング用の回転刃物を有しており、前記少なくとも一対の回転刃物はその回転軸を平行離間して配置され、
前記回転刃物は、円板状の胴体部の外周縁部に周方向に一定間隔で押込刃が形成されてなる複数のインサイジング刃物を、前記回転軸に軸方向に所定間隔で取り付けることによって構成されており、
前記インサイジング加工装置と薬剤塗布装置との間には、インサイジング加工装置によってインサイジング加工された木材から、インサイジング加工の際に生じた切粉を除去する切粉除去部が前記搬送手段の途中に設けられていることを特徴とする木材の処理装置。 - 請求項1記載の木材の処理装置において、前記薬剤塗布装置は、インサイジング加工された木材の表面に向けて薬剤を塗布する塗布部と、この塗布部によって薬剤が塗布された木材の表面から余分の薬剤を除去する除去部とを備えていることを特徴とする木材の処理装置。
- 請求項2記載の木材の処理装置において、前記塗布部は、インサイジング加工された木材が搬入、搬出される塗布室と、この塗布室内に設けられて、木材の表面に向けて薬剤を噴射する複数の噴射ノズルとを備えていることを特徴とする木材の処理装置。
- 請求項2または3記載の木材の処理装置において、前記除去部は、薬剤が塗布された木材が搬入、搬出される除去室と、この除去室内に設けられて、木材の表面を擦る回転ブラシとを備えていることを特徴とする木材の処理装置。
- 請求項4記載の木材の処理装置において、前記噴射ノズルから噴射されて木材の表面に付着した薬剤以外の余分の薬剤と、前記回転ブラシによって木材の表面から拭き取られた余分の薬剤とを回収して前記噴射ノズルに再び循環供給する回収循環供給装置を備えていることを特徴とする木材の処理装置。
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